孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

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 前回のあらすじ…。
 四葉の修行は順調に進み、気の習得が進んでいたのだが、思いもよらない客人、ビーデルが孫家にやってきた。そしてビーデルも舞空術を習いたいと言った。

 さらに四葉と風太郎は悟天とらいはが2人で出かけるということで、尾行デートをしていたのだが、風太郎は特に問題ないと判断したらしいが……。

 そして、四葉は悟飯から誰を選ぶのかを聞いた。悟飯は1人を選ぶことによって他の2人を悲しませることを懸念していたが、四葉が説得することによって悟飯の覚悟は決まった。どうやら既に心に決めている人がいるようだった。それは二乃、三玖、五月の中の3人のうちの誰か………。悟飯は一体誰の手を掴むのだろうか……?



第70話 夏といえば水遊び

悟飯はただ今海に来ている。3年1組全員で海で遊ぼうと誘われたので、悟飯は予定を確認して、問題がなかったので承諾した。

 

そして今日に至る。

 

武田「やあ、久しぶりだね孫君。今日は彼女達はいないのかい?」

 

悟飯「今日は丁度引越しをしなきゃいけないらしくて…………」

 

武田「それは気の毒に……。彼女達はきっと孫君と遊びたかっただろうに……」

 

悟飯「は、ははは…………」

 

前田「つかお前の周りに中野さん達がいない光景初めて見たかもしれねえ」

 

3年生になってからというもの、五つ子3人の悟飯に対するアプローチは物凄いものであった。噂が広まるまでそんなに時間を要することはなかった。

 

椿「そうだよ〜!いっつも孫君の周りには二乃ちゃんと三玖ちゃんと五月ちゃんがいるもんね〜!!」

 

松井「ほんと、あの3人は孫君にべったりだよね〜。まさに愛されてるって感じ」

 

放送委員の椿に、前田の彼女である松井にも指摘される始末だ。

 

ちなみに、あまりにもアプローチが物凄かったので、風太郎が五つ子を見分ける時の材料としてクラスメイトに説明していたこともある。例えばこんな感じだ。

 

『何?四葉と二乃はどっちもリボンをつけてるから分かりづらい?なら悟飯にべったりな方が二乃だ。そしてヘッドホンをつけてて悟飯にべったりなのが三玖。センスのカケラもない星型ヘアピンを付けてて悟飯にべったりなのが五月だ』

 

とまあ、こんな感じの説明をすることにより、よく分からなくても3択に絞ることができるようになったのだ。

 

 

 

悟飯「そんなにいつも一緒にいたっけ……?」

 

椿「うん!孫君が三股してるのかって勘違いしそうになるくらいには」

 

悟飯「えっ!?」

 

前田「はっ?お前それは本当かコラ?」

 

悟飯「前田君は知ってるでしょ………」

 

そんな他愛のない会話を楽しんでいると、悟飯に近づいてくる影が二つ…。

 

椿「あれ?上杉君来てくれたんだ〜!!」

 

前田「よっ」

 

武田「久しぶり。元気にしてたかい?」

 

悟飯「らいはちゃんも一緒だったんだね?」

 

風太郎とらいはが来たのだ。らいはは武田と前田をまじまじと見て……。

 

 

 

らいは「違う」

 

辛辣にそう言い放った。

 

 

 

 

悟飯「まさか上杉君が海に来るとは思わなかったよ。てっきり勉強するものだと…………」

 

風太郎「らいはが海に行きたいって言って聞かなかったからな。お前こそ悟天はどうしたんだ?悟天なら駄々をこねてこっちに来そうだが………」

 

悟飯「今日はトランクスと遊ぶ予定があったらしいから、きっと今頃トランクスと遊んでいるよ」

 

風太郎「そうか」

 

 

 

その日、悟飯達は海で同級生達と様々な遊びをしていた。

 

 

 

 

