孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

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 今回は新章……というか、本編最終章突入ということでいつもやってたあらすじ系は今回はやりません。というかあれはアニメドラゴンボールを意識して書いていたものなので、ごと嫁メイン回しかない(と思われる)ので、ここからは前回のあらすじは書かないことにしようかなぁとか思ってます。まあ決まったわけではないので分かりませんけどね。

『孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです』が、遂に最終章に突入。

 果たして、悟飯の花嫁は一体誰になるのか?最終章はそれをお楽しみに……。



最終章
第95話 近づく"運命の日"


目を覚ました三玖は特に動じることなく起床するが、自身の胸に悟飯の頭を引き寄せたまま寝顔を眺めていた。

 

悟飯「………ふがっ…!?息苦しい…」

 

三玖「おはよう、悟飯」

 

悟飯「………!!!?」

 

三玖「ふふっ、可愛い……」

 

悪戯な表情を向ける三玖を見て、悟飯は若干困惑してしまうが、今は羞恥の方が勝っていた。

 

悟飯「は、離して!!」

 

悟飯は無理矢理三玖を引き剥がして少し離れた。

 

三玖「ごめんね?意地悪するつもりはなかったんだけど」

 

悟飯「………謝る気がないでしょ……」

 

三玖「さあ?」

 

曖昧な返事に腑に落ちない悟飯だったが、お腹が空いたのでチチが既に作っているであろう朝ご飯を食べるために部屋を出てリビングに向かう。

 

チチ「あっ!おはよう2人とも。朝ご飯はもうできてるだぞ」

 

三玖「ごめんなさい。昨日は押しかける形になってしまって………」

 

チチ「気にすることはねえだよ!ささ!さっさと食べた食べた!」

 

三玖「…………あれ?そういえば悟空さんは?」

 

悟空は生き返ってからは再び孫家で住むことになっていたはずだ。にも関わらず悟空の姿が見えないことに違和感を覚えた三玖はチチに質問する。

 

チチ「ああ、悟空さなら今頃畑を耕しに行ってるだよ。そろそろ帰ってくると「バタン」」

 

悟空「ただいまチチ!!オラ腹減っちまったぞ!!」

 

チチ「んだ!ちゃんと働いてるみてえだけど、そのまま家に入るのはやめてけろ」

 

作業着が土で汚れている悟空を見て満足そうな顔をするチチだが、土だらけで家に入られると大惨事なので、一旦それをどうにかしろと言う。そんな夫婦を片目に悟飯と三玖は朝食を味わっていた。

 

三玖「…………美味しい」

 

悟飯「モグモグ……おかわり!!」

 

三玖「はやっ………」

 

悟飯の食欲に驚いた三玖はつい感想をこぼしてしまった。それを気にすることなく悟飯は次々と食べ物を口に運んでいった………。

 

 

 

 

朝食を食べ終え、身支度も済ませた三玖を悟飯が送り届けることにした。三玖はチチと悟空に別れを告げ、まだ起きていない悟天にもよろしく伝えておいて下さいと言うと、悟飯と共にその場を発進した。

 

ちなみに、三玖のリクエストで筋斗雲に乗っている。

 

三玖「こ、これが筋斗雲っていうものか…………ほ、ほんとに落ちないよね?」

 

悟飯「大丈夫だよ。万が一落ちたら僕が助けるからさ」

 

三玖「…………ずるい」

 

悟飯の不意打ち気味な言葉に顔を少し赤くする三玖だが、なんだかんだで相乗り筋斗雲を堪能することができた。

 

 

 

 

 

 

三玖「今日はありがとね、悟飯」

 

悟飯「ううん。こっちも楽しかったよ」

 

三玖「………もうすぐ学校が始まるね」

 

悟飯「そうだね……。そうなるとまた家庭教師も本格的に再開かな?」

 

三玖「…………学園祭も近いよね」

 

悟飯「……………そうだね」

 

