鉄血のオルフェンズ 捧ぐは愛と忠義と憐憫と   作:フラペチーノ

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デタラメ技術がたくさんあるので悪しからず。


25 出自

 この端末には324年分のログがあります。どこから再生しますか?

 

 ──畏まりました。では最初のログより、再生いたします。

 

────

 

 そこはどこかの研究所。白衣の男達が様々な機械を操作していた。その動きはどこか必死で、まるで明日にでも死んでしまうからやり残しがないようにと自分達の全てを注ぎ込んでいるように見える。

 

 そこに、金髪に金の瞳で野性味の溢れた髪型をしているのに緑色の軍服はしっかりと着込んだ長身の人物が入ってくる。その人物は中を一通り見渡すと、何かに落胆したのか溜息をつきながら近くの研究員に話しかける。

 

「まったく、馬鹿げているとしか思えない。いつの間にこんな準備をしていたのか……。本人に許可を取らずにここまで進めるなんて、人類の生き汚なさを見せ付けられたよ」

 

「人類は生き残らなければなりません。あんな機械チクショウに滅ぼされていいわけがないのです。ガンダム・フレームでも無理ならば、もう逃げの一手しかないでしょう。悪魔で不可能なら神を造り上げるしかない。天使を超える神を。……その時間がないので、可能性の種を放出するしかないのですが」

 

「『方舟計画』。オレのクローンを水星まで逃がして、火星のようにテラフォーミングを自動機械(オートマトン)に任せる。その間にガンダム・フレームを超える機体の作成もCADにやらせて、作成が完了次第オレのクローンをコールドスリープから目覚めさせ、阿頼耶識システムを組み込み尖兵とする。……まさしく人間の屑だな」

 

 記録媒体ではないタブレットに表示されている計画の草案を見て、金髪の男は反吐が出そうだった。

 

 それでも人類のことを考えたら、計画を中止する判断を下せなかった。人類はいつ死滅してもおかしくはないのだから。

 

「おい。何でオレのクローンなのに女がいる? 」

 

「ホルモンバランスを変更しました。いざという時にはアダムとイブになってもらうために」

 

「何で同一人物の遺伝子で人類相続をさせなくちゃならないんだ……。遺伝子異常でも起こるんじゃないのか? 」

 

「さあ? 実験データが足りません。それに神に最も近い男が後続人類の祖となれば、これ以上ない名誉でしょう」

 

「……」

 

 研究員の、男を神だと信じている狂信っぷりに、思わず黙り込んでしまった。

 

 男が本当に神ならば、取り零す命などなかった。今でも死んでいく人類の全てを救える救世主と呼ばれるはずだった。

 

 だが彼はあくまでガンダム・フレームを上手く使えるだけの男で。

 

 機械を壊すしか能のない、人間だった。

 

「……あんなMAを作った奴こそ、神なのではないかとオレは思うがね。これは人類に与えられた試練なのだと。それにしては被害が大きすぎる上に、神は既に死んだときた。これが終末の世という奴だろう」

 

「なら奴は悪神ですな。戦争を経た進化などロクなものではない。人間の行き着く先も見守ろうとしない神など、悪魔と何も変わらない。天使の名を与えた殺戮機械で虐殺を楽しみ、先にくたばる神など道化でしょう」

 

「問題はその道化が真の天才だったことだ。悪魔の名を騙り、悪魔に魂を売り払うようなおぞましいことをしても、まだ勝利を掴めないのだから」

 

 男は悔しそうに自分の拳を握りしめる。

 

 犠牲を払って、犠牲を払って、犠牲を払って。

 

 まだ足りないと非人道的なことに手を出して。

 

 仲間を失い。故郷を焼かれ。義憤に駆られ。

 

 また今も人間としての道を踏み外して、それでも人類が勝てるとは断言できなかった。

 

 だから、人類を生き残らせるために、この方舟を送り出す。

 

「参考機体としてガンダム・フレームも載せるのか? 」

 

