ダンガンロンパ・scripter~絶望の舞台劇~   作:月乃と星乃

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舞台の開幕は絶望と共に。
【CHAPTER1】〈探索編〉


あの後、僕達はいったん自分達に用意された個室で休むことにした。

ドアには名前が書いてある。

 

ちなみに「地図なんて読めないっス!なんせ私は簡単な漢字もよめないっスからね!」と言った五十嵐さんは、

「いや、威張って言えることじゃないやろ!しゃーないわ…。オレが案内したる」

と木柳君がツッコミを入れた後に部屋まで案内してた。

 

 

自分の個室を調べてみた。監視カメラがあるし窓に鉄板もあるけど

一通りの家具が揃っているし、シャワールムもあるカーペット敷きの部屋だ。

家具の地味な所もカーペットの色や手触りも僕の好みだ。

ジョーカーが完全防音って言ってたな。

 

電子生徒手帳を再び再起動して調べてみたら学園の地図と僕も含めて皆のプロフィールも見れた。

 

あっ、ウルフ君とシープ君は本名、載ってないな。

身長、体重、血液型、好きな物、嫌いな物は分かるけど………。

胸囲は必要ないでしょ…。

 

しかもこの僕の身長アホ毛と靴底含まれてないし!

うぅっ…ほんの少しでもいいから高くしてよ。

まぁ、もう載せられてしまったものは仕方ない。

気を取り直してもう少し部屋を調べよう。

 

机の上には大量の原稿用紙や万年筆にインク。机の下の棚の中には書きかけの脚本など…。僕の私物まである。

それに机の横に大きめの棚がありその中にDVDがぎっしり詰まっている。

目を通してみたけど全部僕の好きな映画に舞台のDVDだった。

シリーズ物も全て揃えられている。

ベットの横に大きめのテレビがあってDVDレコーダーもある。

 

普通に入寮してたなら喜べたのにな…。

この部屋は僕の為だけに用意されたような感じがして気味が悪い。

どうやってここまで僕の好みを調べて用意したんだ?

 

いろいろなことがあって疲れた。もうさっさと寝てしまおう。その前に…。

 

僕は机の前の椅子に座ると日記を書くために万年筆を取った。

寝る前に日記を書くのは僕の物心が付いた時からの習慣だ。

ノートはそこらへんに売ってある普通のノートだけど。

この万年筆が無くなってなくてよかった。

 

この万年筆は僕の脚本が初めて映画に使われる事になったとき唯輝がお祝いにプレゼントしてくれた大切な物だ。

 

ちなみに僕の両親は大喜びで僕の家族と唯輝の家族で高めのお寿司を食べに行った。

 

唯輝が初めて劇の主役に抜擢されたときには僕は着物の帯をプレゼントした。

唯輝は和物が好きなので着物にしようと思ったけどまだ成長するかな?と考え直し帯にした。

 

無事に喜んでくれて、その日以来普段は着物を着るようになった。

 

 

昔の事を思い出しながら今日の日記をサラサラと書いていく。

字だけじゃなくて簡単なイラストも描いておく。

 

よし、書き終わったしもう寝よう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ピーンポーンパーンポーン♪〉

 

 

チャイムで目が覚めたらやっぱり自分の用意された個室だった。

 

夢じゃなかったか…。

これが全部夢だったらよかったのにな。

時計を見ると朝の7時だ。まだ眠いなもうひと眠りしよう。おやすみなさい。

 

 

〈ピンホーン♪〉

 

しばらくすると部屋のインターホンが鳴って目が覚めた。

時計を見ると8時になってた、誰だろう?

 

「はーい、今開けるよ」ガチャ…。

 

「江ノ本くん、おはよう。まだ寝てた?ごめんね」

ドアを開けると晴天さんが申し訳なさそうな顔をして立っていた。

 

「いや、もう目が覚めたからいいよ。どうしたの?僕に何か用?」

 

「うん、食堂でご飯の準備が出来てるから、まだ起きてない皆を

一緒に起こしに行くように、喰田さんに言われたんだ」

 

食堂でご飯の準備ができている?ということは…!

