孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】 作:Miurand
突如五つ子アパートに訪問してきたマルオが武田を連れてきたかと思うと、なんと風太郎の代わりに家庭教師をしてもらうと提案してきた。これは風太郎の成績が下がってしまったことが原因だ。
無論、五つ子と悟飯は反対するが、武田が風太郎の為に解放してくれ。五つ子が風太郎の足枷になっており、このままでは風太郎だけでなく、悟飯までもが凡人に成り下がってしまうと、五つ子を貶すような言動をした。
今まで身近で五つ子が努力している姿を見てきた悟飯にとって、これは聞き捨てならない言葉であった。悟飯は武田に対して一言怒ると同時に、マルオの行動にも怒りを小爆発させる状況になるも、風太郎が仲裁に入り、風太郎は全国模試で10位以内、悟飯は全科目満点というノルマが課され、風太郎&悟飯と五つ子の家庭教師陣営vsマルオと武田のボンボンコミュニティ陣営という形で新川中島の戦いとも言える模試戦争が、幕を開けたのであった………。
一花が出演した映画の試写会がそれなりに大々的に報道されたことにより、クラスメイトにも一花が女優であることを認識され、物珍しさからか、一日中引っ張りだこであった。
四葉「おーい、一花〜!図書室に先に行ってるね!」
一花「あっ、私も………」
「えー!もっと話聞きたいな!」
「もうちょっといいでしょ?」
「例えば、有名人に会ったとか……」
一花「………ごめん!」
「待って一花ちゃん!」
一花は長くなる予感がし、隙をついて駆け出すも、クラスメイトが追いかけてくる。そのクラスメイトを撒く為に三玖に変装してやり過ごした。一花はクラスメイトに心の中で謝罪した。
風太郎「……お前、まだここにいたのか。早く行くぞ、三玖」
一花「あっ、ごめん、私………」
風太郎「もう公開とか早えよな」
一花「……えっ?何が?」
風太郎「一花の映画の話。お前が昨日教えてくれたんだろう?」
一花「……(そっか。あれからいろいろあったもんね……。きっと私だけじゃなくて、みんなとも………。私のことだけ、なんていかないか…………)」
一花はやはり他の姉妹の話をしてほしくないと思ってしまう。四葉以外は風太郎に対しては想いを寄せてないとしてもだ。どうやら一花は姉妹の中でも独占欲が強い方らしい。
『好きにしなよ!』
三玖が昔そんなことを言っていた気がする。
『蹴落としてでも叶えたい……』
二乃がそんなことを言っていた気がする。
一花はやはり自分は狡くて卑怯だと思いつつも、もう手段を選んでいる場合ではない気がしてきた。
自分のことを意識してほしい……。自分だけ見てほしい……。そんな想いが溢れ出してきた。
一花「フータローく…フータロー…!」
風太郎「なんだ?」
一花「教えてあげる。一花、フータローのこと好きだよ」
風太郎「!?ッ」
突然の告白に、風太郎は頭が真っ白になってしまう。
一花「凄くお似合いだと思う…。私、応援するね!」
風太郎「………それ、本当なのか?」
一花「うん。嘘じゃないよ」
一花は三玖の格好をしたまま風太郎に告白した。これは一歩間違えればとんでもない行為だ。もし三玖が風太郎に想いを寄せていたとしたら三玖の恋路を阻むことになる。三玖が悟飯に想いを寄せているから良かったが、一歩間違えたら後戻りができない可能性があった。
風太郎「…………そうか。やはりか…」
一花「………ふぇ…?やはりって……?ど、どういうこと…!?///」
突然の不意打ちに、一花は顔を紅く染めてしまうが、三玖として風太郎に問い続ける。
風太郎「………だから、一花が俺に好意を持ってくれていることだ……。恥ずかしいこと言わせんな…………」
一花「嘘……。あのフータローが………」
風太郎「……まあ、色々あったんだよ……」
『私を見つけてくれてありがとう…!』
旅行最終日のあの日、偽五月の正体が一花だと看破した時のことを風太郎は思い出していた。正体を見破ったら、一花は風太郎に飛びつき抱きついてきた。今日の朝のコーヒーや、登校時にやたらとエンカウントすることも含め、風太郎はひょっとして、一花は俺に好意があるのではないか…?とひそかに考えるようになっていたのだ。
