孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】 作:Miurand
まあ、この世界は基本世界から逸脱したパラレルなので、何やっても許されるだろう(極論)
一方で、風太郎と四葉側も説明が終わっていた。
四葉「へぇ…。やっぱり最初は競争から始まったんですね」
風太郎「やっぱりとはなんだ」
四葉「だって上杉さんのことですから、自分と同じ成績の人にもどうにかして勝って1位になりたいって思ってそうですもん」
風太郎「ぐうの音も出ねえ………」
四葉「でも、羨ましいですよ。孫さんと上杉さんって本当に仲良いじゃないですか。孫さんに嫉妬してしまいそうです。なんちゃって………」
風太郎「……お前も、俺ともっと仲良くなりたいのか?」
四葉「へっ……?」
風太郎「………」
風太郎は真っ直ぐ自分を見据えてきた。きっと真剣に聞いていることなのだろう。なら、自分も真剣に答えなければならない。
四葉「は、はい……。わ、私だって上杉さんのことがす、好きですから………。もっと進展を………うわわ!!!今のは嘘です!!!聞かなかったことにしてください!!!」
風太郎「進展………したいのか?」
四葉「ふぇ……?あぅぅ…………」
お互いに少々気まずい雰囲気が流れ始めた。しかし、それと同時に大人の空気も流れ始めた。
四葉「………そういえば、今日はこの家に誰もいないんですよね……」
風太郎「ああ。一花は言うまでもないし、二乃は悟飯とデート、三玖と五月は久々の気分転換、零奈さんはマルオさんのサポートに行ってるんだったよな?」
四葉「は、はい…………」
風太郎「そ、そうか…………」
四葉「ねえ上杉さん。二乃といえば、あのお二人はどこまで進んだかご存じですか?」
風太郎「はっ?なんだ急に?」
四葉「実は、あの2人ってもう行くところまで行っちゃってるみたいなんですよ」
風太郎「な、何を言ってるんだ四葉?」
いつもの四葉らしくなかった。風太郎はそれを感じて四葉を静止しようとするが、四葉の暴走は次第に激しくなっていく。
四葉「孫さんは二乃の気持ちに応えている…。勿論、二乃が分かりやすく求めているから……二乃に勇気があるからこそだと思いますけど……上杉さんって、私に魅力を感じないんですか?」
風太郎「お、おい!!お前本当にどうしたんだよ!!?そ!そうか!!勉強のし過ぎて疲れてるんだな!!取り敢えず休憩にするか!!」
四葉「………私は真剣に聞いてるんです。答えてよ、風太郎君」
風太郎「っ…!!お前……」
そんな呼ばれ方をされては不意打ちもいいところだ。これでは正直に答える他あるまい。
風太郎「………まあ、お前に魅力を感じないと言えば、う、嘘にはなる……」
四葉「…………」
風太郎「……………」
四葉「……………」
風太郎「な、何か言えよ………」
しばらくの間2人は沈黙していた。その沈黙を破ったのは四葉だった。
四葉「ねえ、上杉さん。知ってまか?」
風太郎「な、何がだ?」
四葉「高校生のカップルは付き合って3ヶ月経てば、もうそういうことをしていてもおかしくないそうですよ?」
風太郎「そういうことってなんだ?」
まさか四葉がそんなことを言うはずがない。そう思っていた風太郎は念の為聞き返してみる。もしかすると自分の誤解かもしれない。
四葉「そ、それは……………」
四葉は顔を赤くして俯いてしまった。その様子から何が言いたいか察してしまった。
四葉「上杉さん。私達って付き合ってるんですよね……?」
