孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】 作:Miurand
一花と入れ替わった風太郎と四葉が混浴する事態になってしまったが、特に何事もなく(?)終了し、悟空は精神世界でギニューを打ち倒すことに成功し、一花と風太郎は元の体を取り戻すことができた。
そして、ギニューは蛙の体に戻ったのだが、色々あってカプセルコーポレーションの研究所に隔離されることとなった。哀れギニュー…………。
ようやく修学旅行を楽しめるぞ、というムードの中、ただ1人、一花は少し悩む素振りを見せていた……。
ギニューによる入れ替わり騒動が発生したが、最終的にはブルマに仕返しという形で研究所で保護するという形で落ち着いた。一花と風太郎も元の体を取り戻すことができた。
悟飯は蛙が研究所で隔離されていることを事情を知る風太郎、一花、四葉の3人にすぐに伝えた。
風太郎「これで心置きなく修学旅行を楽しめるな」
四葉「ねえ一花、大丈夫?」
一花「あはは…。うん。私は平気だよ」
ところが、一花は最愛の風太郎に一時的とはいえ体を使われていたということで、表向きには特になんともない素振りを見せていたが……………。
四葉「お〜…!駅まで見える…!!」
五月「落ちたらどうしましょう…。柵はもっと高いと思ってました……」
四葉「それだけ私達が大きくなったってことだよ!」
四葉と五月は清水寺を訪れていた。清水寺と言えば、京都の観光地を代表する程知名度のある寺だ。
四葉「おっと…!!」
五月「!!!?」
四葉「………なんちゃって」
五月「もう!やめて下さい!!」
四葉「ごめんごめん」
四葉は柵に身を乗り出していたのだが、手を滑らせるような動作をする。だがそれはフェイクで、五月を揶揄って楽しんでいた。
五月「………それにしても、一花はどうしたんでしょうか…?急に一人で考え事をしたいだなんて…………」
四葉「……(もしかして、上杉さんと入れ替わっちゃったことを気にしてるんじゃ…………)」
四葉は大体察しがついていたが、それを五月に説明するわけにもいかなかった。
四葉「ちょっと体調が悪いんじゃないかな?ほら!林間学校の時も風邪引いてたし!!」
五月「だとしたら部屋で休まないと………」
風太郎「騒がしいなお前ら…。うおっ、久々に見ると高く感じるな………」
五月「あれ…?上杉君……?」
四葉「二日目は団体行動ですけど、孫さん達と一緒じゃないんですか?」
風太郎「ああ……。ちょっと一花に用があってな。お前らと一緒にいると思っていたんだが………………」
五月「一花はここにはいません。何やら一人で考え事をしたいとかで………」
風太郎「そうか……。二乃と三玖は……聞くまでもないな。しかし半分以下というのも寂しいな…………」
五月「た、たまにはいいじゃないですか!!ほら、せっかくの清水寺ですよ!!」
風太郎「お、おい!」
五月「上杉君見てください!!絶景ですよ!!」
風太郎「押すなって!!」
五月は少し考える仕草をした後、風太郎の手を引っ張って柵の近くまで誘導する。急にどうしたものかと、四葉は口をポカーンとさせている。
五月「ふふっ…。こんなのが怖いんですか?男の子なのに」
風太郎「あっ?ぜ、全然怖くないですけど〜〜??お前の方がビビってんじゃねえか?」
五月「な、何を………。あっ、そうです!ツーショット写真を撮りましょう!!」
風太郎「はぁ?なんでだよ!?」
五月「四葉、お願いします!」
四葉「い、いいけど…………」
五月の豹変に四葉は動揺を隠し切れていないが、五月の要望通りに風太郎と五月のツーショット写真を記録するが、五月は何故か風太郎と腕を組む始末。これが悟飯に対してなら納得できるのだが、一体どうしたのだろうか?
