孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

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※ミニコーナーその5
〜この作品の裏話その1〜

 実を言うとなんで始めたかは作者も分からない。最初期(1〜6話辺り)と今(5,60話以降)を見比べてみれば作り込みに差があるのがよく分かると思われる。

 そもそもドラゴンボールと五等分の花嫁という組み合わせはどう考えても合わない。世界観も違ければジャンルも違う。本当に何故この組み合わせにしたのか分からない。ただ確実なのは、DBとごと嫁がどちらも好きだということ。しかしどういうわけか幾つもの幸運が重なって違和感がなくなった(ようである)。

 未来悟飯が登場する人造人間零奈編は、多くの「未来悟飯を出してほしい!」という要望から生まれた物語である。当初は「人造人間623」というオリキャラを出そうかと考えていたが、色々考えて零奈さんを人造人間化した方がいいと思い、あのような結末になった。
 他にも今では沢山の戦闘シーンが登場する今作だが、最初期は戦闘シーンを入れることは全く考えていなかったが、読者の「やっぱりバトルがないとね」のようなバトル展開を望む声も多かったため、その意見に流された結果、9話よりターレスとクウラが登場、その後にバーダックやセル、魔人ブウなどが登場するきっかけとなった。



第100話 最後の祭りが五月の場合 その2

五月は自分自身の問題に決着をつけるため、自ら無堂に会いに行くことにした。

 

五月「無堂先生こんにちは。五月です」

 

無堂「やあ五月ちゃん。まさか君から来てくれるとは思わなかったよ。僕の言葉に耳を傾けてくれるようになった……ということでいいかな?」

 

五月「もう一度聞かせて下さい。学校の先生になりたいという夢が間違っているのだとしたら、私はどうすればいいですか?」

 

無堂「五月ちゃんが五月ちゃんらしくあってほしい。その手助けがしたいんだ。君は今もお母さんの幻影に取り憑かれている。学校の先生でなければなんでもいいんだ。お母さんと同じ道を歩まないでくれ」

 

五月「何故急に私の目の前に現れたのですか?」

 

無堂「離れていた時もずっと気にしていたさ。罪の意識に苦しみながらね。それがどうだい?まさかこうして父親らしいことをしてやれる日が来るとはね」

 

無堂は誇らしげにそう言う。自分勝手な物言いに悟飯は感情的になりそうだが、共に影に隠れている二乃達に止められたことによってなんとか抑えることができた。

 

無堂「この血が引き合わせてくれたんだ。愛する娘への挽回のチャンスを……」

 

「ガハハ!父親だって?笑わせんな!!」

 

無堂に向けてそう吐き捨てたのは…。

 

勇也「うっーす先生。ご無沙汰」

 

下田「つっても、用があるのはうちらじゃないんだけどね」

 

勇也と下田だった。そしてもう1人…。

 

マルオ「無堂先生。お元気そうで」

 

五月「お二人に加えてお父さんまで……何故ここに?」

 

下田「ん?今どういう状況だ?」

 

勇也「俺らが連れてきたんだ」

 

無堂「中野君……。そうか、君にも謝るよ。きっかけができて本当に良かった。中野君には苦労かけたからね。思い返せば君は人一倍零奈を慕っていた覚えがある。すまなかった」

 

マルオ「いえ、あなたには感謝しています。あなたの無責任な行いが僕と娘達を引き合わせてくれた」

 

無堂「……どうだろう?こと責任に関しては君も果たせてないように見える。だから五月ちゃんはここにきた。頼りない君ではなく、僕のところにね」

 

マルオ「五月君が、ここに?」

 

無堂は人を、マルオを見下すような表情に切り替えてこう言う。

 

無堂「ああ、心中察するよ。これはまさに父親失格の烙印を押されたようなもの……。よければ僕が教えてあげようか?本当の父親の在り方を……」

 

あまりにも好き勝手な言い方に悟飯はまたしても自分を抑えられなくなりそうになるが……。

 

風太郎「冷静になれ。ここはあいつらに任せるんだ」

 

風太郎の一言で再び冷静さを取り戻した。

 

マルオ「何を言っているのですか?五月君はここにはいませんよ?」

 

無堂「なに?」

 

マルオの言葉を合図に、本物の五月が柱の影から姿を表した。実を言うと、今日、五月を名乗って無堂と話をしていたのは、星形ヘアピンをつけて赤色のサマーセーターにブレザーを着用した三玖だったのだ。