学園祭というワードが出ると、三玖も悟飯も真剣な表情に変わる。学園祭と言えば、学生が催しの準備をして周辺住民や受験を考えている中学生をもてなす行事であり、学生自身も楽しむ行事であるが、悟飯達の間ではそれとは別の特別な意味を含んでいた。

 

悟飯「(……もうすぐ、僕は答えを出すことになる。僕の答えはもう決まっている。だからこそ、ちょっと緊張してきたな…………)」

 

そんな思いを胸に、悟飯は再び孫家に帰宅し、勉強を再開するのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

時は少し進み、2学期が始まった。旭高校の2学期のメインイベントと言えば学園祭であり、その話で持ちきり……

 

 

 

「孫ッッッ!!!!お前が魔人ブウを倒したのか!!!?そうなのか!!!?」

 

「上杉学級長!!あんた無愛想なやつだと思ってたけど見直したぜ!!!」

 

「凄いよ孫君!!地球の英雄だね〜!!!」

 

「わ〜!!よく見ると学級長って隠れイケメンじゃない!!!?」

 

先日の件によって、悟飯と風太郎は一躍有名人になってしまった。ドラゴンボールが復活するまではあと3ヶ月程の時間が必要である為、まだ人々から魔人ブウに関する記憶を削除できていないのだ。その為悟飯達も最前線で戦っていることを知っている旭高校生にとって、悟飯と風太郎は身近にいる大英雄のような存在となってしまった。

 

風太郎「だからなんだ?」

 

「「「「えっ?」」」」

 

風太郎「最前線に立ってたからなんだって言うんだ?そんなことどうでもいいだろう?大事なのは脅威が去ったか否かだ」

 

そして、肝心の風太郎はいつものように塩対応。これが原因で風太郎は交友関係が狭いのだが………。

 

「えっ?学級長かっこよすぎない?」

 

「えー?ただカッコつけてるだけじゃないの?」

 

「学級長は今までのキャラを見るにそんなやつじゃないでしょ。あれは素でしょ」

 

「えっ?だとしたらかっこよすぎない?」

 

しかし、状況が状況だったため、逆に好感度が上がる状態だ。余談だが、悟飯は周りに群がる生徒を退かすのに大分時間がかかった。

 

そんな状態が1ヶ月近く続き、いつの間にか学園祭の準備をする期間に突入していた。

 

二乃「魔人ブウの脅威が去ってもう1ヶ月経つのね…………」

 

三玖「時の流れは早い」

 

二乃達は窓から学園祭の準備をしている学生達を眺めながらそう呟いた。

 

四葉「放課後なのに賑わってるね〜」

 

二乃「まだ先なのに随分気合が入ってるわね」

 

三玖「去年は転校したばかりだったからバタバタしてたけど、準備に参加できるのは嬉しい」

 

二乃「そうね〜………」

 

その後二乃は気怠げそうに入試判定の話をした後に悟飯と同じ大学に行けることを夢見ていたが、悟飯が目指す大学は西の都のハイレベルな大学であるため、今の二乃では到底無理な話だった。その現実を三玖にツッコまれていた。

 

二乃「あーあ。これが終わったら受験まっしぐらなのね……」

 

四葉「でも、うちのクラスはそもそも何をするんだろうね?」

 

一花がそう問いかけた時、担任に四葉が呼び出された。職員室で話を聞くとどうやら学園祭での屋台決めについてもう1人の学級委員である風太郎と話してほしいとのことだった。用事が済んだ四葉は職員室を後にするが、同時に五月もそこを退出するところに遭遇した。

 

四葉「五月!ここで何してるの?」

 

五月「四葉。奇遇ですね。私は授業で分からないところがあったので先生に質問を……。四葉は?」

 

四葉「私は学園祭のこと!学級長中心で色々決めてくれってさ」

 

五月「そういえばまだ未定でしたね。そういえば学級長って………」

 

四葉「ああ………。上杉さんはこういうお祭りはどうなんだろうね……?」

 