「ええ。ASW-G-72アンドロマリウスを。ダンタリオンも高性能になりましたが、アンドロマリウスはそれを越す。人類が操れないほどに。今から適合率を上げるのも非効率ですし、パイロットがいない。あなたはバエルに適合しすぎている」

 

「アンドロマリウスは万能機だろう? オレの趣味ではない」

 

「あなたの感応波を活かす兵器を搭載できれば、戦力は増すんですがね」

 

「勘弁してくれ。頭に響いて戦闘に集中できなくなる。身体を全て推力と膂力に割り当てた方が速い」

 

「ええ、そのように。あなたに追随できるのはイシューとエリオンだけでしょう。その二人すらあなたは引き剥がす。たった一人の彗星だ」

 

 この持ち上げが、男は嫌だった。

 

 今もMAは暴れている。自分の遺伝子が関わる計画だったので顔を出しただけ。

 

 今地球で一番の権限を持つのもこの男だったために、この計画に承諾のサインを書いてまた戦場に向かうつもりだった。

 

「オレ達は、地獄に落ちるな」

 

「そうかもしれません。ですが、のちの人類はあなた方に感謝しますよ。カイエル」

 

「人類が生き延びるのならば、地獄に落ちる程度は瑣末なことか」

 

 人類の救世主、アグニカ・カイエルは。

 

 『方舟』が眠ったままであることを祈って、戦場に散っていった。

 

────

 

 このログは323年と8ヶ月前の物です。

 

────

 

 人類の希望を載せたプラント艦『方舟』は、水星へ着々と進路を向けていた。

 

 人類を襲うMAも、コールドスリープした幼子は発見できなかったようで道中に現れることはなかった。

 

 だが、機械が邪魔をしなくても、人類が邪魔をすることもある。

 

 この時代の人間は末期状態だった。食料も空気もなくても、地球や火星のような星の上ではMAが来るからと宇宙へ逃げ出して。見付けた他の艦から全てを略奪することで何とか生き永らえているという倫理なんて失った時代だった。

 

 これが宇宙海賊の起源だと推測される。

 

 そしてこの『方舟』も同じように襲撃された。ガンダム・フレームがあっても操縦者がいないのであれば、海賊に蹂躙されることは当然の結果だった。

 

 人類は守るもの。

 

 そうプログラムされた内部の機械達は悪意ある人間に対してあまりにも無力だった。

 

 全てが奪われる、その前に。

 

 最大の不運は宇宙に出ていたMAの一機、ケルビムにその海賊が捕捉されていたことか。

 

 MSもなく、阿頼耶識をつけた人間もいないことから全滅すると機械は判断した。

 

 

 

 

 だがその時、奇跡は起こった。

 

 

 

 

 誰も乗っていないはずのアンドロマリウスが動き出し、ケルビムと同士討ち。プラント艦も半壊しながらも水星に辿り着いた。

 

 だが、自動機械が全て破損。テラフォーミングなど行なえず、新たなMSを生産することも不可能だった。

 

 そして、生き残っていた希望の種も、たった三人にまで減っていた。五十人以上いたのだが、そのほとんどが脳死となっていた。

 

 機械は動けず。子供達も取り残されたまま、時代は移ろう。

 

────

 

 このログは17年と1ヶ月前の物です。

 

────

 

「ハッハー! やっぱりな! 誰も手をつけてねえ水星ならお宝がたくさんあるって思ってたぜ! 厄災戦の時も水星に目を付けた奴がいやがった! 」

 

「お頭! まだ使えそうなMSのフレームに、なんかガキがいますぜ! しかも使えそうな機械もいっぱい! 」

 

「エイハブ・リアクターが生きてるなら、同じ時代の機械も残ってるってわけか……。全部詰め込め! ガキは売れそうだな。機械類は俺らのもん、命は金に変えてやる! これで俺らは成り上がるぞ! 」

 

 そんな海賊達に回収されて。

 

 最後の希望の種は、遥かな時を超えて、目を覚ましたのです。

 