風太郎「あ、ああ…。俺はそのつもりだ…」
四葉「そうですよね……。なら……問題ないですよね?」
風太郎「お、おい四葉。お前どうしたんだよ!?んっ……!!!」
様子のおかしい四葉に問いかけるも、風太郎の口は彼女の口に塞がれてしまった。
風太郎「お前………!!」
四葉「私、二乃から聞いて羨ましいなぁって思っちゃったんですよ。私も大好きな風太郎君としてみたいなって……。今日は誰もいないんだよ?なら、いいよね……?」
風太郎「待て待て待て……!誰か帰ってきたらどうするんだ……!?」
いつもの四葉ならこんな積極的ではないはずだ。基本的に謙虚な彼女がこんなに押しが強いわけがない。押しが強いのは二乃だけで十分だ。絶対に何かあると思った風太郎は辺りを見回してみる。すると……。
風太郎「………ん?おい四葉。あの瓶はなんだ?」
四葉「あー、あれですか?あれは私が二乃に相談した時に渡してくれたやつですね〜。興味本位で飲んで見たんですけど、意外と効き目があるみたいですね〜」
なんと、四葉は媚薬を飲んでいたのだ。ただの興味本位で飲んでしまい、結果として風太郎と2人きりの時に効果を発揮してしまった。風太郎はようやく原因を掴み、この場の雰囲気で流されるわけにはいかないと四葉を引き剥がそうとするが………。
四葉「逃がしませんよ、上杉さん」
残念ながら風太郎より四葉の方が力強い。気の修行を抜きにしても強いのだ。その四葉に実力行使に出られれば抵抗できないのは明白である。
風太郎「おい待て!薬で流されるのは間違っている!!正気を取り戻せ!!」
四葉「むぅ……。もしかして、さっきの私に魅力があるっていうのは嘘だったんですかぁ?」
前に悟飯が五月に襲われかけたと言っていたが、恐らくこんな感じだったのだろう。しかも相手が四葉で自分は非力。誰かに助けを求めるしかないが、このマンションの部屋には2人きり。最早詰みとしか言いようがない。
しかし、ここで風太郎に一途の光が見えてくる。ガチャ、というドアノブを回す音が聞こえてきたのだ。
二乃「ただいま〜」
悟飯「お邪魔します」
そう。二乃がデートから帰ってきた上に悟飯までもが訪問してきた。
二乃「………って、あら?」
悟飯「あっ…………」
風太郎「二乃に悟飯!丁度良かった!四葉が変な薬を飲んで大変なことになってるんだ!!助けてくれ!!」
四葉「上杉さ〜ん♡」
風太郎が助けを求めた直後に後ろから強く抱きしめられて耳を甘噛みされてしまう。なんとか声を我慢しながら必死に助けを求め続けた。
二乃「あっ、あ〜………」
悟飯「ね、ねえ?これは流石に止めた方がいいんじゃないの?」
風太郎は二乃が『私の妹に何してんのよ変態!!』と言ってビンタし、なんとかこの状況から救ってくれると読んでいた。しかし、二乃はもう風太郎のことを信用しているし、この前四葉から相談を受けたことから、四葉自身も進展したいという気持ちがあることを知っている。
二乃「そ、そうだハー君!そういえば回り忘れているところかあったわね!行きましょう!!」
悟飯「えっ?でも………」
二乃「いいから早く行くわよ〜!!」
悟飯「えっ?ちょっと!!!?」
風太郎「おい待て!!せめて悟飯だけでも残って………」
バタン……。
悟飯は先に行った二乃を追いかけるようにその場から去ってしまった。これでまた2人きりだ。先程のような奇跡はもう二度と起こらないだろう。
四葉「………」
だが、四葉の動きが止まった。
風太郎「よ、四葉……?」
