孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

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※ミニコーナー
〜風太郎&五つ子のZ戦士達に対する印象〜

 今回はZ戦士を中心に…。

悟空:
悟飯の父親ということもあり、信頼は厚い。生き返って接するごとに、時々抜けているところがあるが根本的には悟飯に似ているのだなぁと感じている。普段は頼りないが、ピンチの時は何故か頼りになる気がする不思議な人物。

ベジータ:
正直言うとそこまで接してないのでどういう人物かは分かりかねる。聞いた話では元は極悪人だったようだが、そんな面影は見たことはない。ただしバビディの術にやられた時は例外である。実は風太郎を傷付けたことをきっかけに、一花は彼をあまり好んでいないとか……?

クリリン:
悟空の親友であり、悟飯もよく共闘をしたある意味一番関わりのある彼だが、五つ子や風太郎とはあまり接点はない。しかし悟飯が信頼していることから、いい人ではあるんだろうという感じ。

ヤムチャ:基本的にクリリンとほぼ同じだが、一花が闇落ちした時に自分の身を挺して一花を止めていたので、評価は高め。しかし彼は浮気症だったとか……。そのことを知ったら五つ子はどう思うのだろうか………。ちなみに五つ子達はこのことは知らない。

天津飯:こちらもほぼ同じ。しかし五月からは三つ目のお化けと恐れられているらしい。彼は地味にそのことがショックだったりする。それで餃子に慰められているとかいないとか………。

トランクス:
悟天の親友ということだが、五つ子達とは殆ど関わりがない。一応ゴテンクスになっている時に同じく融合していた五つ子達と共闘はしている。だが、彼がどんな人物かはいまいち分かっていない。とはいえ、悟天と仲がいいからいい子なのは間違いないだろうという認識。

ピッコロ:
悟飯の師匠ということだが、なんといっても緑色の肌が目に付く。ブウが天界に来た時のピッコロの対応に違和感を覚えたが、根はいい人なのだと分かってはいる。ターバンを付けるだけでも印象は相当変わるらしい。

 取り敢えず今回のミニコーナーはここまで



第103話 嫉妬

ここはパオズ山……。悟飯は朝早くから二乃とデートに行き、その日の夜に卒業(意味深)をするのだが、今回は同じ日の悟空の様子を見ていこう。

 

悟空「よし!一通り耕すことはできたみてえだな…!」

 

悟空は生き返ってからは農家として働くことになった。そのためには、まず畑を用意する必要があるが、土地は広大にある為問題はない。機械類はまだ買ってないが、悟空の身体能力を持ってすれば問題ないだろう。

 

悟空「だけど、オラ一人じゃ流石に厳しいなぁ……。このままじゃベジータに置いていかれるかもしれねぇぞ……」

 

そのようなことを仕事中に考えていた悟空は、人を増やせないかと昼休みに提案するが………。

 

チチ「まだお金も用意できないだよ?人を雇うことなんて無理だべ」

 

悟空「そいつは困ったなぁ……」

 

悟空は何かいい方法がないかと考える。友人に頼るという選択肢が浮かんできたが、彼らには彼らの時間というものもある。

 

悟空「…………そうだ!チチ、ちょっと出かけてくるからな!」

 

悟空はチチの返事を聞かずに飛び立った。向かった先は………。

 

 

 

 

 

 

 

 

バーダック「………仕事、見つからねえな」

 

トーマ「地球の食べ物は栄養価が低いのか、俺たちにとっては足りないらしいな……」

 

トテッポ「もっと食いてえよ………」

 

セリパ「そう言われても、戸籍が必要なんだろ?ここは宇宙外交は積極的じゃないし、地球人以外の人類の存在を認識してないみたいだしな」

 

パンブーキン「どうすりゃいいんだ…。このまま原始的に狩りを続けるしかねえのか?」

 

バーダック達は働き口がなかなか見つからずに困っていた。今は山奥で狩をしてなんとか食い繋いでいるが、サイヤ人の食欲ではそれも限りがあるだろう。

 

ギネ「戸籍が本当に厄介だね…。それがなかったら話にならないよ?」

 

