孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】 作:Miurand
試写会の影響で引っ張りだこになっていた一花は、クラスメイトの目を欺く為に三玖に変装してやり過ごしたが、そこに丁度風太郎が……。偶然に偶然が重なり、一花は三玖の格好をしたまま風太郎に告白するが、風太郎に正体が看破されそうになったので逃亡。
5人で風太郎の誕生日プレゼントを渡すかどうかについては、模擬試験の採点済みの解答用紙を使って千羽鶴にし、本物のプレゼントは後で渡すという形になった。
そして、風太郎は全国3位、悟飯は全国1位で、しかも全科目満点という功績を残し、風太郎は家庭教師として本格的に復帰し、悟飯達は五つ子が足枷ではないことを見事に証明してみせた。
第58話 班決め
マルオ&武田と和解した悟飯と風太郎は、車で五つ子の住むアパートまで送ってもらった。
五月「えっ……?今、乗ってきたのお父さんの車じゃ…………」
そこに丁度五月と鉢合わせになった。
風太郎「まあ………家庭教師復帰できることになった」
五月「……!!」
その報告を聞き、五月は出会った頃からは想像もできない笑顔になる。
五月「功績が認められたのですね!おめでとうござい………ってあれ!?何故避けるのですか!?」
風太郎はマルオに言われた距離感を意識しており、一花の件もあって余計慎重になっていた。
五月「………お父さんに何か言われたのですか?」
悟飯「あはは…。娘達には紳士的に接してほしいって言われたから、その影響だと思う………」
五月「なるほど……」
悟飯「ということで、五月さんももう少し控え……「無理です」」
風太郎は紳士的に接することはできても、悟飯はその娘達から迫られ過ぎて不可能なお願いかもしれない……。
四葉「あっ!上杉さんに孫さん、いらっしゃい!」
一花「やっと来た〜」
二乃「遅いじゃないのよ」
風太郎「うおっ!?なんだこれ!?」
風太郎が家に入ると、部屋中にやたらと荷物が溢れていた。
四葉「生活も落ち着いてきたので、大掃除をしていたんです!」
風太郎「試験の反省会をする予定じゃ………」
二乃「ねえ!アロマ使った!?」
二乃は風太郎の言葉を遮る……。というよりは、誤魔化すように尋ねる。
風太郎「えっ?」
二乃「ほら、あげたじゃない!誕生日プレゼント!」
風太郎「あ〜……。アロマな!ふんふんアロマね。人を選ぶが俺はうまいと思うぜ!」
どうやら風太郎はアロマを何かの食べ物と勘違いしているようだが、食べたら恐らくお腹を壊すだろう。
二乃「絶対分からなかったでしょ…。今度使い方を教えてあげるからしっかり使いなさいよ」
一花「フータロー君、私のプレゼントだけど………」
風太郎「ああ………。なんかお前だけ変だったな。あれで買い物しろってことか?」
一花「うん。あれでらいはちゃんの好きな物買ってあげたら喜んでくれるんじゃないかな?」
風太郎「最高!!マジで助かる!ありがとな!一花!!」
風太郎は家のことを任せているらいはに好きなものを買えるということで大喜び。一花は器用なだけあって策士である。
二乃「…………なるほどね……。それなら確かに大喜びだわ…」
四葉「私の贈り物はどうでしたー?」
風太郎「ああ。お前よくあんなに……」
どうやら風太郎は四葉から大量の何かをもらったらしい。何を貰ったかまでは不明だが……。この前の話からして、四葉は千羽鶴を贈った可能性が高いが果たして…………?
