仮面ライダーウィザード High school in Showtime! 作:くが月
『ピィ……ピィ!』
「おおっ、何だガルちゃん。もしかしてファントムが見つかったのか?」
『ピィ!』
「さっすがぁ……じゃあ、早速案内よろしく……っと!」
〈コネクト、プリーズ〉
「はぁ……はぁ……こ、ここまで来れば……!?」
『もう逃がさんぞ、小娘!』
「いい加減しつこいわよ!そっちこそ、諦めなさい!」
『生意気な奴め……ん?』
キュルルル……
「おーいたいた……こりゃまた随分と可愛い女の子を追いかけ回してくれちゃって……」
『お前……誰だ!』
「さぁ……誰だろうね」
〈ドライバーオン〉〈プリーズ〉
『そ、その腰のベルト……お前、まさか!?』
〈シャバドゥビタッチヘンシーン〉
「へへっ……変身」
〈フレイム、プリーズ〉
〈ヒー!ヒー!ヒーヒーヒィ!〉
青年が左手に嵌めた指輪を腰のベルトに翳すと、赤い魔法陣が彼を包み込み、黒を貴重とした仮面の魔法使いへと変身させた。
『指輪の魔法使いだとっ……馬鹿な、お前は隣町にいたはずだ……何故ここにいる!?』
『俺が今日からこの街の高校の生徒になるからに決まってるじゃん。当たり前の事言わせないでよ……青いお牛さん♪』
『誰が牛だ……俺はミノタウロスだ!』
『ま、何でもいい……女の子を怖がらせたんだ、ちょっとばかし痛い目に遭ってもらおうか』
〈コネクト、プリーズ〉
『さぁ……ショータイムだ。ハァッ!』
仮面の魔法使いは魔法陣から銃を取り出すと同時に発砲し、ミノタウロスを転倒させた。
『ぐっ……これしきの事で止まる俺では無い……!』
『おっ、本格的にやる気な感じ?いいねぇ……倒しがいがあるじゃん!』
〈キャモナ・シューティング・シェイクハンズ〉
〈フレイム!シューティングストライク!ヒー!ヒー!ヒー!〉
『これで幕引きだ……ハァッ!』
魔法使いは自分の銃の手型に左手の指輪を翳すと、ミノタウロスに銃口を向けてそのまま引き金を引いた。すると赤い魔法陣と共に灼熱の炎が放たれ、ミノタウロスを激しく焼いた。
『ぐ……うおおおおおお!』
その炎の勢いに負けたミノタウロスは爆散し、跡形もなく消えた。
「ふぃー……あ」
魔法使いから元の学生としての姿に戻った陽希はうっかり少女と目があってしまった事に驚き、声を上げた。
「悪いけどさ、ここで見た事は忘れてくれない?その方が俺としても助かるんだけど……」
「で、出来る訳無いでしょ!?大体、貴方は何者なんですか?」
「あー……俺はー……ただの学生、君と同じ学校に今日から通う事になった学生だよ」
「ならさっきのはどう説明するんですか?」
(やっぱり見られたからには話すしかないか……)
「そうだよ……学生である以前に俺は魔法使いだよ。さっきのファントムって化け物と人知れず戦ってる……これでいい?」
「……助けてくれた事は感謝するわ。でも、なんでそんな危ない事を?」
「あのさ……ただでさえ隠したい事情を渋々話してるんだからあまり根掘り葉掘り聞かないでくれる?それと、学校……間に合うの?」
少女は陽希に指摘されて時計を見ると、それが指していた時刻を前にがっくりと肩を落とした。
「乗せてあげるから……行くよ」
〈ドレスアップ、プリーズ〉
陽希は優しく声をかけつつ乗ってきたバイクを自転車に変化させた。
「本当に魔法使いなのね……貴方」
「貴方じゃなくて陽希ね……俺だってちゃんと名前があるんだから。あと、俺が魔法使いって事は何が何でも内緒にしてね」
「……分かったわ。私は
「可愛い名前じゃん……よろしくね、由実」
「なっ……あんまり馴れ馴れしくしないで下さい……」
―輪ノ間高校3-A
陽希が自己紹介を済ませ、席に座った途端に女子という女子が次々と彼の元へ集まり、たちまち質問攻めが始まった。
「おっと……これはかなり大変だなぁ……あははは」
―食堂
「はぁ……やっと終わったぁ……」
「あ、ここいいかな、操真くん」
陽希が一息つこうとした時、女の子と間違う程に可愛げのある顔の男の子がたくさんのスイーツを載せたトレーを手に持ったまま彼の横に座ってきた。
「えっと、確か君は……
「
(とか言ってる奈良くんも奈良くんでかなり人気があるみたいなんだが……)
「カッコいいなんて……にしても凄い昼食だな、奈良くん」
「男の子でもスイーツ好きな男子は多いって聞くよ?」
「そ、そうだね……」
(いやいやその量はどう考えてもただ好きだって範疇に収めるには無理あるだろ!毎日これだけ食べてるとしたら太ってもおかしくないよ、奈良くん!)
