孫悟飯は五つ子姉妹の家庭教師をするそうです【本編完結】   作:Miurand

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※ミニコーナーその2
 五つ子の風太郎に対する心情

一花:
最初は五月ちゃんに恋心を抱いているガリ勉君という印象しかなかった。しかし彼は恋愛事は一切興味がなく、お色気で揶揄っても面白い反応をしてくれなかったのがたまに気にいらない。花火大会の時、風太郎に自分の演技について指摘されたことをきっかけに気になり始めた。そこからは彼と過ごせば過ごすほど彼に惹かれていった。林間学校時点では自身の想いを自覚していた。
風太郎に恋心を持つ姉妹は後述する四葉以外にはいなかったため、焦ることがないため原作のようなやらかしはなかったものの、魔人ブウ編でバビディの手によって無理矢理闇落ちさせられ、後々生き返ったとはいえ、四葉を自分の手で殺してしまったことを今も後悔している。この出来事さえなければ一花は今も風太郎に積極的にアプローチしていただろう。
 こうなったのも全て私(作者)のせいだ…。

二乃:
悟飯と同じく姉妹の輪に土足で踏み入る不届き者として見ていた。悟飯のようにお人好しな性格ならともかく、風太郎は善意ではなくお金の為にバイトを引き受けたのだと思って尚更気に入らなかった。しかし、彼もまたそれほど悪いやつではないことを無意識に感じ始めていたし、風太郎お手製の問題を破ってしまった時は罪悪感を感じていた。今は取り敢えず悪いやつではないと、警戒を解いている。
 風太郎に対して恋心は持ち合わせていない。しかし、最近はよくよく見てみるといい顔をしているとも思っている。しかし彼女は悟飯一筋だ。

三玖:
悟飯同様、いきなり家庭教師として来たよく分からない男の子という認識だった。歴史が自分より得意だということで勝負をふっかけ、色々あり自分の方が歴史の知識に関しては上手だと認識して幻滅。その後は風太郎が自分に勉強を教える為に一生懸命になっていること、自分の好きなものを信じろと言ってくれたことをキッカケに信用するようになる。
 風太郎に対しては恋愛感情を持ち合わせていないが、少しでも歯車が噛み違えば彼に惚れていた可能性がある。

四葉:
実は6年前に風太郎と約束した女の子の正体。悟飯には気付かれてしまったが、風太郎に気付かれるのは大分遅めだった。高校で風太郎と再会した瞬間からあの時会った風太郎君だということに気づく。姉妹が悟飯に惹かれていく中、このまま誰も風太郎のことを好きにならないなら、いいよね?と、初期は割と積極的だったのだが、一花の恋心を察知した途端に自分の気持ちを押し殺すことにした。しかし、何度か悟飯と話していくうちに、少しは自分の気持ちに正直になってもいいのかと思い直した。魔人の一件で一花に殺された際に、やはり自分は風太郎のことが好きでどうしようもないのだと実感し、ドラゴンボールで蘇生、魔人ブウを討伐した後は、二乃達悟飯ラブ勢ほどではないにせよ、割と積極的なアプローチをしている。皮肉にも、一花は四葉の命を奪い取ると同時に、彼女の中にあった恋の鎖も破壊したのだ。
 風太郎ラブ。6年前からずっと想い続けている。

五月:
高校では一番最初に風太郎と会った人物。あまりのデリカシーの無さに最初は険悪な関係になってしまう。悟飯がいなければ授業を受けてくれることはなかっただろう。しかし、悟飯のサポートや風太郎の誠意もあってなんとか和解することに成功。実を言うと悟飯にアプローチする為に何度か風太郎に相談しているが、「そんなもの知らん」と一倒されているなんて裏話もある。
 風太郎に対して恋愛感情はないが、友愛は存在する。



第97話 最後の祭りが二乃の場合

日の出祭二日目

 

椿「みなさーん!日の出祭も二日目!楽しんでますかー?放送部の椿です!本日は来てくれたお客様に突撃インタビューをしちゃいますよー!!」

 

「すごい盛り上がってるよね!」

 

「パンケーキが美味しいって聞いて来ちゃいました!」

 

放送部の椿はカメラを使って生中継していた。とは言っても、テレビ局に放映されているわけではなく、あくまで高校内での話。学内に設置されているモニターにこの生中継が映っている状態だ。

 

江場「中野さん見てる!?私のこと覚えてるよね?会いに来たよ!まだ走って……」

 

椿「マイク盗らないでください!?」

 

途中マイクを取られたり……。

 

「すまない。失礼するよ」

 

椿「そんなぁ……」

 

インタビューを断られたりと、そこそこアクシデントはあったものの、仕事は順調だった。

 

