孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】 作:Miurand
とうとう天下一武道会がやってきた。例年なら5月の上旬に開催されるのだが、クウラ襲来の件もあった為、延期になっていたのだ。
悟空が23時間限定とはいえ帰還し、みんなは大喜び。ベジータは悟空と決着をつけられることを楽しみにしていた。
四葉「いや〜…。なかなか加減が難しいですよね。加減し過ぎると予選落ちちゃいますし………」
悟飯「うん。多分そういうことなんだろうなぁ……」
一般人レベルまで加減することはあっても、中途半端に加減することをしたことがなかったから、パンチマシンに関しては加減が難しかったのだろう。
悟空「おっ!きたきた!ちびっ子達の試合が始まるぞ〜!!」
天下一武道会の少年の部が始まった。第一試合はトランクスとイダーサという子の勝負。イダーサの方が年齢が上であった為、こちらが勝つと予想されていたが、何やら会話をした後にトランクスが蹴って、殴って、あっさりKOを決めてしまった。
アナウンサー「と、トランクス君の勝利です!!」
ビーデル「す、凄いわねあの子……」
四葉「流石トランクス君ですね!」
そして何試合か行われた後、今度は悟天の番が来た。悟天は大衆を前に緊張しているようだったが、キチンと礼をした後、試合を開始する。相手はイコーゼと言って、先程のイダーサという少年の弟のようだ。イコーゼも14歳という歳の割には腕が良かったのだろうが相手が悪い。悟天にはどんな攻撃も効かずにあっさり負けてしまった。
ビーデル「すごっ…………」
四葉「流石悟天君ですね!」
ビーデル以外は当然の結果だと分かっていた為、特に驚くような素振りは見せなかった。しかし、その様子がビーデルに違和感を抱かせた。
その後、泣く子が出たり、じゃれあいの末に自爆したりなど、少年の部ならではの戦いが見られたが、とうとう少年の部の決勝戦が開催される……。
クリリン「とうとう悟天とトランクスだぞ…!!」
四葉「どっちが勝つんですかね?」
ベジータ「トランクスに決まっているだろう。なんたって俺の息子なのだからな」
そんなことを言っていると、いつの間にか悟天とトランクスの戦いが始まった。互いに高速戦闘を繰り広げ、譲らない状況である。
ビーデル「……………」
ビーデルはそんなちびっこ2人の戦いに驚いて目を見開いている。
四葉「おお!いけいけ!そこだ!」
四葉は普通に悟天とトランクスの両方を応援している。
悟空「へぇ〜!やるなあいつら!」
クリリン「流石はベジータと悟空の息子なだけはあるよな」
二乃「うわっ!はやっ!見えないんですけど!!」
五月「悟天君もトランクス君も流石ですね………」
らいは「いけー!どっちも頑張れ〜!!」
風太郎「あれだけ動けばあんだけ食うのも納得だな…………」
零奈「あっ、今トランクス君の攻撃が微かに当たりましたね」
三玖「お母さんは見えるんだ………」
しばらく互いに譲らない展開が続いたが、一旦戦いがストップする。するとトランクスが両手に気を集中させて、気功波を悟天に向けて撃ち込んだ。悟天は当然これを避けるが、トランクスは観客に当たる直前で一気に上昇させた為、観客は無事だ。
クリリン「ひぇ……。ヒヤッとさせるなよ……」
悟空「ちびトランクスやるじゃねえか。しっかり気のコントロールができてんぞ」
続いて、悟天もかめはめ波をトランクスに向けて放つ。今度は『かめかめ波』と言い間違えることはなく、しっかりと『かめはめ波』と叫んで放つ。トランクスも当然これを避ける。そしてかめはめ波は選手が待機している建物の屋根に当たりそうになるが、悟天がかめはめ波を上向に変えることによってそれを防いだ。
悟空「へぇ!悟天もコントロールできてんだな!」
トランクス「あれ!?お前いつの間にそんなに器用にコントロールできるようになったんだ!?」
悟天「兄ちゃんとたっぷり修行したからね!!」
トランクス「くそ…!あまり遊んでいる場合じゃないかもな…!!」
今度はトランクスと悟天がお互いに接近し、取っ組み合う。そして悟天は力負けしてトランクスに投げ飛ばされる。しかし悟天は舞空術を利用して空中で止まるが、トランクスの姿が見えない。
トランクスを探していると、後ろから突然現れたトランクスに全身を掴まれる。トランクスは全身に力を込めて悟天を苦しめる。このままでは悟天は死んでしまうので、降参させようというトランクスの作戦なのだが……。
ボォオオオオッ!!!