風太郎「………あ〜……。今日はもう勉強もできなそうだし、帰るか」
悟飯「えっ?どうしたの?」
一花「もう少しくらいゆっくりしていったら?」
四葉「そうですよー!」
だが風太郎は足早に部屋を退出する。それに何か異変を感じた悟飯も風太郎を追うように退出する。
悟飯「上杉君、どうしたの?やっぱりマルオさんに言われたことを気にしてる?」
風太郎「いや〜……。まあ確かにそうなんだが………。てかお前の方が気にするべきだろ?」
悟飯「おっしゃる通りです………」
風太郎の正論にぐうの音も出ない悟飯。しかしマルオに言われただけで風太郎がここまで態度を変えるのはやはり変だと思い、悟飯が質問をしようとしたその時であった………。
五月「………隠し事の匂いがします」
五月がこっそり扉を開けて風太郎を睨んでいた。
風太郎「怖えよ。てか五月か…。何の用だ?」
五月「ビンと来ました。あなた、私に何か隠していませんか?」
風太郎「い、いや?何も隠していないが?」
五月「………」ムムムッ
五月は納得のいく返答を得られなかった為、頬を膨らませながら風太郎を睨み続ける。だがその姿は威嚇どころか相手に癒しを与えるだけだ。相手が風太郎でなければの話だが……。
そんな五月の様子を見て、なんか小動物みたいだなんて感想を抱いたもう一人の家庭教師もいるとかいないとか………。
五月「ではこうしましょう!あなたの隠し事を話してくれたら私も一つお話ししましょう!」
悟飯「あー……」
悟飯は恐らく有名レビュワーとしての五月のことが秘密なのだろうと予測する。悟飯には既にバレかけている。何なら二乃と風太郎にもほぼバレている。
風太郎「いや、別に聞きたくないんだけど………」
五月「なっ!いいじゃないですか!!もう黙っていられないのです…。こうでもしないと言えません………」
風太郎「そこに悟飯がいるがいいのか?」
五月「孫君にならどんな秘密だろうと喜んで教えます!なんなら私のほくろの「分かった。お前がどうしようもない変態なのは分かったからそれ以上は言うな」」
五月「なっ!?失礼ですね!!」
悟飯は何故五月が変態扱いされているのか理解できていないが、風太郎はいい機会かと思い、五月と悟飯に秘密を打ち明けた。
風太郎「言っとくが引くなよ?」
五月「ええ!」
風太郎「俺にもモテ期が来た」
五月「うわぁ…………」
引くなと言われておきながら、思いっきり五月が引いているが、それはひとまず置いといて風太郎は話を進める。
風太郎「驚くのはまだ早い。相手はあの一花だ」
五月「えっ…?一花?四葉じゃなくて…?」
風太郎「何でそこに四葉が出てくるんだ?四葉には寧ろ応援していると言われるし、三玖からもそう言われるし…」
五月「三玖と四葉が応援……?」
悟飯「あれ?じゃあ一花さんが告白してきたの?」
風太郎「いや、そうじゃ………いや、どうだろうな」
悟飯「えっ?」
五月「どういうことですか?」
風太郎「おい待て。いつまで俺のターンが続くんだ。俺はめちゃくちゃ恥ずかしいことを言ったぞ。それ相応のものを早くよこせ」
五月「は、はい!実は私は……もう一つの顔があるのです」
風太郎「……!!」
悟飯「もう一つの顔?」
五月「はい。実は私が………!!!」
ガチャ
四葉「私が五月を探してくるよ!ってあれ?上杉さんと孫さん?まだいたんですね?五月もここに……。一花が押入れの段ボールが誰のかって………。もしかしてお話中だったかな?」
風太郎「こいつが今恥ずかしい秘密を言うところだ」
四葉「へえ」
五月「すみません!またの機会に!」
風太郎「お、おい待て!!俺は言ったのにフェアじゃねえ!!」
だが五月に室内に逃げられてしまった以上は中に入っても秘密を打ち明けることはまずないだろう。
四葉「あー………お邪魔してしまったみたいですね」
風太郎「まあ大概予想はつくがな。四葉、有名レビュワーメイって知ってるか?」
四葉「めい……?いえ、聞いたことないですね…………」
悟飯「…………」
だが、悟飯は本当にレビュワーのことについて話そうとしていたのか疑問に思っていた。もう一つの顔…………。
五月と二乃が喧嘩をして家出をしていた頃のこと。五月が何故か見たこともないような服装をして風太郎と共にいた。風太郎は変装した五月を"零奈"と呼んでいた。その零奈という名前そのものは母親から取ったものだということは今でこそ分かるが、もしかすると"零奈"の正体が私だと言いたかったのではないか?悟飯はそんな思考を巡らせる。
……だが、それ以上考えても仕方ないので、今回は素直に帰宅することにした。
風太郎が家庭教師復帰を果たした翌日。悟飯はカプセルコーポレーションを訪れていた。
未来悟飯「なるほど……」
未来五月「そ、それは大変ですね……」
