孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

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※ミニコーナー
〜悟飯が与えた影響〜

 今作は悟飯がいることによって、大分ドロドロとした展開が少なくなっている。原作の修学旅行の時のような蹴落とし合いは発生していない(バビディによる一花闇落ちは例外)。それに加え、素直な性格の悟飯のお陰で五月が割と初期から授業を受けてくれたり、三玖がやたらと積極的になっていたりする。それに加えて風太郎の負担が無茶苦茶減っている。
 更には四葉の悩みの解決を手助けしていたり、一花のサポートも少なからずしていたり……。とにかく悟飯が与えた影響は割と大きい。しかし二乃、三玖、五月の3人が若干ヤンデレの兆候を見せており、必ずしも良い影響ばかり与えているとも言い切れないのもまた事実。悟飯があまりにも優しすぎるけど、超鈍感だからこうなってしまったのだろうか……?



第101話 運命の時

悟飯「……どういうことだ…?この教室で間違っていないはずなんだけど……」

 

もしかすると隠れているのではないかと思い、教室中を歩き回ってみたがどこにも彼女の姿は見当たらなかった。

 

悟飯「…………ど、どういうことだ…?」

 

悟飯が聞いた説明では、彼女達がそれぞれの教室で待っていると言っていたはずだ。しかしそこにはいない…。それはつまり………。

 

悟飯「も、もしかして、僕振られた…?」

 

そんなネガティブな思考が過ってしまう。だが……。

 

悟飯「い、いやいや……。今までの彼女を思い出せ…。そんなことはないはずだ……!きっとどこかに……!!」

 

教室を出たと同時に悟飯は駆け出す。彼女が自分を振るはずがない。今まであんなに猛アプローチをしてきて、長い間返事を待ってくれていたのだ。そんな彼女が今更自分を振るなど到底考えられなかったのだ。

 

五月「あっ、孫君…!」

 

悟飯「五月さん!!」

 

悟飯は五月を見つけ次第すぐに駆け寄る。

 

悟飯「あの、五月さん………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五月「孫君。今は私と話している時間はないはずです。早く彼女を探してあげて下さい」

 

悟飯「で、でも…………」

 

 

………悟飯が選んだのは、五月ではなかった

 

 

五月「余計な気遣いは不要です。そういった気遣いは返って人を傷つけるんですよ?」

 

悟飯「………分かった」

 

それだけ言うと、悟飯は再び"彼女"を探す為に駆け出す。五月はふと手を伸ばしかけたが、すぐにその手を引っ込めた。

 

自分は彼に選ばれなかったのだ。もう彼は自分の手に届くところにはいないのだ…。それが分かってしまった途端、目から何か流れてくるのを感じた。

 

五月「………私はなんて嫉妬深いのでしょう……。例え姉妹の中で誰が選ばれようとも祝福するって、決めたはずなのに……………」

 

自分が選ばれなかったという事実を突きつけられ、ただひたすらに涙を流し続けた。彼に慰めてほしい。でも彼は私のものではなく彼女のものなのだ。彼に抱きしめてもらえない……。彼の温もりを感じてはいけないのだ……。

 

「………五月」

 

呼びかけられたので振り返ると、そこにはもう1人。悟飯に選ばれなかった自分の姉の姿があった。その姿を視認した瞬間、五月は無意識に目の前の姉に飛び込んでいた。

 

五月「終わり、ました……。終わっちゃったよぉ………!!」

 

「…………」

 

五月の涙に釣られて、五月の姉も涙を流してしまう。そんな五月を見た姉は五月を抱き寄せ、背中を軽く叩いてあげる…。誰もいない廊下に、2人だけの小さな泣き声だけが、虚しく響いていた…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走る…。

 

走る………!

 

ただ走る……!!

 

 

悟飯は彼女を見つけるまでとにかく走った。彼女を見つけ出すため…。彼女が何故教室にいなかったのかを聞き出すために………。

 

それだけじゃない。

 

 

 

悟飯は、愛おしく感じる彼女の顔を見たかった。

 

 

悟飯「………やっと見つけた」

 

ようやく見つけることができた。悟飯はその彼女の手を取り、立ち上がらせた。

 

「………な、なんで私なんかを……放っておいて」

 

悟飯「そうはいかないよ。なんで教室にいなかったのかを聞きたいし、僕の返事も聞いてほしいからね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二乃さん」

 

 

そう。悟飯が選んだのは、五月でも三玖でもなかった………。初対面は本当に最悪だっただろう。なんなら睡眠薬も仕込まれたり、度々授業の妨害をされたりと散々だった。

 

それでも、それを加味しても、悟飯が二乃を選んだのだ。

 

