孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

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 前回のあらすじ…。
 クラスメイト達と海を楽しんだ悟飯は、風太郎と共に五つ子とプールに行くことになった。そこでビーデルの乱入もあって不穏な雰囲気になりかけだが、四葉の機転でなんとかそれは避けられた。
 後日、ケーキ屋の店長が入院したことを知った悟飯はお見舞いに行くことになった。そこには当然バイトとして働いている風太郎と二乃もいたのだが、二乃は悟飯に対して何やら当たりの強い様子。それは二乃なりの悟飯の気を引く作戦だったのだが…………。



第71話 誤解とは恐ろしいものである その2

悟飯「……無理しなくていいんだよ?」

 

二乃「………えっ?」

 

悟飯は凄く辛そうな顔をして、しかし何か苦渋の決断をしたような顔をしながら二乃にこう伝える。

 

悟飯「まさか二乃さんがそんなに僕のことを嫌っていたなんて思わなかった。今まで気を使わせちゃってごめんね……」

 

悟飯は段々声量が小さくなってきたが、それでも二乃に伝えきる。すると悟飯は再び外に向けて歩き出す。

 

二乃「ま、待って!!」

 

二乃は悟飯の手を取って悟飯の歩みを止めた。

 

二乃「まだ話は終わってないわよ!何勝手に…………」

 

 

ブン‼︎

 

二乃「………………えっ?」

 

悟飯は二乃の手を無理矢理振り解くように強引に手を振る。

 

悟飯「無理しなくていいって。触られたくないくらいに僕のことが嫌いなんでしょ?」

 

二乃「えっ、ちょっと……」

 

二乃は再び歩み始めた悟飯を止める為に手を掴もうとする。しかし、悟飯はそれを綺麗に避けた。

 

二乃「ねえ!待って!!話を聞いて!!」

 

悟飯「………僕に構わないで」

 

二乃「………!!!!」

 

悟飯は弱々しくそう言った。

 

悟飯「触りたくないんでしょ?なら、無理して触らなくていいよ。僕なんかいない方がいいでしょ……?」

 

悟飯は弱い勢いでそう言うと、今度こそ病院を後にした。二乃は追わなかった。いや、追えなかった。

 

悟飯は、二乃が自分のことを嫌ってしまったと本気で思い込んでしまったのだろう。そう思ったから、悟飯は二乃を突き放そうとしたのだ。自分が近くにいることで二乃が傷ついてしまうのは、悟飯自身が許せなかった。

 

 

二乃「待って……!待ってよ…………!」

 

一方で、二乃は好きな人に嫌われてしまったのだと思ってしまった。先程までの自分の行動から考えてみれば何もおかしくなかった。二乃は愛する人に嫌われてしまったのだと思い込み、その場に座り込んで啜り泣くことしかできなかった。

 

その光景に周囲が騒ついていた。それに気付いた風太郎は何事かと興味本位で覗き込んで見ると、そこには床であろうがお構いなしにその場に座り込んで泣いている二乃が見えた。

 

風太郎「二乃!?どうした!?何があったんだ!?」

 

二乃「上杉…………」

 

二乃は涙が流れていようとお構いなしだった。今はただ話を聞いてくれる人が欲しかったのだ。

 

二乃「聞いて………。私ね、本で読んだ作戦を実行してみたの……。そしたら、ハー君に嫌われちゃった……………」

 

風太郎「はぁ!?悟飯がお前を嫌うだと!?そんな馬鹿な…!!!」

 

風太郎は知っている。家庭教師を始めたばかりの頃、二乃は悟飯にも強く当たっていたものだ。それでも悟飯は二乃に対して不快感は一切感じるようなことはなく、むしろどうすれば二乃と仲良くなれるか、そればかり悩んでいたのを風太郎は知っている。

 

風太郎「悟飯が嫌うわけないだろ…!!きっとお前がやりすぎちまったから、悟飯はお前に嫌われたと思っちまってるだけだって!!」

 

二乃「でも………!」

 

風太郎「お前らよりも1年間だけとはいえ、近くにいたからこそ分かる!!悟飯はお前の為に敢えて避けてるんだよ!悟飯はお前に嫌われていると思っているから、出来るだけ関わらないようにしようとしてるんだよ!!」

