孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

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 人造人間を操っていたと思われていた未来五月は、なんとDr.ゲロのコンピュータのAIに操られていたことが判明!未来五月を完全に洗脳し、人造人間は本領を発揮するが、精神と時の部屋で修行をした未来の悟飯は、単純に戦闘力が上がっただけでなく、気の応用も大幅に効くようになっていた。

 そこにピッコロと、あの世からやってきた零奈が到着した。隙を見計らって、ピッコロは人造人間の中に零奈の魂を憑依させた。これが今後の戦いにどのように影響するのだろうか?



第52話 解放

零奈「………上手く入り込めたようですね………」

 

 

最初にこの提案をされたときは本当に驚いた。

 

まず、パラレルワールドから私をモデルに作られた人造人間……所謂、サイボーグが娘達に危害を加えていると聞いた時は取り乱してしまったが、私が娘達を助け出せる可能性があると聞いたときは更に取り乱してしまった。

 

私も母親として、娘達を救いたかった。例え地獄に落ちようとも、未来ある娘達を、愛する娘達を助けたかった。その思いで再びこの世に戻ってきたのだ。

 

零奈「………!?一花?」

 

髪は私が知っているものよりもかなり短くなっていたが、それでも一花だとすぐに分かった。右耳にピアスを付け、ショートカットヘアにしたようだ。その一花はよく分からない紐のようなもので捕らえられている。意識はないようだが、悟空さんやピッコロさんの話によれば生きているらしい。

 

 

零奈「……二乃」

 

二乃はセミロングのツーサイドステップ……。蝶々のような美しい髪飾りを付けており、服装から見てもオシャレに気を使っているのがよく分かった。

 

そんな二乃も一花同様に拘束されて、気絶している。

 

零奈「……三玖」

 

三玖は二乃とは正反対だ。オシャレに気を使っていなさそうだ。首にヘッドホンをつけており、前髪で片目が隠れてしまっている。

 

零奈「………四葉」

 

 

ある日突然リボンをつけ始めた四葉が目の前にいた。このリボンを見てすぐに四葉だと気付いた。彼女は特別であることに拘っていたが、一時的なものではないらしい。

 

……何に拘っていたのかは、私には分からなかった。だが四葉にとっては余程重要なことだったのだろう……。そう思うと、四葉のリボンをもう少し褒めてあげても良かったのかな……と今更ながら後悔してしまう。

 

 

 

 

………私がこの体に入れば、主導権は私に握られるはずだと聞いた。だがまだ体を自由に動かせそうにない。それに、未来の五月も見つけていない。この人造人間を造り出した張本人はどこに…………。

 

 

「…………まさかのご本人が登場とはな………。これは流石に驚愕した」

 

零奈「!?何者ですか!?」

 

「私はDr.ゲロの意思を継ぐ者…。お前はここに何をしにきた?」

 

零奈「私は娘達を救い出したいだけです。あなたがこの体の主導権を握っている方ですね?娘達を解放しなさい…!」

 

「それは不可能な相談だ。失せろ」

 

零奈「そうはいきません。私は娘達を助ける為に再びあの世からここに来たのです…。解放するまではここに留まり続けます」

 

「なら、力付くで私を倒してみろ。貴様には不可能だろうがな」

 

 

零奈「………!!!」

 

 

零奈は突然意識を奪われそうになるが、なんとか耐える。

 

 

「私はまだ力のほんの一部しか使ってない。私が本気になれば、お前は永遠にここに囚われ続けることになる。それでもいいのか?よくないなら出て行くことだな」

 

零奈「………何故です?」

 

「なに?」

 

零奈「何故、私を追い出そうとするのです?娘達と同じように取り込んでしまえばいいものを………」

 

「…………既に完全体になったからこれ以上は不要なのだ」

 

零奈「私がいると不都合なのですね?私はこの体と相性がいい。それもそうです。この体は私の体のようなものなのですから当然です。私がいると、主導権を取られかねないから追い出そうとしている。そうでしょう?」

 

 

 

 

 

 

ガシッ!!