バーダック「ああ、だからまずはそこをどうにか……、…!」

 

その時まで座り込んでいたバーダックだったが、突如立ち上がって空の方を見上げていた。

 

バーダック「………カカロットか?」

 

ギネ「カカロット!?確かカカロットは死んだはずじゃ…………」

 

 

 

スタッ

 

高速でやってきた悟空が地面に着地した。

 

悟空「よっ!父ちゃん……でいいんだよな?」

 

バーダック「ああ」

 

ギネ「か、カカロット…?カカロットなのかい…?」

 

悟空「あ、ああ……。そうだけど、おめぇは?」

 

バーダック「………こいつは俺の妻……、つまり、お前の母親だ」

 

悟空「えっ……?」

 

ギネ「カカロット〜!!!!」

 

困惑している悟空をよそにギネが抱きついてくる。ギネの行動に悟空は更に困惑するが………。

 

悟空「………?なんだ……?なんか、懐かしい匂いだな…………」

 

ギネ「カカロット…!よく生きていたね!死んだって聞いた時は……もう!!」

 

悟空「ちょっと待ってくれ!オラの中でもまだ整理できてねえことがあるから、一旦離してくれねえか……?」

 

そう言っても聞かないギネだったが、バーダックが首根っこを掴んでようやく静かになった。冷静になったところで悟空が生き返った経緯を説明した…。

 

ギネ「そっか……。私達みたいに生き返れたんだね……」

 

悟空「おう…。おめぇがオラの母ちゃんかぁ………」

 

ギネ「覚えてないのかい?」

 

悟空「オラは赤ん坊の頃に頭を打って死にかけたことがあるらしいんだけど、多分その時に昔の記憶がなくなっちまったんだと思う………」

 

バーダック「じゃあしばらくは自分がサイヤ人であることも知らずに生きていたのか?」

 

悟空「ああ。そうなるな。初めてオラがサイヤ人だって知ったのは、ラディッツが来た時だった…………」

 

ギネ「ら、ラディッツ!?ラディッツが来てくれたのかい!?」

 

悟空「ああ。オラがサイヤ人だってことを告げた後、息子の悟飯を誘拐していきやがった。生きて返してほしければ、地球人を100人殺してこいってな」

 

サイヤ人にとって、人を殺すことなどほぼ日常のようなものだった。戦いが嫌いなギネはともかく、バーダックにとっては何もおかしくないことだと思った。

 

バーダック「お前にとっては異常なことかもしれねえが、サイヤ人にとってはそれが普通だった…………」

 

悟空「だろうな。その後会ったナッパやベジータも似たようなもんだったしな」

 

そして悟空はラディッツとの戦いについて簡潔に説明した。

 

バーダック「………はっ?」

 

ギネ「ら、ラディッツが、カカロットを殺そうとしていたのかい?」

 

悟空「ああ…。あの時のオラはラディッツには勝てなかった。だから、ピッコロっていうナメック星人と協力してラディッツを倒したんだ。でもその時にオラも死んじまった…………」

 

サイヤ人は子供相手にも非情…。確かにそういうサイヤ人も少なくなかったが、ギネはそんなことはなかった。地球人の母親のように、子供には愛情をたっぷり注いできたし、愛していた。ラディッツはそれなりに才能があると見られ、幼少期からベジータとチームを組まされていたが、戦闘力2と判定されたカカロット……悟空は長い間ギネに育てられていたのだ。

 

ギネ「ら、ラディッツが………そんな………!!!」

 

バーダック「………そうか」

 

今にして思えば、ラディッツはベジータとチームを組んでいたから、あのような残忍で冷酷な性格になってしまったのかもしれない……。

 

悟空「すまねぇ………。でも、あの時のオラは地球を守るのに精一杯だった。だから殺すしかなかったんだ………」

 

バーダック「カカロット、謝ることはねえ。それに関しては事情も聞かずに振り回したあの馬鹿息子が悪い」

 

流石にサイヤ人としての考え方が強いバーダックでも、その件に関してはラディッツの方が悪いという判断になったそうだ。

 