 

二乃「慰めなんていらない………。私は彼に嫌われちゃったのよ………」

 

風太郎「なんであいつの意見も聞かずに勝手に決めるんだよ!!一回話し合え!!そしたら誤解は解けるはずだ!!」

 

二乃「無理よ……。だって私はハー君に………嫌われちゃったのよ……!!」

 

二乃は"自身が思い込んでいる事実"を復唱し、その度に涙を流す。風太郎はどうにかできないかと頭を悩ませていたところに………。

 

四葉「話は聞かせてもらいました」

 

風太郎「四葉…!」

 

四葉「二乃、孫さんと話をしよう」

 

二乃「いやよ……。私は彼に嫌われちゃったもの…………」

 

四葉「二乃ッ!!!

 

二乃「!?」

 

四葉は啜り泣く二乃に対して咆哮するように大声で名前を呼ぶ。

 

四葉「二乃の好きな孫さんは、すぐに二乃のことを嫌いになるような人なの!?孫さんはそんな薄情な人だったの!?二乃は自分の好きな人のことを信じることはできないの!!?」

 

二乃「四葉……………」

 

風太郎「お前………」

 

四葉の言葉に目を覚ましたのか、二乃は手で涙を拭いてゆっくり立ち上がる。

 

二乃「…………ありがとう。いつもの私らしくなかったわ」

 

四葉「うん。それじゃあ早速行こうか」

 

二乃「行くって、ハー君の家に…?」

 

四葉「うん!孫さん本人とちゃんと話し合わないと!お互いに誤解してるみたいだし!!」

 

風太郎「そうだな。しっかり話し合ってこい」

 

二乃「上杉………。さっきは話を聞いてくれてありがとう」

 

風太郎「礼なんていらねえから、早く行ってこい」

 

二乃「……ありがとう」

 

二乃と四葉は病院から出ると、四葉は二乃をおんぶして舞空術で孫家に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

二乃「ちょっと待って?四葉、あんたいつ空を飛べるようになったのよ?」

 

四葉「これは色々あってね…。後で話すよ。取り敢えず今は飛ばすから、しっかり掴まっててね!」

 

そう言うと、四葉は今出せる全速力を出す。

 

 

 

 

 

 

悟飯「ただいま……」

 

悟天「兄ちゃんお帰り!」

 

悟飯が家に帰ると、悟天が笑顔で出迎える。悟飯はいつもならそんな悟天の頭を撫でてやるのだが………。

 

悟天「………兄ちゃん?」

 

今日はそれをしなかった。

 

悟天「………兄ちゃん、何かあったの?」

 

悟飯「いや、何もないよ。今日は勉強に集中したいから、ちょっとほっといて」

 

悟飯は手短にそう言うと、自室に向かおうとする。

 

チチ「あっ、悟飯。帰っただか。今日の晩飯は何がいいだ?」

 

悟飯「何でもいいよ」

 

悟飯は普段は何かしら希望メニューを言うのだが、今日はそっけなかった。そんな悟飯の異常に気が付き、チチは何かあったのかと聞く。

 

悟飯「だから何もないよ」

 

悟飯はそう言うと、自室に入った。

 

悟天「……今日の兄ちゃん、何か変だよ」

 

チチ「んだ…。何かあったみてえだな。そういえば、今日は病院にお見舞いに行くって言ってたべな…。もしかして、容態がよくなかったんじゃ……」

 

 

 

コンコン

 

不意にノック音が聞こえたので、チチは玄関のドアを開ける。

 

四葉「どうも、すみません」

 

チチ「んだ?四葉さ…?どうしただ?今日は修行の日じゃないはずだけど…」

 

四葉「それがですね、孫さんとお話したいという人を連れてきたんですけど……」

 

四葉がそう言うと、四葉の後ろからひょこっと二乃が姿を現した。

 

二乃「ど、どうも…。こんにちは」

 

チチ「んだ。確か二乃さだったか?話なら電話でもすればいいのに……」

 

二乃「いえ。直接お話がしたくて……」

 