 

「皆、起きるの早いんだね。ご飯の準備手伝えばよかった…。待たせてごめんね…」

 

「気にしなくていいよ。約束してたわけでもないんだし、こんなことになったんだから疲れてたんでしょ?まだ寝てる人だっているんだし。

小鳥遊さんなんて一回ドアを開けてくれたけど、

 

「無理~。返事がないただの屍のようだ…。(つ∀-)オヤスミー」

 

              って言ってからまた部屋にこもってるんだよ。」

 

落ち込んた僕を晴天さんは優しくフロォーしてくれた。

 

「そうなんだ…。

小鳥遊さん、ちゃんとご飯食べてくれるといいのにな。大丈夫かな?」

 

「ああ、大丈夫だよ。喰田さんが「私に任せなさい。この怠け者を叩き起こしてやるわ」って言ってたから。」

 

 

そう晴天さんと話をしながら食堂に向かっていたら、

途中で小鳥遊さんを引きずってきた喰田さんと合流した。

 

 

食堂につくと料理がきちんと綺麗に並べられており皆が揃っていた。

 

「おはようさん、よっしゃ。そろったからさっさと飯食うで!」

「駄目。望夢達、手洗いから」

「いや、お前はオカンか!」

 

早速木柳君が唯輝につっこみを入れている。朝から元気だなぁ。

 

「はいはい、皆いったん席に座りな!綿古里、そんな隅っこにいないで、

こっちにおいで。とりあえず今後について話し合うよ!」

 

鬼澤さんが声をかけると綿古里さんはオドオドしながら他の皆もそれぞれ席に座った。

 

「まずはこれからは朝の8時、昼の12時、夜の7時に食事会をしようとアタイは思うんだ。理由は情報の交換をしたり親睦を深めたりできるからだね。

それと食堂には料理器具や材料は沢山あるけど料理がない。料理ができない人が困るだろう?」

 

「俺は反対だ。お前らで勝手にやってろ。料理なんぞ自分で勉強して練習すればいいだろうが。俺はここからシープと脱出する為にお前らを利用する。

お前らも俺を利用すればいい。お前らと仲良くしたいなんて思わねえ」

 

鬼澤さんの提案にウルフ君は冷たく反論する。だが…。

 

「お兄様、そんな悲しい事言わないでください。私は皆様と仲良くしてほしいです…」

 

シープ君が悲しそうな顔をしてそう言うと

 

「チッ、分かった。俺も朝食会に参加する。一応料理も出来るぞ」

 

あっさり意見を変えた。ウルフ君。シープ君には甘いんだな。

 

「なんでやねん!お前ちょろいな!」

「あの…なら料理当番はどうしましょう…。今日は喰田さんとシープさんと有馬さんがしてくれましたけど…」

 

綿古里さんが消え入りそうな声で言う。

 

「ん、料理苦手な人の分。俺がやる」

「おっ、有馬。ええんか?」

「刃物と火。危ない」

「いや、だからお前はオカンか!」

 

木柳君よくつっこむな。

 

「あんたばっかにやらせるわけにはいかないわ。私もするわよ。

勘違いしないでよね!私が料理作るのが好きだしあんたらのまずいご飯ばっかり食べるのがいやだから作るのよ!」

 

喰田さん言い方は少しきついけどいい人そうだな。

 

「ふべらっ!!!!」

突然秋雨君が奇声を発するとおにぎりを噴出した。

 

「わオ!ジャパニーズ霧吹き!!」

「いや、違うと思うよ…。霧雨君大丈夫?どうしたの?」

 

僕はソフィーさんにツッコミを入れて秋雨君近づいて背中をさする。

顔が真っ赤で涙目だ。

 

「いや~。良い反応だなぁ、秋雨!種も仕掛けもありません。オイラ特性わさびおにぎりでーすっ!手伝うふりをして一個だけ作ったのに当てるなんて…

いよっ!さすが超高校級の不運!!」

 

そんな秋雨君をみて若鳩君は楽しそうにケラケラと笑っている。

 

「若鳩空智、なぜこのようなことをしたのじゃ?」

「おっ、なんだぁ綾織。オイラに説教か?