四葉「さっきみたいに誰か帰ってきたらしらけちゃうね」
風太郎「そ、そうだろう!!だから今日のところはこれくらいにしよう!!な!!?」
四葉「よいしょっと」
風太郎「えっ?」
四葉は軽々と風太郎を持ち上げ、自分の部屋に運んでベッドの上に投げたと同時に鍵を閉めた。
風太郎「お、おい四葉………?」
四葉「ごめんなさい上杉さん……。私、我慢できません……!!」
風太郎「待て待て待て!!!!」
四葉「風太郎君……シよ?」
風太郎「んギャアアア!!!!!」
風太郎「………あっ?」
諦めて目を瞑った風太郎だったが、いつまで経っても服が脱がされない。目を開けてみると…………。
四葉「は、はわわわわ………!!!わ、私はなんてことを………!!ご、ごめんなさい上杉さん!!!私、なんてはしたないことを……!!!」
風太郎「よ、四葉?正気に戻ってくれたのか!!?」
四葉「うぅ………」
風太郎「よ、良かった…………」
彼にとっては何たる奇跡。四葉が正気を取り戻したのだ。取り敢えず過ちは犯さずに済みそうだと安堵した。
四葉「…………って……」
風太郎「ん?」
四葉「よかったって……、なんですか?」
風太郎「えっ?」
四葉「良かったってどういう意味ですか?」
風太郎「はっ?なんだよ、どうしたんだ?」
四葉「…………」
四葉は頬を膨らませながら風太郎のことを睨んでくる。何故睨まれているのか風太郎には分からなかった。
風太郎「いや、ほら、とんだ誤ちが起こるところだったから、それが起きなくて良かったって意味だ………」
四葉「………そう、ですか…」
風太郎の答えを聞いた四葉は少し悲しそうだった。
四葉「その………上杉さんは……私とそういうこと、したくないんですか……?」
風太郎「…………はい?」
また似たような流れになってきた。風太郎にとってこの状況は大変よろしくなかった。
風太郎「おい待て。正気に戻ったんだよな?まさかまたあの薬を飲んでないよな?」
四葉「私は至って正気ですよ………」
どうやら四葉は正気を失っていないらしい。では何故このようなことになっているのか………。
四葉「答えてください…………」
風太郎「…………ほら、俺達はまだ学生だろ?そういうのは、早いと思うんだ…」
四葉「でも、学生カップルは付き合って3ヶ月もすれば大体することはするんですよ?」
風太郎「だが、俺達がそれに合わせる必要なんてないだろ……」
四葉「………上杉さん、お父さんに言われたことを気にしています?」
風太郎「っ…!お前……!?」
四葉「なら、いいじゃないですか。上杉さんがプロポーズして、私が了承している。その時点で問題ありませんよね?」
風太郎「何を馬鹿なことを言ってるんだお前は?」
確かに2人が大人であるなら全く問題ないのかもしれない。しかし、マルオに釘を刺されている以上、どうしても一歩引いてしまうのだ。それに、万が一子供でもできてしまえば、今の自分には子供を養う力もない。
四葉「……そう、ですか…。上杉さんがしたくないというのなら、無理強いはしません。ごめんなさい、まだ薬の効果が残ってるみたいです……」
寂しそうな表情を浮かべながら四葉はゆっくり立ち上がって部屋から出ていこうとする。
……彼女はあんなに自分を求めてくれている。ビジュアルも性格もいいから言い寄ってくる男なんていくらでもいるはずなのに、だ。そんな彼女の好意を無下にしてしまっていいのだろうか?彼女の父親であるマルオを言い訳にして、逃げているだけではないのだろうか…?