 

 

零奈「なっ……!?」

 

 

零奈は謎の黒い霧のようなものに四肢を掴まれ、身動きができなくなった。

 

「貴様ぁ…!好き勝手言いよって…!!そんなに死にたいなら、ここで消滅させてやる!!」

 

零奈「ぐっ………!!」

 

「私というプログラムを完全に消し去らない限りお前が主導権を握ることはない!!だが貴様にはその力がないのだ!!諦めろッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まずい!このままじゃ零奈が消滅しちまう!!』

 

ピッコロ「(なに!?どうすればいいのだ!?)」

 

『あの人造人間の中にいる爺さんを倒せればいいんだが……!!』

 

ピッコロ「……?(爺さんだと?まさか、そいつはDr.ゲロではないのか?)」

 

『ゲロ?よく分からねえけど、人造人間19号と一緒にいた奴にそっくりだぞ?』

 

ピッコロ「(……Dr.ゲロめ……。要はそいつを精神世界で倒すことができればいいわけだな?)」

 

『いや、確かにそうなんだが………』

 

『それ、オレにやらせてください!!』

 

『………おめぇは、未来の悟飯か?』

 

『はい!!人造人間の根源をここで断ちたいんです!!オレにやらせて下さい!!』

 

ピッコロ「(しかし、それではそこにいる人造人間は誰が食い止める?俺もお前との修行で腕を上げたとはいえ、まだまともに戦えるほどでは………)」

 

『何言ってるんですか。そこに適任者がいるでしょう?オレと同じ孫悟飯ならできるはずです』

 

『………分かった』

 

ピッコロ「(なに!?それでいいのか?)」

 

『ああ。ここは2人の悟飯に任せようぜ、ピッコロ』

 

ピッコロ「………むぅ」

 

悟飯「ぴ、ピッコロさん?」

 

悟飯と五月から見れば、ピッコロはずっと黙り込んでいるようなものだった。

 

ピッコロ「………悟飯。まだ戦えるな?」

 

悟飯「はい!!」

 

 

ピッコロ「………なら、お前は人造人間の相手をしてくれ」

 

悟飯「……?」

 

悟飯は不思議に思う。今の敵は人造人間しかいないのに、わざわざ人造人間の相手をしろと言うのか?

 

ピッコロ「……結論から言おう。Dr.ゲロのコンピュータという名のDr.ゲロが人造人間の体を支配している。そいつを内部で破壊し、零奈に主導権を握らせる」

 

悟飯「えっ…?でもどうやって……」

 

ピッコロ「そこは未来のお前に任せる。お前はその間に人造人間を食い止めるんだ。いいな?」

 

悟飯「……はい!」

 

『それじゃあピッコロさん、お願いします!!』

 

ピッコロ「かぁああああッ!!!!」

 

 

 

超2未来悟飯「……!」ググッ

 

 

 

未来悟飯も零奈と同じように、人造人間に引き込まれるようにして人造人間の中に入って姿を消した。

 

五月「そ、孫君!!」

 

悟飯「…大丈夫。僕は帰ってくるから」

 

悟飯は仏のような顔で五月に言い、安心させる。そして五月から視線を逸らして前に向くと、戦闘時の険しい顔になり、超サイヤ人2に変身する。それで振り向かないまま………。

 

超2悟飯「じゃ、行ってくる!」

 

 

ドシューンッ!!!

 

 

五月は飛び立つ悟飯の姿を見届けることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

超2未来悟飯「………ここが人造人間の精神世界か…………」

 

この中にいる悪の根源を倒してしまえば、みんなを助けることができるはずだとお父さんが言っていた。オレが不甲斐ないばかりに五月に苦労させてしまったし、手を汚してしまった。なら今度はオレが助ける番だ。

 

「………ほほう。まさかお前までここに入り込んでくるとはな…………」

 

超2未来悟飯「……!!誰だお前は!!」

 

この老人が、父さんの言ってた悪の根源なのか…?

 

「私はDr.ゲロの意思を継ぐ者だ。自己紹介後に早々悪いが、貴様には消えてもらうぞ」

 

超2未来悟飯「そう簡単に消されてなるものか!死ぬならせめてここにいるみんなを助けてから死んでやる!」

 

「ほう。命を捨てることに躊躇がないようだな……。その勇気は褒めてつかわそう。だが、貴様はここに入ってきた時点で敗北が確定している」

 

 

超2未来悟飯「………!!ッ」

 

な、なんだ……!?意識が遠のいていくようだ……!!!