零奈がまだ目を覚さないため、現代に留まり続けている未来五月と未来悟飯にある相談をしていた。
悟飯はこれまでの自身の周りで起こっている恋愛事情を丁寧に説明し、今に至るわけだ。
未来五月「こちらの世界では3人が孫君の方に傾いているんですね………」
未来悟飯「だけど、なんでオレ達に相談しようと……?」
悟飯「いや〜……。お二人ならどうにかできないかな〜と………」
悟飯は3人に、学園祭までには答えを出すと告げたはいいものの、具体的にどうすればいいか分からずじまいなのである。
未来五月「そこまで難しく考える必要もないと思いますよ?一緒にいて楽しいとか、幸せだと感じる人を選ぶとか………。とにかくあまり気難しくする必要はないかと」
悟飯「しかし彼女達は真剣です。その想いになんとなくで応えるのはどうかと………」
未来五月「恋愛は勉強とは違います。教科書を読んでも答えは出てきません。ですから、自分の直感で答えを導き出してしまっても良いのではないでしょうか?私達の世界でも二乃を始めとして、みんなそこまで難しく考えていないと思いますし…………」
未来悟飯「オレからは何かアドバイスできるわけじゃないからなんとも言えないなぁ……。恋愛に関してはサッパリだから………。トランクスはどうだ?」
トランクス(未来)「そんなことを俺に聞かれましても………」
無論、未来トランクスも長い間戦いに身を投じていたので、恋愛に関してはこの中では未来五月が最も知識が豊富なのではないだろうか?
未来五月「私から言えることはこれ以上ありません。ただ、返事をあまり先延ばしにしないようにしようとするその姿勢は評価すべきですね」
悟飯「………分かりました。それから、零奈さんの方は?」
未来悟飯「まだ目を覚ましていないよ。だからオレ達はもうしばらくはここに留まるつもりだよ」
悟飯「そうですか………。そういえば、トランクスさんはタイムマシンの燃料が切れているんでしたよね?どうやって帰るんですか?」
トランクス(未来)「一応、タイムマシンに設計図が入っていたので、それを母さんに見せて分析してもらっています。もう少しで燃料の原料が判明しそうだとのことです」
未来悟飯「でも変だな……。確かタイムマシンが途中でトラブルを引き起こしてこの時代に来たんだろ?タイムマシンが壊れてたのか……?」
トランクス(未来)「その可能性は捨てきれませんが……。恐らくそうじゃないと思います。原因はもっと別のところにあると思いますが、それは俺も分かりません………」
悟飯「………あっ!そうだ!!」
悟飯は突然思い出したかのように、未来悟飯に一つのカプセルを渡す。
未来悟飯「…!こ、これは…?」
悟飯「それが零奈さんの乗ってきたタイムマシンです。本当は未来に行って何か弱点を特定するつもりでこっそり奪ったものですけど、その必要もないのでお返しします」
未来悟飯「ありがとう!これでいつでも帰れるぞ!」
未来五月「あっ、そうです!もうそろそろ修学旅行がありますよね?」
悟飯「ええ。ありますけど……?」
未来五月「班決めの際は注意して下さいね………。恐らく、それなりに修羅場になると思うので………」
悟飯「……?は、はい。分かりました」
悟飯はいまいち理解できていない様子だったが、班を決める時には嫌でも理解することになるだろう。
未来五月「孫君。私達の関係は伝えなくてよかったのですか?」
未来悟飯「ああ。変にオレ達の関係を伝えて、彼の決断に影響を与えるのは好ましくない………」
未来五月と未来悟飯の関係については未だに二人だけの秘密に留めている。
そして、
悟飯「やあみんな!」
一花「あれ?今日は家庭教師の日じゃなかったよね?」
二乃「どうしたのよ?」
悟飯「ほら、今日は…………ね?」
悟飯はこの日の為に5人に向けてプレゼントを用意していたのだ。
悟飯「はいじゃあまずはこれ、一花さんの分」
一花「えっ?なになに?」
一花はホイポイカプセルから出現したプレゼント箱を開ける。すると……。
一花「あれ……?これは………?」
箱の中身は、飲食店の支払い料金が無料になるチケットが2枚入っていた。と思いきや、2枚組でそれぞれ別の店が幾つもある。一花はこのプレゼントの意図をすぐに理解した。
このプレゼントを使って上手く風太郎をデートに誘おう!そういう意図である。
一花「ありがと!悟飯君!」
二乃「あれ?私達の誕生日なんていつ伝えたのかしら……?」
三玖「結構前に私がさりげなく教えた」
五月「グッジョブです三玖!」
悟飯が五つ子の誕生日を知ったのは、勤労感謝の日に三玖と悟飯がデート(?)をした時のことである。
二乃「えっ?じゃあ私にも何かあるのかしら!?」
二乃も一花の時と同様にプレゼント箱を受け取り、それを開封すると……?
