鉄血のオルフェンズ 捧ぐは愛と忠義と憐憫と   作:フラペチーノ

15 / 48
ガンダムUCEで「なんだ、男か」さんをガチャチケで手に入れたので初投稿です。

いや、Zが欲しいのよ。MSが欲しいのよ……。


14 火星軌道上での鎮圧

 結局コーラルの打診からカインとガエリオは作戦開始時にMSデッキで待機となった。マクギリスは一応艦長という扱いなので状況次第で出撃となる。鉄華団の出方次第なところもあるが、基本はこの二人に任されている。

 

 いくら鉄華団が火星支部の襲撃を撃退したからといって、元が地方の民間警備会社であればそこまでの数のMSを所持していないはずだ。下手したらシュヴァルべ二機だけでも過剰戦力になりかねないので、マクギリスは上司として待機をしている。

 

 既に火星支部のMS隊はクーデリアを乗せたシャトルが火星から飛び立ったと連絡を受けて航路宙域で待ち伏せをしていた。

 

 カインはシュヴァルべのカメラを艦と接続して宇宙の様子を見ていた。

 

 シャトルが上がっているが、それを取り囲むように近付く火星支部のグレイズ達。そしてオルクス商会なる火星の会社が型落ちの戦艦に乗ってシャトルへ通信を送っていた。どうやら鉄華団を裏切ってギャラルホルンに組みしたことを伝えていた。

 

 コーラル自身も自分の手で功績を立てることで汚点の穴埋めとしたいのか、基地司令ながらもグレイズで出撃していた。彼程度には普通のグレイズしか配備されない。

 

「カイン、出るぞ。オルクス商会も出てきたならアレも確保する」

 

「わかりました。ブリッジ、出ます」

 

「ガエリオ、カイン。あのシャトルからエイハブ・リアクターの反応がある。今こちらで照合中だがすぐに結果が出ないことからアンノウンの可能性ありだ。気を付けてくれ」

 

「アンノウン? そんな骨董品を引っ張り出してきた可能性があるってか? 」

 

「厄災戦による廃棄MSは宇宙のどこにでも浮遊していますから。零細組織であれば貴重なMSとして使用するでしょう」

 

 ブリッジにいるマクギリスから警告を聞かされて、ガエリオは自分達の知らないMSとなれば厄災戦で少数生産されて実戦に耐えられなかった機体だと考える。あの時代は生き残るために様々なMSが作られ、名も影も残さず消えていった機体もある。

 

 ギャラルホルン以外にMSのエイハブ・リアクターを新造できないので、リアクターの判別に時間がかかるということはそういうことだと推察できる。

 

「さてさて。どこまで奴らは抵抗するんだか。ガエリオ・ボードウィン。シュヴァルべ・グレイズ出るぞ! 」

 

「カイン・ベリアル。同じく出ます! 」

 

 二機のシュヴァルべ・グレイズが発艦する。宇宙に飛び出てまず見た光景が、コーラルのグレイズがシャトルから出てきたMSの大口径滑空砲にコックピットへの超至近距離狙撃を喰らって風穴が空いていたというもの。

 

 誰がどう見ても撃墜判定、戦死扱いにするやられ方だった。

 

 シャトルから出てきた、見たことのない白い細身のMSはそのまま滑空砲を手に火星支部のグレイズを相手取っていた。

 

「コーラルはなんというか……功を焦りすぎたな。カイン、あのMSに見覚えは? 」

 

「特徴的な二本角にツインアイ。我々の知らないMSとなると、ガンダム・フレームかもしれません」

 

「ガンダム・フレームぅ? 火星で現存してたってのか? 稼働できる状態で? 」

 

「そうだと仮定すれば母艦で判別できない理由に納得できるだけです」

 

 カインも話に聞いたことはあっても、実際にガンダム・フレームを見るのは初めてだった。だから推測になってしまうが、勘がそうだと訴えてくる。

 

 妙な胸騒ぎもあった。カインは見たことがないはずなのに、どこか心惹かれる。郷愁の念に駆られたかのようなよくわからない感覚が押し寄せる。

 

 カインに故郷なんてないはずなのに。

 

(なんだ? 一体何があるというんだ……。ガンダム・フレーム。厄災戦の英雄、戦争を終わらせた七二機の伝説的MS。それが現れたからって、オレに何の関係がある……? )

 