どうやら三年生は屋台で食べ物を提供する伝統があるという話を五月にするが、なんと食べ物関連の話なのに五月は用事があるとその場を後にした。

 

四葉「五月が食いつかないなんて珍しい……」

 

地味に失礼なことを考えながら教室に荷物を取りに行く四葉。扉を開けようとするとそこには、勉強をしている風太郎がいた。何故か咄嗟に隠れてしまったが、頭隠してリボン隠さずとはよく言う………言わないが、それで風太郎にバレてしまった。

 

風太郎「なんか用か?」

 

四葉「お取込み中すみません…えっと……」

 

風太郎「なんだ?用件があるなら早く言ってくれ。今は少しでも時間を無駄にできない」

 

四葉「う、上杉さんに用なんてありませんよーだ!!」

 

風太郎「はあ?なんだあいつ?」

 

四葉は咄嗟に教室を後にしてしまった。その理由は突如ドキドキしてしまったから……。何故今まで普通に接していたのに急にそうなってしまったかと言うと、先日一花に言われた一言が原因だった。

 

『四葉のやりたいようにやりなよ』

 

この言葉を頭の片隅に置いていた四葉は風太郎を目の前にしてその言葉を思い出してしまったのだ。

 

風太郎「どうしたんだよ」

 

四葉「ぬわっ!!?」

 

考え事をしているところに突然声をかけられた為に、体をびくつかせながら驚いてしまった。

 

四葉「う、上杉さん!」

 

風太郎「お前様子が変だぞ?屋台のことを話し合わなくていいのか?」

 

四葉「………えっ?さっきは時間を無駄にできないって…………」

 

風太郎「そうだよ。だからこそだ。学園祭は俺達にとって最後の行事だろ?やるからには徹底的に楽しむと決めた!!!

 

ついてこい!!去年の屋台のデータを聞き込みに行くぞ!時間は有限だから、いくらあっても足りない。頼りにしてるぞ」

 

風太郎の意外な言葉に、四葉は段々と明るいものに変わって元気よく返事をした。四葉は風太郎に頼りにされていることが嬉しくなり、その後の聞き込み作業はかなり急ピッチで進められたとか………。

 

 

 

 

 

 

そして翌日…。クラスで屋台決めをすることになった。二乃がたこ焼きに一票を入れるも他の女子の反応は芳しいものではなかった。そこで三玖がソワソワしていることに気づいた風太郎が彼女を指名すると、三玖はパンケーキと答える。これは去年までのデータにはないものだが、女子からは高評だった。褒められ慣れない三玖は顔を下に向けて顔を隠すが、若干嬉しそうな顔をしていた。

 

そして、四葉はお得意のお人好しが発動し、質問に丁寧に答えたり、招待状が欲しいと言われれば用意し、出し物の客の心配をしている人には所定の場所にチラシを貼れることなど、手際よく教えていた。四葉がこんなに頼られる理由は学級委員であるからだ。だが風太郎のところにはそういった問い合わせがあまり来なかった。その疑問を口にした風太郎に三玖が『人望…』と小さな声で答える。そんなやり取りに悟飯が苦笑していた。

 

二乃「にしても屋台ねぇ…。何を作るにしても腕がなるわ」

 

三玖「うん。腕がなる」

 

二乃「ちょっ!!あんたが作る気!?そんなことしたら周辺住民同時食中毒だわ!!!」

 

三玖「私だって上達してる!」

 

二乃の失礼な物言いに三玖は頬を膨らませながら抗議の視線を送ると同時に……。

 

三玖「それに二乃もいる」

 

二乃「……!!」

 

三玖「なら安心」

 

……と、不意打ち気味な台詞を述べる。

 

四葉「ふー……。お待たせ〜」

 

三玖「お疲れ様」

 

二乃「あんた働きすぎじゃない?」

 

四葉「えへへ……。最後のイベントですもんね。1ミリも悔いが残らないようにしましょうね!」

 

そう言って四葉は満面の笑みを風太郎に向ける。風太郎は四葉の顔を見るなり前髪をいじりながらそっぽを向いてしまった。

 