────

 

 ログを見終わったラスタルは、一人深い息を吐く。

 

 水星の近くでここ二十年ほどで成り上がってきたジャンク屋。それの摘発をした結果、戦艦にはガンダム・フレームが動力として使われていて、今の技術ではありえないプラント技術やコールドスリープ技術を保持していたのだ。

 

 摘発の理由はイズナリオが過去に依頼した発注書を元に、人身売買の嫌疑があったため。事実カインとジュリエッタを売り飛ばした組織に間違いなかった。商人として律儀だったのか、伝票が残っていたのだ。

 

 どうやらこのジャンク屋のリーダーは相当金にがめつかったようで、何がどういう利益を生んだかしっかりと記録して、金儲けに全てを注いでいたらしい。

 

 カインの出自を知って、どう受け止めればいいのかわからなかった。健康診断などはずっとしてきているので遺伝子には問題がないとわかっている。

 

 それでも、三百年前の人間だとは思わなかった。

 

 ジュリエッタのことは、あるコロニーで攫った孤児だとわかった。再現しようとして劣化したコールドスリープ技術と引き換えに手に入れた子供のようで、こちらも出自がわかった。

 

 これをジュリエッタに伝えるかどうかは保留。

 

 カインにはどうするか、ラスタルは即断した。

 

「伝えよう。これらは本来、カインの物なのだから。……まさか、子供達全員に名前を付けていたとはな。律儀なものだ、アグニカ・カイエル……」

 

 オーパーツとも呼ぶべき一つの機械。

 

 そこにはカインと、しっかり彫られていた。

 

────

 

 エドモントンの反乱から一年。

 

 ジュリエッタは功績が認められて二尉となっていた。宇宙では特に経済圏からの独立運動が活発になっており、武装蜂起が多発していた。その鎮圧にアリアンロッドのエースとして獅子奮迅の活躍をしていた。

 

 ただ、最近は余計な仕事が増えて苛立っていた。

 

「ジュリエッタ。今回も素晴らしい戦果だったではないか。私も鼻が高いぞ! 」

 

「……ええ。イオク様もご活躍だったようで」

 

 イオク・クジャンが士官学校を卒業して、正式にアリアンロッドに編入してきたのだ。しかも最近ロールアウトしたばかりの最新鋭機レギンレイズのカスタム機が与えられているため、天狗になっていた。

 

 ジュリエッタもカラーリングこそ他のレギンレイズと変わりないが、スラスターなどはジュリエッタ専用にカスタマイズされていた。だがその事実を知らないイオクは、カラーリングされていることを自慢してくるのだ。

 

 ジュリエッタは幼年学校の頃から培ったおべんちゃらでイオクを躱し、ブリッジへ急ぐ。ラスタルに呼ばれているのだ。

 

 今回の戦闘報告ももちろんだが、他にも理由があるとわかっていた。MSデッキに新しいMSが納品されていたのだ。その姿を見ていたために、ジュリエッタは困惑していた。

 

 そのMSは、ガンダム・フレームだったからだ。

 

(あの機体、誰がパイロットになるのでしょう? 相応しいパイロットがいないような……。外部から編入、という可能性も? )

 

 ジュリエッタはそう思いながらスキップジャック級の艦内を進む。後ろのイオクの言葉は適当な相槌を返すだけだ。

 

(最近のラスタル様は、難しい表情が増えられた……。イオク様が入隊してから……。いえ、その前。三ヶ月前の、水星近辺で幅を利かせていたジャンク屋を摘発してから。あのジャンク屋に何かがあった? ……こういう時こそ、あなたが側にいればいいのに。ラスタル様はいつだってあなたを案じているのに……)

 

 胸のつっかえを隠して、ブリッジの前の隔壁に着いた時にはいつもの軍人としての表情を浮かべていたジュリエッタ。入室すると、そこではラスタルの笑い声が響いていた。

 

 久しぶりに聞いたラスタルの笑い声に、ジュリエッタは眉を顰める。『髭のおじさま』でも来たのだろうかとも思ったが、そうではないらしい。

 