 

 

「ここは人造人間の中だ。つまりこのフィールドは私の意のままに操作することができるということだ。貴様が不利になるように設定することも可能だ」

 

超2未来悟飯「ぐっ……!!くそぉ…!!」

 

ま、まずい……!!ここで気を失うわけにはいかない……!!五月の苦労に比べれば、こんなもの………!!!

 

 

 

 

ドンッッ!!!!!

 

「ぐっ……!!」

 

 

突然、空間が揺れだす。なんだ?これもあいつの仕業か?

 

 

「ちぃ…!外からも内からも孫悟飯が攻めてくるとは……!!小賢しい真似を……!!!!」

 

 

そういうことか…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来五月「ぐぅ……!!」

 

五月の姿をした人造人間は、精神内で未来悟飯の対処に気を取られていた為、悟飯に先制攻撃を許してしまう。

 

未来五月「ちぃ…!外からも内からも孫悟飯が攻めてくるとは……!!小賢しい真似を……!!!!」

 

超2悟飯「人を騙して吸収したお前が言うのか……」

 

未来五月「いいだろう!内の悟飯も外の悟飯も纏めて片付けてくれる!!」

 

人造人間はリボンを取り出し、悟飯を拘束する為にそれを伸ばす。

 

 

 

 

 

ズバッ!!!

 

 

未来五月「……!!!」

 

クリリン「よし!切れた!!」

 

だが、気円斬によって伸びていたリボンは途中で切り落とされてしまう。

 

未来五月「雑魚の癖に生意気な……!!」

 

 

 

 

ドグォオオオオオオン!!!!

 

 

今度は天津飯の気功砲が命中する。ダメージは大したことがないとはいえ、妨害されて人造人間は苛立っていた。

 

 

 

 

ドカッ!!!!

 

 

未来五月「ごはっ………!!!」

 

 

そちらに気を取られている隙に悟飯が腹部に拳を叩きつけると、そのまま気弾を発射し、吹き飛んだ人造人間に更に追い討ちをかけるように拳圧で攻撃をした。

 

未来五月「おのれぇ………!!!一気に片付けてやるッ!!!界王拳ッ!!」

 

 

ギャウウウウッ!!!!

 

 

超2悟飯「しまった……!!」

 

人造人間はついに堪忍袋の尾が切れて界王拳を使用する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふはははははっ!!!これで外の孫悟飯はもう終わりだッ!!!外のお前を片付けたら次は貴様の番だ!!」

 

超2未来悟飯「こいつ…!」

 

未来悟飯は精神世界でコンピュータに立ち向かっていたが、環境が未来悟飯にとっては不利であった。

 

未来悟飯は精神も鍛え上げられているからこそここまで耐えることができているが、並の者なら既に洗脳されているところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュン

 

 

ドコォオオオッ!!!!!

 

 

 

「ぐぅぅ……!!」

 

未来悟飯は意識を繋ぎ止めつつ、AIに強烈な一撃を叩き込んだ。

 

「何故だ……。何故この環境でそこまで足掻くことができる……!!」

 

超2未来悟飯「これ以上オレの力不足を理由に犠牲者を出したくないんだ…!!貴様を倒し、悪の根源をここで絶つ!!」

 

「ほざけ小僧!!貴様だけで何ができる?下手にここで暴れれば、五月の心が壊れかねないし、一花、二乃、三玖、四葉も無事だとは限らない!零奈に至っては魂が消滅する可能性がある!!この環境下で貴様一人でなにができるというのだ!!!!」

 

超2未来悟飯「勘違いするな。今戦っているのはオレだけじゃない」

 

「外の世界の奴らは既に敗北確定!!ならば残りは貴様だけだろう!!」

 

超2未来悟飯「何を言っているんだ。"ここ"にもオレと共に戦ってくれている仲間がいる!!」

 

「まるで意味が分からん」

 

超2未来悟飯「なら、外の様子を確認してきたらどうだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカッ!!!

