ダンガンロンパ・scripter~絶望の舞台劇~   作:月乃と星乃

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感想ありがとうございます!すごく嬉しいです!


【CHAPTER 2 】 〈捜査編〉

 

 

「望夢!」

 

 

唯輝の大声で我に返った。

どうやらボーっとしてしまっていたみたいだ。

 

辺りを見渡してみるともう皆が集まっている。

 

「ごめんね…。もう大丈夫だよ。」

 

謝る僕の頭を、唯輝は落ち着かせるように撫でる。

 

「小鳥遊架澄の物語は終わってしまったようじゃのう。」

 

小鳥遊さんの死体を見た綾織さんは、いつもと変わらない様子で言う。

 

「いぇーい!殺し合いが起きたぜぇ!今回はオイラは犯人を知らねーから、

 面白くなりそうだなぁ。やっぱり命がけのスリルは良いもんだなぁ!」

 

「嬉しそうだな。マジシャン。」

 

「お前もなぁ。生原!」

 

「そうだろう。大好きな貴様らの、努力する姿が見られるのだからな!」

 

若鳩君と生原君は楽しそうにお喋りしている。

 

綿古里さんは真っ青な顔で震えながら泣いていた。

ソフィーさんも顔色が悪い。

 

五十嵐さんは腰を抜かしているままだ。

 

シープ君は泣きながら祈るように手を組み「すみません…。」と謝罪を繰り返している。

 

「皆様ー♪また殺し合いが起きましたね!いぇ~い☆」

 

ひょっこりと姿を現したショーカーが小躍りを始める。

 

その様子を睨みつけるウルフ君が口を開く。

 

「消え失せろ。事件ファイルだけ寄越せ。」

 

そして僕達の方を一瞥すると、めんどくさそうに言葉を投げた。

 

「お前ら、さっさと捜査をして早く裁判を終わらせるぞ。」

 

 

 

「はいはい、どうぞ。死にたくなければ学級裁判頑張ってくださいねぇー。」

 

ジョーカーは次々に僕達に事件ファイルを手渡すとどこかへ去っていく。

 

またあの学級裁判をしなくちゃいけないのか。

二度としたくなかったのに…。

 

「さっさと捜査をするわよ。まずは現場の見張りを決めるわ。誰か立候補者はいるかしら?」

 

喰田さんが皆に話しかける。

 

「なんでや…。なんでお前ら人が、仲間が死んでるのにそんな態度やねん…。

 人の心が、良心はないんか…?」

 

木柳君が信じられないような目で綾織さん、若鳩君、生原君、ウルフ君、喰田さんを見つめると

問いかける。その声は怒りか悲しみか、震えていた。

 

「木柳、アンタの言いたいことは分かる。でも今は言い合いしてる場合じゃないだろ。

捜査をしないと…学級裁判で真実を突き止めないとアタイらは死ぬんだ。」

 

「…っ。」

 

鬼澤さんに言われて納得がいかない様子だが、木柳君は黙り込む。

 

「泣いても喧嘩をしても小鳥遊は生き返らないんだよ?

力を合わせて小鳥遊の無念を晴らすべきじゃないかい?喧嘩や言い合いは

生き残ったらいくらでもできるんだ。頼むから協力してくれ。」

 

「…分かった。ならオレは捜査をしておく。」

 

木柳君はそれだけ言ってからどっかに行ってしまった。

 

「私…。見張りをしとくっス。」

 

「ワタシも見張りに着くヨ。」

 

見張りは五十嵐さんとソフィーさんになった。

 

僕も捜査を始めよう。

 

「唯輝。一緒に捜査していい?」

 

「…。」唯輝は黙って頷いてくれた。

 

 

              《捜査開始!》

 

まずは事件ファイルから見てみよう。

 

表紙には『事件ファイル②』と書いてある。

 

『被害者は「小鳥遊 架澄」

死体発見現場は「小鳥遊 架澄の居室」

死因は「薬物の服用」

死亡推定時刻は「午後3時前後」

補足:「外傷なし」

居室のカーペットの上に横向きに倒れていた。』

 

薬物の服用?毒殺かな?服用ってことは注射で薬を打ったんじゃなくて飲んだってことか。

外傷が無いためか、左のページの顔と体全体の写真には前回と違い赤いバツ印が書いていなかった。

 

 

【コトダマ入手:事件ファイル②?

