仮面ライダーウィザード High school in Showtime!   作:くが月

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第2話 秘密の共有と魔法使い

「これがアンダーワールド……思い出がそのまま形になってるって感じだなぁ。ん……おわっ!」

 

『ギャァァァア……!』

 

 アンダーワールドに入ったウィザードを待ち受けていたのはひたすら周りを飛びながら破壊活動を続ける異形のファントムだった。

 

『これが美春のファントムかぁ……さて、どうやって倒そうか……』

 

『ギャァァァッ!』

 

『わっ……ぶねぇ……!こんだけデカいとこっちが不利なだけだし、コイツに手伝ってもらうか』

 

〈ドラゴライズ、プリーズ〉

 

 ウィザードは新たな指輪をベルトに翳して上空に巨大なドラゴンの姿をしたファントムを召喚した。

 

 ドラゴンはそのまま周りもろとも目の前の青白いファントムを攻撃し、ますます背景に紫の亀裂が入った。

 

『やっぱりファントムは抑え込めたとしてもファントムか……これ以上不用意に暴れられても困るし、ここは強引にでも従ってもらうか』

 

〈コネクト、プリーズ〉

 

 ウィザードは自身のファントムの行動に呆れつつもコネクトリングでマシンウィンガーを呼び出すと、すぐに巨大ファントムの首筋に噛み付いて何処かへ飛んでいったドラゴンの後を追った。

 

『おい、ドラゴン……時間が無いから今だけは俺に従え!』

 

 ドラゴンに追いついたウィザードはマシンウィンガーを勢いよく変形させてドラゴンと合体させた。

 

『ギャァァァアッ!』

 

『グオオオオッ……!』

 

 ドラゴンは数発の火球全てをファントムに命中させ、そのまま立て続けに尻尾によるなぎ払いで一気に地上へ叩き落とした。

 

『こっちの幕も下ろし時だな』

 

〈チョーイイネ!キックストライク!サイコー!〉

 

 ウィザードが先程現実世界で使ったキックストライクのリングをベルトに翳すとドラゴンとマシンウィンガーが一旦分離した後に再度巨大な足のようなユニットへと合体した。

 

『なるほど……そういうやつか。じゃ、行くぜ……ハァーッ!』

 

 ウィザードは右足を勢いよく突き出すとそのまま巨大なユニットと合わせた強力な一撃をファントムに与え、今度こそ完全に撃破した。

 

『ふぃー……あ、ここ現実じゃなかったんだ……い、急げーっ!』

 

 ウィザードは少し慌てた様子で魔法陣へ飛び込み、何とか現実世界へ戻った。

 

 

「あのっ……もしかして、操真さん……ですか?」

 

「……まぁ、見ちゃったよね。その通り、俺は指輪の魔法使いウィザード本人だよ。君の周りを飛んでたその赤い鳥は俺の使い魔のガルちゃんだ」

 

 陽希は亀裂が消えた美春からの質問に対して少し難しそうな顔を作りつつもはぐらかす事なく答えた。

 

「本当に……ありがとうございました。あ、えっと……ゆ、由実ちゃんは大丈夫なんですか?」

 

「うん……傷はそこまで深くないから俺がこのまま病院に連れてくよ。それじゃ、気を付けて帰ってね」

 

「はい……このお礼はいつか必ずします!」

 

 その会話の後すぐに陽希はマシンウィンガーを走らせ、衰弱した由実を病院へと運ぶのだった。

 

 

―翌日 由実の病室

 

「おはよう由実、調子はどう?」

 

「陽希くん……この間は助けてくれてありがとう。美春の件も、私の事も……」

 

「これくらいお安いご用だよ。俺は自分より人を優先しがちだからさ……それに今日来てるのは俺だけじゃないよ」

 

「あ、えっと……凄い怪我してるって操真くんから聞いて心配だったから来てみたけど……大丈夫そうで良かったよ。これ、僕のお母さんの店の特製プリン……良かったら食べてね」

 

「幸平くん……2人とも貴重な休日を潰すような事させてごめんなさいね」

 

「だからそういうのいいって……でも、由実らしくて、好きかも」

 

「もう……病人をからかうのはやめて下さい、陽希くん」

 

「ははっ……ごめん」

 

 

―デスペア

 

「まさかミノタウロスがこうもあっさりやられるなんてね……」

 

「だから言っただろ……魔法使いとファントムとじゃ力比べで後者が負けるのは必然以外の何でもないって。んな事より、オレも奴と戦わせろ……ファントムを圧倒したその強さ、このオレがぶっ壊す……いや、粉々に砕いてやる!」

