孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

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〜前回のあらすじ〜

 とうとう日本にも襲来した人造人間達。風太郎と五つ子は、人造人間に遭遇したものの、人造人間と戦いに来た悟飯によって九死に一生を得た。

 ところが、既に人造人間によって、彼らの友人や知り合い、さらには家族なんかも奪われてしまった。

 特に、らいはと勇也の生存確率が極小であるという事実は、既に母親を失っている風太郎にとっては特にショッキングな情報であった………。

 そして、住む場所を失った五つ子と風太郎、マルオは、ブルマに連れられてブルマの家に居候させてもらうことになった……。



第41話 夢を捨ててまで…

 

飛行機の中でお互いに自己紹介をした一行。五つ子と風太郎は、悟飯が自分達と同い年だという事実に心底驚いていた。自分達が勉強、恋愛、学校行事などで青春を謳歌している間に、世界を守る為に同い年の少年が戦いに身を投じていたのだ。それは無理もないことだ。

 

そして、現在9歳のトランクスは……。

 

トランクス「……お母さん…。悟飯さんが目を覚ましたら教えて」

 

ブルマ「おっけー」

 

悟飯はブルマと医師であるマルオが見ることになった。その間に、トランクスと四葉を除く五つ子メンバーが買い出しに行くことになった。

 

風太郎のメンタルケアには四葉が適任だろうと、一花が提案したので、四葉は不在である。

 

一花「……こっちの方が被害が凄いって聞いたけど、思ってたよりも人が住んでるんだね」

 

トランクス「はい。ここはかなり初期に人造人間が襲来した街だからか、人造人間もまだどのように暴れればいいか要領が掴めなかったのでしょう」

 

二乃「それにしても驚いたわ…。まさか私と同い年の人があんな風に命懸けで戦っていたなんて……」

 

三玖「信じられない……」

 

トランクス「……悟飯さんは、ずっと一人で戦ってきたんです」

 

五月「たった一人で、ですか…?他に志を共にする仲間はいないのですか…?」

 

トランクス「僕が生まれて間もない頃の話ですが、数人は人造人間に立ち向かう戦士がいたそうですが、みんな人造人間に殺されてしまったそうです」

 

三玖「そんな…………」

 

トランクス「今、まともに人造人間と戦えるのは悟飯さんだけなんです。僕も強くなって、悟飯さんと共に人造人間に立ち向かえるようになりたい…!」

 

トランクスは9歳という幼さでありながら、既に命を懸けて戦う覚悟ができていたことに、四人は驚きを隠せなかった。言葉遣いからも、とても年相応には見えない。歳の割にはしっかりし過ぎていて心配になってしまう。

 

……環境が彼をこんな風に成長させたのかもしれない……。

 

 

 

 

 

 

 

 

悟飯「……はっ!」

 

ブルマ「あら、目を覚ましたのね」

 

悟飯「ブルマさん……」

 

悟飯は長いこと気絶をしていたが、ようやく意識を取り戻した。

 

悟飯「ブルマさん…。オレ、またダメでした……。やっと超サイヤ人になれたのに……」

 

ブルマ「今嘆いても仕方ないでしょ?そんなことは気にしないで、夜ご飯にするからちょっと待っててね?」

 

悟飯「……ありがとうございます」

 

ブルマ「あっ、そうだ悟飯君。トランクスが悟飯君と話したがってたから、トランクスに会ったら話しかけてあげてね?」

 

悟飯「分かりました」

 

そう言われたので、悟飯はトランクスに会いに行く。だが、家中を探しても見当たらなかったため、一旦外に出ようとしたところだった。

 

 

一花「あっ、目を覚ましたんだ?」

 

二乃「……さっきはありがと」

 

三玖「もう起き上がって平気なの?」

 

五月「まだダメですよ!安静にしてないと!」

 

 

トランクスと共に買い物袋を持った少女四人が悟飯の前に現れた。しかし、悟飯はこの少女四人に見覚えがない。

 