悟飯「(……あれ?照れてる……?)」

 

悟飯は風太郎のそんな仕草に若干疑問に思うところがあったが、あまり深く考えないことにした。

 

 

 

 

 

そして更に翌日。パンケーキ派とたこ焼き派が同人数いたので、今度こそ2つに絞って多数決を取ったのだか……。

 

 

「パンケーキでいいじゃん!このままだと屋台のメニューが決まらないよ!」

 

「たこ焼きだって!決まらねえのは女子のせいだろ!」

 

「いい加減に諦めなさい男子!!」

 

「去年のデータ見ただろ!たこ焼きが嫌いな日本人なんて存在しねえんだよ!!ね?二乃さん!!」

 

「フワッフワなパンケーキ食べたことない?みんな大好きなんだよ!ね?三玖ちゃん!!」

 

なんと、未だにパンケーキにするかたこ焼きにするかで意見が分かれていたのだ。男子的には少ししょっぱい感じの定番なもので攻めたいが、女子はちょっとおしゃれで可愛い食べ物にしたいといったところだろう。

 

「あれ?二乃ちゃんもパンケーキ好きなんでしょ?なんでそっちの味方するの?」

 

「え?嘘ですよね二乃さん!?」

 

いつまで経っても終わらない争いに二乃が痺れを切らしたようで………。

 

二乃「あーもう!!仕方ないでしょ!!!」

 

二乃は机を叩きながら立ち上がってこう続ける。

 

二乃「私が最初に提案したんだもの!最後まで責任を持つわ!それと食べるのと作るのとでは話が別!!そのフワッフワなスフレパンケーキ、私だってたまに失敗するんだから!!」

 

こうして、これ以上の争いは無駄という結論になり、男子はたこ焼きで女子はパンケーキをやることになった。

 

悟飯「はぁ………。まさかこんなことでクラスが二分されるなんてね……」

 

五月「そ、そうですね………」

 

偶々隣にいた五月に話しかける悟飯だが、五月が妙にソワソワしていることに気付いた彼は問いかける。

 

悟飯「ねえ、何かあったの?やっぱりクラスが二分しちゃったことが気になる?」

 

五月「いえ、確かにそれも気になるんですが、その…………」

 

悟飯「………おや?」

 

そう。今日は全国模試の結果が返ってきた日でもあるのだ。悟飯は五月がこっそり持っている紙に気づき、芳しくない成績をとってしまったのかと納得する。

 

悟飯「あはは……。もしかして、悪かったの?」

 

五月「うううっ……」

 

五月は唸りながらこっそりと悟飯に結果を見せた。家庭教師を受け始めた頃に比べたら大分成績が上がってるとはいえ、五月の目指す大学はそれなりのレベルであり、今の五月ではD判定と出てしまったのだ。

 

五月「このままではお先真っ暗ですよ……」

 

悟飯「でもまだ2ヶ月以上はあるんだから、諦めるにはまだ早いよ」

 

五月「ですが、先生には一度親に相談した方がいいと………」

 

悟飯「……なるほどね。それで、相談は………し辛そうだね……」

 

五月「ええ……。お母さんやお父さんにはこれ以上心配をかけたくないんですよ……」

 

悟飯「……!」

 

悟飯は五月の発言に少し驚いた。というのも、マルオの優しさというものは分かりづらいもので、五月達にはそれが伝わってないものとばかり思っていたからだ。だが、五月はどういう経緯かは不明だが、マルオがしっかり自分達のことを心配してくれていることに気づいたようだった。

 

悟飯「………それじゃ、僕が教えようか?」

 

五月「えっ……?いえ、それに越したことはないのですが……。孫君は自分の勉強があるのでは………?」

 

悟飯「あはは……。僕の方は少し余裕があるから平気だよ。それに自分の勉強と人の勉強を両立できないようじゃ、学生のうちに家庭教師なんて引き受けることはできないよ」

 

五月「孫君………」

 

