仮面ライダーウィザード High school in Showtime!   作:くが月

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第4話 試行錯誤の魔法使い

「魔法使いに会ってみたい?」

 

「う、うん……実は最近ネットニュースで毎日のように見かけてからずっと思ってたんだ……」

 

「確かに、ここ最近はずっと物騒な事件が多発してるし、警察も手に負いきれないって噂も立ってるよな」

 

「あの化け物をキレッキレな動きで翻弄して倒して……その後はいつの間にかいなくなってる……そんなミステリアスな感じのヒーローってカッコいいよね、操真くん!」

 

 幸平は少し抑えが効かないながらも興奮気味になりつつ、机から軽く身を乗り出して話した。

 

「確かにああいう動きが出来る人ってカッコいいよな……はは」

 

(叶うなら今この場で幸平に真実を伝えたい……こんな純粋な目で見て話をされるとコソコソ隠してる自分が惨めに見えてくるんだが!)

 

「そうだ、最近操真くんに関する事である噂が立ってるんだよ」

 

「ど、どんな噂だ……?」

 

「学級委員の大門さんと付き合ってるんじゃないかって」

 

 陽希は幸平の口から出た衝撃的な噂に対して勢いよく飲んでいたレモンジュースを吹き出してしまった。

 

「はぁ!?一体何処の誰がそんな妙な恋バナ話してんだよ!だいたい俺はまだ転入して1週間弱しか経ってないのに……げほっ、げほっ」

 

(思春期……というか青春時代の恋愛脳怖ぇ……ちょっとルックスがいいからってハイスペックな男女が話してたらすぐそっち方面に結び付けるの怖い……)

 

 陽希は激しく噎せながら心の中で顔面蒼白になるほどの恐怖に震えた。

 

「あら、珍しいわね……2人がこんな朝早くから学校に来てるなんて」

 

「あぁ、由実……ちょうど今幸平の朝の小テストの直しを手伝ってたとこなんだ」

 

「確か陽希くんは全部満点取ってるわね……後は授業中に寝なければいいんですけど」

 

「ぜ、善処します……」

 

(昨日の今日で相変わらず鬼だな由実は……少しは事情汲んでくれよ……)

 

 

―ファントムの拠点デスペア

 

『こんな時間に来るなんて珍しいわね……ヘルハウンド』

 

『メドゥーサ様がお声掛けを行っているなど気付かずにいた事、本当に申し訳ございませんでした。ですがこのヘルハウンド、全身全霊を以て新たなるファントムを連れ参じる次第でございます』

 

『フフ……貴方の能力ならそれくらい出来て当然よね。期待しているから、応えてみせなさい』

 

『承知しました、メドゥーサ様』

 

 

―昼放課 食堂

 

「やっぱり数学はどの分野も苦手だなぁ……」

 

「あはは……確かにそうかもな。計算系は式見ただけで脳が悲鳴を上げるし、図形系にしても結局頭を捻って答えを出さなきゃだから結果的に苦手科目の殿堂入りって言われるんだよな」

 

「でも操真くんは数学の編入試験満点だったんだよね?ここのテストって名門大学への進学を目指す人前提に作ってあるから応用ばかりで解ける人は少ないみたいだよ?」

 

「俺の場合は基礎を体に染み込ませる勢いで覚えて、応用を頭で考えるようにしてるからなぁ……ただ、これは万人に勧められる勉強法じゃないし、自分でもぶっちゃけ非効率の極みみたいなもんだと思ってるよ」

 

「やっぱり操真くんは凄いね……僕ももっと頑張らないと」

 

「無理は厳禁、これだけ頭に入れとけば後は何とかなるさ……ん?」

 

 陽希は焼きそばパンを頬張りかけた際に東棟の方から微かに煙のような匂いを感じ、パンを包みに戻した。

 

「何だか向こうがざわついてるね……ちょっと、何処行くの、操真くん」

 

「少しトイレに行くだけだから……!」

 

 陽希は席を外すとすぐに食堂を出て、理科室や音楽室のある東棟の方へ走った。

 

『炎は人を彩る素晴らしい物……さぁ、私の紅蓮の炎で素晴らしい音楽を奏でなさい……人間!』

 

 陽希が駆けつける頃には既に赤いファントムが周囲に放火し、建物を破壊していた。

 