 

無堂「………何のつもりだね?」

 

五月「騙してしまいすみません。ですがこうなることは分かってました」

 

無堂「それがどうしたんだい?ただ間違えただけで………」

 

五月「愛があれば見分けられる。母の言葉です」

 

無堂「……!!!」

 

五月の言葉を皮切りに、無堂は急に感情的になった。ようやく本性を現したといったところだろう。

 

無堂「また彼女の話か!!いい加減にしろ!!そんないい加減な妄言をいつまで信じているんだい!!?今すぐ忘れなさい!!お母さんだってそう言うはずだ!!思い出してごらんよ!君のお母さんがなんて言ってたか!!」

 

五月「……確かに、お母さんは後悔を口にしていました」

 

無堂「そうだ!君のお母さんは間違った!!君はそうなるな!」

 

五月「知りませんよ!お母さんがなんて言ってたなんかなんて関係ありまそん!例え本当にお母さんが自分の人生を否定したとしても、私はそれを否定します!!いいですよね?だって私はお母さんじゃないのですから!!」

 

五月の迫力に圧倒されてすっかり黙り込んでしまった無堂を見て、すかさず五月は語り続ける。

 

五月「ちゃんと見てきました。全てを投げ打って尽くしてくれていた母の姿を……。あんなに優しい人の人生が間違っていたはずがありません!!!」

 

悟飯「五月さん………」

 

風太郎「……よくやった」

 

無堂「子供が知ったような口を…!」

 

マルオ「あなたこそ知ったような口振りですね。恩師に憧れ同じ教師となった彼女の想いが裏切られ、傷ついたのは事実。しかしそこで逃げ出したあなたが知っているのもそこまで。その後の彼女が子供達にどれほどの希望を見出したのかをあなたは知らない」

 

マルオは徐々に無堂に詰め寄りながらそう語る。そして最後に、無堂を真っ直ぐ睨めつけながら……。

 

マルオ「あなたに彼女を語る資格はない…!!!」

 

静かに、しかしはっきりと怒りを露わにしながらそう言い放った。

 

二乃「お父さん………」

 

マルオ「五月君。僕もまだ何かを言える資格を持ち合わせていないが、君が君の信じた方へ進むことを望む。お母さんも同じ想いだろう………」

 

五月「………はい」

 

……父親に夢を応援されているという事実を知った五月は、感動のあまり涙を流してしまった。だがこれは悲しんでいるから流れる涙ではない。嬉しいからこそ流れる涙なのだ。

 

だが、五月は涙を拭く。目の前にいる者にとどめを刺さなければならない。彼女は無堂に近づきながらこう語る。

 

五月「……結局最後まであなたから母への謝罪の言葉はありませんでしたね。私はあなたを許さない…!!罪滅ぼしの駒にもなりません!!あなたがお母さんに解放される日は来ません!!!」

 

無堂「……ちっ」

 

五月に圧倒されて何もできない無堂…。

 

無堂「くそぉ!!これだから馬鹿共は嫌いなんだ!!!!」

 

五月「きゃあ!!」

 

マルオ「五月君!!」

 

 

無堂は左手で五月を捕らえ、右手には懐から取り出した包丁があった。本来ならこんなことをする予定はなかった。しかし、彼は悟飯に釘を刺された時、悟飯に恐怖した。だから自衛の為に何か武器になるものをと、包丁を持参してきたのだ。

 

無堂「動くなよ?五月ちゃんがどうなってもいいのか!!?」

 

悟飯「くそ…!!お前ぇ!!!」

 

無堂「おっと動くなと言ってるのが分からないのか!!?五月ちゃんがどうなってもいいのか!!?」

 

五月「そ、孫君!!」

 

命の危機に晒されている五月だが、彼女は真っ直ぐと悟飯を見つめる。以前も似たような状況に陥ったが、そこで見事に五月を救出してみせた。今回もそうしてくれると五月は確信していたのだ。

 

悟飯「………お前の人生は終わりだ」

 

高速移動で五月を救出しようしたその時………。

 

 

 

 

シュン‼︎

 

悟空「よし!おめぇ大丈夫か?」

 

悟飯「お、お父さん!!?」

 

無堂「な、なんだお前!!?」

 

なんと、瞬間移動で現れた悟空が五月を救出したのだ。

 

悟空「ああ…?もしかして、おめぇが例の五つ子の娘っ子の父親か?」

 

悟飯「な、なんでそのことを……?」

 

悟空「ピッコロだよ。おめぇらのやり取りを聞いてたみたいでよ」

 

悟飯「な、なるほど………」

 

無堂「こ、この野朗ぉおお!!!」

 

人質を失った無堂はヤケになって悟空の方に突進する。

 

 

シュン‼︎

 

その両足で無堂の頭を掴み…。

 

零奈「だりゃあ!!!!」

 

ドンッッッ!!!!

