ダンガンロンパ・scripter~絶望の舞台劇~ 作:月乃と星乃
〈ピーンポーンパーンポーン♪〉
もう朝かまだ疲れているから寝よう。
8時に行けばいいだろうし…って、体が痛い!
筋肉痛だこれ!!保健室に行こう。
湿布くらいあるよね?
痛い手足を引きずって保健室に向かった。
「江ノ本サンどうしたノ?」
声の方を振り向くと、ソフィーさんがいた。
「どうしてここに?」
「目が覚めたかラ、散歩してたノ。江ノ本サンは?」
「筋肉痛で痛くて、保健室に湿布を取りに行ってるんだ。」
「OK、待ってテ!」
そう言うと走って行ってしまった。
えっと…。待ってればいいのかな?
立ってるのもしんどいし、壁際で座って待ってよう。
「おまたセーーーーー!」
ソフィーさんが両手に大量の湿布を抱えて帰ってきた。
気持ちは嬉しいけどそんなに使わないんだけどな…
だけど満面の笑顔のソフィーさんにそんなこと言えない。
「ありがとう。」
「どういたしまシテ!貼ろうカ?」
「朝食の後で自分でやるからいいよ。行こうか。」
「OK!肩かすヨ!」
ソフィーさんに肩を貸してもらいながら食堂に向かった。
食堂には小鳥遊さん以外の人達が来ていた。
小鳥遊さん…。心配だな。
喰田さんとウルフ君以外の皆は僕の事を心配してくれた。
鬼澤さんは申し訳なさそうな顔をして謝ってきた。
日頃から運動していない僕が悪いのに…。
綾織さんはリアクションが薄かったけど声は掛けてくれて、若鳩君は笑ってた。
生原君は苦しんでいる姿を見ていたいから傍にいる!って言って鬼澤さんと唯輝に怒られている。
丁度皆がご飯を食べ終わったときだった。
〈ピーンポーンパーンポーン♪皆様!体育館に集合してください!来ないとお仕置きですよー。〉
…行きたくないな。でも仕方ない。
フラフラの僕を見かねた木柳君が体育館までおんぶしてくれた。
湿布は机の上に置いておこう、また取りにこればいいし。
「皆様ー!来てくれてありがとうございます。良いキャストですねぇ。」
「消えろゴミ。」
「目障りよ、ポンコツ。」
「お前が呼んだんやろ!さっさと要件を言えや木っ端。」
ウルフ君、喰田さん、木柳君がジョーカーに文句を言う。
あっ、小鳥遊さんも来てる。眠そう。
「はいはい、じゃあ皆様に動機をプレゼントしま~す!」
動機なんていらないし、ほしくないんだけどな…
僕達が口を開く前にジョーカーが話す。
「問答無用です!ほらっ一人一枚受け取って下さい!」
そう言うと、どこから出したのか分からないけど14枚の封筒をばらまいた。
適当に近くに落ちているのを拾う。
皆が拾うのを確認してから、ジョーカーが説明をした。
「その封筒の中身の紙には皆様の「秘密」が書かれていま~す。
ちなみにランダムで一つ書いてますからねぇ。それに匿名でーす。
「誰」の「秘密」かは気になるなら、他の人に聞くなり自力で調べるかしてくださいね。
まぁ、暴露しますけど☆」
楽しそうな様子でジョーカーは続ける。
「‥‥そうですねぇ。2日後に「誰の」秘密かをハッキリさせてここにいる皆様に暴露してから、
さらに3日後にはチラシにして外で人の多い所でばらまきましょうか!
捨てたりしないでちゃんと中を見て下さいねー。さもないと、お仕置きですよ~。」
えっと…。つまりこの封筒の中には誰かの秘密が書いてあって、2日後にここにいる皆に、
3日後に外の世界に暴露されるって事だよね?
僕自身のだったらいいんだけど…そんな大した秘密なんてないと思うし。
あっ、でも恥ずかしいのだったら嫌だなぁ。どんなことが書かれているんだろう?