風太郎「だが三玖。何故お前がそれを伝える?こういうのは本人が言うべきことなんじゃないのか?勝手にバラしちまっていいのか?」
一花「そ、それは………その…………」
風太郎「……ん?待て、お前………。ひょっとして一花か?」
一花「えっ?な、何を言ってるのフータロー君…!!私は三玖だよ!!」
風太郎「おい、今"フータロー君"って………」
一花「き、気のせいじゃない…?今日のフータローなんか変だよ?そ、そうだ!喉乾いてきたから抹茶ソーダ買いに行こうかな…!!またね、フータロー!」
風太郎「お、おい待て…!まだ話は…!!」
一花はこれ以上ボロを出さない為に逃げる様に駆け出していった。
風太郎「……抹茶ソーダを買うからやっぱり三玖…?いやでも、……やっぱ分かんねえ…………」
全国模試を控えている重要な時期に、風太郎は悩みの種を抱えてしまった。
一花は帰宅後、風呂場の中で姉妹グループL○NEにあるメッセージを送る。その内容を要約すると、『風太郎に迷惑かけない為に、誕生日プレゼントの話は一旦なしにしよう』とのことだった。
翌日……。風太郎は昨日の告白に頭を悩まされるもの、模試勉強と勉強会は欠かすことはなかった。というか………。
悟飯「そろそろ休憩にしようか!」
悟飯は武田の宣戦布告以来、やたらと家庭教師に力を入れるようになった。その姿は風太郎が引いてしまうほど。しかもみんなが休憩している時は模試勉強をしている始末。体力も化け物な悟飯だからこそできる異業である。
四葉「つかれた〜………」
一花「五月ちゃんは?」
三玖「用事があるって言ってた」
四葉「上杉さん、ここの問題ですけど………上杉さん?」
四葉は悟飯が自分の勉強に熱中し始めた様子を見ると、風太郎に質問しようとするが、その風太郎はどこかうわの空だった。
風太郎「悪い。少し外の空気を吸ってくる」
三玖「フータロー?」
風太郎「三玖か……」
風太郎のことが心配になった三玖が追いかけてきたようだ。風太郎は三玖と2人きりになったこの状況で、思い切って先日のことを聞こうとする。
風太郎「昨日のことなんだが……」
三玖「明後日のことだけど………」
だが、どうやら聞きたいことがあったのは風太郎だけではなかったようだ。
風太郎「えっ?なんだ?」
三玖「フータローこそ………」
風太郎「お、俺は………」
一花「2人で何の話をしてるの?」
ここで、まるで狙ったかのようなタイミングで一花が現れたことにより、三玖に対して質問ができなくなってしまった。
一花「ん?」
風太郎「………なんでもいいだろ」
三玖「フータロー、大丈夫かな?」
一花「大丈夫だよ。私達にできることは、少しでも負担を減らしてあげること……。だから誕生日のことは一旦忘れよ?」
三玖「………うん」
一花「……(これで私だけがフータロー君に渡せば、効果的になるはず…)」
一花は四人を出し抜いて自分だけプレゼントを渡そうと計画していたようだ。一花は再び図書室に戻ろうとすると、何やら買い物を済ませてきた二乃が目の前に現れる。
二乃「迷ってたら遅れちゃったわ……。あいつになんて言われるかしら………」
一花「に、二乃…?それ、なに……?」
二乃「これ?疲労回復効果のあるアロマよ。もうあいつの誕生日だし………。って、当日までの秘密だったわ……」
一花は状況を理解するのに時間がかかった。二乃は確かに暴走機関車だが、それは風太郎に対してではなく、悟飯に対してのみだ。プレゼントは中止と釘を刺したのにも関わらず、二乃が風太郎に対してのプレゼントを用意したことに動揺を隠せなかった。
一花「昨日のメッセージ見た…?」
二乃「ああ、あれね。でもあげたいものはあげたいわ。バイト先で色々お世話になったし………。それに…………」
一花「それに……?」
二乃「ハー君の好みとかさりげなく教えてくれたしね」
一花「(そこかぁ……)」
どうやら風太郎は恋愛的に二乃の手助けをしているようで、二乃はそれについても感謝をしたいようだ。
二乃「で、どうせあんたもプレゼント用意してるんでしょ?」
一花「……………」
一花はこれ以上隠しても無駄だと思い、懐からギフトカードを取り出す。