悟飯「……君たちは…?」

 

一花「あれ?私達のこと覚えてない…?」

 

三玖「無理もないよ。あんな必死になって戦ってたんだもん」

 

悟飯「……ん?」

 

悟飯は、三玖の台詞から人造人間と戦った時に助け出された人々なのかと結論を見出した。

 

悟飯「………ごめん。オレがもっと強ければ、君たちの街は人造人間どもに好き勝手されることはなかったはずだった…!!」

 

五月「あ、謝らないでください!!」

 

二乃「そ、そうよ!あんな化け物に立ち向かっただけでも立派よ!!」

 

悟飯が突然四人に対して謝罪してきたものなので、四人は困惑してしまうものの、悟飯に頭を上げるように促す。

 

悟飯「……この程度じゃダメだ…!やっぱりもっと強くならないと…!!」

 

トランクス「……悟飯さん。そのことでお話が……」

 

悟飯「どうした、トランクス」

 

トランクス「……僕に稽古をつけてください!!」

 

トランクスのこの言葉に、5人とも特に驚く素振りは見せなかった。

 

悟飯「……本当ならダメだと止めたいところだ。だけど、情けないことにオレだけじゃ人造人間を倒せそうにない。トランクスもサイヤ人の血を引いてるんだ……。言っておくが、まだ幼いからって甘やかしたりはしないぞ!いいな!」

 

トランクス「……!!はい!!」

 

トランクスはここまで快諾されるとは思っていなかったようで、嬉しそうにしながら元気よく返事をする。

 

悟飯「あっ、そうだ。ブルマさんが夕食を作ってくれているみたいだから、君達も良かったら食べていきなよ?」

 

一花「あー……。そのことなんだけど……」

 

三玖「私達もここに住むことになった」

 

悟飯「……あれ?そうなの?そっか…。じゃあこれからよろしく!」

 

しかしその後、四人の名前を聞きそびれたことに気付いた悟飯は、後で四人の名前を聞くことに……。

 

そこで、四人とも名字が同じで、顔もそっくりだったことから、姉妹だろうと推測した。確かにそれは正解なのだが、一花、二乃、三玖、五月に加えて四葉も入れて五つ子であると聞かされた時の悟飯の表情は、四人にとっては忘れられないものとなったであろう…。

 

 

夕食になり、風太郎と四葉を呼び出しに行った四人。風太郎は未だに部屋に引き篭もっているのではないかと予想していたが、意外にも風太郎は持ち直していた。

 

三玖「ふ、フータロー!?もう大丈夫なの!?」

 

二乃「無理してない?」

 

風太郎「ああ。いつまでもウジウジしてたら、親父とらいはになんて言われるか分からねえからな…。それに、四葉にお前らもいるんだ。全て失ったわけじゃない……」

 

四葉「えへへ……」

 

二乃「あらやだ、フー君ったら」

 

三玖「……勘違いしちゃうけどいい?」

 

五月「全く…。上杉君は相変わらず女垂らしですね」

 

風太郎「人聞きの悪いことを言うなッ!!」

 

一花「………(四葉に任せて正解だったみたいだね)」

 

二乃「あっ、そうだわ。私もブルマさんの手伝いに行ってくるわ」

 

三玖「私も」

 

二乃「やめなさい!食材が無駄になるでしょうが!!」

 

三玖「私だって上達してる!」

 

 

 

 

ということで、夕食に………。

 

悟飯「ブルマさん、おかわり!」

 

ブルマ「本当に孫君そっくりね〜……。はい」

 

悟飯「ありがとうございます!」

 

五月「すみません。私もおかわりを」

 

ブルマ「あら、五月ちゃんも食べるのね。はい」

 

五月「ありがとうございます」

 

風太郎と四人は五月の大食らいっぷりにさぞ驚くだろうなぁと思っていたのは束の間、逆にこちらが驚かされる始末。

 

 

風太郎「あんた……。無茶苦茶食べるんだな……」

 