知りたいけど、ランダムだから、誰が僕のを持っているのかが分からない。
それに匿名だから僕の秘密を持っている人も、僕のって分からないだろうな。
2日後にははっきりするだろうけども…。
知られたくない秘密がある人だっているはずだ。
見ないほうがいいんだろうけどちゃんと中身を見ないとお仕置きされるらしい。
封筒を手にして色々考えていると…。
「皆、とりあえず一度部屋に戻ってから中身を見るよ!誰のかが分からないし知られたくな…。」
「お前らぁ!ちょっといいかぁ!」
皆に呼びかける鬼澤さんの言葉を若鳩君の大きな声が遮った。
「おい!ジョーカーこの秘密はオイラ達キャストのなんだよなぁ?」
「はい!若鳩君そのとーりで~す。」
「お前らこれを見なぁ!」
満面の笑顔で若鳩君が封筒の中の紙を広げ僕達に見せつける。
紙の真ん中には真っ赤な大きな字でこう書かれていた。
『黒幕の内通者(裏切者)』
「はあああああぁぁぁ!!?なんやねんそれ!?」
「そ…そんな…!」
「誰っスか!?ジョーカーの嘘っスよね!?」
「信じたくないヨ…!」
木柳君と五十嵐さんが怒鳴り、ソフィーさん綿古里さんがうろたえる。
綿古里さんは泣きだしてしまいそうだ。
黒幕側の人がいるかもしれないって思ってはいたけど、きっといないって信じていた。
いや、僕は疑いたくなくて逃げていたんだろう。
でもこうしてはっきりと裏切者がいるってことが分かってしまった。
「黙れ。」
ウルフ君の地を這うような威圧的な声が響く。
それほど大きな声じゃないのに一言で4人は黙り込んでしまった。
「喚くな。2日後にはどいつかハッキリするだろうが。」
まぁ、その通りなんだろうけど。
「お兄様、その…裏切者がどなたか分かったらどうなさるつもりですか?」
「…両手両足を縛って監禁する。」
ウルフ君の答えにシープ君が反論する。
「そんな!確かに私達を裏切ってジョーカーの内通者になったのは罪深いことですが、
何かやむを得ない事情があったのかもしれませんし、話し合って説得してから…。」
「シープ。俺は本当は拷問して情報を吐かせてから監禁する予定だった、でもお前が
そう言うと思い、手心を加えて両手両足を縛って監禁する事にした。
いくら大事な弟であるお前の願いでも、これ以上譲歩するつもりはねぇ。」
「そんなこと言って…あんたが裏切者じゃないの?ウルフ。
もしかしたら、シープかもしれないわね。」
喰田さん!なんでそんなことを?
「んだとテメェ…。」
「喧嘩しないデ、そんなことよリ…。」
「へー。ソフィー。そんなことねぇ、お前怪しいなぁ。お前が裏切者なのかなぁ~?」
止めようとしたソフィーさんを若鳩君が遮る。
「一番怪しいのはお前やろ!!」
「うわぁー。傷つくなぁ。」
木柳君に怒鳴られて睨まれても、若鳩君は動じずにヘラヘラしていた。
「面白くなってきたな!吾輩はワクワクしているぞ!」
生原君はこんな状況で、いや…こんな状況だからこそ目を輝かせて喜んでいる。
「も…もうやめてくださいよぉ。お願いしますぅ。」
綿古里さんは泣きだしてしまっていた。
「あんたらもう止めな!!!」
鬼澤さんが大声を出した。
「こんな事を話していても、今は裏切者が誰か分からないだろ。
とりあえず一旦、自分の部屋に戻って頭を冷やしな!生原!あんたもついておいで!」
鬼澤さんはそう言うと、若鳩君の腕を掴んで体育館から出て行ってしまった。
呼ばれた生原君もついて行った。
綾織さんは「本の続きでも読もうかのう。」と涼しい顔で出て行ってしまった。
ソフィーさんと五十嵐さんは、泣いている綿古里さんに何か言っている。
恐らく慰めているんだろうな。
どうしよう…話しかけようかな?でも余計なことしない方がいいかな。
木柳君は足を踏み鳴らしながら出て行った。恐らく怒っているんだろう。
小鳥遊さんはあくびをしてから、顔を顰めたウルフ君は、顔色の悪いシープ君の手を引いて出て行った。
喰田さんも黙って出て行ってしまった。
とりあえず僕も、体育館から出て自分の部屋に行こう。
ずっとここにいても出来ることなんてないし、頭を冷やしたい。
それに封筒の中身を見ないと…見ないとお仕置きだなんて…。
「望夢、大丈夫?」
フラフラと放心状態で、部屋に帰ろうとした僕を唯輝が呼び止めた。
「…ごめん、少し一人にして。」
そう言い残してから、まだ筋肉痛で痛む体を引きずって自分の部屋に戻った。
部屋に戻ると、ゴロリとベットに横になる。
誰が裏切者なんだろう?