 

 

ドコッ!!!!!

 

 

未来五月「はぁ……!はぁ…!な、何故だ…!!何故界王拳を使用しているのにも関わらず、貴様に及ばないのだ!?」

 

超2悟飯「さあな。俺にも分からないが、この好機を逃がす手はない!!」

 

そう。セルをも上回る力を持っているはずの人造人間は、現代の孫悟飯に押されていた。先程弱っていた悟飯が全快したことによって、サイヤ人の特性が発動して戦闘力が上がった可能性がある。しかしそれを加味したとしても、界王拳を使用している人造人間を相手に押しているのは明らかにおかしい。

 

 

考えられるのは、内部の不調だった。

 

 

 

 

 

 

「ま、まさか…………!」

 

 

超2未来悟飯「意識はなくとも、お前の好き勝手な行いを止める為に抵抗してくれているようだな。オレも数年という短い時間しか関わってなかったとはいえ、みんなのことはよく知っている。あの子達は、一筋縄ではいかないぞ?」

 

 

人造人間に取り込まれてエネルギー源にされている四人が抵抗をしているのだ。精神を極限まで統一させることによって初めて成功する界王拳とこの状況は相性が悪すぎたのだ。

 

「く、くそぉ……!!ならば、せめて貴様だけでも葬ってやる……!!」

 

 

AIは精神世界の環境を変え、悟飯を始末しにかかる。だが、上手く作動しなかった。

 

「なっ!?何故だ!?まさかあの五つ子がここまで干渉してこれるはずがない!?なら何故コントロールが効かない!?」

 

零奈「娘達の想いが勝ったのですよ。あなたの野望にね」

 

「なっ……!!貴様、洗脳されたはずでは……!!!」

 

零奈「私は地獄に落ちる……いえ、消滅することをも覚悟でここに来ました。あなたの下らない野心に、娘を助ける為にここに来た母親が敗北するわけがないでしょう!!!!」

 

零奈は先程洗脳されかけたが、娘達を助けるという強い意思のお陰でなんとか回避することはできた。だがそのままAIに立ち向かっても分が悪いことは分かりきっていたので、応援が来るまでは洗脳されたふりをしていたのだ。

 

「に、人間どもめ…!許さん……!!許さんぞぉ………!!」

 

零奈にようやく人造人間の主導権が渡った。これによって、AIは最早ただのお飾りとなったはずだ。あとは諸悪の根源を追い出すだけだ。

 

超2未来悟飯「本当はオレの手で倒したいところだが、ここで強力な力を使ってしまってはみんなが危ない…。だから追い出させてもらうぞ……!!」

 

零奈「私の家族に危害を加える不届き者は、出ていきなさい!!!」

 

 

 

ドンッッ!!!

 

 

「ぐぬぬぬっ………!!!ここでワシが負けるわけにはいかぬ……!!この人造人間は、ワシにとって最後の希望なのだ…………!!!!」

 

零奈が主導権を握ったことによって、人造人間の精神世界から諸悪の根源である、"Dr.ゲロをモデルに作られた"コンピュータのAIを追い出そうとするが、AIは最後の力を振り絞って留まり続けようとする。

 

超2未来悟飯「もうお前は負けたんだよ。諦めろ」

 

未来悟飯が静かにそう怒鳴ると、AIを殴り飛ばす。

 

 

「ば、馬鹿なぁ………!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AIを見事に追い出すことに成功し、未来悟飯は超サイヤ人状態を解除した。

 

未来悟飯「………初めまして。あなたが本物の零奈さんですね」

 

零奈「ええ……。あなたのことは悟空さんからお話は伺っています」

 

未来悟飯「お父さんが………。ごめんなさい。オレが弱かった為に、五月以外はみんな死んでしまいました……。この世界のオレは見事に5人とも守り切っていますが…………」

 

零奈「謝らないで下さい。あなたは五月だけでも守ってくれた……。それだけで十分です。確かに、別世界とはいえ娘達が殺されてしまったのは誠に遺憾です………。でも、あなたのせいではありません……………」

 

未来悟飯「零奈さん……………」

 

二人がそんな会話をしていると、黒い煙に包まれていた未来の五月が姿を現した。

 

未来五月「………わ、私は………」

 

未来悟飯「五月!良かった……」

 

未来五月「孫君………。隣にいる人って……………」

 

未来悟飯「ああ、君がよく知っている人だよ」

 

五月はゆっくりと零奈に向かって歩み始める。顔をマジマジと観察し、本物の母親であることを確信すると、零奈に向かって走り出した。

 

未来悟飯はその様子を微笑みながら見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

パシンッ!!