 

被害者は小鳥遊架澄。死体発見現場は小鳥遊架澄の居室。死因は薬物の服用。

死亡推定時刻は午後3時前後。補足は外傷なし

居室のカーペットの上に横向きに倒れている。】

 

次は小鳥遊さんの死体を見てみよう。

とても辛いけれど、何か手掛かりがあるかもしれない。

小鳥遊さんの死体に唯輝と近づくと、見張りをしていた五十嵐さんとソフィーさんが気付いて

話しかけてきた。

 

「どうしたんっスか?」

 

「何か気になることでもあるノ?」

 

丁度いいや。二人に色々聞いておこう。

 

「ねぇ、二人とも何か気になったことや気付いた事、

それと今日の朝から今まで何をしてたのか教えてくれるかな?」

 

「なっ…!もしかして私を疑ってるんっスか!?私は犯人じゃないっスよ!!」

 

「違うよ。少しでも情報が欲しいんだ。お願い。」

 

「頼む。」

 

僕と唯輝が頭を下げると五十嵐さんは納得したようだ。

 

「分かったっス。今日は6時に起きてトレーニングルームのランニングマシーンを使ったっス。

あっ、リンちゃんもいたっスよ。料理当番だから7時くらいに食堂に行って皆で料理したっス。

朝食の後はヒロと図書室で読書したんス。

昼ご飯の後もお菓子パーティの後もヒロと図書室で読書してたっスよ。」

 

まぁ、そうだろうな二人が図書室で読書していたのは僕も知ってる。

 

「………。それと、事件に全く関係ないと思うっスけど、昼ご飯をカナに持って行った時に

ついつい、つまみ食いしたっス。」

 

言いにくそうに顔を伏せて自白した。

 

「どのくらいしたの?」

 

昼ご飯のメニューはカレーとサラダと卵スープ。フルーツポンチだったな。

 

「全体的に。3分の1くらい食べたっス。その直後にカナがドアを開けて昼ご飯をあげたっス。」

 

「………。」

 

「うぅ…。だって自分の分だけじゃ足りなかったんスよ!

まだ少しお腹空いてたしバレないかなって私の分よりカナの方が量が多かったんス!

ずるいっスよ!それに、つまみ食いした直後だったから言い訳ができなくて謝ったら

「いいよ~( ´∀`)b」って許してくれたっス。」

 

僕らの視線に耐えられなくなった五十嵐さんが慌てて言い訳をする。

 

まぁ、一応覚えておこう。

 

【コトダマ入手:小鳥遊の昼ご飯

 

五十嵐が持って行ったものの全部3分の1程つまみ食いしている。

つまみ食いした直後に小鳥遊に食事を渡している。】

 

「OK、次はワタシが話すネ。朝の7時過ぎくらいに温泉に行って入ったヨ。

その時にドライヤーが4個になってたヨ。お風呂から上がってかラ、朝ご飯を食べて

綿古里サンとワタシの部屋でゴロゴロしたネ。

お昼ご飯を食べて自分の部屋でゆっくりしテからお菓子パーティに行っテ

パーティの後は喰田サンに料理を厨房で教わったネ。

教えてもらいながらプリンを作っタよ。

その後「片付けはあんたがしててね。」言われたから一人で片付けてから晩御飯を食べたんダ。」

 

 

「よくあの喰田さんが教えてくれたね。」

 

「最初は「時間の無駄よ。」って言われたケド3回くらい頼んだらOKだったヨ!

あっ冷蔵庫に人数分あるから食べてネ。」

 

あの喰田さんが?ソフィーさんのことを結構気に入ってたのかな?

 

それともたまたま機嫌がよかったとか?