      だってただ飯食うだけなんて退屈だろうが!」

 

「儂は説教はせんぞ。説教は嫌いじゃからな。それに、どんな物語にもこのような茶番は必要じゃからな。このようなイタズラには好感が持てる。」

 

綾織さんは微笑みながらそう言った。

その後、皆で話し合って料理当番は4人一組を作って5日ずつすることになった。

今後のためにもまずは探索することになって解散したけど、食べ物で遊んで秋雨君に迷惑をかけた若鳩君は、喰田さんにお説教されていた。

 

小鳥遊さんは「話し合い、疲れた~(´ぅω・`)ネムイ」とすぐに個室に帰って行ってしまった。少しくらい協力してくれたらいいのに…。

 

後片付けはシープ君と唯輝が進んでしてくれた。僕も「手伝おうか?」と言ったけど

 

「ご親切にありがとうございます。私はよく片付けや掃除をしているので慣れていますよ。それに、有馬様も手伝ってくださるので大丈夫です。」

とシープ君に優しく言われ、唯輝には「別に」と言われた。

 

ちなみに唯輝の「別に」は「別にこれくらい。いいよ。気にしないで」っていう意味だ。

よし、なにか役に立つ情報を得られるように僕も頑張って探索するぞ!

 

 

 

まずは食堂から探索することにした。大きなテーブルクロスのかかっているテーブルにいくつもある背もたれ付きの椅子。カフェ風のオシャレな食堂だ。

 

奥に厨房もあるみたいだし行ってみよう。

 

 

厨房にドアを開けて入ると両手に角砂糖や氷砂糖の袋を抱えたまま目を輝かせて秋雨君に話している生原君がいた。秋雨君はあきらかに嫌そうに顔をしかめている。

 

二人とも僕が入ってきたのに気付いて振り返った。

 

「おお!脚本家か!貴様にも糖分をやろう。不運には断られてしまったからな。」

 

生原君はそう言うと僕に両手に持っている袋を押し付けてきた。

 

「いや、ごめんね。僕はいいよ。生原君は何で甘いものが好きなの?」

 

僕がそう尋ねると秋雨君は「おいばかやめろ」と言いたげな表情になった。

対照的に生原君はさらにいい笑顔になる。

 

「うむ!よく聞いてくれた!同じ質問を不運にされたので、糖分の素晴らしさを語っていた所だ!脚本家の為に最初から語ってやろう。貴様も聞いていくといい。

いいかブドウ糖のもとになる糖質は脳をしっかり働かせるために欠かせないのだ。

その必要量は人の身体が消費すr

「ごめん。今、探索中なんだ。秋雨君も一緒に行かない?」

 

話が長くなりそうだし生原君には悪いけど途中で止めた。

秋雨君は一瞬キョトンとしたものの首が落ちるんじゃないかってくらい何度も頷いている。

 

「そうか。ならば吾輩も貴様ら生物のために探索しておいてやろう。感謝するといい。」

 

生原君はそう言うと食堂から出て行った。

探索しておいてやろう?貴様ら生物のために?生原君は出たいと思ってないのかな?

そんなはずないよね…?

