孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

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 人造人間の中に潜入した零奈は、中で実質主導権を握っていたDr.ゲロのコンピュータ……という名のDr.ゲロに苦戦していたが、未来悟飯も応援に駆けつけた。更に外から現代の悟飯も加勢し、二人の悟飯で内と外からそれぞれ攻めていた。

 だが、人造人間の内部にいた未来悟飯は苦戦を強いられ、圧倒的に不利だったが、無意識に悟飯達に協力をした五つ子のお陰でなんとか追い出すことに成功。トランクスが仕留めたことによって、悪の根源は完全に消滅した。

 未来五月も正気を取り戻したが、零奈に説教される。だがそれと同時に慰められ、今まで溜めていた悲しみを全て吐き出した未来五月は、満足するかのように寝てしまった。そして5人とも人造人間から解放され、無事に全員救うことができた2人の悟飯であった………。



第53話 綺麗な満月

現在、マルオの病院には5人の入院患者がいる。4人は既に意識を取り戻しているが、一応検査の為に一日だけ入院することになった。

 

だが、もう一人……。未来の五月は未だに意識を取り戻していないのだ。

 

 

 

マルオ「孫君、よく娘達を取り返してくれた……。お礼を言うよ」

 

悟飯「いえ、僕だけの力じゃありません。みんなのお陰なんです」

 

クリリン「しかし悟飯。お前、ボディガードと家庭教師を兼任しているのかよ……。つーかそれ以前に正体バレてるし……。そういう不器用なとこは悟空に似てるよな…………」

 

マルオ「あなた達にもお礼をしたい」

 

マルオはそう言うと、懐から分厚い札束を取り出す。

 

クリリン「うえ!?い、いやいや!!俺達は金目的で助けたわけじゃないですからッ!!」

 

天津飯「俺達はあくまで脅威を取り除く為に動いた。それだけのことだ」

 

マルオ「し、しかし………」

 

クリリン「ど、どうせ俺たちにやるなら、悟飯の給料にでもしてやってください!!」

 

悟飯「ええ!?クリリンさん!?」

 

マルオ「……それもそうだね。そうさせてもらうよ」

 

悟飯「ま、マルオさん!?」

 

ということで、この日の悟飯の給料はとんでもない額になったのだが、それはひとまず置いておこう。

 

未来悟飯「……それで、五月の様子は?」

 

マルオ「……未来の五月君は命に別条はないよ。ただまだ意識が戻らない……。もしかすると、人造人間に取り込まれていた時に何かしら脳機能に異常がもたらされたのかもしれない。そうなると、最悪植物状態になる可能性もある」

 

未来悟飯「そ、そんな……!!!」

 

マルオ「だが僕は医者だ。最善は尽くすつもりだよ」

 

 

 

 

 

 

マルオからの説明を受けた一同は、一旦五つ子のうちの4人の元にお見舞いという形で出向くことになった。

 

一花「いや〜…!悟飯君の知り合いって本当にユニークな人達ばかりだね…!」

 

五月「ひ、ひぃ……!み、三つ目お化け……!!」バタン

 

五月は天津飯を見て気絶してしまう。

 

悟飯「わっ!!い、五月さん!?しっかりして!?」

 

天津飯「………俺の顔、そんなに怖いのか……?」

 

未来悟飯「あ、あ〜…….その〜………。三つ目が原因かと………」

 

ちなみにだが、何故未来悟飯がこの時代にやってきたのかは既に天津飯とクリリン、トランクスにも説明済みである。

 

トランクス「………ですが、おかしいですね」

 

未来悟飯「うん?何がだ?」

 

トランクス「………俺は、そこの五つ子ちゃん達には初めて会いました」

 

未来悟飯「えっ……?ど、どういうことだ?」

 

トランクス「そもそも、俺の世界では国という概念が存在しません。だからこの世界は俺の知る歴史から随分逸脱していると言えます」

 

未来悟飯「な、なんで……?この世界はトランクスが一度来た過去の世界のはずだろ?」

 

トランクス「はい。そのはずなんですが…………」

 

悟飯「……実は先日、並行世界から来たというセルと戦いました。そいつは幾つもの世界を巡ったと言っていました」

 

未来悟飯「……つまり、そのセルという人造人間がいくつも並行世界を生み出したことによって、この世界の歴史は本来のものとは大きくズレてしまった………そう言いたいのかい?」

