孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

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 前回のあらすじ…。

 バーダックと天津飯の捨て身の時間稼ぎによって、悟飯達を救出することに成功した悟空達だったが、すぐに魔人ブウが現れ戦闘開始に…。魔人ブウと悟空がしばらく戦い続けていたが、魔人ブウの方が若干優勢であった。その為悟空は時間稼ぎをベジータに任せて、自分は気を溜めることに専念していたのだが、1分をオーバーしても溜まりきらなかった。

 一方で、目を覚ました悟飯と風太郎も加戦するも苦戦。そこにサタンという意外な人物が活躍し、魔人ブウを食い止めた上に、一番最初の魔人ブウと分裂させ、魔人ブウ同士の対決が始まった。だがその対決もこちら側にとってはいい状況と呼べるものではなかった………。


第93話 宇宙を懸けた死闘

魔人ブウ(純粋)と魔人ブウ(善)が戦っている時、悟空はあるハプニングに見舞われていた。

 

超3悟空「ちくしょう……!気が…!!気が減っていく……!!!」

 

ベジータ「な、なに……!?」

 

ピュイン

悟空「なっ………!!?」

 

悟空はとうとう超サイヤ人3の状態を保てなくなり、超サイヤ人状態が解除されてしまった。

 

ベジータ「な、何をしてるんだカカロット!?」

 

悟空「ちくしょう…!!そうだった…!オラはもう死人じゃねえ…!!時間という概念がある状態で超サイヤ人3になると体力が激しく消耗されちまうんだ……!!だから気を溜めるよりも減る方が早かったんだ…!!!」

 

ベジータ「な、なんだと………!!?」

 

悟空「ちくしょう……!!このままじゃ……!!」

 

そして魔人ブウ同士の戦いは最悪な方向へと傾いていた。ブウ(善)は既に傷だらけになっている上、気が減り始めている。いくら不死身の魔人ブウとはいえ、ブウ同士の場合は例外となってしまうようだ。居ても立ってもいられなくなったサタンも加勢するが、魔人ブウに蝿を払うような感じで飛ばされてしまった。だが、サタンはそれでも諦めずに魔人ブウに立ち向かおうとしていた。

 

ベジータ「…………おい!!界王神達とデンデ!!どうせあの不思議な玉で今の状況を把握しているのだろう!!?俺の声が聞こえるなら返事しろ!!」

 

『は、はい!聞こえてますが、どうされました?』

 

ベジータは唐突に思い付いたかのように叫び出し、界王神とコンタクトを取る。

 

ベジータ「今からナメック星に行ってドラゴンボールを掻き集めてこい!」

 

『えっ?ドラゴンボールを集めてどうするつもりです?まだ地球を戻すには早くないですか?』

 

ベジータ「いいから早くしろ!!俺に考えがある!!」

 

『わ、分かりました!』

 

ベジータの意図がいまいち分からないデンデだったが、ベジータの考えを期待してか了承した。

 

悟空「ベジータ、デンデの言う通りだよ。まだ地球を戻すのは早えぞ」

 

ベジータ「……カカロット。貴様は何度地球を救った?」

 

悟空「えっ……?な、なんだよ突然…?何回だったかなぁ………」

 

ベジータの突拍子な質問に悟空は考え込むが、悟空は分からないと言った様子で答えた。

 

ベジータ「……地球の奴らは貴様ばかりに任せて不公平だとは思わんか?」

 

悟空「……!!おめぇ、まさか…!!」

 

ベジータ「元気玉の用意をしろ」

 

そう。ベジータは元気玉で魔人ブウを一掃することを思いついたのだ。だから元気玉に必要な気を集める為に生き返らせようというのだ。

 

『ベジータさん!着きました!ドラゴンボールは既に皆さんが揃えて下さったので、ポルンガは既に呼び出してあります!願いはどうしますか!!?』

 

ベジータ「まず、一つ目の願いで地球を元通りにしろ!二つ目の願いで魔人ブウが復活した日から死んだ奴らを極悪人を除いて生き返らせるようにしろ!」

 

悟空「ベジータ、そんな面倒なことをしなくても、みんな元に戻してくれって願えばよくねえか?」

 

ベジータ「馬鹿者。そう願えばダーブラやバビディまで生き返るだろうか…。それに俺が殺してしまった連中が生き返らない」

 