 

「…ありがとうございます。こんなゴミを助けるなんて脚本家様は物好きですね」

 

さっそく皮肉かぁ。へこみそう…。いや、簡単に諦めちゃだめだよね。

 

「僕は仲間の事をゴミなんて思ってないよ。一緒に探索するのが嫌だった?」

「別に。嫌ではないですよ。早くこんな所脱出して両親に会いたいですし…」

 

そのセリフに少し驚いた。秋雨君なら「ボクみたいなクズが帰っても…」とか言いそうなのに。

 

「なんですか。その顔はボクみたいなゴミにはもったいないくらい両親はいい人なんですよ。兄さんは大嫌いですけど…

ウジウジ悩んでるときに根気強く励ましてくれたり、よく怪我をするボクの為にわざわざ病院の近くに引っ越してくれたり…」

 

自分の両親をそっぽむいて語る秋雨君の耳は真っ赤だ。恥ずかしがっているのかな?

 

「そうなんだ。なら早く出れるように一緒に頑張ろうね!」

「言われなくても出来ることはしますよ。さっさと探索を終わらせましょう。」

 

秋雨君にそう言われ僕は厨房の探索を始めた。

大きな業務用冷蔵庫がある中を開けてみてみると食材がパンパンに詰まっていて、

隣の貯蔵棚に食料が山積みになっている。

 

棚には調味料がたくさんあった。生原君はここの上の段から砂糖を取ったみたいだ。棚に空きができている。

 

壁には綺麗な色々な種類の包丁がサイズ別にズラリと並んであり、

包丁のほかの料理器具も充実していた。

 

「とりあえず食料はたくさんあるみたいだね。よかった」

「いくら今食料があっても16人もいるんですよ?すぐになくなりますね。

そうすれば皆、餓死ですね」

 

うぅ…、そうだよね。どうしよう節約するとか?

でもいくら節約してもいつかはなくなるよね。

 

「心配にはおよびません!!」

「わっ!」

「!!?」

 

ドシン!!

 

いきなり現れたジョーカーに僕達は驚いた。

秋雨君は何も床に落ちていなかったのに転んで尻もちをついている。

 

「食料・食材・調味料など切れたら自動的に私が補充しまーす!深夜3時にね」

 

あっ、「少なくなったら」じゃなくて「切れたら」なのか。

 

「いや~。さすが私!やっさしい!感謝してコロシアイに専念してくださいね」

「優しい監督様。本当に優しさがあるならここから出してくださいよ」

 

秋雨君が嫌味を言う。

 

「あれ?秋雨君。無様に床にすわってどうしたんですか?それにコロシアイ学園生活をしてくださいって言ったのを忘れたんですか?三流並みの頭の悪さですね!」

 

「…」

 

明らかに馬鹿にしたような態度で行ってくるジョーカーを、秋雨君は立ち上がって睨みつける。

 

「きゃ~、こわ~い!私は暇ではないのでこのへんで!では!」

 

ジョーカーはそう言い残すとどこかに行ってしまった。

 

「秋雨君、大丈夫?」

「慣れているので大丈夫です。もうボクは部屋に帰ります。

 やる気がなくなりました」

 

秋雨君は早口にそういうとさっさと行ってしまった。

 

厨房から出ていく前に「気を付けてね!」って言ったんだけど聞こえたかな?

厨房の奥にさらに部屋があった。

 

中を覗いてみると大きな台所のシンクと食器乾燥機があり、

シープ君と唯輝が手際よく片付けをしている。

 

邪魔をしたら悪いな。こっそり立ち去ろう。

 

 

僕が廊下に出ると

 

「ちょわーーー!必殺っ!飛び蹴りっス!」

「いや、殴っとるやん!蹴りやないやんけ!!」

 

窓の鉄板を殴りつけている五十嵐さんとツッコミを入れている木柳君がいた。

ちょうどよかった。何か分かったことがないか聞いてみよう。

 

「二人ともちょっといい?分かったことある?」

「モト!分かったことっスか?私が走り回って確かめたけど窓全部に鉄板が固定されてたっスよ。」

「オレは二階に行こうと思ったんやけど階段前にシャッターが降りていて上に行けなかったんや。あといたるところに監視カメラが配置されとるで。」

 

「そうなんだ、ありがとう。僕、他のところに行ってくるね。」

僕がそう言って歩き出した後、

 

