孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

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 前回のあらすじ……。

 零奈ジュニアとも呼べる、人造人間零奈の分身が五月以外の四人を取り込んでしまった。そして悟飯と戦っていた零奈は勝利を確信し、零奈と零奈ジュニアは再び一つになり、零奈は五人を取り込んだ完全体になった。

 完全体になった零奈は、何故か五月の姿に変身した。恐らく、最初に取り込まれた未来の五月だろう。その完全体零奈の強さはセルを上回っているとされ、悟飯でも苦戦を強いられることに………。駆けつけたクリリンと天津飯のお陰で命は助かったものの、悟飯は意識が朦朧とした戦闘不能状態であった。

 精神と時の部屋で1年分の修行を終えた未来の悟飯が駆けつけた。彼がどれほど強くなったのかは不明だが、悟飯が戦闘不能になった今、完全体零奈に立ち向かうことができるのは未来悟飯のみとなっている。

 ちなみにタイトルの意味は、悟空の作戦のことです。



第51話 悟空の頭脳戦

五月「はぁ…!はぁ……!」

 

 

みんな…!みんないなくなってしまった…。幼い頃の私たちにそっくりな子が二乃を……!三玖を…!四葉を…!!

 

 

みんな連れ去ってしまった…!でも大丈夫だよね?孫君なら、どうにかしてくれるよね……?

 

 

五月「……!?そ、孫君ッ!?」

 

孫君が地べたに倒れ込んでいたので、私は彼を心配して彼の元に駆け寄る。

 

………私は彼にまだボロボロになれと言うのか…?彼は命を張って私の姉達を助けてくれようと必死になってくれているのに…………。

 

私は、何もできないの…………?

 

 

悟飯「五月……さん?」

 

五月「そうです!五月です!私が分かりますか!?」

 

悟飯「わ、分かるから、あまり揺らさないで…!!」

 

よ、よかった………。取り敢えず生きているみたいだ………。

 

五月「お、お母さん似の人造人間はどうしたんですか!?」

 

悟飯「い、今………上で未来の僕がなんとかしてくれている………」

 

五月「上……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカッッ!!!!

 

 

ドコッッ!!!!!

 

 

超未来悟飯「はっ!!」

 

ドンッッッ!!!!!

 

未来五月「ぐっ……!!!」

 

 

駆けつけた殆どの戦士がリボンで無力化された中、未来悟飯だけが未来五月と戦っていた。

 

 

未来五月「いつの間にそんな強さを…!!」

 

超未来悟飯「どうやら時間の流れが変わる便利な部屋があるらしくて、そこで一年分修行したんだ…!」

 

完全体零奈とはいえども、修行した未来悟飯相手には一筋縄にはいかないようだ。しかし油断はできない状況だ。今のところはどちらが勝利してもおかしくない状況だった。

 

超未来悟飯「君は何がしたいんだ?子供達を導く教師を目指していたんじゃなかったのか!?今君がやっていることは、子供達の将来を奪うことと何も変わらないッ!!」

 

未来五月「わ、私は…………」

 

超未来悟飯「17号と18号を破壊する。君はその為に寝る間も食べる間も惜しんで頑張っていた。そしてその悲願は達成されたはずだ…!家族と一緒に過ごしたいという気持ちは分かる…!だけどこの世界の4人は無関係なんだよ…!!あの子達にはあの子達の人生があるんだ!だから解放してあげてくれ!!」

 

未来五月「………わ、私は………ッッ!!!」

 

未来の五月は、未来悟飯の説得によって迷いが生じたようだが、頭を抑えて苦しみ始める。

 

超未来悟飯「ど、どうしたんだ…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一花「…………あれ?」

 

ここはどこだっけ……?確かさっき……。

 

 

 

思い出した!私は幼少期の私達に似た女の子に…………。じゃあここは………?他のみんなはどうしたの…?

