孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

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 前回のあらすじ……。
 悟飯は三玖のバレンタインの意図までは気付かなかったものの、バレンタインチョコであることには気付いた。そして、四葉とのマンツーマン授業も開始することになったそうだ。三玖と四葉は果たしてどれくらい点数を取れたのだろうか?

 ちなみに、前回と今回は物語は時系列順には進んでおらず、それぞれの視点ごとに分けて1月〜3月を繰り返している。

悟空「なあ、そろそろオラ出てきてもいいか?」

界王「待て!まだその時じゃないわい!」



第34話 最後の試験が一花&五月&二乃の場合

 

最後の試験が一花の場合

 

チョコを作る三玖と二乃の様子を伺っていたら、まさかのフータロー君の襲来!四葉が参考書を忘れたとのこと。私は二人の邪魔をしない為に書店にて参考書を買ってあげることになった。

 

とほほ……。今は少し苦しい生活を送っているんだけど……。これも三玖のため…!

 

……でも、フータロー君とお買い物に来てるなんて、なんかデートみたいだな…。そう考えると楽しくなってきたかも…?

 

風太郎「なあ一花、結構いい値段だがいいか?」

 

一花「し、心配しないで!買ってくるから!」

 

ってあれ?もう一冊本を持っているじゃん?参考書とはまだ別物かな?

 

一花「おや?そっちの本は?」

 

風太郎「いや、これはいい……」

 

……まさか、まさか、あのフータロー君が…!?そうだよね!女の子に隠す本なんて、それくらいしかないよね!?

 

一花「まさかエッチな本を!?」

 

風太郎「違え!!まだ買うと決めたわけじゃないが……」

 

そう言いながらフータロー君は本の表紙を見せてくれた。……『良い教師になる為のいろは』……?ふーん……。

 

一花「いい先生になりたいんだ〜?」

 

風太郎「う、うっせー!」

 

あっ、フータロー君照れてる。もー!可愛いなぁ!

 

一花「どうせだから参考書と一緒に買ってあげようか?」

 

風太郎「自分で買えるって…」

 

一花「遠慮しないで!もしかしたら、今度こそ落第になっちゃうかもしれないからね」

 

風太郎「……ん?今度こそ?」

 

一花「あれっ?言ってなかったっけ?私達、前の学校で………」

 

 

 

………………

 

 

………

 

 

 

風太郎「じゃあこれ、よろしく」

 

一花「は、はーい…。支払いしてくるからブラブラしてて!」

 

風太郎「一花。実はお前が姉妹で一番飲み込みも早い。仕事との両立を保ててるのが何よりもの証拠だ。今度こそ合格するぞ!」

 

一花「うん。やるだけやってみるよ」

 

支払いをしている間、クラスメイトの男子に会った。そこで手を怪我していることを指摘された。さっきフータロー君に声をかけられて手をぶつけちゃった時のやつだ…。それを見て死亡寸前の人のような扱いを受けた私…。そこまで大袈裟にしなくても……。

 

そして、その後にはフータロー君にも気付かれた。だけど、彼が言ったのはたった一言。

 

 

 

『やっぱドジだな。気をつけろよ』

 

 

 

こんな言葉でも、君が言うと胸に響いてしまうんだ……。それくらいに私はフータロー君のことが好きなんだな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

三玖「この期末試験で赤点回避をして、姉妹の中で一番の成績で、そうやって自信を持って悟飯の生徒を卒業できたら、今度こそ好きって伝えるんだ…」

 

一花「……いいんじゃないかな?それが三玖なりのケジメのつけ方なら……」

 

三玖は強いな…。私はまだ戸惑っている中で、三玖も、五月も……。みんな強いよ……。

 

一花「三玖ならできるよ。頑張ってね!」

 

三玖「一花……」

 

 

 

 

 

 

試験返却当日……。

 

四葉「あっ!一花も来ましたよ!一花は何点だったの?」

 

一花「私?私は………」

 

 

中野一花:

 

国語:51

数学:75

社会:46

理科:61

英語:57

 

合計290点

 

 

合格/たいへんよくできました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五月の場合

 

