ロボトミとラオルの世界に転生しました!割とマジで勘弁してくれ!! 作:ライドウ
だけどそんな君も...(息の音)あー、やっぱ嫌いだわこのハゲ。
お前、ハゲだよ...動く肉塊に負ける一般人がよ
「はぁ、はぁーっ、はぁはぁ、はぁーっ!」
う、うるさい。
管理画面でもそうだったが、捨てられた殺人鬼はとにかくその特殊な音がうるさい。
この荒い呼吸がとにかく聞こえてくるので、集中したい管理人ならまず入れないであろう存在である。
だけど間違いなく言えることは、序盤の本能作業においてはそれなりに役に立つ。
...まあそれ以外価値なんてないただの一般人だけど。
手早く、捨てられた殺人鬼に対する本能作業を済ませる。正直、こんなところ一刻も早く出てゆきたい。
最後の作業が終了し、素早く収容室から退出する。
扉を閉めて大きく深呼吸すると、ドッとした疲れが私にのしかかってきた。
ペタンと、腰が抜けて立てなくなる...オフィサーが居なくてよかった。
「よっ、お疲れさん。」
コントロールの自由を与える小魚たちの作業帰りだろうか、ちょうどエヴァ君がそこで待っていた。
「酷い顔だな...立てるか?」
「...肩貸して」
「あいよ。」
エヴァ君の肩につかまり何とか立ち上がる。
油断していた、同じTETHの小鳥でなんともなかったから...捨てられた殺人鬼も同じだと思ってた。けれど違う、小鳥は反撃しなければいいだけで...捨てられた殺人鬼は本気で殺しにくる。
「ま、そんなに気を張るなアンジェリク。所詮は一般人だからな。」
そのうち慣れるよと、言う声が聞こえようやく落ち着き始める。
「心配させてごめん、行こう。」
「ああ、まあ初めて死の危険を感じれたなら上々だ。」
「...感じ取れてなかったら、どうなってたの?」
「間違いなく、他のアブノーマリティをなめてかかったエージェントどもと同じで早死にしてただろうな。」
ははは、と笑うエヴァ君だが私は、一切笑えていなかった...早くメインルームで休憩したい。
~~~~~
ピリピリと嫌な雰囲気が、私の肌にまとわりついている。
自然と、腰脇に下げてある魚群の拳銃に意識が向きあたりを必要以上に警戒してしまう。
しかし、エヴァ君とクリストファーは余裕そうにそれぞれの懺悔メイスのチェックをしていた。
「そろそろだな。」
「ああ、今日の晩飯はもらったぜ!」
「あ?テメェにはやらねぇよ間抜け面。」
「んだとこの、仏頂面ぁ。」
一触即発のような雰囲気だが和気藹々としている。
...そうだ、試練。試練があるんだ。私は気を引き締め直して魚群の拳銃を取り出し、軽く目視で確認し始める。
ビーッ!ビーッ!!
始めた途端にメインルームにけたたましい警報音が鳴る。
そして、頭の中に直接文字が浮かび上がる。
「...アンジェリクの予想的中だな。」
「くっそー!!俺のから揚げ!!」
「あ、あははは...」
二人は余裕そうだが、私は拳銃を握る手に力がこもっている。
もうすぐ実戦、とんでもない緊張感が私を襲う。
「...アンジェリク。緊張するな、前衛は俺らがやる。」
「そうそう、肩の力を抜いてゆーっくり狙って撃っていいからね~」
エヴァ君は頭に、クリストファー君は肩に手を置いて落ち着かせてくれる。
二人とも懺悔セットなのにどこか黄昏と失楽園を装備しているように見える。
...そうだ、この二人は私の中で最強のコンビ。なら私は、緊張せずにゆっくりと狙いをつければいい。
「...ありがとう。」
「良いってことよ。」
「へへっ、アンジェリクにお礼言われたぞ」
~~~~~
メインルームから廊下に出ると、そこにいるのは大量の完全食の芋虫...
既に何人かのオフィサーが犠牲になっているようで、死体がゴロゴロと転がっている。
「ひっ...」
私が小さく悲鳴を上げていると、エヴァ君とクリストファー君がゆっくりと歩きながらその芋虫へと向かう。
「相棒、まさかとは思うが...寝すぎで体がなまってる。とかないよな?」
「はん、黙ってろ仏頂面。誰に向かって言ってんだ、お前の相棒だぞ?お前の動きなんざ鈍ってても分からぁ」
「...吼えたな間抜け面。じゃあ、行くぞ。」
「「皆殺しだッ!」」
二人同時に強く踏み込み、一瞬にして芋虫との間隔を縮める。私が瞬きした瞬間には、二人は芋虫に肉薄していた。
咄嗟に私が銃を構えると、1番手前にいた芋虫に2人同時に懺悔メイスを振り下ろした。
グチャっ!!
「ギシャァアアアアッ…」
早くも1匹が倒される。早過ぎない!?
1匹目を早くも叩き潰した2人はそれぞれ体勢を建て直し飛びかかってきてきたイモムシをそれぞれメイスで迎撃する。
迎撃されたイモムシは互いに吹き飛ばされ壁にぶつかってそのまま動かなくなる。
もう3匹、あと1匹は?
そう考えているとエヴァ君とクリストファーくんの背後に現れ、2人に飛びかかろうとしている。
「っ!」ダァン!!ダァン!!
そのイモムシに向かって2発の銃弾を放つと、すぐさま着弾し青い血を吹き出す。しかし、大したダメージにはなっていないのかこちらに振り返ってしまう。
「ギギギ…ギシャァァァッ!?」
振り返った直後、イモムシの顔と思われる場所が懺悔メイスに挟まれてそのまま潰れる。グチャッという気持ち悪い音と共に動かなくなり、青い血が周辺の床に飛び散った。
「ふぅ、まさか背後に現れるなんてな。」
「いやーナイス援護だったよ!アンジェリク!!」
「ぶ、無事でよかったー…」
ヘナヘナと拳銃を構えたまままた腰を抜かしてしまう。
正直、これで誤射してしまったらどうしようと考えていた。しかしどうやらアンジェリクとしての記憶に拳銃を扱ったこともあってか、かなり上手く射撃できたと思う。
『情報チームのみんなごめん!コントロールチームの援護に向かってくれないかな?』
館内放送で、管理人の言葉が聞こえてくる。
どうやら初めての実践という事もあり、イモムシたちに手間取っているらしい。
「よーし、もうひと仕事行こうぜエヴァ!」
「はしゃぐなクリストファー。立てるか?アンジェリク。」
「うん、何とか。」
エヴァ君にさし伸ばされた手を取り、立ち上がる。
この2人に頼ってばかりもダメだ。ちゃんとしないと。
そう思いつつ、私たちはコントロールチームの管轄へと急いだ。
その後は無事に被害なしで鎮圧完了されました。
ちなみにこの日クリストファーの他にもう1人コントロールチームに配属された、イムばか君という職員が居ますが、彼にほとんどスポットライトは当たらないことでしょう。