 

…………上に座っているのは、五月ちゃん……?私は気になったので上に行ってみる。この不思議な空間の中では、どうやら私でも空を飛び回ることが自由にできるようだ。いや、浮いていると言った方が適切かもしれない。重力がなくなったような、そんな感じ……。

 

一花「……五月ちゃん…?」

 

 

 

「いい加減に認めろ。17号と18号が現れたのは孫悟空のせいなのだ。孫悟空さえいなければ、お前の家族も友人も殺されることはなかったのだぞ?さあ孫悟飯もトランクスも皆殺しにしてしまえ。そうすることによって、貴様の復讐は果たされるのだ」

 

未来五月「ち、違います…!孫君は関係ありません…!!」

 

…………誰の声だ?少なくとも五月ちゃんの声でもなければ、そもそも女性の声でもない。どちらかというと、年老いた男性の声のように聞こえる……。

 

「聞き分けが悪いな小僧。では何故孫悟飯を攻撃する?トランクスを攻撃した?何故殺そうとした?」

 

未来五月「私は殺そうとなんてしてません…!!あなたが勝手に……!!」

 

「殺してしまえ。そうしてしまえば2度と邪魔をされずに済むぞ?お前が描く理想の未来が完成される」

 

……………この人……?

 

「おや?どうやら"材料"が意識を取り戻したようだな」

 

一花「ざ、材料…?」

 

確かに、私達を取り込むことによって完全体となるなら、私は材料ということになるのだろうが、そう呼ばれるのはちょっと…………。

 

「私はDr.ゲロの意志を継ぐ者…」

 

一花「ドクター、ゲロ………?」

 

「そこからか………Dr.ゲロは人造人間を造り上げた偉大な科学者だ」

 

人造人間を造り上げた…!?じゃあ…!!

 

未来五月「こ、殺すなんて………そんな…………」

 

「まだ迷っているのか?あいつらを放置してしまえば、また17号や18号のような悪魔が生み出されるかもしれないのだぞ?それでもいいのか?」

 

未来五月「…………」

 

………そっか。その科学者の意志を継ぐ人が何らかの理由でこの中に入ってきて、操縦者とも言える五月ちゃんに影響を与え続けていたってことかな…?

 

…………もしかしたら、まだ五月ちゃんを正気に戻す余地はあるかもしれない…!

 

一花「五月ちゃん!!その人の言うことを聞く必要はないよ!!私も未来の悟飯君から話を聞いたけど、悪いのは明らかに人造人間の方だよ!!悟飯君達は何も悪くない!!!!」

 

未来五月「一花………。やっぱり、そうだよね…………。私がやっていることは間違っていたんじゃ………」

 

「…………流石五つ子と言ったところだな。4人揃って全く同じことを言いよる」

 

一花「へっ………?」

 

私はその言葉を聞くと、無意識に後ろを振り向いた。

 

一花「………!?みんな!!」

 

二乃、三玖、四葉……………。

 

私が探していた3人が、そこに何でできたのか分からない紐のようなもので拘束されているのが見えた。

 

「私の邪魔をするから少々眠ってもらっているだけだ。殺してしまっては力を使い熟せないからな」

 

一花「へっ………?」

 

未来五月「や、やめて下さい!もうみんなを巻き込むようなことはしたくありません!!私のやっていることは間違いでした!!17号と18号が倒された時点で、人造人間は破壊するべきでした………。今から4人を解放します!!!」

 

一花「五月ちゃん…………」

 

「…………愚か者め」

 

 

 

 

グラッ………

 

一花「わっ!?」

 

 

 

 

 

刹那。

 

 

 

不思議な空間が歪む。

 

 

 

 

 

未来五月「ぐっ……!!!!」

 

「もうよい。貴様はDr.ゲロの意志を継ぐ為の操り人形となれ。貴様に意思は不要だ………」

 

未来五月「あがっ………!!やめ……!」

 

「何度洗脳しても、姉妹一人一人に説得される度に洗脳が解けていく………。愛の力というものは恐ろしいものだ」

 

一花「ちょっと!!五月ちゃんに何をしているの……!!!?」

 

五月ちゃんはだんだんと謎の黒い霧に包まれていく。やがて五月ちゃんの姿が見えなくなってしまいそう……!!

 

ガシッ……!

 

一花「なっ!?」

 

私も二乃達のように拘束されたしまう。待って…!!このまま五月ちゃんが完全に黒い霧に包まれたら、取り返しの付かないことになってしまう……!!

