ダンガンロンパ・scripter~絶望の舞台劇~   作:月乃と星乃

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【CHAPTER 1】学級裁判〈後編〉

「とりあえず、今までの事をまとめるわよ。ついてこれてない馬鹿もいることだし。」

喰田さんがちらりと五十嵐さんを見て言った。

 

「酷いっス!ちゃんとついてこれてるっスよ!」

「なら、説明してもらおうかしら。」

「すみませんでした!」

「早いわ!少しは頑張れや!」

木柳君。ナイスツッコミ。

 

「秋雨が江ノ本を殺すつもりで手紙を使って呼び出した。

でも来たのは若鳩が原稿用紙に江ノ本の名前を使って呼び出した犯人だった。

秋雨が犯人に襲い掛かって争った。その後、厨房に入ろうとしたところを撲殺されたって所ね。」

喰田さんの説明に頷く。

 

「厨房に先に入ったのは秋雨さんですか?犯人ですか?」

確かにどっちなんだろう?綿古里さんの疑問を議論してみよう。

 

 

       【ノンストップ議論開始!】

 

綿「先に厨房に逃げ込んだのは…どっちでしょうか?」

鬼「死因は【後頭部の打撲】だろう?なら秋雨が先なんじゃないのかい?」

木「逃げ込もうとしたところを【後ろから】ドカーンやな!」

五「頭を殴られたってことは犯人はアキより【背の高い】人っスね!」

有「そうとも限らない」

羊「どうしてでしょうか?どうか説明をしていただけませんか?」

有「秋雨がどうにか【かがんだり】【倒れたり】【体勢を崩したり】すれば」

喰「は?逃げ込むにせよ追いかけるにせよ【そんな状況になるわけない】じゃない」

ソ「そうなるように【罠を設置していた】とカ?」

 

 

【そんな状況になるわけない】←【生原の検死結果】

 

       「それは違うよ!」論破!

 

 

「生原君、秋雨君は殺される前に転んでいるんだよね?」

「うむ、脚本家の言う通りだ。安心しろ吾輩は優秀だからな。検死結果に間違いはない。」

自信満々に言う姿が今は頼もしい。

 

「私達にも詳しく教えなさい。変態学者」

「いいだろう。グルメリポーター、他の生物達も聞いておけ。まあ大好きな貴様らの為なら何度でも説明してやるがな!」

ウルフ君が無言で睨みつける視線で人が殺せそうだなぁ。

生原君は逆に嬉しそうだ。木柳君に殴られそうだった時も嬉しそうだったもんな。

さすが変人…。

 

「不運の死体には様々な痣や傷があった。日頃から怪我をしているのだろう、その中で一番新しいのが死因の後頭部の打撲と膝の擦り傷だな。

後頭部の打撲は夕飯の時に陸上部がぶつかって打った所と全く同じ所を殴られているぞ。膝の擦り傷は殺される直前にできた物だ。調べたところ転んでできた物だろうな。」

生原君…。性格はあれだけど優秀だなぁ…。

 

「つまり秋雨サンは厨房に逃げ込んだ犯人を追いかけて転んでしまっタ。その時に犯人がとっさに厨房の入り口に一番近い机の上の瓶を掴んで殴っタ。

その後、証拠隠滅のタメに残りの瓶を割って出て行っタってコトだね。」

ソフィーさんがまとめてくれた。

 

「こ…これで大体の流れは分かりましたね!」

「せやけど、犯人が分からんなら意味がないやろ。」

木柳君が言いにくそうに言う。確かに、新しい情報でもあればいいんだけど。

 

「若鳩、まだ何か隠してるなら全部いいな。」

鬼澤さんが若鳩君に言う。

 

「おーいいぜぇ。ここまで謎を解いたオメーらにサービスしてやんよ。」

意外とあっさりだな。まぁ今はそんなこと気にしてられないか。

 

「オイラは秋雨の手帳を拾ってからあいつが殺人をしようとしてるのを知った…。だから楽しみに待ってたんだっ!」

 

「いや!なんでやねん!止めるか説得するかしろや!!」

 

「あー、はいはい。木柳うぜーよぉ。続きなぁ。

オイラは夕飯の説教が終わった後から秋雨を見つけてこっそりつけてたんだ。

あいつがシープの部屋から出ていくのも、食堂から何かを持って出てくるのも、

ぜーんぶ見てたんだ。あいつが自分の部屋を出て行った直後に部屋に入って、メモ帳の一番上のページを鉛筆でこすった。

そしてあいつがいつ、どこで、誰を殺すのか知ったんだ。

いや~。ワクワクしたなぁ。でもあいつは「超高校級の不運」だろぉ?