「お~、気ぃ付けるんやで」

「モトー、ファイトっス!よーし私も頑張るっスよ!馬鹿馬のように働くっス!」

「いや、それを言うなら馬車馬や」という会話が聞こえていた。

 

 

二人と別れた後、移動しながら電子生徒手帳を起動させて地図を見てみた。

あ、ズームとかもできるんだ便利だなぁ。

今行ける一階にあるのは倉庫・食堂・厨房・個室・ゴミ処理室・ランドリールームか

ここから一番近いのは倉庫みたいだな。行ってみようっと。

 

「わっ!?」

ドン!

 

誰かにいきなりぶつかり尻もちをついてしまった。

しまった。地図を見ながら歩いてたから全然気付かなかったな。

恐る恐る見てみると喰田さんがもの凄く不機嫌そうな顔をして僕を見ていた。

 

「ふん。よそ見をしてるからよ。あんたの目は飾りなの?それとも頭が悪いの?情けないわね。気を付けなさい」

 

確かに喰田さんの言う通りだちゃんと周りを見てなかった僕が悪いし、同級生の女子とぶつかって倒れるなんてかっこ悪いし情けない…。

 

「ごめんね喰田さん。次からは気を付けるよ」

「おい、喰田ぁ。そんな台詞つまんねぇよ。『種も仕掛けもありません!この自慢の脂肪と贅肉で人を吹き飛ばして見せます!』くらい言わねぇと笑えねぇぞ。」

 

曲がり角からひょっこりと現れた若鳩君が堂々と失礼なことを言う。

 

「若鳩、あんたもう一回説教ね。」

 

「いや~、オイラが悪かったっ!もう反省したぜっ。江ノ本、喰田、一緒に探索しようぜぇ。倉庫が近くにあるからよぉ。ほらほら早くー!」

 

若鳩君は早口でまくし立てると僕と喰田さんの腕を掴んで強引に倉庫まで引っ張っていった。

 

 

倉庫にはインスタント食品・雑貨・生活用品・衣服類・菓子類等々が大量に貯蔵されていた。

いくら整理されていても何か取りに来るとき探し出すのが大変そうだな。

 

「あんたら、これを見なさい。」

喰田さんの指さす先を見ると入ってきたドアのすぐ隣の壁に見取り図と備品リストが貼ってあった。

 

「え~、品ぞろえわりいなぁ」と早速若鳩君が文句を言う。

「…?そうかな色々な物があるけど?」

「おいおい、江ノ本ぉ、お前の目はちゃんと機能してんのか?マジックの道具もシルクハットもねーよっ。オイラの部屋にはあるのに、無くしたりしたらどうすんだよぉ。なんで無いんだ?」

 

若鳩君に言われて備品リストを見直す。本当だ。

色々な帽子があるけどシルクハットはない。

 

あれ?メモ帳や厚紙。折り紙とかいろんな紙があるのに原稿用紙がない。

インクやボールペン。シャーペンに鉛筆にクレヨンなど品揃え豊富なのに万年筆がない。どうしてだろう?僕の部屋にはあるのに。

 

「はーい!疑問にお答えしま~す!」

 

「わぁ!?」

 

ジョーカー!?また?いつのまに?

 

「おー、ジョーカー。地味な登場だなぁ。せめて爆発と共に現れろよ。」

 

「いいですよ!近くの人が巻き込まれて怪我しますけどねぇ。

 運が良ければ死人が出ますよ。」

 

「おお!ドキドキするなぁ。いいぜっ!」

 

「よくないよ!」

 

若鳩君もジョーカーもとんでもないことを楽しそうに言う。

冗談に聞こえないよ!

 

「ジョーカー。さっさと答えて消えなさい。目障りよ。」

「きゃ~。喰田さんひっどーい。悪役も顔負けの冷たさ!