二乃「………もしかして、一人だけプレゼントを渡せば効果絶大ってのを狙ってたのかしら……?って待って?それをあいつに対してやるってことは、一花、あいつのこと好きなの…!?」
一花「………うん。大好き」
二乃「えっ?ちょ………マジ?」
一花は二乃から驚かれるが、気にすることなく続ける。
一花「…二乃はさ、悟飯君が大好きなんだよね?」
一花は念の為に二乃に確認を取る。普段は悟飯にグイグイアタックしているが、わざわざ遅れてまで風太郎の誕生日プレゼントを選んでいたとなれば、警戒してしまっても仕方のないことだ。
二乃「ええそうよ。私だけじゃない。五月と三玖もよ…。こっちはライバルが多くて大変だわ」
しかし、二乃は好きな人には一直線で一途なタイプ。揺らぐことはない。
一花「それについては私も同感かな。みんな"こっち側"じゃなくて安心しているよ」
二乃「気楽でいいわね。そっちはライバルがいないから」
一花「それがそうでもないんだけどね……」
二乃「………?」
二乃は一花の言っていることの意味がいまいち理解できず、首を傾げる。
確かに、一花にとって明確なライバルというのは存在しない。だが、恋愛に敏感な四葉が本格的に動き出すとなると、一花にとってはとんでもない脅威となる可能性がある。
それだけでない。姉妹以外にも風太郎の魅力に気づいた女子が出てきた時は……
二乃「……まっ、いいんじゃない?私はあんたの恋を応援するわ」
一花「あれ?意外だね……。二乃なら男の趣味が悪いとか言いそうなのに……」
二乃「私をなんだと思ってるのよ……。私も上杉と結構関わってきたから、あいつがどんな人なのかは一応理解しているつもりよ……。少なくとも、誰かを泣かすようなやつじゃないってことはね」
二乃も風太郎と深く関わってきたためか、最初の頃のように拒絶するようなことはなくなり、家庭教師としてか、友人としてかは不明だが、彼を認めているようだ。
二乃「………でもさ、ギフトカードってどうなのよ……?」
一花「これなら好きな物を買えるじゃん。二乃だって男の子のプレゼントにアロマはどうかと思うけど………」
二乃「さっきも言ったけどこれには疲労回復効果もあるのよ。最近あいつ疲れてるでしょうし、丁度いいでしょ?にしても本当に意外だわ……。あいつのどこが気に入ったのよ?」
一花「フータロー君って無愛想でノーデリカシーに見えるし、実際そうなんだけど、たまに見せる優しさとか……、頑張ってる姿とか……。そういうところを見て、だんだん……って、恥ずかしい話させないでよ…!!」
二乃「この程度で恥ずかしがってちゃ、いつ告白できる分からないわね」
一花「痛いところ突くなぁ……」
一花も先程告白した。と言っても、三玖に成りすまして伝えたので、それが告白としてカウントされればの話ではあるが………。
二乃「………そういえば、5月8日はハー君の誕生日っぽいのよね……。その時の誕生日プレゼントも考えないと……」
一花「私達の三日後かぁ…。随分近い日だね」
二乃「もうこれは運命なんじゃないかしら?やっぱりハー君は私と結ばれる運命に………」
一花「いや、誕生日の近さで言ったら五月ちゃんが一番近いんじゃ…?」
二乃「あーあー、聞こえない」
二人はそんな会話をしながら図書館に辿り着く。すると、三玖と四葉が席に座っていたのだが、四葉が何か作業をしていた。手の動きから、勉強をしているわけではなさそうだ。
二乃「四葉、何してんのよ?」
四葉「千羽鶴を作ってるんだ!休憩中に上杉さんの試験合格を願って作ろうかと思って!」
一花「それ、病気の人にあげるやつじゃなかったっけ?」
二乃「ま、まあ、幸運の効果はあるって聞くし……………」
四葉「上杉さん、あれからずっと疲れてるように見えるんだ。言わないだけで私達に教えながらってのが凄い負担になってるんだよ。だからせめて体を壊さないように…………」
二乃「でもプレゼント中止って……」
四葉「あっ…………。ごめーん!そんなつもりじゃなかったんだー!!」
四葉は泣き叫びながら謝罪をするが、ここは図書館。二人はそんなことはいいからと、四葉を静かにさせようとするが…………。