ちゃんと殺せるかそれどころかターゲットが来るかも不安だしなぁ。

だからオイラが一肌脱いでやったんだよぉ。

メモ帳をオイラの居室に持って帰って原稿用紙で江ノ本の名前を書いてから

犯人を呼び出したんだ。その後、秋雨が食堂に向かってるときにメモ帳を机の上に返しといたぜっ。結局、江ノ本は来なかったんだろー?オイラが手紙出しててよかったなぁ。そのおかげで殺しが起きたもんなぁ。」

意味が分からない。なんでそんなに楽しそうに嬉しそうに言えるんだ?

 

「ふざけんなや!何がおかげや、お前のせいやろ!最低や!!」

今にも殴りかかりそうな木柳君を見て若鳩君は…。

 

ため息をついた。いつもニコニコ笑っているのに、今は呆れたような表情でこっちを見てる。

「オイラはふざけてねーよぉ。逆にお前らがふざけんな。どいつもこいつもコロシアイを起こそうともしねぇでのんびりしやがって。」

僕達を無視して若鳩君は話し続ける。

 

「オイラはなぁ。ずーっとつまらなかったんだよぉ。だってそうだろ?

同じ時間に同じようなことをして同じような人と話して、

たま~に違うことが起きても予想の範囲内でしかねぇ。

だからコロシアイ学園生活に巻き込まれてすっげぇ嬉しかったっ!!

誰にいつ殺されるのか誰が誰を殺すのかワクワクしていた!

なのにお前らは積極的じゃねぇ。自分で殺そうかと思ったんだけどよぉ!

死んじまったら楽しめねーだろ?

誰に迷惑かけよーが、誰かが死のうが、大勢に嫌われようが、自分が死のうが、そんなの知るか!どうでもいい!!

オイラが大事なのは自分が楽しめるか!それだけだっ!!!」

本気だ…。

若鳩君は自分が楽しめれば僕達に嫌われようが、僕達が死のうがどうでもいいと思っているのだろう。イタズラや人をからかうのが好きな人だと思ってたのにこんな本性だったなんて。

いや、僕は若鳩君の事を何もわかってなかったんだろう。

唯輝は気付いてたんだろうな。

 

だから僕に「若鳩に気を付けて」って言ったんだろう。

 

「ほらほらぁ~。お前ら早く議論して犯人を見つけろよぉ。文字通り命が掛かってんだぜぇ。」

ケタケタと笑いながら僕達に言う。高みの見物をするつもりなんだろうな。

 

「若鳩、黙ってろ。とりあえず。今、犯人じゃねぇって分かってんのは喰田、江ノ本、有馬、若鳩だな。他にも犯人じゃねぇって証明できる奴はいるか?」

僕はウルフ君の質問に答えられるはずだ。

 

 

 

   コトダマ提示

 

  →【 綿古里とソフィーのアリバイ 】

 

    「これで証明できる!」提示!

 

「皆、綿古里さんとソフィーさんも犯人じゃないよ!アリバイがあるんだ。」

「yes!ワタシと綿古里さんは6時半過ぎにコインランドリールームに行ったヨ!それからアナウンスがナルまで一緒だったネ!」

ソフィーさんが親指を立てて言った。

 

「これで犯人じゃないって分かったのは6人ね。あと9人の中に犯人がいるのね。でもどうやって犯人を見つけるの?」

喰田さんが言うと皆黙り込む。これだけ議論をしたのに肝心なことが分からない。

 

「NO!諦めたらダメだヨ!どんなことでもいいから思い出ソー!きっとなんとかナルよ!」

ソフィーさんが慌てて皆を励ます。前向きだなぁ。

 

なんでもいい。どんなことでもいい。思い出せ僕。

手掛かりになるようなことはないか?