 

悟飯「はい…………」

 

何やら難しい話をしており、五つ子はよく分からないというような顔をしていた。小難しい話ばかり聞いてもつまらなかったのか、二乃が口を開く。

 

二乃「そうだ、ハー君。今度のデートの予定だけど、私一度サタンシティに行ってみたかったのよね!ハー君なら簡単に行けるでしょ?」

 

クリリン「ええ!?お前こんな美少女とデートできんのかよ!?羨ましいぞこんにゃろう!!」

 

悟飯「……18号さんの前では絶対に言わないで下さいね?」

 

クリリン「わ、分かってるよそんくらい」

 

三玖「えっ?何それ?初耳なんだけど?どういうこと悟飯?」

 

二乃「この前ハー君が泊まりに来た時、あんたらが朝になってもいつまでもハー君にくっつき続けるもんだからハー君が起き上がれなかったじゃないの。そこで私が機転を利かせて助けてあげたからその見返りよ」

 

さらっと爆弾発言をする二乃。この台詞から、現代の悟飯は付き合ってもいない女子と寝るプレイボーイに聞こえてしまう。

 

トランクス「………悟飯さん。流石にそれはどうかと…………」

 

未来悟飯「いくら世界が平和で恋愛もできるからといって、それはやりすぎじゃないかな?」

 

天津飯「少し煩悩が強いんじゃないか?」

 

悟飯「…………ごめんなさい」

 

確かに最近の悟飯は、側から見たら、付き合ってもいない女の子と遊んでいる男にしか見えないのだが………。それには深いわけがあるが、説明するととても長くなってしまう………。

 

二乃「ということだから、諦めなさい」

 

三玖「むむっ………」

 

一花「あはは………程々にね〜……」

 

四葉「取り敢えずみんな元気になって良かったね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして…………。

 

マルオ「………!!零奈さん……?今度は本物の、零奈さん……?」

 

零奈「……お久しぶりです、マルオ君」

 

マルオ「……根拠や証拠があるわけではないが、今度は本物だ…!!だが、あなたは既にこの世の者ではないはず……!」

 

零奈「それには色々と複雑な事情がありましてね………。話すと長くなってしまいます…………。それで、頼みたい……ことが………………」

 

 

 

ドサッ

 

 

マルオ「!?零奈さん!?零奈さん!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

五つ子の病室にいた悟飯と未来悟飯は再びマルオに呼び出された。

 

未来悟飯「えっ?零奈さんが倒れた……?」

 

マルオ「ああ…。突然意識を失ってしまったんだ……。今はベッドの上で安静にさせているんだが………」

 

悟飯「そんな………。どうして突然……」

 

「……そ、それは………。恐らく故障してしまったのだと思います」

 

「「「……!!」」」

 

そう発言したのは、先程まで意識を失っていたはずの未来五月であった。

 

未来悟飯「い、五月!?もう起きて大丈夫なのか!?」

 

未来五月「ええ……。お陰様で……」

 

マルオ「………それで、故障というのは………?」

 

未来五月「先程までの戦いで、人造人間の身体には通常ではあり得ないほどの負担が掛かってしまいました…。私は界王拳を使用することを想定して設計していません。あくまでも17号と18号を倒せればいいと思って造りました」

 

そもそも、未来五月は人造人間零奈に吸収機構を取り付けるつもりはなかったのだが、Dr.ゲロのコンピュータが勝手に付けたのだろう。

 

未来悟飯「そ、そんな……!!せっかく零奈さんは生き返ったのに………」

 

未来五月「………私が、直します」

 

未来悟飯「そ、そんな…!いくらなんでも無茶じゃ……!!」

 

人造人間零奈の身体は、ほとんどがバイオロイドタイプであり、生身の肉体とほぼ変わらなかった。だが、他の人造人間同様に少々改造を施しているので、そこの機械部分が故障してしまったのかもしれない。

 

未来五月「構造を知っているのは私だけです…。ならば私が責任を持って直す必要があると思います………」

 

 

 

 

こうして、未来五月は人造人間零奈を修理することを決意するが、設備に問題が生じた。だがそれはブルマのところを借りれば問題ないだろうという結論に至り、ブルマにこの病院まで来てもらうように悟飯は連絡した。

 

 

 

 

 