五月は悟飯の優しさに今にも泣き出してしまいそうになるが、ここは教室。クラスメイトもまだそれなりに残っている状態で泣いては非常に恥ずかしい思いをするのでなんとか堪えた。

 

五月「そうです!近日、私がお世話になっている塾に有名な講師による特別教室が開かれるらしいのですよ!孫君も行きます?」

 

悟飯「有名な講師………?」

 

悟飯は家庭教師や独学で勉強してきたとはいえ、塾というシステムを経験したことはなかった。最初はお金の心配もして断ったのだが、その時だけ特別に無料だということ伝えられると、好奇心に負けた悟飯は五月と共にその特別授業を受けることにした。

 

風太郎「………なあ、悟飯」

 

悟飯「うん……?」

 

 

 

 

 

悟飯は風太郎に呼び出されて何事かと思うと、どうやら風太郎は三玖と二乃が喧嘩しているのではないかと心配しているらしい。一応二乃はたこ焼き派の代表、三玖はパンケーキ派の代表ということになっており、普段からよく言い合いをする2人のことなので、そのような心配も当然かもしれない。つまり、風太郎1人ではその喧嘩を止められないが、悟飯が来てくれればどうにかできそうということだ。

 

悟飯は2人が仲悪くしている様子がなかったので大丈夫だろうとは思っていたが、念の為様子を見に行くことにした。2人の気を頼りに移動していると、仲良くベンチに座って会話をしている2人が見えた。

 

悟飯「ほら、心配する必要なんてないって言ったじゃん」

 

風太郎「………いや、あれ」

 

風太郎が指差すと、何やら二乃のことを睨んでいる女子が3名確認できた。二乃も彼女達に気づいて立ち上がるのを見て、悟飯は衝突を恐れて咄嗟に声をかけた。

 

悟飯「あっ!二乃さんに三玖さん!!そんなところにいたんだ!探したよ………」

 

二乃「えっ?」

 

三玖「悟飯にフータロー……?どうしたの?」

 

風太郎「……いや、一緒ならいいんだ。まあ今は忙しいが、せっかくの学園祭、楽しんでいこうぜ」

 

それだけ言って、風太郎と悟飯は足早に去って行った。

 

二乃「えっ……?一体何の用だったのかしら…………」

 

ふと女子達がいた方向を見ると、いつの間にかいなくなっていた。二乃としては真正面からとっとと来てくれた方が良かったので、溜息をついてしまう。

 

三玖「……二乃、悟飯に用があるから先に行ってて」

 

そう言うと、三玖は彼女なりの全力疾走で悟飯を追いかけて行った。

 

 

ちなみに、五月が二乃にもほぼ似たような話をしたのはまた別のお話。

 

 

 

 

 

そして更に別の日。またしても屋台決めは平行線を辿る一方で、このままでは本当に2つともやることになってしまいそうだ。そのことに四葉が頭を悩まして、風太郎にアドバイスをもらおうとするが、風太郎がいないことに気づく。

 

四葉「二乃ー?上杉さんどこ?」

 

二乃「あー。上杉ならさっき出ていくのを見たわ。こっちよ」

 

二乃の案内に従って四葉は後ろからついて行く。

 

四葉「そうだ!この前言ってた招待状を用意してるけど………」

 

二乃「………そうね。でも1つだけでいいわ」

 

四葉「えっ…?1つって…………」

 

二乃「パパを呼ぼうだなんて、一時の迷いだったわ。どうせ来るはずもないもの。最近はお母さんがいるから帰ってくるようになったけど、いっつも影でこそこそしてるんだわ」

 

四葉「ははは……。手厳しい…………」

 

二乃「でも………あっ」

 

二乃が続けようとした時、例の女子達が階段下にいた。お人好しの四葉を巻き込むわけにもいかず、二乃は咄嗟に隠れた。四葉もなんとなく察して同じように隠れる。

 

風太郎「………お前らの意見はよく分かった」

 

どうやらその女子達は風太郎と話していたようだ。

 