全く分からない…。
やむを得ない理由があるのかもしれないけど…今は疑っている場合じゃない。
黒幕の思い通りにならない為にも、このコロシアイを終わらせる為にも
皆で協力しないといけない…そんなのは分かっている。
でも…、皆を完全に信じることが出来ない。
裏切者の正体が分かった後はどうなるんだろう?
考えれば考えるほど気持ちが沈んでいく。
ため息をついてから、封筒の中を見る決心をつける。
誰の秘密か分からないけど、どうか大変な秘密じゃありませんように。
そう祈り、封筒の中の紙を見る。
「えっ…?」
僕の祈りは悪い意味で裏切られた。
『全ての根源(この舞台の立案者)』
なんだこれ!!?
裏切者だけじゃなくて黒幕が僕達の中にいるの?
でもなんで『黒幕』って書かずにこんな書き方をしたんだろう?
考えられるとすれば…黒幕の自覚がないとか。黒幕に利用されたとか?
黒幕にこの殺し合い学園生活のキッカケを与えてしまったとか?
そもそも誰の秘密なんだろう。
駄目だ。全然わからなくて、頭がぐるぐるする。
皆に相談するべきかなぁ。
でも…。
これ以上、混乱させたくない。でも一人で考えててもいい案が浮かばない。
色々考えているともうお昼ご飯の時間になってしまっていた。
しょうがない、まだ筋肉痛で痛いし、お腹空いてないけど行こう…。
その前に保健室によって行こうかな。
何かあったときの為に、どんな薬があるのかよく見ておきたい。
少しくらい遅れてもいいだろう。
保健室に着くと綾織さんとソフィーさんがいた。手に何かを持っている。
「二人ともなにしてるの?」
「毒殺対策だヨ!これでperfect!」
ソフィーさんがいい笑顔で胸を張って答えた。
「儂は暇な所を声掛けられたから手伝っておったのじゃ。こういうイベントも悪くないからのう。」
「対策って?」
「じゃーん!これだヨ!倉庫から探してきたんダ。」
ソフィーさんが見せてくれた手に持っているチューブを見ると
『超強力!瞬間接着剤!!』と大きく書いてある。
「これデ、左の毒や劇薬の棚を接着したヨ!」
「最初は全部処分してしまおうとしたのじゃが、処分した場合は
ジョーカーが新しい物を準備するって言っとったからのお。」
なるほど、試しに左のガラスケースを開けようとしたけど、びくともしない。
「全部接着してしまおうと思ったけド、他の棚には栄養剤、頭痛薬、整腸薬、睡眠薬とか
必要そうな薬とか包帯、ガーゼとか怪我の時にいるような物があったからやめたヨ。
江ノ本サンはどうしてここ二?」
「あぁ、どんな薬や物があるのかよく見ておこうと思って。」
「なるほど、儂はもう覚えたから食堂に行っとるぞ。」
「ワタシもー。お腹すいたヨー。江ノ本サンまだ筋肉痛で痛いなら肩を貸すヨ。
情けは人の旅にならずって言うもんネ。」
間違っているけど、ツッコまないでおこう。
「ありがとう、そんなに酷くないから大丈夫だよ。」
二人が出て行った後、棚の中をよく見ておいた。
品ぞろえがいいなぁ。僕の知らない薬や医療品がある。注射なんてあっても使えないけど。
メスなんて危ないし、皆と相談してどうするか決めよう。
食堂に着いた。
僕以外の皆が揃って…あっ、小鳥遊さんがいない。
心配だな…後で部屋に行ってみよう。
皆で食事を食べ終わってから話し合いになった。
「秘密はどうするっスか?見せ合うっスか?」
「それがいいかもしれないね。」
五十嵐さんの意見に鬼澤さんが同意した。
「はぁ!?なんでやねん!誰にだって秘密はあるやろ!