悟空「………おめぇ、結構考えてんだなぁ……」

 

悟空はベジータがよく考えていることに感心する。途中でデンデが1つの願いで複数人を生き返らせることができないことを指摘したが、今の最長老であるムーリが、フリーザ襲来時以降に似たような事態に対処する為にパワーアップさせたとのこと。老界王神が快い顔をしなかったが、この場はなんとか切り抜けることができた。

 

『ベジータさん!2つ目の願いも叶いました!!』

 

悟空「あれ!?おめぇ輪っかが消えてんじゃねえか!!極悪人じゃねえってよ!!良かったな!!!」

 

なんと、ベジータも生き返ることに成功した。だがそれに浮かれている場合ではない。

 

ベジータ「よし!次は地球の奴らに声が聞こえるようにしてくれ!」

 

しかし、これは界王神達ができることではなかった。それを聞いたベジータはどうしようか困っていた時に……。

 

『それなら私に任せろ〜!それは私の得意分野じゃ!』

 

ベジータ「だ、誰だ!!?」

 

悟空「この声……!!!」

 

そう。界王神よりは下級の神様であるが、それなりに偉い界王…。正確には、北の界王だった。

 

『ワシなら地球だけとは言わず全宇宙に声を届けられるぞ!ベジータはよく分かっておるな!最後にワシが生み出した元気玉を選択するとは、センスがいいなぁ!』

 

ベジータ「御宅はどうでもいい。さっさとしろ」

 

『冷たいなぁ…。よし、準備は既にできてるぞ』

 

ベジータ「……聞こえるか、世界の人間共!!俺はあるところからお前達に話しかけている!!

 

分かっているだろうが、お前達のほとんどは魔人ブウに殺された。だが、ある不思議な力で生き返らせてもらったんだ。町や家などもすっかり元に戻ったはずだ。だが、こいつは決して夢なんかじゃないぞ!

 

今、あるところでお前達に変わって魔人ブウと闘っている戦士がいる!!だが、正直言って情勢はかなり悪いと言える!魔人ブウの強さは、あのセルをもはるかに上回るんだ…!そこで、お前達の力を借りたい!手を空に向けてあげろ!!お前達の力を集めてブウを倒すんだ!!かなり疲れるが心配するな!思い切り走った後と同じようなもんだ!

さあやれ!!手を上げろ!!」

 

 

ベジータはらしくもない行動を取った。戦闘民族サイヤ人のエリートとしてプライドが高かったベジータは、人に物を頼むということを殆どしなかった。だが、今のベジータは形振り構っていられなかった。宇宙を救う為に、自分で頭を下げる覚悟さえあった。

 

悟空「やるなベジータ!見直したぜ!!みんな!!オラに元気を分けてくれ!!!可能な限りで頼む!!!」

 

ベジータの行動に感心した悟空は、手を上げて元気玉を作る体制に入った。

 

 

 

 

 

 

天津飯「………この声、ベジータか?」

 

バーダック「あの王子がこんなことをするとはな……。らしくもないことをしやがる………」

 

そう言い、天津飯とバーダックは躊躇なく手を上げて元気を渡した。

 

 

 

 

 

 

 

クリリン「おお!ベジータの声だ…!!まさかベジータがこんなことをするなんてな!!」

 

ヤムチャ「俺らの元気を使え!!」

 

ビーデル「えっ?なになに?」

 

勇也「なんだか知らねえが、俺たちの力を使え!!」

 

らいは「お願い!魔人ブウを倒して!!」

 

ドラゴンボールの願いによって生き返った天界組も快諾して元気を渡す。

 

 

 

 

 

ベジータ「やい、地球人ども!さっさと協力しやがれ!!また魔人ブウに殺されたいのか!!これは夢でもないぞ!マジなんだ!!たまには貴様らも力を貸せ!!」

 

しかし、ベジータの頼み方が下手くそな為に、殆どの者が協力しない状態だった。なんなら、バビディの仲間だと誤解されていた。そこで痺れを切らした悟空が自ら口を開いた。

 

悟空「地球のみんな!!頼む!!頼むから元気を分けてくれ!!みんなの助けが必要なんだ!!空に手を上げてくれ!!早く…!!」

 

悟空が自ら頼むと、意外な、懐かしい協力者も現れた……。

 

 

 

 

 

 

 