 

無堂「ぐわっ…!!!」

 

下田「せ、先生!?先生じゃねえか!!!?」

 

なんと、零奈が足を使って無堂を地面に倒した。

 

悟空「全くよ。自分の娘に刃を向けるってどうかしてんぞ。馬鹿なことやってねえで働け」

 

そう言うお父さんも働き始めたのはつい最近じゃないですか…。と言いかけた悟飯だったが、なんとか抑えた。

 

悟飯「五月さん、大丈夫?」

 

五月「は、はい……。なんとか」

 

悟飯「良かった……。さてと……」

 

無堂「ぐぬぬっ……!!お前…!!!れ、零奈!!?何故ここに!!?」

 

零奈「色々あって生き返ることができました。さて、先程の件については、私がかつて愛した人として特別に見逃してあげます」

 

無堂「れ、零奈!!生き返っただと!?一体どういう………」

 

零奈「それと、一つ補足させて下さい。私は確かに生前に後悔を口にしていました。私のようになるなと五月にも何度も言いました。でもそれは、私が教師になったことに対してではありませんよ」

 

 

あなたと出会ったことですよ」 

 

 

無堂「……!!!れ、零奈……」

 

零奈「ですが、あなたと出会ったから娘達がいると思うと、後悔の一言で済ませるわけにはいきませんね…。娘達と巡り会わせてくれたことに関しては感謝します。さあ、早く娘達から離れてください。もしこのまま居続けるようなら……」

 

そう言いながら、零奈は戦闘体制を整えた。

 

その姿に無堂は完全に無気力になり、トボトボとその場を去っていった。

 

二乃「五月!!?」

 

一花「大丈夫!!?怪我はない!!?」

 

三玖「遠慮しないで言って!!」

 

四葉「何かあってからじゃ遅いもん!!!」

 

五月「わ、私は大丈夫ですよ!?」

 

取り敢えず事が済むと、勇也と下田、助けてくれた悟空にも礼を言った。そして………。

 

五月「お父さん。ありがとうございます」

 

マルオ「…………」

 

零奈「全く…。素直じゃありませんね、マルオ君は………」

 

マルオ「零奈さん………」

 

零奈「五月。母親でありながら、あなたの悩みに気づけなくてごめんなさい…」

 

五月「いいえ、いいんです。結果的に私の気持ちも整理することができましたから………」

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃。無堂はトボトボと歩いて帰宅中…………ではなかった。

 

チチ「おめぇかぁ!!実の子供に刃を向けた不届き者はぁ!!!」

 

無堂「や、やめ……ゲフッ……!!?」

 

ブルマ「ち、チチさん!?流石にそろそろやめましょうよ!ね?」

 

チチ「許せるわけねえだろ!!?五月さはオラの娘みたいなもんだべよ!?悟空さも零奈さんも詰めが甘いだよ!!!いっそのこと悟飯ちゃんがかめはめ波を食らわせてもいいだぞ!!?」

 

ブルマ「そんなことしたら死んじゃうわよ!!?」

 

しばらくチチのサンドバッグにされていたが、それを知るのはほんの数人だけだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

『上杉君。孫君。

 

今日の全てが終わる頃、私達は各々の部屋で待っています

 

各々の想いをかかえたまま……

 

 

 

 

 

 

 

あなたを待っています』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の祭りが風太郎&悟飯の場合

 

風太郎「なあ悟飯。まだあそこにいなくて良かったのか?」

 

悟飯「うん。あれはもう家族だけの時間でしょ?邪魔しちゃ悪いよ」

 

風太郎「それもそうか………」

 

シュン‼︎

 

悟飯「お、お父さん!!?」

 

五月達の勇姿を見届けた悟飯と風太郎は屋台に戻る為に歩いていたが、五月と共に瞬間移動で悟空が現れた。

 

悟空「んじゃ、また後でな!」

 

シュン‼︎

 

五月を送り届けた悟空はまた瞬間移動してどこかにいった。

 