チチ「ああ……」

 

チチはこの段階でなんとなく察した。悟飯と二乃が喧嘩をしたのだろうか?詳しいことは聞かずにチチは家の中に二乃を招き入れようとするが……。

 

悟天「………もしかして、兄ちゃんが変なのは二乃さんのせいなの?」

 

二乃「………そうよ」

 

悟天「じゃあ嫌だ。帰って」

 

チチ「ど、どうしただ悟天ちゃん?」

 

今まで静かだった悟天だが、急に二乃を睨み始める。

 

悟天「兄ちゃんがあんな悲しそうな顔をしてるのは二乃さんのせいなんでしょ?なら会わせたくない」

 

二乃「確かに私のせいよ…。でも会ってちゃんと話をしたいの…!」

 

悟天「いやだよ。忘れたなんて言わせないよ?僕は兄ちゃんが初めて家庭教師に行った時に、二乃さんに睡眠薬を盛られたことを知ってるんだからね?」

 

チチ「えっ…?それ、本当だか…?」

 

悟天「それだけじゃないよね?生徒の一人でも赤点を取ったらクビっていうノルマをつけられた時、二乃さんはわざと手を抜こうとしたよね?」

 

悟天が話しているのは、いずれも二乃がまだツンツンしていた頃の話である。二乃は過去の自分がしたことを否定するつもりはなかったが、このタイミングで痛いところを突かれた。

 

悟天「はっきり言うとね、僕は二乃さんのこと嫌いなんだ。だっていつも兄ちゃんに迷惑をかけてるんだもん」

 

チチ「悟天ちゃん…!なんてこと言うだ!!」

 

悟天「些細なことなら我慢したよ。兄ちゃん自身が気にしてないならいいって思ってた。でも今日は違った。いつも笑顔で帰ってくる兄ちゃんが今日は悲しそうだった。辛そうだった」

 

ここで明かされた新事実。なんと、悟天は二乃のことを嫌っていたらしい。子供というのは好き嫌いが激しいもので、二乃の印象はよくないものだった。出会ったばかりの頃の二乃の印象が脳裏に焼き付いているのだ。

 

悟天「はっきり言って、あれだけ兄ちゃんのことを嫌って散々嫌がらせをしてきたくせに、好きになったら態度を変えるって都合良すぎない?それで今度は兄ちゃんにあんな顔をさせて…!!もう我慢の限界だよ……!!!」

 

悟天は悟飯のことが大好きだし、尊敬している。だからこそ、悟飯を傷付けた(と思われる)二乃という存在が許せなかったのだろう。悟天は敵意を隠すことなく二乃に向ける。二乃は子供にそんな視線を向けられるとは思っていなかったようで、完全に先程の勢いをなくしてしまっている。

 

でも、それは過去の自分が悟飯と風太郎に向けたものと同じものだった。それを理解してしまったから、余計に萎縮してしまった。

 

悟天「………………でも」

 

先程まで二乃を散々責めていた悟天だったが、ここで一旦落ち着いた。

 

悟天「最近の兄ちゃんはね、よく二乃さん達のことを話すんだ。いつも笑顔で、楽しそうに……。最近の兄ちゃんの笑顔は二乃さん達が作ったものだって僕は知ってる。だからチャンスをあげる。次兄ちゃんを悲しませたら、もう2度と会わせてあげない」

 

二乃「………ありがとう」

 

二乃は一言悟天に礼を述べると、ゆっくりと家に上がった。チチに悟飯の部屋の場所を聞き、そこに向かった。

 

 

チチ「……悟天ちゃん。いつの間に大人になっただ………?」

 

悟天「………僕はまだ二乃さんを許したわけじゃないんだからね」

 

四葉「悟天君……。偉すぎます…………」

 

一方で、途中まで年相応の対応だったが、急に大人な対応をし始めた悟天に、チチと四葉の二人はただただ感心するしかなかった。二乃のことを嫌いとは言っても、どうやらそこまで嫌っているわけではないようだ。

 

 

 

 

 

二乃「あの……。二乃だけど、入ってもいいかしら……?」

 

悟飯「………どうぞ」

 