バーダック「………なあ、ラディッツも生き返らせることはできるか?」

 

悟空「えっ?まあ、できねえことはねえけど………。オラはあまり気が進まねえなぁ…………」

 

バーダック「もし生き返ってもまた暴れるようなら俺がなんとかする。だから、またドラゴンボールが使えるようになったら、ラディッツを生き返らせてもいいか?」

 

悟空「うーん……………」

 

確かにラディッツは凶悪なサイヤ人だ。しかしそれはベジータもかつては同じだった。彼もまた地球で長いこと暮らせばベジータのように丸くなるのかもしれない……。

 

悟空「……もしまたラディッツが暴れるようなら、オラが倒せばいっか!!」

 

バーダック「………それでこそサイヤ人だ」

 

こうしてラディッツの件が解決したところで………。

 

セリパ「ちょっと待ちな。カカロットだっけ?あんたはなんでここに来たんだ?」

 

悟空「あっ!そうだ…!そっちが本題だった………」

 

セリパに促される形で悟空がバーダック達の住む家にやってきた目的を話した。超簡潔に説明すると、畑仕事に人がほしいとのこと……。

 

セリパ「………1つ約束してくれ。その畑仕事を私達もした場合、分け前はあるんだろうな?」

 

悟空「えっ?どうだろうなぁ……。働くなら流石にあると思うけど、チチに話してみねえとなんとも言えねえなぁ…。あっ、チチってのはオラの嫁のことなんだけど…………」

 

『オラの嫁』

この単語を聞くと、さっきまで落ち込んでいたギネが少し元気を取り戻した。

 

ギネ「それって、カカロットの奥さんってことかい!!?」

 

悟空「あ、ああ……。そうだけど………」

 

ギネ「ならご挨拶しないと!行くよ、バーダック!!」

 

バーダック「おい、まだ働くって決まったわけじゃ………」

 

セリパ「まあいいんじゃない?地球に戸籍を持たない私達にとって、これ以上都合がいいところはないでしょ?」

 

トーマ「まずは行ってみるだけでもいいんじゃないか?」

 

バーダック「………チッ。しょうがねえな」

 

素気ないバーダックだったが、仲間達の意見を無視することはできないようだ。悟空に案内される形で各々はパオズ山にある孫家に向かう………。

 

 

 

 

 

少しして悟空達はパオズ山に到着した。

 

悟空「チチ〜!ただいま〜!!」

 

チチ「悟空さ!今までどこに行ってただ!?仕事そっちのけで修行しに行っちまったのかと思ったぞ!!」

 

悟空「悪い悪い……。けど、その代わり役立ちそうな奴らを連れてきたぞ?」

 

チチ「へっ?」

 

ギネ「あなたがカカロットの奥さんなのかい?私はギネ!カカロットの母親です!!」

 

チチ「かか、ろっと……?悟空さのお母!!?若いだ……!!!!若すぎるだよ!!!!じゃあそっちにいる悟空さそっくりな人は悟空さのお父だか!?」

 

チチが騒いでいたがそれは置いといて、みんなチチに自己紹介をした後に丁度仕事を探しているところだということを説明されたチチは………。

 

チチ「………人が増えればそれだけ収穫できる作物も増えそうだべなぁ…。でもすぐには作物は育たないだよ?賄いも給料もしばらくはあげられないべ……」

 

バーダック「構わねえよ。今のうちに働かねえと、そのうち俺達の住む場所から食料が消えちまうからな。お前達もそれでいいだろう?」

 

バーダックに反対する者はいなかった。ここなら悟空の両親とその友人ということで、戸籍とかその辺を気にする必要がないのだ。バーダック達にとってはこの状況は好都合だった。

 

チチ「じゃあ、今日から早速お願いするだよ。早速畑を耕して欲しいだ」

 

……悟空の意外な発想から、孫家農場の規模が大分大きくなった。これが後に孫家の農業を大繁盛させるきっかけとなるのだが、それはまだまだ先のお話である………。

 

 

 

 

 

一方でほぼ同時刻。バーダック達が孫家にいた頃、悟天は………。

 