一花「わあ…!少し大人な五月ちゃんだ!」

 

二乃「ちょっと痩せてるんじゃない?大丈夫?」

 

三玖「ちゃんと食べないとダメだよ?」

 

四葉「睡眠も大事だよ!」

 

私は敵討ちをしたかった。姉達を殺した人造人間に……。上杉君を殺した人造人間に…………。

 

強い憎しみを抱き、私は何を思ったのか、母親のDNAを採取し、母親モデルの人造人間を造り出した。だが私だけでは人造人間なんて造ることができなかった。そこで頼ったのが人工知能だった。だが、それに頼ったのが間違いだった………。

 

………いや、そもそも人造人間そのものを造ろうとしたことが間違いだったのだろう……。もしもあの人造人間の中に本物の母の魂が入り込まなければ、この世界は今頃…………。

 

何よりも、私は目の前の"別の姉達"に謝罪しなければならない。

 

未来五月「皆さん、この度はご迷惑をおかけしました……………」

 

私は4人の姉達に対して深々と頭を下げる。

 

未来五月「私がしたことは、謝った程度で許されることではないのは重々承知しています。ですが…………」

 

二乃「何言ってんのよ。確かあんたはコンピュータだっけ?それに操られてたんでしょ?確かに、ママの骨壷を掘り起こすなんて、末代まで祟られてもおかしくない愚行に走ったことは反省するべきだけど、少なくとも私達を巻き込んだことに関してはあんたは悪くないわ」

 

未来五月「に、二乃………」

 

一花「うん。私達を巻き込んだことに関しては、私も未来の五月ちゃんは悪くないと思うな」

 

未来五月「一花…………」

 

三玖「同じ状況下なら、私も似たようなことをしていたかもしれない……」

 

未来五月「三玖…………」

 

四葉「みんな、殺されちゃったんだもんね………。私はみんなが殺されちゃったら、何するか分からないよ……」

 

未来五月「四葉…………」

 

 

なんて出来すぎている姉達なのだろうか。私のせいで、人造人間の中で永遠に時を過ごす可能性があったというのに………。それでも、私を許すというのか……?

 

一花「五月ちゃんは頑張りすぎたんだよ。その証拠としてほら、鏡を見てごらん?」

 

一花は手鏡を未来五月に渡す。五月はそれを受け取り、自分の姿を見てみると………。

 

未来五月「………わぁ…」

 

痩せこけた顔。真っ黒にできた隈。お世辞にも健康と言える風貌ではなかった。

 

二乃「未来の私達のために、そんなになるまで苦労してくれたんでしょ?」

 

三玖「確かに、全部が全部褒められる行動ではないと思う。でも………」

 

四葉「そこまで五月が頑張ってくれたなら、きっと未来の私達も安心して眠っているんじゃないかな!」

 

未来五月「み、みんな…………」

 

 

私はひたすら泣いてしまった……。

 

年齢的には、この世界の姉達の方が歳下だ。でも、私は小さい末っ子のように、過去の姉達に泣きついてしまった。

 

 

………………あぁ……。私は、甘えられる相手が欲しかっただけなんだな……。だから、人造人間のモデルも母親にしたんだろうな……………。

 

 

人造人間の中で母が説教してくれたから、私は完全に正気を取り戻した。過去の姉達の励ましの言葉のおかげで、私は大いに救われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、ブルマが病院に到着し、零奈はCCに運ばれることになった。

 

ブルマ「あっ、そうだ!確か未来の悟飯君とトランクスも来てるんでしょ?せっかくだし私の家に泊まって来なさいよ!」

 

未来悟飯「すみません………。この子もいいですか?」

 

ブルマ「あれ?五月ちゃん…?にしてはやけに………。もしかして、未来の?」

 

未来五月「は、はい………」

 

ブルマ「そうなんだ!あなたが人造人間を造っちゃったっていう!全然いいわよ!」

 

こうして、未来組は一時的にCCに住むことになった。ブルマが運転してきた飛行機に零奈を乗せ、病院を後にした。

 

 

 

 

 

一花「あっ、そういえば聞いたよ?確か天国から、魂だけの本物のお母さんが来て人造人間の中に入ってんだよね?」

 

悟飯「ピッコロさんによればそうみたい」

 

二乃「…………ってことは、本物のお母さんが帰ってきたってこと………?」

 