 

「…ソフィーさんごめんね。最後に小鳥遊さんの死体を発見した時の事を教えてくれる?」

 

「……OK。ご飯を持って行って、ノックをしたけど無反応だったんダ。

そしたらジョーカーが隣にいテ「勝手に入ったらどうですか~?鍵かかってませんよー♪」っテ。

ドアノブを回してみたラ本当に鍵が掛かってなかったカラ…。

そのまま入って小鳥遊サンを見つけたんだヨ。

寝てると思って近づいて話しかけてみたら顔に近くに血痕があって

死んでるって気付いて、急いで皆に知らせないとっテ思って…。」

 

「そう、辛いこと思い出させてごめんね。ありがとう。」

 

【コトダマ入手:大浴場の脱衣所のドライヤー

 

ソフィーが朝の7時過ぎくらいに大浴場にて入浴している。

その時に5個あったドヤイヤーが4個になっている。】

 

二人から話を聞いた後に唯輝にも話を聞いた。

 

料理当番だったので7時に厨房で皆と料理をして、朝ご飯の後に大浴場に行って入浴したらしい。

その時はドライヤーは5個あったみたいだ。

その後にはちょうど廊下で木柳君、若鳩君と会ったから勇気を出して部屋に誘ったら

うまくいって唯輝の居室で3人で遊んで仲良くなろうと思ったらしいんだけど…

会話は続かず、全然盛り上がらない何を話していいかわからず、気まずい雰囲気になったみたいだ。

 

まぁ、そうだろうなぁ。

唯輝は基本は表情が乏しいし、口数が少ない喋ったとしても淡々とした抑揚のない感じだ。

 

対する木柳君は表情が豊かで自分の感情に素直で喜怒哀楽が激しい。

それにお喋りなタイプだ。

若鳩君はそんな二人を見てにやにやしていたみたいだ。

 

結局、3人でDVDを観賞して、僕の脚本した時代劇で夢中で見てくれたみたいだ。

その後お昼ご飯の後3人でDVD観賞の続きをしてから厨房に行ってお菓子作りパーティをした。

 

パーティの後には久しぶりに泳ぎたくなり、プールに行ったら鬼澤さんもいたので

勝負してみたら、いい勝負だったけど負けたそうだ。流石鬼澤さんだ。

鬼澤さんは勝負の後にどこかに行ったらしい。…。特に注意するべき所はないな。

 

小鳥遊さんの死体に近付くとちょうど検死を終えた生原君がいた。

 

さっきウルフ君に真面目に検死と調査をしろって言われてたもんな。

 

「!脚本家に俳優どうしたのだ?」

 

「生原君、何か分かったことある?」

 

僕が尋ねると答えてくれた。

 

「ふむ、いいだろう。今分かっていることを教えてやろう。

死亡推定時刻は事件ファイルと同じで外傷もない。でも、おかしいのだ。」

 

「?えっ、どこがおかしいの?」

 

「疑問の元はこれだ。」

 

生原君が指さした先を見てみると、小鳥遊さんの死体の真前の机の上に

メモ紙と薬品のガラス小瓶が並べて置いてある。

指さしているのはガラスの小瓶の方だ。

 

ラベルにデカデカと赤い髑髏マークがあり紫の字で『即効毒』と書いてあり…中身は空っぽだ。

裏側には薬の説明文が書かれている。

 

説明文には

『ジョーカー特性の即効性の毒薬です。液体状なのでこぼさない様に注意して下さい。

透明・無臭です。飲んだ瞬間に体に異変が起こり吐血してから死亡します。』と書いてある。

他には色々な成分が書かれていたけど僕にはさっぱりだ…。

 

「…!小鳥遊さんはこれを飲んで?」

 

「その毒の成分を見てみたが強力な成分だったぞ。脚本家達も見てみるがいい。

そして、その事実を踏まえてゲームクリエイターの死体を見てみろ。」

 

「…ごめん生原君。僕達、薬に詳しくないんだ。教えてくれるかな。」

 

「いいぞ。詳しい説明が必要か?」

 

生原君が尋ねると唯輝が首を横に振る。

僕も首を横に振った、詳しく説明されても分かんないだろうし、他にも調べたいところがある。

 

「ざっくり言うならば、飲んだ瞬間に体に異常が現れ吐血し死んでいるな。

説明書に書いている通りだ。だがかなり強力な毒だからな

苦しむ間もなく混乱した数秒で死んでいるだろう。」

 

どんだけ強力なの…。恐ろしい。

 

改めて小鳥遊さんの部屋を見てみると物が散らかっている、結局掃除はしなかったみたいだ。

 

小鳥遊さんの死体は横向けに倒れていて…まるで眠っているみたいだ。

 

クッションのちょうど真ん中に頭を乗せている。

それに死体の下にはゲームソフトもゲーム機もお菓子のゴミも何も下敷きになっていない。

 