悟天「わーい!チョコだ〜!!」

 

らいは「どんどん食べてね!」

 

らいはの胃袋作戦が順調に進行していた。魔人ブウの一件が済んでからは、らいはと悟天は結構な頻度で会っている。らいはは既に学校が終わっており、悟天は学校に行ってないので時間に縛られることもない。

 

悟天「それで今日はどこにお出かけするの?」

 

らいは「今日は悟天君にこの辺を案内してあげようかなって思って!」

 

悟天「そういえば、去年五月さんや兄ちゃんと一緒にパフェ食べたり花火大会に行ったりしたっけ………」

 

らいは「そうそう!確かその時に私達は初めて会ったんだよね〜!!」

 

悟天「そっか……。もう1年も経ったんだね〜」

 

らいはにとってはデートの予習のようなものであるが、悟天にはそんな概念はまだ存在しない。らいはも悟天に対して恋愛感情が存在するのかと言われると正直微妙であるが、好感度が高いことは間違いない。

 

 

 

らいは「ここは私とお兄ちゃんと四葉さんで行ったゲームセンターだよ!」

 

悟天「ゲームセンターか…。トランクス君と行ったことあるよ?」

 

らいは「じゃあ、まずはあのクレーンゲームでどれだけ取れるか勝負する?」

 

悟天「わーい!………って、お金は?」

 

らいは「……………あっ」

 

ここで痛恨のミス。貧困家庭にあるらいはには、少なからずお小遣いはあったとはいえ、娯楽に使える余裕があまりなかった。生活費の一部を使うことはらいはの性格上許せないのだ。

 

悟天「まあいいや。僕が払うよ」

 

らいは「えっ……?」

 

悟天「実は兄ちゃんがバイトを始めてからお小遣いが増えたんだ!」

 

そう言うと悟天はらいはの分のお金を出した。…一応補足しておくが、悟天はまだナンパ技術や女の子を喜ばせるような術を知らない。ところがこの子は無意識にやってのけているのだ。

 

らいはも人の恩義を無下にするわけにもいかず、しっかりとゲーセンを楽しんだ。

 

 

らいは「ねえねえ、最後にあれやろうよ!」

 

悟天「あれ?」

 

らいはが指差したのは、以前に四葉や風太郎と共に撮ったプリクラだった。

 

悟天「でも、あれって女の子が撮るものなんでしょ?トランクス君が言ってたよ?」

 

らいは「私もいるからいいの!ほらほら、行くよ〜!」

 

と、悟天は流されるがままプリクラの中に入る。操作方法はらいはが知っていたようで、器用に操作していく。

 

『笑顔でキメちゃお☆』

 

らいは「はいはーい!撮るよ〜!」

 

こんな感じで何回か撮影をした。無論楽しくなかったと言えば嘘になるのだが、悟天は1つ気になっていたことがあった。

 

悟天「……(なんからいはさん、事あるごとにくっついてきてるような……)」

 

写真に映らないから!とか、近づいた方が映えるんだよ!とかとか理由を並べて悟天にくっついていた。女の子のノリはこういうものなのかな?と悟天は勝手に納得したため、その後は疑問に思うことはなかった。

 

そして、夕方になったのでファミレスにておやつを食べることに……。

 

悟天は当たり前のようにデラックスジャンボパフェなるものを頼んでいた。そのサイズはどう考えても8歳の子が食べれるようなものではないのだが、悟天はあっさりと平らげてしまった。らいはは普通サイズを頼んでいたのだが、悟天の大食らいっぷりに驚くしかなかった………。

 

 

 

そして会計は当然のように悟天が払っていた。年齢的には小学生に奢られている中学生という構図が出来上がり、らいはは恥ずかしくなつてしまったのだが、ただ純粋な優しさで払っていた悟天にそれを指摘することもできず…。

 

悟天は8歳にして一花程とまではいかなくとも、貢ぎの才能を開花させているのかもしれない…………。

 

 

 

 

らいは「(流石に自分の分は自分で払えるようにしよう………)」

 