五月「(うわ…!私はなんて…!でも、これで上杉君は6年前のことを思い出してくれるはず…!!)」
どうやら五月は、風太郎が出会ったのが四葉であることをなんとか気付かせたいようだった。
一方で、二乃と三玖の行方はというと……………。
二乃「わっ…!待って!!超暗いんですけど…!!怖いわハー君♡」
悟飯「あの…。二人とも、ちょっと近いよ……」
三玖「離したら二度と出られないかもしれない…。だから悟飯に密着する」
二乃「ほら三玖!ハー君が嫌がってるでしょ!早く離れなさい!!」
三玖「嫌。そもそも悟飯が嫌がっているのは私じゃなくて二乃。だから二乃が離れて」
二乃「そんなのお断りよ」
三玖「なら私も」
悟飯「……(手すりを掴めばいいんだけど、それを言うのは野暮なのかな…?)」
二乃と三玖は、胎内巡りで悟飯にアタックしている真っ最中だった。一花と風太郎の身に起きたことも知らずに呑気なものである。まあ解決済みなのでいいのかもしれないが…………。
武田「随分モテモテじゃないか孫君。これなら君の今後の人生は安泰だね」
前田「お前は孫のなんなんだコラ」
武田は何故か成長する子供を見るような目で悟飯を見ているが、前田は冷静にツッコむ。
四葉「あれ?上杉さんはどこに行ったんだろう……?」
五月「いつの間にかいなくなってしまいました……(せっかくのチャンスなのにどうしましょう…………)」
四葉「………五月。何か私に隠していることある?」
五月「………!!!」
一花「……あんなことがあった後じゃ、フータロー君に顔が合わせづらいよ…」
あの時は元の体に戻る為に必死だった為仕方なかったとはいえ、自分の最愛の人である風太郎に醜態を晒してしまった。おまけにその最愛の人が一時的とはいえ、自分の体に入り込んでしまった始末。その場では上手く取り繕っていたものの、やはり精神的にはくるものがあった。
一花「これからどうすれば…………」
風太郎「見つけたぞ、一花」
一花「………!?ふ、フータロー君!?な、なんで……………」
風太郎「少し話をしようぜ」
風太郎「実は、京都に来るのは初めてじゃないんだ。小学生の頃に一回来たことがあるんだ。あの日のことは今でも思い出せる。俺はあの日、"零奈"に振り回されるがまま辺りを散策した。俺を必要と言ってくれた彼女との旅が楽しくないはずがない」
一花「……えっ?零奈って……」
風太郎「ああ。お前らの母親の名前だな。恐らく母親の名前を借りたんだろうな」
風太郎は一息つくと、再び話し始める。
風太郎「気がつけば夜になっていた。学校の先生が迎えに来ることになっていたんだが、"零奈"が泊まっていた旅館の空き部屋で待たせてもらった。そこでは確かトランプしたっけ…。まあ担任にはこっぴどく叱られたがな…。だが今となってはいい思い出だ」
風太郎は当時の思い出を楽しそうに語る。普段はあまり見せない顔を見れて一花はラッキーだと思いつつも、それを言葉には出さない。
一花「………フータロー君、気を使ってくれてる…?」
風太郎「……まあ、あんなことがあったからな……。お前、無理してただろ?四葉の前では笑っていたが…。俺には分かったぞ」
一花「………当たり前だよ…(まさか好きな人と間接的にとはいえ入れ替わっちゃったんだもん……………)」
風太郎「………すまんな。あのギニューって奴のせいとはいえ、お前の体に入っちまった…」
一花「ううん。フータロー君は悪くないよ……。悪いのは私。好奇心に任せてあんなことをしなければ良かったんだよ」
風太郎「………嫌だっただろ…?少しの間とはいえ、俺が体を使っていたんだから…。謝って許されることじゃないのかもしれないが…………。すまん………。お詫びと言ってはなんだが、なんでも言うことを聞く…………」
一花「………なんでも?」
風太郎「ああ…。俺にできる範囲でだが…………」
一花「そっか……。じゃあまずは私の質問に答えて」
風太郎「あ、ああ………」
一花「……フータロー君は、私が蛙と入れ替わっちゃったって知った時、どう思った…?」
風太郎「………?どういう意味だ…?」
一花「ほら、蛙って人によっては苦手じゃん?だから…………」
風太郎「……何を気にしてるのか知らんが、俺はなんとも思ってないぞ?」
一花「………そっか」
一花は聞きたいことを聞けてスッキリしたのか、頬が少し緩む。それと同時に何か決心したような顔つきになる。
