孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

30 / 120
 前回のあらすじ…。

 ベジータが超サイヤ人2となってセルを相手に優位に立っていたが、なんとセルは界王拳を使用。流石のベジータもそれには敵わなかった。

 ところが、セルは誰も殺すようなことをせず、自分が敗北した相手の名前を悟飯に教える。名前は『魔人ブウ』。セルを含めた全ての戦士と協力をしても倒せないと断言した。

 そのままセルは宇宙に旅立ち、悟飯は自身の無力さを嘆いていたものの、ピッコロ達の励ましによってなんとか立ち直った。その後はベジータ達とすれ違いになったブルマに会い、風太郎達を日本まで送ってもらった……。

 ようやく元の日常が戻ったというにも関わらず、悟飯は難しい顔をしていた…。一体何を考えているのか…?



第30話 家庭教師を辞職…?

チチ「えーッ!?もう帰っちゃうだか!?」

 

五月「お世話になりました…」

 

悟天「兄ちゃん。今日はどうするの?」

 

悟飯「もしかしたら今日も泊まり込みになるかも……」

 

チチ「……まあ、仲直りができたようで良かっただ!またいつでもウチに来るといいだぞ!オラは歓迎するだ!」

 

悟飯「……お母さん、もうやっちゃったことは仕方ないけど、人の食べ物に変なもの入れないでね………?」

 

チチ「な、なんでバレただッ!?」

 

 

 

五月はCCで一通り勉強した後、自身の荷物(殆どないけど)と別れの挨拶をしに孫家に一度立ち寄り、五月達の家であるPentagonに戻るのであった…。

 

 

 

一花「おっ?きたきた」

 

二乃「遅いわよ」

 

五月「お待たせしました〜…」

 

しっかり姉妹五人が揃ったところで、二乃と五月にとっては久しぶりとなる帰宅をする。

 

一花「お帰り、二人とも」

 

「「……ただいま…」」

 

二乃「早く入りなさい」

 

五月「お先にどうぞ…」

 

二乃「じゃあ同時ね。せーの!」

 

 

・・・・・・

 

 

二乃「なんで動かないのよ!?」

 

五月「二乃だって!」

 

三玖「久々に賑やか」

 

一花「うん!よし、このまま」

 

風太郎「試験勉強だな…」

 

一花「ふ、フータロー君…?さっきまで散々やったんじゃ…」

 

風太郎「何を言ってやがる!残りの数日で徹底的に叩き込むって言っただろう!!」

 

その日も、次の日も泊まり込みの勉強会が開催された……。

 

 

 

 

しかし…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟飯「……」

 

良かった。みんな無事だ…。いつも通りの日常が戻ってきた……。

 

セルに負けた時はどうなるかと思っていたけど、あのセルは僕たちを殺す気はないそうだ。……今のところはだが…。

 

ピッコロさんに話を聞く限りでは、今セルは地球にはいないらしい。恐らく宇宙の戦士と戦いに行ってるのだろう。

 

………しかし、考えて分かったことがある。まず、この前サイヤ人が来たのは()()()()だということだ。サイヤ人達は僕を目当てに地球に来たような発言をしていた。つまり、みんなを危険に晒したのは、他でもない僕だった。

 

もう一つは、セルとの戦いの時。セルジュニアを生み出したのは僕の居場所を突き止める為だったらしい。そして近くにいた上杉君達を自分達が戦う場所に連れてきた。恐らく、僕と親しい関係にあると判断したからだろう。

 

つまりみんなが危険に晒されたのは、()()()()なのだ…。みんなを守りたいのなら、僕はみんなの近くにいるべきではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、この期末試験を機に、家庭教師を辞めよう。そして、みんなとは極力関わらないようにしよう…。そうすることで、みんなの命が危険に晒される可能性が低くなるのなら、それがいいんだ………。

 

……場合によっては、()()を視野に入れるべきかもしれない…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、試験当日になった。今度は遅刻するということはなく、しっかり余裕を持って登校することができた。

 

 

試験は無事に終了し、みんなが帰宅している時のこと…………。

 

 

 

 

一花「いや〜…。疲れたぁ……」

 

二乃「ホント…」

 

三玖「でも、前よりも解けた割合が高い気がする」

 

四葉「うん!前よりも確実にレベルアップしたと思う!」

 