ちなみに、中野家五つ子がいなかったことでショックを受けていた男達がいたとかいないとか………。そして悟飯と風太郎に五つ子の体調や様子を聞かれる始末である。悟飯に至っては、一体3人の中で誰が好きなのかとか、本当に三股してるのかとか、一人くらい俺にくれとか、恋愛に関する話題が絶えなかったそうだ。

 

風太郎はその様子を見て、確かに悟飯の周りにあいつらがいないのは珍しいと思ってしまったあたり、五つ子(正確には3人だけど)によって既に外堀が埋められているのかもしれない。

 

 

 

海を満喫していると、空はすっかり暗くなっていた。らいはは既に眠ってしまっている。

 

前田「上杉…。まだ痛えぞ……」

 

風太郎「だから謝っただろ……」

 

スイカ割りの時に何故か前田は埋められてスイカの隣に配置されたため、風太郎が誤って前田の頭を叩いてしまったのだ。

 

松井「まだメソメソ言ってるの?男らしくない。孫君じゃなかっただけまだマシでしょ?」

 

前田「やめろ。頭が消滅する」

 

仮に悟飯がやることになったとして、人の位置は目が見えなくても分かるので、間違っても前田の頭に悟飯の剣撃がヒットすることはないのだが…。

 

松井「ま、あの時は楽しかったよ。上杉君も楽しそうで良かったよ」

 

風太郎「えっ…?俺、楽しそうだったか?」

 

松井「うん。そう見えたけど違った?」

 

風太郎は無自覚だったようだが、他人から見れば十分楽しんでいるようにも見えた。これが1年前の風太郎ならば話が変わっていたのだろうが、悟飯の言う通り、四葉の………五つ子の影響を受けたからか、人並みに人付き合いもできるようになったようである。

 

武田「この後花火をする予定だけど、君は来るかい?」

 

風太郎「いや、俺は帰ることにする。らいはも疲れちまったしな。みんなによろしく伝えておいてくれ」

 

武田「……!!」

 

風太郎がこのような言動を知るものなので、武田と前田は心底驚いてしまう。

 

武田「意外だね…。上杉君がクラスに馴染もうとするとは………」

 

風太郎「そうか?元からだろ?」

 

前田「いや、それはない」

 

前田のツッコミはごもっともである。

 

武田「1年前の頃と比べたら驚くべき変貌だ。何が………いや、誰がそうしたのかは言うまでもないね」

 

風太郎は数年ぶりに海に来て、クラスメイトと盛り上がって楽しく感じていた。しかし、何か物足りなく感じていた。

 

 

風太郎「あーくそ…。五つ子(あいつら)もいたらいたらもっと楽しかったんだろうなぁ………」

 

風太郎は無自覚にそんな独り言を帰宅しながら呟いた。

 

 

 

 

 

武田「孫君は花火するかい?」

 

悟飯「そうだね……。僕は行こうかな」

 

悟飯はらいはのような小さい子を連れてきているわけでもなかったので、二次会に同行することにした。

 

 

 

 

 

悟飯「はぁ………。同級生と遊んだのは初めてだったなぁ…………」

 

悟飯も風太郎程ではないにせよ、学校とは勉強する為に行くものだと思っていた。ところが、五つ子に出会ったことによってそうでもないことを知った。風太郎に大きな変化が現れたから目立ってないだけで、悟飯もまた五つ子によって変化がもたらされているのだ。

 

悟飯「にしても、僕とあの3人っていつも一緒にいたんだな……。これは少し自重してもらうことも考えようかな…」

 

そんなことを考えていると、携帯電話に着信が……。誰かと確認すると、画面には『上杉風太郎』と表示されていた。

 

悟飯「もしもし?どうしたの?」

 

『海に行ったばかりで急だと思うが…。あいつらと一緒にプールにでも行かないか?』

 

悟飯「……あいつら?あの五人のこと?」

 

『ああ。あいつらだけ海に行けないのはちょっと可哀想だと思ってな……』

 