ノックをして、悟飯の了承を得ると、二乃はゆっくりとドアを開けて慎重に入る。好きな人の部屋に初めて入れたところで本当なら大喜びしたいところだが、今日はその為にここに来たわけではない。

 

二乃「…………さっきはごめんなさい。私はあなたのことなんて嫌ってないの!ある本を読んで『押してダメなら引いてみろ』って書いてるのを見て、それを実践してみただけなの……。でもハー君を傷付けたのは紛れもない事実よ……。本当にごめんなさい………」

 

二乃は悟飯に対して深々とお辞儀をする。二乃はそれだけ真剣に悟飯に謝罪をしたかったのだ。

 

悟飯「……じゃあ、僕のことを嫌ってるわけじゃないの?」

 

二乃「うん。今でも変わらずあなたのことが大好きなの。あんなことをした後で虫が良すぎるかもしれないけど……。例えあなたに嫌われることがあっても、どうしても謝りたかった……」

 

悟飯「………そっか。なんだ……。嫌われちゃったのかと思ったけど、そうじゃなかったんだね………。良かった………」

 

悟飯は思い詰めていたような顔から一転し、ホッとしたような顔つきになった。悟飯から徐々に笑顔が戻ってくる。

 

二乃「良かったって…。それ、どういう意味………?」

 

悟飯「だって、最初は二乃さんは僕のこと嫌ってたじゃん?それが長い時間かけてようやく仲良くなれたと思ったのに、また嫌われちゃったのかと思ったら、なんか悲しくなっちゃって……」

 

二乃「ごめんなさい……。私の身勝手な行動のせいでハー君を傷付けた………」

 

悟飯「もういいよ。気にしてないから」

 

悟飯はすっかりいつもの調子に戻ったようだ。それでも二乃は謝り続けた。

 

二乃「本当に、許してくれるの?私のこと、嫌いになってない?」

 

悟飯「ははは………」

 

悟飯は静かに笑うと、手を二乃の頭に乗せて、ゆっくりと撫でながら言う。

 

悟飯「大丈夫だよ……。僕が二乃さんのことを嫌いになるなんて、絶対にあり得ないから。だから安心して?」

 

二乃「…………」

 

二乃は悟飯の胸に顔を埋めてしばらく泣き続けた。悟飯はそんな二乃を優しく抱き寄せて頭を優しく撫で続けた。

 

 

そんな会話をこっそり聞き耳を立てて聞いていた者が約3名いた。

 

チチ「んだ…。仲直りできたみたいだな……」

 

四葉「ありがとうございます…。チチさん」

 

チチ「オラはなんにもしてねえだぞ」

 

悟天「………ふん。これで少しは懲りたかな…」

 

四葉「あはは……。手厳しいですね……」

 

悟天はまだ二乃のことを認めてないように見えるが、実際はそうでもなかった。なんだか悟天がツンデレっぽく見えるが、決してツンデレではない。ちょっと怒っているだけである。

 

 

 

四葉「ところで、何故二乃が睡眠薬を盛ったことを知ってもチチさんは怒らなかったんです?」

 

チチ「……そ、それはあれだべ!オラも似たようなことをしたことがあったから、自分のことを棚に上げて怒ることはできなかっただ……」

 

四葉「一体何をしたんですか!?」

 

詳しくは第22話をご覧ください。

 

 

 

 

 

それから何分、何時間経っただろうか…?

 

二乃「………あれ?私、いつの間に……」

 

二乃はあれからずっと悟飯の胸に顔を埋めていたが、いつの間にか眠ってしまったようである。窓を見てみると、既に月明かりが外を照らしていた。

 

二乃「やばっ…!あの子達に晩ご飯作らなきゃ……!!」

 

悟飯「その必要はないよ」

 

二乃が起きたことを察知し、悟飯は勉強を中断して二乃に話しかける。

 

悟飯「四葉さんが事情を話してくれていると思うよ。だから焦って帰ることもないよ」

 

二乃「そ、そう………」

 

二乃は自身にかけられた毛布を取って起き上がる。そして好きな人が普段寝ているベッドで眠ってしまったのかと考えると、少し恥ずかしいような、そして嬉しいような気持ちになる。