超悟天「……!!」
トランクス「うわっ!!」
超サイヤ人禁止ルールを破って、悟天はトランクスの拘束を力づくで解いた。
2人は着地をして、悟天は超化を解く。
トランクス「おい悟天!超サイヤ人は禁止のはずだろ!?汚ねえぞ!!」
悟天「ごめんごめん…。つい…」
悟空「ひぇ…!あいつあの年で超サイヤ人になれるのか…!!」
ベジータ「汚いぞカカロット!超サイヤ人に変身しやがって!」
悟空「いや、オラに言われても……」
これには流石の悟空もびっくりしている様子である。一瞬とはいえ、超サイヤ人姿の悟天を見てどこかで見た気がすると囁かれていたが、当のちびっこ2人は気にすることなく試合を続ける。
トランクスは先程から左腕を使わずに右手だけで戦っている。悟天は空高くに飛び上がると、『突撃!!』と叫んでトランクス目掛けて急降下する。トランクスは悟天に接触する直前で避けて悟天を自爆させようと試みるが、悟天は手に気を集中させて地面を両手で叩くことによって、トランクスのいる方向に跳ねる。このままではトランクスに悟天の特攻がヒットするのだが…。
ボォオオオオッ!!!
超トランクス「くそ!」
トランクスも禁止ルールを破って超サイヤ人に変身し、悟天の突撃を避けた。さらに追撃で左手から気功波を放って悟天に攻撃する。
悟天「うわわっ!!!」
悟天はブレーキをするも、観客席に足をつけてしまった為、場外負けとなってトランクスの勝利となった。
呆気ない終わり方だったものの、想像を遥かに超えた素晴らしい試合であった為、観客席から大量の歓声が上がった。
悟天「トランクス君も超サイヤ人になった…!おまけに左手使ってるし!」
トランクス「お前も超サイヤ人になったからおあいこな!あと左手は直接殴ってないからセーフ。男なら文句言いっこなしだぜ!!」
それでも文句を垂れていた悟天だったが、トランクスがおもちゃをあげると言うと喜んで引き下がった。やはり狡賢くなってもまだ子供である。
悟空「ちびトランクスも超サイヤ人になれんのか!?」
ベジータ「はっはっはっ!どうだカカロット!どうやらトランクスの方が血統が良かったらしいな!」
ベジータは嬉しそうに悟空の肩を叩きながらそう言う。息子の戦績に喜ぶとは、流石父親の鏡である。
二乃「あら…。最後は呆気ない終わり方だったわね……」
一花「でも試合は凄かったね〜。殆ど見えなかったけど…………」
らいは「あちゃー…。悟天君負けちゃったかぁ………」
続いて、優勝者特典として、チャンピオンであるMr.サタンとの試合と戦えるという試合があるのだが……。
クリリン「予選も終わったことだし、そろそろ戻るか?」
悟空「そうだな」
これからMr.サタンの戦いが披露されるというのに、悟空達は何の躊躇もなくその場を去ろうとする。
ビーデル「ちょ、ちょっと!これからあの子とMr.サタンとの試合があるのよ!?見ていかないの!?」
悟飯「そ、そうだよね!もしかしたらいい勝負をするかもしれないし!」
四葉「私も俄然興味があります!」
悟空「そっか。じゃあまた後でな、悟飯」
ビーデル「えっ………?」
悟空達は当然のようにその場を去った。
ビーデル「なんかあの人達変わってるわね。チャンピオンの試合を見たがらないなんてさ」
悟飯「あはは…。そ、そうだね………」
四葉「おおお!ついにMr.サタンの試合をこの目で…!!!」
四葉は期待を胸にトランクス対Mr.サタンの試合を見ることに専念するが…。
サタン「がはっ!!!」
四葉「………あれ?」
あっさりと叩き飛ばされたサタンを見て唖然してしまった。あまりにもあっさりしすぎた勝負だった。
ビーデル「ぱ、パパ…!?大丈夫なの!?」
サタン「あはは!強いな僕!!おじさん負けちゃったよ〜!!」