二乃「う、上杉……?」

 

 

風太郎「二乃は女子なのに男子組の中にいるのはおかしい……。あんな媚を売って男子の誰かを狙っているに違いない……か………」

 

自分のいないところで根も歯もないことを言われた二乃はイラついて前に出ようとするが、冷静な四葉に止められたことによって正気を取り戻す。

 

「そ、そう!もしその相手が祐輔だったら……。二乃ちゃんが相手だなんて、勝ち目がないよ…………」

 

二乃「(ユウスケ……?ああ、武田のことか…………)」

 

二乃は一瞬誰のことか分からなかったが、武田の名前はそんな感じだった気がするということを思い出すが、心の中であり得ないと返答する。何故なら二乃には既に意中の相手がいるのだから………。

 

風太郎「………勘違いだ」

 

「えっ?どうして……?」

 

風太郎「二乃の意中の相手はたこ焼き派にはいない。だから安心してくれ」

 

「はぁ!!?なんで上杉君にそんなことが分かるの!!?信じられないんだけど!!!意味分からない!!」

 

風太郎「………屋台のメニューを決める時のこと、覚えてるか?ただ1人、たこ焼きかパンケーキかを決めるのに悩んで決められなかったやつ」

 

その言葉を聞いて、両隣にいる女子2人は『やっぱりね』といった顔をするが、真ん中の子は納得がいってない様子。そこで風太郎は内心二乃に謝りながらこう告げた。

 

風太郎「に、二乃の意中の相手は悟飯だ……。だからお前のライバルとはなり得ない……。仲良くしてやってくれ」

 

「あ〜。やっぱりね」

 

「えっ!!?やっぱりって何!!?」

 

「だから言ったじゃん。二乃ちゃんは絶対武田君は狙ってないって。というか二乃ちゃんが孫君の腕に抱きついてるとこ見たんだよね私」

 

「なんでそれを先に言わないの!?」

 

「いや、言ったけど『祐輔が取られちゃう』って聞いてなかったじゃん…」

 

真ん中の子はまだ納得いってない様子だったが、両隣の友達に説得されてようやく納得してくれたようだ。

 

二乃「全く……。何勝手に言いふらしてんのよ。別にいいけど」

 

四葉「………きっと陰でこそこそするにも理由があるんだよ、二乃」

 

そう言われた時、二乃は少し昔のことを思い出した。マルオと出かけた時、パンケーキの写真を見た二乃は懐かしさからパンケーキを食べたいと言った。だがマルオは何も言わずに歩いてしまう……。そんな塩対応を受けた二乃はショックを受けるも、家に帰るとパンケーキのレシピと材料、用具一式が揃えられていた。

 

今にして思えば、あれはパパなりの気遣い…。いつでも好きな時にパンケーキを食べられるようにする気遣いだったのかもしれない。二乃はそう思った。

 

二乃「……四葉。招待状の文面を考えておいて」

 

四葉「……!うん!!」

 

 

 

 

 

 

更に別の日…。三玖はいつもより服装に気を遣ってルンルン気分でマンションのロビーから出てきた。今日は先日悟飯と約束した日……。つまり、悟飯と出かける約束をしていたのだ。これは三玖なりの思惑もあるのだが、それは後で語ることとしよう。それとほぼ同時刻……。マルオの仕事部屋では……。

 

 

「おーお。いい部屋だな院長さんよ。こんな部屋が用意されてちゃ、家に帰りたくなくなる気持ちも分からなくもないぜ」

 

マルオ「…お前の入室を許可した覚えはない。すぐに出て行け、上杉」

 

院長との面会人としては似つかわしくない格好をした人物、上杉勇也が入室してきた。いつものように砕けた口調でマルオに話しかけるところを見るに、仕事は関係ないことが伺える。

 

勇也「おいおい、随分水臭えじゃねえか。いい情報を知らせに来てやったのによ」

 

マルオ「………?」

 

勇也「………()()()が来てるぜ。数十年ぶりだ。同窓会しようぜ」

 

