IS~錬金術師は鈴と共に~   作:アイリエッタ・ゼロス

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激怒

 次の日

 

「リアム・ヴァイスハウプトだな」

「ブリュンヒルデ....俺に何か用ですか?」

 昼休み、廊下を歩いていると突然現れたブリュンヒルデに話しかけられた。

 

「あぁ。いつまで偽名を名乗っているつもりだ、秋斗」

「秋斗? それは俺の事ですか?」

「あぁ。私や一夏がどれだけ心配したと思っている。今まで一体どこで何をしていた」

「さっきから黙って聞いてれば、俺はアンタの家族みたいな言い方だな。俺はアンタの

 家族になった覚えはないんだが」

「貴様っ....! 私や一夏の事を忘れたと言うのか!」

 すると、ブリュンヒルデは怒りの形相に変わった。

 

「知るかよ。俺の家族はアダム様と幹部の皆様だ。人の家族を勝手に変えないで

 もらおうか?」

「(何だろうな、このイラつきは....)」

 俺はこの女と話している時に謎のイラつきを感じていた。

 

「やはり、お前はどこまでいっても出来損ないだな。だったら、力尽くでも

 思い出させてやる!」

 そう叫びながら、ブリュンヒルデは俺に殴りかかってきた。俺は面倒に思いながらも

 ブリュンヒルデの拳を受け止めようとしたが、それよりも早く誰かがブリュンヒルデの拳を

 止めた。

 

「アタシの生徒に何やってんだ?」

 拳を止めたのは月崎先生だった。

 

「月崎先生....」

「面倒ごとに巻き込まれているなヴァイスハウプト」

「っ! チッ!」

 月崎先生はブリュンヒルデの拳に力を込めていたのかブリュンヒルデは掴まれていた手を

 振りほどいた。

 

