幼馴染が怖いですが、どうしたらいいですか?   作:始まりの0

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蛇との出会い

 前回、生徒会役員西洞院百合子と蛇喰夢子のギャンブルに顔を出した綺羅莉達、そして勝負は夢子の負けで終わった。

 

 そこに顔を出した翔、そして突如、蛇喰夢子は翔に飛び付いた。

 

 多分、翔にとってこの瞬間が命の危機だと当の本人は思った。

 

 

「もういいですよね? ね? ね?」

 

 夢子は翔にそう問いかけ、その手で翔の顔を包み固定。そのまま自分の唇を翔の唇に重ねようとする。

 

「えっ、ちょ……待って! 待って!」

 

 

「これ以上のお預けなんて、酷いです翔さん!」

 

 

「なんで俺の名前を……あれ? どっかで……?」

 

 夢子の顔を見て、彼女を何処かで見た様な気がしている翔。

 

「書類……いや、それよりもっと前に……」

 

 必死に思い出そうとしている翔なのだが、彼は忘れていた。この場に桃喰綺羅莉と桃喰リリカがいる事を……

 

「あらぁ~……楽しそうね翔」

 

 冷たい声に場が凍り付いた。

 

 綺羅莉の傍にいた清華、夢子といた涼太、生徒会役員の百合子とその取り巻き達は恐怖のあまり皆、固まって壁に寄っていた。

 

 綺羅莉の瞳から光が消えており無表情になっており、リリカも仮面をしているので分からないがきっと同じ顔をしてるだろう。

 

「きっ綺羅莉! これは違う! 俺じゃないよね!? どうみても俺が襲われてる方で」

 

 

「美少女に押し倒されて楽しそうね?」

 

 

「違うから! 俺も初めて会う女に押し倒されて訳が分からないから!」

 

 

「初めて会うなんて酷いじゃないですか!」

 

 ここで夢子は翔にとって最大の爆弾……というか核ミサイルを打ち出した。

 

「私をお嫁さんにしてくれるって言ったじゃないですか!」

 

 場にいる全員の心が1つになる。【天姫 翔は死んだ】と

 

 

「ふっ……フフフ! アハハハハ! 面白いわね……夢子、これから私達とお茶でもいかが?」

 

 

「はい、是非!」

 

 

 

 

 〜生徒会室〜

 

 綺羅莉と夢子が対面する様に座っており、リリカは綺羅莉の後ろに控え、翔は両者の間の床に正座していた。

 

 因みに綺羅莉とリリカの発するオーラにそれを見た生徒達はビビって逃げ、生徒会の人間も逃げ出していた。

 

「夢子、それにしても災難だったわね。折角イカサマを見抜いたのにあんな結果になって。私としてもあそこで百合子が勝ったのは少し予想外だったわ。やっぱり運も大切よね」

 

 

「えぇ、仕方ありません、今回は運がなかったのですから……やはりギャンブルはこうでなくては」

 

 そう、うっとりした表情で言う夢子。

 

「さて……翔」

 

 

「はっはい!」

 

 

「説明してくれるかしら?」

 

 

「説明と言われましても……その……ぇえと蛇喰さん?」

 

 

「蛇喰さんだなんて他人みたいに言わないで下さい! 夢子とお呼び下さい!」

 

 

「じゃあ夢子さん」

 

 

「夢子」

 

 

「えっ」

 

 

「夢子」

 

 

「待って、それは俺の命が「夢子」だか「夢子」はぃ……夢子」

 

 

「はい!」

 

 夢子は何度も夢子と呼び捨てする様に要求し、翔はそれに負けて呼び捨てすることに。

 

「えっと……結婚の約束って」

 

 

「まさか忘れたんですか!? 酷いです!」

 

 

「何分、昔の事で」

 

 

「じゃあこれも忘れたんですか!?」

 

 夢子は制服の内ポケットからハンカチを取り出した。翔はそれを受け取ると広げる。

 

 見た目は普通の柄の入ったハンカチだ、ただ触った感じ高級品である事が分かる。そしてハンカチの角には何かの紋章が刺繍され名前も刺繍されていた。

 

「このハンカチ……この名前……婆様の……って事は俺が渡した?」

 

 

「はい! そのハンカチで私の涙を拭ってくれたじゃないですか! 10年前に、あの桜の木の下で」

 

 

「桜の木……ハンカチ……黒髪……あっ」

 

 何かを思い出した様で、声を上げる。

 

「夢ちゃん」

 

 

「はいっ!」

 

 夢子は夢ちゃんと呼ばれ、嬉しそうに返事をした。

 

「へぇ……」

 

 

「夢ちゃんねぇ……」

 

 

「「詳しく話してくれる(かしら)?」」

 

 無表情の綺羅莉とリリカに迫られるかけて。彼女達は無表情なものの、物凄く怒っているのは誰にでも分かる……何故なら彼女達の背後で鬼神が怒り狂った顔で翔を睨んでいたから。

 

 

 〜10年前〜

 

 これはまだ、翔が7歳の春の話。

 

 翔は冒険(?)に出掛ける父に代わり、祖父に育てられる時期もあった。

 

 その日も、父と母がいないので、祖父が家にいた。

 

「ねぇ、じいーちゃん」

 

 

「なんじゃ、可愛い孫よ」

 

 

「何で母さんはあんなんと結婚したのかな?」

 

 因みに今回、預けられた理由は父が「古代アステカの遺産が俺を呼んでいる!」と言い出し、母はそれについて行った。

 

 何度も訳の分からない理由で急に旅に出ていき、それについて行き苦労する母親。本人はそれが嬉しいらしいが、子供の立場からすると母が心配の様だ。

 

 そんな母親を見て、7歳頃になると自分がしっかりしないといけないと考える幼い翔。

 

「全くじゃ! あのクz……コホン、何であんなんと結婚したのか、儂には理解出来ん!」

 

 

「母さんが離婚したら爺ちゃんの家に住んでいい?」

 

 

「おぉ! 勿論じゃ!」

 

 

「その方が母さんも楽になるだろうしね」

 

 

「ウム、そうじゃな。早くあのクズに愛想を尽かして欲しいものじゃ」

 

 

「さてと……それじゃ、爺ちゃん、俺、遊んでくる」

 

 そう言って出掛ける翔。

 

 翔は近くの公園に着くと、周囲を見回す。残念ながら知り合いどころか、人っ子一人居ないかった。

 

「さて……どうしたようかな。ん?」

 

 翔がどうしようか、考えていると何かを感じ、そちらの方向に歩を進めた。少しすると桜の木の下で着物の少女が蹲っていた。

 

「どうしたの?」

 

 整っている顔に、長い黒髪の少女だった。少女はどうやら泣いていたらしい。

 

「大丈夫?」

 

 

「だっ大丈夫です」

 

 少女はそう言って着物の袖で涙を拭おうとするが、翔はポケットからハンカチを出し、彼女に差し出した。

 

「僕は天姫 翔、君は?」

 

 

「私は……夢子、蛇喰夢子です」

 

 これが翔と夢子との出会いだった。

 

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