しかし、サタンは思いっきり壁に叩きつけられたというのに、何事もなかったのように起き上がる。サタンのその行動は、子供にわざと勝たせてあげたように捉えられたようで、観客席から関心の声が上がる。
一方で、トランクスと四葉は、サタンが強いのか弱いのかよく分からない謎の人物として記憶に残った。
そして、とうとう大人の部が開催されるかと思いきや、どうやら30分休憩を挟むようである。そこで悟飯達は食事を取ることになるのだが、悟空、悟飯、ベジータの食欲は凄まじいものだった。ビーデルは当然引いてるし、四葉は五月で慣れていると思っていたがそれは甘かった。
クリリンやピッコロは最早慣れた様子で見守っている。
クリリン「なあ悟空。死人なのに飯食う必要があるのか?」
悟空「別に食う必要はねえんだけど、やっぱりこっちの方がメシ美味えや」
悟飯「あれ?ビーデルさんと四葉さんは食べないの?ダイエット中?」
ビーデルと四葉はお互いに顔を向き合わせる。取り敢えず考えていることは同じだということは顔を見て大体察せた。
クリリン「むしろお前らが食べすぎなんだよ。まったく、サイヤ人の胃袋ってのはどうなってんのかね………」
二乃「あら。そのサイヤ人に負けない胃袋を持つ強者がこっちにはいるわよ?」
クリリン「えっ?いやいや、流石に冗談きつ…………い?」
五月「こ、こんなに大きなお肉食べてもいいのでしょうか!!?」
悟飯「いいんだよ。大会関係者は好きなだけ食べていいんだって」
五月「あ〜……!!!孫君大好きです!!!」
と大胆に告白しつつも、五月の視線は食べ物に釘付けであった。
クリリン「す、すげぇ……。実はあの子もサイヤ人なんじゃないか……?」
ビーデル「………あの子もいつもあんなに食べてるの?」
四葉「はい…」
ビーデル「よく太らないわね……。その体質羨ましいんだけど………」
風太郎「なあ、これ全部無料なんだよな!?タッパーに入れて持ち帰っても……「やめて下さい!!このくだり何回目ですか!!?」」
いつものようにハイテンションになる風太郎に食事に夢中だった五月が思わずツッコんだ。今日も地球は平和である。
悟飯達は食事を済ませると、トーナメントの位置を決めるくじ引きをする為に集合場所に向かうが、その最中に謎の二人組に出会した。片方は小さめだが、紫色の肌をし、黄色いピアスのようなものを両耳に付けている少年。もう片方は、同じようなピアスをつけた赤色の肌の初老の男性と言ったところだろうか?ちなみに少年の方は浮いている為、この時点で只者ではないことがよく分かる。
「こんにちは。あなたが孫悟空さんですね?」
悟空「何でオラの名前を……?」
「噂を聞きましてね。一度あなたとお手合わせをしてみたいと思っていたんです。勿論、勝てる自信などありませんが………」
少年はそう言うと、悟空に握手を求めた。悟空は快くそれに応じた。
「なるほど。噂通りの良い魂をお持ちだ」
悟空「……?」
悟空は目の前の少年の言っていることがいまいち理解できなかった。
「あっ。申し遅れました。私は『シン』と申します。ではまた後ほどお会いしましょう」
悟空「おう!またな!」
一風変わった少年と初老の男性は集合場所に向かった。
悟空達も集合場所に向かうと、くじ引きがちょうど始まったのだが……。
ベジータ「………!!あいつ……」
悟空「どうしたんだ、ベジータ?」
ベジータはある方向を凝視していた。悟空はそれが気になっていたようで、同じ方向に目をやると……。
悟空「ひぇ!!あいつオラにそっくりだなぁ!!」
クリリン「お、おいおい……!?まさかアイツもサイヤ人なんじゃ……?」
ベジータ「ああ。ヤツもサイヤ人だぞ」
ピッコロ「何?まだ生き残りがいたのか?」
悟飯「………(あの人か)」
悟飯とベジータはそのサイヤ人と戦ったことがあるし、そのサイヤ人の正体を知っていた為、特に警戒することはなかったが、ピッコロとクリリンは結構警戒している。