悟飯「なるほどね。僕は問題ないよ」

 

悟飯は風太郎がこんなことを言い出した理由はなんとなく察していた。風太郎は気付いていないのかもしれないが、五つ子と共に過ごす日々が日常になっているのだ。だから五つ子不在で海に行った時、謎の喪失感を感じていたのだろう。

 

しかし、それは悟飯も同じだった。クラスメイトに指摘されたということもあるのだが、やはり五つ子(特にあの3人)がいないと自分の周りが静かに感じてしまったのだ。悟飯もまた、五つ子が側にいることが日常と化しているのだろう。

 

悟飯は密かに五つ子に会えることを楽しみにしていた……。

 

 

 

 

 

そして、プールに行く日……。

 

風太郎と悟飯は少々遅れるということで、五つ子達は先にプールに入っていたのだが、風太郎が悟飯より一足先に来ていたところだ。丁度焼きそば5人前を頼んでいる五月を目撃したところだ。ちなみにちゃんと5人用らしい。一人で食べるわけではないが、これからプールで遊ぶというのに1人1人前は多いのではないだろうか………?

 

五月「あ、あの…!上杉君、この水着はどうですか?あなたが急に言うものだから慌てて買ってきたんです。前のものは少々収まりきらなかったので……」

 

風太郎「……なんだ?そういうのは悟飯に聞けばよくないか?」

 

普段は鈍感なくせに何故かこういう時に限って察しのいい風太郎。

 

五月「そ、そうかもしれませんが…!!同じ男性として何か参考にならないかと………」

 

風太郎「まあ悟飯なら余程変な格好でもない限り問題ないだろ」

 

五月「なっ…!あなたは素直に人を褒めるということができないのですか!?少しは孫君を見習ってください!!」

 

風太郎は素直に褒めればいいものの、こうやって捻くれた回答をするため、相変わらず五月と風太郎は軽く言い争いをする。側から見ると痴話喧嘩をしているようにしか見えない。

 

風太郎「そんなこと俺に期待しないでくれ………」

 

一花「ねえ?そんなところで何してるの?」

 

五月「あっ、いち………ヒッ‼︎」

 

五月は何やら一花に怯えているようである。風太郎からは一花の顔が見えなかったので、何故五月が怯えているのか分からなかった。

 

一花「ねえフータロー君?五月ちゃんのぷよぷよした体よりも、お姉さんみたいに引き締まった身体の方がいいでしょ?」

 

風太郎「知らん」

 

一花「えー?ほんとかな〜?じゃあなんで目を逸らしてるのかな〜?」

 

風太郎「ニヤニヤしながら近づいてくるな!!」

 

一花は黒い水着に麦わら帽子を着用している。その水着も結構際どいやつで、一花と風太郎は先日の修学旅行の件もあるので、風太郎は多少は意識してしまうようだった。

 

五月「ぷよぷよって……!!私は太ってませんよ!!そんなに………

 

悟飯「お待たせ〜!!!」

 

五月「あっ!孫君遅いですよ!一体何故………………」

 

振り返った瞬間。五月は頭が真っ白になる。

 

何故真っ白になったのか?それは悟飯が余程変な格好をしてたから?いや違う。なら何故?

 

悟飯が全裸だったから?

 

それも違う。じゃあ何故五月の頭は真っ白になったのか?それは………。

 

 

 

 

 

 

ビーデル「わぁ………。結構混んでるわね〜…。なんで私を誘ってくれなかったのよ!!」

 

悟飯「い、いや〜……。元々7人で行く予定だったし…………」

 

何故かビーデルが悟飯と共にやってきたのだ。しかもご丁寧に水着まで用意している。

 

五月「あ、あの……?あなたはビーデルさんでしたよね……?何故、あなたが孫君と……………?」

 

ビーデル「悟飯君がプールに行くって言うから、私も同行させてもらったのよ」

 

