孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

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 前回のあらすじ…。

 ベジータはバビディの魔術によって邪悪な頃のベジータに戻されてしまった。ベジータは次々と観客を殺してしまった。悟空はベジータを止める為に戦うことを決意した。

 悟飯は界王神と共に、魔人ブウの復活を阻止するために、バビディとダーブラが待ち受ける階層に向かった。

 一花がバビディの洗脳魔術を受けたしまったため、正気を失ってしまった一花を元に戻す為に、四葉は一花と喧嘩という名の戦いをすることになった。



第77話 Sisters War

四葉「……………」

 

一花「……………」

 

 

四葉と一花の戦いはまだ始まったばかりだったが、全くの互角であった。

 

四葉「はぁっ…!!!」

 

ガッ…!!!!

 

四葉は正拳突きをすると、一花はそれを受け止めて、逆に回し蹴りを喰らわそうとする。

 

四葉「やっ!!!」

 

ドカッッ!!!!

 

一花「ぐぅ……!!!!!」

 

だが、四葉は反対側の腕でそれを受け止め、一花の顎に膝をぶつける。しかし一花も負けずに、そのまま四葉に頭突きをお見舞いする。

 

一花「このぉ……!!!」ポワッ

 

一花は気功波を生成し、それを四葉に向けて連射するが、四葉は武舞台を走りながら器用に回避する。時にはスライディングをし、時には跳び、時には弾きながら全て避けていた。

 

一花「流石だね四葉…。やっぱり姉妹の運動担当は四葉だよ」

 

一花は全ての攻撃を避けられたのにも関わらず、余裕の笑みを崩さない。その原因はすぐに分かった。

 

一花「残念。四葉はまんまと私の作戦に踊らされていたんだよ?」

 

四葉「……!!!」

 

なんと、四葉の周りには大量の気弾が存在していた。その気弾は先程四葉が避けたものや弾いたものであった。

 

一花「この勝負、私の勝ちだね……」

 

一花が右手を閉じる動作をすると、四葉の四方八方に存在していた気弾が一斉に四葉に向かって進み始めた。

 

四葉「……い、いち」

 

ドグォォオオオオオオオンッッ!!!!!!!

 

四葉は何かを言おうとした時、一花の気弾が目標に到達した。それによって連鎖的に爆発を起こしていた。

 

一花「あーあ……。大人しく私にフータロー君を渡してたら私の可愛い妹として女の子らしく暮らせたのに、残念…」

 

一花は言葉とは裏腹に、怪しげな笑みを浮かべながらその場を去ろうとした時………。

 

ガシッ…!!

 

一花「なっ………!!!!」

 

リボン型の気功によって一花が拘束された。

 

四葉「えへへ……。上手くいった……」

 

所々に血を流した四葉が一花を捕らえることに成功したことを確認すると、弱々しく笑う。どうやらあの気弾の包囲網からは完全に抜け切ることはできなかったものの、全てを食らわずに済んだようだ。

 

一花「四葉…!!何のつもり…!!!」

 

四葉「私は本当なら一花を傷付けたくないの!だからちゃんと話し合おうよ!!!」

 

一花「話し合う?フータロー君を私から奪おうとする女狐と話し合えって?笑えない冗談だよ、四葉」

 

四葉「一花!本当にそれでいいの?私を倒したら、次は姉妹のみんなにも手を出すつもりでしょ?」

 

一花「私とフータロー君の邪魔をするなら例え姉妹が相手でも容赦しないよ?」

 

四葉「………っ…」

 

何の躊躇いもなくそう言った一花に対して、四葉は悲しげに、苦虫を噛んだような顔をする。

 

四葉「本当に、それが一花の本心なの?」

 

一花「うん。フータロー君以外は全部いらない。逆に言えば、フータロー君さえいてくれればいいの。でも四葉は姉妹がいいんでしょ?ならフータロー君を渡してよ」

 

四葉「嘘でしょ」

 

一花「はっ?なんで?」

 

四葉「一花、本当に上杉さんだけで満足するのかな?」

 

一花「何を言ってるの、四葉?」

 