今まで年下の立場で人に接することが多かったらいはだが、しっかり悟天と出かけたのは実質今回が初めてだった。らいははせめて自分の分は払えるようにしようと心に誓った。

 

悟天「今日は楽しかったね〜!」

 

なんだかんだでその後も遊び回っていたらいつの間にか暗くなっていた。悟天はそろそろ帰らないとチチに怒られてしまうような状況だ。

 

悟天「もうそろそろ帰らないと……」

 

らいは「私もそろそろ帰って夕飯の準備をしないと…………」

 

ということで、そろそろ本日はお別れしようとした、その時………。

 

 

 

らいは「あっ!ねえ、あれって……」

 

悟天「…………あっ」

 

らいはが指差した先は、二乃と悟飯が楽しそうに喋りながら歩いている光景だった。

 

らいは「二乃さんと悟天君のお兄さんすっごく幸せそうだね…。まるで付き合ってるみたい…………」

 

悟天は学園祭最終日の夜、悟飯から二乃との交際開始報告を聞いていたが、いまいちピンと来なかった。しかし、今の2人を見てなんとなく把握した。

 

悟天「……………あんな兄ちゃんの顔見たことない………」

 

らいは「あれはお邪魔しちゃ悪いね。あっちに行こっか」

 

悟天「………うん」

 

悟天は悟飯の幸せそうな顔を見て嬉しい気持ちになった反面、ちょっとだけ二乃に嫉妬してしまった。

 

らいは「もしかして、二乃さんに取られちゃったって思ってる?大丈夫だよ。孫さんの弟ってポジションは悟天君だけのものなんだから!今まで通り甘えてもいいんだよ!」

 

悟天「……いいのかな?」

 

らいは「うんうん!でも、もし孫さんが二乃さんにばっかり構うようなら、私に甘えてもいいからね!」

 

悟天「………分かった」

 

なんだかんだいって策士ならいは。そのまま2人は帰宅してそれぞれの帰路につく………。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その日の夜………。

 

悟天「あれ?兄ちゃんは?」

 

夜ご飯になっても悟飯が帰ってこない上に、悟飯の分が用意されていないことを不思議に思った悟天は単刀直入に母親に質問する。

 

チチ「今日はお泊まりするみてぇだよ。だから夜ご飯は必要ないみてえだ」

 

悟天「そうなんだ…」

 

今日は目一杯甘えようと思ったのに、悟飯が帰ってこないとなるとそれもかなわない。

 

 

 

ということで、悟飯が家に帰って来なかったことをらいはに連絡した悟天。2人の男女がデートして帰って来ない意味をまだ知らない悟天は純粋にまた家庭教師をしているのかと思っていたが、今日はその日ではないはず。取り敢えずらいはに質問してみることに……。

 

らいは「………」

 

らいははその文面を見てつい手に持っていたお皿を落としそうになるが、なんとか堪えた。

 

らいは「朝帰りだぁ!!!?」

 

風太郎「ん?どうした、らいは?」

 

らいは「あっ!な、なんでもないよ!お兄ちゃん!!!」

 

そして悟天は続け様に『五月さんにも聞いてみる』とのメールが来たので、それだけは絶対にダメだと、事情を察したらいはは悟天に水を刺した。

 

らいは「(まさか孫さんと二乃さんが……)」

 

これが普段ならば誤解で終わったのだが、今回は誤解ではない。ちなみにらいはは悟飯と二乃がいつ付き合い始めたのかは知らない為、そこまで疑問に思うことはなかったが、付き合い始めた時期を知ったらさぞかし驚くことだろう…………。

 

 

 

 

 

時は遡って、記念すべき二乃と悟飯の初デートの日の朝…。彼女達の朝は早かった。

 

五月「ふぁぁ…。おはようございます……」

 

三玖「おはよ〜………」

 

零奈「おはようございます」

 

五月と三玖が珍しく早めに起きてきたが、ある違和感に気づいた。

 

五月「あれ?二乃が…………」

 

三玖「そっか……。悟飯とデートだもんね………」

 

五月「孫君……………」

 

三玖「五月、誰が選ばれても祝福するって決めたでしょ?」

 

