ダンガンロンパ・scripter~絶望の舞台劇~   作:月乃と星乃

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【CHAPTER1】〈日常編〉

食堂に着くと料理が綺麗に並べられて皆が揃っていた。

残りの皆の目線がこっちに向く。

 

「おっ、これで全員揃ったね。食事をしながら探索結果を発表しようか」

 

鬼澤さんが笑顔でそう言うと皆が席に着き会議が始まった。

 

 

「結局なにも進展はなかったな。」

 

ウルフ君が無表情にバッサリと言う。

はぁ…。僕は情けなくため息をついた。

これだけ時間をかけて全員で探索したのに糸口が見つからなかったのだ。

落ち込んでいる場合じゃないと頭では分かっていてもため息が出てしまう。

 

「ん」

 

そんな僕を慰めるように唯輝が優しく頭を撫でてくれる。

 

「…ありがとう。大丈夫だよ。」

 

そう言って手をどかす。

どうすればいいんだろう?コロシアイなんてしたくない。

出口はないし、仮に方法があるとしても、何か不審な行動をすれば監視カメラでばれてしまう。

 

 

「ふふふふ…。絶望的ですね…。ボクみたいなゴミはここで死ねという事ですか。そうですか…」

「秋雨。落ち込んでてもしゃーないやろ。何が気になる事とかあらへんか?」

 

不気味にやけ気味に笑う秋雨君にフロォーを入れて木柳君が皆に問いかける。

 

「え、えっと…。ならいいですか?ジョーカーの言っている『観客』って誰の事でしょう?」

 

確かに綿古里さんの言う通り気になる。最初にジョーカーが『観客の皆様』って言ってたから一人じゃなく複数いるって事だよね?

 

「ジョーカーの嘘では?見ている方がいるなら助けに来てくださると思います。

皆様、希望を持ってください。16人もの高校生がいなくなったんです。

希望ヶ峰学園の方や友人やご家族様。警察が今頃探してくださってるはずです。」

 

落ち込んでいる僕達をシープ君が安心させるように優しく微笑みながら言う。

さすが牧師さんだ。言葉に意思というものが感じられ説得力がある。

 

「あーーーっはははは!!!」

 

今までの雰囲気をぶち壊すようにジョーカーが大笑いしながら机の上に現れた。

…もう慣れたな。

 

「警察?そんなものに期待してるんですかぁ?あんなただの咬ませ犬がここに来れるわけ、この舞台に上がれるわけないですよ!期待するだけ無駄ですよ~。

まぁ、キャストの皆様のやる気があるのは嬉しいですけどねー。」

 

声を聞くだけで明らかにこっちを煽っている態度を見るだけでむかつくのは僕だけじゃないだろうな。

 

「うむ、要するに警察等には手が出せないように吾輩たちを監禁・誘拐をしてコロシアイ生活を強要しているのだな?礼を言ってやる。ジョーカーよ。よくやった!」

 

 

は…?

 

 

僕達が目線を向けると生原君は目を輝かせていた。本当に心の底からお礼を言っているのだろう。演技には見えない。

 

「おいおい、どうしちまったんだい生原。アンタ正気かい?」

 

鬼澤さんが尋ねる。僕だって同じ気持ちだ。冗談だよね?

 

「?吾輩は正気だぞ?逆に貴様らがこの状況で何故外に出たいのかが分からんな。」

 

「が、学園内に閉じ込められてコロシアイを強要されてるんですよ…!出たいに決まってるじゃないですか…!!」

 

綿古里さんが涙目で反論する。僕だって早く出たい、早くここから出て両親や友達にあって、いつもの平和な日常を取り戻したい。

 

「コロシアイを強要されているからこそいいのではないか!

吾輩はあらゆる進化の可能性に満ちていて神秘的な生物が大好きだ。

害虫でも悪人でも善人でもどんな見た目であろうと関係ない。

生物であれば吾輩自身も含めて全部大好きだ。

特に生物たちが必死に努力し足掻き死ぬ物狂いで進化する姿が好きなのだ。

まぁ、分かりやすく言うと、大好きな生物(監督)の監視のもとで、大好きな生物(生徒達)と共同生活出来るのだぞ?素晴らしい!

特に大好きな生物である貴様らがもがき苦しんで進化する、努力する姿を近くで見てたなら最高だな!!」

 

恍惚しながらべらべらと喋っている。

だからあの時

「検索してやろう」

「生物の貴様ら生物のために」って言ってたのか…。

 

「ふざけんなや!お前はどっちの味方やねん!!」

 

木柳君が生原君の胸倉を掴んで怒鳴る。しかし生原君は

 

「なにを言っている?吾輩はすべての生物の味方だぞ?

