孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】 作:Miurand
二乃のツンデレツン作戦は悟飯に大きな誤解を与えたが、風太郎と四葉の後押しがあってなんとか解決した。何気に二乃は今回の件で悟飯の家にお泊まりを果たしたわけである。孫家に泊まってない悟飯のヒロインは三玖のみとなった。はたして、三玖はいつ孫家に泊まることができるのであろうか………?
舞空術で二乃をPentagonまで送り届けてた悟飯だったが………。
四葉「あっ、二乃!!丁度良かった!」
一花「今から電話しようと思っていたところだったんだよ!」
二乃「えっ…?なに?どういうこと?」
何故か既に4人が二乃を出迎える様にして待機していたので、二乃は状況が飲み込めなかった。
三玖「たった今お父さんから連絡が来たの!お母さんが目を覚ましたって!」
二乃「それ本当ッ!!?」
五月「はい。お父さんは既にあちらにいるそうです。私達も今からそちらに向かおうと思ったのですが……」
悟飯「あ〜……。なるほどね」
悟飯と四葉はともかく、残りの4人は空を飛ぶことができない為、零奈のいるカプセルコーポレーションに向かうには、筋斗雲に乗るか、ジェットフライヤーに乗るしかない。だが筋斗雲は精々2人までしか乗ることができない。だが、悟飯と四葉がそれぞれ1人ずつ背負えばどうにかならないことはないのだが…………。
悟飯「お迎えは来るの?」
四葉「はい!もうすぐ来ると思うんですけど………」
少し待つと、悟飯と四葉は一人の気の接近を感知した。
トランクス(未来)「どうも、遅くなりました」
悟飯「トランクスさん!」
トランクスは到着するとすぐにカプセルを放り投げ、ジェットフライヤーを出現させる。6人はそくささと乗り込んで、カプセルコーポレーションに向けて出発した。
悟飯「零奈さんが目を覚ましたということですけど………」
トランクス(未来)「はい。覚醒してようやく脳波が安定してきたところですよ」
二乃「じゃ、じゃあ、ようやく本物のママに会えるの……?」
トランクス(未来)「そういうことです」
四葉「本当に、お母さんが生き返ったんだ…………」
三玖「お母さんに会えるんだ……!」
5人は死んでしまったと思われていた母親に再会できることを知り、喜びを隠さずに感激していた。
悟飯「うん………。良かった…………」
悟飯はそんな姿を見て、嬉しそうに呟きながら微笑んだ。
カプセルコーポレーションに着くと、トランクスは顔パスでゲートを通過し、零奈のいる部屋に直行した。
トランクス(未来)「母さん。皆さんを連れてきました」
ブルマ「あっ!きたきた!こっちよこっち!」
5人は遠慮というものを忘れて走ってその場に向かっていく。
「「「「「お母さん!!」」」」」
マルオ「こら、騒がしくしたら他の人に迷惑だよ」
零奈「いいじゃないですか。今日くらいは」
普段は無表情なマルオだが、愛する人が目の前に戻ってきてくれたという事実に喜びを隠し切れずに頬が緩んでしまっている。
悟飯「…………マルオさんのあんな顔初めて見たな……」
上杉君が見たら物凄く驚きそうだな…。と感想をこぼした悟飯だったが、ふと思い出したように別室に移動する。
未来悟飯「やあ、どうしたんだい?」
未来五月「どうかしましたか?」
悟飯「………あなた達は、零奈さんが目を覚ましたら未来に戻るって言ってましたよね?」
未来悟飯「…ああ。オレ達はこの世界の住人ではないからね。いつまでもこの世界に居座るわけにはいかないんだ」
未来五月「少し寂しい気はしますよ。でも、私達も元の時代に帰らなければなりません………」
悟飯「………そうですか」
未来悟飯「寂しそうな顔をするな。君ならオレがいなくても、この地球を守っていけるだろう?」
未来五月「…………そうです。帰る前に最後に聞きたいことがあります」