悟飯「うん。でも、ごく一部の機械部分が原因で体調を崩しているみたい。これから未来の五月さんやブルマさんに見てもらうみたい……」

 

三玖「そう……なんだ」

 

四葉「お母さんが、帰ってきた……?」

 

五月以外は、零奈の魂が入った後の人造人間を見たことがない為、この事実を告げられても半信半疑であったが、ひとまず問題が解決したことには変わりないことは理解した。

 

「………っと、ここか」

 

悟飯「あれ?上杉君?」

 

どうやら風太郎もお見舞いに来たようだ。

 

四葉「う、上杉さん!?」

 

風太郎「どうやら俺の知らない間に大変な目にあっていたようだな……。大丈夫か?」

 

二乃「ええ。ハー君のお陰でね」

 

三玖「フータローこそ、大丈夫だったの?」

 

風太郎「俺は特に問題はない。少し外が騒がしいと感じた程度だ」

 

一花「それにしても、まさかフータロー君がお見舞いに来てくれるとは思わなかったよ!」

 

風太郎「何を言っているんだ?俺はバイトのついでに寄っただけだ」

 

四葉「えっ?でもあのケーキ屋から病院って、上杉さん家とは違う方向じゃあ…………」

 

風太郎「ついでだついで!生徒の心配をするのが教師の勤めだろう!」

 

風太郎は相変わらず素直じゃなかったが、五人を心配していることには変わりないようだ。そんな様子を見て、悟飯は微笑むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入院した4人の体調に問題がないことが確認されると、4人は退院を許可された。そしてあのアパートに戻ることになった。

 

五月「………孫君」

 

悟飯「うん?」

 

五月「……本当に、ありがとうございます……」

 

悟飯「…うん。なんとかなって良かったよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜………。

 

悟飯が二乃からメールを受け取り、デートの日程を取り決めている時のこと………。ブルマ家では…………。

 

未来悟飯「………そうか。やっぱりあの五人は知らないわけか…………」

 

トランクス「はい……」

 

 

未来悟飯とトランクスは、それぞれの世界で起きた出来事を確認し合っていた。

 

未来悟飯「だが、それ以外は殆どオレのところと変わらないみたいだな……」

 

トランクス「そうですね……」

 

未来悟飯「……なあ、トランクス。組手をしてみないか?」

 

トランクス「俺が悟飯さんとですか…?」

 

未来悟飯「ああ。お前がどれほど強くなったのか、確認してみたいんだ…」

 

トランクス「………分かりました。場所を変えましょう」

 

 

 

 

 

ブルマ「あらどうしたの?こんな夜遅くにお出かけ?」

 

未来悟飯「はい。すぐに戻りますので」

 

ブルマ「気をつけてね〜」

 

一方で、ブルマは未来五月と共に、人造人間の修復に取り掛かっていた。

 

ブルマ「それにしても、よく人造人間なんて造ることができたわね……」

 

未来五月「ええ……。あの時の私は正常じゃなかったので…………」

 

ブルマ「話は大体聞いてるわ。私も家族全員殺されちゃったら、おかしくなっちゃうかも………。だからあまり気にすることはないわよ!」

 

未来五月「ブルマさん…………」

 

ブルマ「それじゃ、あなたのお母さんの目を覚まさせてあげましょ?」

 

未来五月「……!はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカッッ!!!

 

超トランクス「はっ!」

 

 

ドカッッ!!!

 

超未来悟飯「ぐっ……!やるじゃないか!」

 

 

トランクスと未来悟飯は、西の都から遠く離れた荒野で組手をしていた。二人とも超サイヤ人に変身し、お互いに引けを取らない戦いが繰り広げられていた。

 

 

超トランクス「だだだだだっ!!!」

 

 

トランクスは未来悟飯目掛けて気弾の連射をする。未来悟飯はスラスラ避けて行くが、トランクスは相手の動きを予測しながら気弾を放つ。

 

ところが、未来悟飯もまたトランクスの癖は知っている。どう予想ささてどう撃ってくるかを予測しながら行動していた。

 

 

超トランクス「バーニングアタック!!」

 

 

カァァッ!!!

 

超未来悟飯「……!!」カッ‼︎

 

 

ドグォォオオオオオオオオン!!!