二乃「いいわ。あんたの返事なんて分かってるもの。それで、どっちを選んだの?五月?それとも三玖?」

 

悟飯「二乃さん………」

 

二乃「言っとくけど、変に気を使われると返って傷つくのよ。今は放っておいて」

 

悟飯「二乃さん……!」

 

二乃「そうよ……。私なんかが選ばれるわけないわよ…。あんたは優しいものね…。きっと心配してここに来てくれたんでしょ?」

 

悟飯「違う!違うんだ!!」

 

二乃「じゃ、じゃあ何よ?」

 

悟飯「僕は…!君を選んだんだよ!!五月さんでも三玖さんでもない!他でもない君を!!!」

 

周りにいる人にも聞こえてしまうのではないかというほどの大声でそう告白した悟飯に、二乃は信じられないといった様子で口を両手で覆った。

 

二乃「な、なんで私なの…?そんなはずないわよ…。初対面で睡眠薬を入れたり、度々授業を妨害したのよ?そんな私より、甘えん坊な五月や健気な三玖の方がずっと…………」

 

まるで昔の三玖のようにネガティブな思考に陥っている二乃を見て、悟飯はある結論に辿り着いた。二乃がここまでネガティブな思考沼に陥っている理由が分かったのだ。

 

悟飯「…………もしかして、魔人ブウに言われたことを気にしている…?」

 

二乃「……!!!」

 

どうやら図星だったらしい。その言葉を聞いた途端、顔をあげて悟飯の方をじっと見てきた。

 

冷静に考えればそうなってもおかしくないだろう。特に睡眠薬の混入など、故意にやってるなら殺人未遂に問われる可能性があるほどの行為だ。

 

それに、今まで散々悪口を言ってきたし、嫌がらせもしてきた。それなのに好きになった途端に態度を180°変えてきたのだ。人によっては不快感を感じてもおかしくない行動ではある。悟飯だからよっぽどの悪人ではない限り拒絶するようなことはない。でも、恋愛となれば話は別。急に態度を変えてくる人と一緒に過ごしたいかと言われれば、NOと答える人が多いだろう。

 

悟飯「………確かに、冷静に考えてみると少し常識に欠けた行動だったのかもしれないね………」

 

二乃「そ、そうよね………」

 

悟飯「でも、それは家族を守るためだった………。そうでしょ?」

 

二乃「まあ、確かにそうだけど……」

 

悟飯「僕達に明確に悪意を持ってその行動を取ったわけじゃないんでしょ?ならいいよ。僕は何も気にしない」

 

二乃は悟飯がただ自分を慰める為に気を使ってくれているのではないかと思ったが、次の言葉を聞いてそういうことでもないことがはっきりと分かった。

 

悟飯「僕は幼少期の頃からずっと戦っていたんだ。相手にしてきたのはみんな悪い奴ばかりだったよ。戦いが好きだって理由で人を傷付けたり、自分に逆らうからって人々を虐殺したり……。僕はそんな奴らばかり相手にしてきた」

 

二乃「……………」

 

悟飯「だからこそ、二乃さんみたいに家族愛に溢れる子に惹かれたのかもしれない……。人を大切にできる君に…」

 

二乃「……!!」

 

悟飯は決して愛に飢えていたわけではない。母親であるチチや父親の悟空に虐待されていたわけでもなく、しっかり愛情を持って育てられた。だが彼の目の前に現れる敵達は人を、命を大切にしない極悪人達ばかりだった。そんな奴らと戦うのは悟飯は嫌いだった。でも戦わなければ生き残れなかった。守れなかった。だから悟飯は戦った。

 

そんな風に命を粗末にする者達ばかりを相手にしてきたから、人を……。家族のことを想って行動する二乃に自然と惹かれたのかもしれない。

 

二乃「そ、それなら、三玖や五月だって………」

 

悟飯「そうだね。でも僕は二乃さんに惹かれていった……。正直僕自身もよく分かってないことが多いんだ。いつ二乃さんのことが好きになったのかも分からない。だけど、今は君のことが愛おしくてたまらない…。それだけは分かるんだ」

 

二乃「………口だけなら、なんとでも言えるわよ…」

 

弱々しく二乃はそう言った。どうやらまだ自信を取り戻せていないらしい。もしくは悟飯が気を使ってくれていると思い込んでいるのだろうか?