五月「とにかく、今は試験の結果を待つばかりですね……」

 

悟飯「………みんな。ちょっと話があるんだけど……」

 

「「「「「……??」」」」」

 

本当は上杉君にも話をしたかった。だけど、上杉君は今日はどうしても外せない用事があるらしかった。だから、不本意だが上杉君抜きで話をすることにしよう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟飯「…………僕は、期末試験を持って家庭教師をやめようと思う」

 

 

 

 

一花「!?」

 

五月「な、なんでですかッ!?!?」

 

三玖「そ、そんな…!?どうして!?」

 

二乃「……まさか赤点の条件が生きてたんじゃないでしょうね?」

 

悟飯「いや、それはないから大丈夫。それとは関係ないんだ……」

 

四葉「だったら何故………」

 

悟飯「………僕はみんなを守りたい…。僕が近くにいることで、みんなは危険な目に遭う可能性が高くなるんだ。だから……」

 

三玖「悟飯…。あの時私に言ってくれたよね?『責任を持って最後まで面倒を見る』って…。あの言葉は嘘だったの…?」

 

悟飯「…………できれば嘘にしたくなかったよ…。でも、みんなは成績と命…。どっちが大事?」

 

三玖「そ、それは………」

 

悟飯「そういうこと…。だからみんなを守るために僕は家庭教師をやめる…。でもいきなり辞めるのも迷惑をかけるだろうから、こうしてみんなに聞いてもらいたかった。本当は上杉君にも話したかったんだけど……。みんなはこれからは上杉君と一緒に頑張って…。上杉君とみんなでなら……きっと卒業まで無事に辿り着けるよ……」

 

一花「……ちょっと待って。悟飯君の話だと、家庭教師をやめただけだと意味がないと思うよ?わざわざ家庭教師をやめる必要もないんじゃない?」

 

悟飯「……そうだね。だから、転校することも考えてる」

 

五月「そ、そんな…。孫君……!!」

 

三玖「いやだよ…!私は悟飯なしじゃ、もう生きていけないよッ…!!悟飯がいなくなることなんて、命がなくなるのと同じようなものなの…!!」

 

一花「三玖……」

 

五月「わ、私も…!!私の告白に返事もせずにいなくなるつもりですか!?」

 

「「「「えっ……?」」」」

 

ここに来て、五月が既に悟飯に対して想いを告げていることが発覚したが、状況が状況であるため、そのことを話題にすることはできなかった……。

 

悟飯「……….五月さん…。ごめんね…。でも僕なんかと一緒にいたら、君はきっとこれから沢山危険な目に遭う。だから、これからは安全に、幸せに暮らしてね……?」

 

五月「そ、そんな…………!!」

 

五月は悟飯の決意が硬いことを理解すると、膝から崩れ落ちていった。

 

二乃「…………はぁ…。下らないわ」

 

悟飯「に、二乃さん…!!僕は真剣に…!!」

 

二乃「真面目に考えてんだとしたら、尚更下らないわ。それに乙女の人生初の告白をそんな下らない理由で棒に振らないでちょうだい」

 

二乃はそう吐き捨て、携帯電話を取り出して誰かと連絡を取り始めた。

 

 

二乃「もしもしパパ?二乃だけど?」

 

『……二乃君かい…。どうしたんだい?そろそろ忙しくなるから手短に頼むよ?』

 

二乃「……孫の雇用形態のことについてなんだけど……」

 

「「「「……!!」」」」

 

悟飯「二乃さん……」

 

(なんだ……。二乃さんはあんなことを言っていたけど、僕の考えを理解してくれているんだ……)

 

五月「ま、待って下さい二乃!!考え直して下さい!!」

 

三玖「そ、そうだよ!!もしここで悟飯を辞めさせたら、私は…!私は…!!」

 

二乃「いいから黙ってなさい。これはあんたらの為にやってんだから」

 

(流石は二乃さん…。姉妹想いなだけあって、みんなの命を最優先させてくれる……)

 

一花「二乃……」

 

四葉「に、二乃…!本当に、孫さんを辞めさせるの…?」

 

二乃「いいから黙ってなさい」

 

『……ほう?それはどういうことかな?』

 

二乃「パパは孫のこと知ってるでしょ?あいつはセルゲームに参加していて、尚且つセルを倒した超人よ」

 

『……それは理解しているが、それがどうかしたのかい?』

 