この言い方だと、悟飯からビーデルに伝わったように聞こえる。実際それは間違いではないのだが、ビーデルが孫家を訪れてもう少し修行に付き合ってもらおうとした時、悟飯が丁度プールに出かけるところに遭遇。そこで話を聞きつけて付いてきたというわけだ。

 

五月「(何故彼女が孫君と…?一体何が目的なんでしょう……?)」

 

五月は何故ビーデルが同行したのかはいまいち分かっていない様子だった。それが幸いして、五月がビーデルに対して敵対的になることはないだろうが………。

 

三玖「ゴハーン!!」

二乃「ハーくーん!!」

 

悟飯「あっ、二乃さんに三玖さん!」

 

「「会いたかった!!」」

 

悟飯「うわっ!?」

 

しかし、そこに地雷がやってくる。二乃と三玖は悟飯を見つけ次第、全力疾走して悟飯に飛びつく始末。二人とも悟飯に夢中で近くにいたビーデルには気付いていない模様。

 

二乃「ねえ聞いて!コンタクトが流されちゃってよく見えないの。本当にハー君かしら?よく見せて?むしろよく見て!」

 

三玖「悟飯もプールに来てくれて嬉しいよ。暑いけど平気?日焼け止め持ってきたんだけど、使う?」

 

二乃「どう?似合ってる?」

 

三玖「私にも塗ってほしいな」

 

 

この二人。しばらく悟飯に会えていなかったからか、普段よりも積極性が増していた。

 

ビーデル「えっ……?」

 

そしてその様子を間近で見ていたビーデルは若干引いていた。

 

二乃「…………はっ?」

 

三玖「えっ……?なんで………?」

 

ようやくビーデルが視界に入ったようで、ビーデルを見るなり急に機嫌を悪くする(特に二乃)。

 

二乃「ちょっと、なんであんたがここにいるわけ?お呼びじゃないんだけど??」

 

ビーデル「何よ?別に私がプールに来ようが来なかろうが私の勝手でしょう?」

 

二乃「えー!確かにそうね。だったらハー君から離れなさいよ。今すぐに」

 

ビーデル「へえ?あなたのものでもないのに独占する気…?それってどうなの?重い女ね〜」

 

そして売り言葉に買い言葉とはよく言ったものか。二乃が先に挑発するとビーデルもそれに乗って喧嘩をする始末。

 

五月「や、やめてください!!ここは穏便に……!!!」

 

四葉「おーっと!!喧嘩はいけませんよ〜!!」

 

四葉は無理矢理二乃とビーデルの喧嘩を静止しようとするが、一向に言い合いを止める気配がなかった。すると、四葉は誰もいないプールを睨みつけて……。

 

四葉「……せやッ!!!!!!」

 

 

ドボォオオオオオオオンンッ!!!

 

 

二乃「!?ッ」

 

ビーデル「な、何ッ!!!?」

 

突然、近くのプールの水が爆発するように噴き出した。気の修行をしていたビーデルと、元々極めていた悟飯は犯人が誰なのか一瞬で分かった。

 

四葉「ししし…!喧嘩をする悪い子は、あんな風にプールの爆発に巻き込まれてしまうかもしれません!!仲良くしないとプールの神様が怒ってしまいますよ!!」

 

四葉は白い歯を見せながらとびきりの笑顔で喧嘩していた二人にそう言う。満面の笑みが逆に恐怖心を煽り……。

 

二乃「はい…………」

 

ビーデル「大人しくしてまーす………」

 

二人はようやく喧嘩をやめた……。ビーデルはともかく、四葉が気を扱えることを知らない二乃も本能的にやばいと感じ、大人しくなった。

 

悟飯「四葉さん、随分強引なやり方をするね………」

 

四葉「せっかくのプールですからね!ギスギスするよりも楽しみたいじゃないですか!」

 

悟飯「そ、そうだね………」

 

悟飯は初めて四葉に対して恐怖心を抱いたとか抱いてないとか………。

 

 