 

悟飯「……二乃さん。こっち向いて」

 

二乃「えっ……?」

 

こっちを向いて、と言っておきながら悟飯は手で二乃のクイっと上げる。そしてゆっくりと自身と彼女の唇を重ね合わせた。

 

二乃「!!!?」

 

それだけじゃなかった。悟飯は彼女の背中に腕を回して抱き寄せた。それによって悟飯の体温を感じるほどに密着していた。突然の出来事に二乃は顔を真っ赤にして硬直してしまう。だけどすぐに動きだした。二乃もまた悟飯がしたように彼の体に腕を回し、強く抱きしめた。

 

互いが互いに『()()()()()()()()()』と言っているような、そんな抱擁だった。

 

 

しばらくして、どちらともなく重なっていた唇を離した。

 

悟飯「………ど、どう?僕の本心だってこと、理解してくれたかな…?」

 

悟飯は、ただ慰めるだけでキスをするような人ではない。それは二乃もよく分かっていた。彼はキスをされたことこそ何度もあれど、自分からキスしたことは一度もなかった。つまり、悟飯の意思でキスをした相手は二乃が初めてということになる。

 

二乃「…………うん」

 

互いに顔が真っ赤だった。もう夜なので誰かに見られても夕日のせいにはできない。

 

悟飯「…………ねえ、二乃さん」

 

二乃「……なーに?」

 

悟飯「あんなことをした後でこんなことを言うのは野暮なのかもしれない。だけど言わせてほしい」

 

悟飯が何か重要なことを告げることを察した二乃は、真剣な顔のまま悟飯の顔をじっと見る。見られて少し照れそうになる悟飯だったが……。

 

悟飯「……僕と一緒に過ごすことになると、これから二乃さんは様々な危険に晒されるかもしれない………。それに、魔人ブウよりももっと強い敵が現れた時、僕は君を残して死んでしまうかもしれない……」

 

二乃「はぁ……。言いたいことはなんとなく分かったわ」

 

悟飯が懸念しているのは、掻い摘んで説明すると、これから沢山二乃に迷惑かけるだろうから、それが嫌なら自分のことを見捨ててもらっても構わないと言いたいのだ。

 

二乃「あのね、女の子は好きな男の為なら、例え火の中だろうと水の中にだろうと戦場の中だろうと、どこにだって飛び込めるのよ?」

 

悟飯「二乃さん………」

 

二乃「それに、私だってこれから沢山迷惑をかけるんだもの。お互い様よ。それに、あんたは守るものがある限り無敵よ。決して負けることはない。例え一時的に負けることはあっても、最後には必ず勝利してくれる。私達を……私を守ってくれる。そう信じてるわ」

 

悟飯「……うん。君のことは必ず守る。例えこの身が滅ぼうとも………」

 

二乃「それだけはやめて…。あんたがいなくなったら、私は何を楽しみに生きていけばいいのよ?」

 

悟飯「そうだね…。逆なら僕も耐えられないよ」

 

今まで自分に対して好意が向いてないと思っていた分、今は嫌でも意識してしまう。二乃ら彼の言動にいちいち反応してしまい、真面目な話をしてるのに嬉しさでニヤけてしまいそうだ。

 

悟飯「……はっ!」

 

カァァッ!!!!

 

二乃「えっ!!?何してるのよ!!?」

 

突然空に向けて気弾を放った悟飯にそうツッコむ二乃。確かに悟飯の行動は意味不明だった。だが、彼の行動の意味はこの後すぐに判明する。

 

スッと、悟飯は右手を伸ばし、彼女にこう言った。

 

 

悟飯「好きです…!僕と踊ってくれませんか?」

 

 

 

ドォォオオオンっ!!!

 

 

丁度いいタイミングで上空で爆発が起こった。ただ、戦闘中によく見慣れた爆発ではなかった。ベジータ風に言えば汚い花火ではなかった。

 

…………誰もが一瞬見てしまうような、そんな綺麗で鮮やかな花火だった。

 

二乃「………そんなの、決まってるわ」

 

まさかのサプライズに思わず驚いてしまった二乃だったが、答えはもう決まっていた。

 

二乃「………はい、喜んで…!」

 

と、悟飯の手を取った。

 

悟飯は言葉にするのは苦手なのかもしれない。何せ初めての告白だ。それに恋愛関連の知識も同年代に比べて圧倒的に少ない悟飯だ。上手い言い回しなどできるはずもない。

 

そう無意識に感じ取ったからだろう。悟飯は行動で示すことを選んだ。結果として二乃にもそれが伝わった。悟飯の選択は正しかったようだ。

 

悟飯「………それじゃ、行こうか」

 

二乃「………うん」

 

悟飯は二乃の手を取り、校庭の真ん中で燃えているキャンプファイヤーの近くまで歩いた。周りには既に何組かのカップルがフォークダンスを始めていた。

 

二乃「…………ねえ」

 

悟飯「………うん?」

 

二乃「私、今すっごく幸せな気分よ」

 

悟飯「僕もだよ、()()

 

二乃「〜!!っ」

 