四葉「五月でさえも引いてる…!?」

 

二乃「ほらフー君。せっかく私が作ってあげたんだから食べなさいよ」

 

三玖「これ、私の自信作なの。食べてみて、フータロー」

 

風太郎「ちょ、お前ら!俺の口は一つだけなんだぞ!!」

 

四葉「ちょっと待って下さい!!上杉さんは私の彼氏なんですよ!!」

 

ブルマ「あらあら、上杉君モテモテじゃないの」

 

風太郎「ったく…。俺には既に四葉という彼女がな……」

 

悟飯「あれ?風太郎と四葉って付き合ってたんだ?お似合いだと思うよ!」

 

二乃「はぁ?あんた全然分かってないわ。私は可愛いし料理できるし手先器用だし、フー君の喜ぶことならなんだってしてあげるってのに四葉とフー君がお似合いだなんて。まあ確かにお似合いではあると思うけど、私とフー君の方が絶対にいいペアになるに決まってるわ」

 

悟飯「いや、お似合いなのかお似合いじゃないのかどっちなのさ……」

 

三玖「二乃はダメ。二乃とフータローが付き合ったら、二乃は無理矢理フータローを金髪にしそう」

 

一花「あ〜……。それ分かる」

 

二乃「仕方ないじゃない。金髪のフー君は反則級にカッコいいんだもの」

 

三玖「そして自分の体に風の刺青を入れてそう」

 

一花「あー!それも分かる!」

 

二乃「流石にやらないわよ!憧れるけど!!」

 

五月「………騒がしくてすみません……」

 

ブルマ「気にしなくて大丈夫よ。久々に賑やかで楽しいから」

 

悟飯「……風太郎ってよくモテるの?」

 

五月「まあ……。私達姉妹には特に……と言ったところでしょうか」

 

ブルマ「あらそうなの?じゃあ姉妹5人で一人の男を取り合うドロドロな展開とかあったでしょ?ほら、五つ子で顔もそっくりなんだから、姉妹の中の誰かに成りすまして……」

 

一花「……あ、あはは……」

 

ブルマが話している途中、一花が段々と気まずそうになっていく。

 

二乃「そういえばそんなこともあったわね。ねえ一花?」

 

一花「こ、この話はもうやめようか!」

 

こんな感じでいつもより騒がしい夕食は終了。

 

トランクスは悟飯に稽古をつけてもらう為に、暗くなったのにも関わらずに外出をした。

 

家は多少ダメージを受けている箇所があるとはいえ、確かに人が住める程度ではあった。しかも相当大きな家で、一人ずつ部屋を割り当てても余るくらいに部屋数はあった。

 

 

 

 

 

夜の23時頃。トランクスと悟飯が修行から帰ってきた。

 

悟飯「やるなトランクス!あの調子なら、意外とすんなりと超サイヤ人になれるかもしれないぞ!」

 

トランクス「本当ですか…?」

 

悟飯「ああ。でも超サイヤ人になっただけじゃ人造人間は倒せない。オレももっと強くならないと……。その為にもトランクスが早く超サイヤ人になってくれると助かるな。オレも協力するよ」

 

トランクス「はい!!」

 

悟飯「今日はもう遅い。風呂に入って寝るといいさ」

 

トランクス「明日もよろしくお願いします!悟飯さん!」

 

悟飯「おう!」

 

トランクスは悟飯の言われた通りに風呂場に向かった。悟飯は喉が乾いて飲み物を求めてリビングに向かった。

 

すると……。

 

 

五月「……おや?孫君ですか。随分遅かったですね」

 

悟飯「五月…。まだ起きてたのかい?」

 

五月「ええ。こんな状況とはいえ、勉強はしておいた方がいいかと思いまして……」

 

悟飯「勉強……ね…………」

 

悟飯が最後に勉強をしたのはいつだっただろうか?人造人間が現れてからは、毎日修行の日々が続き、まるで勉強する暇はなかった。

 