 

 

トランクスが放ったバーニングアタックは、未来悟飯の気合によって相殺された。

 

超トランクス「(いける!)」

 

 

トランクスはその隙に悟飯の背後を取った。これで勝てると確信をした。

 

 

 

 

 

 

バシッ!!

 

超トランクス「………!!!」

 

 

ところが、未来悟飯は直前に後ろに振り返り、トランクスの拳を受け止めた。

 

 

超トランクス「だりゃりゃりゃりゃ!!!!」

 

 

トランクスは相手が片腕であることを利用し、両腕を駆使する。未来悟飯も流石に片手だけではカバーしきれないところがあるのか、何発か拳が掠った。

 

超未来悟飯「やるなトランクス…!やっぱりオレの期待以上だ……!!」ブアン‼︎

 

 

超トランクス「………!!!」

 

未来悟飯もハンデを切り捨て、左腕部分に、左腕型の気の塊を生成する。

 

 

超未来悟飯「ここからは弟子だからといって手加減はしないぞ……!!」

 

超トランクス「はい………!!」

 

このトランクスにとっては、人生で最後となるであろう師匠との組手は、非常に充実した時間となった。

 

例え負けたとしても、トランクスは満足だった。もう二度と会うことすら叶わないと思っていた自分の師匠に、再び会うことができたのだから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トランクス「流石悟飯さんですね……。俺もかなり強くなったはずなのに……」

 

未来悟飯「いや、トランクスも相当腕を上げたな。こっちのトランクスは、まだ人造人間に勝てるかどうかも危ういからな。ここまで強くなってくれると分かれば、戻ったらまた鍛えてやらないとな………」

 

トランクス「そうしてやってください。向こうの俺も喜ぶと思います」

 

未来悟飯「ああ………」

 

こうして、時空を超えた師弟の組手は幕を閉じた…………。

 

 

 

 

 

 

 

未来悟飯「ただ今戻りました」

 

ブルマ「あらお帰り〜」

 

未来五月「お帰りなさい」

 

未来悟飯「さて、オレ達も風呂に入るか!」

 

トランクス(未来)「はい!!」

 

未来悟飯「ってあれ?五月、いつの間に…」

 

いつの間にか目の下に隈がなくなり、風太郎と姉妹が殺される前の女性らしい体つきに戻っていた。

 

ブルマ「さっきピッコロが来て、仙豆を渡してきたのよ。食わせてやれって」

 

未来悟飯「ピッコロさんが……」

 

どうやらピッコロが気にかけてくれたらしい。

 

 

 

 

風呂場に向かおうとした時、目の前にはベジータが立っていた。

 

トランクス(未来)「と、父さん……!」

 

ベジータ「久しぶりだな、トランクス」

 

未来悟飯「べ、ベジータさん……?」

 

ベジータ「…………お前が未来の悟飯とやらか。こっちの腑抜けと違って、随分頼もしい面をしているな」

 

トランクス「パパ〜!さっき攻撃当てられたから、遊園地に連れてってよ!」

 

ベジータ「分かった分かった。遊園地に連れて行ってやるから静かにしろ」

 

トランクス「やったー!!ってあれ?お兄さん達誰……?」

 

ブルマ「その人達はね、未来のトランクスと悟飯君よ」

 

トランクス「へっ…?未来の俺…?いやいや、そんなはずは…………」

 

ベジータ「本当のことだ。よく気を探ってみろ」

 

トランクス「…………マジですか」

 

トランクス(未来)「短い間だけど、よろしく!」

 

トランクス「は、はい……。よろしく…」

 

未来悟飯「そうか……。本当にこっちの世界は平和なようだな……」

 

未来悟飯は、自分の知らない年相応のトランクスを見て、改めてこちらの世界は平和なのだと認識した。それに加えて、ベジータが息子を遊園地に連れて行くなど、未来悟飯は想像することができなかった。

 

未来悟飯「あなた、本当にベジータさんなんですか………?」

 

ベジータ「何を言ってやがる?」

 

未来悟飯「………いえ、何も」

 

未来悟飯の認識では、ベジータは悪人という認識のままだった。一時共闘していたとはいえ、幼少期の印象がとても強かったからだ。そのベジータが、ここまで普通の地球によくいる父親のようなやり取りをしているのを見て、自然と頬が緩んだ。

 

ベジータ「なんだ貴様。気持ち悪いぞ」

 