マルオ「あいつ………?」

 

勇也「ほれ」

 

いまいちな反応を見せるマルオだったが、勇也が取り出したチラシ……正確には、そこに載っている顔写真と名前を見て目を見開いた。

 

マルオ「…………なるほど。くれぐれも零奈さんや娘達には悟られないようにしてくれ」

 

勇也「その打ち合わせも兼ねてここに来たんだよ」

 

マルオ「………ならば彼も呼んでいいかね?」

 

勇也「彼……?まあ、お前が信用できるやつなら呼んでくれても構わんが……」

 

勇也の了承を得ると、マルオは携帯電話を取り出してある番号を打って電話をかける………。

 

 

 

 

 

 

 

悟飯「さーて、約束の時間までは余裕ありそうだな……。そろそろ三玖さんを迎えに行くとするか……」

 

今日、孫悟飯はデートする。と言っても、まだ誰とも交際関係になっているわけではない。三玖に出かけたいところがあると言われ、悟飯も付き添う形になったわけだ。そろそろ出発しようとしたその時……。

 

悟飯「……?マルオさんだ?」

 

マルオから電話がかかってきたのだ。

 

悟飯「はいもしもし?どうされました?」

 

悟飯はワンコール以内に通話ボタンをして電話に出た。

 

『急にすまないね、孫君。余程大事な用事があるなら後回しにしてくれて構わないが、もしそうじゃないなら今すぐに僕の病院に来てほしい。受付で君の名前を名乗り、僕に呼ばれていると伝えてくれ。職員にはこちらから伝えておく』

 

悟飯「えっ?いや、要件はなんですか…?」

 

マルオの急な要請に若干困惑した悟飯は要件を聞く。すると……。

 

『娘達のボディガードだ』

 

悟飯「……分かりました」

 

『理解が早くて助かる。それでは待ってるよ』

 

そう言うと、マルオは電話を切った。悟飯も電話を切り、すぐさま飛び立った。

 

悟飯「あちゃ〜…。三玖さんには申し訳ないけど、少し待ってもらおう。多分そこまで時間かからないはずだし……」

 

悟飯は三玖に遅れる可能性があることを告げ、文面を打ち終わって送信すると、携帯電話をしまって全速力で目的地に向かう……。

 

 

 

 

 

マルオの指示通りに受付で自分の名前を名乗った悟飯は、受付係に案内されるがまま歩いた。エレベーターに乗っていくつかのフロアを上がり、エレベーターを降りる。少し歩くと少し立派な扉があった。

 

「こちらになります。私はこれで失礼いたします」

 

悟飯「ありがとうございました」

 

悟飯は一礼を述べた後、その扉を3回ノックした。

 

「入りたまえ」

 

入室許可を得た悟飯はゆっくりと扉を開けた。

 

悟飯「失礼します……

 

必要最低限の声でそう言った悟飯は、今度は扉をゆっくり閉めた。

 

勇也「おお!?なんで悟飯君がここにいるんだよ!?」

 

悟飯「えっ!?勇也さん!!?」

 

マルオ「孫君、急に呼び出してすまないね。あともう1人来るから、それまで待っててもらえないかい?」

 

悟飯「分かりました」

 

まだ時間があることを把握した悟飯は、勇也が何故ここにいるかを聞くが、それも含めて後で話すと言われる。逆に勇也も何故この場に悟飯を呼んだのかマルオに聞いたが、これまた同じように返答された。そして……。

 

ガチャ…

 

「うーっす。お久」

 

マルオ「下田。ノックくらいしろ」

 

下田「別にいいじゃねえかよ、そんくらい。私達の仲だろ?」

 

勇也「だよな〜?堅苦しいんだからよマルオは。なあ、悟飯君?」

 

悟飯「あ、あはは………」

 

マルオ「上杉も孫君を少しは見習ったらどうだい?」

 

勇也「うっせい!これが俺の生き方だい!!」

 

下田「……それより、その子は…?」

 