またしても不意打ち。突然呼び捨てで呼ばれたものなので、二乃が驚いてしまった。

 

悟飯「い、嫌だったかな……?せっかくだから呼び方変えようかなって……」

 

二乃「……ううん。すっごくいいよ、悟飯」

 

悟飯「……!!!」

 

この時の二乃は少々意地悪な顔をしていた。先程の不意打ちの仕返しだろう。その仕返しは効果絶大だったようだ。

 

悟飯「ははは……。やっぱり君には敵わないや………」

 

彼らは両手をしっかり繋ぎながら、初めてのフォークダンスを踊る。2人とも動きはぎこちないものだった。それでも2人の顔はとても幸せそうなものだった。見ているだけでも自分が幸せになれそうなくらいに……。

 

二乃「………絶対に離さないから。浮気とかしたら承知しないんだからね」

 

悟飯「僕も絶対に離さないよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

武田「なるほどね…。てっきり末っ子の五月さんかと思ったが……。これは意外だね」

 

隅でこっそり悟飯と二乃が踊っているのを見届けた武田は、1人でその場に座っていた。武田はモテる方であり、告白された回数も数え切れない。無論今回も例外ではなかったのだが、武田はまだ誰とも付き合う気はないようだ。

 

武田「さて…。頼むから、これが原因で勉強を疎かにすることだけは避けてくれたまえよ…。君は僕のライバルなんだから…………」

 

そう言うと、武田はその場をクールに去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、後夜祭後のフォークダンスイベントも終了した。

 

二乃「……まるで夢みたいだわ。ハー…悟飯からあんなに好きって言われるなんて………そ、それに…………」

 

悟飯「夢じゃないよ。長い間待たせてごめんね…………」

 

二乃「こっちこそ……、会ったばかりの時はごめんなさい……」

 

悟飯「………なんだか、謝ってばっかりだね、僕達………」

 

二乃「……ふふっ。確かにそうね…」

 

些細なことでもクスッと笑い合うところを見るに、本当にお似合いのカップルなのかもしれない。実は悟飯と二乃が踊っているところは結構な人数に見られていたりする。その為……。

 

「二乃〜!!」

 

「おめでと〜!」

 

二乃の友達2人が声をかけてきた。

 

「いや〜、二乃の初恋相手って孫君だったんだね。なんか意外だよ」

 

「でもいいよね〜。初恋相手と結ばれるなんて………」

 

悟飯「は、ははは…」

 

二乃「うん。私には勿体ないくらいに素敵な人よ!」

 

 

 

 

 

 

 

同時刻…。風太郎は四葉が待機している保健室にて待機していた。本来ならいるはずの四葉がいないので待機していたのだ。スマホをベッドの上に置き忘れているのを確認した風太郎は、いつか戻ってくるだろうと予測して待ち続けていた。

 

そして、風太郎の予測通り四葉は保健室に戻ってきた。

 

風太郎「よお、待たせたな」

 

四葉がこちらに気付く前に、風太郎から声をかけた。風太郎の存在に気づいた四葉は、何故ここに彼がいるんだ?と驚いた表情を浮かべた。

 

四葉「な、なんで上杉さんがここに……?」

 

風太郎「お前に会いに来たからに決まってるだろ」

 

四葉「う、嘘ですよね……?嘘です!!こんなことあり得ません!!」

 

風太郎「……だよな。なんでこんなことになったんだか……。つーか俺の方が結構待ったぞ。なんでここにいなかったんだよ?」

 

四葉「だって、私のところに来るとは思っていなくて………」

 

風太郎「せっかく作りたてを買ってきたのに…………」

 

そう言いながら風太郎は唐揚げを取り出した。四葉からもらった唐揚げ無料券を使ってもらってきたのだが、これを四葉と共に食べたかったから買って来たと言う。

 

風太郎「……お前が一度死んじまった時、俺は思い知らされたぜ。どれだけお前に頼っていたのか……。お前がいたから家庭教師を続けられたんだってな」

 

四葉「う、上杉さん……?」

 

風太郎「………これだけは聞きたかったんだ。6年前、京都で会ったのはお前でいいんだよな、四葉?」

 

四葉「……はい。そうですよ」

 

時は一花がバビディの術によって悪人化してしまった時にまで遡る。一花に殺されてしまった四葉は、死んだ後も界王を介して風太郎に力を貸すことによって、なんとか一花を元に戻すことができた。その後四葉が風太郎から離れていく時、彼女は自身の過去を告白したのだ。

 

風太郎「俺はあの時、お前に出会い、あの約束をしたから今の俺がある。もしお前と出会えていなかったら、俺はあの頃の空っぽな人間のままだったらだろうな……。だからお前には感謝しているんだ」