「スノ!悟空だ!!間違いない!!」

 

「みんな!手を上げて!!!」

 

かつて悟空が少年だった頃、レッドリボン軍に支配されていた村を悟空に救われた村人達……人造人間8号が手を上げた。

 

 

 

 

 

「ウパ!この声は……!!」

 

「悟空さんだ!間違いない!!」

 

 

聖地カリンで暮らしていたウパ達……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なるほど、悟空か…。懐かしいぜ」

 

更に、最近はみんなの前に姿を現さなくなったランチに………。

 

 

 

 

 

 

 

「………この声、ベジータと孫悟空か?状況がいまいち掴めないが、ここは協力してやろう。まさか孫悟空を抹殺する為に造られた人造人間が孫悟空に力を貸す日が来るとはな……」

 

18号の双子の弟にあたる17号も手を上げた………。

 

 

 

 

 

 

 

「…………どうやら再び2人に戻ったようだな…。まあいい。この私が直々に手を下してやってもいいのだが、貴様らでどうにかするがいい……」

 

そして、緑色でセミのような見た目をした人型の生物も手を上げた………。

 

 

 

 

 

 

 

悟飯「お、お父さん……!!僕の残り少ない気だけど、受け取って下さい…!!」

 

風太郎「よく分からねえけど、それで倒せるなら倒してくれ…!!」

 

既に疲労困憊の悟飯と風太郎も悟空に手を貸した。そして………。

 

ピッコロ「あ、あれは……!!元気玉か!!!?」

 

トランクス「うわぁ!!?なんだよあれ!!?でっか!!!」

 

悟天「すごーい!!」

 

ピッコロ「お前ら!手を上げて悟空に気を分けるんだ!!!」

 

丁度いいタイミングで目を覚ましたピッコロ、トランクス、悟天も手を上げて悟空に手を貸した。

 

 

 

 

悟空「よし!大分集まってきたぞ…!!だけどまだまだ足りねえ…!!もっとくれ…!!頼む!!お前らの力が必要なんだぁああ!!!!」

 

しかし、先程のベジータの下手な頼み方も相まって、中々協力してもらえそうになかった。その様子に見かねて悟飯と風太郎も声を上げた。

 

悟飯「皆さん!!お願いします!!!どうか力を貸してください!!!ここで悲しみの連鎖を断ち切りたいんです!!!もう誰も死なせたくないんです!!!!!」

 

風太郎「お願いだ…!!疑う気持ちも分かるが、今だけは騙されたと思って手を上げてくれ……!!!一人でも多く手を上げてくれれば、それだけ命が救われる可能性が上がるんだ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………この声は、上杉君と孫君か……」

 

「そのようでございますな、旦那様」

 

そして、ドラゴンボールによって生き返ったマルオと江端がその声を聞いていた。

 

「……僕はまだ君達を認めたわけではない……が、今回は協力してあげよう。その代わり、魔人ブウを確実に倒してくることだね………」

 

そして、マルオと江端、病院職員全員も手をあげる………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケーキ屋店長「今の声は上杉君か……」

 

パン屋店長「ええ……。とすると、もしかして三玖ちゃんも向こうで………」

 

風太郎の声が聞こえた二人は、風太郎に協力する為に手を挙げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、今の声って孫じゃないか!!?」

 

「学級長の声も聞こえたぞ!!」

 

武田「みんな!手をあげたまえ!!!君達はあの日……。機械兵隊が襲来した日を思い出したまえ!!君達は誰に救われた?誰のお陰で助かったんだい?」

 

椿「それは当然決まってるよね!みんなも分かってるでしょ!!!」

 

武田の言葉を合図に、旭高校で顔の広い椿も加勢し、全校生徒が耳を傾け始めた。

 

前田「お前ら!!もう一度聞くぜ!!誰に救われたんだ!!!?」

 

「「「孫悟飯……!」」」

 

前田「声が小せえぞ!!誰に救われたんだ!!!?言ってみろコラッッッ!!!!!!」

 

「「「「孫悟飯だぁあああああッッッ!!!!!」」」」

 

前田「なら恩返しをする為に、今すぐ手を上げやがれコラァアアッッッ!!!!