そのあとは、特に喧嘩するような事態にはならなかった。これも四葉のお陰なのだが、それでも二乃とビーデルの仲は良くなさそうだ。三玖は意外とビーデルと気さくに話をしているが、さりげなく敵視しているのが四葉にはよく分かった。とはいえ、二乃のように言い合いをするわけではないので咎めるようなことはしなかった。

 

二乃「ねえ、私のバイト先の店長さんが入院しちゃったのよ。今度お見舞いに行こうかと思うんだけど……」

 

風太郎「ああ、その話は聞いている。俺も近いうちに見舞いに行こうかと考えていたところだ」

 

どうやら二乃と風太郎のバイト先の店長が事故に巻き込まれたのか病気をしたのかは定かではないが、入院してしまったようだ。

 

悟飯「えっ?あの店長さん入院しちゃったの!?じゃあお店は!?」

 

風太郎「無論臨時休業だな…。店長抜きで営業するわけにもいかんしな」

 

悟飯「そっかぁ……。この前お世話になったし、僕もお見舞いに行こうかな……」

 

二乃「……!!ええそうね!そうしましょう!!」

 

二乃は悟飯も見舞いに行くと聞いたからか、先程までのテンションとは打って変わって高くなる。ちなみに、この前お世話になったというのは、五つ子が初めて赤点を回避した日の夜のことである。その日は店長の奢りで打ち上げをやったのだ。

 

ビーデル「あら、あそこの店長さん入院しちゃったの?あそこのケーキ地味に気に入ってたのに………」

 

五月「ええ!?何故ビーデルさんが、わざわざあそこのケーキ屋さんを!?」

 

五月はビーデルがわざわざ日本に来てまでケーキを食べていることに驚いているようだ。何やら仲間意識のようなものを抱いているようだが、ビーデルは五月のようにグルメではない。

 

ビーデル「たまたま寄っただけよ。あるブロガーが絶賛してたものだからね」

 

ちなみにビーデルが悟飯の活動域をほぼ特定した原因でもある。五月が悟飯とデート(悟飯は自覚なし)してテンションが上がっていたからか、グレートサイヤマンと一緒にいるとSNSに載せてしまったのだ。

 

二乃「たまたま………ね。どーせストーカーしてる時のついでに寄ったんでしょ?」

 

ビーデル「あんたねぇ……。流石にそろそろ怒るわよ?」

 

 

ドボォオオオオオオオオオン‼︎

 

 

「「!?!?」」

 

 

一花「えっ?何……?爆発……?」

 

三玖「事故かな………?」

 

風太郎「ここのプール大丈夫か……?」

 

四葉「………喧嘩するとプールの神様が怒ってしまいますよ!!」

 

二乃「………そ、そうね……。やっぱり楽しまないとね……」

 

ビーデル「………私は悪くないわよね、これ……?」

 

またしても四葉が気を応用して爆発させたようである。しかも人がいないところをピンポイントで爆発させてるあたり、本当に気を極められているのだろう。もう立派なZ戦士の仲間入りだ。

 

二乃はすっかり大人しくなってしまったが、ここで問題が発生。

 

ウォータースライダーに来た一向だが、なんと2人1組で滑るらしい。これによって五つ子とビーデルによるジャンケンが行われることになった。ちなみに二乃は何故ビーデルが参加することになっているのか不満になっていたようではあるが、四葉の笑顔が二乃に向けられた為考えることをやめた。

 

 

じゃんけんの結果だが………。

 

 

一花「それじゃ一緒に行こうか、フータロー君!」

 

風太郎「おい待て。俺は悟飯とだな…」

 

一花「せっかく目の前に美少女がいるんだから、そっちと一緒にならないと損だよ?」

 

 

 

三玖「むぅ……」

 

五月「……むむっ…。羨ましいです」

 

 

 

二乃「勝利の女神は私に微笑んだようね!」

 

悟飯「は、ははは…………」

 

 

 