 

「もうよい。貴様も黙っておれ。あとは私がなんとかしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「喜べ。もう2度と会えなかったはずの母親の中にまた戻ることができるのだからな……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来五月「ぐぅぅ…!!!あぁッッ!!!!」

 

超未来悟飯「い、五月!!どうしたんだ!?」

 

明らかに異常だった。

 

 

未来悟飯が説得していた時、未来五月は突然苦しみ出した。だが、何かと葛藤しているようにも見える。

 

未来五月「孫君……!!逃げて…!!」

 

超未来悟飯「……?何を………?」

 

未来五月「早く……!!逃げてッ…!!!!」

 

超未来悟飯「な、なんでオレが逃げるんだ!?」

 

未来五月「ぐぅ…!!は……や……く!!うっ…………」

 

 

超未来悟飯「五月!?」

 

 

未来五月は一瞬意識を落とす。

 

 

すると、突然"気"そのものが変わる。

 

 

超未来悟飯「………!?ッ」

 

 

容姿は基本変わらないのだが、髪色が段々と変化していく。肌を見る限りでは20代の女性そのものなのだが、髪色が徐々に銀………というよりは、白いものに近づいていく…………。

 

 

 

変化はそれだけではなかった。

 

 

超トランクス「……!!重くなくなった…!?」

 

クリリン「おお!!リボンが解けたぞ!!」

 

天津飯「ああ。だがそれ以上にまずいことになってしまったようだな………」

 

クリリン「へっ………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

超未来悟飯「な、なんだ!?まだ完全体じゃなかったっていうのか!?」

 

未来五月「………ご機嫌よう。孫悟飯」

 

超未来悟飯「い、五月?」

 

未来五月「ただ今を持ってお前の知る五月は消滅した。五月はDr.ゲロの忠実な下僕となったのだ」

 

超未来悟飯「何っ……!?どういうことだ!?」

 

未来悟飯は目の前の五月の言葉を疑った。いきなり五月が消滅したとか言うのだ。意味不明である。だが、変化した気そのものが証拠だと言わんばかりに、増幅を続ける。

 

未来五月「私はDr.ゲロの意志を継ぐ者…………Dr.ゲロが作り出したコンピュータのAIだ」

 

超未来悟飯「!!ッッ」

 

そう。間接的に人造人間零奈を動かしていた者の正体は、五月ではなくDr.ゲロのコンピュータだったのだ。

 

正確には、人造人間を動かしていたのは五月だった。だが、その五月はコンピュータに影響されて暴走していたのだ。

 

超未来悟飯「ど、どうして……」

 

未来五月「貴様の疑問は最もだろうな。この人造人間を造ったのは、Dr.ゲロではなく、五月だった。だが貴様は知っているか?五月は人造人間を造る際に私にも頼ったのだ」

 

未来の五月は努力して科学者見習いになれたとはいえ、本来なら五月が人造人間を造れるはずがなかった。天才科学者のブルマでさえも造ることのできない五月が何故人造人間を造ることができたのか?

 

それは、Dr.ゲロのコンピュータの力を使ったからだ。コンピュータのサポートを受けてようやく完成したのが、人造人間零奈だったのだ。

 

未来五月「さて、土産話も終わりにしよう。貴様はここで始末する」

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴッ………!!!

 

 

人造人間は気を上昇させる。ただでさえ完全体セルと同等の力を持ち合わせているというのに、気はさらに増長し続けて、留まるということを知りもしない。

 

未来五月「見せてやろう!人造人間零奈の圧倒的なパワーを…!!!!」

 

 

 

ボォオオオオッ!!!!!