 

未来五月「………?」

 

未来悟飯「ええ!?」

 

だが、乾いた音が響いた。叩かれたのは五月。叩いたのは、零奈だった……。

 

未来五月「お、お母さん………?」

 

零奈「五月……。あなたは何をしたのか、分かっていますか?」

 

未来五月「……………」

 

五月は心当たりがあるのか、すっかり黙り込んでしまう。

 

零奈「姉妹も友人も殺され、憎しみを抱いてしまうのは仕方ないでしょう…。ですがあなたはやってはいけないことをしました。墓から骨壷を掘り出す…。ましてや、そこからクローン人間を作ってしまうなんて…………」

 

未来五月「………でも、私は人造人間に復讐したかったんです。心のどこかでやってはいけないと思いつつも、お母さんに人造人間を倒してほしかったという思いが強すぎて……………」

 

零奈「………あなたはこの世界の娘達も、孫君達にも迷惑をかけました……。下手したらこの世界もあなたの世界のような状況に陥っていた可能性があるのですよ?」

 

未来五月「ごめんなさい……。私が軽率な行動をしたばかりに……!ごめんなさい……!!」

 

五月は涙を流しながら零奈に謝罪し続けていた。悟飯は何故五月が心を壊し、人造人間を造ったのかを知っている。そしてその原因が自分にもあることを知っていた。

 

未来悟飯「零奈さん。五月のこの行動にはオレにも責任があります。オレが最初から人造人間を倒す力を持ち合わせていればこんなことにはならなかった……。五月が罪を背負わなければならないというのなら、オレも一緒に背負います」

 

未来五月「そ、孫君…………」

 

零奈「…………………あなたの努力を否定したいわけではありません。でもこれだけは言わせて下さい……」

 

零奈は大きく息を吸うと…………。

 

 

零奈「五月ッ!!!少しは自分の身体を大切にしなさいッ!!!

 

五月は自分の行いのことで更に怒られると思っていた。しかし零奈から浴びせられた言葉は、予想に反して自分を心配する意味を孕んだ言葉だった。

 

未来五月「お母さん…………?」

 

零奈「本当はもっと叱りたいことが沢山あります…。でもあなたの精神状態が正常でなかったことは私も分かっているつもりです。ですからこれ以上は説教はしません」

 

 

零奈は目の前にいる五月を抱きしめ、慈愛に満ちた顔で…………

 

 

零奈「………今までよく頑張りましたね、五月……………」

 

 

暖かく、優しい声で、そう言った。

 

 

未来五月「うん……。うん……!私、頑張ったんだよ……!!みんなの仇を打ちたくて………!!私………!!!」

 

零奈「ええ………。よく頑張りました………」

 

 

 

 

 

 

 

未来悟飯「よかった……………」

 

 

未来悟飯はその親子の一部始終を、静かに眺めていた。

 

しばらく五月は零奈の胸の中で泣いていたが、泣き疲れてしまったのか、そのまま眠ってしまった。

 

零奈「大きくなっても、甘えん坊さんですね…………」

 

未来悟飯「…………零奈さん。これからどうするんです?」

 

零奈「私はこの中に残ります」

 

未来悟飯「えっ……!?の、残るって…!?」

 

零奈「孫悟空さんが閻魔大王様に融通を効かせて下さいました。私の過去の話を聞いて思うところがあったのでしょう」

 

未来悟飯「お父さんが………。しかし、その身体は人造人間です…。普通の人間とはわけが…………」

 

零奈「それも承知の上です。娘達が望んでくれるのなら、私はこの世界で過ごしたいと思っています…………」

 