下田と呼ばれる女性は悟飯の存在に気付くとその疑問をマルオにぶつける。全員が揃ったとのことで、マルオは説明を開始した。

 

マルオ「まず初めに孫君から紹介しよう。彼は孫悟飯君だ。旭高校3年生にして、常に学年1位に君臨し、先日返却された全国模試でも1位を獲得した優等生でもあり、娘達の家庭教師兼ボディガードだ」

 

下田「………いやいやちょっと待て?情報量多すぎやしないか……?」

 

ある程度悟飯のことを知っている勇也は納得する素振りを見せたが、全く知らない下田は頭から少量の煙が漏れ出そうな程頭を回転させても理解が追いつかなかった。

 

マルオ「……彼は娘達の家庭教師。そしてボディガードでもある。これだけ覚えてくれればいい」

 

下田「いや、そこは分かるんだけど、この子五月ちゃんと同級生だろ?その子がなんでボディガードを……?」

 

勇也「ガハハッ!!そいつは魔人ブウとの戦いで最前線に立ってた、謂わば戦闘のプロだよ」

 

下田「はぁ!!?マジで!!!?いつどこでそんなやつと知り合ったんだよ!!!?」

 

下田は食い気味に悟飯を見るが、当の本人は苦笑いを浮かべる他ない。

 

マルオ「……言っとくが、これは他言無用だ。孫君は落ち着いた生活を望んでいる。くれぐれもそれを妨害しないように」

 

下田「それは分かってるよ。んで、今日の要件は?わざわざ私達と会う為だけに呼び出したわけじゃないんだろ?」

 

そう言うと、マルオは一枚の紙を悟飯と下田に見せる。

 

マルオ「……今日はこの件で少し話し合いたい」

 

下田「………ああ。あいつが来るって話だな………」

 

悟飯「………おや?」

 

悟飯はそのチラシを見て、どこかで見たことがある気がすると感じる。確か……。

 

悟飯「ああ……!!確か五月さんが興味を示していた特別講義の……!!それがどうかしたんです?」

 

下田「……何っ?五月ちゃん、この特別講義のこと知ってるのか?」

 

悟飯「えっ?ええ……。なんでも、この無堂仁之助という人は相当有名な講師らしく………」

 

勇也「………そこなんだよ。問題は」

 

悟飯「えっ??」

 

事情を一切知らない悟飯は、勇也の言葉に首を傾げる。色々思考して予測するが、何故わざわざ集まるのか意味が分からなかった。だが、次のマルオの言葉を聞いて悟飯の頭の中にある数々の考えが吹き飛んだ。

 

マルオ「………彼、無堂仁之助は、零奈さんの元夫であり、彼女達の実の父親だ」

 

悟飯「………………えっ?」

 




 前半は前回からの引き続きの三玖メイン回です。他のヒロインに比べたら割とあっさりしている気がしますが気にしないでいただけると助かります。戦いが終わったばかりなので三玖なりに悟飯を気遣っているんです。そして中盤はほぼ原作沿い、後半は原作を軸としたオリジナル展開ですね。無堂に関しては詳細は出ていませんが、あの性格的に悪事働いてそうだなぁという妄想の元勝手に付け加えたものです。

 こうして最終章を書き記して思ったのが、この作品も終わりが近いんだなぁということ。始めたての時なんかこんなに戦闘入れる予定なかったけど、読者の意見に流される形で書いたらなんかいい感じに書けたんですよねぇ。私は読者に展開を任せる方が向いてるんですかね?

 そんなことはさておき、悟飯の花嫁は実は最初から決めていたと話していました。そして割と分かりやすい原作にはない、この作品特有の伏線を仕掛けていたりします。皆さん過去回を読み返す機会があったら見返してみてください。花嫁が判明した後に伏線の答え合わせ的なものをするつもりですが、多分分かったらすんなり納得できると思います。

 私のごとぱずのIDを貼っときます。理由はただなんとなくですw。追加したい方はご自由にどうぞ。
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