四葉「私は知ってるよ?昔の一花は我儘だったもんね。私が仲良くしたいって言った子と翌日には仲良くなってたり、私が大切にしてたシールを勝手に使ったり………」

 

一花「何が言いたいの?それとフータロー君は関係なくない?」

 

四葉「昔の一花は我儘だったんだよ。だからきっと一花は上杉さんだけじゃ足りない」

 

一花「ふーん?でもその姉妹が私とフータロー君の邪魔をするんじゃ本末転倒じゃない?」

 

まるで話は進みそうになかった。平行線を辿るだけである。

 

四葉「それに、姉妹のみんながいなくなったら、上杉さんはきっと悲しむ…!」

 

一花「……!」

 

"上杉さんが悲しむ"

 

四葉がそう言うと、今まで邪悪な笑みを浮かべていた一花が一転して焦燥するような顔になった。

 

一花「それ、どういうこと…?」

 

四葉「上杉さんにとって、私達5人はかけがえのない存在になりつつあるんだよ。もし一花が姉妹を殺しちゃったりしたら、上杉さんはきっと一花を拒絶する」

 

一花「…………」

 

四葉「だからもうこんなことはやめよう!!お願いだから元の一花に戻ってよ!!!」

 

四葉は必死に一花に訴えかける。あの優しく、お姉さんらしい一花に戻ってくれることを信じて……。

 

一花「そっか。じゃあ魔人ブウに殺されたことにすればいいじゃん」

 

四葉「…………えっ?」

 

一花はとんでもないことを言い出した。四葉が言った言葉でようやく一花は思い留まるかと思ったが、むしろ一花の元の考えを促進してしまった。

 

風太郎が一花を拒絶するのは、一花が姉妹を殺した場合の話。では、一花ではなく別の誰かが姉妹を殺したことにすることが、今の一花にとっては邪魔者を消し、風太郎を手に入れられる画期的な手段だと認識したのだ。

 

………そもそも姉妹は邪魔者ではなく、大切な家族なのだが、邪悪な心を必要以上に拡大された彼女にはそんな考えはなかった。

 

一花「ありがとう四葉。実は私もそれを懸念していたんだけど、さっきの話を聞いていい作戦を思いついたよ」

 

ボォオオオオッ!!!!

 

四葉「うそ………!!!」

 

一花は更に気を高めて四葉の拘束術を無理矢理解いた。一花は四葉との戦いで気の扱い方を学習していたのだ。姉妹の中でも飲み込みの早い彼女は四葉の戦闘スタイルを間近で見ながら学習をしていたのだ。

 

その為、先程までの彼女とは一味違うのだ。

 

一花「はっ!!!!」

 

ドカッッ!!!!

 

四葉「ぐぇ………ッ!!!」

 

 

先程の数倍のスピードで腹部に正拳突きを喰らった四葉は、腹を抑えながら数歩後退りする。

 

一花「あれ〜?もう終わり?ならお姉さんはとっとと終わらせちゃうよ?」

 

そう言うと、一花は地面を蹴って再び四葉に接近する。四葉は腹部の痛みを堪えて防御する姿勢になる。

 

ガガッ…!!!

 

四葉「わっ……!!!」

 

しかし、四葉は腹部を庇いすぎて足に注意がいかなかった。一花は四葉の足に軽く蹴りを入れてバランスを崩し、四葉を転倒させようとする。実際四葉はバランスを崩して転倒しかけている。

 

 

バキャ…!!!

 

四葉「あ"っ……!!!!!」

 

そして、一花は容赦なく四葉の腹部に再び衝撃を与えた。今度は正拳突きではなく、膝を腹部に深く食い込ませていた。

 

四葉「けほっ…!!ゲホッ……!!!」

 

四葉は腹部に強い衝撃が与えられたことによって、強く咳き込むが、それは隙を作っているだけにすぎなかった。

 

ドカッッ!!!!

