なぜお前はいつもそうなのだバーヴァンシー   作:信号機の赤い方

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なぜお前はいつもそうなのだバーヴァンシーな中学での日常

「あ、ヤッベ。リップクリーム塗り忘れた……唇パサパサ」

 

 俺の名前はバーヴァンシー中学三年生、()がない(誤字にあらず)無個性系JCだ☆ 最近最後の乳歯が抜けてハッピー♪ 

 現在はクソつまんない授業をBGMにリストカット計画を練っているところだぞ。

 

「リップクリーム、リップクリーム……げ、エナメル入りしかない」

 

 てか、何故にリストカットに計画が必要になって来るかは昨日の夜の事を話さなければならない。あの騒ぎがあった日の夜。俺はリストカットしようとカッター片手に自分の部屋に引きこもっていたのさ。母も寝静まり、いざ実行に移そうとしたその時、邪魔が入ってしまった。

 

「喜べ悲運の少女バーヴァンシー、この私が君が怪我をしたと聞いて駆け付けてやったぞ」

 

「うっさいぞ糞神父ッ! 今何時だと思ってんだッ! あと人様家の窓から勝手に入って来んな!」

 

 

 麻婆神父様、見舞いに来るのはいいけど時間を考えてくれませんかね? 

 この人様の事情など全く参考にせず、俺からの注意も「ハッハハハハ! 私が来たのだから君は喜ぶべきだ、そう私は考える」なんてほざく彼の名はマジカル☆マーボー神父、本名は知らない。

 小学生の頃、どうやったら母の求めるワルになるかを神頼みに聞きに行った時に出会ってから何げに付き合いの長い不審者系神父様だ。

 彼の性格はなんと言うか一言で言えば糞。クソではなく糞である。三度の飯より人の不幸を好んでおり、大体頭の中は人の不幸で愉悦に浸りたいと考えてるであろう神父とは思えない糞野郎だ。実際過去ヴィランに走りそうだった所を俺が止めなければ凶悪な糞になってた予想は余裕で出来る辺り、ホント糞である。そんな糞に糞を混ぜ合わせ糞を足した糞神父であるが、俺の大事な友人の1人であることに変わりはない為に憎めない奴なのである。

 

「それでは不幸系少女バーヴァンシーよ、私が手解きした技は役だったかな?」

 

 そんでもって俺の目指すワルの一つである、無駄に戦えるワル。その師匠の1人だったりする。その名もマジカル☆八極拳。ぶっちょけ威力が異常に高く、訓練してないと1発で骨がズタズタに砕ける以外は普通の武術だ。

 

「ッハ! あったりまえでしょう。この私がアンタから習った武術、扱えないわけないじゃない!」

 

 嘘でーす。

 今回相手にしたヴィランは流体状のヘドロでした〜。打撃はあまり効果が見込めませんでした〜。つい見栄張って答えちゃったけど全然歯が立ちませんでした〜。んで、怪我の原因も力加減をミスって左足に加えて右腕を骨折していまーす。いやー、個性がある世界様々だね。普通の医療なら完治出来ないって、俺の主治医に銃口向けられながら言われたんだからさ。てか、何でうちの主治医は年中クリスマス仕様なんだろ? 

 

「ほう、それは素晴らしい。聞くところによると今回のヴィランはヘドロ状に体を変化させた異形型だったらしいではないか」

 

「そ、そうよ。だからどうしたと言うのかしら?」

 

「もし、私が相手したとすると相当な苦戦を強いられたであろうヴィラン……君はどのように勝利したのだ? 出来れば教授してほしいモノだ────」

 

「────ッ!」

 

 あ、これはバレテーら。

 死人のような黒い瞳でこちらを見つめる糞麻婆神父。こ、このままだとまたもや地獄の訓練に放り込まれる事となる。前の私なら喜んで参加していたが今は不味い。最近は母が何を考えたか休みの度に私を連れて出かける回数が多くなって来ている。せっかくの母からの誘い、断る訳には行かない。だからこそ今回の訓練はできれば避けたい事なんのだが……これは最終手段を取るしか……ないか。

 俺は勉強机の引き出しを開け、宝箱型の収納ボックスからあるモノを取り出す。それを目撃した途端、麻婆神父の光のない瞳が突如輝きだす。

 

「────こ、コレで手を打ってくれ、ないかしら」

 

「ほう、コレは────」

 

 私の手にあるモノ、それは単なる中華料理を出す飲食店の割引券。本来ならこんなモノで取引など行えるはずないのだが、この糞神父相手だと話は違ってくる。実はこの神父、麻婆豆腐で買収可能なのだ。なんなら今俺がやっているように割引券でも良かったりする。

 

「────いいだろう。喜べ、麻婆の申し子バーヴァンシー。今宵、君の願いは叶った」

 

 そう言い残し早速さと窓から出て行く神父……まさかアイツ、俺があの割引券を持ってる事を知っていたから来たんじゃないよな? ってか、麻婆の申し子ってなんだよ。そんな疑問を残して俺はベッドに潜り込んみ、お気に入りのケルヌンノス人形を抱きしめて寝るのであった。そう、寝てしまったのだ! 

 そう、リストカットする予定が実行出来なかったらのである。っく、これでは予定が狂ってしまう。今日の放課後やろうにも委員会の仕事やら、地域清掃やらの予定が詰まっていて出来ねぇ! 

 

「さて、どうしようかしら……って何度探してもコレしかない────我慢するしかない、か」

 

 流行りに乗って買ったはいいのだけどこれってキラキラ光って嫌なのよね……。授業の声をBGMに今夜、実行しようと決めるのだった……あ、シャー芯も切れた。放課後買い足しておこう。

 そして夜。母の楽しいお話に加え、為にならないちょっと抜けててギャップ萌えで俺が死にかけるお説教を聞いた後。俺は部屋に篭り今度こそリストカットを行おうとする────のだが! 

 

「不幸の子バーヴァンシーッ。私は教えたはずだ、殴っていいのはヴィランと異教徒だけだとぉッ!」

 

「異教徒って言ってもテメェが言うのはたけのこ派かきのこ派の違いだろうがッ!」

 

 今度は拳が無駄に効いたボイスで喋る、たけのこ派神父に邪魔されたぜちくしょう! あ、ちなみに私はきのこでもたけのこのどちらでも無くすぎのこ派です。異教徒は殲滅じゃあぁ! 




・マジカル☆マーボー神父
実名不明のとにかく三度の飯より人の不幸が大好きな名実共に糞野郎。
一応神父なのでかなり優秀な人ではあるが、性格が致命的に悪い為に彼の知り合いからは名ばかりの神父だと思われている。
噂によると娘がいるらしいが真意は定かではない。
彼の最近のマイブームは全国麻婆巡り……らしい。
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