「さて、話の続きだ。

カーペットに血痕があるが、人間は全体血液量の4分の1までなら出血しても死なん。

この程度の吐血ならゲームクリエイターは数秒で死んでないし、成分表に書かれてある通りならば、

これより吐血量が多いはずだ。そもそも口腔内に吐血した痕跡がないから吐血をしてないな。」

 

そういうと、生原君はくるりとドアの方を向く。

 

「さて、検死も終わったから吾輩は他の所を調べるぞ。

マフィアだけではなく、他の生物たちにも真面目にしろと言われているからな!」

 

そして居室から出て行った。

 

残された僕達は、小鳥遊さんの死体と周辺を調べていく。

 

小鳥遊さんの顔は穏やかだ。

口元に血痕が付いてるけど口腔内には血痕がなく、怪我をしている所もなかった。

小鳥遊さんの顔の近くにあるカーペット上に、生原君が言ってた大きめの血痕がある。

周りにあるクッションやゴミにも血痕が付着していた。

 

あれ?そういえば…。

おかしいぞ…毒がある保健室のガラスケース棚は、接着剤でくっつけているはずなのに。

 

後で見に行こう。

 

机の下には袋が置いてあった。中を見てみるとお菓子パーティで作ったお菓子だ。

クッキーが5枚、ドーナツが5個 イチゴ大福が3個だ。

綿古里さんが持って行ってくれたやつだな。

 

そういえばドアの前に置いてきたって言ってたな。

ここにあるってことは小鳥遊さんが部屋で食べたのかな?

 

ここに置きっぱなしなのもな…。

腐らせるのももったいないし。後で、回収しとこうかな。

 

【コトダマ入手:机の上のガラス小瓶】

 

机の上に置いてあるガラス小瓶。『即効毒』とラベルに書かれている、強力な即効性の毒薬。

透明、無臭液体状で飲むと体に異常が現れ吐血し数秒で死亡する。

しかし小鳥遊は吐血していないし、顔の近くに20㎝×15㎝程の血痕があるが、

血痕よりも吐血してないとおかしい。

 

 

【コトダマ変化:事件ファイル②? → 事件ファイル②】

 

被害者は小鳥遊架澄。死体発見現場は小鳥遊架澄の居室。死因は薬物の服用。

死亡推定時刻は午後3時前後。補足は外傷なし。

居室のカーペットの上に横向きに倒れている。

クッションのちょうど真ん中に頭を乗せ、眠っているかのようだ。

口元に血痕が付いているが吐血した痕跡はなし。顔の近くに20㎝×15㎝程の血痕がある。】

 

 

【コトダマ入手:小鳥遊架の部屋】

 

クッションやゲームソフト、ゲーム機、お菓子のゴミ、空き缶、ペットボトル等で散らかっている。

死体の下には何も下敷きになっていない。

 

【コトダマ入手:お菓子パーティのお菓子】

 

机の下に置いてあった綿古里が小鳥遊に持って行った物。

綿古里はドアの前に置いたと言っていたが机の下にあった。

中身はクッキーが5枚、ドーナツが5個、イチゴ大福が3個あった。

 

 

 

「ん。」

 

唯輝が机の上のメモ紙を指差す。

メモには『もう耐えられない。皆ごめんね~(´;ω;`)』と書いてある。

この小さめの丸文字。小鳥遊さんがホワイトボードに書いてた字と似ている。

でも何だろう…なにか違和感があるな。

 

 

【コトダマ入手:机の上のメモ】

 

机の上にあったメモ『もう耐えられない。皆ごめんね~(´;ω;`)』と書いてある。

この小さめの丸文字。小鳥遊がホワイトボードに書いてた字と似ているが違和感がある。

 

 

「望夢。」

 

考え込んでいたら唯輝に話しかけられた。

 

「わっ、ごめん。どうしたの?」

 

「ゴミ箱。あった。」

 

そう言って封筒を手渡してくれた。

 

 

この封筒ジョーカーの動機のやつだ!

 

封筒の中に、今回の事件に関わる情報があるかもしれない。

 

 

気は進まないけど中身を見てみよう。

封筒から紙を出して広げる。 

 

そこに書いてあった秘密は………。

 

 

『父親に重傷を負わせた。』

 

…誰のかも分からないけど一応覚えておこう。

 

この秘密はどうしようかな?