悟飯「……?なんですか?」
未来五月「孫君は、もう決めたんですか…?誰と一生寄り添っていくのか」
未来悟飯「ちょっと、五月……!!」
未来の悟飯は五月の質問に少々渋い顔をするが、未来の五月は構わずに続ける。
未来五月「まだ決まっていないというのならそれで構いません。単純に興味本位ですよ」
悟飯「………僕は……」
未来五月「………ふふっ。そうですか。その答えが聞けて良かったです……」
未来の五月は悟飯の解答を聞くと、満足したような、どこか哀しそうな顔をしていた。
未来五月「ぜひ、彼女にもそのお返事をしてあげてください。きっと大喜びしますよ」
悟飯「ええ。必ず………」
未来悟飯「そっか…。以前相談してきた君は随分悩んでいるようだったけど、何かきっかけがあったのかい?」
悟飯「………確かに、気付いたのは結構最近です。でも、きっかけ自体はもっと前にあったんだと思います」
未来悟飯「………そうか」
未来の悟飯と五月はそれ以上は何も聞かなかった。現代の悟飯の答えを聞いてどこか満足気だった。
未来五月「……では、私達の関係も隠しておく必要はありませんね」
未来悟飯「……そうだな。ちょっと恥ずかしいけど」
悟飯「えっ?それ、どういう……」
悟飯が質問する前に、未来の五月が答えた。
未来五月「私達、付き合っているんです」
悟飯「…………えっ?えぇ!!!?」
その返答に悟飯は大声を上げて驚いてしまう。
未来悟飯「実はあの人造人間の騒動が収まってから始まった関係だけど、君の決断に影響を与えるのはよくないと思って秘密にしてたんだ。でも君にはもう心に決めた人がいる。そうだろう?ならもう伝えても大丈夫かと思ったんだ」
悟飯「ははは…。確かにそうですね」
未来五月「…では、彼女達にもお別れの挨拶をしましょう」
未来悟飯「………そうだな。何も伝えずに帰るわけにはいかないしな」
未来の悟飯と五月は少し時間を置いてから現代の五つ子にもお別れの挨拶をしようと決心した時だった。
『なんだよ?帰っちまうのか?折角オラが天下一武道会の時に帰ってこようと思ってたのによ』
……悟空があの世から声をかけてきた。
未来悟飯「お、お父さんッ!!?」
未来五月「悟空さんですか!!?」
『ああ。"こっち"の悟飯が天下一武道会に参加するらしいから、せっかくだしオラも参加しようと思ってる。オラもおめぇ達に会いてえし、天下一武道会の日まで残ったらどうだ?』
未来悟飯「でも、オレ達は別の時代の住人であって…………」
『んな細けえこった気にすんなよ!天下一武道会まであとちょっとなんだからよ!それに歴史が変わるとかそういうのも気にする必要はねえだろ?既におめぇらの知ってる歴史じゃねえんだからよ!』
悟空の言っていることは確かにそうだった。未来の二人が危惧している歴史改変。ところが既に歴史は改変されており、未来の悟飯と五月が手を加えても特に問題はないと言えばない。
未来悟飯「…………そうしたいのも山々ですし、お父さんの顔も見ておきたいですけど、遠慮しておきます」
未来五月「ええ。人造人間に無茶苦茶にされてしまった世界を復興させなければいけませんし………」
未来悟飯「何より、オレ達の帰りを待つ人がいるんです。これ以上みんなを心配させるわけにはいきません………」
『…………そっか。そいつは残念だな。でもおめぇらがそう言うなら仕方ねえな』
未来悟飯も本当なら悟空に会いたい。だが、未来の悟飯にも五月にも、帰りを待ってくれる者がいる。既に結構な期間滞在してしまっているので、向こうの時代でも同じくらいの時が流れているだろう。零奈も目を覚まして異常も見つからないことだし、未来の二人はこれ以上ここにいるわけにはいかないのだ。
『というわけだ悟飯。せっかくだから他の奴らも誘ってくれ。一応声をかけておいたけどな。どうせ23時間しかそっちにいられねえなら、みんなに会っておきてえしな』