それに深刻な秘密の奴だっておるかもしれへんやろ!!このまま何もせんのが一番や!」
怒りを露わにして怒鳴る木柳君に鬼澤さんは反論する。
「木柳、よく考えな。このままだと誰が自分の秘密を持っているのか分からないだろう?
不安になるし疑心暗鬼になる。今、暴露してしまった方が情報共有ができるし、
深刻な重い秘密の奴の相談に乗ったり心のケアができる。懺悔を聞いてきた経験を持つ
シープもいる。それに…ジョーカーが暴露するなら同じだ。」
たしかに鬼澤さんの言うことも一理ある。
「私は反対よ。あんた馬鹿なの?」
喰田さんは反対みたいだ、すんなりと全員が賛成するはずがない。
「この中に裏切者がいるのよ?誰かも知らないのに、はいそうですかって
信用できるわけないじゃない。他人の相談に乗ったりしている場合じゃないわ。
どうせ暴露されるなら、自分の身を守ることだけを考えてればいいじゃない。
あんたたちの身の上なんて知ったこっちゃないわ。」
「あんたはまた…!なんでそんなことばっかり言うんだい!」
「本当のことを言ってるだけじゃない。嘘ついてほしいの?」
喰田さんと鬼澤さんがにらみ合う。
「…アタイはあんたの事、好きになれそうにないね。」
「はっきり嫌いって言ったらどうなの?私はあんたの事嫌いよ。
リーダー気取りの所が特にね。まぁ、ほとんどの奴が嫌いだけど。」
険悪なピリピリとした空気が流れる。
「ちょっ…、二人ともほら仲良くするっス!」
「五十嵐様の言う通りです、とりあえず秘密の事は多数決でどうでしょうか?」
五十嵐さんが二人を止めた後にシープ君が提案した。
多数決の結果、秘密は暴露しないことになった。
良かった。実を言うと僕も反対派だ。
ただでさえ裏切者の存在があるのに僕の持っている秘密を見せたくなかった。
この秘密はどうしよう…。
次に保健室の話になった。
ソフィーさんの接着した棚はそのままにしておくことになった。
僕が保健室で見つけた注射器や注射針、メスは袋か何かに入れて誰かの部屋に置くことにした。
生原君、若鳩君は論外で綿古里さんは危ない物を自分の部屋に置きたくないと涙目で言ってきた。
ここにいない小鳥遊さんも駄目だろうし、この4人以外になった。
今日は綾織さんの部屋になった。
晩御飯まで時間がある。心配だから湿布を部屋に置いてから、小鳥遊さんの様子を見に行こう。
湿布を貼って、残りを部屋に置いた後に小鳥遊さんの部屋の前に行くと
木製トレーの上に空の食器があった。
良かった。ちゃんとご飯を食べているみたいだ。
扉をノックする。…何も反応がない。
インターホンを鳴らしてみるけど…何も反応がない。
どうしよう?