二乃「…最近、何かと物騒なことがよく起こるでしょ?だから、せっかく身近にいる逸材を野放しにするのはどうかと思うのよ」

 

『……と言うと?』

 

二乃「孫を私達のボディーガードとして雇ってくれない?」

 

「「「「!!??」」」」

 

二乃の意外な提案に、悟飯を含む五人は心底驚いたような表情を浮かべる。

 

『……なるほど。しかしそれだと、家庭教師の方はどうするんだい?』

 

二乃「何言ってんのよ。これまで通り家庭教師の仕事をすればいいじゃないの。そしてその間に私達を護衛すること…。これでどう?」

 

『………一応僕も考えていた。しかし、孫君の方が……』

 

二乃「大丈夫よ。本人の許可は取ったわよ」

 

『……なるほど。前向きに検討してみるよ…』

 

二乃「ありがと、パパ……」

 

ここで二乃の通話は終了した…。

 

 

悟飯「に、二乃さん!!」

 

二乃「あのねあんた。セルみたいな敵から私達を遠ざけるって言うけどね、あんな化け物が出てきたら地球のどこにいても同じなのよ?」

 

悟飯「で、でも!!僕の近くにいれば戦いに巻き込まれる可能性があるんだよ!?」

 

二乃「それはどこに行っても一緒じゃないの。だからあんたが私達の近くにいて私達を守りなさい。地球のどこに行っても同じようなもんなら、近くに超人的な身体能力を持ったボディガードを付けた方が安心するわ」

 

悟飯「に、二乃さん………」

 

三玖「二乃…。悟飯を辞めさせるんじゃ…?」

 

二乃「だから言ったでしょ?『あんたらの為』だって」

 

五月「に、二乃ぉ…!」

 

二乃「言っとくけど、あんたは逃げてるだけよ。あんたのお父さんがセルに殺されたそうじゃない?それで怖がってるんでしょ?これ以上自分の目の前で誰かが死ぬのが」

 

悟飯「………」

 

 

悟飯にとってはほぼ図星だった。悟飯にとって既に風太郎や五月達6人は大切な存在だ。だからこそ、戦いに巻き込みたくなかったし、死ぬ姿も見たくない。

 

 

二乃「そんなに私達が死ぬのが怖いなら、あんたの力で守りなさいよ。男なんだからシャキッとしなさい!!」

 

悟飯「二乃さん……………」

 

二乃「それと、さっきの五月の返事は取り消しなさい。アレは無しよ。普通なら幻滅されてもおかしくないから」

 

悟飯「………ごめん」

 

二乃「謝るのは私じゃないでしょ」

 

そう言われると、悟飯は五月に向き直し…。

 

悟飯「五月さん…。ごめん……」

 

五月「………そ、孫くん…!!」

 

ドサッ!!

 

悟飯「うわっ!?」

 

五月は悟飯に飛びつく。

 

五月「私の前からいなくなるのかと思ってしまいました…!!でも、いなくならなくて良かったよぉ…!!」

 

五月は泣きながらそう叫び、悟飯に密着する。

 

悟飯「………僕が近くにいてもいいの?僕はみんなを絶対に守れる保証なんてないんだよ…?」

 

 

一花「でも、実績があるんでしょ?確か、二乃が崖から落ちそうになった時に助けて……」

 

四葉「五月が変な男二人組に連れて行かれそうになったのを阻止して!」

 

三玖「ハゲのおじさんが口から出したビームを悟飯が跳ね返してくれて…」

 

二乃「さっきの大爆発の時は、私達をバリアで守ってくれたじゃない」

 

 

悟飯「み、みんな………」

 

五月「ぐすん…。ですから、私の前からいなくならないで下さい…!」

 

悟飯「……分かった…。そこまで言われちゃうと、残るしかないみたいだね…。上杉君の言っていたことがよく分かったよ。みんなは馬鹿だよ。大馬鹿だよ…」

 

四葉「むっ…!孫さん酷いです!!せっかく孫さんを励ましたのに!!」

 

悟飯「あはは…」

 

悟飯はようやく笑顔になり、少々泣きそうになりながらも、涙を堪えてみんなの前で笑顔になった。

 

しかし、涙を堪えることはできず、一滴だけ涙を流した。そのことにみんな気付いたのだが、敢えて誰も触れるようなことはしなかった……。

 