二乃「…………あっ、この紅茶……」
悟飯「その紅茶は結構有名なブランドものらしいんだけど、二乃さんは確か甘めのやつが好きだって聞いたから、ミルクティーに合うやつにしてみたんだ」
二乃「嬉しい!ありがとう!!」
三玖「じゃあ私も開けるね」
三玖もプレゼントを開ける。
三玖「…………これ、宇治抹茶だ……!」
悟飯「ここに来る前に京都に行って買ってきたんだ。確か三玖さんは抹茶が好きだったよね?」
三玖「うん!大好き!ありがとう!」
三玖の大好きには2つの意味が含まれていたのだが、鈍感な悟飯がそれに気付くことはない。
三玖「あっ、この大好きには、抹茶が好きって意味と悟飯が好きって意味が含まれてるんだよ?」
悟飯「……あ、ありがとう…?」
三玖「なんで疑問系……?」
突然そんなことを言われてもどう反応すればいいのか分からないので仕方ないと思う。
四葉「私も開けていいですかー?」
悟飯「うん!いいよ!」
今度は四葉が開封する。
四葉「……おや?リボン?それにスニーカーも?」
四葉のプレゼントは、色々な種類のリボンにスニーカー何種かであった。
悟飯がここまで色々な種類のリボンを用意した理由は、ちょっとした変化に風太郎に気付いてもらえるようにという意図が込められているようだ。悟飯は鈍感な癖に、何故かこういうことは気が利く。
そしてスニーカーは、運動が大好きな四葉にはもってこいの品だ。しかも足に負担が掛かりづらいとされている靴を選んできたそうだ。
四葉「わーっ!ありがとうございます!でも私の足のサイズをどうやって把握したんですか……?」
三玖「……あっ。それで私の足のサイズを聞いてきたんだ」
悟飯は以前聞いたことを思い出した。その聞いたことというのが、五つ子はスタイルがほぼ同じなので、姉妹の誰かが採寸をすれば本人が採寸したのと同義になるということ。この話をさを思い出して、悟飯は三玖に足のサイズを聞いたというわけだ。
五月「じゃあ私ですね!」
五月もプレゼントを開ける。
五月「………!!!こ、これは…!!!」
五月といえばやはり食。食べ物。色々な飲食店だったり、スイーツ店だったり、焼肉屋であったり、寿司屋であったり、とにかく食べ物関連の割引券やらクーポンやらが沢山入っていた。
五月「ありがとうございます!!早速使って………」
二乃「いや、あんたさっきお昼ご飯食べたばっかでしょうが」
悟飯「それから…………。あとはこれだね!冷蔵庫は空いてる?」
二乃「ええ。丁度空いてるわよ」
悟飯「分かった」
悟飯はホイポイカプセルから取り出した箱を開封し、五つ子に見えないように冷蔵庫に中身をしまった。
誕生日に冷蔵庫…。これはもうアレしかないだろう。
悟飯「それじゃあ、これは好きな時に食べてね!!」
一花「悟飯君。もらった後でこんなことを言うのは変かもだけど、お金は大丈夫なの?」
悟飯「うん。この前の人造人間騒動があったから、マルオさんからボーナスをもらったからね」
忘れてはならない。悟飯は家庭教師でもあり、ボディガードでもあるのだ。
ちなみに風太郎が五つ子にプレゼントを渡すことはなかった。何故かって?風太郎は5人の誕生日を知らないから仕方ないね!!あれ?ところで悟飯は何で風太郎に教えてあげなかったの?