 

悟飯「良かったら晩ご飯食べていきなよ」

 

二乃「えっ?でも………」

 

悟飯「お母さんはすっかりその気だから。お母さんの料理も美味しいんだよ?」

 

二乃はチチの配慮を無下にするわけには行かないとは思いつつも、一つ懸念があった。

 

二乃「私、どうやら悟天君に嫌われてたみたいなの。だから私がいると迷惑だと思うんだけど………」

 

悟飯「あはは…。こう言うと自慢になっちゃうかもしれないけど、悟天はお兄ちゃんっ子だから、今日の僕の様子を見てそう言っただけだと思うんだ。もしも本当に嫌いなら、二乃さんを家にあげるようなことはしないと思うよ?」

 

二乃「……そうかしら」

 

悟飯「うん。だから変に遠慮する必要はないよ」

 

二乃「………分かった」

 

二乃は今日の一件があったからだろうか?いつもよりもしおらしくなっている。

 

 

二乃は最初は遠慮していたが、チチに押されることによって夕食は孫家で共にすることになった。悟天は特に何も言わなかったので大丈夫なのだろう。悟飯の言う通り、確かにチチの料理は美味しく、下手すると自分よりもよっぽど上手なのではないかと思ってしまう程だった。

 

 

二乃「ご馳走様でした。今日はわざわざありがとうございます」

 

二乃は律儀にお礼を言うと、帰宅の準備をするが……。

 

チチ「今日はもう遅いから泊まってくといいだ」

 

二乃「えっ…?いや、それは流石に……」

 

普段の二乃なら、この機を逃すような真似はせず、むしろ自分から泊まることを提案しただろう。しかし今日の二乃はどこか遠慮気味だ。

 

悟天「………別にいいんじゃない?」

 

二乃「えっ?でも、私のこと嫌いって…………」

 

悟天「……兄ちゃんに迷惑をかける人が嫌いなだけであって、別に個人的には二乃さんを嫌っているわけじゃないよ」

 

チチ「ほら、悟天ちゃんもこう言っていることだし、遠慮しなくてええべ?」

 

二乃「………ハー君は、どう?」

 

悟飯「えっ?僕……?」

 

悟飯は普段の二乃が相手なら、泊めるようなことはせずに帰していただろう。しかし、今日の二乃は自分が早とちりをして勝手に誤解したせいで傷付いてしまった。一応誤解は解けたとはいえ、アフターケアも必要なのかと考えると、今日だけは許してもいいのかと考えてしまう。

 

しかし、付き合ってもいない異性を泊めるのはいかがなものかとも考えてしまう。無論、五月の時は例外だが…。

 

チチ「んだ。悟飯がダメじゃないならいいだな」

 

悟飯「えっ?僕はまだいいって言ってないんだけど………」

 

チチ「なんだ?どうしてもダメだか?」

 

悟飯「いや……。でも………。まあ、今日くらいなら………」

 

チチ「ということだから、遠慮する必要はねえだぞ!」

 

二乃「……お、お世話になります……」

 

こうして二乃は孫家に泊まることになった。

 

それぞれ入浴を済ませた後に、そろそろいい時間になったので寝ようかという時……。

 

チチ「んじゃ、悟天ちゃんは今日はお母さんと寝るだぞ〜!」

 

悟飯「えっ?お母さん……??」

 

チチは悟飯に近づいて耳元で……。

 

チチ「乙女の心は結構繊細なんだべ。だから悟飯がしっかりアフターケアをしてやるだぞ」

 

悟飯にだけ聞こえるようにそう言うと、チチは悟天を連れて寝室に入った。五月の時のような半分ふざけた様子ではなく、今回は真剣な表情だった。

 

 

 

悟飯「はぁ…………」

 

悟飯は自分の甘さに嫌気がさしていた。本来なら二乃と別部屋にするべきだ。それは火を見るよりも明らかなのだが、今日のしおらしい二乃を見るとどうしてもそんな気にはならなかった。

 

二乃「………ねえ、寝ないの?」

 

悟飯「あっ、そろそろいい時間だね…。僕はその辺で適当に寝るから、二乃さんはベッド使っていいよ」

 