バーダック「……カカロットに孫に王子も出るのか……。あいつらは連れてこなくて正解だったな………」
バーダックも向こうの視線に気づいたようだ。本人は気付いていなかったが、ひそかに口角が上がっていた。
四葉「むむっ……」
ビーデル「どうしたの?」
四葉「なんか、あの人達感じが悪くありませんか?」
悟空「ああ、おめぇよく気付いたな。オラもあいつらはなんか変だと思ってた」
クリリン「なんか気合い入れすぎじゃねえか?」
四葉が違和感に気づいた二人組というのが、何故か2人とも禿げている。これだけなら不審ではないのだが、目にやたらと力が入っており、頭から血管が浮き出ている。そして額に謎の『M』という字。四葉にとってはこれが不気味で仕方がなかった。
だが気にしたところで何も変わるわけではない。くじ引きを順調にしていった結果………。
1:クリリン
2:プンター
3:シン
4:マジュニア(ピッコロ)
5:ビーデル
6:スポポビッチ
7:中野四葉
8:ヤムー
9:キビト
10:グレートサイヤマン(悟飯)
11:孫悟空
12:ベジータ
13:18号
14:Mr.サタン
15:マイティマスク
16:バーダック
という順番になった。ちなみにこれはトーナメント形式であり、1番と2番が戦い、3と4、5と6・・・というようにな形で試合が行われることになっている。
まず第一試合のクリリンvsプンター。プンターは巨体だが素早い移動が可能だった。しかしそれは一般人基準の話であり、地球人の中では最強のクリリンには成す術もなかった。プンターがクリリンに先手を譲ると、クリリンは遠慮なく腹部を殴り、頬を何回かビンタした上で蹴り飛ばして場外に持っていった。
アナウンサー「第一試合はクリリン選手の勝利です!!」
クリリンは当然だと言わんばかりの笑みを浮かべて選手の控室に入っていく。
四葉「凄かったですよクリリンさん!!孫さんが言ってた『地球人最強』という評価は本物ですね!」
クリリン「いや〜、君みたいな可愛い子にそんなに褒められると照れちゃうなぁ………。あっ……」
クリリンは四葉に褒められて鼻の下を伸ばしかけるが、途中から殺気が向けられているに気づいたようで……。
クリリン「まあ18号の方が断然美人で可愛いけどなっ!!!!」
クリリンは必死にそう言うが、18号から放たれる殺気は止むことはない。ただし先程よりは弱まっている。
続いて第二試合。謎の少年シンとピッコロによる対決だったが、何故かピッコロが棄権をした。何故そうしたのかと聞かれたピッコロは……。
ピッコロ「次元が違いすぎる……」
意味深にそう言った。クリリンは次の試合で当たるのにと嘆き、悟空はシンという少年がどれほどの強さを持ち合わせているのか興味を持ち始めた。
続いて第三試合。Mr.サタンに続いて優勝候補とされているビーデルvs四葉曰く不気味な人のスポポビッチの対決である。
ビーデルが出場するということで、観客は大盛り上がりである。
ビーデル「やぁッ!!!」
前半はビーデルが圧倒的に優勢だった。ビーデルが次々と繰り出す技に、スポポビッチは手も足も出ないようすであった。ビーデルはそのままの調子で場外に持ち込もうとするが……。
スポポビッチ「……」ニヤッ
不敵な笑みを浮かべている。これまでの戦況を見るに、ビーデルが圧倒的に優勢であるはずだ。だが、相手は余裕そうである。
悟空「……あいつ、なんか変だぞ。試合を棄権した方がいい」
異常に真っ先に気付いたのは悟空。相手が正気でないことを察し、ビーデルに棄権させるように促す。
悟飯「いや、でもビーデルさんの方が優勢ですよ?」
四葉「私もそう見えますけど……」
悟空「今はな。だがあいつは変だ。なんか違う……」
そして試合は続く。
ドカッッ!!!