五月「ええ、分かってますよ。でも、やっぱり二乃が羨ましいです………」

 

三玖「私だって同じ気持ちだよ…。でもこれは悟飯が決めたこと……。真剣に悩んで悩み抜いて決めたことなんだよ…?なら、応援しよ?」

 

五月「………はい」

 

五月はまだ微妙に納得してない様子だったが、確かに誰が選ばれても祝福すると言った。それにこれを機に姉妹と揉め事を起こすようでは、それこそ悟飯に後悔をさせかねないのだ。ならば自分も我慢しなければならない。辛いのは五月だけではない。同じく想い人に選ばれなかった三玖や一花だってそうだ。一花に至っては風太郎に実質的に振られたようなものなのに、五月と三玖を慰めてくれていた。

 

四葉「三玖に五月!おっはよー!」

 

三玖「おはよう」

 

五月「おはようございます」

 

四葉が丁度ランニングから帰ってきたようだった。

 

零奈「四葉、お帰りなさい。さあ、そろそろ朝ご飯にしましょうか」

 

そして今では母親である零奈も生き返ってくれている。はっきり言うと自分達は恵まれているとしか言い様がない。

 

 

 

 

 

零奈の手によって作られた温かい朝食を食べ終えると、姉妹達は早速勉強をすることにした。今は風太郎や悟飯がいなくても自主的に勉強するようになったのだ。零奈もその姿に感心しているようだった。

 

零奈「もし分からないところがあれば教えますよ。遠慮なくおっしゃってください」

 

四葉「はーい!」

 

四葉は元気よく返事をするが、五月と三玖の反応がいまいちだった。その理由は零奈も分かっているつもりだ。だから敢えてそのことを指摘するようなことはしない。

 

 

 

 

朝の勉強の小休憩中…。五月はひとまず自室に戻っていた。珍しくベッドに飛び込んだ。このままふて寝したい気分だった。

 

五月「…………いいなぁ、二乃」

 

敬語で話すことすら忘れ、ただひたすらに二乃のことを羨ましがっていた。五月はとにかく悟飯のことが愛おしかったし、好きだった。その気持ちは今でも変わらない。でも悟飯は既に二乃のものとなってしまった。でもそれは二乃が悟飯の意思を無視したわけではなく、悟飯自らの意思で決めたことだった。

 

五月「私、何がダメだったのかなぁ…」

 

自分で言うのもなんだが、五月は3人の中で一番悟飯と相性が良かったと思う。考え方が似通っていたし、ファーストコンタクトも良かった。一番最初に告白したのも五月だし、一番アタックしたのも五月と言って差し支えはないだろう。

 

正直言って、あまり二乃のことを祝福する気持ちにはなれなかった。

 

五月「(私も、孫君と一緒にパフェを食べたり、隣を歩いてお喋りしたり、映画を見ながら彼の隣に座ってドキドキしたり、彼の為に料理を作って、孫君を喜ばせたかったなぁ………)」

 

三玖は何かと今の結果に納得しているようだったが、五月は全然そんなことなかった。むしろ後悔がダダ漏れである。

 

五月「…………勉強する気になりませんね………」

 

 

 

五月「四葉、三玖」

 

三玖「どうしたの?」

 

四葉「どこか分からないところでもあった?」

 

五月「いえ……。気分転換に散歩してきます」

 

一言そういうと、五月は軽く身支度をしてから外出してしまった。

 

三玖「五月…………」

 

四葉「大丈夫かな……………」

 

三玖「大丈夫だよ。納得するまで時間がかかるだけ。それだけあの子も本気で恋をしていたってことだよ」

 

四葉「………そうだね」

 

四葉も想い人に選ばれた側の人間だった為、五月に対して何かフォローをできるような気はしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

五月「はぁ…………」

 

私はなんて嫉妬深いのでしょう…。孫君自身の意思によって二乃が選ばれた。孫君の意思に従うことを私達は選んだし、例え自分以外が選ばれたとしても祝福する。そう決めたはずだった。だけど私はまだ納得できていない。昨日になるまで私がこんなに我儘な人間だとは思いもしなかった。