 

四葉「上杉さん………」

 

風太郎「だが、勘違いしないでほしい。俺がここに来た理由は、それとは全く関係ない。昔出会ったからとか、そんなことはどうでもいいんだ」

 

四葉「………えっ?」

 

風太郎「お前の姉妹達はすげえいい奴で大好きな奴らだ。あいつらの家庭教師をやれたことを誇りに思う。だが、お前がいなければ俺はとっくに躓いていた………」

 

四葉「で、でも…!孫さんがいたじゃないですか!別に私がいなくても……」

 

風太郎「確かにな。だが悟飯はあくまで家庭教師だ。生徒として初めからお前が協力してくれたから、今までやってこれたんだよ」

 

四葉「上杉さん…………」

 

風太郎「そんなお前だからいいんだ。昔会ってようがなかろうが関係ない。俺は弱い人間だから、この先何度も躓き続けるだろう。こんなだせぇ俺の勝手な願いでなんだが……

 

 

その時には四葉。隣にお前がいてくれると嬉しいんだ」

 

風太郎「安心すんだよ。お前は俺の支えであり、俺はお前の支えでありたい。だから、嫌いならそれでもいいんだ。お前の気持ちを聞かせてくれ……」

 

四葉「上杉さん………」

 

今までの四葉なら風太郎に対して嘘をつこうとしていただろう。嫌いだと嘘をついて、他の姉妹……。今回の場合は一花に譲っていたに違いない。

 

だが、過去に何度か悟飯と相談したことがある。無論、恋愛相談として直接的に相談したわけではない。自分は風太郎に相応しくない、約束を守れなかった自分は相応しくないと思っていたところで、悟飯がそんなことはないと言ってくれた。

 

失礼だと自覚はしているが、悟飯自身の後悔談を聞いて自分の失敗は大したことはないのだとも思ったのも事実。それに、勉強ではなくて他のところで、何より風太郎にも役に立っていると言ってくれた。

 

更に、風太郎に相応しくなる為に修行もした。悟飯は快くそれに付き合ってくれた。もしここで自分の気持ちに嘘をついてまで振ったら、彼はなんて言うだろうか………?

 

………考えるまでもなかった。

 

 

四葉「………好きです。6年前から、ずっと好きでした…………」

 

四葉は、包み隠さず想い人である風太郎に想いを告げた。

 

その顔は、決して涙で濡れて……いた。しかし、表情は明るいものだった。

 

 

 

 

 

 

 

悟飯「良かった………」

 

二乃「………盗み聞きなんて、趣味悪いわよ?」

 

悟飯「でも、四葉さんのことだから風太郎から逃げるんじゃないかと思ってたんだけど、その心配は無用だったみたいだね」

 

二乃「……そうね」

 

フォークダンスが終了した後、風太郎がこちらに来ないことを不審に思った悟飯は気を頼りにこちらまで来ていた。四葉と一緒にいるところを見て、四葉を選んだことはなんとなく察した。だが、土壇場になって四葉が逃げ出さないか不安になってしまった為、こうして影でこっそり2人を見守っていたのだ。

 

四葉「……ふぇ!!!?な、なんでお二人がここに……!!?」

 

悟飯「…あ、あれ?おかしいな…?確か気はちゃんと抑えて………」

 

二乃「…………」

 

悟飯「そ、そうだった………」

 

悟飯は姿も気も隠していたとはいえ、二乃は気を抑える術を持っていなかったため、落ち着いたら二乃の気が近くに存在することに気づいてしまったのだ。

 

風太郎「お、おい。お前ら、いつからそこにいたんだ……?」

 

悟飯「い、いや〜?ついさっきだよ?うん。決して最初から聞いてなんていないから!」

 

二乃「それ、自白してるようなもんでしょうが」

 

四葉「〜っ!!!」

 

風太郎「嘘だろお前………」

 

自分達の告白が一語一句漏らさずに聞かれていたことを知り、四葉は顔を真っ赤にして口をパクパクさせ、風太郎は目線を逸らして前髪をいじり始めた。

 

 

 

 

 

 

 

そんなことがあった翌日…。学園祭は終了して、完全に元の日常に戻っていた。とはいえ本日は振替休日だ。殆どの者は学園祭が終わったことによってまた学園祭に戻りたいと思っている中、そうでもない者も一定数いる。

 

一花「おやおや?そっか、今日は初デートなんだっけ?」

 

二乃「ええ、そうね。付き合い始めて初めてのね………」

 

一花「ふーん?いつもよりおしゃれしてるじゃん?青春だねぇ……」

 

二乃「おっさん臭いこと言ってないで仕事に行きなさいよ?大丈夫なの?」

 