風太郎「今日で3学期が始まって1週間。せっかくの日曜日…。これからって時に何故五月がいない!?」

 

悟飯「確かに……。あんなに張り切っていたのにどうしたんだろう?具合悪いのかな?」

 

風太郎「是非やってください!!そして確かめてください!!……って言ってたじゃん!!」

 

一花「まあまあ…」

 

三玖「静まって」

 

四葉「でも本当にどこ行ったんだろう…」

 

二乃「ほら、五月はあれよ。今日は『あの日』なのよ」

 

悟飯「あの日…?あの日って……」

 

風太郎「………あの日?なんだよそれ、ハッキリ言えよ!!」

 

三玖「直球に聞いてきた」

 

一花「ノーデリカシーの名を欲しいがままにしているね……」

 

悟飯「……五月さんは何か用事?」

 

一花「そ、そうそう!用事なの!」

 

風太郎「なんだよ……。それは試験より大切な用事なんだろうな?もしそうじゃないなら許さねえぞ…!」

 

四葉「ううっ…。それは………。女の子には…!!」

 

二乃「いや、普通に母親の命日」

 

風太郎「……じゃあみんな、席について始めましょうかね………。って!おい、騙されねえぞ!お前らだって同じ母親じゃ………」

 

ーー

 

ーーーー

 

ーーーーーー

 

『あなたとの隠し子です』

 

『全員同じ年齢です』

 

マルオ『今日から君達は五つ子だよ』

 

ーーーーーー

 

ーーーー

 

ーー

 

風太郎「……すまん。始めよう」

 

一花「いらぬ深読みしてない…?」

 

悟飯「……もしかして、月命日なの?」

 

四葉「そうなんです。お母さんが亡くなったのは8月14日なんです」

 

悟飯「………差し支えなければでいいんだけど、死因は……?」

 

四葉「あはは…。お母さんは体の弱い人だったので、病気で………」

 

悟飯「………そっか」

 

一花「……?それを聞いて何か意味あるの?」

 

悟飯「いや、ちょっと気になっただけだよ」

 

一花「……?」

 

二乃「あの子は律儀に毎月14日に墓参りに行ってるのよ」

 

三玖「近くだからフータローと悟飯も今度お線香あげてよ」

 

悟飯「……うん」

 

風太郎「律儀ねぇ……」

 

 

 

 

……私はお母さんのようになれるのでしょうか…?お母さんのお墓の前でそう呟いた時に、お母さんの元生徒さんという下田さんに会った。下田さんは昔は不良だったそうですが、お母さんの中に信念のようなものを感じ、先生に憧れて、塾講師になったそうです。

 

お母さんは誰にも媚びずに、鉄仮面だったにも関わず、めちゃ美人だったから生徒から相当人気があり、歳が近いこともあるのか、ファンクラブが結成されるほどだったとのこと。

 

下田さんのお話を聞いて、私もお母さんのような先生になろうと、進路希望調査に記入しようとしたところ、下田さんに止められた。『お母ちゃんになりたいだけなんじゃないか?』そう言われました。

 

言われてみれば、私はお母さんが死んでからというもの、お母さんの代わりになろうと必死でした…。

 

 

でも、上杉君が考案した、生徒同士で教え合うシステムのお陰で、先生になりたい理由を見つけ出せました。上杉君には感謝しています…。教えている人に感謝の気持ちを伝えられた時のあの時の気持ちを大切にしたい……。

 

 

お母さん。私は先生を目指します……。お母さんになりたいからではなく、私の意思で………。

 

 

中野五月:

 

国語:57

数学:45

社会:39

理科:83

英語:51

 

5教科合計275点

 

 

合格/たいへんよくできました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二乃の場合

 

3学期が始まり、試験があと2ヶ月というところに差し掛かった。最近妙にあいつのことを意識してしまう…。でも、それはカカロット君のことが忘れられないだけ…。こいつのことなんて何とも思ってない……。

 

 

思い出しちゃダメ…………。

 

 

 

一花に呼ばれて家に戻ってみたら、三玖がいた。どうやらこの子はあいつにチョコを渡す為に作っているらしいけど、何もかもダメダメ。だけど、必死に頼んでくるもんだから、つい手伝ってあげたくなっちゃった…。