椿「では気を取り直して……。そこのお姉さん!あなたは何しにここへ?」

 

「私ですか?私は幼馴染に会いに……」

 

 

 

 

 

 

悟飯は適当にブラブラと外を回っていた。道中で旭高校が誇る英雄として囃し立てられていたがそれももう慣れっこ……だったはずなのだが、先日の魔人ブウの件でさらにヒートアップしてしまい、流石の悟飯も苦労の連続だった。

 

そして悟飯は風太郎を見かけるのだが……。

 

悟飯「隣の女の人……、誰だろう?見た感じ同級生っぽいけど、あんな人見たことないから……。別の学校かな?」

 

昨日の風太郎の台詞から察するに、隣にいる女の人は恐らく彼女ではないはず。そう考えた悟飯は一声かけてみることにした。途中まで諸事情で一緒にいた三玖と四葉に一言を告げてその女の人の正体を探ってみることにした。

 

悟飯「風太郎楽しそうだね。その人は?」

 

風太郎「悟飯か…。こいつは……「初めまして。いつもうちの風太郎がお世話になっています」」

 

悟飯「う、うちの……?」

 

隣の女子の台詞に思わずハテナマークを浮かべてしまう悟飯だが、風太郎が幼馴染だと訂正したことで納得する。

 

悟飯「なるほど……。どうも初めまして。僕は孫悟飯って言います」

 

「ご丁寧にどうも。私は竹林。風太郎が言ってた通り幼馴染ってところです」

 

と、ある程度の自己紹介を済ませると…。

 

竹林「まさか風太郎にこんな友達ができるとはね〜!!しっかり優等生になれたわけだ!!」

 

風太郎「うるせえ。たまたまだ、たまたま」

 

悟飯「ところで竹林さんは何故こちらに?」

 

竹林「久しぶりに幼馴染の顔でも見にこようかと!まあ忘れ去られていましたけど………」

 

風太郎「仕方ねえだろ。雰囲気変わったんだからよ」

 

竹林「あー!それ風太郎が言うんだ!!」

 

この二人をやり取りを見るに、本当に親しい仲であることが推測できる。確かにカップルと言うよりは友達からという言葉の方がしっくり来る絡み方である。

 

竹林「……そうだ!風太郎、こっち来て!」

 

風太郎「お、おい!!」

 

そう言うと竹林は風太郎の手を掴んで彼を引っ張る。悟飯は本当に仲がいいんだなぁと呑気に考えながら二人の後をゆっくり追った。

 

………そんなやり取りを見ている少女が二人いることに気づかずに……。

 

 

 

 

 

 

だが、行く先が問題だった。

 

五月「パンケーキいかがで…………」

 

二乃「……………はっ?」

 

竹林「風太郎、パンケーキだって!食べようよ!」

 

風太郎「ああ、ここは俺のクラスの屋台だ」

 

竹林「そうなんだ。いつもうちの風太郎がお世話になってます」

 

悟飯「(あーあ。またやってるよ)」

 

悟飯は竹林なりのジョークを遠目から見ていた。またからかって楽しんでいるところを見るに、一花さんと気が合いそうだと思ったのは内緒。

 

だが、相手が少しばかり悪かった。その場の雰囲気は和むどころか……。

 

五月「うちの…………」

 

二乃「ど、どちら様ですか〜?」

 

竹林に対してか、それともあんな告白をしておいて何女を連れてんじゃコラと風太郎に怒っているかは不明だが、若干青筋を立てた二乃が必死に自分を抑えて平静を取り繕う。

 

竹林「初めまして。竹林と申します。風太郎とは小学校からの同級生です」

 

二乃「あらそう。私達も同級生だけど教師と生徒。いわば同級生以上の関係と言っても過言ではないわ」

 

二乃は一花や四葉のことを案じて、敢えて竹林に対して牽制する態度を取る。そもそも二乃は心を許した者以外が介入してくることを嫌う。だから今回のこの態度もそういった部分から出てきているのだろう。

 

竹林「そうなんだ…!奇遇ですね!私も風太郎に勉強教えたんです!ずっと言うことを聞かなかった問題児に頼まれた時は驚いたなぁ……」

 

風太郎「いや、こいつらが俺の生徒」

 

竹林「あ、そうなんだ。じゃあこれではっきりしたね。私とあなた達。どちらがより親密なのか」

 

悟飯「あ、あれ?」

 

想像以上に修羅場になりかけているのを見て、悟飯は困った表情をする。さてどうしたものかと考えている時

に、四葉が突然飛び出し………。

 

 

四葉「私の方が上杉さんのこと……!!!!」

 

 

 

五月「ありがとうございます!」

 

だが、何かを言おうとした四葉の言葉は五月の大きな声によって遮られた。

 