悟飯「はい!」
『そんじゃ、未来の悟飯に五月。いつ会えるか分かんねえけど、また会ったらその時は話しような。んじゃな!』
そこで悟空の声は途切れた。
未来悟飯「………死んでるはずなのに、死人の雰囲気を出さないのがお父さんらしいや………」
未来五月「明るく、どこか温かい方ですね…………」
しばらく母親との団欒を楽しんだ五つ子は、ようやく落ち着きを取り戻し始めていた。
マルオ「最近は娘達に春がやってきたようでしてね…。特に二乃君、三玖君、五月君は孫君にべったりですよ」
零奈「あらあら…。あんなに小さかった娘達が大きくなりましたね……」
二乃「ちょっとパパ!!あまり恥ずかしいこと言わないでよ!」
一花「こういう時は恥ずかしがるんだ?二乃達って結構悟飯君にべったりだって学校中で噂されてるよ?」
マルオ「その話は僕の耳にも届いたよ。彼のことが好きなのは承知していたが、公共の場では謹んでほしいね」
五月「あ、はは…………」
三玖「でも悟飯の顔を見ると抑えられなくて…………」
悟飯「あれ?」
悟飯は再び零奈のいる部屋に戻ると、マルオが珍しく五つ子と自然に会話をすることができている。零奈がいるからだろうか?マルオは五つ子との会話を楽しそうにしているのが悟飯にはよく分かった。零奈が戻ってきたことによって、心に余裕が生まれたのだろうか?
零奈「好きな人にアタックをするのは構いませんが、迷惑をかけてはいけませんよ?」
二乃「でもでも!好きな人にはアピールしたいじゃない!しかもライバルは私の姉妹だし!」
三玖「うん。気が抜けない」
五月「容姿は同じですから、差をつけるなら中身ですもんね………」
マルオ「おや?孫君かい。いるならいると言ってくれ」
悟飯がいることにマルオがいち早く気付いた。
未来悟飯「やあ、みんな元気そうだね。あれから体調の方はどうだい?」
二乃「あっ!未来のハー君!!」
五月「私達は大丈夫ですよ。あなた達のお陰で」
零奈「………そういえば、私が目を覚ましたら元の時代に帰るそうですが、本当ですか?」
未来悟飯「ええ。元の時代には、オレ達の帰りを待つ人達がいますからね」
未来五月「それに、街の復興を手伝わなくてはなりませんしね」
零奈「……五月。いえ、未来の五月と呼んだ方がいいでしょうか…?」
未来五月「はい。なんでしょう…?」
零奈は深呼吸をした後に、未来の五月にこう述べる。
零奈「一度死んだ身であるはずの私がこうして再び娘達と触れ合うことができたのは、あなたのお陰です。本当にありがとうございます………」
未来五月「……やめて下さい。私は復讐という醜い感情を抱いてあなた……いえ、人造人間を造ったのです。お礼を言われるなんて、とても………」
マルオ「確かに、君は復讐の為に零奈さんの形をした人造人間を造ったかもしれない。だが、結果的には娘達に母親を再会させることができた……。違うかい?」
未来五月「それはあくまで結果論の話ですよ……」
マルオ「それでもいいよ。僕も父親としてではなく、僕個人として君に礼を言うよ」
未来の五月は複雑な心境だった。元は人造人間を破壊する為に、骨壷を掘り起こしてまで造り出した母親の形をした人造人間。それが色々あって本物の母親の魂が人造人間の中に入り込み、擬似的に蘇生することができたのだ。それは結果論であって、最悪この世界の崩壊を招いていた可能性がある。
未来悟飯「五月。みんながこう言ってくれてるんだ。もう過ぎたことは気にしなくていいんじゃないか?これから同じ誤ちを犯さなきゃいいだけさ」
未来五月「………そう、ですね」
当の未来五月本人は若干納得していない様子だったが、周りに押されて納得したようである。
未来悟飯「それじゃ、オレ達はそろそろ帰ります」
マルオ「………そうかい。だが帰りを待つ人がいるのなら引き止めるわけにもいかない……。向こうでも頑張りたまえ」