 

 

何日かかけてようやく三玖一人でもチョコを作れるようになった。

 

 

……せっかく忘れられそうだったのに、思い出させないでよ……。

 

 

 

 

三月になり、試験が返却された。赤点は見事に回避できていた。

 

………今までの日々を思い返してみると、あいつは私のことなんてなんとも思ってない。強いて言うなら、守らなければならない、か弱い生徒程度。

 

だから、あいつにはもう会わない…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟飯「五月さんは何点だったの?」

 

五月「私は5教科合計で275点です」

 

風太郎「成長したな…。三玖はどうだったんだ?」

 

三玖「私はね……」

 

 

中野三玖:

 

国語:55

数学:58

社会:85

理科:52

英語:41

 

 

合計291点

 

 

 

 

 

五月「す、凄いですね三玖!!」

 

風太郎「この調子だとやはり三玖が一番だろうな。流石だぜ、三玖」

 

三玖「う、うん…!」

 

四葉「あっ!一花も来ましたよ!一花はどうだった?」

 

一花「私は赤点なかったよ。みんなは?」

 

四葉「おお!!これであとは二乃だけだね!」

 

風太郎「一花は何点だったんだ?」

 

一花「私?私は290点」

 

五月「!?凄いですね一花!!」

 

四葉「三玖と僅差だよ!!」

 

一花「!?三玖は何点だったの?」

 

 

周りの反応を見て一花は自身が点数を高く取りすぎてしまい、三玖を超えてしまったことを懸念した。

 

 

三玖「私は291点。あと少しで一花に負けるところだった……」

 

一花「よ、よかった…。ということは、三玖が一番じゃない?おめでとう!」

 

だが、僅差で三玖がトップに立っていることを確認できた。この事実に一花はホッと胸を撫で下ろした。

 

三玖「うん…!」

 

店長「そうだ上杉君。二つ結びの子が先に来てこれを置いてったけど」

 

風太郎「それは…!試験結果の紙!?」

 

店長「それと伝えようと思ってたけど、彼女から伝言」

 

 

 

『おめでとう。あんたらは用済みよ』

 

 

中野二乃

 

国語:43

数学:42

社会:59

理科:51

英語:67

 

 

合計262点

 

合格/たいへんよくできました

 

 

 

四葉「やったー!!これで全員赤点回避だッ!!」

 

悟飯「みんな凄いけど、その中でもよく頑張ったのは三玖さんと一花さんだね!」

 

三玖「……悟飯、前に言ってくれたよね?私を一番優秀にしてくれないかって」

 

悟飯「うん。言ったね。懐かしいなぁ…」

 

三玖「悟飯のお陰でここまで来れたんだよ?私はそんな悟飯のことが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四葉「みんな見て見て!!きっと驚くと思うよ!!」

 

四葉はここぞというタイミングで、自身の詳細な成績をみんなに公開した。その成績は……………。

 

一花「……えっ!?!?それ、本当に四葉の成績表…?」

 

風太郎「なん……だと…!?」

 

 

 

中野四葉

 

国語:78

数学:47

社会:56

理科:49

英語:63

 

 

合計293点

 

 

 

風太郎「一番危なかった四葉が、一番の成績を取った………だと…!?」

 

三玖「……………えっ?」

 

五月「す、凄いですよ四葉ッ!!!!一体どれほど勉強を!?!?」

 

四葉「えへへ…。もうみんなの足を引っ張りたくないから、死ぬ気で頑張ったんだ……」

 

悟飯「す、すごいね、四葉さん………。少なくとも、前回のテストまでは姉妹の中では一番低かったのに……」

 

四葉「それもこれもみんなのおかげです!本当にありがとうございます!!」

 

 

四葉はここまでの成績に至ったのは、林間学校後に、悟飯が四葉を応援することを決意した時から始まった個別指導、3学期に入ってから本格的に始動したマンツーマン授業、そして、風太郎のマンツーマン授業も受け、自習も欠かさなかったからである。

 