はいはい、答えますよ。すでに気が付いたとは思いますが、倉庫にはなくて

皆様の個室にはある物がいくつかあります。理由は簡単です。

その人の個室にはその人くらいしか使わない物を置いているということです。

安心してください。切れたらちゃんとその人の個室に持ってきますよ~」

 

なるほどね。まぁ別に困ることもないだろうしいいか。

奥のほうに行くと右の隅の壁に白いエレベーターがあった。

 

上のプレートに大きく

『荷物用エレベータ』

下のプレートに

『最大重量68kg ※注意事項。

・手などを挟まないように気を付けてください。

・遊ばないでください 

・最大重量をオーバーしないように気を付けてください。』って書いてある。

 

右横には縦に赤いボタンが二つ上のには「開」下には「閉」って書いてある。

 

「ジョーカー何よこれ?」

 

「喰田さん、見ればわかるでしょう?荷物用のエレベーターですよぉ。目が見えないんですか?」

 

「なんでこんな物があるのかって意味よ。あんたの頭の中にはガラクタが詰まってるの?」

 

ジョーカーはやれやれとばかりにため息をついてから答えてくれた。

 

「今はまだいけないですけどこの学園は6階まであるんですよ!わざわざ上の階に物を持って行く時に大変でしょう?なのでこのエレベーターを使ってくださいねー」

 

なるほど。重い物とか多くの物を上の階に持って行きたい時に便利だな。

 

「ねぇ、なんで開け閉めのボタンしかないの?」

「簡単ですよ!4階の荷物置き場にしか行けませんから~。」

「えーっ、使えねぇなぁ!」

「はい!若鳩君!文句言わない!では、私はこれで!」

 

あっ、ジョーカーどっか行っちゃった。足が速いなぁ。

 

「僕は他のところも調べてくるよ。二人は?」

「私はもう少しここにいるわ」

「オイラも。なんかおもしれ―モンがないか漁るぜっ!」

「そっか、ならまたね」

 

僕はそう言うと倉庫から出て行った。

 

若鳩君がボソッと「ど派手な爆弾でもねーかなぁ」と呟いていたけど

喰田さんがいるから大丈夫だよね…?

 

 

次に来たのはゴミ処理室だ。

 

鬼澤さん、ウルフ君、綾織さんがいた。

 

「あれ、三人ともここを調べていたの?なにか分かったことを教えてくれる?」

「自分で今から調べればいいだろ。」

 

やっぱりウルフ君は冷たい…。

 

「ウルフ。そんな言い方はないだろ。すまないね江ノ本。アタイが教えるからさ!」

「ふむ、儂にも話をさせれくれ。いいじゃろ」

 

僕が落ち込むと鬼澤さんと綾織さんが話しかけてくれた。

 

「この部屋の真ん中には焼却炉があるんだけどね。シャッターが閉まっていて入れないんだ。倉庫にゴミ袋があるからそれに、ゴミを入れてシャッターの前に置いとけってさ、ジョーカーが「掃除当番に鍵を渡しますよ!」って言ってたよ。

ちなみに今日は特別にジョーカーだって。明日からアタイ達になるみたいだね。」

 

なるほど。溜まったゴミはここで処分するんだ。

掃除当番かぁ。ゴミが集まるならここは臭くなるだろうし面倒くさいな。

でもちゃんとやることはやらないといけないし…。

 

「儂たちはジョーカーにここを開けてもらって調べたのじゃ。焼却の時は、焼却炉の横についているカードリーダーを電子生徒手帳に読み込ませればいいらしいぞ。

実際にやってみたが出来たしの。火を消す方法も同じじゃ。」

 

ここの情報はこれくらいかな?