悟飯「えっ?上杉君、5人の誕生日知らなかったの?」
なんて後日談があったのは、また別のお話である。
そして、ある日の朝のこと………。
一花「あの……。相談したいことがあるんだけど………」
一花が悟飯に相談事とは珍しい。悟飯は勉強関連のことかと相談に乗る。だが実際には違った。
一花「私、フータロー君に告白しちゃった…………」
悟飯「えっ……?一花さん本人が…?」
一花「うん…。でも三玖に変装した時に………。今思うとなんであの時に言っちゃったんだろう…………」
悟飯「そういえば上杉君もそのことで頭を悩ましていたっけ…?」
一花「…でも、私はもう後には引かないって決めたんだ。だからさ、私からのお願い事があるんだけど……。修学旅行の班についてで……」
悟飯「……!!」
修学旅行の班決めといえば、未来五月が修羅場になると言っていた。悟飯はその言葉を思い出す。
一花「噂だとひと班につき5人までしか組めないみたいなんだよね。だからいつものメンバー全員ってわけにはいかないんだよね」
悟飯「そうだね………」
一花「そこでさ、悟飯君は多分フータロー君と組むでしょ?そこ譲ってくれないかな?」
悟飯「えっ………?」
一花「私と四葉とフータロー君の3人で班を組みたいと思ってるんだけど、ダメかな………?」
どうやら一花はこれが目的だったらしい。修学旅行で勝負を仕掛けるつもりなのだろうか?
だが、これは無理があった。何故なら風太郎は既に班のメンバーを決めていたからだ。悟飯に風太郎に武田に、懐かしの前田の4人で既に組むことを決定してしまっている。
悟飯「いや、僕達は………」
一花「じゃあそういうことだから、よろしくね!」
一花は悟飯が自分にとって不都合な内容を告げようとしていたことを察したからか、慌てていたからかは不明だが、悟飯の言葉を遮って自分の席に戻っていってしまった。
悟飯「…………参ったなぁ……」
「えー、先日全国模試の結果が返ってきたと思うが、このクラスの中に上位を獲得した人がいる。だからその中でも特に高いトップ10に入ったやつを紹介するぞ。まずは武田だ。全国8位という非常に優秀な成績を残してくれた。先生は特に何もしてないが鼻が高いぞ」
武田が全国8位ということで、教室中から歓喜の声が溢れる。
「しかし、上には上がいる。第3位もこのクラスにいる。学級委員長の上杉だ。2年学年末のテストでは順位を落としたが、あの時は偶々調子が悪かっただけなんだろう。おめでとう」
風太郎が更にその上を行く第3位ということで、教室中が驚きの声で溢れる。とはいえ、風太郎は学年1位を長い間キープしていたので、そこまで可笑しい話ではなかった。
「しかし、このクラスにまだ上がいる。なんと全国1位をなったやつがいる。先生は焦らすの苦手だからさっさと言っちゃうな。孫だ。全国1位は本当に誇ってもいいと思うぞ。おめでとう」
「えっ?このクラスやばくない?」
「全国1,3,8位が勢揃いってやばいよね?」
「みんなすごっ……。私は絶対そんな上位に上がれないわ………」
「しかも全国ででしょ?凄くない…?」
確かに、一学校の一クラスに全国上位がこれだけ揃っているのはある意味異常な光景かもしれない。
「というわけで、全国模試も無事に終わったので、修学旅行の話に入ろうと思う。事前に配られたパンフレットに三日間の流れは書いているはずだが、皆んなは明日までに班を決めておいてくれ。班は5人までだ」
四葉「えーっと、孫さん孫さんっと……」