四葉「これじゃあ私がズルしてたみたいだもん!!約束を破るなんて、人として最低だ〜!!!!」
四葉のこの言葉は自分自身に対して言った言葉なのだが、四葉以外にもダメージを受けた者がいたとかいないとか…………。
三玖「ごめん…!!これ、スポーツジムのペア券!一緒にトレーニングしようと思って………。抜け駆けしてごめん!」
どうやら三玖も風太郎にプレゼントを渡すつもりのようだった。考えていることが変わらないのが、流石五つ子というところだろうか。
一花「じゃあこうしよう。やっぱり模試前に渡すのは勉強の妨げになっちゃうから、この模試をフータロー君が無事乗り越えたらみんなで渡そ」
四葉「うん!」
三玖「それがいい」
二乃「……ちょっと、一花はそれでいいの?」
二乃は一花に小声で聞く。
一花「うん。みんなフータロー君のこと分かってないよ。全員で一斉に渡しても、私のを一番に喜んでくれるに決まっている」
二乃「………随分自信満々ね…」
三玖「じゃあ当日は何もなしか………」
四葉「じゃあこんなのはどうかな!」
4月15日。この日は風太郎の誕生日である。だが風太郎本人はそんなことも忘れて夜遅くまで、図書館で勉強に身を投じていた。
悟飯「………上杉君、大丈夫?」
風太郎「……?あ、ああ………」
悟飯「最近寝てないんじゃない?ちゃんと寝ないと体壊すよ?」
風太郎「ダメだ…。あいつらが足枷じゃないってことを証明しねえと……」
風太郎だけでなく、悟飯も夜遅くまで残って勉強していた。
五月「こんな時間まで自習だなんて…。ご苦労様です。差し入れです」
悟飯「あっ、五月さんこんばんわ!」
五月「こんばんわ」
図書館に現れた五月は風太郎のそばに栄養ドリンクを置く。風太郎はそれを受け取り、すぐに開封して飲用する。
風太郎「何言ってんだ。苦労なんてしてねえ。俺を誰だと思ってやがる」
五月「……先日、塾講師をされている下田さんという方の元へと出向いてまいりました。バイトと言えるのかは分かりませんが、下田さんのお手伝いをしながら更なる学力向上を目指します」
風太郎「……俺達じゃ力不足か?」
五月「拗ねないで下さい。そうじゃありませんよ。模試の先、卒業の先の夢の為に教育の現場を見ておきたいのです」
悟飯「夢……?」
風太郎「お前らのやることは本当に予測不能だ。新学年になってから、四葉も二乃も、一花ときて…………三玖も…………」
五月「……?何かあったので…………」
風太郎「…………」スピー
五月「寝てる!?」
悟飯「あはは……。ちゃんと寝ないから………」
五月「全く…。体調を崩してしまったら元も子もないというのに………」
悟飯「……そういえば五月さん。夢って………?」
五月「ああ……。孫君にはまだお話していませんでしたね。私は将来教師になりたいんです。母のような教師に……」
悟飯「そうだったんだ…。初めて知ったなぁ…………。って、何してるの?千羽鶴…?」
五月が突然千羽鶴を置いていくので、悟飯は疑問に思って五月に聞く。
五月「これは上杉君の誕生日プレゼントです。本当はちゃんとしたものを渡したいのですが、模試前に渡してしまうと迷惑かと思いまして………」
悟飯「なるほどね……。でも千羽鶴って病気の人にあげるものじゃ………?」
五月「それがですね、ただの千羽鶴じゃないんですよ?実はですね……………………」
風太郎「……?いつの間に…………」
風太郎はいつの間にか寝てしまったことを把握すると、携帯電話を取り出して時間の確認をしようとすると、らいはからメールが届いていることに気付いた。家で誕生日会の準備をしているから待っているとのことだ。
風太郎「……そっか。今日だったな。帰るか…………。……?」
荷物を片付けようと机に目を向けると、そこには五羽の千羽鶴があった。その千羽鶴から何やら文字のようなものが見えたので、気になって千羽鶴を広げてみると…………。
風太郎「………!!!」
なんと、その千羽鶴は模擬テストの解答用紙だった。しかも5人ともしっかり成績を上げていた。
風太郎「……………一人じゃない……か。あいつらも頑張ってるなら尚更負けられねえな…………」
試験当日。とうとうこの日が来た。風太郎&悟飯が武田と競う日が……。