 

四葉「……っ!!!!!」

 

咳き込む四葉に容赦なく一花の拳が頬に放り込まれると、そのまま四葉は流れるように地面に叩きつけられた。

 

四葉「かはっ………!!!!!」

 

一花「あれあれ〜?どうしたの四葉?本当にギブアップ?」

 

四葉が一花に勝てない理由はいくつかあった。

 

まず、四葉は一花を殺すつもりで戦っていないこと。しかも、一花は四葉を殺す気で戦っていた為、更に達が悪いのだ。

 

次に、一花と四葉は五つ子の姉妹であり、潜在能力はほぼ同じである。つまり、一花も四葉のように修行すれば同様の力を得ることができるはずなのだ。

 

最後に、バビディによって強化されているからだ。これらの要因によって、一花は四葉を超える力を得てしまったのだ。しかもバビディによって必要以上に邪悪な心が拡大されてしまっている為、姉妹に対する愛着も大分薄れてしまっている。

 

四葉「はぁ……!はぁ………!」

 

四葉は満身創痍の状態だが、一花を救う為になんとか立ち上がった。

 

四葉「一花…!今度は、私が助けるから…!!今まで助けてもらった分を、今返すからッ………!!!」

 

一花「なら死んでよ」

 

カァァッ!!!!

 

四葉「う"ッ!!!!」

 

四葉の訴えを無視して一花は気功波を放つ。四葉には既に避ける体力が残っていない為、防御姿勢を取ってダメージを極力抑えようとするが、腕にもダメージが入ってしまい、血が出る。

 

一花「随分粘るね?そんなに姉妹が大事なんだ?」

 

四葉「当たり前、だよ…!大切、な…!大切な、家族だもん…!!」

 

四葉は息を切らしながらそう答えたが、今の一花には全く響かなかったらしく、特に反応はなかった。

 

一花「じゃあその家族の為にフータロー君を渡してほしいんだけどなぁ……」

 

一花はそう言うが、四葉の答えは変わらなかった。一花は四葉の目を見てそう判断した。

 

一花「もう……。いい加減終わらせようよ?これ以上は時間の無駄だよ?四葉も死にたくないでしょ?負けを認めるならお姉さんが特別に見逃してあげるよ」

 

四葉「はぁ…………はぁ…………………」

 

だが、四葉は返事をせずに一花を真っ直ぐ見続ける。

 

四葉「私も、本気を出す……!!」

 

ボォオオオオッ!!!!!

 

一花「……!!!!!」

 

ここに来て気を全開にした四葉に一花は目を見開いて驚いた。

 

一花「なんで、今までその力を使わなかったの?」

 

四葉「私は一花を傷付けたくなかった…!だけど、今の一花は二乃も、三玖も、五月も…!!風太郎君以外はみんな殺しちゃう!!だから、私がそんなことはさせない!!!!」

 

シュン‼︎

 

ドカッッ!!!!!!

 

一花「ぎっ………!!!」

 

四葉は先程とは比べ物にならないスピードで一花に拳を叩きつけ……。

 

四葉「はっ……!!!!」

 

カァァッ!!!!!

 

反対側の手で気功波を撃ち、一花にヒットさせる。一花は気功波の威力に押し出されて、今は誰もいない観客席に叩きつけられ、席は強力な衝撃によって砕ける。

 

ドゴォッッ!!!!

 

一花「ッ!!!」

 

続いて、一花に蹴りを突き刺すと、一旦一花から離れた。

 

四葉「はぁ……!!!!」ポワッ

 

四葉は両手に気を集中させて、気弾を連射する準備を始める。

 

一花「四葉ァアア!!!!!」

 

自身の優勢が崩されて、頭に血が上り始めた一花は怒鳴り声をあげる。そして四葉に突進をしかけようとしたが…。

 

四葉「…!!!」キッ‼︎

 

ドンッッッ!!!!!!

 

一花「うっ…!!!!!」

 

四葉は目を見開いて気合を撃ち、それによって一花は再び観客席に叩きつけられる。

 

四葉「だだだだだだだッッ!!!!!!!!