こんな所で死にたくない。家族に会いたい。友人たちに会いたい。

皆と帰って日常を取り戻したい。

今すぐ出るのは無理でも裁判の前に約束したじゃないか。

手作りお菓子会をするって。

 

 

………あれ…?あの時のあの人の台詞。おかしくないか…?何で…?

 

 

「望夢?」

僕が考え込んでいると唯輝が声を掛けてきてくれた。

 

「大丈夫だよ。ありがとう。ねぇ、唯輝。五十嵐さん、綾織さん、晴天さん、ソフィーさん、小鳥遊さん。ちょっといいかな?気になることがあるんだけど。」

「え~何何ー?早く~(・・?」

小鳥遊さんめんどくさそうだな。

 

「うん、裁判が始まる前にアナウンスが鳴ったよね。僕達が一緒にいたときに。アナウンスが鳴った直後の会話を覚えてる?気になる台詞があって…」

 

「儂に任せろ一字一句間違えなく覚えておるからのう」

綾織さん…!そうかたしか瞬間記憶能力をもってるんだっけ?良かった。安心して任せられる。

 

「手伝う。」

「そうか。有馬唯輝。すまんのう。」

 

 

 

     【ノンストップ議論開始!】

 

綾「五十嵐俊穂が「ぎゃーーーーー!【もうっスか!?】誰か糖分を頂戴っス!!」」

有「俺が「…何で?」」

綾「五十嵐俊穂が「ふっふっふ。ツッキーよくぞ聞いてくれたっスね!糖分は頭にいいって【ミコちゃんが言ってた】っス!

【頭を良くして裁判に挑む】っスよ!」」

有「綾織が「五十嵐俊穂。確かに頭にはいいが頭がいきなり良くなるわけではないぞ。それに恐らく【誰もお菓子とか持っとらん】じゃろ」。」

綾「小鳥遊架澄が「今から厨房や倉庫に【取りに行くわけにはいかない】しねー。めんどいし~(´Д`)」」

ソ「ワタシが「なら、裁判が終わったらミンナでお菓子食べヨー!どうせなら【ソーコのじゃなくて手作りがいい】ネ!」」

晴「えっと…。次はたしか私が「いいね!なら皆で作ろうか。クッキーくらいなら私、作れるよ。【いっぱい砂糖とか小麦粉もあったし】沢山作れるね。」だったよ」

五「?…どこも【おかしい所なんてない】っスよ?どこが気になるんっスかモト?」

 

 コトダマ記録→【おかしい所なんてない】

 

  【いっぱい砂糖とか小麦粉もあったし】←【おかしい所なんてない】

 

     「その台詞はおかしいよ!」論破!

 

 

「えっ?私の台詞、どこが変なの?」

晴天さん驚いてるなでもその前に確認したいことがある。

 

 

「ねぇ、料理当番の人に聞きたいんだけど砂糖と小麦粉ってどれくらい残ってた?」

「確か…小麦粉は7割程度で砂糖は少な目でした。」

シープ君の答えで疑問が確信に変わる。

 

「晴天さん、何でずっと部屋にいたなんて嘘ついたの?」

「は、はぁ?私、嘘なんてついてないよ!どうしてそんなこと言うの!?」

晴天さんは慌てて否定する。僕だって信じてあげたい、でも…。

 

「なら説明するね。昨日の10時過ぎに生原君が食堂に行ったって言ったよね?

その後11時までお菓子を食べて砂糖たっぷりのココアを何杯も飲んだらしいんだ。

そのせいで砂糖が全部なくなったって言ってたよ。ここにきて最初に僕と秋雨君で探索をした時にね。

そして食料・食材・調味料などがなくなって自動的に補充されるのは、深夜3時ってジョーカーが言ってたんだ。」

 

「なるホド!砂糖や小麦粉がいっぱいってコトは晴天サンは深夜3時過ぎに棚の中を見てるってコトだね!」

「言っとくけど、生原が嘘ついてるって言うのは無しだぞ。シープも証言してるんだからな」

「そ、それが何?たったそれだけの言葉で私を犯人にするの!?」

ソフィーさんとウルフ君の言葉に晴天さんが言い返す。

 

「他にもある。厨房の机の周りの床」

唯輝?