 ラスタルが笑いながら肩を叩く長身の人物。背の高いラスタルよりも更に頭一つ大きかった。アリアンロッドの緑色の隊服ではなく、濃い青である紺色に近いギャラルホルンの隊服を着た人物は異様だった。

 

 なにせ頭に、鉄仮面と呼ぶべき顔全てを覆う物を被っていたのだから。

 

 後ろでイオクがその異様に驚き、ジュリエッタは別の意味で驚いていた。

 

(……本当に、そこに人間がいるのですか? 私が()()()()()()()()なんて……)

 

 ジュリエッタの力は、人に敏感だった。たとえ隠れていても人間がいれば確実に感じ取れる。近ければどういう感情なのかも把握できる。

 

 だというのに目の前の、仮面の男からは無しか感じられなかった。

 

 ジュリエッタとイオクが驚いていると、入室した二人に気付いた仮面の男の視線と、それにつられたラスタルが振り向いていた。

 

「おお、イオク。ジュリエッタ。鎮圧任務ご苦労。報告書を後で提出してくれ」

 

「「はっ」」

 

「で、本題だ。今日付けでアリアンロッドに編入したレメゲトン・クロウリーだ。階級は特務准将。場合によって私と同等の権限を持つ」

 

「特務准将? そのような階級、聞いたことがありませんが……」

 

「アリアンロッド内のみの階級だからな。他の場所では准将で通す」

 

 イオクの質問にも平然と返すラスタル。

 

 レメゲトン・クロウリーと紹介された男が一歩、踏み出す。

 

『紹介に預かったレメゲトン・クロウリーだ。できればクロウリーと呼んでほしい。ラスタルにもそう頼んである』

 

「なっ⁉︎ 」

 

「貴様っ! ラスタル様を呼び捨てとは、どういう了見だ! 」

 

 イオクと同意見というのは癪に障ったが、ジュリエッタも同様の思いを抱いた。

 

 アリアンロッドの司令であり、唯一の主君。その人物を呼び捨てにするこの男は何者なのかと。

 

 明らかな電子音による加工声。誰にも正体を話したくないと意思表示しているようだった。鉄仮面はおろか、肌がどこも露出していない。どんな人物なのか推察するための情報が何も見えてこなかった。

 

 ジュリエッタの能力でも感じ取れないとなると、お手上げだ。

 

『イオク・クジャン。何かおかしいことはあったか? 私は特務階級のおかげで一時的に中将と同じ権限を持つ。ラスタルと階級は同じだ。もちろんアリアンロッドの司令としてワントップであるのは彼であり、彼の命令を私も聞こう。だが、それだけだ。旧友である彼を呼び捨てにして何か不便はあるのか? 』

 

「セブンスターズでもない者がラスタル様と対等なはずがないだろう! 旧友だとして、公私は分けるべきだ! 」

 

『……それを貴官が言うのか。もちろん公の場ではエリオン公やエリオン中将と呼ぶとも。だが今は作戦行動中でもないだろう? 久方振りの親交の場に、敬称など無粋ではないか』

 

「ここはアリアンロッドの旗艦、スキップジャック級のブリッジだぞ! プライベートなはずがないだろう⁉︎ 」

 

 イオクが大きな手振りで反論する。

 

 クロウリーはそれを無視して、隣のラスタルの方を向いた。

 

『随分とお堅い部隊になったな? 』

 

「これでも秩序の番人だからな。皆の者も聞いてほしい。私とクロウリーの物言いは気にするな。彼が砕けた口調であれば、さして重要な時ではないということだ。四六時中張り詰めていても疲れるだけだぞ? オンオフはしっかり分けろ。それをクロウリーは実証しているだけだ」

 

「「「は」」」

 

 そう言われてしまえば頷くしかない。

 

 イオクは悔しそうにしていたが、セブンスターズの強権が使えないのならば反論もできやしない。

 