零奈「私達は応援してますよ」
未来五月「ありがとうございます……」
未来の2人は別れを惜しみながらも、その場を去ろうとする。その場を去ったら、後はタイムマシンをカプセルから取り出して元の時代に帰還するだけだ。だが、未来の五月は帰る前にどうしても伝えたいことがあったようだ。
未来五月「………お父さん、お母さん。この度、私は孫君と人生を共に歩むことになりました」
マルオ「………うん?」
一花「えっ?」
四葉「そ、それって……!!」
マルオと一花は一瞬何を伝えられたのか意味が分からず、四葉は意味を察しつつも、顔を赤くしながら確認を取る。
未来五月「私達は……結婚前提のお付き合いをしています………!」
零奈「それはおめでたいことですね…。しっかりとそちらの五月を支えてあげて下さい」
「「「「「えぇえええええええッッ!!!!!?」」」」」
事前に聞いていた悟飯や、なんとなく察していた零奈を除いて、5人は相当驚いていた。その為、建物中に響いてもおかしくないほどの大声をあげてしまう。
マルオは一瞬驚いたが、未来の2人の事情から考えて、然程おかしなことではないかと1人でに納得していた。
二乃「み、未来だと……!!!」
三玖「五月と、悟飯が………!!?」
五月「………と、言いますと…?これはこちらの世界でも孫君と私が結ばれるという予言……?」
三玖「い、いや!そっちの未来とこっちの現代は既に違う歴史で動いているから……!!」
二乃「そ、そうよ!まだ私達に勝機があるはずだわ!!」
当の悟飯本人がいることをお構いなしにそんな話をする3人。その様子を零奈は仏のような顔で見届け、マルオは少々難しい表情をしていた。
マルオ「………確か、そちらの世界では一花君達は………。そうだね。君がそっちの五月君を支えてあげる必要があるようだね。君達の関係を僕は歓迎するよ」
その言葉を聞くと、未来の五月は満足した表情になる。
未来五月「そうと決まれば、向こうのお父さんにもご報告をしなければなりませんね!」
未来悟飯「そ、そうだね……(久しぶりにお母さんに会わないと……)」
未来の悟飯は五月が唐突に報告するものなので、頬を掻いて誤魔化そうとするも、顔が赤かったため誤魔化しきれなかった。
未来の2人は外の広場に出た。2人を見送る為に、起き上がった零奈を含めた総勢が広場に集まっていた。
未来悟飯「……そうだ。最後に君に言いたいことがある」
そう言いながら未来の悟飯は現代の悟飯に近づく。
悟飯「はい?」
未来悟飯「……こっちのお父さんに聞いたぞ。君は戦う時に少々慢心する癖があるようだね」
悟飯「………そうですね」
悟飯はその言葉を聞き、セルゲームのことを思い出していた。自分が早々に勝負をつけていれば、犠牲にならなかったはずの人物の顔を思い浮かべる。
未来悟飯「いいか?例え相手に優位に立っていても、決して遊ぶようなことはしちゃいけない。もし君が守りたいものの為に戦うなら……、決して慢心はしちゃいけない……。これだけは言っておきたかったんだ」
悟飯「………はい」
未来悟飯「よし!オレから伝えたいことはこれだけだ。っと!一つ言い忘れていた」
先程とは打って変わって未来の悟飯は笑顔になる。
未来悟飯「君の特別な存在……、彼女をしっかり幸せにしてあげるんだぞ」
悟飯「…そちらこそ、そちらの五月さんを幸せにしてあげてください。彼女にとって、あなたは必要な存在です」
未来悟飯「……そうだな。お互いに頑張ろう」
互いにエールを送り終えると、どちらからともなく拳を差し出し、互いの拳を合わせる。そのまま何も言わずに離す。
未来の2人はタイムマシンに乗り込み、エンジンを起動させる。すると少しずつタイムマシンが浮かび上がっていく。
ブルマ「ちゃんと幸せにしてあげるのよ〜!!」