 

更に四葉は一花に向けて気弾の連射を開始した。今の一花はみんなを傷付け、やがては殺すと確信した。だから一花を傷付けてでもみんなを守り、一花をみんなの元に戻ってこれるようにしようと決心した。一花を傷付けるのは不本意だが、こうでもしないと一花自身を苦しめる結果を生み出してしまうことになるので、一花を含めた姉妹のみんなを守りたい四葉にとっては苦渋の決断だった。

 

四葉「はぁ…………はぁ………………」

 

四葉は気弾の連射を終えて息を切らす。気の爆発の連続によって観客席は原型を崩し、瓦礫の山と化していた。だがまだ一花の気を感じるので、死んではいないが、確実に弱っている。四葉は休息を取る為に一旦着地した。

 

一花「はぁ…………はぁ………………」

 

煙の向こうから傷だらけの一花が姿を現した。四葉の攻撃は効果を発揮したようで、一花を確実に弱らせている。

 

一花「はぁ……。参った。お姉さん降参だよ」

 

四葉「…………えっ?」

 

意外な言葉に、四葉は情けない声を出してしまった。あそこまで風太郎に執着していた一花がこうもあっさり引くはずがないと思っていたからだ。

 

一花「ごめんね、四葉。私、目が覚めたよ。姉妹を殺そうとしてるなんて、どうかしてたよ………。自分で考えても恐ろしいと思う……。四葉が身を削って止めてくれなかったら、今頃………」

 

四葉「一花……!!!!」

 

四葉は満身創痍ながら、パァっと笑顔に切り替わる。その様子はまるで、大雨を降らせていた雷雲が突然開いて太陽の光が顔を覗かせるようだった。

 

一花「ねえ四葉。仲直りしよう…?こんなダメなお姉ちゃんでも許してくれるなら………」

 

四葉「うん…!うん…!!!」

 

四葉は一花に駆け寄ってハグしようとする。

 

ガシッ…!!

 

四葉「………?」

 

先程まで両腕を広げてハグを促していた一花だったが、左腕で右腕を掴んでいた。

 

一花「あ、あれ?なんだろう……?おかしいなぁ……?四葉…!逃げて……!!」

 

四葉「………ん?」

 

一花「あ、あれ?私何言ってるの?変だなぁ………?疲れちゃ……いいから!!四葉!!早く逃げて!!!」

 

四葉「えっ?何を言ってるの、一花…?」

 

一花は右腕を左側に引き込むような動作をするが、右腕を右側に戻そうとする動作も同時にする。まるで左半身と右半身それぞれに意志があるようだった。

 

右目は青黒く濁っており、左目は宝石のように透き通った青色をしている。

 

一花「だめ!騙されないで!!逃げるか私を倒して!!はぁ?何言ってるの?余計なことを口走らないでくれる?」

 

四葉「えっ??一花…????」

 

一花「もうこんなことはしたくないの!!私は四葉を殺したくない!!」

 

四葉「えっ?どういうこと?正気に戻ってくれたんじゃ……?」

 

一花「う、うん!!どうやら悪い方の私が四葉を騙そうとしているらしいんだ…!!ちょっと待ってて!!すぐに終わるから…!!」

 

一花の挙動不審な行動に四葉は困惑するしかなかったが、この時、一花の精神内では、一花同士の壮絶な戦いが繰り広げられていた。

 

 

 

 

 

 

 

一花「ねえ!こんなことはもうやめて!!私は妹も四葉も殺したくない!!!」

 

闇一花「まだそんな甘いことを言ってるの?フータロー君を欲しがっているのは紛れもなく()()()()自身の欲望なんだよ?私はあなたの願いを叶える為に行動してあげてるんだよ?」

 

ここは、一花の心の中。両目が宝石のように透き通った青色をしている一花の目の前に、両目が底が見えない程に、闇のように青黒く濁りきった瞳をしている一花…。通称、()()()がいた。

 

一花「確かに私はフータロー君が欲しい!でも姉妹を殺してでも欲しいだなんて思わない!!それに二乃、三玖、五月ちゃんは関係ない!!あの3人がフータロー君を取ることはあり得ないよ!!!」

 

闇一花「最近の様子を見る限りだと、悟飯君は既に誰か一人に絞ることができたみたいだよ?そうなれば2人は振られることが確定している……」

 

一花「それがなんなの!?」

 