そんな悟飯は、勉強をする為に夜遅くまで起きていた五月を見て、昔も自分はよく勉強をしていたな…。と懐かしく思うのであった。

 

悟飯「…こんな時に勉強するなんて…。何か叶えたい夢でもあるの?」

 

五月「はい。私は先生を目指しています。母のような立派な教師に……」

 

悟飯「へぇ…。先生か……」

 

五月「ですが、思うように成績が伸びなくて………」

 

悟飯「………そっか。良かったらオレが教えてあげようか?」

 

五月「………えっ?失礼ですけど、孫君って勉強できるんですか?」

 

悟飯「ああ。今でこそ戦いや修行ばかりしかしてないけど、これでも昔は勉強ばかりしてたんだ。学者になるためにね」

 

五月「そうだったんですか…」

 

悟飯「だから人造人間を倒して、平和な世界が訪れたその時は、勉強をまたやりたいな……」

 

五月「孫君…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

そうか…。この人は本当は戦いなんてしたくないんだろう。でも、人造人間という脅威に立ち向かうために、自分のやりたい事を捨ててまで戦いに身を投じているんだ……。

 

なんて立派な人なんだろう……。

 

五月「……勉強を、教えてくれませんか?」

 

悟飯「うん。大丈夫かなぁ…。勉強するのは久々だから……」

 

 

久々という割には、孫君は私に分かりやすく教えてくれた。

 

孫君は得意不得意な教科は特にないようで、どの教科も教えるのが上手だった。もしかしたら、上杉君といい勝負かもしれない。

 

教えてもらいながら聞いた話によると、孫君は今まで学校に通ったことがなかったらしい。だから家庭教師の人に教わるか、独学で勉強するしかなかったそうだ。人造人間が現れてから勉強していなかったというのに、ここまで高校生の範囲を上手に教えられるとなると、幼少期の時点で高校生の勉強は完成していたか、完成に近かった状態だと考えられる。

 

流石、学者を目指していた人だというべきだろうか…。彼なら、人造人間さえ現れなければ、本当に学者になれたのかもしれない……。

 

 

悟飯「よし、もう遅いから今日は寝た方がいい。詰め込み過ぎは逆効果だからね」

 

五月「……孫君」

 

悟飯「……ん?」

 

彼が私に勉強を教えている時の顔は、嬉しそうだった。その反面、どこか寂しそうにも見えた。

 

五月「今日はありがとうございました」

 

悟飯「うん。また聞きたいことがあったら言ってくれ。力になるよ」

 

五月「それは大変ありがたいお話ですが、孫君に迷惑をかけるわけにはいきません。それに家庭教師なら既に上杉君がいますし」

 

悟飯「へえ…。じゃあいつもは風太郎に教えてもらってるんだ?」

 

五月「はい」

 

悟飯「そっか……。じゃあ………」

 

五月「孫君!」

 

悟飯「ん?どうした?もしかして、まだ聞きたいところがあったとか?」

 

……彼は、本当は戦いたくないんじゃないか?本当は夢の為に勉強したいんじゃないか?

 

それなのに、彼一人に背負わせてしまっていいのか?人造人間なんて倒せない人が大勢いるんだ。逃げたって誰も責めはしない。

 

五月「……無理、してませんか?」

 

悟飯「………」

 

五月「あなたは、学者になりたいとおっしゃってましたよね…?本当なら、私のように勉強をしたいんじゃないですか…?」

 

悟飯「…ダメだ。オレがやらなきゃ誰がやるんだ…。オレがいなくなってしまったら、この世界を守る戦士がいなくなってしまう…」

 

五月「あっ……」

 

孫君はそう言って、私の部屋を後にした。

 

五月「孫君………」

 

……何か力になれることはないだろうか…?