二乃「例え別の世界の五月でも、泣かせたら承知しないわよ〜!!」
一花「もういい年だし、子供は早めにね〜!」
零奈「一花……。少し自重しなさい」
一花「イテっ…!」
一花の言動は流石にやり過ぎたのか、零奈に軽くゲンコツされていた。三玖は無言で、だが笑顔で手を振る。四葉は両腕で精一杯手を振って太陽のような笑顔で見送る。
五月「私はあなたの分も教師として頑張ります!!絶対に夢を実現させてみせますから〜!!!」
それを聞くと、未来の五月は大声で『私の分もお願いね〜!!』と返事をする。
カプセルコーポレーションの最上階よりも高く浮かび上がった時、タイムマシンのドアは閉じた。それと同時に未来のトランクスが舞空術で未来の悟飯達の乗るタイムマシンと同じ高度まで昇る。そして未来の悟飯に向けてサムズアップする。
それを見て、未来の悟飯も未来のトランクスに向けて笑顔でサムズアップをした。
シュン‼︎
そして、タイムマシンは姿を消した。
一花「あーあ。帰っちゃったか……」
四葉「向こうでも幸せだといいね!」
三玖「きっと大丈夫だよ。あの2人、幸せそうだったし……」
二乃「そうねぇ…。私も負けてられないわ」
トランクス(未来)「……さて、俺もそろそろ元の時代に帰ります」
ブルマ「あら?トランクスはもう少しゆっくりしていけばいいのに……」
トランクス(未来)「そういうわけにはいきませんよ。元々この時代には、人造人間を倒したことを報告するために来たんですから…。トラブルがあったせいで長居してしまいましたし、向こうの母さんも心配してると思います」
ブルマ「そっか……。それもそうね」
どうやらトランクスが乗ってきたタイムマシンの方は、未来のブルマの設計図によって燃料の補給が成功したようである。
トランクス(未来)「お世話になりました。俺もこれで失礼します」
トランクスもタイムマシンを取り出し、帰還する準備をする。未来悟飯と同様に元の時代に帰還しようとしたところ、時代移動する直前でベジータの姿を確認した。
そのベジータはトランクスの方を見るだけで特にアクションを起こすことはしなかった。だが、トランクスはそんなベジータに向けてサムズアップをした。その直後、トランクスのタイムマシンも姿を消した……。
五月「みんな帰ってしまいましたね……」
マルオ「………さあ、僕達も帰ろうか。零奈さんも目を覚ましたことだしね」
二乃「………パパ。今日は忙しいの?」
マルオ「…………いつも忙しいが、いい加減家に帰れるように最大限努力するよ。孫君との約束もあるしね……」
零奈「そういえば、みなさんは今どこに住んでいるのです?」
四葉「それは私達が案内するよ!」
三玖「そっか……。お母さんはあの家のこと知らないんだよね………」
一花「きっとビックリするよ〜?」
二乃「キッチンも大分広くなってるから、料理もしやすいと思うわ」
五月「料理と言えば…!久しぶりにお母さんのパンケーキを食べたいです!!」
二乃「あっ!それ私も!!」
零奈「……ふふ。分かりました。料理は久しぶりなので、上手くできるかは分かりませんが、娘達の為に頑張ります」
「「「「「やった〜!!!」」」」」
久しぶりに母親お手製のパンケーキを食べられることが確定して、5人の娘達は年甲斐もなく大喜びをしていた。
零奈「……マルオ君も久々にどうですか?」
マルオ「………今日は早めに仕事を切り上げるようにします」
零奈「分かりました」
悟飯「うん。良かった………」
悟飯は母親が戻ってきて、とても嬉しそうにしている5人を見て、心が温かくなっていた。
ブルマ「うんうん。ドラゴンボールでも生き返らせることができないのに、まさか人造人間として生き返っちゃうなんてね……。でも、記憶があるならそれはもう本物よ」
悟飯「……そうですね」
零奈「そうです。良かったら孫君も如何ですか?娘達がいつもお世話になっているようですし」