未来悟飯「はは……。ごめんなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜遅くになった………。既に殆どの人が眠りについている中、ブルマと未来五月はまだ起きていた。

 

未来五月「………これでお母さんは目を覚ますはず……」

 

ブルマ「お疲れ〜……。私はお風呂に入ったら寝るわね」

 

未来五月「夜遅くまでありがとうございます……」

 

ブルマ「いいのよ!気にしないで!」

 

そう言うと、ブルマは欠伸をしながら風呂場に歩み出した。

 

未来五月「ふぁぁぁ………。しばらくすればお母さんは目を覚ますはず……」

 

未来五月は零奈に毛布を掛け、ソファに腰掛けてコーヒーを淹れる。コーヒーの味をゆっくり楽しんでいた。

 

未来五月「………………こうしてゆっくりするのはいつぶりだっけ………」

 

未来五月にとって、こうして平和なひと時を過ごすのは本当に久々だった。高校3年生の時、人造人間17号と18号が自分達の故郷を襲い、友達やクラスメイトの大半は死んでしまった。色々あってブルマの家に住み着いたが、数年すると17号と18号に風太郎と姉達4人が殺されてしまった。

 

その憎しみから人造人間零奈を生み出した。そのお陰で17号と18号は消え去った。だが、この世界に新たな脅威を生み出してしまったのもまた事実。母親の代わりにみんなを守ろうと誓ったのに、むしろみんなを危険に晒してしまった………。

 

未来五月「私、許されてもいいのかな……?」

 

私は取り返しのつかないことをしようとした。にも関わらず、あんなにすんなりと許されてしまってもいいのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

未来悟飯「いいんだよ。君はもう自由なんだよ」

 

未来五月「…………孫君。盗み聞きしていたんですか?」

 

未来悟飯「い、いや!そんなつもりじゃ………」

 

未来五月「………私は、今まで通り過ごしていいのでしょうか……?私は下手したら、17号や18号と同じことをしようとしていたのに…………」

 

未来悟飯「過ぎたことはもう考えなくていいんだよ。君は久々にお母さんと再会した時に叱られただろう?それで充分罪は償ったはずだ」

 

未来五月「でも…………」

 

未来悟飯「もういいんだよ。あんなに頑張る必要はないんだ……。君は姉妹の復讐鬼ではなく、中野五月という一人の人間に戻っていいんだよ」

 

未来五月「……それでも、私は私を許すことができません。この罪は一生をかけても償いきれるかどうか……」

 

未来悟飯「………なら、オレもその罪を背負おう」

 

未来五月「……孫君には関係ないはずでは?」

 

未来悟飯「違う。オレがもっと早く自分の力を引き出すことができれば、君の友達や姉妹は死ぬことはなかったんだ。だから、一緒に罪を背負おう」

 

未来五月「…それ、聞き様によってはプロポーズにも聞こえますが?」

 

未来悟飯「えっ?ええ!?いや、そんなつもりで言ったわけじゃ………」

 

未来五月は勇敢な戦士としての悟飯しか見たことがない為、こんなに慌てふためく悟飯は初めて見た。もしかしたら、これが本来の孫悟飯という人間なのかもしれない…。戦いが長い間続いていたから、戦士としての仮面が外れなかったのかもしれない。

 

ようやく、戦いは終わったのだ。悟飯は戦いという地獄から、ようやく解放されたのだ。

 

未来五月「…………孫君って、恋をしたことはありますか?」

 

未来悟飯「………考えたこともなかったな。戦いばっかりだったからさ……」

 

未来五月「なら、これからは恋のことについても勉強しないとですね」

 

未来悟飯「ははは……。でももうオレは27歳か……?随分歳を取っちまったなぁ……」

 

正確には、精神と時の部屋に1年間入っていたので、28歳である。

 

未来五月「それを言ったら私もですよ……。この歳にもなると、中々いい相手が見つけられませんよ」

 

未来悟飯「そっか……。確か、五月は風太郎のことが………」

 

未来五月「ええ。確かに好きでしたよ。でもとっくにその気持ちに決着はつけられています。平和に戻ったことですし、そろそろ新しい恋を始めてしまおうかと………」

 

未来悟飯「そうか……。頑張れ!」

 

未来五月「ええ。頑張ります。あなたを必ずや、私の旦那さんにしてみせます」

 

