幼馴染が怖いですが、どうしたらいいですか?   作:始まりの0

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主人公、タイミングが悪い

 〜百花王学園 生徒会室 昼休み〜

 

 翔の体調も完全に戻り以前の生活へと戻っていた。

 

 現在は1人で生徒会室で書類作業をしていた。

 

「ん〜疲れた。ちょっと休憩っと……それにしても」

 

 書類に目を落とす。普通の経理関係の書類だ。そもそも生徒がやる様な書類ではない筈だが、この学園では生徒会の仕事になっている。

 

「よく分からん経費ばかり……しかも全部ギャンブル関係だし、施設維持費……一、十、百、千、万、……億……この不景気なのによくこんな金が出てくるな。

 

 これで一旦終わり。ふぅ、休憩だ、休憩」

 

 翔はそう言うと書類を片付けて部屋を出た。

 

(そういや⋯⋯今日は誰か来るとか綺羅利が言っていたような。

 

 まぁ俺が気にする事でもないか。綺羅莉達の客であって俺には関係ないしな)

 

 などと考えながら生徒会室を出て昼食の為に食堂に向かった。

 

「あっ翔さ~ん」

 

 食堂に居たのは満面の笑顔の夢子だった。

 

「昼飯はやめて、屋上で寝よう」

 

 彼女の姿を見た瞬間、1度落ち着く為に深呼吸して身を翻しその場から離れようとする。しかし振り向いたら既に夢子が目の前にいた。

 

「今まで向こうにいたのに」

 

 

「愛です!」

 

 

「ぇえ⋯」

 

 夢子は翔の腕を掴むとそのまま席に引っ張り始めた。

 

「どうも」

 

 夢子に引っ張られ席にやって来ると、そこには涼太と金髪ツインテールの女子生徒がいた。

 

「やぁ鈴井君、久しぶり。えっと隣の子は始めましてだね」 

 

 

 

「はっはい、始めまして夢子⋯⋯蛇喰さんと同じクラスの早乙女 芽亜里(さおとめ めあり)です」

 

 芽亜里は緊張した様子で自己紹介した。

 

「俺は天姫 翔⋯⋯君等の先輩になるかな。と言う事は夢子の友達?」

 

 

「はい、鈴井さんと芽亜里さんはお友達です」

 

 

「そうか⋯⋯えっと2人とも大変だろうけど、夢子を宜しくね」

 

 

「あははっ」

 

 涼太はそれを聞いて苦笑いしていた。

 

「あの、少し聞きたいのですが、いいでしょうか?」

 

 芽亜里がそう言うと翔は夢子の隣の席に(強制的に)座りながら頷いた。

 

「夢子の婚約者って本当なんですか?」

 

 芽亜里の質問に固まる翔。

 

「夢子からは幼い頃に結婚の約束をした婚約者と聞いてますけど」

 

 その言葉を聞いた翔は錆び付いた機械の様な動きで夢子の方を見た。

 

「はい! 結婚の約束をして私のファーストキスも捧げました!」

 

 顔を赤くしながら夢子はそう言った。その言葉を聞いた涼太、芽亜里、そして周りの生徒達は固まった。暫しの沈黙の後

 

「「「きゃ──!!」」」

 

 

「「「ノォ──ー!!」」」

 

 女子生徒からは黄色い悲鳴が、男子生徒からは絶望の叫びが響いた。

 

(グッバイ、俺の平和な日常⋯⋯平和? 平和ってなんだったかな?)

 

 

「えっと⋯⋯おめでとうございます?」

 

 

「夢子⋯⋯アンタ、小さい頃から結構いくタイプなのね」

 

 涼太、芽亜里はそれぞれ反応する。それから夢子は小さい頃の話を始めていた。

 

 芽亜里を含めた女子生徒達は興味津々で聞いており、絶望の叫びを上げた男子生徒達は地面に突っ伏していた。

 

 翔はと言うと、平和な日常について思考を巡らせていた。

 

 どう考えても平和な学園生活を送っているとは言い難い。それを平和だと思った自分の思考が可笑しくなったのか、綺羅利や夢子達に染められてしまったのか分からないが今までの日常を振り返っていた。