一花「おっとそうだった……。行ってくるね!」

 

本来なら一花は長期ロケのためにホテルに泊まっているはずだった。しかし昨日は五月と三玖のケアをするためにこっちに帰ってきてくれたのだ。自分も風太郎に振られたというのに、妹のために帰ってきてくれるとは、なんてできた姉なのだろうか…。この時ばかりは一花に頭が上がらなかった。

 

二乃「………よし。準備完了…」

 

 

 

 

 

旭高校の伝統……というか、傾向として学園祭後に付き合い始めるカップルが多いという。つまり、学園祭が終わった後でも戻りたいとは思わない者も一定数いると言ったが、そこで付き合い始めた者達がその一定数に当てはまるわけだ。

 

「……って伝説があるんだけど、俺その恩恵受けられてないんだが?」

 

「お前がモテないだけだろ?」

 

「けっ!俺から言わせりゃ、学祭で浮かれて告白までしちまうような奴は馬鹿だね!」

 

「それはある」

 

悟飯「…………」

 

再度言うが、本日は休日である。家でダラダラゲームする者やぐうたらしている者、友達とカラオケに行く者、軽く旅行する者など様々な休日の使い方がされている中、悟飯は………。

 

「お待たせ」

 

昨日の学園祭終了後……。二乃に返事をしてめでたく彼らは結ばれた。昨日の今日で早速デートに出かけているというわけである。

 

悟飯「………うん。やっぱり何を着ても綺麗だね……」

 

二乃「あ、ありがと……。ご、悟飯もカッコいいわ」

 

悟飯「あ、ありがと………」

 

お互いに褒め合ってお互いに照れ合う。そんな初々しくも甘々なカップルがいた。そのカップルを見て嫉妬する者や温かい目で見守る者など色々な人がいるが、彼らが周りの目を気にする余裕などない。今までは友人として、教師と生徒として接してきたが、付き合っている異性として接するのはこれが実質初めてなのだ。緊張するのも無理はない。

 

だが、デートプランは以前二乃とデートした時と大差なかった。悟飯はそもそもお出かけ自体に慣れていないし、二乃もそれはよく知っていた。だからデートプランは基本的に二乃が考えている。悟飯は申し訳なく思いつつも、二乃は好きでやってるからいいのだと言ってくれる。

 

 

ショッピングでは……。

 

 

二乃「ね、ねぇ…。これどうかしら?」

 

悟飯「ブフッ!!??な、なな、何を見せてるの!!!?」

 

突然ランジェリーショップに連れて行かれたかと思いきや、堂々と下着姿を披露する二乃に思わず赤面してしまう悟飯。どうやら付き合った後だろうが関係なく猛アプローチは続くらしい…。

 

二乃「ちゃ、ちゃんと見なさいよ…!今回は真剣に選んでるんだから………」

 

悟飯「え、えーっと、似合ってるんじゃないかな?あ、あはは………」

 

しかも周りには女性客がしっかりいる為、悟飯にとってはただの公開処刑でしかなかった。だが周りの観客は初々しいカップルを見守っているだけだった。何この優しい世界。野菜生活。サイヤ人だけに………。

 

あれ?ナレーションバグってる?ごめんなさい……

 

 

 

 

 

 

ナレーションが気を取り直して、今度は昼食。以前のように銀行強盗騒動が発生するようなことはなく、それなりに値段の張りそうなお店に入る。

 

悟飯「……よし。今日は僕が奢るよ」

 

二乃「えっ?!さ、流石に悪いわよ!」

 

悟飯「大丈夫だよ。お父さんが帰ってきてくれて仕事も始めるみたいだし、家庭教師代とボディガード代で結構余ってるからさ」

 

二乃「そ、そういうことならありがたく………」

 

そんなやり取りがあり、二乃が注文した料理………いや、飲み物が届くのだが………。

 

悟飯「…………えっ?これ、二乃さんが全部一人で飲むの?」

 

二乃「違うわよ!五月じゃあるまいし、一人で飲みきれないわよ」

 

言われてみると、確かにストローが二つあった。いや、正確には一つなのだが、咥えるところが2箇所ある。真ん中はハート型になっていて、なんとも特殊なストローだなぁと悟飯は思う。

 

これは、カップルストローというよくあるものである。

 

二乃「さ、一緒に飲みましょ?」

 

悟飯「一緒に飲む……?えっ?どういうこと?」

 

二乃はストローを咥えるが、飲み物を吸わずにそのまま待機する。ジーッとこちらを見てくるので何がしたいのかと疑問に思ったが、咥え口が2つあるところを見ると、そういうものなのかと納得した悟飯もまた咥える。

 