寝ているなら起こすのは悪いしパソコンをしていてくれているなら邪魔するのも悪い。
食器を下げてまた出直そう。
僕はトレーを持って食堂に向かう。
食堂にて片付けをしている料理当番、五十嵐さんが嬉しそうに言った。
「モトありがとーっス!あとはタイタニックに乗ったつもりでお任せあれっス!」
いや、沈むよそれ。
食器の片付けは料理当番の人に任せよう。
何をしようかな?トレーニングの続き?いや、まだ筋肉痛が酷いし無理は禁物だからやめておこう。
料理もやめておこう。また食材を無駄にしたら怒られるだろうし…
うっ、立ちっぱなしだと筋肉痛が…。
治ってからまた鬼澤さんにトレーニングを頼もう。
せっかく行けるようになったんだし図書室で本でも読もうかな。
図書室にはやっぱり綾織さんがいた。
椅子に座って本を読んでいる。机の上には沢山の漫画が積まれていた。
「綾織さん、そんなに漫画読むの?」
「儂は何でも読むぞ。じゃがこの机に積まれている漫画は、儂が読むのではない。
五十嵐俊穂に頼まれたのじゃ。」
積んである漫画を一冊手に取って表紙を見ると、どうやら少年漫画のようだ。
そっか五十嵐さん、少年漫画が好きって電子生徒手帳に載ってたもんな。
本を選んでから綾織さんの隣に座って読むことにした。
選んだのは「料理本~初心者向け~」だ。
本を読んでいると五十嵐さんが来た。
五十嵐さんは綾織さんに漢字を読んでもらっている。見ていて微笑ましい後景だな。
……僕たちの中に裏切者が本当にいるのかな?あの秘密からするに
最悪の場合、黒幕もいるかもしれない。
「モト、どうしたっスか?」
考え込んでいると心配そうな顔をした五十嵐さんが声を掛けてきた。
「何でもないよ、大丈夫。」
心配かけたくないし…もう少し黙っておこう。
「モト、楽しみにしているといいっス。いい事を思いついたっスから!」
「五十嵐俊穂、何を企んでおるのじゃ?」
綾織さんの問いに笑みを浮かべて答えた。
「後でのお楽しみっス!もうご飯の時間だから行くっスよー。」
五十嵐さんに言われて壁の時計を見てみると、晩御飯の時間の5分前だった。
随分と読みふけってしまったみたいだ。
本を本棚に直して食堂に向かう。五十嵐さんにおんぶしようかと言われたけど断った。
気持ちは嬉しいけど綾織さんもいるし…。
食堂に着くと大体の人が来ていた。やっぱり小鳥遊さんはいないか…。
あれ?喰田さんもいない。珍しいな。
もしかして小鳥遊さんを呼びに行ってくれているのかな?
「あ…あの喰田さんと小鳥遊さんが来てないみたいですね…。」
綿古里さんも気づいたみたいだ。
「秋雨みてーに殺されたのかもなぁ!」
バキッ!!!
若鳩君がそう言った直後に音がすると、吹き飛んで壁にぶつかった。
「トモ!!」
「若鳩サン!!!」
「若鳩様!」
五十嵐さんとソフィーさん、シープ君が、倒れたままの若鳩君に駆け寄る。
「ふざけんなや!いい加減にしろお前はっ!!!言うていい事といかんことがあるやろ!
もう犠牲者が出とんのやぞ!!」
拳を握りしめ、木柳君が怒声を浴びせる。木柳君が若鳩君を殴り飛ばしたのか…。
「木柳!何してるんだい!暴力を振るうなんて最低だよ!若鳩に謝りな!」
「うっさい!そんな奴なんかに謝りたくないわ!