五月「もしそれが本当ならば、私達は間接的にあなたのお世話になったと言えます。上杉君と過ごした時間はあなたには負けてしまいそうですが、その深さでは負けるつもりはありません!!」

 

………どうやら五月がこの場をなんとか収めてくれたようだった。

 

風太郎「お前ら、小っ恥ずかしいからやめてくれ…………」

 

五月「はっ……!!!」

 

自分がどれだけ恥ずかしいことを言ったのか後から理解した五月は顔を赤くして疼くまってしまった。

 

風太郎「それに竹林。あんまり揶揄うなよ。こいつらは俺の数少ない友人だ。全員が特別に決まってる……」

 

竹林「……風太郎。本当に大きくなったんだね…。ごめんなさい二人とも。パンケーキ、1つください」

 

五月「は、はい!!」

 

 

 

悟飯「………んん?」

 

結局悟飯には竹林の真意が理解できなかった。何故わざわざあんな挑発的な言動を取ったのだろうか……?だが、悟飯が考えてもその答えは出てくることはなかった。

 

悟飯「うーん……。不思議な子だなぁ」

 

 

 

 

『これにて、旭高校学園祭後夜祭。全てのスケジュールを終了とします』

 

そんな感じで学園祭は頻繁にアクシデントが起きた。それは小さなものから大きなものまで様々……。3日間という日にちはあっという間に過ぎてしまい、最終日の後夜祭も終わってしまった。悟飯は五つ子の指示の元、彼が選ぶ子の教室の扉を開けようとする……。

 

 

 

 

 

最後の祭りが二乃の場合

 

「中野二乃先輩?確かオープニングセレモニーで歌ってた……」

 

「そうそう!センターで一番目立ってた人だよ!今広場にいるらしいぜ!」

 

「マジで!?行ってみよっと!!」

 

二乃「……広場?どういうこと?」

 

「ってか問題どうするー?二乃、15時に約束があるんじゃなかった?」

 

二乃「むむむ、悔しいわ……」

 

時は遡って、学園祭一日目…。二乃はオープニングセレモニーが終わった後は友人達と共に学校内を回って日の出祭を満喫しているところだった。

 

「実は私も同じ時間に約束があるんだよね。仕事が終わった親が来るっぽいんだよね」

 

「あー、私の家族ももう学校にいるみたい」

 

「でも、このまま3人でいても……」

 

二乃「ダメよ!せっかく来てくれたのに!こんな所にいる場合じゃないわ!」

 

家族の絆を大切する二乃にとっては、友達よりも家族の方を優先してほしい気持ちの方が強かったようだ。

 

二乃「閉会までまだ時間あるし、少しでも長くいてあげなさい」

 

「えっ?でも二乃は……」

 

二乃「私のことはいいから早く!」

 

「…ありがと二乃」

 

「気をつけてね!」

 

二乃「はいはい」

 

こうして、その場には二乃のみとなってしまった。友達を見送ったはいいが、少し寂しくなってきてしまった。

 

二乃「……さて」

 

悟飯「なるほど、この問題を解けばいいんだね?」

 

二乃「わっ!!は、ハー君!?なんでここに!?」

 

横からひょこっと悟飯が姿を現した。

 

悟飯「もうすぐ15時になっちゃうからね。二乃さんは僕の近くにいたみたいだから来ちゃった」

 

二乃「そ、そう……」

 

悟飯「……(200……じゃなくて、20と0の間に僅かに空白がある…。0月0日……?ああ、そういうことか…。上に100円玉があるから、その20%で20円になるということは………)」

 

悟飯「よし!二重丸に進もう!」

 

二乃「はやっ!!?」

 

悟飯が問題を見てから解き終わるまでにかかった時間は僅か1秒である。そもそも超人は高速で動く必要があり、戦うとなれば自分の同じ速度で動く相手の動きも分析する必要がある。そうなると、自然と脳の回転速度が速くなるのである。

 

悟飯「それにしても、いつまでその格好をしてるの?もう制服に着替えてもいいんじゃない?」

 

二乃「……だって、見てほしかったんだもの………」

 

……と、二乃は上目遣いで悟飯を見る。そんな顔に一瞬ドキッとしてしまったのだが、それを顔に出さずに悟飯はこう答える。

 

悟飯「うん。二乃さんはやっぱり何を着ても似合うね」

 

二乃「〜っ!!そ、それは卑怯よ…」

 

悟飯「それにしても、ダンスのキレ凄かったね〜。最初は嫌がってたけど、なんだかんだでノリノリだったじゃん?」

 

二乃「あれは……なんというか…。今更恥ずかしがっても仕方ないかなって思って………」

 

悟飯「……まあ、元々あのセレモニーは四葉さんがやることになってたからね。二乃さんが引き受けるのはなんか意外だったよ」

 