ビーデル「がっ…!!!」
ビーデルはここで初めてスポポビッチの攻撃を受けてしまう。ビーデルは前半で飛ばしすぎた為か、何度かスポポビッチの攻撃を許してしまう。このままではまずいと思ったビーデルは、舞空術を使って空中に避難した。
クリリン「えっ!?あの子舞空術を使えんのか!?」
悟飯「彼女には僕が教えたんですよ」
四葉「ちなみに私も飛べますよ!」
クリリン「なんだ?家庭教師の次は舞空術の教師か?」
ビーデル「はぁ……はぁ………」
ビーデルはしばらく空中で休憩することにした。ビーデルが空を飛んでいるということで、観客は困惑している様子だったが、アナウンサーはそれが鶴仙流の舞空術であるとすぐに分かった。
スポポビッチ「ふひひ…!」
ドシューン!
ビーデル「!?」
なんと、スポポビッチも空を飛んだのだ。そしてビーデルは驚いている隙にスポポビッチに武舞台に叩き落とされた。
ビーデル「がはっ…!!」
悟飯「ま、まずい…!!」
四葉「あわわっ…!一気にピンチですよ!!」
スポポビッチ「でりゃー!!!」
ドゴォン!!
ビーデル「あっぶな………」
重力を利用してビーデルに膝蹴りを仕掛けたスポポビッチだったが、これをギリギリで避ける。そしてビーデルはスポポビッチの頭部に蹴りを食らわせたのだが………。
ボキッ!!
ビーデル「えっ…?嘘…!!」
なんと、スポポビッチの首の骨を折ってしまったのだ…!!首の骨が折れたということは、当然相手は死亡…。相手選手を殺してしまった場合は失格となる。
ビーデルが殺人を犯してしまったとして、観客から悲鳴や困惑の声が聞こえる中、不自然な方向を向くスポポビッチは何事もなかったかのように立ち上がり………。
スポポビッチ「………」ゴキッ
頭を元の位置に戻してきた。
アナウンサー「お、おっと…?スポポビッチ選手は生きています!!試合は続行です!!しかし今のは一体………」
ドゴォッ!!!
ビーデル「かはっ…!!!」
安心したのも束の間、スポポビッチの拳が容赦なくビーデルの腹部に突き刺さる。この攻撃には流石に応えたのか、ビーデルはお腹を抑えて咳き込みながら後退りをする。
二乃「ちょちょちょ!!あいつ乙女のお腹を容赦なく殴ったわよ!?あり得ないんですけど!?」
一花「確かに酷いけど、これってそういう競技なのかな……?」
だが、相手は度を越えた狂人であった。
ドカッッ!!!!
ビーデル「ぐっ……!!!」
今度は容赦なくビーデルの顔を殴りつける。
悟飯「うわっ…!!!」
四葉「な、なんてことを…!!」
クリリン「お、おい!!そろそろヤバいんじゃないか!?」
悟飯「ビーデルさん!今すぐ降参して!!」
ビーデル「いやよ…!誰が…!!」
悟飯達はスポポビッチの異常さに気がついてビーデルに説得するも、チャンピオンの娘というプライドがあるからだろうか、一向に降参する気配がなかった。
ガッ…!!!
ビーデル「きゃ…!!!」
ビーデルはスポポビッチの力強い突っ張りに押し負けて倒れてしまう。そしてスポポビッチは…………
ダッ…!!!!
ビーデル「ぎゃぁ…!あぁあぁぁああああッ!!!!!!」
なんと、足でビーデルの頭を容赦なく踏み潰そうとしている!!