 

気分転換に食べ歩きでもしようかと思ったが、今の私は食欲がない。特に行くあてもなく街を彷徨い歩いているだけだ……。

 

「おい、あのお嬢ちゃん可愛くね?」

 

「誰か声かけてこいよ…!寂しそうにしてるから、きっとイチコロだって!」

 

「いっちょやるか……!!」

 

 

 

「ねえお姉さん?今1人?」

 

五月「……………」

 

「なんか寂しそうにしてるからつい声をかけちゃったんだ。良かったら美味しいお店知ってるんだけど一緒にどう?奢るよ?」

 

五月「…遠慮します。食欲がないので」

 

「そんな釣れないことを言わずにさぁ」

 

しつこい。鬱陶しい。今は誰にも構ってほしくない。しばらく1人にしてほしい。

 

五月「なんなんですかあなた達?私はその気がないと言ってるでしょう?」

 

「はっ?こっちが下手に出たからって好き勝手言いやがって……!!」

 

「もういいぜ。無理矢理連れていこうぜ?」

 

「うひょー!!今夜はご馳走だぜ!」

 

五月「いや!離して!!」

 

男達が強行手段に出た。私よりも男達の方が力が強く、私の力では振り解くことができなかった。

 

…………少し前の私なら、きっと孫君が助けに来てくれるに違いないと信じて疑わなかった。でも、今の彼は二乃のもの。私なんかに構う時間なんてないだろう。………そう思うと、抵抗する気さえなくなってしまった。

 

「あれ?急に力が弱くなったぞ?」

 

「もう力尽きた…?なわけないよな…?」

 

「お嬢ちゃんも素直じゃないな〜!」

 

ああ……。私、このまま知らない男の人たちと…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

「たあッ!!!!!」

 

ドカッッ!!!!!!

 

「ギャアアア!!!?」

 

突然、1人の男が吹き飛んだ。

 

「あっ…!あ、あんたは……!!」

 

「チャンピオンの娘、ビーデル…!」

 

ビーデル「3人で1人の女の子を襲うなんて、随分セコいことをするわね?代わりに私が相手してあげてもいいわよ?」

 

「あ、相手が悪すぎる…!逃げるぞ!」

 

男達は格闘家を前にして尻尾を巻いて一目散に逃げていった。

 

ビーデル「大丈夫?少しは抵抗しないとダメじゃない?それとも、もしかしてそういう趣味……じゃなさそうね…」

 

五月「……ビーデルさん?」

 

 

 

 

 

 

 

どういうわけか、五月とビーデルが適当なファミレスにて昼食を共にしていた。

 

ビーデル「どうしたの?そんな浮かない顔をして?」

 

五月「……何も話す気にはなりません」

 

ビーデル「まあなんとなく分かってるけどね。悟飯君絡みでしょ?」

 

五月「……!!」

 

唐突に自分の悩みを言い当てられたことによって、五月は分かりやすい反応をした。

 

ビーデル「やっぱりね…。私で良ければ相談に乗るわよ?」

 

五月「……あなたには分かりませんよ。本気で恋をしていたのに、他の人に取られる気持ちなんて」

 

ビーデル「分かるわよ」

 

五月の愚痴にビーデルが即座に返答した。そのことに少し驚くが、どうせ慰める為の嘘だと言い聞かせ、ビーデルを突き放すような態度を取り続けようとしたその時………。

 

ビーデル「私だって、悟飯君に本気で恋をしていたんだもの」

 

その言葉を聞いて、五月は目を大きく見開いてビーデルを見た。

 

五月「それ、本当に……?」

 

ビーデル「ええ。でもその様子だと、悟飯君は誰かにお返事したみたいね」

 

五月「…………」

 

同じ境遇だったからだろうか…?五月は今日まで考えていたことを洗いざらいビーデルに話した。誰かに話すと不思議とスッキリした気分になった。

 

ビーデル「……あなたの気持ちは分かるわ。私だって悔しかったもの。彼は私の方には振り向いてくれない…。それを理解しちゃったからね…………」

 