 

「沢山の割れた瓶が落ちてた。中には数個の割れたコップの破片がある。晴天。電子生徒手帳に載ってたけどカフェオレが好き。」

「あぁ。なるほど、秋雨が来るまでカフェオレを飲もうと思って、作る為に棚の中の砂糖を使ってそれで知っていたのね。自分が来たことを知られたくなかったから、証拠隠滅をした。

醤油瓶を割った後についでに割ったのね。そうすれば臭いも混ざるしコップがなくなったことを分かりにくくできるわ。」

喰田さんが補足をしてくれた。

 

普通に洗って元の位置に直せばよかったんだろうけどコップを乾かすために食器乾燥機を付けたらばれるだろうし。

そのまま元の位置に戻したら万が一誰かが触ったりしたら濡れていることが分かってしまう。

戻す位置が間違っていても誰かが気付いてしまうだろうし。

それとも犯人は相当慌ててたと思うからそこまで考えられなかったのかな?

 

「待ってよ!私は犯人じゃない!江ノ本君。超高校級の脚本家らしくないよ。こんなシナリオ面白くないし。ねぇ…。お願いだから考え直してくれないかな?私以外にも犯行が可能な人だっているでしょ?

皆、信じてよ…!」

 

「…ごめん。信じたいけど皆の、僕の命が掛かってるんだ。犯人じゃないなら何でもいいから反論をしてくれるかな?」

晴天さんが涙目で訴えてくる、彼女が犯人なんて思いたくないし疑いたくない。

いっそ皆が犯人じゃなくてこれが全部夢だったらどれだけいいだろう。

でもそんなことありえない。そんなこと分かってる。自分が涙目で微かに震えてるのが分かる。情けない。

 

「………何それ?私は犯人じゃないって言ってるのに!なんで誰も庇ってくれないの!?誰も考え直してくれないの!?酷い酷い酷い酷い酷い!!!」

「お…おい。晴天。どないしたんねん…?」

 

木柳君が話しかけるけど豹変した晴天さんには声が届いていないみたいだ。

 

 

「信じて信じて信じて信じて信じて信じて信じて信じて信じて信じて信じて信じて信じて信じて信じて信じて信じて信じて…。」

 

壊れたカセットテープみたいに何度も同じ言葉を繰り返している。

まともに話し合うことはできないだろう。

それなら、犯人だと確信のできる証拠があれば…!

 

 

 

 

「ねぇ、晴天さん。君の衣服類と靴下を全部見せてくれる?」

 

 

 

「……………えっ……?」

 

僕は晴天さんに、皆に語りかける。

 

「凶器の醤油瓶は割れてたし、厨房の机の周りの床にも調味料の中身がぶちまけられてたよね?

犯人の服についてるんじゃないかな?運よく服につかなくても足元の靴下についてるかもしれないし。

それにコインランドリールームにはソフィーさんと綿古里さんがいたから洗濯できないし、ゴミ処理室の鍵は当番である綾織さんが持っているはずだから処分もできないよね?

倉庫のタオルを使ったとかならゴミ袋の中に入れるだろうけど、自分の服や靴下なら決定的な証拠になっちゃうから、ゴミ袋の中に入れておくこともしたくないだろうね。」

 

ここでまで言えば分かるだろう。

一刻も早く、着替えたいだろうからどこかによる余裕もない、洗濯も処分も出来ない。時間もない。

ゴミ箱に捨てたならすぐに誰かに見つけられてしまう。

…なら、どこにあるのか?恐らく自分の部屋だろう。

 

「ま…待ってよ。今は裁判中でしょ?私の服なんて見にいけないよ!他の事を話そうよ!ねぇ!」

晴天さんが話をはぐらかそうとする。冷や汗をかいてるし態度が露骨だ。

 

 