風太郎「随分ド派手な登場だな、五月」

 

五月「まだあなた達にはお礼を言えてなかったので」

 

風太郎「そんなの後ででもいいだろ?それに俺は何もしてないしな」

 

五月「そんなことありませんよ。あなたの言葉のお陰で分かりました。お母さんがいなくなってから、その寂しさを埋める為にお母さんに成り代わろうとしていました。そうしているうちにいつの間にか自分とお母さんの境界線が曖昧になってしまい、自分の夢までも自信を持てなくなってしまいました」

 

風太郎「……おい悟飯。まさか……」

 

悟飯「はは…。僕だけだと風太郎が薄情者みたいじゃん?」

 

風太郎「そんなこと気にしなくてもいいっての…………」

 

五月「…お母さんを忘れなくてもいい。お母さんに憧れてもいい。それに気づかせてくれたのは、上杉君です。ありがとうございます」

 

風太郎「………おう」

 

五月ははにかんだ笑顔で風太郎にお礼を言った。五月から素直に礼を言われるのが慣れていないためか、前髪を弄りながらそっぽを向く。

 

五月「それと、孫君」

 

悟飯「うん?」

 

五月「私はあなたがいてくれたから、何かあった時はあなたが守ってくれると確信していたから、勇気を出せました。ありがとうございます」

 

悟飯「いいよ。それに今回はお父さんと零奈さんに助けられちゃったしね…」

 

五月「……ほんと、孫君は自信というものが足りませんよね………」

 

そう言うと、五月は急に顔を近づけ、優しく悟飯の唇にキスをした。

 

悟飯「…………えっ!!!!?」

 

風太郎「お、お前!何やって…!!」

 

悟飯だけでなく、風太郎も目の前にいると言うのにお構いなしにキスをしたということで、悟飯は顔を真っ赤にするし、風太郎も前髪をいじりながらも注意をした。

 

五月「……君は凄い人だよ。もっと自信を持って!君は私の理想なんだから!」

 

悟飯「…………」

 

この時、五月が初めて悟飯に対してタメ口を聞いた。例え家族相手にも敬語で話していた彼女がタメ口を聞いたのだ。その喋り方が珍しいと感じたと同時に、悟飯はしばらくそんな五月に見惚れていた。

 

風太郎「……だってよ。良かったな、悟飯」

 

五月「拗ねないで、上杉君。君だって私の理想なんだよ?それだけ聞いてほしかったの!」

 

風太郎「………そうかよ」

 

そっけない返事をする風太郎だったが、どこか嬉しそうな様子だった。

 

悟飯「い、五月さん……!その喋り方…」

 

五月「あっ……!ほら!母脱却ということで……!!何か変でしょうか!!?って、ああ!!?戻っちゃいます!!」

 

風太郎「居心地悪いから普段通りにしてくれ」

 

五月「そ、そんなこと言わないでくだ……言わないで!!」

 

悟飯「………僕はその喋り方の方が好きだけどなぁ……」

 

五月「えっ?」

 

風太郎「なんだって?」

 

悟飯「あっ、いや!なんでもない!」

 

悟飯の呟きを聞き取れなかった五月と風太郎は聞き返すも、悟飯はその場で誤魔化した。……だが、本当は五月にはその呟きが聞こえていた。照れて少し足早になる五月を見て、微笑ましくなってしまった。

 

五月「孫君!待って〜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

この学園祭は色々なことがあった。風太郎は一花に誰を選ぶのかしつこく聞かれたり……。無理する四葉のサポートをしたり、過労で疲れた四葉のケアをしてあげたり……。

 

悟飯は、本編中で描写されてた通り、とにかく本当に色々あった。ただでさえ彼らにとっては特別な学園祭だったが、良くも悪くも思い出に残るものとなっただろう……。だが、そんな悪いことも、時が経てばいい思い出となるものばかりだった。そういった意味では最高の学園祭だったのかもしれない。

 

だが、このまま学園祭を終わらせてはいけない。悟飯と風太郎には、最後にやるべきこと……。彼らにしかできない大仕事が1つ待っていた。

 

彼らは今、四葉が作った休憩所にて前田や武田と共に談笑をしていた。

 

風太郎「前田、何を落ち込んでんだ?」

 

前田「いや、明日からまたいつもの日常になると思うと落ち込むなぁって」

 

武田「なんでだい?僕は授業を受けられることにワクワクしているよ!」

 