二乃「いや、そんなことしたら……」

 

悟飯「大丈夫。僕は外でも寝たことあるからさ」

 

悟飯は五月の時のような事態を防ぐ為に、二乃と距離を置くように心がけるが、二乃が悟飯の服の裾を掴んでくる。

 

二乃「…………今日は、一緒に寝て……」

 

悟飯「えっ?いや、何を言ってるの…?」

 

二乃「私が悪いのは分かってるんだけど、またハー君が私の前からいなくなっちゃうんじゃないかって不安になるの……。だから、今日は一緒に……ダメかしら……?」

 

二乃は弱気で、上目遣いで悟飯に訴えかける。

 

悟飯「……………ただ寝るだけだからね」

 

二乃「………うん」

 

悟飯はいつもの二乃ならば拒否していただろうが、今日の二乃はしおらしいので、間違いは起きないだろうと考え、二乃の精神状態のことも考慮して今日だけは一緒に寝ることにした。

 

ベッドに入るなり、二乃はさっきから悟飯を離そうとしない。悟飯は一時は二乃に離れるように言うが、寂しそうな顔をするのを見てしまうと、どうしても甘やかしてしまう。

 

悟飯が離れないことが分かると、二乃は安心したように意識を落とし、寝息を立て始めた。

 

悟飯「はぁ……。あんな顔をされちゃうとどうしても甘やかしちゃうなぁ…」

 

二乃「んん………。ハー君………。いなくならないで………。ずっとそばにいて……」

 

二乃が起きたのかと思って耳を傾ける悟飯だが、すぐに寝息を立て始めた。どうやら二乃の寝言だったようだ。二乃は不安そうな表情で眠っている。

 

悟飯「…………大丈夫。いなくなったりしないよ」

 

悟飯は二乃を起こさないようにそっと呟くやきながら二乃の頭を優しく撫でると、二乃は安心したような顔つきになり、そこからは寝言は発しなかった。

 

悟飯「………僕は本当に甘いなぁ…」

 

悟飯もそのまま眠りについた……。

 

 

 

 

朝になった。

 

外の動物達が既に活動を開始している。そんな中、チチは今日も息子達に朝食を提供する為に早起きをして料理をする。美味しそうな匂いが漂ってくると、二乃は丁度目を覚ました。

 

二乃「あっ…。やば、あの子達に朝ご飯を作らないと………」

 

二乃は焦って起床するが、腕に違和感を覚える。何故か隣に自分の好きな人がいて驚くが、記憶を掘り起こして納得する。

 

二乃「……最近は修行をする為に早起きをするって言ってなかったっけ……?」

 

悟飯が以前そんなことを言っていたような気がするが、今日はゆっくり寝ているようだ。

 

二乃「…まさか、私の為に……。ほんとお人好しなんだから……。どれだけ私を好きにさせれば気が済むのよ………」

 

悟飯を起こさないようにそっと顔に近づき、頬にキスをする。

 

二乃「……尚更引けなくなるじゃない。絶対好きにさせてみせるわ………」

 

一連の行動を済ませると、二乃はチチの朝食の準備を手伝う為に、部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

悟飯「……………………」

 

悟飯は運がいいのか悪いのか、二乃がキスする直前に目を覚ましたのだが、起床していることがバレると面倒なことになりそうだったので狸寝入りをしていた。

 

悟飯「ははは…。参ったなこりゃ……」

 

 

 

 

 

二乃「あら、おはよう」

 

チチ「朝ご飯できてるだぞ〜」

 

悟飯「おはよう……」

 

悟飯は少し時間を置いて起床した。いつものように椅子に座って朝食ができるまで待機するのだが……。

 

二乃「………ふふっ」

 

悟飯「……!!?」

 

二乃が不意に投げキッスをするものなので、悟飯は先程のことも思い出して顔を赤くしてしまう。

 

チチ「………(んだ。2人ともすっかり元気になったみたいだな)」

 

チチはその光景を微笑みながら見ていた。

 

二乃「はい。できたわよ。このお味噌汁は私が作ったのよ?」

 

悟飯「いただきます………」

 