 

『そう慌てるな……フェニックス』

 

 輪ノ間高校の制服を着崩した青年に擬態しているフェニックスを窘めたのは白い体が目を引くファントムらしき怪人だった。

 

「ワイズマン様……ファントムを増やすどころか貴重な戦力を削ぐ結果となってしまった事、深くお詫びします……」

 

『メドゥーサよ……気に病むな。全てはまだ始まったばかりなのだから。それに駒ならば幾らでも替えがある……今は期を待つのだ』

 

「承知しましたわ……ワイズマン様」

 

「……チッ、いつか必ずぶっ潰す!」

 

 

―同じ頃、教室

 

 朝早くから登校した陽希はいざ寝ようとした所で日直の仕事として同じく早朝からいる由実に声をかけられた。

 

「あのね、確かに俺はファントムと戦ってばっかだけど流石に部活感覚でやる気は無いんだよ……一応真剣にやってる事だし」

 

「でも現に今ファントムの被害はうちの学校の生徒ばかりに出てるでしょ?」

 

「そりゃあ……そうだけど……」

 

「お願い……これ以上美春みたいな子を出したくないの!無理にとは言わないけど……力を貸して!」

 

 由実はそう言うとかなり深く頭を下げた。

 

「……分かった。でも、協力する以上は俺の頼みも汲んでくれなきゃ即刻OKを出す訳にはいかない」

 

「勿論、貴方が魔法使いだって事は誰にも口外しないし、それを思わせるような事は控えるわ」

 

「うん、じゃあ俺も由実の用心棒として頑張らせてもらうよ」

 

「ふふっ……ほんと、貴方は飄々としてるかと思ったら、ちゃんと私の話を聞いてくれるし……無茶な頼みもすぐに聞いてくれる。優しいのね、陽希くんは」

 

「よしてくれよ、由実。そうだ、放課後に俺の家を紹介するよ」

 

「確か、喫茶店だよね……部活動の事とかゆっくり話したいし、お願いね」

 

 

―放課後 喫茶わじま

 

「おぉ、陽希か……って、その子は一体どうしたんだ?」

 

「あー……俺の友達の大門由実って子だよ。学級委員やってて、俺に色々教えてくれてんだよ」

 

「は、はじめまして……大門由実です、よろしくお願いします」

 

「俺は輪島秀雄、ここのマスター……ってのは表の顔で、裏では陽希の為に指輪を作ってるんだ」

 

 秀雄は優しげな声でサービスのコーヒーと合わせて青い一角獣が彫られた指輪と黄色い節足動物が彫られた指輪の入った小箱を取り出して自己紹介をした。

 

「おっ、また新しい指輪が出来たんだな……って、どっちもガルちゃんテイストなやつか」

 

「今回の魔宝石達はどっちもこう作ってくれって訴えてきたからなぁ……そうだ、物が物だし、見せてあげたらどうだ?」

 

「それもそうだな……よし」

 

〈ガルーダ!〉〈ユニコーン!〉〈クラーケン!〉

 

 陽希がガルーダを含む3つの指輪を連続してベルトに翳すとその場で鳥、一角獣、タコのような生き物が出現した。

 

「可愛い……もしかしてこの子達って陽希くんのペット?」

 

「んー……ユニちゃんとクラちゃんは生まれたてだし、ガルちゃんはペットというか……相棒だな。俺一人じゃファントムは見つかんないからね」

 

「そっか……そういえば前にも赤い子が私と美春を守ってくれた時があったわね」

 

「欠点を挙げるとすれば……この子達も俺の魔力で動いてるからあまりこの子達を行動させると俺に全部跳ね返ってくるんだよ」

 

「そう……それは少し大変ね。何だか魔法使いって思ってたよりもずっと難しい事やってたのね……」

 

「そうそう、授業中に眠くなるのも分か」

 

「それとこれとは話が別よ!」

 

(流石にそこまでOKとはいかなかったか……)

 

 陽希は内心で大きくため息をつきつつ、その後暫く由実と話を弾ませるのだった。




陽希先生のウィザードリング講座!

今回紹介するのは〈エンゲージ〉
俺が精神世界アンダーワールドに入る為に使うリングで使うまでは全く効果が分かんなかったんだ。

この世界に入れる時間は割と短くて、常に生まれたてで外に出たがってるファントムが暴れてるから早めに片付けないと俺まで巻き込まれるってのがネックかなぁ。あとは呼び出したドラゴンが全然言う事聞いてくれないし、可能な限りは使いたくない指輪だな。

次回もよろしく!
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