四葉はみんなよりも勉強ができない。だからこそ、みんなよりも勉強をして、みんなよりも高い成績を獲得できたのだ。

 

 

風太郎「凄いじゃないか、四葉!もう五人の足を引っ張るお前はいねえよ!!」

 

四葉「……えへへ」

 

三玖「……四葉おめでとう…。私もまだまだだね…」

 

四葉「そんなことないよ!三玖だってすごいよ!」

 

一花「………」

 

この結果に一花は素直に喜べなかった。三玖の目的を知っていたからというのもあるが、もしも四葉が三玖の目的を知ったとしたら、間違いなく四葉が罪悪感に苛まれるからだ。

 

 

五月「私達ばかりでなく、上杉君は何点だったんですか?」

 

風太郎「あっ!やめろッ!!見るな!!」

 

五月「あっ!危ない……。また罠にかかって100点の自慢をされるところでした……」

 

風太郎「チッ、無駄に賢くなりやがって…」

 

四葉「やっぱり気に入ってたんですね……」

 

店長「試験突破おめでとう!今日はお祝いだ。上杉君の給料から引いておくから好きなだけ食べるといいよ」

 

風太郎「もー!店長ったら冗談ばっかり!!」

 

悟飯「えー!?いくらなんでもそれは悪いですよ!僕が払います!!」

 

店長「いや冗談だよ。今日は店の奢りだから好きなだけ食べるといいよ」

 

悟飯「いや、それも悪いですよ…。せめて何かお手伝いさせて下さい…」

 

店長「そう?じゃあお言葉に甘えちゃおうかな?」

 

風太郎「店長……………」

 

四葉「ありがとうございます!」

 

五月「でも、まだ一人来てないんです」

 

店長「ああ…。二つ結びの子かな?」

 

悟飯「だったら僕が連れて来るよ」

 

風太郎「おう。助かる」

 

四葉「二乃をお願いしまーす!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見事に五人とも赤点を回避することができた。もう僕達がいなくても、赤点回避することができるだろう。

 

そう考えると、少々寂しいものがあった。なんだかんだ言って、家庭教師の仕事を半年も続けてきたのだ。最初は二乃さんや一花さんを始め、なかなか勉強してくれなかった。二乃さんに至っては、僕と上杉君を認めないとまで宣言したのでビックリしたっけなぁ…。

 

でも、時間が経つうちに、二乃さんも僕達を拒否するようなことはなくなった。

 

四葉さんは、実は昔に上杉君と会ったことがあり、勉強したけど思うように成績が伸びずに挫折しかけたこと。

 

林間学校では、サイヤ人の襲来があり、僕の正体を五月さんに知られてしまったし、二学期の期末テスト前なんかは二乃さんと五月さんの大喧嘩が起こり、五月さんを匿う形で僕の家に泊めた。そこであんなことがあり、五月さんが林間学校の時から僕のことを好きでいてくれたことも知った。

 

この半年、本当に色々あった。僕の場合は家庭教師の業務が終わっても、ボディガードを任されている。学校も同じだし、五月さんに至ってはクラスも同じだから、みんなに会わないということはない。

 

だけど、いつもの日常が少し変わるだけで、寂しい思いが出てきたりする。

 

……結局、みんなに僕の正体が知られちゃったのか……。僕って本当に隠し事が苦手なのかな………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マルオ「……帰ってきたか、二乃君」

 

二乃「パパ。その君付けやめてって言ってるでしょ」

 

マルオ「悪かったね、二乃。先程全員から赤点回避の連絡をもらったよ。君達は宣言通りに七人でやり遂げたわけだ。おめでとう……」

 

二乃「あ、ありがとう……」

 

パパからこんな風に素直にお祝いされるなんて、今まであったかしら…。引き取ってもらった後から、私達とパパが顔を合わせた回数は少ない。

 

マルオ「……どうやら上杉君を認めざるを得ないようだね。だから明日からはこの家で……」

 

二乃「……あいつらとはもう会わない。それと、もう少し新しい家にいることにしたわ」

 

マルオ「……なんだって…?」

 

二乃「試験前に五人で決めたの。当然一花だけに負担はかけない。私も働くわ」

 