「悲鳴を音楽って思うって……相当悪趣味な芸術家じゃん、ファントムさん?」

 

『おや、その腰のベルト……そうですか、貴方がミノタウロスを殺めた指輪の魔法使いですか……見ての通り、私は音楽を楽しんでいるので邪魔はしないで頂きたい』

 

「悪いけど俺にとってはこんな音楽不快以外に表しようが無いんでね……さっさと演奏中止にしてもらいたいな」

 

〈ドライバーオン、プリーズ〉

〈シャバドゥビタッチヘンシーン〉

 

「変身」

〈フレイム、プリーズ〉

〈ヒー!ヒー!ヒーヒーヒィ!〉

 

『仕方ないですね……互いに邪魔者同士、ならばどちらかが消えるまで殺し合うとしましょうか!』

 

『悪いけど殺し合いは趣味じゃない……ヤァッ!』

 

 ウィザードはウィザーソードガンをソードーモードに切り替えつつ、ヘルハウンドとすれ違う瞬間に腹部を一閃した。

 

『私をあまり怒らせないでもらいたいなぁ……』

 

『友達とのランチタイム妨害されて俺も腹立ってるんだ……よっ!』

 

 ウィザードはそのままヘルハウンドの胸部を斜めに切り、蹴り飛ばした。

 

『メドゥーサ様の言う通り、一筋縄では敵わぬ相手ですね……』

 

『単に情報が足りないだけじゃないの?ま、そろそろ終わらせないとパン食べれずに午後迎えるから……やられなよ!』

 

〈キャモナ·スラッシュ·シェイクハーンズ!〉

〈フレイム、シューティングストライク ヒー!ヒー!ヒー!〉

 

『1……2の……3っ!』

 

『ぐっ……同じ炎の使い手ながら……!』

 

 ヘルハウンドはウィザードのソードによる必殺技を受けてダメージに耐え切る前に爆散した。

 

「ふぃー……試しに属性解放の程度を加減してみたけど……これは使えるな」

 

 陽希はヘルハウンド撃破を確認しながら自分の戦闘を振り返り、足早に食堂へと戻った。

 

―午後 3-A教室

 

(も、盲点だった……魔力を抑えたはいいけど、結局制御してる時点で思いっ切り魔力使ってるから……それにギリギリの時間でパン食べたせいで眠気来たし……あれ、自分で裏目に出る要素詰め込んでません?)

 

 陽希は自分のした事に若干後悔しつつも睡魔に負けていつもの如く教科書を盾にして静かに寝息を立てながら寝ていた。

 

「……また寝てる」

 

(本当なら起こさなきゃいけないのは分かってるの……でも、私のわがままを聞いてくれたから、少しくらいは……)

 

 彼の隣で真剣に板書を写していた由実はどこか気持ち良さそうな顔で寝ている陽希を見て敢えて声をかけずそのまま授業に意識を戻した。

 

―その頃 東棟裏

 

『危ない所でした……まさかあれ程にまで強大な力を制御出来るとは、実に恐ろしい存在ですね……指輪の魔法使いは』

 

『影に飛び込んで死を回避するとは……なかなか考えたじゃねぇか』

 

『フェニックス様……い、いつからそこに?』

 

『オレも我慢の限界が近いんでな。そんな事より……あまり派手な騒ぎを起こすなってメドゥーサから言われてる事だけ伝えといてやるよ』

 

『それに関してはご安心を……私としてもこの学校にゲートがたくさんいるのは存じているので、慎重に事を進める次第だとお返し下さい』

 

『あいよ……じゃあな、せいぜい上手くやれよ』

 

 フェニックスは少しだけヘルハウンドを労うと炎と共に姿を消した。

 

『指輪の魔法使い……私の策に対しどう出るのか……楽しみにしておりますよ……フフフ』

 

 ヘルハウンドは輪ノ間高校の3年生の校章をつけた生徒へ擬態すると同時に教室の集合している西棟へ歩いていった。




さーて今回も始めるぜ!
陽希先生のウィザードリング講座!

今回紹介するのは〈ビッグ〉
指輪をはめた対象もしくは魔法陣をくぐらせた物を巨大化させる事が出来るんだ。使い勝手が悪そうに見えるけど、常識を超えた変則的な攻撃が安易に出せる点は評価出来るな。

次回もよろしく!
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