四葉「なっ…!!これはいくらなんでも…!!!!」
悟飯「や、やめろお前!!殺したら失格になるんだぞ!!!」
スポポビッチ「………」
しかし、スポポビッチはビーデルを見下しながら痛めつけることそのものを楽しんでいるようだった。天下一武道会本来の意義を無視した行為である。
二乃「ちょ…!!あれ反則でしょ!!」
一花「なんで試合は中断されないの!?」
ヤムチャ「天下一武道会ってのは、基本的に相手が戦闘不能になるか、場外に落とされるかしないと試合は終わらないんだ……」
三玖「そんな…!あのままじゃ…!!」
五月「ひっ…!!」
五月は最早スポポビッチの行動に恐怖している。あんな残酷なことを平然とやってのける彼に五月は心の底から恐怖していた。
流石にこれでは試合どころではない。ビーデルの惨状に観客達が悲鳴をあげており、軽くパニック状態になっている。ほとんどのものが試合をやめるように叫んでいた。
悟飯「や、やめろ…!!やめろ…!!!!」
そして正義感の強い悟飯は、この行動を見過ごせなかった。怒りによって無意識に気を解放していき、その余波によってバンダナが取れてしまったが、それに気付かなかった。
悟飯「くそ…!!許さないぞ…!!」
悟空「やめろ悟飯!!落ち着け!!」
悟飯があと一歩で乱入しそうになったその時……。
ヤムー「その辺にしておけ!本来の目的を忘れたか!!」
ヤムーと呼ばれた選手がスポポビッチにそう言うと、弱ったビーデルを無造作に掴んでそのまま場外に投げ飛ばした。
アナウンサー「す、スポポビッチ選手の勝利です…。誰か!ビーデル選手を救護室に!!」
ビーデルの傷は放っておくと大事になりかねないレベルだったので、急いでタンカーが用意されてビーデルが運ばれる。
二乃「ねえ、ちょっとあれ大丈夫なの!?」
一花「救護室に運ばれたけど……」
三玖「………無事……じゃないよね……」
らいは「ふぇ………」
らいははあまりの試合の惨状に今にも泣き出しそうになっている。
風太郎「らいは。大丈夫だ。きっと悟飯がなんとかしてくれるさ」
勇也「ああ。悟飯君に任せれば、あのお嬢ちゃんもきっと無事だぜ」
勇也と風太郎はそんならいはを慰める。
五月「……私、彼に抗議してきます!!」
二乃「や、やめなさい五月!!あれは流石にヤバいわ!!何されるか分からないわよ!?」
五月「ですが…!!」
悟飯「そうだ…!誰か仙豆を持っていませんか!?!?」
ピッコロ「俺が持っているぞ」
悟飯「すみません…!それ一つ下さい!!」
ピッコロから仙豆を受け取った悟飯は走って救護室に向かった。ビーデルに仙豆を食べさせてあげるのだろう。
アナウンサー「さて、ハプニングはありましたが、次は中野四葉選手対ヤムー選手です!お二人は武舞台に上がってください!!」
ヤムーは無表情で、四葉は怒りを込めてヤムーを睨みつけていた。
クリリン「待て…!ヤムーってやつもスポポビッチってやつに似たやばい雰囲気を感じるぞ!棄権させた方がいいんじゃないか!?」
悟空「………かもな。だがあいつはまだ理性的だから大丈夫なんじゃねえか?」
クリリン「だ、だけど…………」
アナウンサー「それでは、試合を開始して下さい!!」
四葉「………あなた、さっきのスポポビッチさんのお仲間ですか?」
ヤムー「ああ。そうだが?」
四葉「…何故さっきの試合をもっと早く止めなかったんですか?」
ヤムー「別にあの女がどうなろうが知ったこっちゃない。だが、俺達はある目的の為にこの大会に出場しているんだ。無駄な時間はかけてられねえ」
四葉「……無駄な、時間……?」
四葉は知っている。ビーデルと共に修行をしていた四葉は、いつの間にかビーデルと仲良くなっていた。そして、ビーデルが一生懸命頑張っているのを間近で見てきた。そしてさっきの試合。乙女の顔を気にすることなく必要以上に傷付け、彼女の心をズタズタにした。四葉はそれが許せずにいたし、それを止めなかったヤムーも許せなかった。
ヤムー「お前もとっとと片付けてやる。スポポビッチみたいに遊んでやらないからな」
四葉「そうですか……。本当はご本人にお返しをしたいのですが………」
二乃「あれ?四葉がやる気になってない…?」
三玖「……もしかして、さっきの試合を見て怒ってる…?」
五月「あの人はスポポビッチって人と話してましたもんね…。もしや仲間…!?」
零奈「………四葉」
四葉「私はあなたも許せません。この試合に勝って、スポポビッチさんもボコボコにしてあげます………」
四葉は静かにそう言うと、戦闘態勢に入った。
ヤムー「俺を倒す?減らず口を…。まあいい。少しは現実ってものを見せてやるよ」
ヤムーも多少はやる気になったようで、互いに出方を伺う。
ヤムー「……!!!」
まずはヤムーが動いた。常人では目で追うことが不可能に近い速度で四葉に接近し、懐に回って腹部に拳を突きつけようとする。
ガッ…!!!