未来悟飯「……………そうですか」

 

未来悟飯は零奈の覚悟を聞き取り、後は何も言わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

超2悟飯「………?なんだ?」

 

未来五月「………」

 

 

先程から、人造人間の動きが止まった

 

 

ままだった。悟飯は不意打ちに警戒しながらも、様子を冷静に伺う。

 

ところが、人造人間は全く動く気配がなかった。

 

超2悟飯「ど、どういうことだ…?」

 

クリリン「な、なあ………もしかして、中で未来の悟飯が何かしてくれたんじゃねえか?」

 

天津飯「そうだといいが、突然動きだすかもしれないぞ………」

 

その場にいたZ戦士は警戒を続けながら人造人間を観察した。

 

未来五月「……はっ…!」

 

天津飯「構えろ!!」

 

クリリン「うわっ!」

 

突然人造人間が動き出したので、天津飯とクリリンは最大限警戒する。

 

未来五月「はぁ……!はぁ………!!」

 

超2悟飯「……!!魔閃……!!」

 

 

悟飯は相手がエネルギー砲を撃ってくると踏んで、かめはめ波では跳ね返される可能性があるので、魔閃光で対抗しようと準備をする。しかし……。

 

 

未来五月「はっくしょん………!!!

 

 

超2悟飯「………へっ?」

 

クリリン「はぁ?」

 

天津飯「なに?」

 

 

ただくしゃみをしただけだった。警戒していただけに、Z戦士達は情けない声を出してしまう。

 

クリリン「な、なに?また動きを見せたと思えば、くしゃみ?」

 

天津飯「人造人間もくしゃみをするのだな…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、ただのくしゃみではなかった。Dr.ゲロの意思を持ったAIがくしゃみと同時に追い出されたのだ。

 

「くっ!くそぉ……!!!だがワシは生き返ることができた……!!また新たな人造人間を造り、奴らに必ず復讐してやる……!!」

 

Dr.ゲロとして現実世界に出現したAIは復讐を胸に誓ってその場を去る…………

 

 

 

 

 

「残念ながらその復讐は達成されない」

 

「………!!!!」

 

「何故なら、今この場で俺に殺されてしまうからだッ!!!」

 

 

 

 

………ことは、もう一人の未来の戦士によって阻止された。

 

超トランクス「Dr.ゲロ…!貴様があの人造人間を操っていたのか……!!」

 

「と、トランクス……!!」

 

超トランクス「貴様には苦労させられた!俺の世界は17号と18号に蹂躙されるし、この世界ではセルに苦労させられ、あの人造人間にも世話になった」

 

「に、にげ……!!」

 

超トランクス「俺は憎い!人造人間よりも!!人造人間を生み出した貴様がッ!!!!消えて無くなってしまえッ!!!!!!!」

 

 

 

ズドォオオオオンッ!!!!!

 

「ちくしょーーーー!!!!!!!」

 

 

 

ドグォオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!!!

 

新たに誕生したDr.ゲロは、トランクスによって綺麗に掃除された………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来五月「………」ヒュー

 

 

超2悟飯「!?」

 

天津飯「今度はなんだ…?」

 

クリリン「向こうでもトランクスが何かしたみたいだし、やっぱり何か作戦を立ててたんじゃ…?」

 

人造人間は地表にゆっくりと降り立ったので、Z戦士も地上に降り、地上戦の準備をする。だが………。

 

 

 

未来五月「………」ピカァアア

 

 

人造人間が光出すと、その光は6つに分かれ、それぞれが人間の形に変化する。

 

未来悟飯「………………ようやく終わったのか………?」

 

光のうちの一つは未来悟飯に変化する。残りの五つの光は、5人とも容姿がそっくりな少女に変化する。

 

 

クリリン「おっとっと!」

 

天津飯「………そっくりだな」

 

クリリンは倒れてくる一花を、天津飯は四葉を抱える。

 

 

悟飯は二乃と三玖の二人を抱え込んだ。

 

超2悟飯「よかった……。みんな無事だったのか……………」

 

そして、未来悟飯は……………。

 

 

 