 

 

 

 

 

翌日…。早速ブルマさんと二乃が朝食を作ってくれた。お父さんは今日もこの病室で患者の対応をしているそうだ。このCCは、現在は病院としても使われているそうで、医師が不足していることからお父さんに協力を申し出たらしい。

 

そのため、この食卓にはお父さんがいない。

 

ブルマ「昨日もそうだけど、二乃ちゃん悪いわね〜」

 

二乃「住まわせてもらってるんですから、これくらいさせて下さい」

 

ブルマ「私も助かっちゃうし遠慮なく手伝ってもらっちゃおうかしら」

 

五月「おはようございます」

 

ブルマ「あら、おはよう五月ちゃん」

 

二乃「五月、もうご飯できてるから、みんな呼んできて」

 

五月「分かりました」

 

 

四葉はいつも通りと言うべきか、既に起床していて私が呼び出すまでもなかった。三玖はまだ寝ていたけど、呼んだらすぐに起きた。

 

上杉君は……昨日のこともあったからか、呼びかけても起きる気配がなかった。上杉君はそっとしてあげた方がいいかもしれない……。

 

あとは、一花ですが……。

 

 

五月「……あれ?」

 

一花のことだから、既に汚部屋の片鱗が見えているかと思いきや、そんなことはなかった。

 

……考えてみれば、増える物がないから当然といえば当然か……。

 

五月「一花、起きてください。朝食ができていますよ」

 

一花「……ん〜…?もうそんな時間かぁ……。ふぁ……おはよう……」

 

五月「おはようございます」

 

一花「…そういえば五月ちゃん。昨日は悟飯君と二人っきりで何してたの?」

 

五月「ああ…。孫君に勉強を教えてもらってたんですよ。上杉君は昨日のこともあったら疲れてたと思いまして……」

 

一花「あれ?てっきり五月ちゃんはもう切り替えて新しい恋を始めたのかと思ったけど違うんだ……」

 

五月「違います!!」

 

一花「そっか……。でも悟飯君って勉強できるの?なんか四葉みたいな感じで運動しかできないタイプだと勝手に思ってたんだけど……」

 

五月「彼は人造人間が現れるまでは勉学に励んでいたそうですよ。なんでも将来の夢は学者だそうで……」

 

一花「学者!?それはすごいね…。悟飯君のイメージがなんか変わるなぁ…」

 

 

……朝食の場に孫君とトランクス君はいなかった。

 

彼らは早朝から修行に励んでいるらしい。それも人造人間を倒す為なのだろう。人造人間さえ現れなければ、孫君は普通に勉強し、トランクス君も歳相応の楽しい生活を送っていたのではないだろうか……?

 

………全ては、人造人間のせい…。人造人間は、彼らからも奪ったのだ。

 

孫君からは勉強と将来の夢を……。

 

トランクス君からは、幼少期そのものを……。

 

 

 

トランクス「ただ今!」

 

悟飯「戻りました」

 

 

こうして修行から帰ってくる孫君は、何事もなく笑顔だ。しかし、私はなんとなく分かっている。彼は本当なら勉強したいだろうし、トランクス君をそんな危険な目に遭わせたくないだろう。だが、人造人間がそうさせているのだ。

 

人造人間が…………。

 

…………人造人間……?人が造った人間ということだろうか…?

 

人が?人を?

 

 

 

 

 

 

 

 

私も人造人間を造り出せたりするのだろうか……?

 

二乃「五月、なにボーっとしてるのよ?」

 

五月「あっ!ご、ごめんなさい……」

 

二乃「ほら、食器片付けるの手伝いなさい。あんた沢山食べるんだからこれくらいはしなさいよ」

 

五月「なっ!?人を穀潰しみたいに言わないで下さい!!」

 

 

私はその日以来、人造人間のことが気になり始めた。どういった技術でできるのか。どのようなパーツがあれば完成するのか…?などなど…。

 

勿論、教科書に載ってるはずなどなく、インターネットは人造人間のせいかうまく機能しない。

 

科学者だというブルマさんにも一応聞いてみたものの、『流石の私でも分からない』という答えが返ってきた。

 