一花「じゃあ次。私がこれから言うことをしっかり聞いてね」
風太郎「………ああ」
一花「……フータロー君ってさ、普段は自信過剰なのに、こういうことになると途端に卑屈になるよね」
風太郎「……?どういう意味だ…?」
一花「………好きでもない男の子と体が入れ替わっちゃったら、私は耐えられないかな…」
風太郎「………そ、そうだよな…。もし俺の顔を見たくないって言うなら……」
一花「………こら、今は私の番」
風太郎が何か提案をしようとした時、一花は途中で口を挟んで妨害する。
一花「普通、好きでもない男の子と身体が入れ替わっちゃったら、お風呂に入れるようなことなんてしないよ。少なくとも私はね」
それは逆に言えば、好きな異性なら別に問題ないと言っているに等しい意味だった。
一花「………でも、私は嫌じゃなかったよ……?」
風太郎「……………はっ?う、嘘……だよな…?」
一花「嘘じゃないよ」
一花は顔を赤面させながらも、はっきりとそう言い切った。風太郎は女優業で培ってきた演技なのではないかと疑うが………。
一花「今まで気づかなかった…?修学旅行で同じ班になろうって提案したのも、勤労感謝の日にデートに誘ったのも……、キャンプファイヤーの時に踊ろうって誘ったのも………………」
一花「君が好きだから、なんだよ…?」
恥ずかしさに耐えながら、一花はそう言い切った。
風太郎「……えっ?いや…!で、でも!俺はお前の体と入れ替わったんだぞ…!?それでお前は引いたんじゃ…」
一花「うん。引いちゃうね。相手がフータロー君じゃなければの話だけど」
風太郎は、ギニューの件で体の入れ替わりの際に、自分は一花の体に入ってしまった。一花が自分に好意を持っていることは知っていたとはいえ、そんな事態に陥ってしまったので、一花は自分のことを少なからず嫌いになってしまったのではないかと危惧していた。
だが、そんな風太郎の予想とは裏腹に、一花の気持ちは一切変わらなかった。確かに驚きはした。だが、風太郎に体を使われたところで、羞恥心はあっても、不快感は一切感じなかった。
一花の風太郎に対する想いは、もう既にそこまでに深いものになっているのだ。
一花「それじゃ、最後のお願いね……。私と付き合ってよ、フータロー君…」
風太郎「えっ………?流石に冗談……だよな…?」
一花「うん」
風太郎「………………はっ…?な、なんだよ…。驚かさないでくれよ………」
一花「でも君が好きなのは本当だよ?君に体を使われても不快感なんて一切感じなかったもん。むしろ………、私のことをもっと知ってほしいかな…?」
風太郎「……お前、自分で何を言ってるのか分かってるのか…?」
一花「……分かってるよ…。でも、どれだけ私が本気なのか知って欲しかったから…。この気持ちは嘘じゃないよ…!信じて……!!」
風太郎は一花の好意には気付いていたとはいえ、一花として告白を受けたのはこれが初めてである。珍しく誤魔化さず、真っ直ぐに相手の目を見つめて自身の想いを吐露していく姿を見て、風太郎はつい前髪を弄ってしまう。
風太郎「は、はは…。随分嘘を吐くのが上手くなったな……」
一花「………そっか…。まだ疑うんだ?」
一花は少し口角を上げて風太郎の顔に近づく。そのまま唇をそっと風太郎の頬に触れさせる。
風太郎「!?」
一花「これで信じてもらえるかな?」
風太郎「……嘘じゃ、ないんだな…?」
一花「………そういうことだから、覚悟してよね、セーンセ」
先程まで、今にも雨を降らしそうな雨雲が空を包んでいたが、隠れていた太陽が一花の満面の笑みを照らすように現れる。それを機に、雲は退かされるように移動して太陽がはっきりと姿を現し、暗かった空は一気に明るくなった。
その笑顔は、日光のせいか少々赤みを帯びていた。
二乃「わ〜…!さっきまで雨降りそうだったのが嘘みたい…………」
三玖「綺麗………」
悟飯「よかったね。これでもう暫くは外を散策できそうだよ………」
武田「どうやら予報通りになったみたいだね」
前田「どこかに晴れ男でもいたのか?そいつに感謝だな」
前田「はぁ…………疲れた……」
悟飯「雨が降らなくてよかったよ……」
武田「僕に感謝するがいい」
前田「いや、なんでお前になんだよコラ」
悟飯「そういえば、上杉君はどこに行ってたの?」
風太郎「ちょっとな…………」