未来悟飯「…………お帰り、五月」

 

 

どこか満足気で、幸せそうな顔をさせながら可愛らしい寝息を立てて眠っている未来五月を抱えた。

 

 

 

そして、肝心の人造人間は、元の五つ子の母親の姿に戻った。

 

 

零奈「………皆さん、ご迷惑をお掛けしました」

 

天津飯「………??」

 

クリリン「あ、謝ってきたぁ!?」

 

零奈「私はもう戦うつもりはありません……。この度は本当にお騒がせしました」

 

クリリン「い、いや!いきなりそんなこと言われたって…………」

 

未来悟飯「………いや、クリリンさん。この人の言うことは信用しても大丈夫ですよ」

 

クリリン「へっ?な、なんで……?」

 

未来悟飯「………この人は、本物の母親だから…………」

 

クリリン「いや……。言っている意味がよく分からないんだけど………」

 

天津飯「だが未来の悟飯の言う通りかもしれん。相手から戦意は感じられない」

 

クリリン「た、確かにそうかもしれないが……」

 

クリリンと天津飯はイマイチ状況が掴めなかったが、さらに悟飯が超サイヤ人を解除したので、二人も人造人間に対する警戒を解いた。

 

 

 

 

 

 

 

「悟飯さーーーん!!」

 

未来悟飯「……!!!」

 

悟飯は耳を疑った。この声は自分がよく知っている言葉だった。この世界の彼はまだ幼いからこんな低い声は出せないだろう。だが、自分の世界の彼は自分についてきていないはずだ。

 

 

 

スタッ

 

超トランクス「ほ、本物だ……!!俺がよく知る方の、悟飯さんだ………!!」

 

未来悟飯「………………そうか。君が未来から来たというトランクスか……」

 

超トランクス「俺の時代での悟飯さんは死んでしまいましたが……、こうして再会できて俺は嬉しいです……!!」

 

未来悟飯「……オレも嬉しいぞ。オレの期待以上に腕を上げてくれたみたいだ………」

 

 

 

 

 

 

悟飯「………僕達はお邪魔なようですね」

 

クリリン「取り敢えず、この子達は病院に運べばいいのか?」

 

悟飯「はい。僕の知り合いに院長さんがいるので、その病院に行きましょう」

 

ピッコロ「待て。お前はここに残ってやれ」

 

悟飯「ピッコロさん…?」

 

天津飯「ピッコロか。久しぶりだな」

 

クリリン「よっ!」

 

ピッコロ「………ああ」

 

ピッコロは一言だけ返事をし、悟飯が担いでいた三玖と二乃を持つと、今度はピッコロが二人を担いだ。

 

悟飯「いや!僕が連れて行きますよ!!病院の場所を知っているのは…………」

 

ピッコロ「大丈夫だ。俺も把握している。それに、お前の帰還を持っている者がいることを忘れるな」バシューン‼︎

 

クリリン「あっ!おい待てよピッコロ!」

 

天津飯「素直じゃないやつだな、ピッコロは」バシューン

 

ピッコロの後を追うように、クリリンと天津飯も病院に向かった。

 

 

 

 

スタッ

 

悟飯は仕方なく地上に降り立った。

 

悟飯「うーん………。どうしてピッコロさんはあんなことを…………?」

 

 

タッタッタッ………

 

 

悟飯「………?」

 

 

タッタッタッ!!

 

 

 

悟飯「うわっ!?」

 

ボフッ!!

 

 

突然、悟飯の胸の中に飛び込む者がいた。その正体は言うまでもない……。

 

 

五月「……………」

 

悟飯「い、五月さん………?」

 

五月「………私、結局何もできませんでした。ただ孫君の無事を祈ることしかできませんでした」

 

悟飯「五月さん…………」

 

五月「私、凄く心配したんですよ……?今度こそ本当に孫君はいなくなってしまうんじゃないかって、一瞬でもそう考えてしまうと、怖くて…!怖くて…!!」

 

悟飯「……心配し過ぎだよ。でもごめんね………」

 

五月「…………姉達は、無事ですか?」

 

悟飯「うん。みんな気を失っているけど、命に別条はなさそうだよ……」

 