つまり、人造人間を作るには相当な頭脳が必要だと言うことだ。私なんかでは到底無理だ……。

 

もし私が人造人間を作ることができたら、人造人間に対抗することができるのではないかと考えてたが、それこそ身の丈に合わない夢……いや、妄想に過ぎなかったのだろう。

 

 

もうこの事は忘れよう。いつも通り勉強するだけだ……。教師になるために……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから4年の月日が過ぎた。時はエイジ778年

 

上杉君は完全とはいかなくとも持ち直し、みんなが元気を次第に取り戻してきた頃のこと……。

 

勿論、受験などできるはずもない。しかし、勉強会は以前のペースほどではないが、定期的に行われていた。

 

風太郎「よし。取り敢えず今回はこれぐらいにしよう」

 

ブルマ「お疲れ様〜」

 

 

 

……私はというと、五科目のうち、得意な理科の成績が特に伸びていた。当然だ。もう4年も経っているのだ。

 

大学の範囲はブルマさんに教えてもらっている。とは言っても、教師になるための勉強ではなく、あくまでも科学者向けのものではあるが……。

 

ブルマさんが教えているのは私ただ1人。なぜこうなったかというと、私が理科が得意だからというのもあるが、理科……特に物理や化学の知識を身につけ、人造人間に対抗しうる何かを発明できるようになれないかと考え、その主旨を数年前にブルマさんに説明したら、ブルマさんが教えてくれることになった。

 

今はまだまだ未熟だが、いずれは人造人間を破壊し、平和な世界を取り戻せたらと思っている。そうしなければ、私の夢である教師にはなれないし、孫君が勉学に復帰することもできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二乃「五月は相変わらず熱心よね」

 

一花「私も協力できるならしたいけど、五月ちゃんみたいに理科が得意なわけじゃないからなぁ……」

 

四葉「風太郎も一緒に教わらないの?」

 

風太郎「ああ。今の俺は大量の生徒を抱えているからな」

 

今の風太郎は、学校に通えなくなってしまったが勉強をしたいという子供達に勉強を教えているのだ。少なくとも、五つ子と出会う前の風太郎からは想像できない光景であった。

 

四葉「昔の風太郎ならそんなこと絶対にしないのに、変わったよね」

 

風太郎「お前もだろ?昔は『上杉さん』って呼んでたじゃねえか?」

 

四葉「あはは…。もう4年も付き合っているんだよ?それくらいは不思議じゃないと思うけど……」

 

四葉はというと、子供達に運動をさせている。謂わば体育教師のようなものだ。愛想の良さから、子供達には大人気だ。

 

一花「四葉もフータロー君も立派だよね………。二乃と三玖はお料理ができるからいいけど、私も何かできたらなぁ……」

 

そんなことを言っている一花だが、一花は持ち前の演技力を駆使して人々に笑顔を届けているので、何もしていないというわけでもない。

 

今の五つ子と風太郎は、ボランティアグループとして、西の都でかなりの有名人になっている。

 

『速報です!〇〇街が人造人間の被害に遭っています!住民の方は安全なところに避難してください!!』

 

そして、人造人間によって世界人口はみるみる減少していた。あと少しで人造人間が現れる前の半分にまで減少する勢いだそうだ。

 

一花「……また暴れてるんだ…」

 

風太郎「そこまで人間を殺して、あいつらは何がしたいんだ………」

 

四葉「また、私達みたいに、友達も、家族も、住む場所も奪われる人が出ちゃうのかな…?」

 

「「「………」」」

 

その四葉の言葉に、四年前のことを思い出してすっかり口を閉じてしまった三人。

 

一方で、五月はブルマの手伝いをしながら着々と知識を身に付けていった。ブルマという師匠がいるからだろうか?五月もブルマほどではないにせよ、かなり優秀な科学者になりつつあった。

 

ブルマ「よし。今日もお手伝いありがとう」

 

五月「いえ、私がやりたくてやってるので……。ところで、本当にタイムマシンを作るつもりなんですか?」

 

