幼馴染が怖いですが、どうしたらいいですか?   作:始まりの0

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幼馴染との出会い 綺羅莉編

 百喰……本家の桃喰家と多数の分家で構成される一族であり、それぞれの家には稼業があり、実質、日本の権力を掌握している一族だ。

 

 そして、現在の当主は桃喰 綺羅莉である。

 

 綺羅莉は双子の妹として産まれたが、賽が選んだのは姉でなく彼女であった。

 

 綺羅莉は生まれながら賢く、人の心を読む事に長けていた。そしてある目的があった。

 

 百喰を、己の手にする事だ。理由は簡単である、一族の当時の権力者達が過去の栄光を守り続けるだけ、過去に縛られた者達だったからだ。それは綺羅莉にとって、ひどく詰まらない事だったからである。ならばいっそ自分が百喰を手にして一から作り直そうと考えていた。

 

 百喰一族の子供達との関係もあまり良くはなかったが、そこそこの付き合いをしていた。彼女なりに色々と接してみたが、自身の価値観が他の者からすればかなり、ズレている事に気付いたのはそんな時だった。

 

 だから多少の事は我慢しつつ、刺激を求めていた。そんな詰まらない日々の中、彼女は運命の出会いをする。

 

 当時の7歳だった綺羅莉はリリカと共に父に呼ばれ出向いてみると、そこには仲の良さそうな親子と自分達の両親がいた。

 

 どうやらその親子は両親の知り合いらしい、挨拶を済ませると自分達は子供と遊ぶ様に言ってきた。

 

 綺羅莉は仕方なくその言葉に従う事にする。一応客人をもてなすのも自分の役目でもあるからだ。

 

 その子供は男の子で、接して分かったが年相応の知力、年相応の反応をしていた。綺羅莉は面倒ではあったものの、両親の知り合いの子供となれば失礼な事も出来ないので、軽く相手をする事にした。

 

 そんな中、暇潰しを思い付いた。つい最近、一族の子供達やった遊びだ。

 

「「どちらが私でしょう?」」

 

 綺羅莉とリリカが同じ格好、動作、口調をして、どちらかを当てると言うものだ。

 

「もし正解したら」

 

 

「貴方の望みを何でも聞いてあげるわ」

 

 一族の者、両親ですら、仮面がなければどちらかを当てるなど出来ないのに、出会って数時間の子供に出来る訳がないだろう。せめて困惑する男の子を見て少しでも気を紛らせようと考えていた。

 

 ニコニコと笑う彼女達を男の子はじっーと見ながら答える。

 

「こっちが綺羅莉ちゃんで、こっちがリリカちゃん!」

 

 

「「えっ?」」

 

 意外にも男の子は正解した。始めは当てずっぽうかと思って何回か繰り返したが、その全てで正解を出す男の子。

 

「「ねぇ、どうして分かったの?」」

 

 

「えっ、だって綺羅莉ちゃんは綺羅莉ちゃん、リリカちゃんはリリカちゃんでしょ? 

 

 同じ動きでも全然違うよ?」

 

 綺羅莉にとって、男の子の事が理解出来なかった。勘で言って当てるなら未だしも、目の前の子供の目には確信があった。理由は分からずとも、2人の区別がきっちりしている。

 

 綺羅莉はその確信が何なのか知りたくなり、子供に興味を持った。

 

「ねぇ、貴方、名前は」

 

 

「翔、天姫 翔だよ!」

 

 これが翔との出会いだった。

 

 

 

 時が経ち、綺羅莉は女の子から少女へと変わっていた。

 

 中学になり、そこそこの有名校に通う予定であったが、翔と同じ学校に通う為に、普通の中学校に通っていた。

 

 そして此処数年で変わった事がある。

 

 それは綺羅莉とリリカの翔に対する気持ちだ。

 

 変化の兆しは小学生の頃、違う学校に通っていた為に翔と会えるのは月に3~4回程、しかし翔も翔で、学校で出来た友達と遊ぶ事が多くなり回数が減る事もあった。

 

 綺羅莉はその頃より原因の分からない胸の痛みと苛立ちがあった。その時に母に相談した事があり、母はそれを聞いて喜んだそうだ。

 

『いい、良く聞きなさい? それは恋よ!』

 

 自分が恋をするなど思っていなかった綺羅莉とリリカは驚いた。

 

『翔君の事を考えると顔が熱くなったり、他の子と仲良くしてるの想像すると良い思いしないでしょう?』

 

 母の言う事は全て当て嵌まる。綺羅莉は自分が恋をするなど思ってもみなかった。

 

 とは言うものの、もしこれが一族の他の者達に知られると面倒な事になると考えた綺羅莉はまずは百喰を自分達の物にする事を優先した。

 

 そして彼女は中学生に上がる前には百喰の当主になれるだけの知識と権力を手にした。しかし、彼女の両親がそれを反対した。理由は今は年相応に学生をして欲しいと言う願いからだ。綺羅莉はそれを受け高校生に上がるまでは保留とし、中学は翔と同じ中学校に通う事を希望した。

 

 そして、同じ中学へと通う事になった。

 

 

 

 ーさぁ、翔。準備は整ったわ。

 

 今までは離れていたけど、もう問題ないわ。五月蝿い年寄り達も、欲にまみれた汚い大人も、皆、黙らせた。

 

 一族の中で口を出す者はもう居ない。これで私とリリカ、貴方の邪魔をする者はもう何処にも居ない。もし邪魔をする者が現れたら、私が排除するわ。

 

 これからの事は色々と計画を立ててるのよ、高校に上がったら私の箱庭に招待するわ。

 

 えっ、リリカ、彼に近付く女の排除はやり過ぎ? じゃあ貴女は何処の馬の骨とも分からない女に彼を取られてもいいの? 嫌でしょ……私が嫌なんだもの、貴女が良いと思う訳ないわよね。僅かでも可能性があるなら潰してる方がいいわ。でも彼に嫌われたくないから殺しはしてないわ、ちょっと遠くに行って貰っただけよ。両親に良い勤め先とお金渡したら喜んで引っ越して行ったわ。

 

 それに彼の喜ぶ顔も、悲しむ顔も、苦痛に悶える顔も、全てワタシタチノモノ。

 

 ダレニモ、ワタサナイ。ゼッタイニ……フフフ……フフフ……アハハハハハハッ! ー

 

 狂ったかの様に笑う少女の瞳は、暗闇の中で青く輝き続けた。

 

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