 

前田の掛け声がスイッチとなり、全校生徒が一斉に手を上げて気を差し出した。その姿を見た前田の彼女、松井がこう言った。

 

松井「………今の無茶苦茶かっこよかったよ?更に惚れちゃった♪」

 

前田「う、うっせ!!」

 

武田「僕の出番が取られちゃったね☆」

 

前田「お前、なんだその顔は!?その気味悪い薄ら笑いやめろ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お主は孫達を守る為に体を張るタイプだろうとは思っていたが、まさかそれほどだったとはな……。考えを改めた方がいいかもしれぬ」

 

そう言って、1人の老人も手を上げた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟空「よっしゃ……!!いいぞ…!!ちょっとずつ集まってきている……!!」

 

ところが、魔人ブウを消滅させるにはいまいちの量だった。界王の能力によって地球にいる者達の声が聞こえてくるが、『ホントに大丈夫か?』『どうせ夢だろ』『騙されるかバーカ』など、信じない者達が多数だった……。

 

そして元気玉に気づいて悟空を阻止しようとする魔人ブウを止めるために立ち向かったベジータもボコボコにされる中、1人の英雄が動き出す……。

 

 

サタン「貴様らいい加減にしろッッ!!さっさと協力しないかぁああッッ!!このミスター・サタン様の頼みも聞けんというのかッッッ!!俺が魔人ブウを倒してやるから、お前達も早く力を貸さんかッッ!!」

 

悟空「………えっ?」

 

意外な人物が口を開いたことによって悟空はポカンとしてしまう。その様子にサタンは何か勘違いしたようで…。

 

サタン「仕方ないだろう…。こう言わないと奴らは信用しない…!今は魔人ブウを倒すことが先決だ!」

 

そう言った。そしてこのサタンの言葉が大いに効果を出した。名も知らない者に力を貸すならいざ知らず、世界の英雄、ミスター・サタンとなれば、協力を惜しむ者などいない。サタンコールをあげながら人々は次々と手を上げていく。少し遅れて一気に悟空に気が届いた。

 

悟空「……!!!よっしゃ!!!地球のみんな!!!ありがとな!!!!」

 

巨大な元気玉………否、超元気玉が完成し、とうとう魔人ブウを倒せる威力を孕むまでに至った。満を辞して……。

 

悟空「べ、ベジータ!!早くそこから退いてくれ!!!!」

 

魔人ブウに一方的に攻撃され続けていたベジータは最早動く体力も残っていない様子だった。ベジータは自分に構うなと言うが、悟空はどうしても元気玉を放つことを躊躇ってしまう。だが……。

 

悟空「あ、あれ………?」

 

サタン「早くしろーー!!!!そいつを撃てば魔人ブウを倒せるんだろう!!!??」

 

悟空「サタン……!!!」

 

基本的に臆病でビビりなサタンが、ここぞとばかりに男を出した。

 

悟空「サタン……!おめぇは本当に宇宙の救世主かもな!!!」

 

こうして、悟空が心配する要素は何もなくなった。あとはこの元気玉を魔人ブウに向けて放つだけ。それでこの戦いは終わるのだ…………。

 

悟空「くたばっちまぇえええええ!!!!!!

 

超元気玉が、宇宙を救う為に発進した。

 

ブウ(純粋)「ヒィ!!!?」

 

魔人ブウはこの気の塊がただの気の塊ではないことに本能的に気がついた。逃げようとするが、超スピードで迫ってくる元気玉を回避することはできないと判断した魔人ブウは、すぐに切り替えて元気玉を突き返そうとする。

 

ブウ(純粋)「ギギギッッ………!!!!」

 

なんと、魔人ブウは元気玉を受け止めた。しかしとても苦しそうだ。あともう一押しできれば魔人ブウを仕留めることができる…………。

 

悟空「くそ……!!あとちょっとなんだ……!!!あとちょっとでぇ……!!!!!」

 

 

 

ベジータ「………しまった」

 

サタン「えっ……?」

 

ベジータ「………計算が違った……。肝心のカカロット体力が足りん……!!!」

 

ここで重大な欠点が判明した。元気玉を放つ悟空本人の体力が殆どないこと……。体力がないため、いくら元気玉が高威力を持っていたとしても、魔人ブウに押し返されてしまうのだ。

 

ブウ(純粋)「イヒヒ……!!!」

 

なんとか押し返せることを確信した魔人ブウは、少し余裕の笑みを浮かべてゆっくりと歩き出した。

 

悟空「くっ……!!くそぉおお……!!!!」

 

それによって悟空の方が押されてしまった。

 

 

 

 

 

ドンッッッ!!!!!