「そういえば今朝、廃工場で化け物と魔法使いが戦ったって話題に上がってたよね」
幸平が話を振った途端、陽希は勢いよく麦茶を吹き出して噎せた。
「あ、あれ俺も見たけど……魔法使いが一方的にボコボコにしてたよな」
「ネットで正体について色々と噂になってるみたいだからね」
(何それ初耳なんだけど……!)
「そ、そうか……」
陽希はその後も失笑が混ざりながらも幸平と仲良く昼食を楽しんだ。
―放課後、3-A教室
陽希はその後由実から「話がある」と言われ、教室に残っていた。
「ちゃんと待っててくれたんですね」
「約束は守る主義なんでね。それで、わざわざ二人きりにしてまで一体何の用?」
「貴方が魔法使いという事を知った上で私の頼みを聞いてほしいと思って……」
「頼み?」
「実は私の友達が今朝私を襲った化け物に似た存在に襲われたって聞いて……」
「なるほどね……そこで魔法使いである俺に案件として持ち込んだと」
「えぇ……今朝私を襲った化け物と同じだとしたら、親友として見過ごせなくて……」
「うん、多分今朝由実を襲ったファントムはその子を絶望させる気だろうな」
「ど、どうしてそんな事が分かるんですか?」
「ファントムは見た目アレだけど所詮生き物だから習性ってのがあるんだ。ファントムの場合、ゲートって呼ばれる魔力を宿した人間を狙って襲うんだよ」
「じゃあ、今回の場合だと……私か
「そう捉えてもらっていいよ……ただ問題なのはファントム達は習性こそ同じでも、達成の為の手段が様々だから防ぐに当たってこっちも相応の準備ってのが必要なんだ」
「そうですか……」
「あっ、気を落とさないで……無理だって言いたい訳じゃないんだ。ただ、こっちが少しでもミスすれば取り返しがつかなくなるからさ……なるべく最悪の事態を回避するようにしてみるよ」
「た、助けてくれるんですか?」
「まぁね……そういえば今朝、大雑把な事言ってはぐらかしちゃったけどさ……俺がこの学校に来たのは、
「ファントムが集まってる……?」
「俺も深くはまだ探ってるとこだけど、何かありそうなのは確かだ。事態が大きくなる前に打てる手を打つ……俺が来たのはそういう事情があるからなんだ」
「そう……なら、謝らないといけませんね。今朝は強めに当たってしまってごめんなさい」
由実は今朝自分がした事を謝り、深く頭を下げた。
「いやいや、そんな……俺が初めから説明しなかった方が悪いんだし……ミノタウロスの件は俺が責任を取るから」
「ふふっ……貴方って、結構真面目な人なんですね」
「いいや、俺は真面目に生きようなんて思っちゃいないよ。自由気ままに……俺の心の赴くままに生きていたい……そこに障害があろうものなら取り除く……それだけだよ」
そう言うと陽希はニコッと笑顔を見せた。
「……っ!とにかく、美春とファントムの事……お願いしますね。それじゃあ、また明日……!」
由実は顔を赤くしながら足早に教室を出ていくのだった。
よし、始めるか!陽希先生のウィザードリング講座!
映えある第一回で紹介するのは〈コネクト〉!
魔法陣から何でも取り出せる魔法で、大きさも重さもガン無視できるからバイクだってこの通り、すぐに取り出せるって事よ!
ちなみに俺がよく愛用するリングで、教科書を家に忘れた時とかファントムに対して生身で牽制かける時にも役立つんだぜ!
じゃ、次回もよろしく!