五月「おはようございます……」
風太郎「ああ、おはよ………」
五月「いよいよ試験当日ですね……」
四葉「が、頑張りましょー…!!」
二乃「ってか、目の隈凄いわね……」
三玖「人のこと言えない」
一花「どう?全国十位いけそう?」
風太郎だけでなく、5人とも寝不足のようだった。どうやらみんな夜遅くまで勉強に身を投じていたようだ。家庭教師を始めたばかりの頃からは考えられない光景である。
風太郎「勿論だ……」
そんなやり取りをしてしばらく歩くと、武田と悟飯が何やら高校の昇降口前で話をしている。一体何を話しているのかと近づいてみると……。
武田「よく逃げずにここまで来たね!それはひとまず褒めておこう!だがしかし、君は後悔することになるだろう!あの時逃げておけばよかったと!!」
どうやら武田は悟飯に対して挑発?をしているようだ。武田にとって悟飯は越えるべき壁の一つだ。悟飯に対抗心を燃やしているのだろう。
悟飯「……その言葉。そっくりそのまま返すよ」
そして、普段の悟飯からは考えられないような言動。マジでどうしちゃったの…?と6人から思われているが、悟飯は気にすることはない。
武田「今日はいつにも増して強気だね…。普段の君からは想像できないね」
悟飯「あんなことを言われたら負けるわけにはいかないからね…………」
よくよく考えてみると、悟飯は人の為に勉強をしたのは初めてなのだ。学者になるという夢は母に影響されたとはいえ、自分自身の意思で決めたもの。勉強も基本的には自ら進んでやっていた。でもそれは自身の夢を実現させる為の勉強だった。家庭教師もその延長線上にあった。
だが、今回は違う。5人が足枷ではないことを証明する為だけに勉強をしてきた。何気に悟飯が人の為だけに勉強したのはこれが初である。
武田「おや?上杉君そこにいたのかい?ならさっきの話も聞こえていたはずだ。覚悟しておくように!!」
二乃「朝からうるさいわね………」
四葉「二人は負けません!!」
武田「君達には話していない!!」
武田の宣戦布告以来、悟飯も武田もキャラ崩壊していないかと若干心配になる6人だが、今は試験が最優先だ。そんな細かいことは気にしている場合ではない。
武田「上杉君!ここが僕と君の最終…」
風太郎「お前ら急げ。まだ開始まで時間がある。少しでも悪あがきしておくんだ」
しかし風太郎は武田に構うことなく昇降口へと向かっていく。
風太郎「悪いな。一騎討ちじゃないんだ。こっちには7人いるからな……」
武田「……ふふっ。それが君の弱ささ…」
全国統一模試が開始された。一科目である国語が終了した。
一花「フータロー君、顔色悪いけど大丈夫…?」
風太郎「き、気にすんな………」
恐らく風太郎の体調が悪いのは、連日重ねた寝不足もあるだろうが、本来なら勇也が飲むはずだった牛乳を飲んでしまったからだろう。勇也の胃は丈夫なので、賞味期限が1週間過ぎていても問題はないが、普通はそうならない。
その頃、武田はクラスメイトに戦績を聞かれていたが、『今回も武田がこの学校のトップで決まり』と言われ、全国でも上位を目指している武田にとってはそんな賛辞に近い言葉も、所詮は猿山の大将か…。という感想を抱かせるだけだった。
昼休みになった。悟飯はというと、昼ご飯を食べながら次の科目の勉強を熱心にしている様子。普段の悟飯でもここまで勉強しないので、心配になってしまう人が結構いたとか………。
だが、風太郎はトイレに篭りっきりで出てくる様子がないとのこと。そんな中で風太郎と武田があるやり取りをしたそうだが、その内容は本人達のみが知る…………。
試験は無事終了した。風太郎は最後の科目で突然倒れるように眠ってしまったようだ。これが響かなければいいが…。
江端「旦那様。先月行われた全国模試の結果が届きました」
マルオ「ご苦労」
江端「お嬢様方は個人差はあれど、前年より大幅に成績を伸ばしております。家庭教師という選択は結果的に大成功と言えるでしょう。勿論、お嬢様方の努力あってこそのことです。そして、武田様は全国8位の快挙でございます」
ここで、風太郎と悟飯のライバルである武田は全国8位。勝つ為にはこれ以上の順位を獲得している必要があるが、果たして…………?