 

「二人ともありがとうね。他にも調べたいところがあるからもう行くね。」

 

僕は二人にお礼を言って言ってゴミ処理室から出て行った。

 

 

最後に来たのはコインランドリールームだ。

 

ドアを開けるとソフィーさん、綿古里さん、晴天さんがいた。

 

「江ノ本サーン!らっしゃいマセ!!」

「ソフィーさん店じゃないんだから…」

 

晴天さんがツッコミを入れる。

 

「あの…。江ノ本さん…。私達もさっき来たんです。一緒にここを調べませんか?」

 

綿古里さんにそう言われ僕達はさっそくコインランドリールームを調べだした。

真っ白なタイルに水色の壁の清潔感のある部屋だ。

16個の乾燥機と洗濯機。長くて太い物干し竿に数えきれないくらい

沢山のハンガーがまとめてかけてある。

棚の中を見てみるとアイロンが16個あった。こんなに要らないんじゃ…。

 

もう今行ける所は全部調べたな。

結局、外へ出る手がかりや黒幕の手がかりもなかった…。

 

「はぁ…」

「江ノ本サン、悲しそうネ。ため息でてルよ。明るい事考えまショー!」

 

僕がため息をつくとソフィーさんが慰めてくれた。

 

「明るい事?」

「yes!ここから出たらワタシのコンサートに皆サンを招待するネ!それから皆サンといろんな所に遊びに行くヨ!」

 

ソフィーさんは親指を立てて太陽のような笑顔で話している。

 

「ならピクニックにも行こうよ私、お弁当作るよ。

得意ってほどでもないけど普通に美味しいのならできるから。」

 

晴天さんも笑顔で話しに応じる。

 

「でも…。ここから無事に出れますかね…?」

 

綿古里さんが泣きそうな声で弱弱しく言う。こんな状況じゃ無理もないな。

 

「大丈夫デース!案ずるより産むがタカシっていう言葉があるヨ!皆サンでやってみたら意外と簡単に出来るかもしれないネ。」

「ソフィーさん。案ずるより産むが易しだよ。綿古里さん。出来ないって思ってたら出来ることもできなくなっちゃうよ。一緒に頑張ろう!」

 

ソフィーさんは元気に晴天さんは優しく励ます。この二人は前向きだな。

 

「晴天さんの幸運でなんとかなるかもしれないね」

 

僕が何気なくそう言うと、

「ごめんね。江ノ本くん私の幸運は人よりちょっとだけ運がいいくらいなんだ。それに何回も起こるものじゃないよ。」

 

晴天さんは申し訳なさそうにそう言った。

 

「そうなの?それでも幸運ってすごいと思うよ。」

「ありがとう。私は世間に認められる才能を持ってる皆のほうがすごいと思うよ。」

 

晴天さんはさらりとそう言った。

 

「そうかな?ありがとう」

なんか褒められるとやっぱり照れるな。

 

「thank youー!うれしいヨ!」

「あ…あ、りがとうございます。」

 

僕達がお礼を言い終わったちょうどその時。

 

「あんた達ここにいたの」

 

喰田さんがドアを開けて声を掛けてきた。

小鳥遊さんを引きずっている。

 

「昼食の準備が出来たらしいわ。食堂に行くわよ」

 

喰田さんに言われて壁の時計に目をやるともう11時30分くらいになっていた。

 

「うん、分かった。呼びに来てくれてありがとう。皆で一緒に行こうか。」

「お礼なら私じゃなくて準備をした有馬とウルフとシープ、綾織に言いなさい。

一緒に行くのはいいけど遅いと置いてくわよ。」

「うん、分かった。小鳥遊さん、自分で歩いたら?」

「めんど~い」

 

相変わらず怠け者だなぁ…。

 

 

 




【名前】ジョーカー
【身長】60㎝   【誕生日】?
【好きなもの】喝采。自分。金。他人の不幸。
【嫌いなもの】駄作。無駄な事。責任を負うこと。
【一人称、二人称】「私」 男性は「名字+君」女性は「名字+さん」
【容姿】派手な衣装とメイク。赤い鼻。ぽっこりと出たお腹。
    遊園地にいそうな可愛いピエロのぬいぐるみのような見た目。
【性格】生徒たちに殺し合いを強要している。悪趣味のクズ。
【自称】監督。
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