闇一花「私達は五つ子だよ?悟飯君に振られた心の隙を埋めるように、今度はフータロー君を手に入れようとするかもしれない」

 

一花「そ、そんなことは………」

 

闇一花「ないって言い切れる?」

 

一花「で、でも…!それが姉妹を殺していい理由にはならない!!!」

 

一花は必死にバビディによって作り出された闇の人格である闇一花と戦っていた。だが闇一花はバビディの魔術によって力が引き出されている。つまり一花よりも闇一花の方が強力なのだ。そんな闇一花相手に一花が対抗できているのは、闇一花よりも圧倒的に強い意志があったからだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()があったからこそだった。

 

闇一花「はぁ……。同じ()()だから君も分かってくれると思ってたけど、それは私の妄想にすぎなかったみたいだね。あなたも私の『敵』なんだね」

 

一花「がっ………!!!!」

 

闇一花「もういいよ。消えな。フータロー君よりも姉妹を優先する中野一花なんていらない。今日から『私』が中野一花だよ」

 

一花「だ……め………!!!!やめて……!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一花「……………」

 

四葉「い、一花………?」

 

一花の二重人格めいた行動がようやく終わった。それを確認した四葉は、一花に恐る恐る近寄る。

 

一花「………」スッ

 

一花は顔をあげると、満面の笑顔で四葉にこう言う。

 

一花「やった…!!私、自分の闇に打ち勝ったよ!!」

 

四葉「ほ、ほんと!?!?じゃあ、完全に元の一花に戻ったの!!?」

 

一花「うん!!元に戻れたのも四葉のお陰だよ!!本当にありがとう!!!こんな立派な妹を持てて私は幸せだよ!!」

 

四葉「………!!!!」

 

四葉は初めて報われた気がした。今まで姉妹に助けられっぱなしだった自分がようやく姉妹を助けることができたのだ。それ以上に、一花が元に戻ったことが何よりも嬉しかった。

 

四葉「一花〜!!!!」

 

四葉は怪我をしていることを忘れて一花に駆け寄り、抱き寄せた。

 

一花「おおっと…!ビックリしたぁ……」

 

四葉「一花ぁ…!!ひぐっ…!!元に戻ってくれて良かったよぉ……!!!」

 

四葉は泣きながら一花の生還を喜んでいた。そんな四葉に一花は優しく頭を撫でてあげる。

 

一花「もう……。甘えん坊さんなんだから…………」

 

一花は泣きつく四葉を見て頬を緩めて撫で続ける。その姿は、仲のいい姉妹そのものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グシャッ……!!!!!!

 

四葉「ッッ!!!!!」

 

一花「ざんね〜ん♡

 

 

 

四葉の腹部を貫通したのは、一花が生み出した鋭利な形をした気弾だった。闇一花が一花の意識を叩き潰し、闇一花を消し去ったように振る舞うことで四葉を巧みに騙したのだ。四葉は濁りきった瞳に気づくことができなかったのだ。

 

四葉「いち…………か…!かひゅ…!!

 

一花は無造作に四葉を離して、数歩後ろに歩く。すると、四葉は口から血を吐き出し、支えを失った為にうつ伏せになるように倒れ込む。四葉の()()が床にどんどん広がっていた。それと同時に四葉の意識が薄れていく。

 

四葉はなんとか顔を上げて、一花の顔を見た………。

 

四葉「…………あっ……」

 

その時に見た一花の顔は、完全に闇に染まりきったものだった。まるで()()()()とでも言わんばかりの歪んだ笑顔。そんな闇に染まりきった一花に見下されているのを見て、四葉はこう思った。

 

四葉「(……ああ。あの時と同じだ…。私が黒薔薇の部活で功績を残した時、体育館にいたみんなを壇上から見下ろしていた時の私と同じだ………)」

 

流石に当時の四葉はそこまで歪んだ笑顔はしていなかったが、四葉にとっては似たような状況だと感じたのだろう。

 

一花「やっぱり四葉は甘いね。でも結構強かったよ。フータロー君はもらうね。バイバイ」

 