寂しそうにする四葉を見ると、そんな思考に支配されてしまう。しかし風太郎は受験生であり学生の身。万が一のことがあればお互いに大変なことになってしまう。それは防ぎたい。防ぎたいが…………。
風太郎は、四葉には常に笑ってほしいと思った。
四葉「……!!」
風太郎はトボトボと歩く四葉を後ろから抱きしめた。
風太郎「………すまん。俺はマルオさんを言い訳にして逃げていただけだったのかもしれない。節度のある付き合いをしなきゃいけないって思っていた。でも、それでお前が傷つくっていうなら、俺は…………」
四葉「上杉さん…………」
風太郎からのアクションにより、2人のムードが高まっていく。どちらかともなく再びベッドの方に戻った。
四葉「………ごめんなさい上杉さん。私って面倒臭いですよね?」
風太郎「それを言うなら俺だってそうだ。それに、俺はお前のそういうところもひっくるめて好きなんだ……。気にすることなんてねえよ」
四葉「上杉さん……。私も大好きです」
以前の彼女なら特別になってはいけないと遠慮気味になっていただろう。だが、彼女の恋の鎖は既に破壊されている。彼女の想いを阻むものは存在しないのだ。
6年前からずっと抱え続けてきたその想いは、ようやく真の意味で報われたと言うべきなのかもしれない。
この後、風太郎と四葉は身も心も一つになった…………。
…………視点は変わって、延長デートを楽しんでいる二乃と悟飯は……。
悟飯「……ねえ二乃。あの2人を放っておいて良かったの?」
二乃「あれでいいのよ。四葉も進展を望んでいたわけだしね」
悟飯「だけど風太郎が明らかに助けを求めていたような気が………」
二乃「気のせいよ気のせい」
風太郎と四葉に気を使って外でショッピングを楽しんでいた。
二乃「あの2人は見ていてどうもムズムズするのよね。ここいらで激薬でも投入しようと思っていたところなのよ」
悟飯「いつも思うんだけど、二乃はそういう薬をどこから手に入れてるの?」
二乃「私達のお父さんは医者なのよ?」
悟飯「あっ……………」
どうやら飲んだ瞬間眠ってしまうような睡眠薬や、四葉が飲んでしまった媚薬はマルオが医療関係で持っていたもののようだ……って。
悟飯「いやいや、睡眠薬はともかく、媚薬は医療で使わなくない…?まさかとは思うけど……」
違和感を覚えた悟飯が二乃に尋ねようとしたが、二乃の様子がおかしい。さっきから顔を赤らめ、息が荒くなっている。そして妙に色気を放っていた。
二乃「あら?バレちゃったかしら?ハー君の体力が凄いものだから、元々私用に買ったものなのよ」
簡単に説明すると、悟飯はZ戦士ということもあり、体力もあっちの体力も凄まじいのだ。故に、一般人クラスの二乃ではどうも手に余ってしまう。そこで媚薬の出番というのが二乃の考えだそうだ。
悟飯「…………最近羽目を外し過ぎてるからダメだよ………?」
二乃「あらそう…。このままじゃきっと我慢できなくなっちゃうわ…。あら、あの金髪の男中々タイプだわ」
明らかにわざとらしいものの、今の二乃の様子を見ると、他の男に付いて行ってしまう可能性も捨て切れない。二乃は自分を追い込むことによって悟飯からアクションを起こさせようとしたわけである。まさに恋愛の暴走機関車であり策士でもある。しかし、これでは肉食性獣と呼ばれてしまうのも仕方ない。
悟飯「ううううっ…………」
二乃「どうしたのよ?そんなに唸って?」
悟飯「………そっか。君と付き合った時点でこうなることは決まっていたんだね………」
二乃「何よく分からないことを言っているのよ?」
はっきり言って悟飯は二乃という女を舐めていたのかもしれない。彼女は付き合う前から積極的だったとはいえ、まさかここまでだったとは予想できなかったのだ。だが、別に積極的に迫られるのも嫌じゃない。むしろ悟飯にとっては嬉しいまである。
悟飯「………二乃」
二乃「なーに?」
悟飯「行くよ」
二乃「(ふふっ…♡いただきまーす♡)」
こうして謎の駆け引きは二乃の勝利で収めた。というかこの2人はどれだけやるつもりなんだろうか?きっと彼女いない歴=年齢の人は嫉妬しまくっているに違いない。………なんだ私のことかぁ(意味分からない自爆)