風太郎&一花、五月&三玖、二乃&悟飯、ビーデル&四葉という組み合わせで落ち着いた。

 

 

一花「ほら、フータロー君。美少女のお腹だよ?」

 

風太郎「その言い方やめろ」

 

 

一花はボディチェンジされたからなのかは定かでないが、やや暴走気味に感じる。一花は二乃のことを暴走機関車だと称していたことがあったが、人のことを言えない気がする。

 

 

五月は滑る時に怖がっていたので、三玖が姉らしく手を繋いでいた。

 

 

二乃「きゃーー!!怖いから手を握って♡」

 

悟飯「……(その割には笑顔だな…)」

 

そんな悟飯も自然と頬が緩んでいることに気が付いていない。

 

 

 

一方で、ビーデル四葉ペアは………。

 

 

四葉「あの、つかぬことをお伺いしてもよろしいでしょうか?」

 

ビーデル「そんなに畏まらなくてもいいわよ。それで?」

 

四葉「何故ビーデルさんは孫さんと共にここに来たんですか…?やっぱり孫さんのこと………」

 

ビーデル「あら……。気付かれちゃってたか………。私って分かりやすいのかしら………」

 

四葉「ということはやはり………!!」

 

ビーデル「ええ。私も悟飯君のことが好きになっちゃったみたい」

 

恋話をしていた。しかも滑っている最中に………。

 

ビーデル「でもね。ただ悟飯君が好きだから付いて来たわけじゃないの」

 

四葉「と言いますと?」

 

ビーデル「この前京都でも会ったでしょ?その時から悟飯君に好意を向けている子は最低3人いることは分かってたわ。だから確かめたかったの」

 

四葉「確かめる……?」

 

四葉はビーデルの言っている意味がいまいち理解できていないようで、オウム返しになってしまっている。

 

ビーデル「悟飯君があの3人の中で誰かしら意識してるんじゃないかって。今日来て分かったわ。やっぱり悟飯君はあの3人の中の誰かしらに既に惹かれているみたいね」

 

ビーデルは一瞬悲しそうな顔をした。だがすぐに笑顔に切り替わる。

 

ビーデル「きっと私じゃこの恋は叶えられない……。だから身を引くことにしたの」

 

四葉「そ、そんな…!!でも孫さんのことが好きなんですよね…?」

 

ビーデル「ええ。私を"私"として接してくれたのは彼が初めてだからっていう安直な理由だけどね……。ほら、私はMr.サタンの娘として有名でしょ?だから私は『サタンの娘』として見られることは多々あっても、『ビーデル』という一人の女の子として見てくれる人はいなかったのよ…………」

 

四葉「ビーデルさん…………」

 

ビーデル「正直未練が残らないって言ったら嘘になる。でもね、悟飯君の楽しそうな顔を見たら、潔く諦められる気がしたの」

 

四葉は複雑な思いだった。自分もつい最近までは似たような気持ちを抱いていたからだ。

 

ビーデル「そんな悲しい顔しないで。私はこれでいいと思ってるのよ」

 

四葉「いいんですか…?苦しく、ないんですか………?」

 

ビーデル「心配してくれるのね…。でも大丈夫。私はMr.サタンの娘のビーデル様よ?この程度で心が壊れるほど柔じゃないわ!」

 

ビーデルの顔は四葉がよくするような取り繕った笑顔ではなかった。四葉は自分がよくやっていた顔だから瞬時に理解した。目の前のビーデルという少女は本当に気持ちに踏ん切りがついたようだ。それは満面の笑みが証明していた。

 

 

スライダーで滑り終わった後、しばらくプールで遊び回り、その日は解散となった。ビーデルとはプールを出たらそのまま別れた。

 

風太郎と四葉は日焼け止めを塗っていなかった為に日焼けしていた。悟飯も丁度いい感じで日焼けしていた。

 

 

 

 

 

 

 

プールの日の次の日……。悟飯はケーキ屋の店長のお見舞いに行くことになっていた。

 

