ダンガンロンパ・scripter~絶望の舞台劇~   作:月乃と星乃

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【CHAPTER 2 】〈日常編〉前半

〈ピンポーン♪〉

 

あれ?インターホンが鳴ってる。

身体を起こして部屋の時計を見てみると6時50分だった。

 

誰だろう?

 

「はーい。」

 

ガチャ。

 

「good morning!」

 

ドアを開けると笑顔でソフィーさんがいた。

 

「うん、おはよう。早いね。何の用?」

 

「江ノ本サン、料理当番だヨ!」

 

あっ、そうか。もう5日はたってるのか。

確か、次の当番は、僕とソフィーさん、生原君。五十嵐さんだっけ?

 

「分かった。わざわざありがとうね。すぐ行くよ」

 

僕は普段着に着替えてからソフィーさんと厨房に向かった。

 

厨房にもう2人は来ていた。

 

「よーし、早速作るっスよ!」

 

「OK!頑張るヨ!」

 

五十嵐さんもソフィーさんもやる気満々だな。

 

作る前に大事なことを聞いておこう。

 

「そういえば、皆は料理は作れるの?僕はすごい下手なんだ。

だから盛り付けとか食器の準備くらいしか出来ないよ。」

 

「…頑張るっス!」

 

「ワタシも!でも料理漫画見たことアルから大丈夫!」

 

「胃袋の中に入って栄養になれば問題ないだろう」

 

「…なんか不安だな。3人とも詳しく話してくれる?」

 

最初に話してくれたのは五十嵐さんだ。

料理はあまりしないらしい。調理実習では同じ班のクラスメイトに

「何もしないのが一番の手伝いだ」

家では両親と二人の兄に「何もしなくていい」と言われているらしい。

簡単な漢字すら読めないのでレシピも読めない。

料理の知識は「食べれる物を使えば大丈夫っス!」とのことらしい。

 

ソフィーさんは家では妹と母親が家事をしていて料理どころか

包丁すら持ったことがなく台所に立ったことすらない。

料理の知識は漫画で読んだのみ。しかもうろ覚え。

 

 

生原君はお腹が空いたときには買いに行くか、あるものを

適当に食べていてソフィーさんと同じく、包丁すら持ったことがなく

台所に立ったことすらない。料理の知識は皆無。

 

…嘘でしょ。

人のこと言えないけど、4人もいるのに一人もまともに作れそうな人がいない。

どうしよう。料理が出来る人を起こしに行って手伝ってもらおうかな?

 

 

「江ノ本サン、ワタシ図書室で本を取ってくるネ。見て作れば出来るヨ」

 

「うん、ありがとう。」

 

すぐに人を頼ろうとするのが僕の悪い所だな。

きちんとレシピを見てその通りに作ればきっとできる、4人もいるんだ!

する前から諦めてどうする!

 

4人で話し合った結果。ソフィーさんの強い希望で朝食は和食になった。

メニューは焼き魚に卵焼き。お浸しに味噌汁。

一人一品ずつ作ることにした。

よーし!やるぞ!!もう高校生にもなったんだ!

ちょっとはマシになってるはず!

 

「五十嵐さん!それ塩だよ!入れすぎ!!」

 

「あっ…。甘いものをたくさん入れればちゅーわ?

 されるはずっス!おっいい所に砂糖の塊が!」

 

ドボン!

 

「それ岩塩!!」

 

「生原君、なに入れてるの!?」

 

「栄養剤とサプリメントだが。足りないのか?」

 

「何で!!?具材を入れてよ!」

 

「料理とは栄養をつけるものなのだろう?具材もいれてるぞ。丸ごとな。」

 

「そうだけどさ…。具材を洗おうよ。あとちゃんと切ろう!」

 

「ソフィーさん、なんでそんなに沢山のお酒をフライパンに入れてるの?」

 

「フランべしてみたかったんダ。どのお酒が良いのか分からなかったカラ

 あるだけ入れたヨ。下手な鉄棒数打ち当たるって思ってネ。」

 

それ、鉄棒じゃなくて鉄砲だよね?

 

カチッ!

 

「わーーーーー!!火柱!!!」

 

「NO!!作り直すヨ…」

 

地獄絵図だった。

何枚もの食器を割り。電子レンジを爆発させ。何度も火柱を上げ。

具材を落とし。炊飯器からはバチバチって音がして黒い煙が出た。

 

それでもようやく出来上がった。

 

皿に盛りつけて食堂のテーブルに並べる。

 

焼き魚→少し焦げてる。ボロボロ。(ソフィーさん)

卵焼き→ドロドロのスライム状。黒と黄色とピンクの斑色。無臭。(五十嵐さん)

味噌汁→鮮やかな紫色。栄養剤?が浮いていて悪臭がする。(生原君)

ほうれん草のお浸し→濁った青色。酸っぱい匂いがする。硬い。(僕)