ここに置いていったら他の人が見てしまい、また争いの火種になるかもしれない。

 

「…行こう。」

 

唯輝がその封筒を懐にしまって言う。

預かってくれるみたいだ。

 

 

もう十分に調べたし他の所に行こう。

 

 

 

【コトダマ入手:小鳥遊が持っていた秘密】

 

小鳥遊がジョーカーに受け取っていた誰かの秘密。

 

内容は『父親に重傷を負わせた』】

 

 

 

僕達は僕の居室にお菓子を預かってから、ゴミ処理室に行った。

犯人が処分しようとした証拠品などがあるかも知れない。

 

掃除当番は唯輝だった。

寝る前に、まとめてゴミを処分するつもりで

今日は一度もゴミ処理室に行ってないことも教えてくれた。

 

ゴミ処理室に行くとシャッターの前にゴミ袋の山があった。

14人もいるし、この量にも納得だ。

 

「任せて。」

 

唯輝はそう言うと、ゴミ袋の山に近付いてしゃがみ、懐から出したビニール手袋をつけて

ゴミ袋を開けて漁り始めた。

 

なるほど、掃除当番だったから手袋を持ってたのか。

唯輝だけにやってもらうのも悪いし…

 

「僕も…「何やってんだお前。」

 

手伝おうかと言おうとしたら、後ろからの声に遮られる。

振り向くとウルフ君とシープ君がいた。

 

「お兄様、おそらく有馬様は証拠品や手掛かりを探してくださっているのだと思いますよ。

有馬様、私にも手伝わせてください。」

 

シープ君が唯輝の隣にしゃがんで話しかける。

 

「…。」

 

唯輝は無言で頷くと、シープ君にビニール手袋を渡す。

そして二人でゴミ袋を漁り始める。

 

「おい、シープ!そんなのこいつ等にやらせておけばいいだろ。」

 

「お兄様、私が手伝いたいのです。ここは私達に任せて他の所を調べてください。お願い致します。」

 

「…分かった。何かあったら言えよ。」

 

ウルフ君は渋々とゴミ処理室を出て行こうとする。

 

「ちょっと待って!」

 

僕が呼び止めると不愉快そうに顔を顰めて振り返った。

 

「ごめんね。何か気付いた事とか今日の朝からの行動を教えてくれるかな?」

 

「…朝は6時に起きて朝飯までトレーニングルームでトレーニングした。

朝飯の後はシープと俺の部屋で過ごしたな。

昼飯の後はシープの部屋で二人で過ごした。

菓子作りの後は生原とシープと俺でシープの部屋で過ごした。手掛かりとかは知らねぇな。」

 

「朝は少し早めに起きてからお祈りをしていました。

朝食の後はお兄様と私の部屋で過ごして昼食の後はお兄様の部屋で過ごしましたよ。

お菓子パーティの後は、生原様が話しかけてくださったので、

私の部屋でおもてなしをさせていただこうと思ったのですが、お兄様も来られました。

すみませんが、何も話せるようなことはないですね。申し訳ありません。」

 

 

僕が尋ねると二人とも答えてくれた。

ここは二人に任せて僕は別の所に行こう。

時間を掛けるわけにもいかないし、次は図書室に行こう。

 

 

図書室に着くと、綾織さんと喰田さんがいた。

2人共、僕に気付くと近づいてくる。

 

「ねぇ、二人とも今日の朝からの行動と、何か気付いた事があるなら教えてくれる?」

 

 

「いいぞ、儂は主に五十嵐俊穂と図書室にいたぞ。」

 

五十嵐さんもそう言ってたな。

 

「あと、毒に関する本はジョーカーのお勧めコーナーにある、

【猿でも作れる!毒薬・劇薬の作り方】本棚の上らへんにあったんじゃが、

あの高さは、少なくとも2mくらいはあるのう…木柳修哉くらいしかとれんじゃろうな。

脚立は二つとも位置がそのままじゃし使われた痕跡も無かったぞ。

他には…毒がある草や花。食べ物についての本じゃな。」

 

「ありがとう。綾織さん。」

 

綾織さんにお礼を言ってから脚立を見に行った。

 

確認すると、初めて図書室に来た時と位置が変わっておらず、使われた痕跡も無い。

 