「その心配はありません!はいは~い♪注目ー!」

その声の方を向くとスクリーンに誰かの部屋が映っていた。

可愛い丸みの帯びた家具に明るい黄緑色の四つ葉のクローパーの絵が描いてある緑色のカーペット。

可愛いピンクのクッションとか可愛い犬と猫の小さめのぬいぐるみが置いてある。

全体的に整理整頓されていて綺麗だ。

 

誰の部屋かと言うと…。

 

「駄目!やめてやめてやめて!!!今すぐ消してよ!お願いだから!やめてってばぁ!!!」

真っ青な顔で喚き散らす晴天さんを見れば火を見るよりも明らかだった。

 

「皆様ー!何処を調べてほしいですか~?」

ジョーカーの問いに皆が返事をする。

 

「棚の中を見てほしいっス!」

「クローゼットの中やろ」

「…ベットの下」「布団の中を調べなさい」

「儂は、カーペットの下を見て欲しいのう」

 

部屋の中のジョーカーが皆に言われた所を調べていく。

そして、ジョーカーがベットの下に手を入れて中にあるものを引きずり出す。

 

出てきたのは…。醤油の染みの付いたスカートと調味料の飛沫がついてる靴下だ。

 

「っ………!!!」

 

その映像が映し出された瞬間に晴天さんがその場に膝から崩れ落ちた。

さっきの映像が、晴天さんの状況が犯人であるなによりの証拠になった。

 

「望夢。…終わりにして。お願い。」

そう言った唯輝はいつもは無表情なのに…。

あまり感情を表に出さないのに今はつらそうな顔をしていた。

 

そうだ。皆の為にも自分の為にもこんな裁判はもう終わらせたい。

僕が終わらせないと。

最後に今までの事件の内容を、全部まとめて…。説明して…。

皆にこの事件の脚本を知ってもらうんだ。

 

 

 

          【クライマックス推理】

 

〈Act.1〉

 

「まずは、事件を最初から振り返ろうか。ジョーカーから動機が提示されて、元々から殺人をしようとしていた秋雨君は実行することにした。証拠は彼の黒い手帳と鬼澤さんの証言だよ。

その夕食の時に五十嵐さんが秋雨君にぶつかって食堂を散らかしてしまう事故が起こってしまったんだ。

怪我をした秋雨君はシープ君の部屋でシープ君に傷の手当てをしてもらって若鳩君、五十嵐さんは喰田さんに説教されていたんだ。

説教の後、五十嵐さん、綿古里さん、ソフィーさんの3人は9時まで食堂の片付けをして、

汚れたテーブルクロスをコインランドリールームで洗濯して乾燥機に入れた。

調味料の瓶を厨房の入り口に一番近い机の上に綺麗に並べて置いてから帰ったんだ。」

 

〈Act.2〉

 

「10時頃に手当の終わった秋雨君はシープ君に「部屋に戻る」って嘘をついて食堂の奥にある厨房に向かって凶器の包丁を取りに行ったんだ。

でも帰るときにたまたま食堂に来た生原君に目撃されてしまう。

包丁を隠してそのまま急いで出ていった。

その後、秋雨君自身の部屋で手紙を書いて僕の部屋のドアの隙間から入れたんだ。

でも僕と唯輝は運動して疲れていて熟睡してたから気が付かなかった。

秋雨君の手帳を拾って中を見た若鳩君は彼が殺人をしようとしていたのを知っていた。

夕飯後の説教が終わった後こっそりと秋雨君の後をつけていたんだ。

秋雨君が部屋を出た直後にピッキングで部屋に入り、メモ帳の一番上のページを鉛筆で擦って、いつどこで殺人が行われるのかを知ったんだ。

メモ帳を持って帰って自分の部屋で僕の部屋から盗んだ原稿用紙に僕の名前を使って犯人の部屋に入れた。僕が呼び出したと犯人に思わせるためにね。

食堂では11時頃までお菓子を食べ、砂糖をたっぷり使ったココアを生原君が飲んでいたから砂糖が全部なくなってしまった。」

 

〈Act.3〉

 

「恐らく6時少し前に犯人は食堂に着いたんじゃないかな?