四葉は悟飯を探していた。理由はこのと同じ班になる為だ。正確には、悟飯と三玖と四葉の3人で同じ班になる為である。二乃、五月、三玖と悟飯を巡ってバチバチさせている3人だが、この中では三玖が一番消極的だ。四葉は三玖のパン作り修行に付き合いながら、三玖に協力することを約束した。修学旅行の昼休みの時に同じ班になっていれば、悟飯にパンを渡すことができるという算段だ。
四葉「あっ!いたいた!おーい!そ「四葉!」」
四葉が悟飯を呼ぼうとすると、一つの声に遮られた。
一花「ちょいちょい」
一花は手でこっちにきてと手招きをする。四葉はその意図を察して一花と共に空き教室に入っていった。
四葉「どうしたの、一花?」
一花「修学旅行楽しみだね。私達って京都初めてだっけ?」
四葉「違うよ?小学生の頃行ったじゃん?」
一花「そうだったね。四葉はまた行きたいところある?」
四葉「ベタだけどお寺かなぁ………」
一花「クラスのみんなは5人組で悩んでいるみたいだけど、私達にはお誂え向きだよね」
四葉「あはは…。五つ子で良かったね」
一花「でもフータロー君はどうだろう?もう3年生なのに悟飯君以外に友達いなさそうだしなぁ…。お姉さん心配だよ」
四葉「えーっと………」
一花「仕方ない。ここで私達が人肌脱ごうよ。私と四葉とフータロー君でひと班。いいよね?」
四葉「えっ?一花…?」
四葉は既に三玖に頼まれているというのに、ここで一花とも約束してしまってはブッキングしてしまう。四葉には選択肢が実質ないようなものだったのだが………。
一花「ごめん電話だ。じゃあ四葉、よろしくね!」
四葉「あっ!一花!まっ……」
だが一花またしても返事を聞かずに去っていった。なかなか狡賢い長女である。
四葉「……どうしよう……」
風太郎「お、今日は珍しく三玖がいるな」
三玖「この後バイトだけど、ちょっとだけ参加する」
四葉「全国模試以来の全員集合ですね!」
7人は学校の図書室にて勉強会を開いていた。みんなバイトや仕事でなかなか集まることはなかったが、今日は珍しく全員集まっていた。
風太郎「ああ…。あれから1週間経ったんだな………」
二乃「五月、なーに熱い視線を送ってんのよ?」
五月「い、いえ!さっ、勉強を始めましょう!!」
五月は何故か風太郎に対して熱い視線を送っていたとのこと。
三玖「………その前に、修学旅行の話をしたい」
「「「「……!!」」」」
ここに来て、少女達にとっては本題とも言える話題が三玖から展開される。
三玖「悟飯は誰と組むか決めた?」
悟飯「えっ…?ああ……。僕は………えっと……………」
風太郎「なんだよ?歯切れ悪いな?」
悟飯は既に風太郎達と班を組むことで決定している。だが一花を応援するとも言った以上、本当にこのままでいいのかと思い悩んでしまう。
一花「……そういえば、四葉が話したいことあるって言ってたよ!」
四葉「ええ!?えっと……。私は………」
一花「ね!」
三玖「なに?」
風太郎「早く言えよ」
そして四葉は完全に板挟み状態になってしまった。先に三玖と約束していたが、お得意のお人好しが発動して一花の方を手助けするべきか迷っていた。
二乃「ちょっと待ちなさい。四葉が何を言うつもりなのかは知らないけど、詰まるなら先に言わせてもらうわ。ハー君、私と班を組みましょう。2人っきりで」
三玖「…!!!」
五月「ふ、2人きり…!?」
一花「………(二乃、ナイス!)」
三玖と五月の顔が曇りだした中、一花だけは少しだけ明るい顔になる。二乃が悟飯と組んでくれれば、ほぼ必然的に風太郎をこちら側に引き込めるからだ。
悟飯「に、二乃さん!?」
二乃「好きな人と回る。あんたに拒否権はないから!」
一花「そうなんだ?二乃と悟飯君で組むんだ?なら私達は私と四葉とフータロー君でどうかな?」
四葉「い、一花……?」
一花はここでチャンスと言わんばかりに畳み掛ける。