四葉「…………」
ヤムー「ほう………」
しかし、そんなヤムーの攻撃を四葉は片手であっさりと受け止めた。
ヤムー「さっきの女よりは少しはできるようだな。ならこっちも少し本気を出すとしよう…!!」
ズバババッ!!っとヤムーの拳が高速かつ連続で四葉に向けて繰り出されるが、それを四葉は両手を駆使してこれまた高速で阻止する。
ドゴォオッ!!!!
ヤムー「ぐぅ…!!!」
そして、四葉の拳撃がヤムーの腹部に命中した。
四葉「やぁッ!!!!」
ドカッッ!!!!
ヤムー「ばっ…!!!」
そして、攻撃を受けて怯んでいるヤムーに追い討ちをかけるように回し蹴りを喰らわせた。
ヤムー「このガキ…ギャ…!!!」
ヤムーは一方的に攻撃されていることに怒りを感じだが、そんなことは知ったことかと言わんばかりに四葉のビンタが容赦なく放たれる。
四葉「ビーデルさんの試合を無駄な時間だと言ったこと、後悔させてあげますよ…!!!」
ドガガガガガガッッ!!!!!
四葉の拳撃が連続で命中する凄まじい音が武舞台中に響く。
アナウンサー「凄い!!これは凄い!!華奢な見た目からは想像もできない強さです!!四葉選手の攻撃が次々と流れるようにヤムー選手に命中します!!」
「あの子すげぇ…!!」
「可愛い上に強いとか最高かよ!!」
「頑張れ!四葉〜!!」
四葉!!四葉!!四葉!!
そんな四葉を応援する声が武舞台にいる観客達から届けられる。普段の四葉ならこの状況で照れる仕草をしたのであろうが、今の彼女は一味違う。今の彼女は友人であるビーデルを理不尽にも傷付けたことに対して怒っていた。だから応援など気にすることなく試合を続ける。
クリリン「こ、怖えぞあの子…!」
悟空「ひぇ〜…!!あいつやるじゃねえか…!!」
五月「よ、四葉……?」
三玖「四葉って喧嘩もできたんだ…」
二乃「まあ……。空を飛べるならそれくらい当然よね」
一花「えっ!?四葉が空を飛べるってどういうこと!?」
二乃「あら?知らなかったの?」
二乃は四葉が舞空術を使えることを教えると………。
三玖「なにそれ?悟飯の家に通い詰めてたの…?」
五月「四葉…。あなたという人は、そこまで尻軽な人だとは思いませんでした…」
一花「すっごい言われ様………」
ちょっとカオスになった。
ヤムー「調子に乗るな…!!」
ヤムーは四葉の攻撃網から避難して、一旦距離を取る。そして両手に気をこめて………。
ヤムー「死ねッ!!!!」
ズォオオオオオッッ!!!!
なんと、気功波を放った。
クリリン「うえ!?嘘だろ!?」
しかも、気功波の向かっている方向は不幸にも二乃達のいる方角だった。四葉に向けて撃たれたため、二乃達のいる上の席は直接被害を受けることはないだろうが、下の観客は下手すると死ぬだろう。
シュン‼︎
四葉「しっ!!!」
ドンッッ!!!
四葉は足蹴りだけでヤムーの気功波を上に弾き飛ばした。
アナウンサー「な、なんと…!!四葉選手も浮いています!!最近は浮くのがブームなのでしょうか!?何故今になって鶴仙流がブームに……!!?」
ヤムー「ちぃ…!!」
ヤムーも舞空術を使って四葉に急接近するが…。
ヤムー「はっ!!」
ドグォォオオオン!!!