 

悟空「……!!悟飯!!!」

 

だが、悟飯が加勢して直接元気玉を押し返そうとした。

 

ブウ(純粋)「ギィ……!!!!」

 

それによって魔人ブウは更に苦しい思いをすることになった。

 

悟飯「お父さん、すみません……!あの時、僕がとっととケリをつけていたらこんなことにはならなかった……!結局僕はあの時から変われてないんですよ…!!セルゲームのあの時から……!!!!」

 

悟飯の悲痛な叫び………。後悔の念が吐露されていく。だが、悟空は悟飯を責めるようなことはしない。

 

悟空「そんなことはねえさ…!おめぇはここ最近変わり始めている!いい方向にな……!!!」

 

悟飯「そんなこと………!!」

 

悟空「あるさ……!!ひょっとすると、絶対に守りたい奴でもできたんか?」

 

悟空は分かって言ってるのか、偶然なのかは定かではないが、悟飯の近況を知っているかのような口ぶりで話す。

 

悟空「安心しろ。確かにあの時のおめぇは遊び過ぎたかもしれねぇ。でも今のおめぇは立派な戦士だ。そこは自信を持て……!!」

 

悟飯「お父さん……」

 

 

 

ドンッッッ!!!!!

 

 

ブウ(純粋)「ギィィ……!!!!」

 

 

悟空「お、おめぇもか!!!」

 

 

悟空達が親子で会話をしている時、更に加勢するように風太郎がやってきた。風太郎は悟飯の隣で直接元気玉に触れて押し出そうとしている。

 

風太郎「……こうしてお前と共に戦っているのが夢みたいだ……」

 

悟飯「………えっ?」

 

風太郎「……お前にはこういったことは任せっきりだった…。お前は凄えよ。五人の問題児に一切イラつくことなく家庭教師を熟す上に、地球ごと守ってきたんだからな………。俺はそんなお前に密かに憧れていたんだ」

 

悟飯「………」

 

風太郎「………いつかお前の手助けをしたい。それは戦いという形じゃなくてもいいから、何か手助けをしてやりたかったんだ……。思えばお前が戦えると知る前からお前に助けられっぱなしだったよな」

 

風太郎は昔を懐かしむような顔をしながら悟飯に語りかける……。

 

風太郎「人との関係を極力絶ってきた俺にとって、家庭教師というのはある意味ハードルが高かった。そんな時にお前がいてくれただけで心強かったし、お前がいてくれたからあの五つ子も勉強してくれるようになったんだと思う……。もしも俺一人でやってたら、無茶苦茶時間がかかってたぜ?」

 

悟飯「そんなことないよ。僕だって上杉君に助けられたことがあったよ。僕がこの学校に入ってきたばかりの時、僕は高校というものがよく分かってなかった。学生は常に勉強して当たり前だと思っていた。

でも、周りは違った。勉強ばかりしている僕には友達という友達はできなかったんだ。そんな時に初めて気が合ったのが君だったんだ………」

 

悟飯もまた、昔を懐かしむような顔になりながら語る。

 

悟飯「僕は君という友達ができるまでは、学校は自分の夢を叶えるための手段としてしか見てなかった。だから学校が楽しみとかそういう感情はなかったけど、上杉君と話しながら勉強することが密かに楽しみになってたんだ………」

 

風太郎「ふっ……!よく恥ずかしいことをスラスラと言えるな……。俺には真似できん…………」

 

悟飯「ははは……。でも上杉君も似たようなものでしょ?」

 

風太郎「………そう考えると、俺達って似た者同士なんだな…………」

 

悟飯「そうだね………」

 

まるで世界の命運を決める戦いの最中であることを忘れているかのように二人でひたすら会話をする2人。だが……。

 

風太郎「………俺はお前の親友になれて誇りに思っている。お前とあいつらに出会えたことは、俺の数少ない自慢さ………」

 

悟飯「はは、上杉君らしくない台詞だね?」

 

風太郎「それと、もう一つある」

 

悟飯の言葉を遮って、風太郎はこう言った。

 

風太郎「こうして、お前の隣で共に戦えていることだ………!!!!」

 

悟飯「……!!!!」

 

風太郎「さあ、そろそろこの戦いを終わらせようぜ…?元の生活を取り戻すために……!あいつらを笑顔で卒業させる為に!!!

