〈第十二話〉
帝国との予選決勝を控えた雷門イレブンは今日も遅くまで練習をしていた。
「とうとうここまで来たな」
「ああ。あの時は参戦できなかったからな、次は俺もやるぜ」
豪炎寺とアツヤは帰り道を歩いている。
「それじゃあまた明日な」
豪炎寺とは途中で別れてアツヤは自分の家に入っていく。自分の部屋に入るとボールを手に庭に出る。そしてリフティングをしながら考える。
(次の試合は必ず勝つ。鬼道と戦えばなにか掴めるかもしれない!今から楽しみだ)
アツヤは自分の気持ちをボールに乗せ、蹴り上げる。落ちてきたボールをトラップしたアツヤの顔には笑みが浮かんでいた。
「ウィーす。ん?」
次の日、部室にきたアツヤだったがそこに異様な光景が広がっていた。
「冬海先生、ちょっと動かしていただければいいだけです」
「は、はい」
アツヤがなにも理解できずにハテナを浮かべている間に雷門と冬海は部室を出ていく。
「何があった?」
アツヤが先ほどの出来事について半田に聞く。
「なんかマネージャーが突然、冬海に俺たちがいつも使っている車を動かせって」
「ふーん」
「俺たちも行ってみようぜ」
部員たちは二人を追うように部室をでていく。
アツヤたちが二人を追っていくと冬海が車を動かそうとしているところだった。
「それではお願いします」
「え、ええ・・・。あれおかしいな~バッテリーが上がっているのかな~?」
「ふざけないでください!早く動かして!」
「くっ!!」
冬海はなぜか車を出そうとしない。すると、雷門は懐から一枚の紙を出す。
「ここには冬海先生、あなたがこのバスを使って事故を起こそうとしているということが書かれています」
『なっ!!??』
冬海のやることが想像を超えていて驚く一同。
「う、嘘だ!でたらめに決まってる!」
「この証拠が嘘ならば動かすことができるはずです!」
「・・・できません」
「てめぇ、人の命をなんだと思ってやがる!!!おまえは命の重さを知らねぇからそんなことができんだ!この野郎!!」
人一番命のことに向き合ってきたアツヤは冬海に殴りかかろうとする。
「ちょっ!?殴るのはさすがにまずいって!」
ムカついてはいたもののサッカー選手としてやばいと感じ、アツヤの行動を止める風丸や半田たち。
「あなたはそんなことをして本当にいいと思っているのですか!?あなたのような人はこの学校には必要ありません!これは理事長の言葉と思っていただいて結構です!」
雷門は冬海にクビを宣告した。
「ふふふっ」
「てめぇ!何がおかしいんだ!」
「スパイは私だけとは思わないことです。ねぇ、土門君」
怪しげな笑いを見せると最後に爆弾を残して冬海は去っていく。
「おい!土門どういうことだ!?」
「・・・すまねぇ」
「土門!」
土門はその場にいることができず、走ってどこかにいってしまう。そして、追いかけるように円堂と木野もその場を立ち去っていく。
「けっ!逃げたってことはスパイだったってことか!」
「いいえ、そうとは言い切れないわよ」
染岡の言葉を雷門が否定する。
「この密告書は土門君自身が書いたものの可能性があるからよ」
「ちょっと見せてくれ・・・確かに土門の書いた字に似ている気がするな」
豪炎寺がその紙を見て、本当かどうか確かめる。
「まぁ、土門がそんなことをするやつじゃないってみんな分かっていたけどな。なぁ、染岡クン?」
アツヤはみんなの言葉を代弁する。
「おれもそう思ってたさ!!ははは・・・後で土門には謝るよ」
バツが悪そうに染岡は頬をかきながら呟く。
数時間後、泥だらけになった土門たちが帰ってきた。
「ごめん!みんな!スパイだってこと黙っていて・・・」
「何言ってんだ?当たり前だろ、スパイなんだから」
円堂はトンチンカンなことを話しだす。
「へ?いや、確かにそれはそうなんだけど・・・」
「要するに気にすんなってことだよ、円堂が言いたいことは」
「そういっただろ?」
円堂は首をかしげて何言ってんだって顔でアツヤを見る。
「はぁ、これだからサッカーしか脳にないやつは・・・」
アツヤは円堂を見ていて今後が不安になるのだった。
「ちょっといいですか?」
土門の話が一区切りついたところで目金が切り出す。
「冬海先生の件は片付いたとして、監督はどうするんですか?フットボールフロンティアの参加規約には監督がいない学校の参加は認められていないようなのですが・・・」
『な、なんだって!!??』
目金の話が本当であれば現在の雷門は冬海を解任したことで監督がなため出場できないということになる。
「お、おい!雷門!知っててあいつを首にしたんだよな!?」
「え、ええ!!当たり前じゃない!さ、さぁ、代わりの監督を探してらっしゃい!」
雷門は顔を赤くしながら指示をだす。
『じぃー』
「な、なによ!」
「別に~?」
その日から雷門イレブンは総出で新しい監督を探すことになるのだった。
読んでいただきありがとうございます。
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