四葉「!!」
気功波が放たれたので身構えた四葉だったが、途中で爆発した。恐らく目眩しのつもりだろうが……。
シュバ‼︎
ヤムー「よし!!」
ヤムーの拳が四葉の体を貫通した。
四葉「こっちですよ」
ヤムー「……!!!!」
声の聞こえた上を向くと、何故か無傷の四葉がいた。そう、ヤムーが攻撃できたと思った四葉は残像だったのだ。
クリリン「すげぇ…!!残像まで使えるのか!?」
悟空「将来有望だなぁ……」
ビーデルがスポポビッチに敵わなかった要因は、あくまで舞空術を使えるようになることを目標として修行をしていたが、四葉の場合は姉妹や風太郎を守れる力を欲して修行をしていたのだ。つまり、四葉の場合は、攻撃や防御、あらゆる戦闘方法を悟飯から学んだのだ。特に、実戦修行は四葉の成長に大いに貢献している。
ドカッッ!!!!!
アナウンサー「おおっと!!四葉選手の攻撃が決まった!!!」
四葉はバレーでアタックする要領でヤムーを叩き落とした。
ヤムー「くそ…!!くそ…!!!
悟空「……?」
クリリン「バビディって言ったか…?」
ピッコロ「引き出しただと…?どういうことだ…?」
バビディという言葉を聞いて、今まで静かだったシンが僅かにピクリと動いた。
ヤムー「こんなはずじゃ…!!あの小娘を負かせられないんじゃバビディ様のお役には立てない…!!!」
スポポビッチ「待てヤムー!あいつはエネルギーを吸い取った方が…!!」
ヤムー「黙れッ!!!」
ヤムーはスポポビッチの言葉には耳を傾けずに四葉に向けてひたすら気功波を連射する。その様子を見て、二乃と五月が軽く悲鳴をあげているが、母親である零奈だけは何故か冷静に試合を観戦していた。
シュルルル‼︎
ヤムー「!?」
煙を通り抜けて紐状の気の塊がヤムーを縛り付けると、紐が伸びてきた方向にヤムーが引っ張られる。そして……。
四葉「……これで終わりです」
ドゴォォオオッッ!!!!!!
ヤムー「ぐおっ………!!!」
四葉はそのまま重力を利用してヤムーを蹴りながら落下する。四葉は場外になる直前で舞空術を利用して武舞台に移動した。
アナウンサー「場外!!四葉選手の勝利です!!」
結果、四葉の圧勝となった。
悟飯「あれ?四葉さん勝ったんですか!?」
ビーデルに仙豆を渡した悟飯がここで戻ってきた。
悟空「ああ。あいつなかなかやるな。本当に気を覚えたてなんか?」
悟飯「ええ、一応………」
クリリン「こりゃあウカウカしてたら地球人最強の称号が取られちまうかもな…………」
クリリンはそう言っているが、四葉は流石にそこまでには達していない。
四葉「…………」
スポポビッチ「……!!」
四葉は武舞台を降りる前に、スポポビッチを睨みつけた。『次はお前がこうなる番だ』と警告しているのだ。女の復讐心は怖いものである。
悟空「そんじゃ、次は悟飯の番だな!相手は只者じゃなさそうだから気をつけろよ!」
悟飯「はい!」
続いての試合は、悟飯vsキビト…。キビトはシンという少年と一緒にいた初老の男性である。はたして、彼の実力は如何に……?
次回予告を書こうと思ったけど、急にスタイルを変更するのもアレなのでやめました。というか次回予告はちょっとしたネタバレになっちゃう可能性もありますからね。
何度もくどく言ってますが、原作と丸被りする部分はカットします。カットされた場合は原作と同じような出来事が起きてるんだなと思って下さい。
スポポビッチに四葉がボコられると予想している方が結構多かったですが、ボコられたのは原作通りビーデルでした。そして四葉とヤムーの試合に移行しますが、ここで四葉の実力が見えてきた感じですね。まだZ戦士ほどではないにせよ、パワーを引き上げられたヤムーの上をいく実力を持っています。個人的な偏見ですが、四葉は本気で怒ると五つ子の中で一番怖いと思う。これ共感してくれる人いるかな…?
ちなみに四葉はこのまま無双するかと言われるとそんなことはありません。