 

悟飯「……!!うん!!!」

 

この時、風太郎の悟飯はどこからか不明だが不思議と力が湧いた気がした。本来なら2人とも魔人ブウに吸収された弊害と元気玉に分けた影響で、悟飯に至っては超サイヤ人にすらなれないはずだった。だが、今の自分達なら力を引き出せる……。

 

何故か、2人とも全く同じタイミングで確信できた。

 

 

風太郎「はぁぁあああああ……!!!!!

 

悟飯「だぁあああああああッッッ!!!!!!

 

 

悟飯と風太郎の気が徐々に高まっていくと同時に、魔人ブウがどんどん押されていく。そして魔人ブウはまともに元気玉を受け止めることも難しくなり、両手から全身で受け止めるような態勢になってしまう。

 

ブウ(純粋)「ギィイイイ!!!」

 

 

 

悟空「……全くよ…。一応元気玉はオラが作り出したってことを忘れてねえか?まあいいけどよ………。おめぇ達を見てると不思議と疲れが吹っ飛んだ気がするぜ」

 

悟空は笑顔でそんな愚痴を漏らすと、次に魔人ブウに向けてだろうか?こう語りかけた。

 

悟空「おめぇは凄えよ。たった1人でここまでよく頑張ったな……」

 

ブウ(純粋)「ギィイイイ!!!!?」

 

悟空「今度はいいやつに生まれ変われよ……!!1対1で勝負してぇ…!!オラももっともっと腕を上げて待ってるからな………!!!!」

 

 

 

 

 

「「「「「「「「いけぇええええええええええッッッ!!!!!!!」」」」」」」」

 

タイミングを合わせたわけではないのに、全地球人、Z戦士、旭高校学生、あの世の住人、ナメック星人達が一斉にそう叫んだ。それが伝わったからか………。

 

 

ボォオオオオッ!!!!!

 

超悟空「はぁああああああああッッッ!!!!!!」

 

悟空は既に体力が限界を突破しているはずなのに、超サイヤ人に変身して元気玉を押す。

 

ボォオオオオッ!!!!!!

 

超悟飯「ウァアアアアアアッッッ!!!!!!!」

 

風太郎「おりゃああああああッッッ!!!!!!」

 

 

悟飯もまた超サイヤ人に変身し、風太郎は今出せる全力の気を解放し、元気玉を押す。

 

 

ブウ(純粋)「ギィイイイ……!!!!」

 

魔人ブウはとうとう悲鳴を上げ始めた。体が元気玉の効果によって少しずつ崩れ始めたことによって、本能的に死を感じたのだろう。だが、この程度では魔人ブウをまだ倒すことはできない。

 

 

 

『悟飯君!!フータロー君!!!』

 

『ハー君!!上杉ッッッ!!!!』

 

『悟飯ッ!!フータローッ!!!』

 

『孫さん!!上杉さんっっ!!!』

 

『孫君っ!!上杉君ッッッ!!!』

 

 

いつの間にか五つ子が意識を取り戻したようだ。風太郎の熱い思いに連動したのかもしれない。

 

『『『『『いっけぇえええええええええええええッッッ!!!!!!』』』』』

 

この時、悟空の目には、五つ子が悟飯と風太郎の背中を押しているように見えた。

 

超悟空「悟飯……。本当にいいダチを持ったなッッッ!!!!!!」

 

 

グォオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!!!

 

ブウ(純粋)「ガァアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!

 

悟空、悟飯、風太郎、五つ子達の連携によって魔人ブウの体はとうとう元気玉に侵食され始めていく………。腕から粉状になって徐々に自分の体が崩壊する様を、魔人ブウは見る暇などなかった。その様子を確認した悟空は……。

 

 

超悟空「……またな!!!」

 

 

大声でそう言った。そして………。

 

 

超悟空「ハッ!!!!!