五月「………良かった……。誰もいなくならなくて…………。孫君が帰ってきてくれて…………。本当に…………」

 

悟飯「………………うん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零奈「あの、お取り込み中申し訳ありませんが、私もいることをお忘れなく…………」

 

 

五月「……………//////」

 

五月は想い人に体を預けている姿を母親に見られて、顔を赤らめながらゆっくり離れた。だが名残惜しそうに悟飯の顔を見る…。

 

零奈「………あの五月が私以外に甘えるなんて……………」

 

五月「お、お母さん……!!これは………!!」

 

零奈「…………私を母として認めてくれますか………?」

 

五月「………えっ…?」

 

五月はピッコロから事情を聞いていた為、目の前の母親に似た人造人間は、体はともかく中身は本物の母親であることは理解していた。

 

零奈「私は幼いあなた達を残したままあの世に旅立ってしまいました。…今更ではありますが、娘達を見守りたいから、この世に戻ってきました……。でも私は一度死んだ身です……。もし、あなた達が許してくれるなら、もう一度、私と一緒に暮らしてくれませんか?」

 

 

数秒、沈黙した。

 

 

 

その沈黙を破るように、五月は口を開いた。

 

五月「こちらこそ喜んで!本物の母親ならば大歓迎です!!」

 

 

ドンッ

 

五月は零奈に向かって駆け出し、飛び込んだ。零奈は五月を受け止め、抱きしめ返した。

 

五月「………お帰り、お母さん…!!」

 

零奈「…………ただいま、五月………」

 

 

そんな光景を見て、悟飯は自然に頬が緩んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

悟空「いや〜!良かった良かった!!これでみんなハッピーだな!!」

 

界王「全く…。お前さんはとんでもないことを思いつくものだな…………」

 

悟空「まあこれで良かったじゃねえか!誰も死なずに済んだんだし、零奈も生き返れてよかったな!」

 

界王「いや、正確にはお前は………」

 

悟空「ん?どうかしたか、界王様?」

 

界王「………いや、お前がいいならそれでいいんじゃ…」

 

悟空「なんだよ~、はっきり言ってくれよ~」

 

界王「なんでもないから気にするな……」

 




 というわけで、ここで人造人間零奈編は一区切りです。最後はちょっと雑というか軽い感じになってしまったような気はしますが、なんとかハッピーエンドにすることができた……!!

 こうして中野家の母親は蘇ることができました。元々は『未来悟飯を出してほしい!!』というリクエストだったのですが、色々なアイデアと統合してここまで壮大(当社比)な物語ができました。ただ、長編オリジナルストーリーだったので、かなり苦労しました…(笑)。安易にオリジナルストーリーに手を出すものじゃないですね………。

反省はしている、後悔はしていない。

 と言いつつも、まだ未来悟飯や未来五月が未来に帰らなければ、人造人間零奈編は終了とは言えない気はしますが、取り敢えず一区切りですw

 次回からはラブコメ寄りのオリジナルストーリーを1,2話投稿し、その後に未来悟飯と未来五月が未来に帰って、ようやく3学期に入って全国模試編に入ると言った感じですかね。多少予定は変わる可能性はありますけどね。

 今回はがっつり戦闘だったので、しばらくはラブコメ要素強めで行きたいところではありますが、まだターレスとメタルクウラが残っているんですよねぇ……。というかブウもいるやんけ。このシリーズを始めた当初は戦闘シーンは全く入らない予定だったのに、今ではがっつり入っている……。というかメインがバトルになりつつある…()

 というか、この零奈編で何度もスランプに陥りそうになりました……。完結もしていないのに凄い達成感……。でも完結まであともう少し!なんてこともないんですよね〜……。というか五等分基準だとまだ9巻なんですよね……。あと5巻分もありますやんw

 まあとにかく、これからも頑張っていきます。この作品はゆっくりでもなんとしても完結させたいところです。

 ちなみに、前々から言っていた第22話ifのR-18は5月5日にpixivにのみ投稿予定です。URLもここに載せる予定ですので、気が向いたら見に来てね。

〜追記〜

ということで貼りました。こちらです。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17525005
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