未来悟飯「おう!…………えっ?」

 

未来五月「私はあなたにどれほど救われたか、分かってないでしょう…?今にして思えば、助けて頂いたあの日からあなたのことが気になっていたのかもしれません」

 

未来悟飯「い、五月?」

 

未来五月「そして、あなたは将来の夢を捨ててまで戦士になったそうじゃないですか……。不本意に戦いに参加させられているあなたを見て、少しでも力になりたかった………。だからブルマさんの元で科学者になり、タイムマシンをいち早く完成させようと奮起しました………」

 

未来悟飯「………」

 

未来五月「ですが、その途中で姉妹と上杉君が殺され、私の心は壊れました。そこからお母さんをモデルにした人造人間を生み出してしまったわけですが……………」

 

悟飯は五月が真剣な話をしていることを察すると、ただただ静かに聞いていた。

 

未来五月「私はとんでもない誤ちを犯したにも関わらず、孫君は許してくれた。一緒に罪を背負うと言ってくれた……。私はあなたに救われました。きっと孫君のあの言葉がなければ、私は今頃………………」

 

未来悟飯「五月…………」

 

未来五月「ねえ孫君。今日は綺麗な満月ですね?」

 

未来悟飯「…………ああ。そうだね。だけど本当にいいのかい?」

 

未来五月「それが聞きたいのは私の方です」

 

未来悟飯「…………オレなんかで良ければ…………」

 

未来五月「………ええ。末永くよろしくお願いしますね!」タッ

 

未来悟飯「………!!」

 

 

まん丸の綺麗な満月が夜空を照らす日に、二人の影が重なった。

 

 

未来悟飯「い、いきなり…!?///」

 

未来五月「さあ、もう寝ましょう。孫君も連日の戦いで疲れているでしょう?」

 

未来悟飯「……あ、ああ…………」

 

本来なら生まれなかったであろうカップルが、この瞬間をもってして誕生した。

 




 これにて今度こそ人造人間零奈編は終了です。まだ未来悟飯と未来五月は帰っていませんが、これはもう終わりということでいいでしょう。未来悟飯と未来五月は、零奈が意識を取り戻すまでは残るつもりです。

 ここでそろそろ花嫁を決定しようかと思ってきたところです。本編で明確に判明するのは、恐らく原作同様に学園祭の時になると思いますけどね。まあもしかしたら悟飯だけ変わる可能性もなくはないですが……。そして悟飯の花嫁になる伏線を実はチラホラばら撒いてたりするんですよね。

 まずは五月。見ての通り、正ヒロインっぷりを披露しているというのと、悟飯が一番最初に恋愛を意識するようになった相手というのと、未来悟飯と未来五月が結ばれたという点。あとはクラスメイトに付き合っているのではないかと噂されている点。これが五月の伏線です。

 次に二乃。二乃は悟飯と共に鐘キスをしています。これは原作のことを考慮すると、最も有力な伏線になっていると考えている人は多いでしょう。あとは二乃の料理を悟飯が無茶苦茶気に入っている点。

 最後に三玖。三玖は伏線としては他の二人に比べたら薄いですが、お爺ちゃんに関係を勘違いされていた点です。三玖が一番可能性低くないか……?と考える人は多いでしょうが、伏線が少ないからと言って三玖が選ばれないとは限りません。しかも三玖は原作通りに料理学校に通うことになれば、二乃程とまではいかなくとも、上手になるのは決まってます。そして三玖は原作よりも積極性が増していますからね。これから何を仕掛けてくるか分かりませんよ?

 というように、誰を花嫁にしても違和感がないように伏線をばら撒いてます。まあ我らがねぎ大先生に比べたら安直な伏線だったり、拝借したものもありますけどね。現時点では誰が花嫁になると思いますか?ちなみに私はまだ決めていません(オイコラ)。でもそろそろ決めると思います。多分ね……。
 ちなみに本編ではハーレムエンドはあり得ませんのでご留意を。ifストーリーの方ではちゃんと書くつもりです。

 無茶苦茶長い後書きになりましたが、次回は二乃とのデート回になります。ただ平穏にデートが終わるのか、はたまた何かが、またはナニかが起こるのか…?それは次回のお楽しみに。

 ちなみにですが、前から言っていた第22話IF(R-18)をpixivにて投稿しました。興味のある方はぜひ。

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17525005
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