書いていくたびに足したい描写が増えるのは困りものですね
【貴女は死亡しました。転生手続きのため、この11連ガチャを引いてください。引いた英霊に準じた姿と能力を付与することによって転生は完了となります】
気がつけば真っ白な空間にいて、どこからともなくそんな音声が流れてくる。あれか、巷で噂の異世界転生というやつか。私、いつの間に死んだし。全く覚えがない。直近の記憶は家でガチャの爆死してふて寝してたんだけど……隕石でも落ちたか火災でも起きた?
ふと少し先に目をやれば駅前やスパーでよく見るカードが出てくるタイプのガチャガチャの機械。引けと?
…………いやまあ確かに、他何もできないみたいだし、この真っ白な空間を無限マラソンする気はないし。引くしかないのかな。
意を決して、ガチャガチャに手を伸ばす。
とりあえずレバーを回してみるが……回らない? なぜ?
不思議に思いよく見てみると硬貨を入れる部分が……何故か聖晶石が描かれた液晶ボタンに置き換わっていた。11連ってそういうこと? 何がピックアップされているかわからない闇鍋ガチャを引けと? 引くけど。
少し悩んで、画面を押す。
【ご利用ありがとうございます。ガチャの内容説明をお聞きになりますか?】
【はいorいいえ】
ボタンを押すと、そんな音声が流れる。次に聖晶石の絵が消えてはいといいえの二つの表示が現れる。今説明するんかい。せめて押す前に言えと思う。
正直内容については不安しかないし、はいを押す。
【説明を開始します】
【本ガチャは現実に存在したFate/Grand Order内に実装されていた英霊のデータを参照しております】
【ランクは星1を
【これらのガチャの排出率は凡そ現実のものとは異なっており、独自の排出基準に加え持ち主の愛によってガチャの比率が変化します】
愛とな。確かに私は重課金者だったのは自覚してるけど、正直本能の赴くままに引いてたからどの子のピックアップ率が高くなっているのかはわからない。
【なお、変化した比率は非公開とさせていただき、他の利用者様が引いた英霊も除外させていただきます】
ちょっと待って!? ガチャの比率が非公開なのも納得いかないけど、他の利用者様って何? え、私以外にもここに連れてこられた人いるの??
【現在排出された英霊はこちらとなっています】
【UR:アルトリア・ペンドラゴン 沖田総士 モードレッド エリザベート・バートリー ギルガメッシュ 織田信長 アルジュナ カルナ 坂本龍馬 アルトリア・ペンドラゴン(槍) メデューサ 刑部姫 李書文 源頼光 葛飾北斎 アビゲイル・ウィリアムズ】
【SSR:ディルムッド・オディナ ランスロット ジェームズ・モリアーティ 巴御前 スカサハ エルキドゥ マリー・アントワネット マルタ アキレウス マーリン シャルロット・コルデー モルガン】
【SR:ジークフリート ガウェイン バーゲスト トリスタン アシュヴァッターマン 長尾景虎 宇津見エリセ 武則天 望月千代女 茶々 】
【R:ベディヴィエール ビリー・ザ・キッド パラケルスス ジェロニモ 風魔小太郎 百貌のハサン 岡田以蔵】
【UC:呪腕のハサン】
【C:アーラシュ 織田信勝 佐々木小次郎 マタ・ハリ】
いや結構出てるなおい。私が最初かと思えば結構後の方だったよ。
ていうか下に行くほど排出率低いような気がするけど、ランクバグってない? 特にURが一番出てるし。ランクとは?
……それに、音声をざっと聞いただけだけど、確かに元のゲームとは違うランク付になっているようだ。
URのところにエリザとライダーさんいたし、どうなってるの?
【では11連ガチャを開始します。この中から好きな英霊を一つお選びください】
そんなことを考えていると、ガチャのレバーが1人でに動き出し、英霊カードを排出し始める。
【C:イアソン】
【UC:エイリーク・ブラッドアクス】
【UC:カリギュラ】
【C:イアソン】
【C:バーソロミュー・ロバーツ】
【R:森長可】
【UC:陳宮】
【R:ヘクトール】
【B:殺生院キアラ】
【R:赤兎馬】
【R:アントニオ・サリエリ】
ふぅ、なんとか爆死は避けられたみたい。低レアばかり続いて心臓に悪かったけど、キアラがいればなんとか爆死ではない……え、私の最愛のサーヴァントってキアラ、なんか嫌だ。
……と思ったけど、このBは何? ランクにはなかったはずだけど。
そう思いよく見てみると、このキアラ、いつものキアラと少し違う。具体的に言えば着てる衣装が黄色い。
てかこれ人類悪の方のキアラじゃん。よく見ればカードの裏側にビーストの絵柄が描かれてるし、間違いない。
【これはこれは喜ばしい。あなたはどうやら隠しカードを入手されたようですね】
カードから急にキアラの声で音声が流れる。
驚愕と恐怖(主にキアラへの)でカードを手放してしまうが、カードはそのまま宙に浮かび、私に話しかけてくる。
【ランクBとはビーストを意味する隠しランク。こちらの排出率はURよりも低く、また数も非常に少ない貴重なカード。故に手に入れた方は特別に別に通常一体限りのところ、好きな英霊を二体選ぶ権利が与えられるでしょう。ただし、すでに排出され、他の方に選ばれた英霊は選択不可になりますので、ゆめゆめご注意くださいな】
本物のようなねっとりとした口調、本来なら喜ばしいはずなのに何か裏があるのではないかと勘繰ってしまう。
【では、このカードに触れて、好きな英霊の名を唱えると良いでしょう。そうすることで私はその英霊へと変貌しますわ】
ズイズイっと私へと接近するカードキアラ。
その何も反論できそうにない圧力、プリズマ時空のイリヤさんもこんな感じだったのかな、と思いつつそのカードを取る。
…………まず、一体目はジャンヌで決まり。生前……死んだ自覚はないけど生前愛用してたサーヴァントの一人だし、性能的にもレア度的に考えても選ばない理由がない。
となると二体目、ジャンヌと相性が良いサーヴァントを選びたい。できれば攻撃系宝具持ち。防御二つ重ねたところで意味ないしね。
かと言っても雷帝とか項羽様はなんか嫌。流石に人外系にはなりたくない。
フォーリナーも惹かれる部分はあるけど、SAN値が削れそうなのでパス。
となればやっぱりあの子しかいないよね。本人が聞いたら嫌がりそうだけど、相性は抜群なはず。
「ジャンヌ・ダルク、ジャンヌ・ダルク・オルタ」
カードにそう呟く。
【“UR:ジャンヌ・ダルク、ジャンヌ・ダルク・オルタ”でよろしいですね】
カードに『はいorいいえ』と表示される。
直ぐに『はい』を押す。
【では、良き来世を】
カードキアラはそう言い残すと突如光り輝いて二つのクラスカードへと変化した。
“ルーラー:ジャンヌ・ダルク”と“アヴェンジャー:ジャンヌ・ダルク・オルタ”が描かれた二枚のカード。よくFGOでも見ていたあれで、裏にはクラスごとの絵柄が描かれていて、表の方は最終再臨状態の彼女たちが描かれている。
これがクラスカードか~、とまじまじ見ていたら急にカードが浮かび上がると……私の胸に突き刺さってきた。
「つぅっ……? 痛くない」
痛みは無い。今も深々と突き刺さっているのに一切痛みを感じない。
けれど代わりに耐え難いほどの眠気が襲い掛かってきた。
直ぐに立っていられなくなり、私の意識はそのまま暗転した。