クラスメイトだろうが黒幕だろうが初対面であろうが関係なく大好きだ。

喜べ大工よもちろん貴様も大好きだぞ。」

 

「テメェ…!!!」

 

「おっ、吾輩を殴ってくれるのか?超高校級の大工に殴られるなんて初めてだな。

いい経験になるだろうし痛みに対して耐性ができ進化できる。ぜひ殴ってくれ。

どうせなら、一思いにではなくじわじわと嬲るように痛めつけてほしいものだな。

吾輩は苦痛も絶望も大好きだ。痛いのも苦しいのも「生きている」証拠だからな。

吾輩も大好きな生物の一員だという証拠だし実感が得られて興奮する。」

 

怖がりも怯みもせずに目を輝かせて興奮気味だ。

ああいう人の事を変人って言うんだろうな。

 

「黙れ。木柳そんな奴にかまうな時間の無駄だ」

「…っ!」

 

ウルフ君の威圧によって木柳君は生原君を一度睨みつけてから手を放す。

 

「生原、テメェがろくでもない変態だってことは分かった。

お前がなにしようが勝手だが俺らに迷惑はかけるな」

 

「うむ、心掛けてやろう。」

 

「はいはい、これで一件落着!キャスト同士無駄な喧嘩をしないでくださいよ。共に学園生活を送った仲間でもあるのに!」

 

えっ?

 

「ジョーカーどういう意味?共に学園生活を送ったって…。

僕達入学してからすぐにここに閉じ込められたんだよね?」

 

僕の質問にジョーカーは一度キョトンとすると

 

「あっ!いっけない☆口を滑らせてしまいました~。まぁわざとですけどね。だって江ノ本君達が学園に入学してから3年はたってますよ?」

 

おでこに拳をコツンとあてて舌をぺろりとだしながら言った。

 

「そ、そんなの嘘っス!私は学校生活を送った覚えはないっスよ!!」

「記憶力に自信のある儂も覚えとらんぞ。嘘をつくならもっとましな嘘をつくんじゃな。物語がつまらなくなるじゃろう。」

 

綾織さんと涙目の五十嵐さんが反論する。

 

「やだなぁ、覚えてるわけないじゃないですか!

私が皆様の記憶を奪ったんですから」

 

「そ…そんな嘘つかないでくださいっ。信じられませんし、証拠がないですよ…」

「綿古里さん。そんなつっまんない反論しないでくれます?

信じられないんじゃなくて信じたくないんでしょう?逆に記憶が奪われてないって証拠もないくせに~。」

 

ジョーカーのセリフに空気が凍り付く反論したくても出来ない。

僕達の記憶が奪われていないという決定的な証拠がない…。

 

「あるぞ」「ありますよ」「ある」

 

ウルフ君とシープ君。唯輝が同時に反論する。

 

「俺とシープはずっと一緒に育ってきたんだ。」

「はい、ですので3年も経っているのならお互いに変化に気付くはずです。」

「ん、望夢。変わってない。」

 

そうか、3年もたってるなら唯輝もどこか変わってるはずだ。身長も伸びてないしどこにも変化がない。

 

「それには秘密があるんですよ」

「えっ?それってどういうこと?」

 

僕が聞き返すとジョーカーはめんどくさそうにこっちを向いた。

 

「そんなホイホイネタバレするわけないでしょう?どんな名作だって予告はあってもネタバレするとつまんなくなっちゃうじゃないですか!なんでも私に聞かないでせいぜい考えて悩んでくださいよ。」

 

そう言い残すとまだどっかに行ってしまった。逃げたのかな?まぁ、どうせまた会うことになるんだしいいか。

 

ガタっ…。椅子が引かれる音がして目を向けると秋雨君が椅子から立って食堂から出ていこうとしていた。

 

「秋雨。話途中。どうした?」

 

唯輝は「話の途中だけど、どうしたの?」と少し心配そうに聞いている。

 

「話し合いで決まったことがあったら後で教えてください…。こんなゴミに教えたくないでしょうけどね。貴方達のような信用できない人と一緒にいたくありません…。ボクは先に部屋に行って極力こもってますよ…。」

 

「それは死亡フラグやで!!」

 

木柳君のツッコミを無視して振り返ることなく出て行ってしまった。

 

「何。今は物語のプロローグくらいじゃからな。まだ登場人物の退場は早い。大丈夫じゃろう。」

綾織さんは、のほほんと気楽なものだ。

 

「秋雨様、お待ちください…!」

「ほっとけ、どうせ後でまた会えるんだし。あいつから一緒にいたくないって言ったんだろ。なにがあっても自業自得だろうが。」

 

追いかけようとするシープ君をウルフ君が止めた。

ウルフ君の言い方は厳しいけど今追いかけても追い返されるだろうしな。

 