 

「あっあの天姫さん」

 

 

「⋯⋯ん? 鈴井君、どした?」

 

 涼太の声で我に帰った翔。

 

「いいんですか、放っておいて」

 

 なんの事かと思い周囲を見てみると女子生徒達が群がり、その中心には夢子がおり自分達が小さい頃の話を嬉しそうに話していた。

 

「鈴井君、俺、最近特技を身に着けたんだ」

 

 

「特技ですか?」

 

 

「うん」

 

 翔はそう言うと夢子の方へと歩いていく。

 

 彼女の背後から抱き着き、片方の手で口を塞ぐ。そして彼女の耳元で何かを囁いた。

 

 それだけすると、芽亜里に後は宜しくと言って涼太の方へと歩いていった。

 

「夢子?」

 

 芽亜里が声をかけるが返事がない。夢子は先程の話をしている表情のまま固まって⋯⋯気絶していた。

 

「ゆっ夢子、しっかりしなさい!」

 

 芽亜里が夢子を揺さぶり起こそうとするが全く反応がない。それどころか鼻血を流しながら蕩けた表情になった。

 

「えっと」

 

 

「最近、夢子や綺羅利達に耳元で囁くと気絶するんだ。理由は知らんが」

 

 

「でも目を覚ました後が大変じゃ」

 

 

「大丈夫、記憶が飛んでるみたいだから⋯⋯と言う訳で夢子を宜しく」

 

 それだけ言うと翔は去って行った。

 

 涼太、芽亜里を含め先程の光景を見た者達は思った。

 

「「「最低だ」」」と。

 

 しかしそれと同時に正直、凶人の部類に入る夢子をこうも簡単に手玉に取ったことに感心する一同であった。

 

 

 〜生徒会室〜

 

 その頃、綺羅利達は翔以外の生徒会メンバーを集め、ある者達と合っていた。その者達は百花王学園の制服を着ていた。

 

「揃ってきたのね」

 

 

「老人達の呼び出しに応じないからだ。我々とて来たくて来た訳ではない」

 

 彼等の中の車椅子に乗った少女がそう言う。

 

「これでもしっかりと対応して上げてるんだけどね⋯⋯自分達の思う通りにいかないから貴方達を送り込んできた。

 

 貴方達も苦労するわね」

 

 

「全くだ⋯⋯原因であるお前に言われても腹立つがな」

 

 車椅子の少女の言葉に綺羅利が笑いながら「そうね」と答える。

 

「それで?」

 

 

「私達はお前を生徒会長の座から引き摺り降ろす様に言われてきた」

 

 

「それで生徒会長の座に着いた者が次期当主と?」

 

 

「あぁ」

 

 綺羅利は嬉しそうに笑う。

 

「そう。分かったわ、その挑戦受けて立つわ」

 

 

「そうか⋯⋯お前達もいいな?」

 

 少女は後ろの者達にそう聞くと、彼等は了承した。

 

 綺羅利は笑顔、彼女の周りは困惑、綺羅利に対峙する彼女達はそれぞれ真剣な表情をしていた。

 

「ぁ〜腹減った。昼飯食いそびれ⋯⋯⋯あっ」

 

 そんな中に飛び込みのが主人公であった。

 

「邪魔しちゃったかな?」

 

 翔の登場に皆の視線が彼に集まる。

 

「「「「!」」」」

 

 綺羅利に相対してる者達の中の4人の女性達は翔の姿を見て驚いた顔をした。そして次の瞬間、漫画で出てくるような恋する乙女の顔になった。

 

 綺羅利とリリカはそれを見て、全て理解した。

 

((翔⋯⋯何時の間に。これは後でじっくりハナサナイト))

 

 この光景見ていた翔と同性である豆生田 楓は思った。

 

(あの4人の反応は⋯⋯天姫⋯⋯お前と言う奴は僕の想像超えてくるな。

 

 羨ましくはないが⋯⋯見た目は未だしも中身は一癖も二癖もある異常な奴等ばかり。命が幾つあっても足りない)

 

 楓は女性達から熱い視線を向けられる翔に同情の目を向けていた。

 

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