「次は私が話すわ。朝ご飯を食べた後小鳥遊にご飯を持って行って

あんたとも会ったでしょ?その後は自分の部屋で掃除をして、DVDを見たわ。

昼食の後には、廊下で綿古里と生原に会って綿古里の部屋で3人で過ごしたのよ。

本当は嫌で、何度も断ったんだけど。

綿古里は二人きりになりたくないって必死にお願いしてきたからね。それに用事もなかったし。」

 

…綿古里さん話しかけてくる生原君をあしらえなかったんだろうな。

 

「お菓子パーティが終わったらソフィーに料理を教えてたわ。冷蔵庫にプリンがあるわよ。」

 

「分かった。ありがとうね。」

 

ジョーカーのお勧めコーナーにある本棚の前に着いた。

 

あ、あった【猿でも作れる!毒薬・劇薬の作り方】と背表紙に書いてある。

2mくらいの所にあるな。最初に見たときと位置が変わってない。

 

【コトダマ入手:図書室の脚立】

 

図書室にある二つの脚立。大きめのと小さめのがある。

二つとも木でできていてボロボロだ。位置も最初に見たときのままで使われた痕跡も無い。

 

 

【コトダマ入手:毒物についての本】

 

ジョーカーのお勧めコーナーの棚にある、毒物についての本。

タイトルは"猿でも作れる!毒薬・劇薬の作り方"

2m以上くらいの高さにある。最初に見た時から位置は変わっていない。

他にも毒についての本があるが、薬ではなく毒のある食べ物・花・草についての本だ。

 

次は倉庫に行こう。接着剤のことで知りたいことがあるし。

 

 

倉庫に着くと綿古里さんと鬼澤さんがいた。

あれ?綿古里さんが何か持ってる。

 

「綿古さん、何持ってるの?」

 

「ひぃっ!え…江ノ本さんも見ますか?」

 

綿古里さんが僕に持っていた物を手渡ししてくれた。

 

『超強力!瞬間接着剤!!』と大きく書いてあるチューブだ。

これってソフィーさんがガラスケースの棚をくっつけた物と同じ物だ。

 

裏側の説明文を見てみる。

 

『強力なので使うのは少量で大丈夫です。白色ですが空気に触れ時間が経つと透明になります。

剥がしたい時には熱に弱いので熱を与えて下さい。』

 

「ありがとう。綿古里さんちょっと話したいんだけどいいかな?」

 

綿古里さんに接着剤を返してから話を聞いた。

 

料理当番だったので7時過ぎ位に厨房に行き、朝ご飯の後はソフィーさんの部屋で雑談をして

昼食を食べたらしい。

昼食後に、小鳥遊さんのお昼ご飯を五十嵐さんがつまみ食いして、

小鳥遊さんにご飯を渡すところを目撃した。

その後に、生原君と喰田さんと綿古里さんの部屋で過ごし、お菓子パーティの後には

晩御飯の時間まで部屋で編み物の続きをしていたみたいだ。

 

他に気付いたことはないって言われた。

 

お菓子パーティの持っていたお菓子について聞いてみると。持って行ったのはクッキーが5枚、

ドーナツが5個、イチゴ大福が3個。

残っている枚数と同じだ…ということは小鳥遊さんはお菓子を食べなかったんだな。

 

綿古里さんにもお菓子が減っていなかったことを教えておいた。

 

「…江ノ本。悪いけど手掛かりとか見つけれてないよ。」

 

鬼澤さんは申し訳なさそうに言ってきた。

 

「うん、いいよ。ちょっと話したいんだけどいいかな?」

 

鬼澤さんから話を聞いた。

6時に起きてトレーニングルームでトレーニングをしていた五十嵐さんもいた。

朝ご飯の後にもトレーニングをして、お昼ご飯を食べに行く途中で

小鳥遊さんの部屋のドアの前にいる僕に会った。

 

そして図書室に本を戻してから昼食を食べて、

その後自分の部屋でのんびりしてからお菓子パーティをして泳ぎたくなったのでプールで泳ぎ、

プールにいた唯輝と勝負をした後に、自分の部屋に戻って晩御飯の時間までのんびりしてたとのことだ。

 

倉庫を色々探したけど事件に関わってそうなものはなかった。

 

 

 

【コトダマ変化:小鳥遊の昼ご飯 →小鳥遊の昼ご飯と綿古里の証言。】

 