風太郎「同じく」

 

前田「お前ら異常者には分からねえよ!!孫はどうだ!!?」

 

悟飯「あはは…。前田君の気持ちは分かるよ。もうすぐで終わるんだね、学園祭………」

 

風太郎「ああ。終わっちまう寂しさはあるよな………」

 

武田「僕的には楽しめたけど、上杉君は違うのかい?」

 

風太郎「微妙だな。基本裏方仕事ばかりしていたからな。最後の学園祭で何してんだか…………」

 

悟飯「僕も色々あったからなぁ…。楽しかったのは勿論だけど、忙しかったからね……」

 

前田「なんだお前ら。勿体ねえな。だったらいつまでもこんな所に座ってないでなんか屋台に食いに行こうぜ?」

 

風太郎「そうだな。腹減ってるし行くか。ずっと食ってねえし、行けずじまいの店もあったしな。それが終わったら、俺は約束があるしな………」

 

武田「なるほどね」

 

最後の意味深な一言だけで武田は殆ど察し、前田が五つ子なら授与式で見かけたことを伝える。

 

前田「確か一花さんも授与式の時にいたから5人勢揃いだったぞ」

 

武田「へぇ?前田君、よくあの一瞬で一花さんだと分かったね」

 

前田「ま、まあ……。おかしな話だが、前から一花さんだけはなんとなく分かってたんだ……。文句あったコラ!!」

 

武田「へー、なんでだろうね?」

 

風太郎「さあな」

 

愛があれば見分けられる…。この言葉は零奈が言った言葉であり、五つ子の祖父も言った言葉である。その言葉はどうやら本当のことだったようだ。

 

武田「上杉君と孫君は当然見分けられるんだろう?」

 

風太郎「えっ?」

 

悟飯「あはは……。僕は気に頼っているから、顔だけだとちょっと厳しいかもしれない………」

 

風太郎「確かにな。そう言われると自信はないが、最初は今以上に戸惑ったな。ただでさえ人の顔が覚えるのが得意じゃないし、その上であいつらはその利点をフル活用してきやがる。何度騙されたことか…………」

 

風太郎は去年とはいえ、昔を懐かしむように語る。彼女達との思い出を語っていくうちに、風太郎の顔はどんどん柔らかいものとなっていることに本人も気づいていなかった。

 

風太郎「最後まで困った奴らだよ。本当に………」

 

前田「よく言うぜ」

 

武田「ふと気になったんだけど、一体彼女達の誰から見分けられるようになったんだい?」

 

武田の突拍子な質問に風太郎は誤魔化して屋台に逃げようとするが…。

 

武田「ははは!待ちたまえ。今の間はなんだい?」

 

前田「おい武田、どういうことだ?」

 

武田「それは上杉君に聞こうじゃないか!」

 

風太郎「やめろ!離せ!!」

 

逃げようとする風太郎だが、基本的に力は貧弱だ。武田に掴まれただけですぐに無力化された。

 

悟飯「まあまあ、風太郎もそろそろ観念すれば?近々どうせバレるんだし」

 

前田「はっ?ど、どういうことだ?」

 

武田「そういえば、孫君はどうして急に上杉君の呼び方を変えたんだい?」

 

悟飯「まあ、色々あったんだよ、色々」

 

武田「色々…?その部分を僕は聞いたんだが……」

 

悟飯「まあ、武田君達なら別にいいか」

 

ということで、悟飯が風太郎の呼び方を変えた理由を要約して話すと…。

 

魔人ブウを討伐する時に風太郎も協力してくれた。そして風太郎が『お前共に戦えること』が自慢だと言ってくれた。それが嬉しくて……。同時に対等になれた気がした。だからこそ呼び方を変えたのだ。

 

悟飯「……こんな感じ」

 

前田「んだそれ!!?熱すぎるだろ!!?」

 

武田「これぞ男の友情……ってね」

 

風太郎「お前…!!わざわざ言うこともないだろうが!!」

 

悟飯「別にいいじゃん。どうせこの後告白するんだから」

 

……と、悟飯は風太郎にとっての爆弾を投下した。

 

前田「告白……?」

 

武田「上杉君が………?」

 

前田「ま、まさか…!?あの五つ子の中の誰かが好きなのか!!?」

 

風太郎「………悟飯、後で覚えてろよ?」

 

悟飯「ええ?ただ事実を言っただけじゃん」

 

風太郎「親しき仲にも礼儀ありって言葉を知らねえのかお前は…!!」

 