 

 

 

人造人間が気を解放すると、嵐が吹き荒れている際に発生するような強風が街を襲う。

 

 

その異常な光景に、鳥達は木々から次々と飛び立つ。ペットは吠え、魚は飛び跳ね、世界中で雷雲が発生する。

 

 

ただ気を解放しただけでこれほどの異常を地球に齎したのだ。実際に戦うとなれば、一体どれほどの…………。

 

 

未来五月「滅びろ。孫悟飯…………」

 

超未来悟飯「…………オレも本気を出さなきゃいけないようだな……」

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴッ

 

 

一時は収まった振動が、今度は未来悟飯が気を上昇させている為に再び揺れ始める。

 

 

超未来悟飯「はぁぁああああ……!!!!!!」

 

 

 

 

ボォオオオオオオオッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

未来五月「…………ほう」

 

超2未来悟飯「…………」バチバチッ

 

 

1年間の修行を経て、未来悟飯もまた超サイヤ人2に覚醒することができたのだ。

 

未来五月「………この時代の悟飯と同じ超サイヤ人のようだが、レベルが違うな…………」

 

超2未来悟飯「ああ。ピッコロさんに鍛えてもらったからな」

 

未来五月「だが、左手がない状態でどうやって戦うというのだ?それでは圧倒的に私を上回らない限りは、私を倒すことなど不可能だろう?」

 

超2未来悟飯「だろうな………。正直そこまでできるとは思っていなかった。だから、早速使わせてもらう…!はぁああああ……!!!」

 

未来悟飯は気を集中させる。ないはずの左手に気を集中させると、少しずつ肩から光が伸びてくる。

 

未来五月「………!!!」

 

 

超2未来悟飯「はぁッ!!!!」ブオン‼︎

 

 

………ピッコロが腕を再生する時のように、未来悟飯も腕を再生した。

 

正確には再生したわけではなく、気の塊を作ることによって左腕を再現したのだ。これで左腕の代わりの完成だ。

 

 

未来五月「…………なるほど。それなら確かに左腕の代用は可能だな。だが、それがどうした?」

 

超2未来悟飯「お前を倒し…!五月達を助け出してみせる……!!!」

 

未来五月「何を言っている?救い出すことなど不可能だ」

 

超2未来悟飯「…………なに?」

 

未来五月「私を倒すには、この身ごと滅ぼす必要がある。一花も、二乃も、三玖も、四葉も、五月諸共滅ぼせば、私を倒すことも可能だ」

 

超2未来悟飯「なに…!!卑怯だぞ…!!!」

 

未来五月「4人はまだドラゴンボールが存在するなら生き返らせることができるかもしれんが、五月はこの世界の人間ではない。果たして、五月はどうなるかな?」

 

人造人間は、未来悟飯の思考を先読みするかのように淡々と語る。

 

最悪の手段として、一度倒してしまって5人を生き返らせればいいと考えていただろう。だが、未来の五月は別世界の人間。神龍が別世界の人間にまで干渉できるのかどうかは不明なのだ。

 

未来五月「つまり、お前は何も救うことができなかったのだよ」

 

超2未来悟飯「…………(誰も救うことができない……?唯一残った五月さえも救えないのか……?この世界のオレはみんなを守っているのに、オレは……?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なに惑わされてんだ、悟飯!!』

 

超2未来悟飯「………!?この声は……」

 

『おめぇのダチのことなら心配するな。おめぇはそいつを足止めしろ』

 

超2未来悟飯「お、お父さんなんですか!?」

 

『今はそんなことどうでもいい!!おめぇの真の力を見せてみろ!!おめぇなら目の前のそいつを食い止めることはわけねえはずだッッ!!!!』

 

超2未来悟飯「………何か作戦があるんですね。分かりました…!!」

 

未来五月「………とうとう壊れたか?」

 

超2未来悟飯「待たせたな。さあ、勝負だ………!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟飯「……!!」

 

五月「そ、孫君…!!いきなり立ち上がっては……!!!」

 

悟飯は未来の五月が"変化"したことによって、術による特殊効果が切れた為、意識がはっきりした。

 

しかし、先程の戦いで体力はかなり消耗していた。今加勢しても恐らく未来悟飯の足を引っ張り兼ねないだろう。

 

悟飯「………五月さん。ごめん………」

 

五月「………何故、謝るんですか?」

 

悟飯「……みんなは人造人間に取り込まれた………。そして今の僕には手に負えない強さを手に入れてしまった………。僕が不甲斐ないばかりに…………」

 

五月「…………私こそすみません」

 

悟飯「なんで五月さんが…………」

 

五月「………私、いつも見ているだけでした。林間学校の時も、セルが現れた時も…………、そして今も………!!」

 

 

 