 イオクの階級は三尉でしかないのだから。

 

「そうだ、クロウリー。アレの試運転は良いのか? 」

 

『しても構わないのか? 作戦が終了したばかりだろう』

 

「取り締まりなどは他の艦にやらせている。お前も出撃することがあるのだから、試運転は終わらせておけ」

 

『了解した。司令官殿』

 

 クロウリーはブリッジから出ていく。

 

 ジュリエッタはアレというものを直感でわかっていたが、ラスタルに聞いていた。

 

「ラスタル様。アレというのはもしや、ガンダム・フレームですか? 」

 

「そうだ。ガンダム・ゲーティア。奴の専用機だ」

 

 しばらくして、全体的に黒い機体に所々関節部などが紅いガンダム・フレームが飛び立つ。

 

 その漆黒の機体は全体的なフォルムが分厚く、重装甲を思わせる機影だった。背中のスラスターには隣接するかのように歪な羽根が生えており、それが八枚も見えた。

 

 装備も左腕にジョイントされた大型のスクエアシールドと、右腕に装備された大口径のアンチマテリアルライフル。腰には接近戦用のバスターソードが備え付けられている。

 

 その速度は最新鋭機であるはずのレギンレイズを優に超えており、そのスラスターが描く蒼い軌跡に、ジュリエッタは思わず呟いた。

 

「綺麗……」

 

 その感想の後は、その試運転をずっと目で追っていた。

 

 設定されたルートを駆け抜ける様はとても重装甲MSの動きには見えなかった。ガンダム・フレーム特有の出力に任せて加速し続けているのだろうが、それでもそのフォルムからすれば信じられない移動速度だった。

 

 速いだけではなく正確にポイントを通過していく。そのレコードはアリアンロッドでもブッチギリの記録。

 

 その結果に満足したのか、ラスタルは次の指示を出す。

 

「ダミーバルーン射出。アサルトビットの性能検査を行う」

 

「アサルトビット? 」

 

「見ていればわかる」

 

 ダミーバルーンがいくつも出来上がり、不規則な回避行動を取り始める。訓練用にしては高級な的だった。

 

 その数優に十六。バラバラに配置されたそれは距離も方角もどれも同じものなどなかった。それを撃破するにはジュリエッタも時間がかかるだろうなと考える。

 

 それを。

 

『アサルトビット、射出』

 

 ガンダム・ゲーティアの羽根が分離する。それは四方八方に飛び散り、次の瞬間。

 

 羽根の先から弾丸を射出し、同時に全てのダミーバルーンを破壊していた。

 

「自動子機⁉︎ ラスタル様、自律プログラムの搭載はギャラルホルンにおいて禁止だったはずです! 」

 

「狼狽えるな、イオク。アレはプログラムによる自動操縦子機ではない。ジュリエッタならわかるな? 」

 

「はい……。アレは、あの人の感応波で動かしているのですね? 私達が機体の制御をしているように」

 

「そうだ。アレは全てクロウリーが自力で操縦している。アリアンロッドの精鋭なら理解するだろう。クロウリーの実力を。私があの男を信用する理由を」

 

 歴戦のパイロット達が、力強く頷く。彼らも機体制御の一部を感応波を読み取るシステムによって動かしているが、それはあくまで身近な自分の機体のみ。

 

 離れた場所の物体を、八個も同時に動かせないのだ。

 

「……カイン特務三佐でも難しいでしょう。私にはできません」

 

「バカな⁉︎ カインにもできないことをあの男はやって見せたというのか⁉︎ 」

 

「カイン特務三佐も機体制御はズバ抜けていましたが、遠くの物体を動かすことはできなかったはずです。あの男は一体……? 」

 

 ラスタルはジュリエッタの様子を見て、安堵の息を吐いていた。

 

 全ての目的を達成できたことをクロウリーに伝えて、戻るように伝える。

 

 コックピットの中で、クロウリー自身も息を吐いた後、これからも気を抜かないように左手の操縦グリップを握る力を強くしていた。

 

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