武田「ははは!さては迷子だね?」
風太郎「違えよ」
悟飯達は二日目の日程を終えてホテルに戻っていた。二乃と三玖は途中で姉妹達と合流した為、今この場にはいない。
前田「つーか明日どうするよ?コース選択があるだろ?」
悟飯「あ〜…。そういえばあったね…。みんなは決めてる?」
武田「僕はこのDコースがいいと思うよ。京都の歴史に触れることができるしね」
前田「上杉はどうなんだよコラ」
風太郎「………俺は、Eコースにしようかな…………」
武田「へぇ…。意外だね?上杉君は映画とかそっちの方に興味はあるのかい?」
風太郎「……Dコースは小学生の頃に行ったからな。どうせなら行ったことのないところに行きたい」
武田「じゃあそっちにしよう」
前田「そうだな。俺は特に行きたいところはないからな。孫は?」
悟飯「いいんじゃない?僕は京都自体よく分からないから決めようにも決められないしね………」
武田「じゃあ決まりだね」
一花「みんな。どうやらフータロー君達はみんなEコースにするみたいだよ」
二乃「ナイスよ一花!」
一花は悟飯達の会話をこっそりと聞いていたようで、二乃達に結果を報告していた。
一花「四葉、お風呂空いたから先に入れば?」
四葉「うん。そうする!」
二乃「じゃあ私もEコースにするわ。別のコースにしろって言っても、どうせ付いて来るんでしょうけど……」
三玖「……個人的にはDコースに行きたかったかな………」
二乃「あら、じゃあ三玖はそっちに行ってくれてもいいのよ?三玖の好きな歴史コースでしょ?」
三玖「だけど断る」
五月「私もそっちに行きます。2人を放っておくと、孫君に対して何をするか分からないので……」
二乃「五月にだけは言われたくないわ」
三玖「同感……」
五月「何故ですか!?」
三玖「お泊まり。襲われる」
五月「な、ナンノコトデショウ」
三玖に痛いところを突かれたのか、五月は片言になりながら返事をする。
一花「わあ…!五月ちゃんこれ攻めてるね〜…!着ないの?」
五月「こ、これは……!!」
五月が荷物整理しているところに一花が覗き込むと、派手な下着が入っていたので茶化す。その派手な下着とは、先日大胆にも悟飯に向けて披露した例の下着なのだが……………。
二乃「………やっぱり危険ね」
三玖「私情抜きで、悟飯を守るために私達も悟飯に付いた方が良さそう……」
二乃「そうねそうしましょう。なんとしてもハー君の貞操は守り抜くわよ」
五月「私は狼か何かですか!?」
五月は孫家でのお泊まりの件が尾を引いているのか、二乃と三玖から相当警戒されているようだ。
二乃「あながち間違ってないわ……」
三玖「否定できない………」
五月「うわーん!一花ぁ〜!!」
五月は一花に泣きつくが……。
一花「ごめん。今回は擁護のしようがないかな…?」
五月「ガーンッ!!!」
中立的な一花でもこの始末☆。はてさて、この先(ry)
五月「うぅ……。みんなして私を虐めてきます…………」
そんな姉妹トークを楽しんでいる時、数回ノックされた後にドアが開かれる。
風太郎「五班、全員いるか?連絡事項だ。30分後2階の大広間に集合だそうだ……。って、五月は何してるんだ?」
五月「みんなが虐めてくるんです……」
風太郎「おいおい…。こんなところまで来て姉妹喧嘩は勘弁してくれよ…?」
二乃「違うわよ。五月だけハー君と同じコースに行ったら、いつ襲うか分からないから私達も付いた方がいいって話をしてたのよ」
三玖「悟飯の家にお泊まりした時の前科があるし」
風太郎「なるほど。五月、お前が悪い」
五月「あなたまで私を虐めるんですか!?」
風太郎「……!!まあとにかく、遅れることのないようにな」
風太郎は連絡事項を言い終えると、ドアを閉めて次の班に連絡する為に移動する……。何やら誰かの顔を見た途端に様子が変わったような気はするが……。
三玖「そういえばフータローって学級委員だったね」
二乃「………一花?なんかいいことでもあったの?」
一花「ん〜?別に?」
二乃「(これは上杉との間に何か進展があったようね……)」
二乃は何かを察したようだが、口には出さない。
四葉「ふ〜!!スッキリしたぁ!!」
そこに突然、バスタオル1枚(胸だけを上手く隠した状態)で浴室のドアを開けて出てきた四葉が現れた。
二乃「……上杉がいるけど…?」
四葉「……!?!?ッ」
ダンッッッ!!!!!