江端「そして、惜しいことに、上杉風太郎様は………3位。旦那様には残念な報告となりますが、彼の宣言通りとなりました」
マルオ「………おかしな答案だね?前四科目はノーミスの満点。最後の科目のラスト数問だけ白紙で提出とは………」
江端「報告によれば、突然気を失うように寝てしまったと……。試験勉強で根を詰めすぎていたのかもしれません」
それはつまり、全問しっかり解いていたとしたら………………。
マルオ「…………まさかね」
江端「そして、孫悟飯様は…………」
武田「上杉風太郎…。孫悟飯……。彼らには悉く邪魔されてばかりだ。彼らと関わる度に僕の予定は狂わされる……。全く困ったものだよ…。
だがその覚悟、見事だ…………。孫君に至っては、まさか自ら課した無理難題を有言実行してしまうとはね…。君には完全に敗北したよ…………」
武田の言葉が意味すること…。それは、悟飯が全科目満点で全国1位の成績を獲得したことを意味していた。
武田「見事、という他ないね。君が10位以内に入ったとしても勝つつもりで臨んだ全国統一模試。8位というのは僕にとって願ってもない順位だ。それがまさかその上をいかれるとはね……。3位おめでとう。孫君に至っては全科目満点の1位……。本当に見事という他ないね。もうすぐ修学旅行だけど……」
風太郎「ちょっと待て。何故俺は昼間からお前とブランコを漕いでいるんだ?」
武田「ははっ。昨日の敵は今日の友。これが青春なのかもしれないね」
風太郎「帰る」
悟飯「いやいや上杉君、本来の目的を思い出して………」
風太郎は立ち漕ぎに切り替え、四葉との勤労感謝の日のデートの時のような失敗はせず、上手く跳ぶことに成功する。
武田「やるね。まあ焦るんじゃない。忘れたのかい?僕らは呼び出されたんだ。ほら、ご到着だ」
悟飯と風太郎は、武田と共にある人物を公園で待っていた。
マルオ「待たせてすまないね。まずは武田君。全国8位おめでとう。出来の良い息子を持ててお父さんも鼻が高いだろう。医師を目指していると聞いたよ。どうだろうか?君のような優秀な人材ならば僕の病院に…………」
武田「申し訳ございません…。大変光栄なお話ではありますが、僕の進路についてはもう少し考えたいと思っています」
マルオ「………そうかい。良い返事を期待しているよ。それから上杉君」
風太郎「はい」
マルオ「君に家庭教師の仕事を再度頼みたい」
風太郎「えっ…………」
マルオ「報酬は相場の5倍。アットホームで楽しい職場だ」
風太郎「よーく知ってます………」
マルオ「また君に依頼するのは正直不本意だ。本来ならプロでさえ手に余る仕事……だが、君達にしかできないらしい。やるかい?」
風太郎はこの提案を了承する以外の選択肢はない。既に無給状態で教えているのだから、それが給料ありとなればいい事づくめだ。
風太郎「勿論!言われなくてもやるつもりだったんだ。給料がもらえるなら願ったり叶ったりですよ!」
マルオ「それは良かった。では当初の予定通り卒業まで………」
風太郎「あっ、そのことで一つお伝えしたいことがあります。成績だけで言えば、あいつらはもう卒業までいける力を身につけています」
マルオ「頼もしいね」
風太郎「……だけど、五月の話と…………こいつ…武田の話を聞いて思い直しました。次の道を見つけてこその卒業。俺はあいつらの夢を見つけてやりたい…」
マルオ「……随分な変わりようだ。就任直後の流されるまま嫌々こなしていた君とはね」
風太郎「し、知っていたんですか………」
マルオ「どのような方針を取ろうが自由だ。間違っているとも思わないしね。だが忘れないでほしい……」
先程までの比較的和やかな雰囲気から一変し、マルオは険しい表情になり、禍々しいオーラを放ちながら風太郎に告げる。
マルオ「君はあくまでも家庭教師。娘達には紳士的に接してくれると信じているよ……………」
風太郎「も、勿論一線を引いてます!俺は!俺はね!!」
風太郎は、一応マルオが娘の心配をしていることはよく理解した。不器用ながらも父親としての責務を果たそうと努力しているらしい。
マルオ「………そして最後に孫君。君も宣言通りに全国一位……。それも全科目満点を獲得してきたわけだ……。君のお母さんも鼻が高いだろう」