悲劇のヒロイン………。

 

ヒロインは助けてもらって美味しい立場だと勘違いしている方は少なくないだろう。

 

戦えないヒロインは、常にヒーローの心配をするのだ。ただ待っているだけ。愛する人の力になれない……。

 

それがどれだけ辛いことなのか………。

 

 

五月は、今まで悟飯がボロボロになるところを何度も見てきた。それも自分を、自分達を守る為にだ。

 

確かに守ってもらえて嬉しくないわけはないのだ。だが同時に自分のせいで傷付けてしまったと、罪悪感を覚える者もいる。

 

その者のうちの1人に、五月も含まれているのだ。

 

 

五月「私は何もしていないのに………!孫君だけが傷付いて…!!私は力になりたいけど、何もできなくて………!!」

 

悟飯「………そんなことない」

 

五月「………へっ…?」

 

悟飯は涙を流す五月の頭に手を置く。その手をゆっくりと動かし、五月の頭を優しく撫でる。

 

悟飯「何もしていないなんてことはないんだよ、五月さん。僕は五月さんのお陰で毎日が楽しいんだ。今までがつまらなかったわけじゃないんだ。でもね、五月さんと………。五月さん達と出会ってから僕の周りは騒がしくなったんだ…………。最近はそんな生活もいいなって思い始めて………。そんな平和な生活を守りたいって思った」

 

決してつまらなかったわけではないが、五つ子と出会ってからというもの、勉強を教える楽しさも覚えたし、風太郎と悟飯は価値観が似たようなものであったが、五つ子はそうでもなく、悟飯に新しいことを教えてくれた。

 

五つ子に振り回される生活に、悟飯はいつの間にか慣れ、そんな生活を守りたいと思うようにもなった。

 

恋というものが決してバカにしてはいけないものだということも分かった。

 

五つ子に勉強を教えるだけじゃない。悟飯もまた、五つ子から沢山のことを学んだのだ。平和な世界での生活というものを…………。

 

悟飯「……だから、そんな顔をしないで…………。君には泣いてほしくない」

 

五月「……孫君…………」

 

悟飯は体力を消耗してしまったため、戦いに加勢することは現実的ではない。だから五月を慰めることにした。

 

 

「…………お取り込み中悪いな」

 

悟飯「……!ピッコロさん…!」

 

ようやくピッコロが到着した。ということは、即ち………。

 

五月「………お、お母さん……?」

 

魂だけの状態とはいえ、本物の零奈もまた、ここに到着したことを意味していた。

 

零奈「五月………。大きくなりましたね…………」

 

五月「本物………ですか?」

 

ピッコロ「ああ。よく見てみろ。頭に輪っかが付いているだろう?それは死人の証だ。更に足もないだろう?それは魂だけの存在だという証だ」

 

五月にとってはそんなことは些細な問題だった。本物の母親に久しぶりに会えたのだ。死ぬまで二度と会えないと思われていたあの母親に………。

 

五月は嬉しかった。抱きつきたかった。だが、姉妹4人が取り込まれてしまったこの状況では、素直にそれを実行する気にもならなかった。

 

零奈「ええ、あなた達の知る母親です」

 

ピッコロ「随分体力が消耗しているな。これを食え、仙豆だ」

 

悟飯はピッコロから仙豆を受け取るとそれを口に含み、数回噛んでから飲み込むと、傷は塞がって怪我も治り、体力も全快した。

 

悟飯「ありがとうございます!これで僕も加勢しに………」

 

ピッコロ「待て。まだその時ではない」

 

悟飯「な、何故……!?」

 

ピッコロ「もう少し待て。未来の悟飯があと少しでなんとかしてくれるはずだ」

 

悟飯「……?どういう意味です?」

 

ピッコロ「まあ見ていろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来五月「はっ!!!」ブン‼︎

 

超2未来悟飯「……!」

 

人造人間は、先程現代の悟飯にも命中させた針型の気弾をいくつも出現させる。その針を未来悟飯に向け発進させる。

 

超2未来悟飯「はっ!!」ガッ‼︎

 

未来五月「……!?」

 