一花は死にかけの四葉には興味がないといった様子で後ろを向き、風太郎の気を察知して飛び立とうとするが、一花は足に違和感を覚えた為、振り返り直す。

 

四葉「だ………め………!みんなは……殺させない……!!」

 

どんどん拡大していく鮮血の血溜まりを気にすることなく、四葉は一花を止める為に最後の力を振り絞る。

 

一花「あーあー…。諦めが悪いなぁ…。四葉はもう負けたんだよ?離しな」

 

一花は冷たく言い放つと、足を思いっきり振って四葉が掴んでいた手を強引に離す。その力が少し強かったた為、四葉は何回か転がって今度は仰向けに倒れる。

 

一花「待っててねフータロー君。君を迎えに行くから」

 

ドシューンッ!!

 

薄れ行く意識の中、四葉は一花が飛び立ってしまったことを認識した。

 

四葉「ああ…。ダメだったよ……。私は一花を救うことができなかった。ごめんなさい、孫さん……。あなたの教え、無駄にしちゃいました……………」

 

更に意識が薄れる中、四葉は一花を救えなかったことの後悔を口にしていた。

 

四葉「私、なんでいつもこうなんだろう……。私がする努力は、大抵無駄に終わるんだ……。勉強も、部活も、そして今回も…………」

 

視界が不安定になった時、四葉の中では今までの思い出が再生されていた。6年前の修学旅行で、金髪でやんちゃな風太郎に出会い、互いに必要とされる人間になろうと約束したこと。

 

旭高校に転校して、風太郎と再会した日のこと。悟飯と風太郎が家庭教師として我が家に訪れたこと。

 

林間学校で風太郎を手伝ったこと。

 

病院のお見舞いや、姉妹喧嘩の末の仲直り……。悟飯の戦いに、姉妹の恋愛模様………。

 

数えるとキリがなかった。

 

四葉「あはは………。夢、叶えられなかったな………」

 

四葉は右手を空に向けて上げる。

 

 

 

 

 

『いつか風太郎君のお嫁さんになれますように………』

 

 

 

 

 

四葉「死んじゃうんだ、私………。もう2度と、姉妹のみんなに、お母さん………孫さんに………………風太郎君に会えないんだ………」

 

そう思ってしまうと、もうすぐ死ぬというのに、四葉は涙が止まらなかった。それと同じように、出血も止まらなかった。それも仕方のないことだった。なぜなら、先ほどの一花の攻撃で腹部に風穴が空いてしまったからである。これで出血しない方がおかしい。

 

四葉「こんなことになるなら………早く風太郎君に言えば良かったなぁ………」

 

四葉はとうとう手をあげる力すらも無くなってしまい、手を床に叩きつけるように倒してしまう。瞳の光は段々弱くなり、小さくなった命の灯が間もなくが消えようとしていた。

 

四葉「うえすぎ、さん………………ふうたろう、くん………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すきだったよ…………。ずっ、と………

 

 

そこから、四葉は一切言葉を発しなくなった。瞳孔は完全に開き、目は光を失ってしまった。それでも血は流れ続け、鮮血の血溜まりを作り続ける。四葉が死んでも、その現実を受け入れろと言わんばかりに時間だけはいつも通り過ぎていく。鮮血は、決して時が戻ることはないと主張するように流れ続けた……。

 

 

 

 

 

 

この瞬間をもって、中野四葉という1人の少女………。姉妹を救う為に自分の命をも顧みずに勇敢に悪意に立ち向かった誇り高き戦士は、命を散らした…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一花「はぁ…!!やっと敵が一人減ったよ。あとは少なくとも3人いるのか…。でもまあ、みんな気を扱えないから楽かな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポロッ……

 

一花「あれ……?涙…?なんで……?」

 

今の一花には悲しみなんて存在しない。そのはずなのに、何故か涙が流れ始め、止まらなくなってしまった。

 

一花「なんで…?どうして……?まさか四葉を殺したから………?そんなはずはない……。私は生まれ変わったんだ……。フータロー君以外はいらないはずなんだ……!!」

 

一花は涙を拭くが、やはり止まらない。そのことに少々苛ついてしまっている。

 