五十嵐が持って行ったものの全部3分の1程つまみ食いしている。

つまみ食いした直後に小鳥遊に食事を渡している。その一部始終を綿古里が目撃している。

 

 

 

【コトダマ変化:お菓子パーティのお菓子 →お菓子パーティのお菓子と綿古里の証言。】

 

机の下に置いてあった綿古里が小鳥遊に持って行った物。

綿古里はドアの前に置いたと言っていたが机の下にあった。

中身はクッキーが5枚、ドーナツが5個、イチゴ大福が3個あった。

減ってないので小鳥遊は食べなかったのだろう。

 

 

 

【コトダマ入手:接着剤】

 

ソフィーが保健室の毒のガラスケース棚を接着した接着剤。

説明書には『強力なので使うのは少量で大丈夫です。白色ですが空気に触れ時間が経つと透明になります。

剥がしたい時には熱に弱いので熱を与えて下さい』と書かれている。

 

 

さて、次は保健室に行こう。時間は有限だから早く行かないと!

僕は小走りで保健室に向かった。

 

 

保健室に着くと生原君、木柳君、若鳩君がいた。

 

「よーぉ!江ノ本。ガラスケース棚を見てみなぁ。」

 

「?」

 

言われたとおりに見てみる特に変わったところは…。

 

毒の棚を開けてみるとすんなり開いた。

接着剤でくっつけていたはずなのに…もしかして。

 

棚の中を見ると、手前の列は綺麗に並んでいるけど奥の方は少し乱れている。

次に真ん中の栄養剤等が入っている棚を見てみると、液体の薬が半分減っている物や

少し減っている物がある。

 

誰か使ったのかな?薬品はどれも2つずつあるみたい。

 

「江ノ本、そのまま床を見てみい。」

 

木柳君に言われ、しゃがんで床を見てみる。

 

あっ、タイルの隙間にうっすらと茶色い液体の乾いた跡がある。

何かの薬だろうか?

 

「木柳君、若鳩君、聞きたいことがあるんだけど。」

 

木柳君と若鳩君は、唯輝が言っていた通りに一緒にDVD観賞をしていた。

それ以外はずっと一緒に行動していたらしい。

 

「おい、生原。なんか知っとるやろ?分かったことがあんならさっさと言えや。」

 

「もちろんいいぞ。聞くがいい!」

 

木柳君に促されて生原君が喋り始める。

右手に薄い水色の液体が少し入ったフラスコを持ってる。

 

「吾輩が薬に反応して色が変わる試薬を作った。吾輩の部屋にある器具と

この保険室にあった薬を使ってな。時間や専門ではない為、毒や栄養剤を見分けるのではなく

薬品全てに反応するがな!」

 

…いやいや十分凄いよ。

生原君の部屋には薬品を作れる道具があるのか、でも薬は保健室にしかないみたいだ。

 

「普通の水や、飲み物で試してみたが、試薬の色は変わらなかった。しかし、これを見てみろ。」

 

生原君がそう言いながら入口のそばにある洗面台を指さした。

洗面台をのぞき込むと所々、少しの範囲が赤色になってる。

 

誰かがここに薬品を捨たのか?べったりと付着はしていないし、あまり匂いもしない。

時間が経ってるのか、洗い流したのか…。

 

さっき見つけた、茶色い液体の乾いた跡に、試薬を垂らしてもらうと赤色になった。

毒か栄養剤かは分からないけど、薬品の乾いた後ってことか。

 

生原君に話を聞いてみると、朝食の後は一人で自分の居室で過ごし、

朝食の後は校内を散歩して、昼ご飯の後には綿古里さん、喰田さんと過ごして

お菓子パーティの後にはウルフ君、シープ君と過ごしたらしい。

それと、保健室にある、薬を調合する道具や器具にも試薬を試したが反応なしだったとのことだ。

 

うん、矛盾点はないな。

 

冷蔵庫の中を見てみると輸血パックが1個無くなってた。いつのまに?