この日、悟飯は本格的に修行を再開しようと心に誓うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜……。

 

『そういえば悟飯。さっき俺に話したいことがあるって聞いたんだが、どうしたんだ?』

 

悟飯「……実は僕、家庭教師の仕事をやめようと思ってたんだ……」

 

『はっ!!?』

 

悟飯「最初はみんなを守るために、僕が離れればみんなが危険に晒されなくなるって思ってた。でもそれは僕が逃げているだけだったんだ。だから、結局はやめないことにしたよ……」

 

『な、なんだ…。ビックリしたぜ……。お前も家庭教師を辞めちまったのかと思って焦ったぜ……』

 

悟飯「あはは…。ごめんごめん………。って、えっ?今、なんて言った?」

 

『……すまん。俺は家庭教師をやめた』

 

悟飯「………………えっ?」

 

 

 

「えぇえええええええええッッッ!?!?!!?」

 

 

 

悟飯「な、なんでッ!?どうしてッ!?」

 

『家庭教師ってのは、ただ教えられるだけじゃダメだったんだ。お前みたいに、あいつらの気持ちを考えてやれる奴がやるべきだったんだ。俺にはそれができなかった……』

 

悟飯「う、上杉君だって!!みんなのことをちゃんと考えてあげてるよ!!だからそんなこと言わないで…!!」

 

『お前がいればあいつらを無事卒業に導けるはずだ…。適材適所ってやつだよ。頑張ってくれ…』

 

悟飯「う、上杉君ッ!!僕は上杉君もいてくれたから今まで上手くやってこれただけで…!!」

 

『そういうことだから、よろしく頼むぜ。あと、あの甘さは捨ててくれよ!もう俺はいないんだからな』

 

悟飯「ま、待って…」

 

ブツッ

 

悟飯「…………ど、どうしよう……」

 

悟飯が家庭教師をやめそうになったが、二乃を始めとする生徒達五人の説得によってなんとかそれは阻止することはできた。

 

しかし悟飯達の知らないところでもう一人の家庭教師が辞めてしまった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中野一花

 

国語:29

数学:56

理科:47

社会:32

英語:43

 

合計:207

 

 

中野二乃

 

国語:27

数学:32

理科:42

社会:34

英語:51

 

合計:186

 

 

中野三玖

 

国語:40

数学:47

理科:44

社会:76

英語:25

 

合計:232

 

 

中野四葉

 

国語:41

数学:24

理科:30

社会:34

英語:31

 

合計:160

 

 

中野五月

 

国語:47

数学:33

理科:73

社会:29

英語:41

 

合計:223

 

 

 

 

五月「あんなに勉強してこれは酷い…!?」

 

一花「あちゃー…。あんなに勉強したのに赤点取っちゃった…」

 

三玖「改めて私達って馬鹿なんだね」

 

四葉「元気出して、二乃」

 

二乃「あんたは自分の心配を……。ってあら?あんた赤点数学だけじゃないの?」

 

一花「えっ?ホントに?」

 

四葉「えへへ……(これも孫さんが私の為に頑張ってくれたお陰……。この調子なら、風太郎君に………)」

 

一花「まあ今日は丁度家庭教師の日だし、期末試験の反省がメインだろうね」

 

 

ピンポーン!

 

 

一花「おっ?噂をすれば……」

 

三玖「悟飯はともかく、フータローにしこたま怒られそう」

 

四葉「だねー!」

 

二乃「なんで嬉しそうなのよ?」

 

四葉「あはは…。結果は残念だけど、またみんなと一緒に頑張れるのが楽しみなんだ…」

 

三玖「……悟飯が辞めるって言い出した時はビックリした……」

 

二乃「ホントホント……。まあ、理由があいつらしかったけどね」

 

一花「でも、まさか五月ちゃんが告白してるとは思わなかったな〜?三玖、これは大ピンチじゃない?」

 

三玖「……まだ大丈夫…!悟飯は返事をしていない…!」

 

二乃「モタモタしてると取られるわよ?」

 

四葉「……孫さんモテモテだなぁ…」

 

 

 

悟飯「こ、こんにちは〜…」

 

三玖「悟飯…!」

 

二乃「ちゃんと来たのね」

 

悟飯「あはは…。ボディーガードとしても働いてくれないかってマルオさんに提案された時は驚いたよ…。まさか本当にやるなんて……」

 