「織斑先生、アンタの弟は織斑 一夏だけだろ? 何狂った事を言っているんだ」

「違う! そいつは私の弟の秋斗だ! リアム・ヴァイスハウプトという名前ではない!」

「....て言ってるが、どうなんだ?」

「違いますよ。俺はブリュンヒルデの家族じゃないです」

「そうか。じゃもう行け。ここはアタシがどうにかしてやる」

「助かりますよ先生」

 そう言って、俺はこの場から逃げ教室に戻った。

 

 ~~~~

 

「(さて、部屋に戻って仕事をするか)」

 今日の授業が終わり、俺は荷物を片づけながらそう考えていた。すると、突然教室の扉が

 勢いよく開かれ大きな音が鳴った。教室にいた生徒達は驚いており、俺も音が気になって

 教室の扉の方を見た。そこにいたのは、俺がこの学園に通う事になった元凶のブリュンヒルデの

 弟と木刀を持った黒髪のポニテ女がいた。その二人は俺を見つけた瞬間こっちに近づいてきた。

 

「秋斗! お前どういうつもりだ! 何故千冬さんを困らせる!」

「そうだぞ秋斗! 千冬姉に迷惑かけてんじゃねぇよ!」

「急に来てうるさい連中だな....ブリュンヒルデに迷惑かけられたのはこっちだ。てか

 そっちのお前は誰だ。知らない奴にキレられる覚えはないんだが?」

「なっ! お前箒の事を忘れたって言うのか! 俺達の幼馴染だろ!」

「俺に幼馴染はいねぇよ。変な言いがかりをつけてくるな。めんどくさい」

「貴様っ!」

 すると、ポニテ女は俺に向かって木刀を振り下ろしてきた。その瞬間、教室にいた何人かの

 女子の悲鳴が聞こえた。

 

「(よく生身の人間に木刀を振り下ろすな....)」

 そう呑気に考えながら俺は木刀を片手で止めた。

 

「何っ!?」

「はぁ....今日はとんだ厄日だな....」

 そう呟き、俺は木刀を握ったポニテ女ごと壁に投げ飛ばした。

 

「がっ!?」

「箒! 秋斗テメェ!」

 ブリュンヒルデの弟はポニテ女が投げ飛ばした事に怒ったのか俺に殴りかかって来た。

 だが、俺はそれを避けて足を引っかけて転ばした。

 

「そんな遅いパンチ当たらねぇよ....」

「お前....! 俺をバカにしてるのか!」

「お前がそう思ってるならそうなんじゃないか? 俺はどうでも良いが....」

「何だと....!」

 そう叫んで再び俺に殴りかかろうとした時....

 

「そこまでだ!」

 いつの間にか教室の中にブリュンヒルデがいた。

 

「千冬姉!」

「織斑、今はそこまでにしておけ。決着なら来週に行うクラス代表決定戦で決めろ。

 秋....ヴァイスハウプト、お前もこれに参加しろ」

「断る。面倒だし、そもそもやる必要性が俺にはない」

「はっ! 結局逃げるのか! お前はいつもそうだ! お前を拾った人間もどうせお前みたいな

 腰抜けなんだろ!」

 その言葉を聞いた瞬間、俺の中にあった何かが切れた。

 

「テメェ、今なんて言った?」

「聞こえなかったか! お前を拾った人間もどうせお前みたいな腰抜けなんだろって

 言ったんだ!」

「....何も知らない貴様が、アダム様を侮辱するな!」

 俺はそう叫び、ブリュンヒルデの弟の首を掴み、もう片方の手に術式を展開させて炎の

 錬金術を発動させた。

 

「今ここで、燃え尽きて死ね....」

 そう言って俺は炎をぶつけようとしたのだが、突如炎の錬金術が消えた。

 

「そこまでだよ、リアム」

 そして、俺の背後からそんな声が聞こえた。俺が後ろを見ると、そこには何故かアダム様が

 いた。

 

「っ! アダム様....」

「殺すのは良くないよ、今は。離してあげると良い」

「ですがコイツは....」

「リアム」

「っ! ....わかりました」

 俺はリアム様の真剣な目を見てブリュンヒルデの弟の首を離して少し投げ飛ばした。

 

「美徳だよ、聞き分けが良いのは」

 そう言って、アダム様は俺の頭を撫でてきた。

 

「さて....酷い言われようだね、随分と。思うところがあるね、流石に今回は」

 アダム様はブリュンヒルデの弟を見ながらそう言った。

 

「言ったね君は、リアムは腰抜けと」

「あぁそうだ!」

「そうか....なら相手をしてあげるといい、リアム。見せてあげるといい、君の実力を」

「ですが、こんなのは時間の無駄じゃ....」

「良いさ、少しぐらい。それに、思うところがあるだろう、リアムも」

「....」

 アダム様の言葉に、俺は何も言えなくなった。

 

「どうするんだい、リアム?」

「....わかりました。その勝負、参加してやる。テメェが負けたらアダム様に謝罪しろ」

「良いぜ! お前が負けたら俺達の下に帰って来いよ!」

「決まりだね。リアム。届けさせるよ、試合前に機体は。楽しみにしておくといい」

「わかりました」

「じゃあ帰るよ、僕は。邪魔をしたね、リアムのクラスメイト諸君。よろしく頼むよ、色々な

 意味でね」

 そう言うと、アダム様は転移結晶を使ってこの場から消えた。

 

「....精々勝負の日まで吠えてる事だなブリュンヒルデの弟」

「言ってろ! 勝つのは俺だ!」

 そう吠えて、ブリュンヒルデの弟三人は教室から出ていった。

 

「....はぁ。皆悪かったな。面倒な事に巻き込んで」

 俺は教室にいたクラスメイト達にそう言って頭を下げた。

 

「ヴァ、ヴァイスハウプト君は悪くないよ!」

「そ、そうだよ! 今のはどう考えても織斑君たちの方が悪いよ!」

「そうそう!」

「....そうか。とにかくすまなかった」

 俺はそう言って頭を下げて教室から出て自室に戻った。

 

「....あの男だけは、絶望に叩き落とす」

 そう呟き、俺はある人に電話をかけた。

 

 

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