悟飯「はははっ!!!」

 

悟飯と風太郎は2年前から友人関係にあった。しかし、悟飯だけはどこか遠慮気味だったのだ。しかし、悟飯が風太郎とは対等な関係だということに気付いた……。いや、感じたからこそだろうか?少し遠慮がなくなって、本当に仲のいい親友同士のように見えた。

 

ただ勉強ができるから……。同じ家庭教師だからというだけではない。そんなものに関係なく、彼らは親しくなったのかもしれない……。

 

武田「さて上杉君。観念して話したらどうだい?」

 

風太郎「うっせー!黙秘黙秘!」

 

武田「水臭いじゃないか上杉君!僕らの仲に秘密は無粋!!」

 

風太郎「知らねえ!てか離せ!!」

 

前田「やっぱり誰かが好きなんだろ?五つ子のうちの1人が………」

 

武田「いや、待て待て冷静になろう。彼らの友情については認めるよ?だがあくまで家庭教師の延長線上……それに、こんな受験への佳境でそのような余裕が生まれると思うかい?」

 

確かに武田の言うことも一理ある。受験を控えているのに付き合い始めたら、それこそ勉強がおそろかになって失敗する可能性がある。特に風太郎のように常に高成績を残してきた優等生にとってそれは大きな痛手だろう。

 

前田「よっしゃ!!俺は今から告白しに行く!!」

 

風太郎「はっ?なんでだよ?」

 

悟飯「えっ?もう既に松井さんと付き合ってるんじゃなかったの?」

 

前田「確かにそうだが、付き合った後で想いを伝えちゃいけないなんて決まりや風習でもあるのか?こういう時だからこそ伝えるのがいいんじゃねえか!!」

 

悟飯「………そっかぁ。そういうことだったんだね」

 

以前、五つ子(3人)の猛アプローチっぷりに見ていられなくなった武田に返事をしてあげたらどうだい?と言われた事があった。その時に、学園祭までには返事すると言った。その時に前田に『意外とロマンチックなことをするんだな』と言われた。

 

当時の悟飯はこの意味が分からなかったが、今はその意味がよく分かった。

 

前田「ということで上杉。覚悟を決めろ。孫だって今日までには返事するって約束したんだろ?そうだよなコラ?」

 

悟飯「………そうだよ」

 

武田「いや、待ちたまえ!急に何を言い出すんだい?学生の本分は勉強であって………」

 

風太郎「確かにそうだ。学生の本分は学業。それ以外は不要だと信じて生きてきた。だが、それ以外を捨てる必要なんてなかったんだ。

 

勉強も、友情も、仕事も娯楽も恋愛も、あいつらは常に全力投球だった。凝り固まった俺にそれを教えてくれたのはあいつらだ」

 

たったそれだけのことに気づくまでにここまで待たせてしまった。風太郎は内心そう呟きながら……。

 

風太郎「きっと昔までの俺だったら、今この瞬間も悟飯だけ……。いや、1人だったかもしれないな。なんならこの3日間で1日も外出しなかったかもしれん」

 

武田「ふっ……」

 

前田「上杉……。何カッコつけてんだよ」

 

風太郎「か、カッコつけてなんてねえよ!!」

 

武田「僕はかっこいいと思うよ?」

 

風太郎「いや、そういうのもやめてくれ………」

 

武田のあざとい褒め言葉は流石の風太郎も拒否反応を起こしてしまったそうだ。

 

悟飯「でもさ、風太郎って魔人ブウの時もそうだけど、たまに素で臭い台詞を言うよね。あれはほんと不意打ちだよ」

 

風太郎「お前まで……。もういい!屋台行くぞ!!」

 

悟飯「ありゃりゃ…。怒らないでよ〜!ちょっとした冗談なのに……」

 

風太郎「少しでも謝る気があるなら奢ってくれ。金がないからな」

 

悟飯「まあそれくらいならいいよ。ただし出世払いね?」

 

風太郎「えぇ…。ここは奢る流れだろうが……」

 

どうやら遠慮がなくなったのは悟飯だけでなく風太郎も同様のようだ。少し前なら、風太郎自ら奢ってくれと言うことはないだろう。悟飯相手だからこそなのかもしれない……。

 

悟飯「嘘嘘。ちゃんと奢ってあげるよ。何が食べたい?」

 

風太郎「その前に1箇所寄らせてくれ」

 