一花「まあいいや。フータロー君は……あっちか」

 

 

 

 

 

 

二乃「……!!」

 

風太郎「どうした、二乃?」

 

ジェットフライヤーでカプセルコーポレーションに向かっている途中で二乃が不意に後ろを向いた。

 

二乃「………分からない。でも、なんか嫌な感覚がしたの…。なんか、炎が消えたような………そんな感じ……」

 

亀仙人「……………」

 

ヤムチャ「くそ…!!」

 

その二乃の感覚は正しかったようで、ヤムチャと亀仙人は難しい顔をしている。

 

ビーデル「…………そういえば、さっきまで同じくらいの強さの気がぶつかり合っていたけど、片方が消えたわ……」

 

二乃「ま、まさか……!」

 

五月「だ、大丈夫ですよ!四葉はきっと笑顔で帰ってきてくれますよ!」

 

三玖「だといいけど…………」

 

風太郎「…………一花、頼むから元に戻ってくれ………。四葉、無理をしないでくれ…………」

 

それぞれの思いを胸に、ドラゴンレーダーを取る為にカプセルコーポレーションに急ぐのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、悟飯界王神と共にはダーブラとバビディの所にいた。目の前には魔人ブウが封印されている玉があった。

 

バビディ「ねえダーブラ。あの地球人に勝てる見込みはあるの?」

 

ダーブラ「ええ。先程は少々遊んでしまいましたが、今度は本気を出します」

 

魔術によって、既にバトルフィールドが外に変えられていた。

 

界王神「悟飯さんはダーブラの方をお願いします。私はバビディと戦います……」

 

悟飯「分かりました…!」

 

 

 

 

 

 

スタッ

 

悟飯が超サイヤ人に変身しようとしたその時、何者かがその場に降り立った。

 

悟飯「……!!!お前は…!!!!!」

 

バビディ「うん?今度はなんだ?」

 

ダーブラ「また雑魚が来たか」

 

セル「雑魚とは随分な言われ様だな…。自己紹介でもしているのかな?」

 

ダーブラ「なんだと…!」

 

なんと、その正体はセルだった。

 

セル「感じたことのある気だと思って来てみれば、やはり貴様らだったか」

 

ダーブラ「やはり…?」

 

バビディ「なんだって?お前とは一度も会ったことないけど?」

 

セル「気にするな。こちらの事情だ。貴様らは魔人ブウを復活させる気なのだろうが、そうはさせん。魔人ブウの復活だけはなんとしてでも阻止してみせる」

 

悟飯「……!(そういえば、あのセルでさえも魔人ブウは化け物だと称しているくらいだった…!それくらいに強いのか…!魔人ブウって…!!!)」

 




 なんというか……。私はどうやらこういうシリアス系を書いている方が筆が進むようです……。マジでこの話はすらすらと書けたもん…。性格悪いんだなぁきっと()
 しかも一花は原作よりも酷い目に遭っている気がする。これなら原作通り修学旅行で闇落ちするだけの方がまだマシだったんじゃないかレベルですよね。ちょっとやりすぎてしまったかもしれない……。

 ちなみに、四葉と一花が姉妹喧嘩をしている時に同時に悟空とベジータが戦っていますが、原作と同じ展開なのでそこは割愛します。

 ここでのポイントは、ブランコこいで『好きだったよずっと』のシーンはこの小説においてはカットしてたんですけど、敢えてこの場面に持ってきた点ですね。これは本当に拘りました。ね?私って性格悪いでしょ?w
 あともう一つ拘っているのが、ドラゴンボールで蘇生できることを知っていても尚、喪失感?悲しみ?を伴うように工夫している点ですかね。上手く表現できてるかは微妙ですが、ドラゴンボールで生き返れるけど悲しいと感じていただければなぁ…と思ってます。

 ちなみに四葉が死ぬ際のイメージbgmは『confession』です。『ひぐらしのなく頃に』で流れる切ないbgmです。『confession ひぐらし』で検索すればYouTubeで出てくると思います。多分ね。

ごときす尊い…。まずは王道(?)の四葉ルートからプレイしてます。
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