悟飯は一礼をすると、まずは味噌汁を口に運んで、体を内側から温める。

 

悟飯「…………おいしい」

 

二乃「ふふっ……。もっと食べていいのよ?」

 

悟飯が食事する光景を、二乃は両手で頬杖をつきながら笑顔で眺めている。その光景は、旦那の為に料理を用意した健気な妻を連想させるものだった。側から見れば2人は恋人……否、夫婦に見える。

 

チチ「…………若いっていいだなぁ…」

 

2人に聞こえないように、チチはそっと呟いた。

 

悟天「…………なんか兄ちゃん達、夫婦みたい」

 

悟飯「……!!?ゴホッゴホッ!!な、何を言ってるんだよ悟天!!?」

 

二乃「あらやだ、夫婦だなんて……♡」

 

悟天の唐突な発言に悟飯は慌て、二乃はポッとする。チチは2人の邪魔をするでねえと静かに悟天を一度注意してから、食事の場に座らせた。

 

 

 

 

二乃「今日はお世話になりました」

 

チチ「んだ。またいつでもうちに泊まりにくるといいだ。オラは大歓迎だぞ!今度はスイーツの作り方でも教えてけろ」

 

二乃「はい!」

 

悟飯「よし、それじゃあ出発するよ」

 

悟飯は今度も筋斗雲で二乃を送り届けようとしたのだが、二乃の強い希望によって、二乃を背負って舞空術で空を飛ぶことにした。

 

悟天「………また兄ちゃんを傷つけたら怒るからね……」

 

二乃「悪かったわよ。お詫びに今度はお菓子でも作ってあげるから」

 

悟天「むぅ………」

 

悟天は五月のように食べ物で釣ればいいというわけではないようだ。それでも、今は然程二乃に対して怒っているわけではないようだ。

 

悟飯「それじゃ、行ってきます!」

 

チチ「いってらっしゃい!」

 

その挨拶を合図に、悟飯は二乃を送り届ける為に発進した。

 

チチ「……?どうしただ、悟天ちゃん?」

 

悟天「…………二乃さんのお料理美味しかったなぁって思っただけ」

 

チチ「あらあら………」

 

どうやら二乃の料理は悟天の胃袋も掴んでしまったようである。

 

悟天「でも、やっぱりお母さんの料理が一番だよ!!」

 

チチ「あ〜…!!悟天ちゃんはやっぱり可愛いだ!!暫くお婿に出したくねえだ」

 

悟天「何言ってるの?」

 

 

一時はどうなるかと思われた、ツンデレツン作戦。悟飯に壮大な誤解を生んでしまい、二乃も悟飯も傷ついてしまい、すれ違いかけてしまったが、風太郎と四葉の後押しによってその誤解はなんとか解けた。

 

一時は後退したかと思われた関係だったが、今回の件で二人の仲はより一層深まったのかもしれない………。

 




 ツンデレツン回は原作通りにするとなんか違和感があるので手を加えようということで加えてたら、なんかシリアスになっててワロタ。どうしてこうなった……。
 ということで、今回はバリバリ二乃がメインの回でしたね。順番的には五月(林間学校)→三玖(勤労感謝の日)→五月(お泊まり回)→二乃(告白回)→三玖(旅行での告白回)→二乃(デート回)→二乃(今話)。
………あれ?なんか二乃回多くね?見返しててそう感じ始めました。詳細を事前に決めておかないからこうなるんだよなぁ()

 ちなみにあと数話すると天下一武道会……、つまり、魔人ブウ編が始動します。魔人ブウ編に関してですが、原作と丸被りするところは、地の文メインでサラッと書く感じで細かい部分まで触れないか、代わりに別視点を用意してカットする方針の2つを採用すると思います。原作と全く同じ部分を書いてもただのコピーですしね。今回のブウ編は登場キャラも増えるということで、原作のブウ編とは一味違ったものになると思いますので、適度に楽しみにしていただければ幸いです。

 pixivのコメントで、悟飯ビースト(新形態)の登場の有無に関して質問されましたが、そこはシークレットとさせていただきます。本編中で出るかもしれないし、番外編で出るかもしれないということで。
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