悟飯「えっ……?でも、今日は家族で水入らずの方がいいんじゃ……?」
悟飯は久々の再会を邪魔するわけにも行かず、遠慮する。
一花「こーら。遠慮しないの」
四葉「お母さん!それなら上杉さんも呼んでいいかな?」
零奈「確かもう1人の家庭教師の方ですよね?いいですよ」
悟飯「…ということがあったんだけど、上杉君も来る?」
風太郎「いや、遠慮しておく」
悟飯「ははは……。そ、そう……」
風太郎「…しかし、未来の悟飯と五月は帰っちまったんだな」
悟飯「うん。元から零奈さんが目を覚ましたら帰るつもりだったからね」
風太郎「しかし……。未来では悟飯と五月がな…………」
悟飯「あれ?上杉君ってその手の話には興味がなかったんじゃ……?」
悟飯は以前聞いた風太郎の恋愛スタンスを思い出して聞く。
風太郎「…確かに昔はそんなことを言っていた気がするが……。今はそんな気持ちを蔑ろにするわけにはいかないとも思い始めている。我ながら馬鹿らしいがな……」
悟飯「……そっか」
悟飯は以前四葉に言ったことを思い出していた。やはり風太郎は五つ子。特に四葉のお陰でいい方向に変わり始めていた。いや、もしかしたら既に変わり終えているのかもしれない。
四葉「あっ!上杉さんみっけ!!」
風太郎「四葉か。どうした?」
四葉「今日のパンケーキ会は強制参加ですよ〜!!上杉さんもちゃんと来て下さい!!」
風太郎「いやいや、家族水入らずの時間を邪魔するわけにはいかないだろ?」
四葉「そう言わずに!!お母さんも上杉さんに会いたがってますから!!」
風太郎「ちょっと待て!おい!引っ張るな!!」
悟飯「あはは……」
風太郎は四葉に振り回されて迷惑そうにしているが、よく見ると風太郎の表情は満更でもなさそうだった。
一花「はい!これが今の私達の家だよ!」
零奈「……………ひ、広いですね」
三玖「お母さんが引いてる……」
二乃「まあそうよね……。私達も最初は戸惑ったもの」
五月「でも大丈夫ですよ。すぐに慣れます」
零奈「TVも大きいですね……。まずリビングだけであのアパートよりも広そうですし……。上の階に1人ずつ部屋が用意されているとは…………」
零奈は五つ子が住んでいるマンションのグレードの高さに舌を巻いてしまった。まあ初めて見たら驚いてしまうのも仕方ないだろう。
一花「さあ、早速作ってよ!材料ならあるから!」
零奈「焦らなくても、パンケーキと私は逃げませんよ」
一方、未来悟飯と五月の世界では、とうとう悟飯達が無事に帰還したところであった。
タイムマシンが地面に無事着地すると、五月は悟飯に抱えられて降りる。ボタンを押してカプセル化し、所々が痛んだ建物の中に入る。
悟飯「ただいま戻りました」
五月「こ、こんにちは〜……」
ブルマ「五月ちゃんに悟飯君!?よく無事だったわね!!急にいなくなっちゃったから心配してたのよ!?」
トランクス「悟飯さんに五月さん!お帰りなさい!!」
悟飯「ああ、ただいま」
マルオ「おや……?ようやく帰ってきてくれたのかい?心配したよ……」
五月「すみません……」
トランクス「ところで、人造人間は……?」
五月と悟飯は、過去の世界で起こった出来事を丁寧に説明した。
マルオ「……なるほど。向こうの本物の零奈さんの魂が入って、そっちで暮らすことになったのだね……」
ブルマ「一時はどうなるかと思ったわ………」
五月「……今まで迷惑をかけてしまってすみませんでした……」
五月は、姉妹と風太郎が人造人間17号と18号に殺された後の行いを思い出してブルマとマルオ、トランクスにも謝罪をする。
トランクス「そ、そんな…!頭をあげてください!」
ブルマ「そうよ!あの時は精神状態がおかしかっただけよ!元に戻って良かったわ!」
マルオ「……僕も父親として娘達を守ることができなかったから、僕が強く言うこともできないね………」