ブルマ「ええ。過去に行って人造人間に関する何かを得られればいいんだけどね。設計図とか手に入れば好都合なんだけど……」

 

五月「……過去に行って孫君のお父さんに心臓病の薬を渡すというのはダメなんでしょうか?」

 

ブルマ「……完璧なタイムマシンができれば今のこの状況はそれだけで変わると思うわ。だけど、今の状況が状況なだけに、材料を揃えられるか分からないから、完璧なタイムマシンを作れるかどうか……」

 

完璧でなければ、過去に行って歴史を変える度に並行世界……所謂、パラレルワールドを作り出してしまい、自分のいる世界は何も変わらないのだ。完璧なタイムマシンなら、並行世界を作り出さずに歴史を変えることができる。理論上はだが………。

 

 

そして、事件が起きた。

 

 

 

 

 

トランクスが息を切らしながら帰宅した。何事かと思い、全員で一斉に声をかけようとした、その時………。

 

トランクス「大変だ!!悟飯さんが!!悟飯さんが!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………孫君は、今日も人造人間に挑んだようだ。強くなったトランクス君と共に立ち向かったそうですが、まだまだ人造人間には敵わなかった。人造人間は孫君達に容赦がなくなってきたらしく、今度は殺そうとしてきたらしい。

 

トランクス君を庇ったら、左腕を失ってしまったらしい。最後に残った仙豆も死にかけのトランクス君に渡したそうだ。

 

悟飯「くそ…!人造人間め…!!」

 

 

孫君は夢の中でも人造人間と戦っているようだった…。

 

 

マルオ「…正直生きて帰ってこれたのが奇跡だよ。片腕を失っただけで済んだのは不幸中の幸いだ」

 

五月「……命に別状はないんですね?」

 

マルオ「ああ。その認識で間違いないよ」

 

三玖「良かった…」

二乃「無理しすぎよ」

 

トランクス「俺のせいだ…!俺が弱かったから…!!俺が足を引っ張ったから…!!」

 

ブルマ「トランクスは悪くないわ」

 

風太郎「無茶苦茶しすぎだよ。お前……」

 

四葉「孫さん…………」

 

 

そうだ。悪いのは人造人間だ。アイツらさえいなければ…!!

 

 

 

アイツがいなければ、今頃私達はそれぞれの道に進んでいた!

 

 

二乃と三玖はもしかしたらもうお店を開けていたかもしれない。四葉は上杉君と楽しい日々を過ごせていたかもしれない。トランクス君も、孫君も……!

 

 

………アイツらをどうにかして破壊すれば、その日常を取り戻せるのだろうか……?

 

 

一花「……五月ちゃん。顔がすごいよ?」

 

五月「………えっ?」

 

どうやら自分でも気付かないくらいに酷い顔をしていたらしい。一体どんな顔をしていたのかは、聞く気にもならなかった。

 

一花「……五月ちゃんさ、ブルマさんのお手伝いをするようになったけど、本当にブルマさんに恩返しをするためだけなの?」

 

一花は私にだけ聞こえる程度の声量で聞いてきた。

 

五月「……他意はありませんよ」

 

一花「……困ったらお姉さんに相談してほしいな」

 

五月「ええ。悩み事ができたらそうさせてもらいます」

 

孫君は左腕を失ってしまった。こうなってしまっては、孫君はますます不利になってしまうだろう。私が一刻も早くブルマさんと協力をしてタイムマシンを開発し、過去を変える。こうするしかない。でないと、孫君はもうすぐ死んでしまうだろう…。

 

 

 

 

 

 

この絶望的な世界の話は、また次回に続く……。

 





 タイトルの意味はこう。悟飯は学者になる夢があったが、人造人間が出現した為に断念する。これと同じく五月も教師という夢を断念することになりました。

 皆さんもうお気づきだろうかと思いますが、五月が少しずつ、少しずつおかしくなってきています。
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