 

…これは酷い。

一番まともなソフィーさんのは食べられそうだけど他の僕を含めた人たちの物は

食べても良いものなのかすら疑問に思うレベルだ。

見ただけで食欲が失せる。食材の墓場だ。

お浸しって簡単そうに見えるけど難しいんだなぁ…こんなに変わり果てて…。

ほうれん草を育ててくれた人達ごめんなさい。

 

「おはよーさん。って…なんやねんコレ!!!?」

 

朝ご飯を食べに来た木柳君がツッコミを入れる。若鳩君も一緒だ。

 

「おー、すげえもんできてんなぁ!」

 

「ナギ!トモ!丁度ご飯ができたところっス!召し上がれ!」

 

「こんなん食えるか!!!」

 

木柳君がツッコミを入れた後に残りの皆が来た。

 

「料理当番のアンタら正座しなさい。」

 

地を這うような声の方を向くと般若のような顔をして

怒りのオーラを出している喰田さんがいた。

 

「ひぃ…。」

 

五十嵐さんは小さく悲鳴を上げ、ソフィーさんは涙目で俯いている。

僕は蛇に睨まれたカエルのように動けない。

 

生原君は「うむ、いいぞ!」と笑顔で正座した。

 

それからは散々だった。

喰田さんにみっちり説教され、ウルフ君に辛辣な言葉を投げられ、

木柳君と鬼澤さんに怒られて、綿古里さんが苦笑して、

若鳩君にからかわれて、最後に小鳥遊さんに呆れられた。

綾織さんは何も言わずぼけっとしていた。

 

説教の途中でシープ君、唯輝が庇ってくれたけど喰田さんの怒りは収まらない。

最後まで正座して説教された。

 

説教が終わり

 

「せっかく皆様の作ってくださった料理を無駄にできません。」

 

と言ったシープ君は自分の分の料理を食べた。

 

ソフィーさんの焼き魚は「少し焦げているみたいですけど美味しいですよ」と

微笑んで完食し、生原君の味噌汁と五十嵐さんの卵焼きは

水で流し込み時間をかけて苦しそうにしながらも完食したけど、

僕のお浸しを食べたら奇声を発して失神したから保健室に木柳君に担ぎ込まれた。

皆の視線が痛い。

ごめんね、シープ君…。

料理の練習をしよう。せめて食べられるくらいにはなりたい。

 

一番驚いたのが綾織さんだ。

「成程。変わった個性的な味じゃのう」と言って自分の分の料理を

涼しい顔で完食した。どんな味覚をしているんだろう?

 

残りの皆は倉庫でカップ麺や非常食を取ってきてそれを食べた。

 

皆と話し合った結果、料理当番は綿古里さん、木柳君、五十嵐さん、唯輝になった。

 

そして今、僕を含めた料理当番だった人達で滅茶苦茶になった厨房を掃除している。

 

「うぅ…。また掃除っスか」

 

「一緒に頑張ろウ。すぐに終わるヨ」

 

五十嵐さんとソフィーさんはこれで2回目か。

 

「うむ、料理をしたのは初めてだったな」

 

「生原君、またしたいって思う?」

 

「いや、どうでもいい。食材が生きている生物なら喜んでするんだがな…

 考えてみるといい、生きたままの方がじっくり釜茹でにしたり、

 じわじわと包丁で傷をつけて一生懸命生きようとあがく、

 苦しんでいる美しい姿を見れるだろうしな」

 

うん、共感できないな。皆と雑談しながら掃除を終わらせた。

 

 

掃除が終わった後に廊下でジョーカーから紙をもらった。

僕以外にも全員に配っているらしい。早速見てみよう。

 

 

         『皆の料理の腕前』

 

<プロ級>喰田

<上手>有馬 綾織 シープ 秋雨(不運が無ければw)

<普通>晴天 小鳥遊 ウルフ 綿古里 若鳩

<少し下手>ソフィー 鬼澤 木柳

<下手糞>生原 五十嵐

<論外>江ノ本

               

 

 

ああ!成程。これをみて料理当番を決めてってことか。

…もっと早く頂戴よ。

って僕は論外って‥‥!?

 

き…気持ちを切り替えて、掃除も終わったし何をしようか?

したいことと言えば、自分を鍛える為のトレーニングと料理の練習かな?

