幼馴染が怖いですが、どうしたらいいですか?   作:始まりの0

20 / 31
蛇に会ったら、さぁ大変

 匂いの1件から早くも1週間が経った。

 

 綺羅莉とリリカも一族の用を済ませ、百花王学園での生活へと戻っており、やっと日常が戻ってきていた。

 

「……ちょっと待って、俺のだけ多くない?」

 

 なぉ、翔にとって日常とは地獄の様な日々であるようだ。

 

 現在、昼休み、ランチをとって、少し休憩する時間なのだが翔は目の前に積まれた書類の山を見て絶望する。何故昼休みに書類をしないといけないのかと思ったが、しなければならない事なのでそれはよしとしよう。

 

 綺羅莉もできない事をやるとは言わない。翔に出来る事だけを任せている為、彼が出来る事なのだが、如何せん量が多過ぎる。

 

「気の所為よ」

 

 

「ぇ、いやこれは気の所為じゃ「気の所為よ」はい」

 

 笑顔でそう言われ、はいとしか返事出来ない翔。彼はため息を吐くと書類に取りかかるのだった。

 

 それを気の毒そうに見ている楓とゲームをしているルナ。

 

「かけっちも大変だねぇ」

 

 

「なら助けてやったらどうだ?」

 

 

「あ〜無理無理、会長言い出したら聞かないし……それに」

 

 

「それに?」

 

 

「会長にイジられてるかけっちを見てるの楽しいし!」

 

 楽しそうに翔の様子を見ているルナ。

 

「会長もだが、お前もたいがいだな」

 

 助けない自分が言うのも何だが、誰にも助けられず、イジられてる翔が哀れむ楓だった。

 

(まぁ俺は助けん…………邪魔をすれば会長に何を言われるやら)

 

 どうやら翔に味方はいないようだ。

 

 

 

 

 〜放課後〜

 

 生徒会室には綺羅莉と翔がいた。

 

 翔は放課後も書類の続きをしている。

 

「はぁ……全然減らない」

 

 涙目になりながら書類を処理している。綺羅莉はそれを笑顔で眺めていた。

 

「……無理、もうしんどい、休憩する!」

 

 そう言い、ペンを放り投げ、立ち上がると近くにあるソファに腰掛ける。

 

「はぁ……まぁ、仕方ないわね。少し休憩しましょ」

 

 完全に集中力が切れた様子の翔を見て綺羅莉はそう言う。

 

 こうなって無理に続けさせても効率が悪いと考えたのだろう。

 

「それにしても……貴方って本当に優秀よね」

 

 翔は既に書類の山の四分の一程を終わらせていた。昼休みと放課後1時間程でだ。

 

「全然優秀じゃないだろう、これくらいお前だってするだろうし」

 

 

「まぁ……そうなのだけど……(普通の人間なら数時間はかかるけどね)」

 

 翔は自覚はないが、勉強もそこそこできる。教えた事も大体は1度で覚えていた。

 

 これまで綺羅莉自身が色々と勉強させていたのもあるが、彼自身も中々に優秀なのだ。この学園自体、他の学校より偏差値は高い、だが彼はこの学園に来て1度も赤点をとった事はない。何時も平均点以上は取っている。

 

「ふぅ……ん〜疲れた。そう言えば他の連中は?」

 

 

「少し用を済ませてから来るそうよ」

 

 

「へぇ……」

 

 彼はソファに身を任せて、天井を仰いだ。その時、電話が鳴った。

 

 翔は自分かと思いスマホを見るが鳴っていない。綺羅莉の方を見ると、彼女が通話していた。

 

「ふぅん……」

 

 通話している綺羅莉が笑みを浮かべる。

 

 美女の笑顔は皆が見惚れる物だ。今の綺羅莉を見れば普通の人間は見惚れるだろう。

 

 しかし、付き合いの長い翔には違って見えた。

 

(うわぁ…………あの顔はろくな事にならんな。だって「愉悦」って顔に書いてるし。

 

 こういう時は逃げるに限る。それに……何やらこの件に関わるとヤヴァいと本能が言ってるしな)

 

 翔は何かを考えている綺羅莉に気付かれる前に出ようと考え、忍び足で部屋を出ようとした。

 

「翔」

 

 

「!?」

 

 

「着いてきなさい」

 

 

「拒否権は?」

 

 

「あると思って?」

 

 翔は直ぐに逃げようとするが

 

「翔、止まりなさい」

 

 綺羅莉の一声で身体が固まってしまう。

 

「さぁ行くわよ」

 

 その場から動けず引き摺らていく。

 

 

 

 

「頼む綺羅莉! 離してくれ!」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「何か今回は(俺にとって)凄く危険な感じがするんだ!」

 

 

「あら、そう。でも私の感が言ってるのよ……貴方を連れて行かないといけないとね」

 