五月「私は、誰が選ばれようとも祝福するつもりでした。でも、いざ私以外の人が選ばれたとなると、そうはいかないみたいで…………」

 

ビーデル「それだけあなたは本気で恋をしてたのよ。本気で彼を手に入れたかったの」

 

それはそうだ。今まで悟飯に選んでもらえるように、勉強も料理も一生懸命頑張った。不純な動機かもしれないが、それだけ悟飯のことが好きだった。

 

ビーデル「………でも、悟飯君と二乃…さんだっけ?その子の顔を見てみるといいわ」

 

五月「孫君と二乃の……?」

 

ビーデル「私の予想が正しければ、2人ともいい顔をしているはずよ。『私なんて立ち入る隙なんてない』って納得できるくらいにはね」

 

五月「…………」

 

ビーデル「もしも2人が浮かない顔をしているようなら、隙を見て奪っちゃえばいいのよ。そのつもりで狙い続ければいいわ。不謹慎な話かもしれないけど、別れる学生カップルって結構多いんだから」

 

五月「………いいんですか…?もう彼の隣は埋まっているのに………」

 

ビーデル「別にいいじゃない。あっ、これは不倫や浮気を強要しろって話じゃないから勘違いしないでね!あくまで2人の間に隙が生じたら上手く狙えばいいってだけの話だから!」

 

五月「わ、分かってますよ!!!」

 

ここまでビーデルと話して、五月の心は次第に軽くなっていった。無理矢理にでもこの恋を終わらせる必要はないのだ。納得するまでこの恋を続けてもいいのだ…………。それを教えてくれたビーデルには感謝しかない。

 

五月「…………しかし、あなたにとって私は敵なんじゃないですか?敵に塩を送るような真似をしていいんですか?」

 

ビーデル「いいのよ。私は私の中で決着がついたから……」

 

ビーデルは立ち上がって会計票を取った。そして去り際に………。

 

ビーデル「まあ、未練がないって言えば嘘になるけどね」

 

それだけ言って会計をしに行った。

 

 

 

 

 

五月「…………ビーデルさん」

 

私、あなたのことを勘違いしていた気がします。最初は二乃の言う通りストーカーのようなものだと思っていました。とても失礼な話ですけどね………。でも………。

 

 

 

五月「ありがとうございます…」

 

 

 

 

 

 

 

そして文化祭の振替休日が終わった登校初日……。私は孫君と二乃の息のあった(孫君は無自覚の)いちゃつきを見て、2人の幸せそうな顔を見て確信した。

 

悟飯「に、二乃!なんであんなことを言ったの!?」

 

二乃「それはあんたのお嫁さんになりたいからに決まってるじゃない♪それとも何?あんたは嫌なの?」

 

悟飯「嫌じゃないし、むしろ嬉しいけど………」

 

ビーデルさんの言っていることが理解できました。今ならはっきりと言える気がします。

 

 

孫君、二乃。おめでとう…………。

 

 

 

五月「浮かれてしまう気持ちも分かりますが、もう少し自重してください、()()()()()

 




 この前のアホみたいな展開とは一転してちょいシリアスになっています。五月の台詞はギャグではなく深い意味がありましたというお話です。あとはバーダック達の今後やら、らいはと悟天の現状等を語ったわけですね。五月はなんとなく五つ子の中で唯一他の子が選ばれても納得できなそうだなぁと思いました。ここで同じく失恋したビーデルと話すことによってなんとか納得できたという感じですね。なんかここのビーデルの精神年齢が原作よりもグッと上がってる気がするww

 さて、多分次回からバトルが再び来るわけですが、色々な意味で今までとは違います。というか複雑だからマジで整理がむずい。この話もある意味挑戦になっているような気がします。

 ちなみにタイトルについて解説。今回は三本立てになっているわけですが、1つ目はチチの嫉妬。あまり描写してないけど、ギネの若さにチチが嫉妬していました。でも正直これはこじつけかな。2つ目は悟天の嫉妬。これは言うまでもなく二乃に対してです。3つ目は五月です。これまた二乃に対するものです。ちなみに更新頻度落ちるかもです。
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