 

 

この戦いに於いて、最後の雄叫びを上げた。

 

 

ブウ(純粋)「グァア……!!ァ……ァ…………

 

これによって魔人ブウの全身は元気玉に包まれると、緩やかに崩壊していく。それでも元気玉は止まらず、界王神界の地面を抉りながら突き進んでいく。魔人ブウが完全に消滅するまで、悟飯と風太郎は元気玉から手を離すことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、遂に宇宙の脅威である魔人ブウが、完全に消滅した…………。

 

 

 

悟飯「はぁ…………はぁ………………」

 

風太郎「うぇ………、し、死ぬ………!」

 

完全に力を使い果たした2人はその場に倒れ込んで素早く呼吸をする。悟空も完全に力を使い果たし、超サイヤ人から元に戻ってゆっくりと地上に降り立った。

 

サタン「は、ははっ……!!やったのか……!!?やったんだな…!!!」

 

悟空「………」

 

悟空は力なさげに首を縦に振った。

 

サタン「はははッッッ!!!!!地球のみんなぁああ!!!!お前達のお陰で、魔人ブウを倒すことができたぞぉおおおおッッッ!!!!!」

 

界王を経由して地球に届けられたその言葉は、数多くの地球人の歓声を生み出した。

 

ベジータ「………カカロット」

 

ベジータもまた体力を使い果たしており、地面を這いずりながら悟空に近づいていく。そして無言で笑顔のまま悟空に向けてサムズアップを送る。

 

悟空「…………」

 

悟空もそれを見て、同じようにサムズアップを送った。2人とも先程まで死闘を繰り広げていたのが嘘のようないい笑顔だっだ………。

 

 

ピュイン…‼︎

 

「「「「「きゃああ!!!?」」」」」

 

そして、突然風太郎と五つ子と零奈に分かれてしまった。どうやら限界以上に体力を使うと融合状態を保つことができないようだった。

 

一花「いっててて………」

 

二乃「つ、疲れたわ……………」

 

三玖「もう、動きたくない…………」

 

四葉「…………こんなに疲れたのは、初めてです…………」

 

五月「お腹、空きましたぁ…………」

 

5人とも口にすることは違えど、同じような意味合いだった。

 

零奈「5人とも……。そして、上杉君に孫君………。本当によくやってくれました…………」

 

零奈も息を切らしながら娘、風太郎、悟飯に賛辞を送った。

 

風太郎「は………はは………。どうも……」

 

風太郎は今にも死にそうな声でそう返事した。

 

悟飯「………上杉君…。いや、風太郎………」

 

風太郎「………!!」

 

悟飯はその後無言で手を出した。その意味をなんとなく察した風太郎は、同じように手を出し、同時に手を動かし……。

 

 

 

パチンッ!!!

 

………寝っ転がりながらというなんとも奇妙な状況だが、思いっきりハイタッチをした。2人とも………いや、一花も、二乃も、三玖も、四葉も、五月も……零奈も………。皆が疲労困憊というのが嘘だと確信できるほどのいい笑顔だった。

 

 

元気玉を提案したベジータ。元気玉を作った孫悟空。元気玉を作るのに人々を説得したミスター・サタン。元気玉を押した風太郎(+五つ子と零奈)と悟飯……。

 

 

その場にいた彼らは、間違いなく地球の…………否、宇宙の救世主となったのだ。ただ、彼らは見返りなど求めやしない。

 

何故なら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らは人々を守るZ戦士なのだから……

 




 終わったぁ…!!長かったぁ……!!いや、まだ悟飯の花嫁は判明させてないんですけど、それでも終わった感が半端ないんですよね……。皆さんはどうでした?個人的には原作DBより最終回っぽくなってしまった気がするんですけど……。これ、この後またバトル展開持ってきて大丈夫かな……?本編中のバトルはこれで最後にした方がいい気がしてきた………。
 ちなみに私の中での扱いは、悟空がフィナーレを飾ったことになってます。ので、悟飯が大活躍するバトル展開をこの後作りたいんですけど、先述の通りやり辛くなってますw。ここで超久々にアンケートを取ろうかと……と思ったけどやっぱりやめます(なんやねん)。
 ここまで来たら私のやりたいようにやっちゃおうかと思ってます。ただやっぱり学園祭はあまり崩したくないので、学園祭後になりそうですね……。
 ちなみにですが、私の技術でよろしければ、悟飯と花嫁となる子の学生甘々イチャイチャ?を書ければと思ってます。ブラックコーヒーを用意することをお勧めします(まだ先だけどw)。

 まだ最終回じゃないですよ。もうちょっとだけ続きます。あと本当にちょっとだけですよ(本編は)。

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