二乃「四葉は誰にでもいい顔をして仕事を引き受けすぎなのよ。これだけじゃなくて演劇部とも約束したそうよ?」

 

悟飯「うひゃ〜…!忙しそうだなぁ…。でも四葉さんの負担を考えて二乃さんが引き受けたんでしょ?やっぱり姉妹のことが大好きなんだね」

 

二乃「………そうね。でも、それと同じくらいにあんたが好きよ」

 

悟飯「………そうか」

 

二乃は先程不意打ち(無意識)された悟飯に仕返しをしようとして出てきた言葉だったが、彼女の予想とは裏腹に、悟飯は急に真面目な顔になって返事をした。

 

二乃「そ、それだけじゃないわ!この仕事を引き受けたら、舞台から客席を見下ろせると思ったのよ」

 

悟飯「……?誰かを探してるの?言ってくれれば僕も手伝うのに………」

 

二乃「私達、お父さんにも招待状を送ったのよ。でも影も形もなかったわ。まあ、ダメで元々気にしてないけどね」

 

悟飯「………もしかしたら来ているかもしれないね。取り敢えず、教室で用事を済ませてから探しに行こうよ」

 

二乃「そうね。というか、用事ってなんなのよ?あんたは何か聞いてる?」

 

悟飯「いや、僕も詳細は分かってないけど、わざわざ呼び出すくらいだから重要な話でもあるんじゃないかな?」

 

こうして、悟飯と二乃は教室に向かって先に到着していた風太郎、五月、四葉と合流した。その後に三玖と一花も到着し、風太郎の大胆な告白がなされたのである……。

 

悟飯「いや〜。まさか風太郎があんな大胆な告白をするとはね〜……」

 

二乃「(ハー君の方がよっぽどストレートで大胆だったと思うけど……)」

 

実際、風太郎は『答えを出す』としか言っておらず、6人のことは大好きだと言ったものの、異性として好きとは一言も言っていない。一方で悟飯は異性として好きな人がこの中……つまり、二乃、三玖、五月の3人のうちの誰かのことが好きだと断言したのだ。二乃としてはそれが気になって仕方なかった。

 

悟飯「………気を探ってみたけどこの辺にはいないね…。そうだ!電話してみようよ!」

 

二乃「それはダメ!!」

 

悟飯「……えっ?どうして?」

 

どうしても父親に来て欲しいなら、直接話せば来てくれるだろうと悟飯は考えていた。実際、先日の話し合いでマルオが五つ子と彼女達の実父が接触するのを防ぐ為に出来るだけ様子を見にくると言っていたのだ。相当多忙ではない限りこちらに来てくれるはずだと踏んだのだが……。

 

二乃「大丈夫!もういいの!元から期待なんてしてないから……」

 

悟飯「でも、二乃さんは勇気を出したんでしょ?来てほしいって思ったから送ったんでしょ?このままでもいいの?」

 

悟飯が二乃に問いかけると、二乃は複雑そうな顔をしていた。悟飯は二乃の心の内を理解し、次の言葉を続けようとしたその時……。

 

勇也「おーいたいた。悟飯君に五つ子のお嬢ちゃんの……えっと」

 

らいは「次女の二乃さんだよ」

 

上杉母「あ〜!!私が先に言おうとしてたのに!!」

 

上杉一家が悟飯達の元にやってきた。

 

らいは「むむぅ…。なかなかお兄ちゃんに会えないね…。お兄ちゃんどこにいるか知ってますか?」

 

悟飯「風太郎なら……。多分たこ焼き屋の方にいるんじゃないかな?」

 

勇也「サンキュー。後でそっちの方に行ってみるぜ」

 

二乃「………ねえねえ、上杉のパパって何度見てもイケメンよね」

 

悟飯「……そうかもね」

 

二乃「……?」

 

悟飯の反応に違和感を覚えた二乃は彼の顔を覗き込むが、特に変わった表情は見せていなかった。だが、こんなそっけない態度を取るような人だったか?と疑問が浮かぶ。

 

風太郎「……あれ?親父にお袋にらいは?今日は来る予定じゃなかっただろ?」

 

丁度そこに風太郎が現れた。

 

らいは「あ、お兄ちゃん!やっと会えた!」

 

上杉母「そうなのよ。なんで急に行きたいって言い出したの?今日じゃないと行けない屋台でもあるの?」

 

二乃「いえ、そういうのはなかったと思いますけど……」

 

悟飯「もし行きたいところがあるなら案内しましょうか?」

 

勇也「ご丁寧にありがとな。大丈夫だ」

 