二乃「そういうことだから、よろしく頼むわよ」

 

五月「あれ?上杉君は…?」

 

 

風太郎の代わりに、マルオの秘書である江端が来ていた。

 

 

江端「失礼いたします」

 

一花「あれ?江端さん?」

 

三玖「今日はお父さんの運転手は休み?」

 

四葉「小さい頃から江端さんにはお世話になってるけど、家に来るのは初だよね?」

 

江端「ホホホ!なにをおっしゃる…。私から見たらまだまだ皆さんは小さなお子様ですよ」

 

一花「フータロー君遅いね…」

 

五月「江端さんはどうしていらっしゃったんですか?」

 

江端「…本日は上杉風太郎様の代わりの臨時家庭教師として参りました」

 

三玖「そ、そうなんだ…」

 

一花「江端さんは元々学校の先生だもんね」

 

四葉「体調崩したのかな…?」

 

二乃「あいつサボりか。まさかとは思うけど、あいつも家庭教師を辞めるつもりじゃないでしょうね?」

 

一花「ま、まさか…!悟飯君じゃあるまいし……」

 

悟飯「…………」

 

一花「ご、悟飯君…?ここは笑うところだよ?」

 

しかし、悟飯は一向に笑う気配がない。

 

四葉「えっ…?まさか、本当にやめたってことはないですよね…?」

 

江端「お嬢様方にはお伝えせねばなりません。上杉風太郎様は家庭教師をお辞めになりました」

 

五月「えっ…?」

 

「「「「…!?」」」」

 

江端「そこで、新しい家庭教師が見つかるか、孫様一人でもお嬢様方の成績に支障が出ないと判断するまで、私が上杉風太郎様の代わりを務めさせていただきます」

 

三玖「……何かの間違いだよね…?」

 

一花「もう!ずれた冗談やめてよ〜」

 

悟飯「……冗談じゃないんだよ…」

 

一花「…………えっ…?」

 

江端「旦那様から連絡がありまして、上杉様は先日の期末試験で契約を解除なされました」

 

四葉「えっ…?つまり……?」

 

 

一花「フータロー君、もう来ないの…?」

 

 

悟飯「………」

 

 

悟飯は無言で頷き、江端は沈黙したままであった。それは一花の質問を肯定するのと同義だった。

 

 

三玖「嘘………?」

 

二乃「……赤点の条件が生きてるなら孫も辞めさせられてるはず…。じゃあなんで……?」

 

悟飯「…上杉君は、自分からやめたそうなんだ……」

 

四葉「自分からって……」

 

三玖「フータロー…。どうして……?」

 

五月「……そんなの納得行きません!彼を呼んで話を直接聞きます!」

 

江端「申し訳ありませんが、それは叶いません…。上杉様のこの家への侵入を一切禁ずる。旦那様よりそう承っております」

 

五月「何故そこまで……」

 

三玖「……分かった。私が行く」

 

三玖が風太郎に訳を聞く為に外に出ようとするが、江端に止められた。

 

三玖「……江端さん、通して」

 

江端「なりません。臨時とはいえ、家庭教師の任を受けております。最低限の教育を受けていただかなければここを通すわけにはいきません」

 

三玖「ぐぐっ…!江端さんの頭でっかち!」

 

江端「ホホホ!なんとでも言いなされ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五人は上杉君に直接会う為に、江端さんが用意した問題集を解く。

 

二乃「これが終わったら行ってもいいのよね?」

 

江端「ええ。ご自由になさってください」

 

二乃「全くどういうつもりよあいつ…」

 

 

 

悟飯「……江端さん。上杉君が自分から辞職したのはいいとして、どうしてマルオさんは上杉君を出禁にしているんですか…?」

 

江端「申し訳ありませんが、私は存じ上げません…」

 

悟飯「そ、そうですか……」

 

 

しばらく待機していると、五人は何やら思い立ったように同時に立ち上がり、江端さんにある提案をした。

 

江端「おや?どうなされました?」

 

三玖「江端さんもお願い。協力して」

 

みんなが江端さんに提案したのはこうだ。これから上杉君も含めて7人で勉強をするために新しい家に引っ越すというもの。一花さんが女優として働いているから、家賃は問題ないとか?

 

しかし、未成年である為にアパートを借りることもできない。そこで江端さんに協力をしてもらおうという寸法だそうだ。

 

って、いやいやッ!?