風太郎「いや待て、俺も………」
一花「えー?でも悟飯君と組めないんじゃフータロー君お友達いないんじゃない?ここは私達と組もうよ!その方がきっと楽しいよ!」
悟飯「ちょっと二乃さん、僕の話を…」
二乃「うっさい!あんたは黙ってなさい!私はこうするって最初から決めてたのよ!!あんたなんかが私とデートできることを感謝しなさい!!」
三玖「わ、私も…………」
三玖は二乃に何かを物申したいようだが、いまいち勇気が出ないようで言い出せずにいた。
二乃「言いたいことがあるなら今、はっきり言いなさいよ」
二乃は三玖をしっかり見つめてそう言う。『土俵に上がってこい』と言っているのだ。二乃は姉妹と真っ正面から勝負をする気なのだろう。
五月「……でははっきり言わせていただきます。二乃は少々利己的ではないでしょうか?」
二乃「はぁ?どこがよ?」
五月「孫君が何か伝えようとしていましたが、二乃はそれを妨害しましたよ。ここは孫君に決めてもらいましょうよ。どのような班を組みたいかを」
三玖「……!!」
これは勇気を出せない三玖にとっては救いの手とも取れた。確かにこれなら姉妹から不満が出ることはないだろう。
二乃「それもそうね。ハー君は勿論私とよね!?」
五月「勿論私ですよね!私、美味しい京都グルメを知ってますよ!!」
三玖「……わ、私も…!!美味しい和菓子を知ってる!!」
ここに来てようやく三玖も土俵に上がってきた。さあ、第一次シスターズウォーの幕が開く
悟飯「いや、僕達はもう既に組んでるんだけど………」
二乃「」
三玖「」
五月「」
…………ことはなかった。
一花「そっかぁ。じゃあフータロー君は…「だから、俺も既に組んでるんだっての」」
一花「」チーン
こうして、班決め論争の結果。姉妹は姉妹で班を組むことになった。
一花「あはは…。フータロー君に友達ができてよかったね……」
二乃「全く……。なんでこうなるのよ…」
五月「まさかもう既に組んでいたなんて…!もっと早く手を打つべきでした…!!」
三玖「折角勇気を出したのに………」
四葉「…………(気まずい)」
他の姉妹がそれぞれの想い人を懸けて熱くなっている中、四葉は場違い感が半端なく、気まずくて仕方なかった。
ちなみに、悟飯達の班のメンバーはというと………。
前田「班長は誰がやんだコラ」
悟飯「前田君も一組だったんだ……」
武田「この僕を差し置いているまい!悪いが上杉君には譲らないよ!」
風太郎「いや、やりたくねえから勝手にやってくれ」
悟飯、風太郎、武田、前田という面子だった。
そんな楽しい修学旅行が迫ってきている中、それを阻むかのように、1つの脅威が着々と地球に近づいていることを地球に住む人々はまだ知る由もない…。
はい。今回は悟飯が五つ子に誕プレを贈りました。勤労感謝の日のデート時に、三玖がさりげなく悟飯に誕生日を伝えたのはこの時の為の伏線的なものです。風太郎は誕生日知らなかったから仕方ないね()
そして一花は四葉だけでなく、悟飯をも巻き込んで行くスタイルです。ある意味暴走機関車です。人のこと言えませんなぁ…。四葉は3人の中では一番消極的な三玖を応援することにしますが、一花にもお願いをされて板挟み状態に。
二乃も真っ正面からアタックしますが、一花の反応がここで原作とはほぼ真逆になります。一花は風太郎と悟飯が一緒にならなければ、こちら側に引き込むことは容易いですからね。まあ既に班を組んでいた為、この修羅場は強制的に終了しました。
最後の文を見たなら分かると思いますが、次回からはまたラブコメではなく、バトルメインになります。しばらくラブコメにしたいとか言っておきながら、これは酷い笑