 それを聞いて翔は諦めた。こうなっては絶対に離して貰えないと知っているからだ。

 

「因みに何処行くの?」

 

 

「百合子の所よ。今あの子、ギャンブルしてるみたいでね……少し様子見に」

 

 

「西洞院の奴か…………って事はあのギャンブルか」

 

 

「えぇ……そして相手は蛇喰夢子」

 

 

「蛇喰……夢子……どっかで聞いた様な?」

 

 

「つい最近入った転校生よ」

 

 

「ぁあ……そういや、そんな書類があったな」

 

 蛇喰夢子の書類を見た時の事を思い出していると、リリカと清華と合流し、西洞院百合子の伝統文化研究会の元に向かった。

 

 

 

 〜伝統文化研究会 部室〜

 

 伝統文化研究会、名の通り日本の伝統文化を研究する活動をしており、生徒会役員である西洞院百合子が会長をしていた。

 

 そしてこの部室で行われているギャンブルは「生か死か」。

 

 ルーレットゲームと丁半博打を組み合わせたゲーム。

 

 壺振りが剣を模したコマ10本を壺に入れ、ルーレット盤に振り下ろし、盤上にある番号の割り当てられた30箇所の穴、そのいずれかに刺さったかどうかを予想するゲーム。

 

 このゲームの特徴としては、剣が上向きに刺さった場合は「生」として倍率が30倍、下向きに刺さった場合は「死」として倍率がマイナス30倍となる。

 

 そして、このゲームを行っているのは西洞院百合子と蛇喰夢子。

 

 だが百合子は現在追い詰められていた。

 

 このゲーム、百合子はイカサマをしていた。そのイカサマ内容は簡単だ。

 

 10本のコマの内1本を磁石に引っ付く仕様にしておき、壺振りをする部員全員の手に磁石のついたピアスをつける。後は狙った所に下ろすだけ。

 

 これを蛇喰夢子に見破られ、彼女はイカサマをした穴に全ベットした。

 

 このままでは大負けになる。百合子は示談をしようとするが

 

 

「さぁ! 壺を開いて下さい! 

 

 さぁ! さぁ! 賭け狂いましょう!」

 

 蛇喰夢子は全くその気はなく壺を開く様に要求する。

 

 ーガラッー

 

 扉が開く音がし、皆がその方向を見る。

 

 そこに立っていたのは、綺羅莉、リリカ、清華である。

 

「かっ会長!?」

 

 

「貴女が面白いギャンブルをしてると聞いてね。様子を見に来たのよ……フム」

 

 綺羅莉は盤面を見て状況を把握した様だ。

 

「百合子、壺を開きなさい」

 

 

「しっしか「いいから、黙って開けよ」ひっ!」

 

 綺羅莉は百合子の顔に引っ付かんばかりに近付き、そう言い放つ。

 

 綺羅莉が壺振りをしていた女子生徒に目を向ける。女子生徒は意を決して壺を開いた。

 

 結果は

 

 蛇喰夢子の負け、そして負け額3億円のである。

 

「あらっ……予想外の結果ね」

 

 綺羅莉は予想してなかった様だが、面白いものが見れたと言う顔をしている。そんな綺羅莉に対して夢子は

 

「穴熊でしょうか?」

 

 

「さぁ、どうかし「ゲホッ! ゲホッ! ぁ〜もぅ! ホコリまみれじゃねぇか!」」

 

 そんな場所にホコリにまみれた翔がやって来た。

 

「ぁ〜死ぬかとおもっ……ぇ〜と何やらお邪魔な感じ?」

 

 

「いいえ、もう終わっ」

 

 綺羅莉が言い終える前に彼女の横を何かが通り過ぎた。

 

「ぐぇ!」

 

 蛙を潰した様な声を出したのは翔だ。

 

 その原因は翔に飛び付いた蛇喰夢子だ。

 

「いたたたっ……えっと……」

 

 

「すぅ〜はぁ、すぅ……ぁあ!」

 

 夢子は翔の胸元に顔を埋めて深呼吸している。

 

 あまりに予想外な事に、場にいる全員が固まった。そして夢子が顔を上げる、その目は真っ赤に染まっていた。

 

「お久しぶり! 翔さん! やっとこうして御顔を見れました!」

 

 翔を含め、場にいる者達は口を開けて啞然としていた。

 

 

 

以前は御顔を隠されてましたから我慢出来たのですが、こうして顔を合わせてしまったら我慢できません! 我慢できないふしだらな女でごめんなさい! 本当はもっと雰囲気のある再会をしたかったのですが、貴方から会いに来てくれたんですからもう我慢しなくていいですよね? どうして貴方と分かったか? 当然、貴方の匂いを忘れる訳ありません! やっとこうして会えたんですから、いいですよね? 

 

 

 翔はこの時、思った蛇喰夢子(この女)綺羅莉とリリカ(幼馴染み)と同類だと。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。