 

悟飯「そ、それ本気で言ってるのッ!?」

 

一花「うん。私達は本気だよ?」

 

江端「………大きくなられましたな」

 

悟飯「えっ…?い、いいんですか……?そんなことしちゃって……」

 

江端「ホホホ!人生には刺激も必要ですよ」

 

……どうやら江端さんも賛成のようだし、僕としても上杉君と共に家庭教師ができるなら問題はない。だけど……。中野さんが絶対に怒るぞ〜…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12月17日。四葉さんが陸上部の駅伝で見事に優秀な成績を収めた。

 

12月19日…。22日……。どんどん日付が過ぎていく。上杉君に事情を聞こうとしても、電話で聞いたような返答が返ってきた。特に核心が付けないまま、24日のクリスマスイブになった……。

 

この頃には既に五人の引っ越しは完了していた。この日の夜は僕にも来て欲しいとのことで、合流した。行き先はとあるケーキ屋だとのこと……。

 

 

 

 

 

風太郎「メリークリスマス!ケーキはいかがですかー?」

 

「すみません。1ホールください」

 

風太郎「はい!ただいま………、!?」

 

 

なんと、そのお店で上杉君がアルバイトをしていたではないか……!

 

 

 

 

 

 

 

 

風太郎「ケーキご注文のお客様…」

 

一花「わー!本当に働いている!クリスマスだってのに偉いね〜!」

 

三玖「というか寂しい」

 

二乃「ケーキも遅いわ」

 

………何故か僕も一緒に席に座って待機している。しかも両隣に五月さんと三玖さんがいる…。ちょっと気まずい…。

 

風太郎「仕方ないだろ。今日は繁盛…」

 

二乃「ちょっと、私達はお客。あんた店員」

 

 

風太郎「さっさと持ってお帰り下さいませ〜……!」

 

二乃「あーら、できるじゃない」

 

いや、その対応はちょっと違うと思うけど……。

 

五月「すみません。ケーキの配達ってできますか?やっぱり家に届けてほしいのですが……」

 

風太郎「はぁ?配達なんてやってないけど?」

 

二乃「か弱い乙女に持たせるつもり?」

 

風太郎「悟飯に持たせろ」

 

五月「すぐそこなので」

 

風太郎「え〜…」

 

三玖「落としちゃうかも…」

 

一花「雪降ってるし」

 

四葉「お願いします!」

 

風太郎「おーい、この五人の保護者の方、どうにかしてくれ!」

 

悟飯「……できれば配達お願いします」

 

風太郎「店長!!ヤバい客がいます!!」

 

「もう店は閉める。こっちはいいから最後に行ってあげなよ」

 

風太郎「はぁ!?店長そんなこと…!!」

 

「上杉君、メリークリスマス……」

 

風太郎「………」

 

俺、このバイトも辞めようかな…。

 

そう考えた風太郎であった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一花「四葉ー!雪の上は危ないよー!」

 

二乃「お子様なんだから。滑っても知らないわよ」

 

風太郎「………!お前らの家はこの道じゃないだろ?」

 

風太郎は違う道を歩いていることに気づいたようだが……。

 

一花「違うよ!こっちこっち!」

 

風太郎「…あのさ、黙って辞めたことは悪かった。だがもう俺は家庭教師には戻れねえ」

 

上杉君がそう言うと、五月さんはこの時の為に用意していた物を取り出して上杉君に見せる。

 

五月「見て下さい。この人が上杉君に代わる新しい家庭教師です」

 

写真付きの履歴書を風太郎に見せる。見た目がチャラそうな人が自分の後任になることを知ったらやる気になってくれるだろうということだが………。

 

風太郎「そうか…。意外と早く決まったんだな。東京出身で元教師…。優秀そうな人じゃねえか。見た目はともかく…。この人と悟飯がいれば、お前らは確実に卒業できるだろ」

 

しかし、風太郎は戻る気のなさそうな返事をする。その返答に対して思うところがあったのか、二乃が口を開いた。

 

二乃「いいの?このまま次の人に任せて私達を見捨てんの?」

 

風太郎「………っ…」

 

風太郎も本当は辞めたくなかったのか、それとも戻りたいのか分からないが、表情が変わる。

 