勇也は悟飯に向けてアイコンタクトを送ると、悟飯は殆ど察した。恐らく無堂と五つ子を接触させない為のパトロールと言ったところだろう。

 

勇也「つーか、マルオのやつは来てねえのか?」

 

二乃「父なら来てませんが……」

 

勇也「おかしいな…。あいつの部屋に行った時にここの手紙があったからてっきり来てるのかと………」

 

二乃「…!見てくれたんだ…!」

 

風太郎「……?ちょ、ちょっと待って?親父達って知り合いだったのか……?」

 

勇也「ああ。あいつとは昔からの腐れ縁だ」

 

風太郎の質問になんてことないと言った様子で答える勇也。風太郎の家庭教室のアルバイトを取ってきたのは彼であり、マルオとの腐れ縁があったからこそ実現したものだ。

 

ならば悟飯は何故スカウトされたのか疑問に残るが、マルオが勇也の息子だけでは不安だと感じ、同じく学年1位で教員や生徒からの信頼もある悟飯が抜擢されたという裏話もあったりする。

 

勇也「俺はバリバリのアウトロー。あいつは学年不動のトップで生徒会長だ」

 

風太郎「すげぇ………」

 

悟飯「いや、本当にすごい人ですね…」

 

勇也「いやいや、全国模試一位を取った悟飯君や3位の風太郎も十分凄いからな?」

 

上杉母「……えっ!!?全国模試3位!?風太郎が3位を取ったの!?」

 

らいは「そうだよ?言ってなかったっけ?」

 

上杉母「す、凄い………。大きくなったわね風太郎………!!」

 

上杉母は感動のあまりその場で涙を流しそうになった。勇也がすかさずハンカチを差し出したことで涙を見せるようなことはなかった。これはオーバーリアクションではないかと感じる者もいそうだが、母が生きていた当時の風太郎は勉強とは無縁の生活を送っていた。そんな風太郎が家族の為にここまで成績を上げたと考えてみよう。

 

これで泣かない親などいるのであろうか?

 

風太郎「お袋、大袈裟だ」

 

悟飯「いやいや、大袈裟じゃないでしょ?本当に凄いと思うよ?」

 

風太郎「昔から勉強できて、なおかつ戦っていたお前に言われてもあまり凄味を感じねえ………」

 

悟飯「あれ?そんなこと風太郎に話したっけ?」

 

風太郎「前の打ち上げの時に悟空さんから聞いたんだよ」

 

悟飯「なるほどね………」

 

勇也「……で、まああいつと俺は正反対な存在だったわけだ。奴とはよく対立したもんだぜ。それに俺を繋ぎ止められたのは………いや、ここから先はマルオに聞きな」

 

二乃「もしかして、お母さん……?」

 

勇也「先生の教師としての姿は見たことないだろ?ほんといい女だったぜ〜」

 

勇也のその言葉に上杉母の顔が一気に険しい者となっていた。らいはも度肝を抜かされたような表情をしているが……。

 

勇也「ま、うちの嫁さんには敵わねえけどな!!!」

 

ガハハと笑いながら自信満々にそう言った勇也の頭を上杉母のビンタが襲った。あらとても過激な照れ隠しだこと。

 

風太郎「…直接聞くも何も本人がいないんじゃ話にならねえだろ?」

 

勇也「安心しな。父親ってのは中々面倒くせえ生き物でな。あいつ自身の面倒くささも加わって2倍面倒くせえんだが、お嬢ちゃん達が心を開いていったように、あいつも少しずつ歩み寄っているはずさ」

 

悟飯「…………」

 

父親はめんどくさい生き物だと聞かされた悟飯は自分の父親を連想させてみるが………。

 

どこにもそんな要素がなかった。まあ孫悟空は一般家庭の父親像とはだいぶズレているので致し方ない。

 

悟飯「……そうですね。それに彼と僕の()()もありますしね」

 

勇也「約束…?なんだそりゃ?」

 

悟飯がマルオとの約束を勇也に丁寧に説明した。武田との模試戦争の時、全国模試1位かつ全科目満点だったら自分の願いを聞くことを条件にし、その願いを娘達としっかり接することとしたのだ。

 

勇也「ず、随分スケールのでかいことをするな……。まあ、魔人ブウとの戦いで最前線に立つ男ならそれくらいするか!!」

 

勇也は謎に悟飯の行動に納得してしまった。ちなみに二乃には聞こえないように説明した。

 

悟飯「……ということだからさ、信じて待ってみようよ?」

 

二乃「……うん。待ってみるわ」

 

こうして2日目…。二乃はマルオが来るのをベンチに座って待っていた。パンケーキの看板を持って自分達の屋台の宣伝をしている五月と共に雑談しながら待っている状況である。

 

「やあ、上杉君と二乃ちゃんのクラスの店ってこっち?」

 