悟飯「やあ上杉君」

 

風太郎「悟飯か。お前はわざわざ見舞いに来ることもないだろう?」

 

悟飯「でも、あの日はお世話になったしね………」

 

風太郎「相変わらず変に律儀なやつだな」

 

二乃「お待たせ」

 

風太郎がそんな軽口を叩いていると、二乃が病院に到着した。

 

悟飯「やあ二乃さん。今日は珍しく遅かったね?」

 

二乃「はっ?ちょっとくらい遅れてもいいじゃない。器の小さい男ね」

 

悟飯「………あれ?」

 

しかし、何やら二乃の様子がおかしい。というより戻ったと言った方が適切かもしれない。

 

二乃「暑いんだから中で待てばいいのに、ホント頭が回らないのね」

 

悟飯「………んん??」

 

悟飯は違和感を拭いきれなかった。自分は二乃を不機嫌にさせるようなことをしたのだろうか?と自身の行動を振り返ってみたが、特に思い当たる節はなかった。

 

一方で、そんなやりとりを見ていた風太郎は…………。

 

風太郎「(押してダメなら引いてみろを実践してやがる……!!!)」

 

同じ本か記事でも読んだのか、二乃の意図がよく分かったようである。しかしそんな事情を知らない悟飯は困惑している。

 

二乃「ほら、いつまでも突っ立ってないで病室に行くわよ、孫」

 

ちなみに風太郎に対してはいつも通りの二乃である。

 

 

 

店長「やあ二人とも。元気にしてたかい?それから孫君はわざわざお見舞いありがとう」

 

悟飯「いえ、この前お世話になったので……」

 

風太郎「お怪我の具合は?」

 

店長「あとは術後の経過を診るだけだよ」

 

二乃「うわ、痛そう………」

 

店長は大丈夫だというが、左足は包帯によってぐるぐる巻きにされているところから見ると、結構な重症だったようである。

 

二乃と風太郎は流れるようにしてお見舞いの品を渡す。悟飯は果物を持ってきていたので、それを渡そうとするが……。

 

二乃「うわっ、店長は怪我してるのに果物だなんて気が利かないわね。切る人がいる時じゃないと食べれないでしょ?ホント気が利かないわね」

 

二乃がいちいち文句を言ってくるので、悟飯は本当に何かしたのではないかと脳をフル回転させる。

 

店長「孫君」

 

店長はちょいちょいと手招きをする。その意図を汲み取って店長に近づく。すると店長は小声で話し始める。

 

店長「どうした?喧嘩でもした?」

 

悟飯「いえ、それはないと思いますけど………」

 

店長「隠さなくてもいいよ」

 

悟飯「いや、本当に違うんですって」

 

 

 

二乃「あー喉乾いたわ。孫、あんた何か買ってきなさいよ」

 

悟飯は言われた通りに水を買ってきた。すると………。

 

二乃「はあ?お水って言ったら常温に決まってるでしょ?ったく、こんなこともできないなんて、使えないわ。役立たず」

 

悟飯「………………」

 

悟飯は少しショックを受けていた。好かれていたはずの人から繰り返される罵倒。悟飯は少々胸が苦しくなった。

 

風太郎「おい二乃。いい加減にしろよ。いくらなんでもやりすぎだ」

 

二乃「うっさいわね。何しようが私の勝手でしょ?」

 

悟飯「に、二乃さん…?僕何か怒らせるようなことしちゃったっけ?何かしたなら謝るから、教えてくれないかな?」

 

悟飯は本当に心当たりがなかった為、二乃に聞こうとするが……。

 

二乃「うわっ、触んないでよ」

 

悟飯「  」

 

二乃「じゃあ私は自分で買ってくるわ」

 

二乃は言うだけ言うと一旦病室を出た。

 

風太郎「悟飯?おーい、悟飯?」

 

一方、悟飯は相当ショックを受けたらしい。それも当然だろう。つい先日までグイグイきていたものが、いきなり嫌われてみよう。誰であろうと少しはショックを受けるだろう。

 

店長「本当に心当たりはないのかい?もしくは、何もしなかったんじゃないかい?」

 

悟飯「何も……してない?」

 

店長「そうか…。断言しよう。彼女は怒っているよ」

 

悟飯「………まあ、あの様子じゃそうですよね…………」

 

店長「よーく耳を澄ましてごらん。聞こえるはずさ。彼女の心の叫び声がね」

 

 

 

 

 

二乃(やりすぎた〜!!)