二乃と悟飯が延長デート(意味深)を楽しんでいる間のこと。日も暮れてきたので三玖と五月が帰ってきた。
五月「久しぶりに食べました〜♪」
三玖「最近の五月は根を詰め過ぎ。偶には息抜きしないと体を壊すよ?」
五月「すみません三玖。ご心配をおかけしてしまって………」
2人はまず各々の部屋に戻ろうと階段を上ったのだが、そこで異様な光景を見た。
風太郎「………ぅぅぅぅ」
三玖「フータロー!?」
五月「えっ?上杉君がどうかしたんですか…………上杉君ッ!!!?」
ゲッソリどころか最早萎れている風太郎が四葉の部屋のドアを開けたまま倒れていた。
風太郎「……!五月、三玖………丁度いいところに………。俺をここから引っ張り出してくれ…………………」
三玖「どうしたのフータロー!?」
五月「明らかに様子がおかしいですよ!!?」
流石に風太郎の様子に心配になった五月と三玖は風太郎の元に駆け寄ろうとしたが………。
四葉「上杉さーん…。私はまだ満足していませんよ〜?」
風太郎「ヒッ……!!」
五月「………えっ?」
ドアの影から四葉のリボンが見えた。それと同時に腕が伸びて風太郎を掴むと、部屋に引き摺り込む。
風太郎「ま、待ってくれ四葉…!!俺はもう限界なんだ……!!た、助け……」
バタン……
風太郎が最後まで言うことなくドアは無慈悲にも閉められてしまった。しかもカチャっと鍵を閉める音も聞こえた。
五月「上杉君!?上杉くーーんッ!!!?」
三玖「……(あいつら交尾したんだ…)」
五月は引き摺り込まれてしまった風太郎を心配するように大声を出し、三玖は全てを察して五月に静かにするように言った。だがそれでも風太郎を心配する五月に、最近は料理の腕が上達したから確かめて欲しいと五月に言うと、態度をころっと変えてリビングに降りて行った。哀れ風太郎………。
またまた視点が戻って二乃と悟飯。またしてもやることをやり、今それが終わったところである。
二乃は初恋である悟飯と共に恋人らしいことをしまくれているので、幸せの絶頂の最中にいるのだが、ある悩みを抱えていた。
悟飯「あ〜……。またやっちゃった…」
そう。事を終える度に悟飯がこんな感じで萎縮してしまうのだ。多分マルオが悪さしているのだろうとなんとなく分かっていたものの、悟飯が自分の為に無理をしているのではないかと思ってしまうのだ。
二乃「………あの、一つ聞いてもいいかしら?」
悟飯「…?どうしたの?」
二乃「………私といて楽しいの?」
悟飯「………えっ?と、突然何を言っているの?」
二乃「……なんか思い返してみたら、私いつもハー君を連れ回してる気がするのよ。今日もここに連れ込んだのは私だし…………」
悟飯「…無理なんてしてないよ?少なくとも、二乃といる時間は楽しいと思っているんだ。ただ………」
二乃「ただ……?」
悟飯「…………最近、僕達やりすぎじゃない?」
二乃「…………………」
そんなことないと言おうとした二乃だったが、確かにデート……いや、会う度にほぼ毎回やっている気がした。ナニをやってるかは敢えて明言しないが、これでは獣ではないか。少なくとも悟飯はそう言いたいのだろう。
二乃「否定できないけど………ハー君は私とそういうことしたくないの?」
悟飯「そ、それは……………」
二乃と深い関係になったといえども、流石に堂々と言えるほど悟飯も図太くなったわけではない。二乃の影響を受けているとはいえ、悟飯の本質は奥手なのである。
二乃は顔を赤くして恥ずかしいそうにしている悟飯を見ると、悟飯の本心を見抜いて納得した。
二乃「別に気にすることないじゃない?寧ろ今の私達って思春期って呼ばれる時期なのよ?何もおかしくないわ」
悟飯「そ、そうなのかな………」
二乃「それにお父さんに何か言われてるから気にしてるんでしょうけど、遅かれ早かれこうなるんだから関係ないわよ」
悟飯「そ、それもそうなの……かな?」
二乃「そういうものなのよ」