風太郎「……俺は2度のチャンスで結果を残せなかったんだ…。次の試験だって上手く行くとは限らない…。だったらプロに任せるのが正解だ……。これ以上は俺の身勝手にお前らを巻き込めない」

 

二乃「……そうね。あんたはずっと身勝手だったわ。孫じゃあそこまで強引に勉強をやらせるようなことはしなかったでしょうね。あんたのせいでしたくもない勉強をやらされたわ。でも問題が解けたら嬉しくなっちゃって……」

 

二乃はそう語りながら段々と風太郎に歩み寄っていく。

 

二乃「これは全部あんたのせい。最後まで身勝手でいなさいよッ!!謙虚なあんたなんて気持ち悪いわッ!!謙虚な家庭教師は孫一人で十分なのよ!!」

 

風太郎「………悪い。もう戻れないんだ…。俺は辞めたんだ。お前達の家に入るのさえ禁止されている…」

 

一花「それが理由…?」

 

風太郎「ああ…。早く行こうぜ」

 

一花「もういいよ。ケーキの配達ご苦労様」

 

一花は風太郎が持っていたケーキを手に取った。

 

風太郎「……いや、まだ……」

 

一花「ここだよ。ここが私達の新しい家」

 

……一花は目の前にあるアパートを指差しながらそう言った。風太郎は一瞬何がなんだか分からない様子だった。

 

風太郎「……どういう意味だ…?」

 

一花「借りたの。私だってそれなりに稼いでるんだよ?といっても未成年だから契約したのは別の人だけど。事後報告だけどお父さんにももう言ったから」

 

五月「今日から私達はここで暮らすんです」

 

五人の決意は固かった。これからも7人で勉強をする為に。ただそれだけの為に五人はここに引っ越したのだ。今まで住んでいた居心地の良い家を捨ててまで……。

他人から見たら大した理由じゃないかもしれない。でも、悟飯達からしたらとても大切なこと…。だからここまで大掛かりな準備をしてでも風太郎と勉強できるようにしたわけだ。

 

一花「これで障害はなくなったね」

 

風太郎「嘘だろ…?たったそれだけの為にあの家を手放したのか…!?」

 

悟飯「………それだけ上杉君はみんなに必要とされているってことだよ」

 

風太郎「いや、だとしてもこんなの間違っている!お前らは馬鹿か!?今すぐ前の家に戻れ!このまま新しい家庭教師を雇えば……」

 

四葉「………上杉さん。前に言いましたよね?大切なのはどこにいるかじゃなくて、五人でいることだって!!」

 

そう言うと四葉は、Pentagonのカードキー5枚を近くにあった川に向けて放り投げた。

 

風太郎「マンションのカードキー…!?やりやがった…!!」

 

風太郎はそのカードキーをなんとかキャッチしようとするが……。

 

ツルッ

 

「「「「「「!!!」」」」」」

 

 

どぼんっっ!!!!

 

 

風太郎はこの極寒の中、川に落ちてしまった。

 

悟飯「う、上杉君!?」

 

 

ザバンッ!!

 

 

悟飯は風太郎を引き上げる為に躊躇なく川に飛び込んだ。服は濡れてしまうが、今はそんなことを言っている場合ではない。このままでは、風太郎が溺れてしまう可能性もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドボンッッ!!!!!

 

 

 

悟飯「…!?!?」

 

なんと、五人も一斉に飛び込んできたのだ。

 

 

 

ザパァッ!!

 

風太郎「プハッ…!!」

 

三玖「フータロー!大丈夫!?」

 

五月「ぜ、全員で飛び込んでどうするんですかッ!?」

 

四葉「って寒ーッッ!!!」

 

風太郎「お前ら……」

 

三玖「たった2回で諦めないでほしい…!!今度こそ私達はできる!みんなでならできるよ!成功は失敗の先にある!そうでしょ!?」

 

風太郎「……三玖」

 

 

一花「二乃っ?二乃、どうしたの!?」

 

二乃「つ、冷たくて身体が…!!」

 

二乃は身体が冷えて思うように動かせず、溺れてかけてしまっている。それに気づいた悟飯は超スピードで二乃を引き上げた。

 

 

 

ザパッ!!