 

これが二乃の心の叫び声である。どうやら風太郎の読み通り、二乃は押してダメなら引いてみろを実践したようだ。

 

二乃「(うわー…!触んないでって言っちゃった!!どうしよう、嫌われちゃったかしら……?でも私に振り向かないハー君が悪いんだからね…!)」

 

二乃は両手で頬を抑えながら自身の行動を後悔するも、前向きに捉えて作戦を継続することを決意する。

 

二乃(それにしても演技だとしても辛いわ……。ハー君を好きになる前でもあんな酷いことは言わなかったもの)

 

 

 

『なに?君もストーカー?』

 

『しつこい。君もモテないっしょ?早く帰れよ』

 

『私達に対して愛があるってこと?なんかキモいんですけど………』

 

 

 

二乃「……うん。言ってなかったわ」

 

頭に何か浮かんだようだが、二乃は存在しない(と思われる)記憶を抹消した。都合が良すぎる気がするが気にしないでいただきたい。これが中野二乃という人間である。

 

 

「二乃君」

 

二乃は不意にそう呼ばれる。

 

二乃「パパ?」

 

マルオ「ようやく帰ってきてくれたみたいだね。一花君から連絡をもらっているよ。考え直してくれたみたいで嬉しいよ」

 

二乃「……それならなんでパパはいないの?」

 

マルオ「毎日帰りたいところだが、生憎忙しくてね。元々あそこは君達用に購入した"部屋"だ。好きに使ってもらって構わないよ」

 

二乃「そんな、部屋なんて………」

 

マルオ「おっと、すまない。もう行かなくては……」

 

二乃「……明日も忙しいの?」

 

マルオ「……ああ」

 

マルオと会話し終わると、ふと後ろから悟飯が現れる。

 

二乃「ハー……ゴホンッ!!なによ孫。用があるなら声掛けなさいよ」

 

悟飯「………」

 

しかし、悟飯は二乃に気付かずに素通りした。

 

二乃「えっ?ちょ、ちょっと!?聞いてる!?」

 

悟飯「あっ、二乃さん………」

 

二乃「ちょっと!私を無視するなんていい度胸ね!人の話はしっかり聞きなさいよ!そんなんだからダメだって言われるのよ。ホント鈍臭いわね」

 

二乃は相変わらず押さずに引いて悟飯の気を引こうとしているが………。

 

悟飯「……無理しなくていいんだよ?」

 

二乃「………えっ?」

 

悟飯は凄く辛そうな顔をして、しかし何かを決心したような顔をしていた………。

 




 もう70話だと……?つい最近まで最新話は50話とかじゃなかったっけ……?時の流れが恐ろしく早い…。

 さて、海、プールの後は原作通り二乃のツンデレツンが発揮されましたが、最後を見れば分かると思いますけど何やら不穏な雰囲気になっています。前回の後書きでも言いましたが、今回のツンデレツン回はちょっとシリアスになってます。解釈違いが発生しないかマジで心配であります…。どうか温かい目で見てやって下さい…。

 ちなみにpixivの方で考察メッセージを送ってもいいかと言われたのでここでも言っておきます。コメントや感想欄でなければ構いませんが、花嫁の答えは本編で判明させるまでは誰にも教えるつもりはないので、考察が合っていても間違っていても曖昧な反応になってしまいます。それでもよろしければご自由にどうぞ。
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