待ってる間に好物のカフェオレを飲む時に棚の中を見て砂糖を取って使った。

その後、カフェオレを飲みながら待ってたんだよ。秋雨君が食堂に行ったときに若鳩君は再びピッキングで秋雨君の部屋に入ってメモ帳を戻したんだ。

15分後くらいに食堂に来たのは秋雨君で、犯人も秋雨君も来るはずだった僕が来なくて驚いたんじゃないかな?特に犯人はね。秋雨君は包丁を持っていたんだから。

自分の犯行がばれてると勘違いした、後に引けなくなった秋雨君は犯人に襲い掛かった。

犯人も秋雨君に応戦して食堂が荒れてしまったんだ。犯人が厨房に逃げ込むと秋雨君も犯人の後を追った。その時に秋雨君は不運にも転んでしまったんだ。

犯人はその瞬間、とっさに厨房の入り口に一番近い机の上の瓶を…醤油瓶を掴んで秋雨君の頭を殴って、その時に瓶が割れて液が飛び散ってしまった。」

 

〈Act.4〉

 

「その後、犯人は凶器を分かりにくくするために残りの調味料の瓶も割って何個かのコップも割った。

そして疑いを僕に向ける為に原稿用紙に僕の名前で若鳩君が書いた手紙を近くに置いてから急いで出て行ったんだ。料理当番の人が来るかもしれないから相当慌ててたんだと思うよ。

ゴミ処理室の鍵は当番の綾織さんが持っているし今更洗濯しても間に合わない。

だから犯人は自分の部屋のベットの下に汚れた服と靴下を隠し、死体発見アナウンスが鳴ってから再び厨房に向かった。」

 

 

「この事件の犯人は調味料の飛沫のついた服を隠していて、深夜3時にならないと補充されないのに砂糖が補充されていたことを知っていて失言してしまった。

誰にも目撃されることなく、犯行の一部始終を終わらせられたのも、自分を襲った秋雨君がたまたま転んだのも秋雨君の不運じゃなくて君の幸運のおかげだったのかな?

 

 

…君が犯人で間違いないよね?【超高校級の幸運】晴天 四葉さん。」

 

 

僕の問いかけに晴天さんは答えなかった。

いや、答えるどころか反応すらせずに膝をついて顔を伏せた状態のままだ。

でもこれが事件の全貌のはずだ。

謎が全部解けた。僕の疑いも唯輝の疑いも晴れた。

これで皆も僕も、生き残れるはずだ。

 

でも…ちっとも嬉しいと思えない。

 

「お~い、ジョーカーもう決まったみてぇだぞ。さっさと終わらせてくれよぉ。」

「はいはーい!ではっ!お手元の絵を押してください!あっ絶対に誰かに投票してくださいよ?

しなかったらお仕置きですからね!こんなつまらないことで死体役になりたくないでしょうし、

まだ出番がほしいでしょー?」

 

若鳩君に促されジョーカーが僕達に話しかけるとウィーンと音が聞こえる。

音のした方に目を向けると手元にある手のひらサイズのパネルに映像が映る。

僕達16人の似顔絵がドット絵に描かれていて縦と横に4個ずつ並んである。これを押せってことか。

 

………。

ただ押すだけ。押すだけなのに。押すことが出来ない。

自分の腕、自分の手、自分の指のはずなのにとても重く感じる。

 

震えが止まらない。

 

吐きそうだ。

 

「ほらほら!早く!!さっさと見せ場を始めたいんですから!」

 

ジョーカーにせかされ晴天さんの絵を押した。

ポチっと音がして晴天さんの絵が灰色になる。

押してしまった。

仕方がない。仕方がない…。

 

僕は、最低だ。

 

何もできない言い訳をして仲間を犠牲にして…。

 

 

「議論の結果が出たみたいですね!果たして投票の結果。クロになるのは誰なのか~?そしてその答えは正解なのかー!」

 

 

 

大きなスクリーンに大きなスロットマシーンが映る。

僕達のドット絵の似顔絵がグルグルと回っていて徐々にスピードが落ちていって

横一列に晴天さんの絵で止まった。

するとスロットマシーンが光ってスロットから大量のメダルが流れ出て、紙吹雪が舞う。

 

 

これで分かった、皆で出した答えは正解だったんだってことが。

 

 

 

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