晴天の学級裁判からずっとヘラヘラしとるやないか!」
鬼澤さんと木柳君が怒鳴りあう。
「木柳~。謝ればいいのかぁ?はいはい、ごめんなさーい。
オイラが悪かったですぅ~。仲よくしようぜぇ。誰かに殺されるまではなぁ!」
いつの間にか若鳩君が起きていた。
お道化た態度や声色といい、おちょくっているのが分かる。
「若鳩!アンタは黙りなっ!!!みっちりと説教してやる!アタイと来な!!」
鬼澤さんが怒鳴ると、若鳩君の首根っこをつかん引きずり、食堂から出て行ってしまった。
「鬼澤様!お待ちください!若鳩様は怪我をされています。手当をさせてください!」
「シープ!そんな奴らほおっておけ!」
シープ君とウルフ君も追いかけて食堂から出て行ってしまった。
「木柳、後で話。」
「なんやねん、有馬。説教ならごめんやで。」
木柳君がしかめっ面で答える。
でも唯輝はじっと黙って見つめると木柳君のほうが折れた。
「…ちっ、しゃーないな。」
「ん。」
「あんた達、何があったの?」
「!!」
気が付くと喰田さんが来ていた。気が付かなかった。いつの間に…。
「喰田サン、心配したヨ!何処に行ってたノ?」
ソフィーさんが笑顔で話しかける。
「はぁ?何でわざわざあんたに教えないといけないの?
それに心配してって頼んだ覚えもないし。いいからさっさと何かあったか言いなさい。」
「…!」
「…。」
「stop!ワタシが説明するヨ。大丈夫。」
何かを言いかけた唯輝と木柳君を制して、ソフィーさんが説明する。
「ハイハイ、説明は終わったっスよね?皆、注目!!私の素晴らしい提案を聞くっスよ!」
ちょうど説明が終わった後に五十嵐さんが声を張り上げて言った。
あっ、そっかいい事を思いついたって言ってたもんね。何だろう。
「明日、3時に皆でお菓子作り会をするっスよー!」
あぁ、そういえば前の学級裁判前にそんな話をしてたな。
でもこんな状況で皆が参加してくれるだろうか…。
「OK!楽しみだネ!!」
「吾輩も参加してやろう。」
「…ん。」
「儂はどうでもいいぞ。」
ソフィーさん、唯輝、生原君、綾織さんは参加してくれそうだ。
「アホかお前。」
「す…すみませぇん。」
木柳君と綿古里さんは反対みたいだ。
「あらいいじゃない。私も参加するわ。」
「えっ!?」
「…何よ。江ノ本、私は参加しちゃいけないの?」
「い、いや、意外だなって。」
「理由がどうであれ皆が一か所に集まるわけでしょ?互いに監視できるから、
怪しいやつがいたら分かるし殺人が起きにくくなる。何かあった時のアリバイにもなるしね。」
なるほど…。そういうわけかぁ。
皆で仲よくしようとか絆を深めようってわけじゃないのか…。
「や…やっぱり私も参加しまぁす!仲間外れのほうが嫌ですし…。」
綿古里さんも参加してくれるのか。良かった。
「ナギも参加するっスよ!してくれると嬉しいっス!!お願い!このとーーーりっス!!」
五十嵐さんが勢いよく頭を下げて頼み込んだ。
「はいはい、参加したる。そのかわり作らへんで?オレは料理下手やしな。」
「大丈夫。僕が木柳君の分まで頑張るよ。」
フォローのつもりで言うと、皆が一斉に僕のほうを見た。
「あんたは食材に触らないでね。いい迷惑よ。」
「モトは手伝わなくていいっスよ!」
「ええか、江ノ本。食材を無駄にしたくないなら大人しくしとくべきやで。」
分かってても傷つく…。
「…。」
唯輝が黙って頭を撫でてくれた。
「さぁ!冷める前にご飯を食べるっスよ。」
五十嵐さんが机に着いて椅子に座ると、綾織さんは既にご飯を食べ終えていて、
のんびりとお茶をすすっていた。マイペースだなぁ。
