イベント周回する時間がなくなっちゃーう。
果たして、無事姉妹を幸せにすることができるのか……。
時間を見つけて少しずつでも書き進めていきたいと思うので、文章量も少ない上に拙い文章ではありますが、読んでいただけると嬉しいです。
Side: Night
父が私と母を連れトレセン学園の廊下を進んで行く。
私は初めて訪れたこの場所で好奇心の赴くままに色々な場所を見て回りたい欲に駆られるが、そんなことをしては母に迷惑をかけてしまう上に、父からどのような罰を受けるか想像もしたくない。好奇心を抑えて通る道の景色を見るだけに納めることにする。
前を歩く父の様子を伺うと、父は私のことを一瞥することもなく、自分のペースで歩き続けていた。早く歩くことが得意ではない私にとってはかなりキツいペースなのだが、父はお構いなしで進む。母は何度か心配そうに私の方に振り返るので、私は「大丈夫」と伝えるように首を横に振る。
逸れてしまえば、どこを目指して進んでいるのかも何をしにここへ来たのかも知らない私には追いつくことは不可能だろう、遅れてしまわないように必死についていく。
広い学園をしばらく歩いていると、ようやく一つの扉の前で父は立ち止まった。目的地は理事長室だったようだ。軽くノックをすると、中から入室の許可が出る。父は私にも入るように指示してから、中に入っていった。
「歓迎ッ!貴殿がトレセン学園へ来るとは珍しい、今日はどんなご用事で?」
部屋にあるソファへと私たちが腰掛けたのを確認して、『理事長』と書かれた三角塔が置いてある机にいた自分よりも幼く見える少女も私たちの向かいのソファへと移動し、秘書らしき女性がそれぞれの前にお茶を起き終わったところで父へと問いかけた。
彼女が学園の理事長なのだろうか、外をあまり知らない私にとっても彼女が学園の理事長としてはかなり幼いことは分かる。
「いや何、実を言うとこの娘を貴校に預かって欲しくてね。」
珍しく私を連れて外出して何の用かと思えば、どうやら私を家から追い出すための交渉だったようだ。
父は異様に私のことを嫌っている。母曰く、それは私の毛色が原因なようで、生まれたばかりの私を見て舌打ちをしてから「気味が悪い」と言い放って去って行くほどだったらしい。
父に嫌われていることは身に染みて知っていたが、ついに家を追い出される時が来たようだ。しかし、考えてみれば一生家の外へ出れなくなったり、ある日突然に着の身着のままで外に放り出される可能性もあった中で、次の引き取り手があるのはかなりマシな状況になるのではないだろうか、と思う。
「まだ学生と呼べるような年齢ではないか、学校には行かなくてよろしいのか?」
少女から当然の質問がされる。事実、私はまだ中学校を卒業したばかりで私自身、高校への進学、できれば大学までとも考えていた。
そのような考えは一年前、私が中学三年生になる直前に父から告げられた一言によって全て崩壊したのだが。
「はは、こいつは頭も悪く、愚図でな。普通の高校でもやっていけんだろう。」
「ほぅ……。」
それを聞いた少女は扇子を開き、口元を隠す。目はそれまでより細められ、少しの侮蔑を孕んでいるようだった。
それに気づかずに父は喋り続ける。
「そこでだ。貴校はトレーナー不足もあってトレーナー寮に空きがあるだろう?そこに入れてしまおうという訳だよ。その後は、そちらにお任せする。こいつには雑用なり何なりと寮に住ませる分の仕事は押し付けて構わん。」
父が言い終わったのを確認して、母は「どうぞ…。」と申し訳なさそうに紙袋を差し出した。賄賂というやつだろうか、何が入っているかは分からないが、自分に関わることでこういった物が出てくると思っていた以上に良い気分ではない。
母にも同じような視線を向けつつそれを受け取った少女は中身を確認し、紙袋から一枚の紙を取り出す。
何が書いてあったのだろうか、一瞬険しい表情になったが読み終わる頃には納得したような表情となり、それを後ろに控えていた秘書に渡す。
彼女も先程までの話を聞いて父と母に少女と同じような視線を向けていたのだが、渡された紙の内容を見ると、少女以上に険しい表情を作る。読み終わり、伺うような少女の視線に目を合わせると、了承の意がこもった力強い頷きを返した。
「承知ッ!彼女は我がトレセン学園で預かろう!」
紙にどのようなことが書いてあったかは知らないが、少女の意に沿うような条件でも提示されていたのだろうか、交渉は成立したようだ。
「差し当たっての提案だが、まずは彼女は我が校の臨時職員という名目で雇おう。その方が貴殿にとっても彼女にとっても面倒が少なかろう?」
父は少し考える素振りを見せたが、特に問題になることも思いつかなかったようで、簡単に了解した。
「僥倖ッ!それでは期間についてだが、トレセン学園は他と比べるといささか特殊な環境になる、早く慣れるためにも明日には入寮するのはどうだろう。」
「ふむ、こちらとしても早いに越したことはない。荷物も然程多くないのでな、すぐに支度もできる。明日の昼にはまたここに来よう。」
「うむ!了解した。契約書なども用意しておこう!」
その言葉を聞いて、もう用事は済んだと言うように父は退出していく。
私もそれに続いて退出しようとしたところ、母が二人に深く頭を下げており、それを見た二人は決意を固めたように頷いて返す。少女から母への視線には、父への視線に感じられたような侮蔑はもう感じなかった。
少女とのやりとりは全て父がしており、母とは全く会話もしていなかったはずなのに、ほんの少しの時間で視線に込められた感情が変化したことに違和感を覚えたが、それほど気にすることでもないと思い、そのまま部屋から出ると、母も後を追って退出する。
帰路の車の中では、ようやく厄介払いができると上機嫌な父の声が響いていた。
まだ夕方とも言えない時間であるのに、既にワインを一瓶開ける勢いで飲んでいる。
おそらく、祖父にとっても今日の交渉成立は喜ばしい報告になる、家に帰ってからは二人での酒盛りになるだろう。
母も同じように想像したのか、今なお社内に響く父の笑い声を不快に思ってか頭を抑えている。
家へ着き車を降りる直前に、父から早く部屋に戻り荷物を纏めるように言われる。家の中に入り、部屋へ向かうために離れる前に一応別れの挨拶を告げるが、車を降りてからはもういつものようにいないもののように扱われ、完全に無視されてしまった。
部屋に戻り、明日の出立の準備を始めるが、そもそも持ち出せるような私物などほとんど与えられていない私には適当なバッグへ私服やいくつかの小物を詰めるだけで荷造りは終わってしまう。
私の部屋には暇を潰せるような物もない。普段ならば、書庫に行って本でも読みたいところなのだが、まだ本格的に酒盛りが始まっていない今では父か祖父に見つかって面倒なことになってしまうリスクと天秤に掛けるとあまり気が進まない。完全に暇を持て余すことになった私は床の木目を数える作業を始めることにした。前回の印を探さなくては。
そうして、1時間くらい経っただろうか、残っていた部分も数え終わり、次は天井のシミでも数えようか、などと考えていた私の部屋にドアをノックする音が響く。
彼女の部屋にやって来た人物とは……?
創作物の投稿自体が初めての経験なので、自分にとって感想というものがどれほど励みになるのかも未知数ですが、頂けるとありがたいです。
次回投稿は未定ですが、出来れば今週中には投稿したいです。