四葉は余程恥ずかしかったのか、ドアが粉々に砕けるのではないかというくらいに大きな音を立ててドアを閉める。
二乃「嘘よ。冗談よ」
四葉「もー!ひどいよ二乃!!」
三玖「でもさっきまでフータローがここにいたのは本当。少しは自分の格好に気をつけた方がいいと思う」
二乃「…………なんか三玖に言われても説得力がないわね」
三玖「それどういう意味………?」
翌日……。2泊3日の修学旅行もこれで最終日だ。この日はA〜Eの五つのコースから好きなところを選んで回るという形なのだが………。
一花「やっほー、フータロー君!」
二乃「会いたかったわハー君!」
三玖「寂しかった」
少し色っぽく風太郎に挨拶する一花、目が合ったら悟飯にすぐ飛びつく二乃と三玖に、その2人を引き剥がそうとする五月に、それを微笑みながら見守る四葉の姿が…………
風太郎「いや、待て。お前ら全員Eコースなのか……?」
四葉「はい!」
悟飯「そうなんだ。じゃあ3日目はずっと一緒かな?」
二乃「なんなら一生一緒にいてあげてもいいけど……?」
悟飯「えっ……?」
五月「なんで上から目線なんですか…。しれっと浮気を提案しないで下さい」
三玖「なんで既に五月と悟飯が付き合ってることになってるの……?」
悟飯が絡むと必ずと言っていいほど火花を散らすこの3人に、四葉は苦笑いを浮かべる他ない。だけど普段は仲がいいので余計に困惑してしまう。そんな様子に見かねたのか、武田が悟飯に耳打ちをする。
武田「……孫君、いい加減彼女達に返答をしたらどうだい……?」
悟飯「………学園祭までにはね…」
前田「学園祭に…?お前、意外とロマンチックなことするんだな……」
悟飯「……??」
悟飯は前田の言う意味がいまいち分からずに首を傾げる。
一花「ふーん……?悟飯君は相変わらずモテモテだね。悟飯君達のお邪魔しちゃ悪いし、私達は私達で回ろうよ!」
風太郎「えっ……?いや…………」
一花「私、言ったよね?覚悟してよねって」
風太郎「待て待て引っ張るな…!おい…!!!」
一花は既に風太郎にしっかりと想いを告げたからだろうか、今の二乃達を連想させるような積極的なアプローチをしている。
武田「………何故だろう。何故だか分からないけど、僕だけ置いてきぼりになっている気がしてならない………」
前田「ざけんなコラ。お前だってモテてるだろうがコラ」
そんな前田にも松井という彼女がいるのだが、ここは口を閉ざしておこう…。
その後の修学旅行は、多少の言い争いはあったものの、特に大喧嘩はすることはなく、平和だったそのもの。
三玖「ねえねえ!戦国武将の着付け体験だって!私達もやっていこうよ!」
悟飯「えっ?」
三玖「……だめ?」
三玖は上目遣いで悟飯に訴えかけてくる。
悟飯「あ、あはは…。うん、いいよ」
悟飯と三玖が和服に着替えたり……。
三玖「…………」
悟飯「あの人と写真を撮りたいの?じゃあお願いしてみようよ」
武士の格好をした人と共に写真を撮ったり……。
三玖「わあ!あれ撮ってよ!!早くしないと引っ込んじゃう!!」
悟飯「わ、分かったから引っ張らないで…!」
動く恐竜のオブジェに興奮したり……。
二乃「……ちょっと待ちなさい。なんで三玖だけおいしい思いをしてるのよ?」
五月「先日のパンの件で落ち込んでいたので、今日くらいはいいかと……」
二乃「なにそれ。私もあっちに行こ」
五月「あ〜!?待って下さい二乃!?」
五月は先日の件を案じて三玖に対して譲歩姿勢だったが、二乃は我慢できなくなって悟飯に向かって特攻する。結局五月も加わることになっていつも通りの光景が広がる。
四葉「わあ!一花、写真いっぱい撮ったね…………。って、殆ど上杉さんとのツーショット!?何かあったの?」