そう…。自立なんて立派なことはしたつもりはないし、正しくないのも承知の上。普通に考えれば、元の家に戻った方がいいに決まっている。でも……

 

二乃「あの生活が私達を変えてくれそうな気がする…。少しだけ前に進めた気がするの!今日はそれだけ伝えにきたの」

 

マルオ「……理解できないね。前に進むなんて抽象的な言葉になんの説得力もない。君たちの新しい家とやらも見させてもらったが、僕にはむしろ逆戻りしているようにも見える」

 

 

えっ…!?パパは新しい家の住所なんて知らないはず…!!

 

……まさか、江端さん…?

 

マルオ「五年前までを忘れたわけではあるまい?もうあんな暮らしは嫌だろう?いい加減我儘は……」

 

 

 

 

 

 

ヒュー スタッ

 

パパが言い切る前に、そいつは空から黄色の雲に乗って現れた。

 

悟飯「二乃さん、もう打ち上げ始まっちゃうよ?早く行こうよ」

 

二乃「あんた……」

 

マルオ「……君が孫君だね。この度は娘達を赤点回避に導いてくれてありがとう」

 

悟飯「どうも中野さん。僕だけの力ではありません。上杉君と中野さんの娘さん達五人の努力があってこその今回の結果です。僕はきっかけと知識を与えただけに過ぎません」

 

 

マルオ「そんなに謙遜しなくてもいいよ。あと、僕のことはマルオと呼んでくれて構わない。……話は変わるが、君からも言ってほしい。娘達に元の家に戻るように…」

 

悟飯「……確かに、今の家にいるよりも、元の家にいる方が金銭面でも、生活面でも、勉学面でもいいでしょう」

 

 

……やっぱりそうよね。なんとなくだけど、私達七人の中では、こいつは一番パパ寄りの考えなのは何となく分かっていた。

 

 

悟飯「だけど、娘さん達にとって重要なのは、どこにいるかではなく、五人でいることなんだそうです」

 

マルオ「だったら五人で元の家に帰るといい。それなら元の生活水準にも戻るし、それぞれの負担も減るし、五人で一緒に居られることに変わりない」

 

悟飯「……仰る通りです。でも、もう少しだけ、五人の我儘を聞いてあげてくれませんか?」

 

二乃「あんた……」

 

マルオ「……これでも十分我儘を聞いてあげた方だと思うのだがね…。娘達が進もうとしているのは茨の道。後悔する日が必ずくる。それでも君は、娘達の我儘を聞き入れろと、そう言うのかい?」

 

悟飯「…挑戦することによって得られることもありますし、後悔することによって得られるものもあります。だから、どうかお願いします……」

 

マルオ「………」

 

こいつはパパに頭を下げた。そこまでする義理はこいつにはないはずなのに…。

 

どこまでお人好しなのよ……。

 

マルオ「……頭を下げないでくれ。だが一つだけ言わせてもらおう。君も既に承知だと思うが、娘達のボディガードとしても雇っている。娘達に何かあったら、ただでは済まさないよ?」

 

悟飯「例えこの身が滅びようとも、娘さん達を……。地球を守ります。それが僕の父親との約束でもありますので………」

 

マルオ「……そうかい。打ち上げがあるんだろう?二乃、早く行ってあげなさい」

 

二乃「……ありがとう、パパ…。私達を見てて」

 

 

ビューン!!!!

 

 

私が黄色の雲に乗ると、孫は私に配慮しているのか、かなり抑えたスピードで飛び立った。

 

マルオ「……江端、めでたいことに娘達が全員試験を突破したらしい。僕は笑えているだろうか?」

 

江端「勿論でございます……」

 

マルオ「………そうか。父親だからね。当然さ……」

 

マルオは当然笑顔ではなかった。かと言って険しい顔をしているわけでもなく、何か悩んでいるようにも見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……今、私は孫と空中散歩と言うべきなのかしら?とにかく、空を飛ぶ黄色い雲の上から夜景で輝く夜の街を眺めていた。

 