「三玖ちゃーん!」

 

二乃のバイト先の店長と三玖のバイト先の店長が揃って訪れたようだ。前は険悪な雰囲気だったが、一緒に学園祭に来ているところを見るに、何かしら進展があったようだ。

 

二乃「………店長!来てくれたんですね!!」

 

「あれ?今ガッカリしなかった?」

 

どうやら顔に出ていたようである。二乃は気のせいだと店長に言い聞かせて、色々と軽い店長はまあいいかと納得する。

 

「1日目を見に行った子が教えてくれてね。二乃ちゃんが可愛い服を着て踊ってるってさ」

 

二乃「えっ…?全然気づかなかったわ…」

 

五月「お怪我の方はもう大丈夫ですか?」

 

「ええ、完治しました。いつでもいらして下さいM•A•Y様!!」

 

五月「な、ナンノコトデショウ…?」

 

「だからといってバイクはまだ早いですよ」

 

「なんだい?そんなに不安なら帰りは乗せてあげないよ?」

 

「べ、別に乗りたくありません!」

 

 

 

五月「…一瞬お父さんかと思いました」

 

 

 

 

 

 

 

ところが、マルオはしっかり学園祭に訪れていた。今丁度三玖が自分達の屋台を紹介しているところをモニター越しで見ていた。

 

マルオ「……なんだい?」

 

『折り返しありがとうございます。お休みのところすみません。お取込み中でしたか?』

 

マルオ「………ああ、構わないよ。すぐ行こう」

 

医者という特性上、どうしても出勤しなければならない時がある。今回はたまたま学園祭とバッティングしてしまい、娘達と会う前に帰らなければならなくなってしまった。

 

 

 

 

 

そして、2日目の学園祭も終了時刻となった。1組の女子が担当するパンケーキ屋は絶好調で、最優秀売り上げを狙えるのではないかという程の勢いだった。周りの女子はそのことで喜んでいたが、二乃は素直に喜べなかった。

 

「えっ?何あれ?」

 

「エアバイクだよね!?初めて見た〜!!」

 

「すげぇ…!!ちゃんと浮いてる…!!」

 

何やら珍しいものがあるようで、生徒達が群がっていた。二乃は何事かと覗き込もうとしたその時、人混みを掻き分けて出てくる者が一人……。

 

「………そんな顔するくらいなら、僕達から会いに行こうよ」

 

………なんと、エアバイクの持ち主は孫悟飯だった。

 

「えっ!?孫君バイクの免許なんて持ってたの!!?」

 

「いや、お前は必要ないだろ!?」

 

と、ど正論をぶつけてくるクラスメイトもいた。

 

二乃「えっ…?な、なんでバイクなんか持ってるのよ……?」

 

悟飯「ははは…。知り合いのツテで免許を取ったんだ」

 

実は、ブルマに協力してもらい、短時間でバイクの免許を取得することができたのだ。これは悟飯の移動を円滑にするためのものである。正体を隠しつつ移動するにはもってこいの乗り物なのだ。

 

二乃「……そう。わざわざバイクを用意してもらったところ悪いけど、私は行くつもりはないわ」

 

悟飯「えっ?どうして?」

 

二乃「パパは来なかった…!招待状は読んだのに、私達のことなんて微塵も考えてなかったのよ!!学園祭は明日もあるけど、もう嫌よ…。どうせ叶わないのなら、望んだことすら後悔しそうだわ………」

 

「そいつはどうかな?」

 

二乃「う、上杉?」

 

少し騒ぎになっているので何事かと様子を見に来た風太郎だったが、先程の悟飯と二乃の会話はばっちり聞いていた。

 

風太郎「……俺達はお前達家族のことをよく知っているわけじゃない。分かるのは普通の家族関係とはちょっと違うということだけだ。だが、逆にお前は知ってるか?」

 

二乃「……?」

 

風太郎「俺に対する警戒心、無茶苦茶凄いぜ……?」

 

そういえばそうだった気がすると二乃は少し昔のことを思い出す。しかし悟飯に対する警戒の視線は主に3人によって排除されてしまったが………。

 

風太郎「あれが父親の目なんだろうよ。お前達への愛情がなきゃできねえよ。だから文句を言ってやりてえよ。『お前らめんどくせえ』ってな」

 

椿「おーい!上杉くーん!!」

 

風太郎はナイスタイミングだと言わんばかりの顔をして椿の方に振り返った。どうやら放送委員の生中継は録画も同時にしていたらしい。そのインタビューの中にマルオらしき人物が写ってないかと閃いたのだろう。

 

風太郎は映像を流すように頼むと、最初は何やら見覚えのある先輩が…。そこは飛ばして次の動画に移ると…。

 