「さっさと話し合いを終わらせるわよ。私の提案を聞いてもらってもいいかしら?」

 

「お~!いいぜぇ。オイラも提案があるんだっ。倉庫に色々あったんだけどよぉ。誰かおもしれーもん作れねぇか?花火とか爆弾とか、自動パイ投げ機械とか…!」

 

「若鳩、黙りなさい。私の提案は新しいルールの追加よ。夜間時間は出歩き禁止。

何か理由があるときは誰かを誘ってから一緒に行動すること。」

 

若鳩君は台詞を遮られて不満気だ。喰田さんは無視している。

 

「おっ、なるほど。この状況下で夜に一人は危ないからね。少しは安心できるようにもなるし。アタイは賛成だよ!幽霊とか苦手だしね。正直助かる」

 

「なんや、ごっつ強いのにお化け駄目なんか?」

 

ニヤニヤ笑いながら木柳君が茶化すように尋ねる。

 

「そうだよ。アタイは怪奇現象とか幽霊とか駄目なんだ。

夜は一人では出歩けないんだよ。悪かったね!」

 

顔を赤くして鬼澤さんは恥ずかしそうに言う。意外だなぁ。

普段はあんなに頼もしいのに。

特に反論する人もいなくて、喰田さんの意見は採用された。

 

「ね~。も~いいでしょー。これ以上話したって進展しないだろうし。また今度でもー。面倒くさいし(´ぅω・`)ネムイ」

 

小鳥遊さんが机に突っ伏しながら言う。

確かに結構時間がたってるな。早くご飯を食べてしまおう。

他の皆も残りのご飯を食べ始めた。

 

後の片付けは当番になったシープ君と綾織さん、若鳩君、喰田さんが

してくれるらしい。

僕も手伝うと言ったら、喰田さんに「5人もいらないわ。それにあんたじゃ邪魔になるだけよ」と冷たく言われてしまった。

 

話し合いも終わったし、これから何をしようかな。コロシアイを終わらせる解決方法もなく、疑問だらけだ。

 

憂鬱だな…。あれ?

行く当てもなく歩いていたら秋雨君を見つけた。先に居室に戻ってるんじゃなかったっけ?

キョロキョロと何かを探しているみたいだ。僕も手伝おう。

 

「秋雨君!」

 

「!…チッ。」

僕が少し離れたところから呼ぶと秋雨君は舌打ちをして一目散に逃げていった。

 

傷つくなぁ…。何か気に障ることでもしてしまったかな。

 

「望夢」

 

呼ばれて振り返ると唯輝がいた。

右腕に透明の袋を掛けていて中にはお菓子やジュースがたくさん入っている。

じっと見てみると皆僕の好きな物ばっかりだ。

 

「追う?」

 

う~ん、どうしようか。心配だけど余計なお世話かな?

舌打ちまでされたし…。

 

「アタイが行くよ」

 

振り返ると鬼澤さんが歩いてきた。

 

「すまないね。たまたま通ってたら一部始終を見ちまったんだ。

有馬、江ノ本に用があるんだろ?ここはアタイに任せな!」

 

鬼澤さんは唯輝の背中を笑って軽く叩いてから僕らがお礼を言う前に秋雨君を走って追いかけて行った。

 

「行っちゃったね…。僕に何の用なの?」

「気分転換。部屋行く。どっち?」

 

唯輝はそう言いながら僕を小脇に抱えて歩き出した。

僕の元気がないから気分転換しようってことだろう。

僕はあまり体力がないから体を動かすんじゃなくてくつろげる部屋に行こうって言ってくれている。

優しいな。ありがたい。

 

「僕の部屋でいいよ」

「ん」

「唯輝」

「?」

 

「…ありがとう」

 

「別に」

 

そう言った唯輝は安心したみたいに少し微笑んでいる。

他の人から見たらあまり分かんないだろうけど。

 

僕の部屋で唯輝とお菓子を食べながら雑談した。

気が付いたらもう晩御飯の時間だ。

 

「唯輝。片付けてご飯行こう。」

「ん」

 

唯輝がベットから腰を上げて片付けを手伝ってくれる。

全部終わって二人で部屋を出た時。

 

「望夢。若鳩に気を付けて。」

 

どういう意味だろう?そんなに危ない人に見えないけどな?

 

「…分かった?」

 

僕達は食堂に向かって行き、晩御飯を食べた結局鬼澤さんは、秋雨君に追い返されてしまったらしい。

 

鬼澤さん本人が申し訳なさそうに言っていた。

後は当番の人に任せて居室に帰る。

いつも通りに日記を万年筆で書くと僕はベットで横になって寝た。

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