しかもその写真一枚一枚、やたらと距離が近い。
一花「うん。まあね♪」
風太郎「おい一花…。そろそろ休ませてくれないか……?」
一花「何言ってるの?今日は午後には帰っちゃうんだから、今のうちに楽しまないと損だよ!」
風太郎「か、勘弁してくれ………」
とは言いつつも、風太郎の口角が少し上がっているのを四葉は見逃さなかった。
四葉「そっか……。良かったね、一花」
四葉は一花をお祝いしているようだが、その表情はどこか虚しく、悲しげなものだった…………。
悟飯「………………」
そんな四葉の顔を悟飯は見逃さなかった。他の4人は笑顔で修学旅行を楽しんでいる中で、四葉だけが浮かない顔をしていることに違和感を覚える。
二乃「どうしたの、ハー君?」
悟飯「いや、なんでもないよ」
修学旅行の日程も殆ど終わってしまった。後は帰宅するだけで、修学旅行の終わりを惜しむ声が沢山出てくる中…。
二乃「はぁ………。修学旅行楽しかったわ〜。ね、ハー君?……あれ?」
三玖「悟飯がいない………」
一花「ねえ、四葉見なかった?」
五月「四葉もですか…?まさか迷子では……?」
風太郎「……多分悟飯が探してくれてるんだろ。あいつは人の居場所が分かる特殊技術があるみたいだしな」
四葉「……………」
今回の修学旅行は楽しかったな…。姉妹も上杉さんもとても楽しそうだった。一花が蛙になっちゃったって聞いた時は相当焦ったけど、悟空さんと孫さんのお陰でどうにかなった。
その後の一花の様子が心配だったけど、どういうわけか元気になっていた。その理由を聞いてみたら………。
『一花、元気になったね?何かいいことでもあったの?』
『うん。私ね、フータロー君に告白しちゃったんだ………』
『えっ?ほ、本当に………?』
『うん……。色々あってね………』
『そうなんだ……。それで、上杉さんはなんて…?』
『まだ返事はもらってないよ。でも、いつかは………』
『………そっか。良かったね、一花』
『四葉はそれでいいの?』
『えっ?』
『だって、四葉も…『ううん!私のことなんか気にしないで!!』』
姉妹を転校に巻き込んだ私は特別になっちゃいけない……。風太郎君に誰も意識が向いていないのならまだしも、一花がそうなら…。散々迷惑をかけた私が風太郎君を横取りするような真似なんて絶対にできない………。
一花が風太郎君のことを好きになったのはなんとなく気付いていた。それに気付いたから、私はこの想いを消す為に、五月に頼んで変装してもらった。
もうあの想いは忘れることにしたんだ。解放しちゃダメ。姉妹に……。一花に迷惑がかかっちゃうから………。
悟飯「四葉さん、そんな暗い顔をしてどうしたの?」
四葉「そ、孫さん……!?」
僕は気になって仕方がなかった。みんな笑顔で修学旅行で楽しんでいた。ギニューの騒動に巻き込まれた一花さんと上杉君でさえも楽しんでいた。なのに四葉さんだけ何か思い悩んでいるような気がした。
だから、僕は思い切って四葉さんに聞こうと思う。もしかしたら、僕なら力になれるかもしれない。
悟飯「どうしたの?悩みがあるなら、僕に……」
四葉「………悩みなんてありませんよ?私は……一花がようやく前に進めたことを喜んでいるだけです」
悟飯「一花さんが、前に……?」
………薄々気付いてはいた。今日の一花さんは上杉君に対してやたらと積極的だった。3人の女の子に言い寄られている僕だからこそ分かるが、恐らく、一花さんは上杉君に告白をしたのだろう。だからあそこまで積極的になったんだと思う。
………そういえば、四葉さんの顔が暗くなったのも今日が初めてのような…?