『どうもー!日の出祭楽しんでますかー?』

 

『なんだい、君達は?』

 

二乃「パパ……?」

 

どうやらマルオはちゃんと来ていたようだ。しかし職場から電話があったらしく、インタビューは中止となってしまった。合間を縫って来てくれていたらしい。

 

椿「どう?この人で合ってる?」

 

風太郎「サンキュー。親父の言ってた通りか。どうするんだ二乃?」

 

二乃「……分かった。行くわ」

 

風太郎「……つーことで、よろしく頼むぜ?」

 

悟飯は無言で頷くと、二乃にもう一つのヘルメットを渡した。エンジンをつけたバイクは数センチ宙に浮かび、その場を発進した。

 

二乃「……(そうよね。何弱気になってたのかしら。押しても引いても手応えがなくても、更に攻めるのが私だわ)」

 

 

 

 

 

 

 

マルオは一仕事を終えて院長専用部屋に入室する。するとそこには、入館許可証を持った悟飯と二乃がいた。

 

悟飯「どうも、突然すみません。お邪魔しています」

 

マルオ「……暗くなる前に帰りたまえ」

 

二乃「待って。もうすぐ焼けるから」

 

なんと、二乃はその場でパンケーキを焼いていた。マルオは愛する妻がパンケーキを焼いていたことを思い出し、感情に浸りそうになる。

 

悟飯「食べてあげてください。学校に来てたのは知ってます。二乃さんのパンケーキ、美味しいんですよ?」

 

 

マルオ「………」

 

『パンケーキ、ですか?』

 

『ええ。意外と安く作れて娘達も喜んでくれるのですよ』

 

昔の記憶が蘇る………。まだ愛する人が死ぬ前のことだった。医者となったマルオは体の弱い零奈の治療に奮起していた。最善は尽くしたはずなのに、彼女を死なせてしまった……。愛する人が亡くなったことを受け入れたくないから娘達から逃げていたのかもしれない。あるいは、医師であるにも関わらず母親を助けることができなかったことから顔向けできなかったのかもしれない……。マルオはそう自己分析した。

 

二乃「この生地、三玖が作ったのよ?あんなに料理が下手っぴだったあの子が目指すものを見つけて頑張ってる。三玖だけじゃないわ。私達5人、あの頃よりずっと大きくなったわ……」

 

今は零奈が生き返っているので、そんなことは気にする必要はないのではないかとも思えるが、零奈が蘇ったのはあくまで未来の五月のお陰だった。結局自分は何もできていないのだ…。

 

二乃「その成長をそばで見ててほしいの。お母さんだけじゃなくて、お父さんにも………」

 

だか、そんな遠慮は無意味だった。その娘達はそんな小さなことを気にするような者達ではないのだ。マルオはそれを今日理解した。

 

マルオ「………」

 

マルオは二乃の言葉を最後まで聞き、その後にパンケーキを口の中に運ぶ。二乃にとってマルオの表情は美味しいものなのか不味い時のものなのかよく分からなかったが、悟飯だけはこの後に続く言葉をなんとなく予想できたようだった。

 

マルオ「……この味。君達は逃げずに向き合ってきたんだね……」

 

二乃「えっ?それ、どういう………」

 

マルオ「……それにしても量が多いな。僕一人では食べられそうにない。次は家族全員で食べよう………」

 

その言葉に、二乃は涙目を浮かべて喜んだ。

 

二乃「きゅ、急に何よ!でも、みんなもきっと喜ぶわ………」

 

悟飯「……良かったね。それじゃ、僕はトイレにでも……」

 

ここからは家族水入らずの時間だと思った悟飯は、一旦その場を去ろうとするが、マルオに止められた。

 

マルオ「…これは君の……、いや、君と上杉君の計画かい?」

 

悟飯「えっ?そ、それは〜………」

 

二乃「そうよ。彼がここまで連れてきてくれたの」

 

マルオ「それはどうだろう?家庭教師としての範疇を超えていると思うのだが?」

 

悟飯「いえ、これはボディガードですよ。二乃さんを一人で行かせるわけにもいかないでしょう?もうすぐ暗くなるのに」

 

マルオ「…………それもそうだね。失礼した」

 

悟飯は咄嗟にそれっぽいことを言ったがなんとか通ったようでひと安心する。

 

マルオ「……これは私にはできなかったことだ。君達に頼んで心から良かったと思ってるよ。不出来だが親として、君達が娘達との関係を真剣に考えてくれることを願うよ。そう上杉君にも伝えておいてくれ」

 

悟飯「………はい」

 

 

 

 

 

二乃「ふん。今までほったらかしにしてたくせによく言うわ。ハー君はお父さんが思ってるよりもずっとしっかりしてるんだから!ねえ?」

 

それは威張ることなのだろうか?と若干疑問に思う悟飯だったが、口に出すようなことはしなかった。

 

二乃「……ハー君。今日はありがとね。それに、今までも……。それで、明日のことなんだけど………きゃあ!!