その後、鬼澤さん達が戻ってきた。
そして晩御飯を食べ終わった後に、木柳君と若鳩君は形だけの謝罪をした。
最終的にはここにいない小鳥遊さん以外は、お菓子作り会に参加することになった。
僕は、小鳥遊さんの所へ、保健室の情報も報告するついでに誘いに行くことになった。
聞きたいこともあるし力になれたらいいな。
晩御飯を食べ終わった後、図書室で読んでいた本を最後まで読んでいると、
途中で五十嵐さんと綾織さんも来た。
二人と少し話してから小鳥遊さんの部屋に向かう。
部屋の前に着いてから、何度もノックをしてインターホンを押す。
あれ…?寝てるのかな。
何度も何度もノックをする。
「何~ヽ(`Д´)ノ。」
ガチャリとドアが開くと小鳥遊さんが、不機嫌そうな顔で出てきた。
「ごめんね。小鳥遊さん。心配だから顔を見たかったし、伝えたいことがあったんだ。」
「入ってー(-_-)。」
あっ、部屋に入れてくれるんだ。お邪魔します。
「う…うん、分かった。」
小鳥遊さんの部屋は散らかっていた。
白いカーペットの上に色々な大きさのクッションやゲームソフト、ゲーム機が散らばり、
テレビとその前に机がある。
机の上もお菓子の空の袋や空き缶が転がってて、トレーの上には空の食器が積んである。
晩御飯食べたんだな。
綺麗なのはベットだけみたいだ。
小鳥遊さんはベットの上にゴロリと横になった。
「で、何の話~(。´・ω・)?」
「うん、明日の3時に手作りお菓子パーティをすることになったんだ。参加してくれないかな?」
「えー、嫌( 一一)。」
即答された…。ふと、例の件が頭をよぎる。
「えっと、どうしてかな?忙しいなら手伝うよ。」
「手伝うって…。もう例の件は終わったよー('◇')ゞ
時間があるときにでも見に行けば~(´Д`)めんどくさいから行きたくないよー(-_-)」
後で見に行ってみようか…。
「参加してくれると嬉しいんだけどな…。」
「しつこいよー(-_-)嫌って言ってるじゃ~ん(´Д⊂ヽ。」
顔を顰めて言われた。本当に嫌がってるみたいだ。
無理やり参加してもらうのも悪いけど…出来たら来てほしいな。
「分かった!なら小鳥遊さんが参加したくなるような話をするね!
ついでにこの部屋散らかりすぎだから一緒に片付けようよ。」
足の踏み場の無い部屋は黒いあいつが潜んでても不思議じゃなさそうだ。
「はいはい、そういうのはいいからー(ーー゛)バイバーイ(@^^)/~~~」
小鳥遊さんが立ち上がり、僕の腕をつかんでドアまで引きずっていく。
あっ!部屋から出す気だな。
「ちょっ…!小鳥遊さんやめて!話を聞くくらいいじゃん!
片付けだって二人ですればすぐに終わるって!」
抵抗したけど結局、廊下に出された。
僕が部屋から出た直後にドアがバタンと勢いよく閉められる。
あっ!食堂で話し合ったことを伝えてない!メスとかの危険物とか薬品の棚の事とか!
「小鳥遊さん!」
ドンドンと扉を叩いてインターホンを鳴らす。
それでも小鳥遊さんは出てこない。
うぅ…。パーティに参加してくれなくてもせめて話だけは聞いてほしい。
念のために、何度かインターホンを鳴らしてドアを叩く。
それでも小鳥遊さんはドアを開けてくれない。
しばらくすると眠気が襲ってきた。
お腹いっぱいご飯を食べてから結構時間がたつからかな?仕方ない、部屋に戻るか。
このままうっかり寝てしまったらお仕置きされるだろうし。
部屋に戻って時計を見るともう夜の11時だった。
普段は12時に寝るんだけど眠いものは仕方ない。
日記を急いで書いて着替えてからベットに横になると抗うすべもなく睡魔が襲ってきた。
そのまま僕は眠りに落ちた。