だが、3人とも五月に対して怒っている様子はなく、むしろ心配していたようだった。
五月「あの……、それと、すごく急なんですが、もう一つご報告したいことが………」
ブルマ「なになに?」
五月の報告にブルマは興味津々だった。五月は悟飯の方を見ると、悟飯は無言で頷いた。それを確認し、五月は一度深呼吸をしてから切り出す。
五月「私達、結婚前提でお付き合いをしています………」
五月は少し恥じらいながらも、しっかりと3人にも伝えた。
ブルマ「ええ!?それ本当!?」
トランクス「お似合いだと思いますよ!」
マルオ「…………」
ブルマとトランクスは好感触だったが、マルオの反応は微妙であった。それに少々焦った五月は何かを言おうとしたが………。
マルオ「……孫君。五月君は友人も姉も失った……。だから君だけは五月君から離れないでほしい……。勝手なお願いだが、五月君を支えてくれるかい?」
悟飯「はい!僕は彼女と同じ墓場に入るまで一緒にいるつもりです!」
五月「そ、孫君……?」
悟飯ははっきりと恥じらいもなく、キリッとした表情でそう宣言する。あまりにも大胆な発言に五月は顔を真っ赤にして、ブルマはそんな五月をニヤニヤとした表情で見つめる。
マルオ「では、五月君を頼んだよ……」
悟飯「任されました……!」
ブルマ「そうと決まれば、もう1箇所ご挨拶に行くところがあるんじゃないの?」
ブルマに言われて悟飯の顔は引き締まったものに変わった。
五月「えっ……?もう1箇所って…?」
ブルマ「決まってるじゃない!悟飯君のお母さんのところよ!!」
五月「あっ…!」
悟飯「……そうですね。分かりました。では早速行ってきます」
五月「えっ、ちょ…!?」
悟飯は五月を背負ってすぐさま舞空術で飛び立つ。そのまま悟飯はパオズ山に到着した。
五月「ここが孫君のお家ですか…?」
悟飯「ああ……。ここに帰るのは本当に久しぶりだよ…。お母さんに怒られないといいけど………」
悟飯は戸惑ったようにそう言いながらドアを数回ノックする。すると、ドアはすぐに開いた。
チチ「おっ父。帰ってきただ……か……?」
悟飯「…………久しぶり、お母さん」
チチは悟飯の顔を見て固まる。だが、すぐに悟飯の顔を確認するようにまじまじと観察する。少しすると、チチは涙を流して悟飯を抱きしめた。
チチ「悟飯…!よく帰ってきてくれただ……!!オラ、悟飯も死んじまったのかと思って……!!!」
悟飯「ははは……。ごめん。人造人間を倒すまでは帰らないって決めてたんだ……」
チチ「オラは人造人間なんてどうでも良かっただ…!!ただ無事に帰ってきてくれれば良かったって、ずっとずっと願ってた……!!!」
悟飯はチチを抱きしめ返す。片腕しかないため、チチのように両腕でハグすることはできなかった。
悟飯「………ただいま、お母さん」
チチ「お帰り…!悟飯ちゃん……!!」
五月「………えっと……」
五月はこの感動の再会の場面で場違い感を抱いていたため、結構気まずくなっていた。しかしここから徒歩でカプセルコーポレーションに帰るわけにもいかないため、その場で気配をできるだけ殺しながらじっとしていた。
チチ「腕までなくしちまって…!!もうそんな無茶をするでねえだぞ!!」
悟飯「ははは……。それよりも、紹介したい人がいるんだ」
チチ「えっ……?」
悟飯はそう言いながら五月の方を見ると、チチもようやく五月の存在に気が付いた。
チチ「だ、誰だこの別嬪さんは!?」
五月「ど、どうも…!中野五月と申します……!こ、これからよろしくお願いします……!!!」
チチ「あ、あぁ……。これからって…?」
悟飯「……僕、この人と結婚前提で付き合ってるんだ」
チチ「…………えっ?」
今、チチの脳はパンク寸前だった。
ようやく帰ってきた息子。その息子は戦いによって負傷し、左腕を失ってしまった。それだけでも情報量が一杯だというのに、更に恋人も連れてきたではないか。既に情報だけで満腹寸前の状態だった。