 

廊下を歩いている途中で二乃が足を滑らせて転倒しそうになる。しかも悟飯も巻き込んでしまったため、二人して転倒しそうになるのだが、その時に悟飯と二乃の唇が接近する。二乃はちゃっかり唇を近づけたのだが……。

 

悟飯「よっと……、気をつけないとダメだよ〜?」

 

運動神経抜群な悟飯のことだ。この程度で転倒するような軟弱者ではない。

 

マルオ「忘れ物だ」

 

物凄くギリギリのタイミングでマルオが院長室から姿を現した。もう少し対応が遅かったら悟飯から二乃にキスするような構図になっていただろう。

 

マルオ「……?何をしているんだい?」

 

悟飯「す、すみません!ちょっと転びそうになっちゃって…!」

 

マルオ「ふむ…。気をつけて帰るんだよ?」

 

悟飯「は、はい!」

 

二乃「(ちっ。惜しかったわ)」

 

マルオは忘れ物を取りに悟飯達から背を向けて移動を開始した。ギリギリセーフと悟飯は汗を拭って二乃に大丈夫?と声をかける。

 

あと少し悟飯の対応が遅ければキスできていた。だがそのチャンスを逃してしまった。だけど自分の為に踏ん張ってくれたから複雑な気持ちにもなってしまう。そのままキスできずに悔しい思いをする……。

 

 

 

 

 

 

 

 

二乃「ねえ……」

 

悟飯「ん?」

 

 

 

チュッ

 

悟飯「………!!!?」

 

廊下にリップ音が響いた。

 

 

二乃「やっぱ恋は攻めてこそよね」

 

二乃はその典型的なヒロインには当てはまらない。彼女は手応えがなければ更に攻めるタイプだ。彼女はキスできなければキスするまで挑戦し続けるタイプの人間だ。

 

マルオ「……ん?今なんと?」

 

二乃の言葉とリップ音を聞いたマルオは振り返って悟飯を睨みつけるが…。

 

二乃「ねえお父さん。これだけ言いたかったの(この先、姉妹達の関係がどのように変わったとしても、私の気持ちは変わらない………)」

 

二乃「ハー君を……。いいえ。

 

ハー君と上杉を家庭教師に選んでくれてありがと!!

 

満面の笑みで白い歯を見せながら、二乃はそう言った。

 




 普段は月曜に投稿するけど、なんとなくで日曜に投稿しました。特に深い理由はないです。

 というわけで、2日目と二乃編でした。原作とほぼ変わりない展開なんですよね〜。でも全てカットしていきなり悟飯に選択させるわけにもいかず、せめて悟飯のヒロインの場合は書いた方がいいかということでこのような形になっています。拘っているポイントはただ悟飯が風太郎の立場を取るだけではないということ。風太郎に合いそうな部分はそのまま彼に任せているという点ですね。悟飯が「親父にめんどくせえって言ってやりたい」なんて言うはずがありませんしね。

 ということで、次は三玖編になります。五月編は比較的オリジナルが入っているので、そこは新鮮味を感じることができると思います。




 ここでこういうの呟いても大丈夫かな…?利用規約確認してもそれっぽい違反は見当たらなかったから大丈夫なはず…。

 2022年10月7日より公開された五等分の花嫁の同人ゲーム、「五等分RE」を早速プレイしてみたわけですが、一言で言うと、控えめに言って神でした。PC(windows&Mac両対応)でもiPhoneでもAndroidでもプレイできるようです。スペックもそこまで気にする必要はなさそうです。

 それぞれテーマを決めて物語を制作されたようで、どのルートもクオリティが高いです。特に五月ルートや四葉ルートは驚かされる展開ばかり続くと思います。
下にDLリンク付きのURLを貼っておきます。製作者様のツイートに飛ぶことができます。ちなみに私はなんにも関わっていませんw。もう少し存在を早く知っていたら翻訳とかその辺に携わりたかったですね。

 気が向いたら是非プレイしてみて下さい。多分私のこの作品を見に来てる方々は大体の展開なら大丈夫って人が多いと思うので。詳しくは下記のURLよりご覧下さい。

五等分の花嫁の同人ゲーム「五等分:RE」
https://twitter.com/GotoubunRE/status/1578303517831286785
※上記のゲームはあくまで公式とは無関係の非営利目的の同人ゲームです。

 ちなみにこちらのゲームの感想はこっちには投稿しないでね。何度も言いますが私は製作側ではなくてプレイヤー側なので。
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