 そんな疑問を浮かべながらも、やるべきことのために行動を開始する。目標は二つだ。

 

 こちらも二機。だから上官に伺いを立てる。

 

 答えは性格的に予想できていたが。

 

「ガエリオ特務三佐。鉄華団とオルクス商会。どちらを? 」

 

「もちろんあのガンダム・フレームの方だ。武力行使されてしまったら手を出す口実ができただろう? その部分だけはコーラルに感謝だな」

 

「先に手を出したのは火星支部です。彼らはあくまで自己防衛の範疇でしょう。……とはいえ、目の前の戦闘行為を見逃す理由にはなりませんか」

 

「そういうことだ。いつぞやの宇宙演習の逆と行くぞ」

 

 ガエリオはグレイズと合流して白いガンダム・フレームを追う。カインはオルクス商会の戦艦へ向かおうとしたら新たに赤い戦艦が宙域に侵入してきた。しかもその戦艦がクーデリアの乗ったシャトルを収容しているではないか。

 

 それは鉄華団が所有する、地球へ向かうための艦だった。それを追うように後ろへ着くオルクス商会の艦。オルクスは取引相手であるコーラルがいなくなってしまってもまだクーデリアを追うようだ。

 

 監査局に引き渡せば同じような取引ができると思っているのかもしれない。

 

 そんな思考をしている頃、鉄華団の艦であるイサリビからギャラルホルンのMSであるはずのグレイズが出てきたことにカインは眉を顰める。見た目はどこを見てもグレイズ。

 

 まだグレイズは経済圏などの防衛部隊にも卸していない最新の量産機だ。それを火星の一組織が所有している。

 

 エイハブ・リアクターの周波数も調べるが、間違いなくグレイズだった。グレイズなんて元民間警備会社がどうやって手に入れたのかと考えてしまう。

 

(ああ、火星支部にはグレイズが配備されているんだ。それで二機を失っている。鹵獲されたのか。いや? ギャラルホルンに嫌気が差して機体ごと脱走したという可能性もあるか。世界秩序を守るために入隊したら汚職の塊を目にしたのだろうから)

 

 グレイズに乗っている人物が誰であろうと、機体をどのように鉄華団が手にしようと、そういうこともあるだろうと納得してしまうカイン。

 

 そのグレイズはガンダム・フレームの援護に行くようだったので、結局戦艦同士の戦いになっていた。邪魔が入らないならそれでいいと、カインは行動を開始しようとフットペダルを踏む。

 

 追いかけっこをしようとしている二つの戦艦をカインも追いかけようと進んでいる頃、母艦から通信が入る。マクギリスからだった。

 

「ガンダム・フレームは想定外だった。私も出る」

 

「ガエリオ特務三佐の援護、ですか? 」

 

「ああ。ガエリオも阿頼耶識の動きに翻弄されているようだからな。そっちは任せる」

 

「了解しました」

 

 母艦から青いシュヴァルべも出撃したことを見て、カインはオルクス商会の艦の後ろに着く。すると相手から通信が届いた。

 

「ギャラルホルンの方、最新鋭機による援護とはありがたい。我々はMSなど所有していないのでどうにも目の前の相手には逃げられそうで。エース様が援軍に加わっていただけるとは百人力ですな」

 

 オルクス商会の代表であろう人物がブリッジの艦長席に座っておべっかを使ってくる。

 

 カインはその言葉を無視してバズーカを構え、照準を合わせた。

 

 トリガーを引き、バズーカ弾が発射される。それが突き刺さったのは、オルクスの艦。

 

 そんなカインの行動に二つの艦には困惑が広がる。

 

「ば、バカな! なぜこちらを撃ってきた⁉︎ アレは間違いなくギャラルホルンのMSだろう? 」

 

「はい! 識別信号は確実にギャラルホルンのものです! 」

 

「なら何故⁉︎ 」

 

 オルクス商会が揺れる艦内でそう叫ぶ中、鉄華団もブリッジでは撃たれていないのに初めての戦艦戦でいきなりのイレギュラーの発生で参謀のビスケットが慌てた声を上げてしまう。

 

 敵のはずのオルクス商会とギャラルホルンが争っていれば戦場が初めてのビスケットからすれば仕方のない困惑だ。

 

「オルガ、状況が全く読めなくなった! どうする⁉︎ 」

 