悟飯「……では、僕のお願い、聞いてもらえますね?」
マルオ「勿論だ。君に言われずとも、いつかはどうにかしなければならないと考えていた。きっかけを与えてくれた君には感謝するよ………」
そう言うと、マルオは悟飯に頭を下げた。
悟飯「や、やめて下さい!流石にそこまではしなくても!!そもそも、あの時の僕は少々苛立ってただけと言いますか…………」
マルオ「……だが、すぐに君の願いを聞いてあげることはできない。僕は娘達とどう接すればいいか分からないんだ……。住む場所…。必要なお金は用意してきたとはいえ、今まで娘達を放ったらかしにしてきたというのに、今更どう関わればいいのか…………。僕には分からないんだ…………。だから、少しだけ待ってほしい…………」
これはマルオにとっては複雑な問題であった。そもそもマルオと五つ子は血が繋がっていない。そこも複雑な問題を更に複雑化している要因だろう。
悟飯「…………分かりました」
マルオ「あと、こちらからもお願いなのだが…………」
マルオは春休みの旅行の帰り、船の上での出来事を思い出しながら悟飯に頼み事をする。
マルオ「できるだけ、娘達には紳士的に接してほしい………」
悟飯「あはは………。分かりました……」
これに関しては、悟飯もマルオも実質お手上げ状態であった。ここで風太郎もその問題に加わるとなると、マルオが連日頭痛に襲われる未来が容易に想像できてしまうが、もしかするとそうなる可能性もあるので……。風太郎にはなんとか頑張って欲しいものである(無茶振り)。
こうして、新川中島の戦いとも言える模試戦争は、悟飯と風太郎側家庭教師陣営が勝利を納め、マルオと武田とも本格的に和解をして、幕を閉じた……。
はい。風太郎と武田は原作通りです。悟飯はいつも以上に力を出したので、順調に全科目満点で一位に君臨しました。マルオも元から五つ子との関係をどうにかしたいと考えていたようで、きっかけを与えてくれた悟飯には感謝すると言っていましたが、風太郎と悟飯の2人に同じ内容で説教されたことによって、ようやく重い腰が上がったと言ったところですね。マルオ本人は、医師なのに零奈を救えなかったから五つ子に顔を合わせづらいのかもしれませんね。
武田とも本格的に和解し、悟飯と武田の関係は模試前よりも深いものとなり、風太郎にはようやく認知されたという状況です。
一花お姉さんは原作通り、三玖に変装して風太郎に告白します。今回は三玖が悟飯に好意を向けていたため、大した事にはなりませんでした。とはいえ、旅行最終日に一花は風太郎に飛びついているので、風太郎にも好意がバレかけています。その為風太郎も薄々気付いていました。風太郎ってラブコメの主人公にしては意外と鈍感じゃないですよね。
あと、悟飯の誕生日に関しては5月8日ということにしてあります。公式ではいつ誕生したのかは明言されてなかったはずですので……。
喪失感が半端ないです…。特に映画のEDの『ありがとうの花』を聞くと凄いですよ……。ごと嫁終わっちゃうんだなぁ……って。ドラゴンボールの方でも、GTの4番目?のEDも喪失感凄いですよね。あれ?私だけかなそう感じるの?『錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう』で合ってるかな?これもドラゴンボールの終わりって感じがしますよね〜……。
あと、ドラゴンボールにも五等分の花嫁にも合いそうな歌があることに気付きました。『Blue Velvet』ですね。皆さんはGTのEDのイメージが強いと思いますけど、歌詞をよく聞くとごと嫁にも合いそうだなぁ…って感じました。ごと嫁というよりは、恋愛系には全部合いそうですけどね。「DAN DAN心惹かれていく」も歌詞は恋愛系に合いそうですけど、GTのイメージが強すぎるんですよねぇ…w
そういえば、映画効果かは分かりませんけど、お気に入りがまたジワジワ伸び始めました。ありがとうございます。ここまで来たら555件に到達したいところですね。
ちなみに前回の悟飯の激怒シーンですが、もしかしたら修正するかもしれません。静かに怒る方があの場には合ってたような気がするので……。
後書き長すぎ笑