チチ「えぇえええ!!?久々に帰ってきたと思ったら、嫁さんを連れてくるってぇえ!?!?」
五月「す、すみません…!ご迷惑でしたか……?」
チチ「んなとんでもねぇ!見たところおめぇはいい人そうだし、もう悟飯が無茶しないように面倒見てくれ!」
五月「は、はい…!」
チチの気迫に押され気味な五月だったが、五月と悟飯の関係を認めているようだった。少しすると、買い出しに行っていた悟飯の祖父である牛魔王も帰宅し、悟飯の帰宅と報告に驚いていた。
だが、牛魔王は戦いに身を投じていた悟飯が嫁を連れてきたということで、ようやく年貢の納め時かと安心したようだった。この日、悟飯と五月はチチに振る舞われた食事を美味しそうに味わっていた。特に、悟飯は久しぶりに食べる母親の味に涙が出てしまうほどだった。そんな悟飯にすぐにハンカチを渡す五月を見て、チチと牛魔王は、この人なら悟飯を幸せにしてくれるだろうと、心の中で呟いたのだった……。
〜おまけ〜
二乃「はい、ハー君あーん♡」
三玖「二乃、邪魔。これは私が焼いたの。食べてみて」
五月「孫君!このパンケーキは私が焼いてみたんです!ぜひご賞味ください!!」
悟飯「待って待って!全部食べるから!」
一花「はいフータロー君、あーん」
風太郎「やめろ。自分で食えるから…」
一花「そんな連れないこと言わないで口開けてごらん?」
風太郎「だから……むぐっ…!?」
一花「やった…!あーん大成功♪」
四葉「あー!上杉さんほっぺに蜂蜜がついてますよ!私が拭いてあげます!」
風太郎「やめろ!それも自分でできる!」
零奈「あらあら。娘達全員に春が訪れていたようですね………」
マルオ「…………」ゴゴゴゴゴッ
零奈「ま、マルオ君……?」
マルオ「………上杉君。君には紳士的な対応を求めたはずだが……?」
風太郎「俺は一線引いてます!!俺はね!!」
マルオ「孫君も、少しは自重してほしいのだがね?」
悟飯「僕が引いても彼女達が更に押してくるんです…………」
このように、2グループのハーレムが自然と発生し、その光景を零奈は笑顔で見守るが、マルオはシリアスオーラ全開だったので、風太郎と悟飯は物凄く気まずかったそうだ……。
今回は主に未来組が帰宅するシーンでした。トランクスの方に関しては、報告に行ってから帰っただけなので特に書く必要はないと思いました。未来悟飯と未来五月の方が多分重要なので。
そして現代でも零奈がようやく目を覚まして一緒に暮らすことになりました。これを機にマルオも父親らしい振る舞いをできるようになるかもしれませんね。
ちなみに言い忘れていましたが、一花は普通に休学という選択肢を最初から選んでおり、風太郎に個別レッスンをお願いしている状況です。何故風太郎なのかは、普通に風太郎が好きだからというのもありますが、家庭の状況を考えてというのと、悟飯はボディガードも兼任しているからという意味合いもあります。丸々カットしていますが、このことは風太郎は勿論、姉妹と悟飯も知っています。この世界においては、一花が風太郎を避ける理由がありませんからね。
さて、次回はいよいよ魔人ブウ編に突入します。魔人ブウ編を通過して学園祭が入る予定です。ブウ編が終わったらこの作品ももうすぐ完結ということになりますね。まあ本編完結という形で、その後しばらく後日談やifストーリーをダラダラと書き続けると思います。予定の部分まで書き終わったとしても、1年空いて追加ストーリーを書いたりするかもしれないですね。その辺は完全に未定ですが。
しかし、碌にストーリーを決めずに始めたこの作品ももうすぐ本編が完結ですか……。まだ半年くらいしか経ってませんけど、そう思うと書き始めた頃がとても懐かしく感じますね。って、これは完結させてから言う言葉ですかね。まだちょっと早いですね。