だが、悟飯は避けることもバリアを張ることもしなかった。腕で受け止めたのだ。気でできた左腕なら、その気弾によって状態異常になることはない。

 

未来五月「な、なら…!!」ブン

 

針が通用しないと理解すると、今度はリボンを出現させた。そのリボンを伸ばして……………。

 

超2未来悟飯「そっちがそうするなら、こうだ!」ギューン‼︎

 

未来五月「はっ…!?」

 

なんと、未来悟飯も気弾でできた左腕を伸ばしてきた。伸ばした腕でリボンを掴むと、人造人間から奪い取ってみせた。

 

未来五月「くぅ……!!馬鹿な…!!」

 

超2未来悟飯「………はっ!!!」

 

 

ドグォオオオン!!!

 

 

未来五月「……!!ッ」

 

 

そして未来悟飯はリボンを爆破する。逆に利用できそうだが、何故わざわざ爆破したのだろうか…?

 

 

超2未来悟飯「こいつは手に触れていなくても動かすことができるんだろう?オレがリボンを奪って油断している隙にこれで拘束するつもりだったんだろうが、その手には乗らないぞ」

 

未来五月「……どうやら油断も隙もないようだな…。同じ孫悟飯でもまるで別人のようだ」

 

超2未来悟飯「オレもこうはなりたくなかったさ………」

 

未来悟飯のこの鋭い洞察力と感は絶望的な世界で得たもの。常に平和とは程遠い世界で生きてきたからこそ得た技術なのだ。未来悟飯も積極的にこの技術を得たわけではない。

 

未来五月「まあ、これなら回避はできないだろうが………」

 

人造人間は再びヘッドホンをマイク付きヘッドホンに変化させる。

 

超2未来悟飯「………?」

 

流石の未来悟飯も何かをするのか見当もつかなかった。だか取り敢えずどんな攻撃が来てもいいように警戒はする。

 

未来五月「……"落ちろ"」

 

 

ドンッッ!!!!!

 

 

超2未来悟飯「ぐぬっ……ぬッ!?」

 

 

未来悟飯は何もしていないのに地面に吸い込まれるように墜落していく。途中で気を解放してなんとか術を解くことに成功したが、どういうメカニズムで自分を落としたのか、未来悟飯にはまだ理解できていなかった。

 

超2未来悟飯「……(言葉にするだけで実行できる技…?これは最早超能力や魔術の域だ………。どうすれば回避できるんだ?)」

 

未来悟飯は持ち前の頭脳で考察するも、核心には至らなかった。

 

未来五月「………"落ちろ"」

 

超2未来悟飯「………(だが何もせずにやられっぱなしになるわけにはいかない。取り敢えず探るんだ。どうやって攻撃しているのかを……!!)はぁっ!!」

 

 

カァッ!!!!

 

 

未来悟飯は自分と人造人間との直線上に気弾を放つ。少しすると……

 

 

ドンッ………!!!

 

 

超2未来悟飯「……!」

 

 

気弾が急降下したのだ。人造人間が発言してから僅かなラグがあるのでもしや?とは思ったが、どうやら言えば良いというものではないらしい。

 

発言した時、特殊な効果を持つ透明な気弾のようなものが飛び出し、それが対象に命中することによって初めて効果が発揮されるようだ。

 

 

超2未来悟飯「そういうことなら…!」

 

 

ブォンッ!!

 

 

未来悟飯は気の塊でできた左腕、特に左手を円状に広げて傘状の盾を作った。

 

それを自分の前に突き出したまま人造人間に向けて突進する。

 

未来五月「仕組みが分かったところで無意味だ!"爆せろ"!!」

 

超2未来悟飯「今だッ!!」

 

悟飯は先程の感覚を頼りに、左腕腕の先端部分、つまりバリアを切り離す。するとそのバリアは突然爆発する。

 

超2未来悟飯「そしてこうだ!」

 

 

ギューンッ!!!

 

 

ガシッ!!!