二乃「〜♪」

 

すると二乃は上機嫌になった。一方で悟飯は少々恥ずかしい思いをしたものの、目の前の二乃の笑顔が可愛く、つい見惚れてしまった。

 

二乃「………ちょっと、いくらなんでも見過ぎよ……。流石に恥ずかしいわ…」

 

悟飯「ご、ごめん………」

 

二乃「べ、別にいいけど…」

 

ちなみに、料理が届いたら二乃が食べさせて逆に悟飯も食べさせることになったのは言うまでもない。

 

そんな感じで何箇所も周った。そろそろ日も沈み始める時間になった。

 

悟飯「あっ、もうこんな時間なんだ…。もうそろそろ帰らないと、みんなが心配するでしょ?」

 

二乃「…………」

 

悟飯「に、二乃?」

 

二乃「ごめん。もしかしたら泊まりになるかもって伝えておいた」

 

悟飯「えっ…?えぇ!!?そ、そうなの!?」

 

二乃「だって、離れたくないんだもの…」

 

悟飯「言われなくたって僕は離れないよ?」

 

二乃「そうじゃないの…。不安になるのよ。あなたがどこか遠くに行っちゃうんじゃないかって。もう、あんな思いはしたくないの…………」

 

魔人ブウの件で、悟飯が死亡したという誤報が流れた時の二乃は見ていられるものではなかった。悟飯が死んだと聞かされた二乃は、胸が張り裂けそうになったし、悲しみだけで心が壊れてしまいそうだった。一時的とはいえ、無気力になって虚無感にも襲われた。それくらいに悟飯という存在が愛おしく感じるのだ。

 

悟飯「大丈夫。何があっても、最後には君の元に必ず帰ってくる。だから心配しないで?」

 

二乃「………うん」

 

本来ならもう帰るべきなのだろう。2人でなんとなく街を散歩していたら、辺りはすっかり暗くなってしまった。悟飯は夜ご飯までには帰る予定だったのだが、チチが悟空が戻ってきたことを忘れて一人分夕食を用意するのを忘れてしまったという。あの家族想いなチチがそんなヘマをするとは思えない。恐らく悟飯に気を利かせたのだろう。普段の悟飯なら余計なお世話だと言いたくなるだろうが、今日だけは何か違かった。

 

悟飯「………あっ」

 

無計画に歩いていたものなので、ある施設が沢山集まる繁華街まで歩いて来てしまった。そのある施設というのが、以前二乃とデートした時に入ったあの施設のことなのだが…………。

 

悟飯「ど、どうやら道間違えちゃったみたいだね〜…!も、戻ろうか!!」

 

なんとなく恥ずかしくなってしまった悟飯は来た道を引き返そうとするが、二乃が悟飯の腕をがっちり確保したままその場に止まろうとする。

 

悟飯「に、二乃……?どうしたの?」

 

二乃「…………」

 

実を言うと、二乃にとっては前回のデートのリベンジでもあった。以前は付き合ってもいないし、悟飯に他に好きな人もいたかもしれない。だから最終的には身を引く形となった。でも今回は違う。二乃は相変わらず悟飯のことが好きで、その悟飯も二乃のことが好き。つまり両想いなのだ。今回はその施設に入ってしまっても、何も問題はないというわけだ。

 

二乃「……ねぇ、私達ってさ、出会ってからどれくらい経つんだっけ?」

 

悟飯「えっ?丁度1年を過ぎたくらいじゃないかな?」

 

二乃「………もうお互いのことはよく知ってるわけだし、何回かデートもしたわけでしょ?なら……さ」

 

それとなく二乃が歩み始める。二乃の歩幅に合わせる形で悟飯もついて行く。その行く先は………。

 

二乃「もう、いいんじゃない?」

 

悟飯「ま、待ってよ…!!確かに僕達は色々な時間を共有したよ?お泊まり勉強会に林間学校、温泉旅行に修学旅行、そして魔人ブウとの戦い…。それを経て君のことはよく知れたと思う。で、でも…!僕達はまだ付き合い始めてまだ1日だよ…?いくらなんでも………」

 

二乃「………確かにそうね。でも……さ?」

 

先程のショッピングでランジェリーショップに寄ったのもこの時の為。既にキスも済ませているし、混浴の温泉に一緒に入ったりしてるし、なんなら同じベッドで寝たこともある。段階的にいきなり吹っ飛ばしてるわけでもない。

 

ただ、付き合い始めてから早すぎるだけで、他は特に問題ないと二乃は判断したのだ。

 

悟飯「…………」

 