……こいつが白馬の王子様で、私はその後ろに乗るお姫様……。で、白馬はこの黄色の雲……。ヘンテコな白馬の王子様ね…。せめてバイクなら…………。いや、こいつにバイクは似合わないわ…。

 

 

二乃「あんたは用済みだって言ったはずだけど?」

 

悟飯「まあまあ、一応僕はまだ家庭教師だから……」

 

二乃「……っていうかこの雲…」

 

悟飯「ああ、これ?筋斗雲って言うんだ。お父さんが昔よく乗ってた乗り物なんだ」

 

二乃「ふーん…。まあ、あんたがバイクに乗って来るよりかはまだ似合うかもね」

 

悟飯「あはは……。僕もそろそろ人目を気にするなら、バイクの免許とかも取った方がいいかもしれないね……」

 

二乃「あんたのバイク姿なんて、超絶似合わないわ」

 

悟飯「あはは………。そういえば、もう聞いてるかもしれないけど、他の四人も無事試験を突破したよ」

 

二乃「えっ?何!?風で聞こえない!!」

 

悟飯「そうか…。じゃあ着いたらみんなから聞いて。みんなを待たせたら申し訳ないから、ちょっと飛ばすよ?しっかり掴まってね?」

 

 

 

(……こうして長かった僕の家庭教師の仕事も一区切り。卒業まで多少の不安はあるが、五人は一つの壁を乗り越えたのだ。その経験は、きっと進級してからも役立つだろう。そうなると、僕達家庭教師は本当に用済みになるのかもしれない。さっきも思ったことだけど……)

 

 

 

悟飯「こうして会話するのも、これが最後なのかな……?ちょっと寂しくなるね……」

 

二乃「……」

 

 

最後……か。

 

確かに、生徒と教師として会話するのはこれが最後になるのね。これからは普通の同級生。

 

そう考えると、こいつとの距離が離れるように感じる。

 

……不思議よね。最初はむしろ離れてほしかったくらいなのに、今はその逆。

 

最初、こいつと出会った時は最悪の気分だった。いつの間にか三玖がこいつに惹かれてるし、まさかあの五月も想いを告げているし……。

 

でも、楽しい思い出もあったわね…。

 

 

金髪のこいつが、私が崖から落ちたところを助けてくれて………。

 

何気ない会話をして…………。

 

一緒にお菓子作りをして……………。

 

 

こいつが宇宙人と戦って……。セルとも戦って………。

 

私達を守る為に必死に戦うそいつの姿は、テレビで見た金髪の男の子より、最初に出会った『カカロット君』より…、普段のこいつよりもカッコよく見えた。

 

 

 

 

………ああ。なんだ。私………。

 

 

二乃「ねえ……」

 

悟飯「うん?」

 

 

 

カカロット君じゃなくて、こいつのこと、いつの間にか…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「好きよ」

 




*補足

 四葉が姉妹の中で1番の得点を取ったことにより、意図せず三玖の告白を阻止する形になってしまいました。どうしてこんな構図にしたのかというと……。


 過去編にて、四葉が風太郎の約束を果たす為に勉強に力を入れ始めた時、四葉はゲームを捨てようとしますが、三玖がやりたいとのことで、三玖にゲームをあげることにしました。これによって三玖は武将物のゲームにはまり、武将好きになりました。
 これがきっかけとなり、三玖の成績は上がり、勉強しているはずの四葉よりも高い点数を取りました。それによって四葉は傷付いたと思います。

 今回はその逆です。意図していないにも関わらず、まるで仕返ししているかのような構図にしたかったのでこのような形にしました。悟飯と四葉がマンツーマン授業をするようにしたのも、悟飯が四葉だけには毎日問題を送信するようにしたのもこの為だったりします。


 二乃が筋斗雲に乗れたことに違和感を抱いた人は多いかと思いますが、この時の二乃は純粋に恋する乙女になってたので乗れました。普段の二乃は乗れません(特に初期の睡眠薬を飲ませにきた頃とか)

 つまり、今回限定というわけなのですよ。2%〜



 ようやく二乃の告白に辿り着いた…!さてさて、ここからヒロインレースが大変なことになる………かも?
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