 

 

二乃「…!!」

 

悟飯「大丈夫?無理しちゃダメだよ…。今の時期なんて……」

 

二乃「……あ、ありがと…」

 

 

気がつくと二乃は既に先程の岸辺に連れてこられていた。これで取り敢えずは溺れる心配はない……。

 

 

 

悟飯は舞空術を駆使して全員を引き上げた。

 

風太郎「無茶苦茶だ…。お前ら、後先考えず行動しやがって…。これだから馬鹿は困る。なんだか、お前らに配慮するのも馬鹿らしくなってきた!」

 

 

ビリッッ!!!

 

 

 

 

風太郎「俺もやりたいようにやらせてもらう!!」

 

風太郎は五月に渡された履歴書を破り、高らかに宣言した。

 

風太郎「俺の身勝手に付き合えよ。最後までな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……….」

 

(違う…。これはカカロット君のことが忘れられないだけ…)

 

密かにドキドキしている者が1名いた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一花「さっ、そうと決まれば早く家に入ろ!」

 

四葉「このままじゃ風邪引いちゃうよ…」

 

五月「あっ、ケーキは大丈夫ですか?」

 

三玖「大丈夫」

 

 

 

風太郎「………(さよならだ、零奈)」

 

 

 

 

 

三玖「フータロー!早く!」

 

五月「ケーキ食べちゃいますよ」

 

一花「ほらほら、悟飯君も早く。みんなでケーキ食べるよ!」

 

悟飯「……えっ?僕も?」

 

一花「当たり前じゃん!七人(みんな)で食べる為に買ったんだから!」

 

風太郎「……でもいいのか?俺らが入ったら、五等分できないぜ?」

 

 

その一言に、五人は同時に笑顔になった。

 

 

 

 

 

 

その日に食べたケーキの味は、今まで食べた中で1番特別に感じたそうだ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「江端、今日は遅かったね」

 

「申し訳ございません」

 

「いいさ。しかし、その格好は…?」

 

「ホホホ…」

 

江端は、先程五月が風太郎に見せた履歴書と同じ風貌をしていた。単なる偶然か、はたまた………。

 

「まあいい…。上杉君、よくもやってくれたね。しかし、君のような男に娘はやれないよ……」

 

マルオは険しい顔をしながら、江端の運転する車の中でそう呟いた…。

 




 悟飯が家庭教師を辞めようとする展開はかなり前から考えていました。悟飯ならみんなを巻き込まないために家庭教師をやめてもおかしくないんじゃないかなーと…。でも悟飯のことだから、風太郎のようにいきなりやめるようなことはせず、きちんと一言報告はすると思うんですよね。でもそこで素直にやめさせてくれる五つ子ではありません。二乃の機転によって悟飯は家庭教師を続けることになりました。これを機に悟飯は本格的に修行を再開しました(殆ど描写しないと思うけど)。

 実は悟飯が家庭教師をやめることを事前に風太郎に相談して、風太郎も辞めようとしてることを知って悟飯が風太郎を説得して、風太郎が辞めずに悟飯だけやめるバージョンや、悟飯も風太郎もどちらも辞めるバージョンを考えてはいたのですが、悟飯はやめようとするけど五つ子に止められるパターンが1番しっくり来たのでこのような形にしました。

 ちなみにですが、マルオの悟飯に対する印象はかなりいい方。風太郎もいいと言えば良かったのですが、風太郎に父親らしいことをしろよと叱られた為に風太郎のことは嫌ってます(原作通り)。実はマルオはサイヤ人が街を襲った日以来、娘達にボディガードを付けることを真剣に検討していて、そこに丁度二乃の提案が来て、これ以上の適任者はいないだろうということでマルオは快く二乃の提案を受け入れました。

 お気づきの方も多いと思いますが、四葉がかなり成長しています。裏で相当頑張っていますからね。

 赤点回避?ナニソレおいしいの?

 前回のセルの界王拳3倍では超2ベジータには及ばなくないかという意見をいただきました。マジでその通りだと思います。戦闘力の計算とか全くしてなかった…。許してください…

 というかもう30話行ったんですね。最近ほぼDBZだったせいで五等分基準だとストーリーが全然進んでない。こりゃひでえ!!

悟飯とヒロインの結ばれ方、どれがいい?(第20話の前書き閲覧推奨)

  • 1:本編で誰と結ばれるか明確にする
  • 2:IFルートで1人ずつルートを作る
  • 3:まさかの3人と結ばれるハーレムエンド
  • 4:1と2の複合型
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。