 

 

未来五月「な、なにぃ!?」

 

未来悟飯は左腕は煙を通り抜けて人造人間へと突き進み、その腕は人造人間に巻きついて拘束をした。

 

 

未来五月「馬鹿め!!それでは貴様が動けないだろうッ!!!」

 

しかし人造人間は未来悟飯に生まれた隙を利用して、先程の針を生成して未来悟飯に向けて発射した。

 

 

 

 

 

だが………。

 

 

超2未来悟飯「無駄だ」ブチッ

 

 

未来五月「!?ッ」

 

 

気の塊である左腕は、伸ばすこともできるし、消滅させることもできるし、切り離すこともできる。既に巻き付いている部分だけ残してしまえば、人造人間を拘束しつつ回避することができるのだ。

 

未来五月「だが無駄だ!!!」

 

しかし、針の気弾は90°だろうが180°だろうが方向転換が可能な仕様だ。未来悟飯の策略も無駄に思われた……。

 

 

超2未来悟飯「………」ドシューン‼︎

 

 

未来悟飯は人造人間に向けて舞空術で飛ぶ。人造人間に限界まで近付くと、未来悟飯は急上昇する。

 

未来五月「私を油断させて自滅させようという作戦か。見え見えだぞ!!」

 

無論、相手もそんな単純ではない。だがこれで良かった。方向転換に気を取られているからいいのだ。

 

 

シュン‼︎

 

 

未来五月「……?」

 

未来悟飯は針の後ろに高速移動すると…………

 

 

 

超2未来悟飯「ハッ!!!!!!」

 

 

 

 

ドンッッッ!!!!!!

 

 

 

気合で針を後押ししてやった。

 

 

 

未来五月「なっ……」

 

 

プスッ…………

 

 

未来五月「ぐっ…!しまっ………」

 

 

未来悟飯のこのような行動は流石に予測できなかったのか、人造人間は対処できなかった。そのまま針の効果で強烈な眠気に襲われた。

 

これこそ、未来悟飯とピッコロの狙い。この状況を作り出したかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ピッコロ「今だ!!行くぞ!!」

 

零奈「はい!」

 

ピッコロ「かぁああああ……!!!!!はっ!!!!!!」

 

零奈「……!!」ググッ

 

 

 

ピッコロが右手を前に突き出すと、零奈は人造人間に吸い込まれるように引っ張られていく。

 

五月「ちょっと!?何してるんですか!?」

 

ピッコロ「適正な魂を入れてやる。それだけの話だッ!!!!」

 

 

スポンッ

 

 

未来五月「なに……?何か、入ってきやがった………!?」

 

 

そのまま魂状の零奈は、人造人間の中に入ってしまう。

 

悟飯「な!?何をしているんですか!?」

 

ピッコロ「これでいいんだ。あの体は中野零奈のクローン体だ。本物の零奈の魂が入れば、零奈がその体の所有者になるはずだ………」

 

悟飯「そ、そもそも、ピッコロさんはどこでそんな技を………」

 

ピッコロ「これは前の神の技だ。自分が人間に憑依することはあったが、他人を他人に憑依させるのは初めてだったから完全に賭けだったが、取り敢えず上手くいったようだ…………」

 

これは、先代の神が天下一武道会に、『シェン』という選手として出場した時に使用した技だった。その時の神は人間の体を借りてまだ邪気が濃かった頃のピッコロを封印しようとしたが、失敗に終わってしまった。

 

今回はその技の応用をしたのだ。

 

ピッコロ「(孫。ヤツの中はどうなっている?見えるか?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟空「ああ。見えてるぞ……。ちょっと零奈だけじゃ厳しいかもしれねえ…」

 

 

気の塊でできた左腕を駆使して人造人間を翻弄した未来悟飯は、人造人間を自滅させて弱らせることに成功した。

 

その隙をついて、ピッコロが零奈を人造人間の中に送り込んでしまった!

 

どうやらこれが悟空の作戦のようだが、果たして上手く行くのだろうか?

 




 零奈が人造人間零奈に入り込む展開はかなり最初の方から考えていました。過程で詰まったのでペースが落ちていましたが………。人造人間零奈編もそろそろ終盤に差し掛かってきました。あと1,2話で決着がつくと思います。

 それと、以前から言っていたR-18作品についてですが、完成したので近いうちにpixivに投稿すると思います。投稿したら、第22話と最新話の後書きにURLを載せる予定です。

 おや?今日は四葉の日ですか…。
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