「いいや、この状況は利用できる! ユージーンの射出用意! 作戦はそのままだ! 」

 

 鉄華団の団長、オルガ・イツカの一喝でイサリビに乗っている鉄華団の困惑はとりあえず放置された。そのまま目の前の資源衛星にワイヤーアンカーを打ち込む作戦を実行する気だった。

 

「ギャラルホルンの! 何故我々を攻撃する⁉︎ 」

 

「あなた方は火星支部のコーラルとの癒着が露見している。コーラルが戦死した以上、重要参考人としてオルクス商会を監査することが我々監査局の仕事だ」

 

「こ、コーラルめえええええ⁉︎ あの疫病神がぁ! 」

 

 カインは臆面もなく真実を告げる。そうして足止めをしている内にイサリビからワイヤーアンカーとMWが一機、大きな資源衛星に向かって射出された。

 

 アンカーによってイサリビは強引な方向転換を成し遂げて、オルクス商会の艦の正面を取る。アンカーとMWを回収するのと同時にイサリビは一斉射を敢行。カインは当たらないように上昇してイサリビからの砲撃を避ける。

 

 イサリビも逃げることが優先だったようでまともに射撃戦を行うつもりはなかったようだ。少しだけ当てて全速力で距離を離していた。そのまま所属するMSがいる宙域へ回収のために突っ込んでいった。

 

 それを見送ったカインはオルクスの艦の後ろについて、スラスターに向かってマシンガンを放つ。スラスターは繊細な機器なのでマシンガン程度の攻撃で機能不全に陥る。小さな爆発を数回起こした艦は動きが止まる。

 

 沈黙したオルクスへ、カインは通信を試みる。

 

「抵抗はしないように。貴様らの余罪は明らかだ。命あっての物種とはよく言うだろう? 」

 

 それだけ言って視線をイサリビの方へ向けると、しっかりと二機のMSを回収してこの戦域から脱出していた。地球へそのまま向かうわけではなく、ひとまずこの場所を去ることを選択したようだ。

 

 案内人もなしに地球へ向かうのは自殺行為だ。それはギャラルホルンに所属し、アリアンロッドに詳しいカインだからこそ断言できた。

 

 母艦にオルクス達のことは任せてガエリオとマクギリスのところへ向かう。ガエリオは若干機体が損傷しているようだが、傷は浅いようだ。

 

「カイン、逃げられたのか? 」

 

「オルクスを優先したと言ってください。コーラルが死んだ以上、生き証人が必要です。彼らはこのままなら宇宙で彷徨って死ぬ。案内人を見付けられたとしても、地球で網を張っていれば捕まえられます」

 

「それはそうか。……マクギリス、カイン。あのガンダム・フレームのパイロット、火星の畑で会った生意気なガキだったぞ」

 

「ああ、彼ですか。阿頼耶識の手術を三回もしているのなら、一番の適任でしょうね。アレは手術を重ねるごとに致死率が上がる危険な物ですから。彼以外に三回も手術をしてる人間はいないのでは? 」

 

 粗悪品の阿頼耶識は複数回手術をすると死亡率が跳ね上がる。ギャラルホルンは粗悪品を扱っていないので詳しいデータはなかったが、三回成功している三日月という少年兵は奇跡の上に立っていると言って良かった。

 

 本題はそこではなく、これからについてのこと。

 

「コーラルが死んだせいで、私達はやることが山積みだ。当分地球には帰れないな」

 

「うげぇ。さっきはコーラルに感謝したが、前言撤回だ。俺は火星の空気が合わん」

 

「実際地球よりは環境が良くありません。データで確認しますか? 」

 

「いや、見ないでおく。時には見たくない現実もある……」

 

 ガエリオの弱気に苦笑し、三人は母艦に戻って行く。

 

 母艦に戻ってすぐオルクス達の身柄を確保し、会社や艦を確認しようとしたところに火星基地から連絡が来る。

 

 そこには鉄華団から送られてきたと思わしき、タコ殴りにして縛られた中年のおっさんが。

 

 これどうしようと、三人は顔を合わせてしまった。

 

 とりあえずトドという男は治療した後に事情聴取をすることにする。

 

 そして監査をして行く中で、さらなる巨悪を発見してしまうマクギリス達だった。幸い今なら火星にいるようなので、すぐに介入することにした。

 




あ、クランクニィー!は原作通りパンパンされています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。