普段の悟飯なら、例え押されても譲れないものもあった。しかし今は既に恋仲にあるし、両想いである。悟飯にもそういった欲求は存在するし、知識も人より少ないとはいえ、多少はある。好きな人からOKサインが出たらすぐにでも飛びつきたくなってしまうが、悟飯は二乃を大切にしたかった。彼女を傷付けるようなことはしたくなかった。

 

二乃「………あのね、これだけは言っておくけど、大事にされ過ぎても女の子は傷付くのよ?」

 

悟飯「えっ………?」

 

二乃「私達の関係をみんな認めてくれているわ。三玖に五月に……多分パパもね…。それに、チチさんや悟空さんだって気にしてないでしょ?私達だけの恋愛の形ってものがあってもいいって思わない?」

 

悟飯「……………」

 

何も返事はしない。だが悟飯の方から歩み始める。

 

付き合い始めて1日でここまで行くのは流石にぶっ飛んでいるかもしれない。しかし、彼らは1年間という短い時間とはいえ、数々の思い出を作ってきた。共に戦った時もあった。お互いのことは既によく知っている。周りも恐らく自分達の関係を認めてくれるはずだ。

 

………そう考えてしまうと、ストッパーとなるものはなくなってしまった。2人はそのまま施設に入り、チェックインした。

 

 

 

 

 

 

その日の夜…。悟飯と二乃は夜遅くまで起きていた。2人がそこで夜更かしをしてまで何をしていたのかは、本人達だけが知る秘密である…。

 




 エンダァァァァァァァァ!!イヤァァァァァァァァ!!!

……ということで、悟飯の花嫁は二乃でした。この作品を始めた時から悟飯の花嫁は二乃にしようかと考えていたんですけど、途中で五月とも良さそうだなぁとか、意地悪な三玖と悟飯もいいなぁとか思って悟飯の花嫁を変えようかと思っていた時期もあったんですけど、最終的には当初の予定通り二乃としました。
 なんで二乃にしたのかと言われると、本当になんとなくなんですよね。強いて言うなら悟飯を引っ張ってくれそうだからですかね。直感的に二乃が良さそうだと思いました。
 三玖や五月に期待していた方は本当に申し訳ありません。特に五月だと予想していた方は多かったのではないでしょうか?未来では五月と結ばれてたりしましたしね。あと五月の正ヒロインっぷりがすごかったり…。

 さて、花嫁が判明したということで、一体どこに二乃が花嫁の伏線が隠されていたのかについてですが……。答え合わせは次回にしますね。花嫁が二乃だと意識した上でまた探したい人もいるかもしれないので念の為ですが……。

 二乃が教室から逃げ出した理由を超分かりやすく説明すると、魔人ブウ(ゴテンクス吸収)との戦いの際にど正論をぶつけられたことが原因です。もしここで悟飯が来なければ、二乃は『やっぱりね…』とショックを受けていたから、ここで二乃が選ばれたことによって地味に救われてたりしてます。魔人ブウのあの台詞も伏線の1つだったりしました。

 えー…。まあ花嫁が判明したと同時にいきなり一線を越えてしまっているわけですが……花嫁を二乃にした場合はこうしようと結構前から考えてました。以前の54話だったかな?その辺で二乃と悟飯がデートすることになったわけですけど、そこで二乃は悟飯に仕掛けようとするも失敗しました。それは付き合ってないからとか、まだ悟飯の心情がよく分かってないからとか色々な理由があったわけですが、もう両想いだということはお互いに分かってるんですよね。それにお互いのことはよく知ってるし、キスしてたり一緒に寝てたりするので、まあいいかな……?ということでこんなぶっ飛んだ展開にしました。
 悟飯がそんなすぐにやるんかと思う方もいるかもしれないけど、DB原作では割とすぐビーデルが子供身籠ってたりしてたし、二乃の押しの強さもあればおかしくないなぁと思いました。三玖と五月は付き合い始めたらなんやかんやでゆっくり進みそう。付き合う前の押しは強くても付き合い始めたらなんかそうなりそうじゃない?そう思うの私だけかな……?

 ちなみに本編はもう少し続きます。もうしばらくお待ち下さい。本編終了後に今回は結ばれなかったヒロインのそれぞれのルート、ハーレムルートを載せたり要望にあった過去ifシリーズをちょいちょい書き足したり、イチャイチャするだけのほのぼの話しも書いたりとかしようかな〜とか考えてます。

 ちなみに花嫁の伏線(私が新たに作ったオリジナル)の答え合わせは次回の前書きに載せる予定ですが、全部は載せるつもりはないです。そして予定通り最後のバトル展開がもうすぐやってくるわけですけど、多分この作品史上一番設定が複雑になりそうなので大苦戦中。もしかしたらペース落ちるかもしれませんが、そこはご容赦下さい。
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