 

一人でするより誰かに教えてもらった方がいいよね。

トレーニングなら鬼澤さんかな。

五十嵐さんは教えるのは得意じゃなさそうだし、ウルフ君は断られるだろうな。

 

料理なら唯輝、綾織さん、シープ君かな。喰田さんは絶対断るだろうな。

さっきの僕の料理を見た時の怒った顔が頭に浮かんだ。

 

考えながら歩いていると鬼澤さんを見つける。

 

「鬼澤さん!」

 

「ああ、江ノ本か。アタイに用かい?」

 

「うん、僕を鍛えてくれないかな?」

 

「…は?」

驚いた顔をされてしまった。

まぁ、僕は運動するようなタイプじゃないし電子手帳にも

スポーツが嫌いって載っていたもんな。

 

実際にスポーツは嫌いだ。

体力はないし運動神経もよくないし。

特にチームでやるスポーツは嫌でも足を引っ張ってしまうのが申し訳なくて…。

でも苦手なままにしておくのも駄目だと思う。

 

「実は…」

 

サウナの件と自分を人並みには鍛えたいという思いを話したら

快く笑顔でOKしてくれた。

 

「なんだい!そういうことなら喜んで協力するよ!着替えて体育館に来な。

 アタイは厳しいよ!」

 

居室でジャージに着替えてから体育館で鬼澤さんに鍛えてもらった。

 

「も…もう無理動けないよ…」

「なんだい、だらしないね。ランニングと腹筋しかしてないじゃないか」

 

きつい…。疲れた。覚悟はしていたけど想像以上だよコレ!

 

鬼澤さんはピンピンしている。

僕が体力がなさすぎるのか、鬼澤さんが凄いのか。両方だろうな。

 

「さて…。そろそろ夕飯の時間だから、今日はここまでにして食べに行くよ」

 

「…無理。まだ、立てない…」

 

床に寝そべったまま鬼澤さんに目線で訴える。

 

「分かったよ、ならおぶさりな」

 

そういうと鬼澤さんは僕の目の前に背中を向けてしゃがむ。

 

「ええ!!?いいよ悪いし!」

 

「あんたくらい軽いもんだよ。アタイが良いって言ってるんだから

 遠慮せずに乗りな!」

 

いや…。気持ちは嬉しいけど誰かに見られたら恥ずかしいし悪い気がするし。

うう…でも善意を無駄にするのも悪いし…早くしろという目線が僕に刺さる。

 

「あ…ありがとう。重かったりしたらすぐに降ろしてね」

 

僕はそう言って鬼澤さんにおぶさる。

鬼澤さんは僕をおんぶしながら食堂に向かった。

 

まぁ、ここの学園は広いし2階も行けるようになっているから

誰かに会うことはないよね?

 

 

「♪~♪~」

鬼澤さんの鼻歌が聞こえる。機嫌がいいみたいだ。

 

「鬼澤さん、ご機嫌だね」

 

「まぁね。懐かしい思いもトレーニングもできたし」

 

「懐かしい?」

 

「ああ、アタイには弟がいるんだよ。泣き虫で甘えん坊でね。

 よくこうやっておんぶしてあげてたんだ」

 

へぇ、弟さんがいるのか…鬼澤さんは面倒見がいいし、いい姉さんなんだろうな。

僕が話を黙って聞いているとさらに続けて話してくれる。

 

「アタイの家族は親父と弟だけでね。親父とはよく喧嘩したよ。

 ちなみに弟は中学1年生なんだ」

 

誰にも会うことなく鬼澤さんとお喋りをして食堂に着いた。

鬼澤さんは食堂の前で僕を下ろしてくれた。

 

食堂に着くと小鳥遊さん以外の皆がいた。

 

「あれ?小鳥遊さんは?」

 

「何度もインターホンを鳴らしたんですけど、

 で…出てきてくれなかったんですよぉ…」

 

綿古里さんが泣きそうになりながら話してくれた。

 

「もうほっときなさい、餓死するなら勝手に死んでてもらいたいものだわ」

 

「ほっとけ。あんな奴知らん。死ぬなら一人で死んどけ」

 

ウルフ君、喰田さんが冷たく言う。

 

「二人とも訂正しろ」

 

「Yes!酷いヨ!」

 

「ツッキーとソラの言う通りっス!」

 

「何?迷惑かけるなうざいとでもいえばいいの?」

 

「なんだよ。俺とシープに迷惑をかけるな。消えろとでもいえばいいのか?」

 

「ウルフ私と同じ様なこと言わないでくれる?

 ぶよぶよのカップ麺を口にねじ込むわよ負け犬男」

 

「こっちの台詞だ。やってみろ。頭に銃弾をぶち込むぞ豚女」

 

この二人やっぱり仲が悪いなぁ。

 

「二人共やめてください。私が小鳥遊様にお食事を持っていきますね」

 

シープ君もう大丈夫みたいだな。良かった。

好意に甘えさせてもらうことにしよう。

 

昼御飯を食べた後、疲れていたので部屋に戻って

晩御飯の時間までDVDを見て過ごした。

 

せっかく綿古里さんとご飯を食べれるようになったのに

今度は小鳥遊さんが引きこもるなんてな。

 

恐らくパソコンをしてくれてるんだろうけど…。

明日も来なかったら居室に行ってみよう。

 

 

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