 

【コトダマ入手:保健室の毒・劇薬のガラスケース棚】

 

保健室の毒・劇薬のガラスケース棚。

ソフィーが接着剤でくっつけていたはずだが開くようになっていた。

手前の列の薬品は綺麗に並べられていたが奥のほうは少し乱れていた。

薬品は2つずつある。いくつか減っている薬品があった。

 

 

【コトダマ入手:保健室の床】

 

保健室の毒・劇薬のガラスケース棚の近くの床を見てみるとタイルの隙間に

うっすらと茶色い液体の乾いた跡があった。試薬の色が赤くなったので薬品だろう。

 

 

【コトダマ入手:試薬の結果】

 

薬品に反応して色が変わる薄い水色の液体状試薬。

試した結果、薬を調合する道具や器具には反応なしだった。

しかし保健室入口の傍の洗面台には、少量反応があった。

茶色い液体の乾いた跡にも反応あり。

 

 

〈ピーンポーンパーンポーン♪〉

 

〈皆様。捜査の時間は終わりですよ~!1階の赤い扉の前に集合してください!〉

 

 

もう時間か…。

僕達は赤い扉に向かってエレベーターに乗った。

降下していくエレベーターの中で、俯いたり、話し合いをしている様子を僕は見ていた。

 

「見つけた。」

 

「?」

 

唯輝が僕に透明の袋を手渡してくれた。

中には空の透明なガラス小瓶と輸血パックの空が入っている。

 

空の透明のガラス小瓶表のノベルに『時間差で効く。オリジナル毒』と書いてあって…

急いで裏も確認すると文字が書いてある。

 

『茶色・無臭の液体状の毒です。溢さない様にご注意下さい。

また、大変落ちにくいので服などにつかない様にご注意ください。

3分の1で6時間後。3分の2で3時間後。全部で1時間後に効果が表れます。

強烈な眠気が襲い眠るように亡くなります。』

 

この瓶にも成分表もあるけど、詳しいことは分からない。

 

 

【コトダマ入手:空の透明のガラス小瓶】

 

唯輝とシープがゴミ袋の中見つけてくれた、透明な空のガラス小瓶。

表のノベルに『時間差で効く。オリジナル毒』と書いてあり。

裏の説明文には

『茶色・無臭の液体状の毒です。溢さない様にご注意下さい。

また、大変落ちにくいので服などにつかない様にご注意ください。

3分の1で6時間後。3分の2で3時間後。全部で1時間後に効果が表れます。

強烈な眠気が襲い眠るように亡くなります。』と書いてある。

 

 

 

【コトダマ入手:空の輸血パック】

 

唯輝とシープがゴミ袋の中見つけてくれた輸血パック。中身は空だ。

 

 

「ありがとう。」

 

お礼を言うとエレベーターが開いた。

もう裁判所に着いたみたいだ。

 

裁判所は前回来た時のまま…ではなかった。周りの壁紙が変わっている。

 

綺麗な青空にドット絵の鳥が飛んでいる。

晴天さんと小鳥遊さんの席には二人の遺影が括り付けられた立札が置かれている。

 

二人とも死に装束で顔に赤色でバッテンが書かれていた。

 

ぐっとこらえながら、僕を含めて皆が自分の席に着いた。

 

小鳥遊架澄さん。

 

めんどくさがりの怠け者だけど捜査にも協力してくれて、学級裁判もちゃんと参加していた・・

僕と唯輝、鬼澤さんのことを信用してパソコンの事を教えてくれて、

情報を得るために頑張っていた小鳥遊さん。

 

彼女は彼女なりに僕達に協力してくれていた。

沢山お礼を言いたい。でも小鳥遊さんはもういない…。

 

「学級裁判の説明は…。しなくていいですよね!

前にやりましたし♪時間の無駄ですし~。じゃあ開廷しましょう!」

 

嬉しそうなジョーカーをぐっと睨む。

 

生き残るため為に、死んでしまった小鳥遊さんの為に、これ以上誰も失わない為に。

 

そして真実を暴く為に…。

 

この学級裁判で負けるわけにはいかない。

 

 

 

 

2度目の学級裁判の幕が開ける。

 

 

                    




【幕間】
どーも皆さま!ジョーカーで~す。2回目の学級裁判ですね☆
さて、前回と同じようにヒントを言いましょう!

え?いらない?なら読み飛ばしてくださいねぇ。

自殺でしょうか?他殺でしょうか?
それは部屋で見つけたコトダマを見ればわかります。

なぜ脚立が使われなかったのか?それが分かれば犯人を絞り込めますよ♪

…犯人は分かりましたか?

学級裁判で答え合わせをしましょう。
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