悟飯「うん。いいよ。でもどこに行くの?」

 

風太郎「それはな………」

 

「この休憩所マジ助かる〜……」

 

「楽しかったね〜。もう歩けないよ…」

 

「というか、ここ初日からあったっけ?」

 

「あれ?どうだったっけ?」

 

生徒がそんな会話をしているのを見て、四葉の努力が役立っていることがよく分かり、自然と口角が上がっていることに風太郎は気づかなかった。

 

前田「つか、金がねえなら何で屋台に行こうと思ったんだよ?悟飯に拒否られたらどうするつもりだったんだ?」

 

風太郎「……決まってるさ。最後まで学園祭を楽しむ為さ」

 

 

 

 

 

悟飯達が前田や武田と談笑する少し前の話……。

 

五月「それで、私達がそれぞれ待っている教室ですが………」

 

風太郎「ま、待て待て!何もお前らがそこまでする必要はねえ!」

 

悟飯「そ、そうだよ!」

 

五月「私達で話し合って決めたことです。それに、あなた達が真に気にすべきはその先…………」

 

あなた達が向かうべき教室はただ1つ。この提案が逆にあなた達を困らせてしまうことは分かってます。

 

 

 

これが、私達の覚悟……。

 

 

どうかそれを理解して下さい……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟飯「………どうやら、僕と風太郎の向かう教室は別にあるみたいだね」

 

風太郎「そうじゃなきゃ困る…」

 

悟飯「だね……。それじゃ、頑張れ」

 

風太郎「悟飯もな……」

 

2人は軽く拳を合わせた後、それぞれ向かうべき教室に向かっていた。

 

風太郎が向かうのは、恐らく四葉か一花がいる教室のどちらか……。

 

悟飯が向かうのは、二乃、三玖、五月のいる教室のうちのいずれか……。

 

 

これまで散々悩まされた。最初に告白されたのは五月。二乃と大喧嘩をした末に家出し、財布を忘れたのに家に帰らないと言い張る五月を心配して悟飯が庇う形で泊めた日の夜…。

チチが媚薬を入れたことによって五月が大暴走し、彼女の気持ちを知ることとなったと同時に、五つ子を恋愛対象として見るきっかけになった。

 

 

それから次に告白されたのは二乃。最初は彼女に嫌われていたこともあって、まさか好意を持たれているとは思いもしなかった。五月に告白されたこともあり、自分の気持ちを分析していたところにもう1人加わったとなれば混乱するのも仕方のないこと。

だが、彼女にいきなり好意を抱かれたことを知っても、別に不快感は感じなかった。それは悟飯の優しさ故なのだろう。

 

 

そして、最後に三玖……。彼女は大人しく、最初は何を考えてるのかも分からなかった。だが、悟飯達が関わると彼女は目覚ましい成長を見せた。学園祭時のクラスの分断を解決したのなんかはいい例だろう。他にも、悟飯にしか見せない一面もあった。彼女は何故か悟飯に対して意地悪をすることがある。もしかするとそれが本来の三玖なのかもしれない………。

自分が彼女の成長のきっかけになったと思うと、何故だか嬉しくなってしまった。

 

はっきり言って、一夫多妻が認められるなら悟飯は全員選んでいたかもしれない。それくらいにみんなが好きだった。

 

 

だが、いつまでもこの関係を続けるわけにはいかない。複数の女の子とキスをするようなことはもうあってはならない。悟飯は自分の頬を叩いて緊張を解そうとする。そして、意を決して教室の扉を開ける………。

 

 

ガラッ

 

悟飯「お待たせ………」

 

悟飯が選んだ人は…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟飯「…………あれ?」

 

しかし、その教室には誰もいなかった……。

 




 教室には誰もイマセンデシター……。
 これが何を意味するんでしょうかねぇ…。悟飯が選んだ子は二乃、三玖、五月の中の誰かなので、この中で一番逃げそうな子は三玖……と言いたいところですが、三玖は98話は見れば分かる通り、精神面でとても成長しているんですよね〜……。
 ちなみに振られたわけではありませんよ。3人ともあんなアプローチをしておきながら振るとは思えませんしね。悟飯はその子の教室に行く前に別の子の教室に入室しているわけでもないですし。

 まあその辺も込みで次回判明するんですけどね。さて誰でしょうねー?(すっとぼけ)

 100話達成!!長すぎるww。ここまで伸びるとは、たまげたなぁ……。
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