二乃の考えは楽観的であったが、確かに一理ある。その言葉になんとなく安心感を覚えた悟飯はそろそろ寝ようとする。
二乃「あっ、ちょっと忘れ物」
悟飯「えっ?」
チュッ
2人きりの部屋にリップ音が響いた。
二乃「ふふっ…♪おやすみ♡」
不意打ちを食らった悟飯だが、そんな彼を気にすることなく二乃は眠ろうとする。
悟飯「……やっぱり大好きなんだなぁ、僕って」
ボソッと呟いた。だが、ここは2人きりの空間で、今は物凄く静かだ。お互いの呼吸が聞こえてくるほどの距離で呟けば、当然聞かれるわけで……。
二乃「えっ!?い、今のもう一回言って!!!」
悟飯「えっ?今のって……?」
二乃「ほ、ほら!さっき大好きって言ってたじゃない!あれをもう一回言って!!」
告白時は堂々と好きだと聞いたが、今ではあまり聞かなくなってしまった。言葉ではなく行動で示してくれる悟飯だからその辺は不安に感じることは少なかったが、たまには言葉でも聞きたいものなのである。
悟飯「……えっ?僕、声に出してた…?」
二乃「ええ、思いっきり」
悟飯「そ、そんな…………」
自分の恥ずかしい独り言(無意識)が二乃に聞かれたことに気づいて恥ずかしくなってしまった悟飯だが、先程まで君はもっと恥ずかしいことをしていたんだぞ。なのに何故今更そんなことで恥ずかしがるのだろうか………。
二乃「もう一度はっきり言ってほしいな………」
どうしても悟飯の口からもう一度聞きたいのか、二乃が上目遣いになってそうお願いしてきた。羞恥に耐えながらも、悟飯は決心してもう一度言うことにした。
だが、悟飯は恥ずかしさのあまり若干テンパっていた。
悟飯「ぼ、僕は二乃のことが大好きなんだよ!!それはもう!結婚したいくらいには!!」
二乃「えっ?」
悟飯「………えっ?」
二乃「…………ここでプロポーズ…?」
悟飯「…………あっ!!!い、今のは無し!!!聞かなかったことにして!!!」
二乃「ふふっ…。ねえ?」
悟飯「………うん?」
悟飯は大失敗をして落ち込んでいたが、二乃に呼びかけられて振り返る。
二乃「じゃあ、結婚しましょ?」
悟飯「えっ?」
またしても不意打ち。今のプロポーズとはお世辞にも言えないようなものが二乃にOKされてしまった。悟飯は嬉しいような悔しいような複雑な気持ちに襲われていた。だが、それも一瞬の話である。
二乃「なんて言うわけでないでしょ!」
悟飯「えっ?」
二乃「もうちょっと状況考えなさいよ!こんなところでプロポーズなんてプレイボーイそのものじゃないの!!」
悟飯「ご、ごめんなさい………」
二乃「だから聞かなかったことにしてあげる!!……プロポーズとしてはね」
悟飯「えっ?それ、どういう意味…?」
二乃「さーてね?じゃ、いいこと聞けたしおやすみ〜」
悟飯「えっ?ちょっと…………」
しかし、二乃は今度こそベッドに入り込んで眠り始めてしまった。危うくプロポーズが大失敗するところだったが、二乃の機転?慈悲?によってやり直すことができそうだ。悟飯本人もあれがプロポーズとなっては納得がいかない。風太郎が四葉に対してプロポーズした時は決まったと思っていたが、二乃の反応を見て後々調べると、プロポーズとはそれなりに準備をする必要があることを知った。
二乃の性格も考慮して、そういったことはちゃんとしたいと思っていたので、今回の二乃の配慮はありがたかった。
孫悟飯は中野二乃には敵わない。
幸せ空間が広がっていた悟飯と二乃だが、視点は変わって風四に戻る。
風太郎「…………四葉」
四葉「はい………」
風太郎「俺死ぬかと思ったんだが!!?つかお前怖えよ!!本当の意味で食われるかと思ったわ!!!」
四葉「す、すみませ〜ん!!!!」
四葉の暴走、風太郎の非力さが合わさって無茶苦茶大変なことになっていたらしい。これではムードもクソもないが、まあ彼ららしいと言えばらしいのかもしれない………。
さて、次回こそ悟飯×一花メイン回になると思います。今の予定ではギャグ重視になると思います。初の番外編はファンアート紹介(悟飯たちがコメントする感じ)にしようかと考えています。でも多分pixiv限定公開だと思う。