…………まさか……。
悟飯「………本当に?今の四葉さんの顔、はっきり言っちゃうと酷いよ?」
四葉「……………ぇ?あっ…………」
悟飯「………何か思い悩んでいることがあるのなら、僕に話してほしいかな?それとも、僕じゃ頼りない?」
四葉「頼りないなんて…。そんな……」
悟飯「………ひょっとして、上杉君?」
四葉「……!!」
図星だったのか、四葉さんが少し動揺する様子を見せた。だけど一瞬にして元の表情に戻したところを見るに、四葉さんは本当は嘘をつくのが上手なのではないかと勘繰ってしまう。
悟飯「……一花さんとの関係が気になるの?」
四葉「あはは…。一花は私の姉ですし、多少は気になりますよ」
悟飯「……………」
自分で言うのもアレだが、僕は自分に対して向けられる好意には鈍感のようだけど、人が人に向ける好意には敏感な方だと思っている。だから僕には分かる。四葉さんは上杉君のことが好きなのだろう。しかし、何らかの原因で一花さんに譲っているように見える。
悟飯「…………そういえば、四葉さんは行事がある度に上杉君に対してこう言っていたよね。『後悔しないように』って」
四葉「えっ…?はい。上杉さんに少しでも楽しんでもらいたいので………」
悟飯「じゃあ、四葉さんはそれでいいの?それで本当に後悔しないの?」
四葉「な、何のとこですか……?」
こういうことを言ってしまうとデリカシーがないと言われてしまうかもしれない。だけど、これは言っておいた方がいい気がする。
悟飯「僕はね、四葉さんが上杉君に対して少なからず好意を持っていることには気付いていたんだ。何で四葉さんがそんなに譲歩姿勢なのか僕には分からない。だけど、それだと必ず後悔する」
四葉「な、何を言っているんですか!一花が幸せになるなら、私は後悔なんてしませんよ!」
悟飯「じゃあ、なんでそんな顔をしているの?」
四葉「……………えっ?」
四葉さんは自分でも気づいていないのだろうか…?先程よりも暗い顔になってしまっている。
悟飯「それが四葉さんの本心なの?四葉さんはそれで本当に後悔しない?」
四葉「私の………本心…………?」
四葉さんは少し考え込むような仕草をする。少し経つと、顔を上げて……。
四葉「…………私は上杉さんに相応しくありません」
ようやく発した言葉が、そんなネガティブなものだった。
悟飯「そんなことないと思うよ?少なくとも僕はお似合いだと思うけど……」
四葉「あはは……。孫さんは本当にお優しいですね。でも、この話を聞いたらきっとその考えは覆りますよ?」
四葉さんは自虐するように笑うと、四葉さんは転校前……。つまり、僕達が通っている旭高校に転校してくる以前の出来事を語り始めた……………。
今回の一花の台詞回しの件ですが、無茶苦茶原作を意識しております。似たような台詞なのに、意味合いが変わってくるってのもいいよね。原作では段々雲行きが怪しくなって雨が降り出すのですが、今作は逆に段々雲行きがよくなって晴れました。この天気は恐らく一花の心情を表していると独自解釈したので、それを反映させました。原作では修学旅行で大きく後退することになりましたが、今作では逆に大きく前進することになりました。原作ではあまり見れなかった積極的な一花を見れるかも……?
ちなみに次回は四葉のちょい曇り回です。ほぼオリジナル回です。