鉄血のオルフェンズ 捧ぐは愛と忠義と憐憫と   作:フラペチーノ

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感想返しできなくて申し訳ない…。


41 エピローグ0.37 ある孤児院の兄貴分

 孤児院にやって来た二人の男女。こいつらは変だった。

 

 やって来た時にラスタル様から紹介があった。ラスタル様が直接見付けた孤児はこうやって紹介されるのが恒例となっていた。

 

 紹介された男の方はカイン、女の方はジュリエッタというらしい。

 

 そいつらはラスタル様によく気に入られたのか、ラスタル様が地球に降りて来た際、いつもその二人を連れて研究所とかって所に連れていくらしい。

 

 俺達も一回連れて行かれた。感応波が〜とか言われてもわけわかんね。

 

 そんでもってその変な力というのは兄の方がよく日常生活でその変な力を使っていた。

 

「雨降りそう」

 

「えー? 雲ないぜ? 」

 

 俺が知識を披露してそう言ったが、カインは首を横に振るだけ。カインは外で遊んでいる子供達を中に入れると、その十分後ぐらいに本当に雨が降ってきた。一気に黒い雲が流れてきてざあっと降り始めていた。

 

 肉眼で見た限りそんな黒い雲は見えなかったのに。

 

 濡れなくて良かったと喜ぶ孤児院の皆。そんな予言をしたカイン本人はなんてことのないように孤児院の中でじっとしていた。

 

 正確には、雨を通して雲を越えて、宇宙を見ているとは思いもしなかったけどよ。

 

 そんな不思議なことは他にもあった。

 

 隣の席で食事をしていた子供が不注意で食事の皿を落とそうとした時、落としかけたところで即座に止めていた。直前まで反対側のジュリエッタと話していたのに、反対側に即座に気付いて受け止めるなんて普通はできっこない。

 

 そんなものを目の前で見せられたらカインの特別性なんてすぐわかる。

 

 ラスタル様が彼を優遇する理由がわかった。

 

 俺は四歳差だったためにカインが来た時には既に幼年学校に入っていたのに、カインが入った途端近い学年になって乾いた笑いが収まらなかった。俺もラスタル様の役に立とうと頑張っていたのに挫けそうになった。

 

 いつだってカインの名声は聞こえてきた。その学年にセブンスターズの御曹司もいたのでカインの学年のことはいつだって耳に入ってきた。

 

 それでも頑張っていたらイシュー家の長女が同じ学年にやってきたのは驚いた。

 

 そのまま実績を重ねてアリアンロッドに入隊。様々な任務をこなして第一艦隊の配属になった。孤児院のメンバーの中にはイオクを監視するために第二艦隊に配属になったものもいる。イオクがバカすぎてラスタル様の手の者はすぐに所属替えをしていたけどな。

 

 そんな俺は実績を上げて、入隊してきたジュリエッタにすぐに追いつかれはしたもののエースと呼ばれるくらいに撃墜数も稼いでいた。その積み重ねもあって先行配備型のレギンレイズを与えられたのは嬉しかった。

 

 俺もなんだか宇宙に適性があったようでMSを自在に操れるようになっていた。それもこれもカインとジュリエッタの研究成果のおこぼれだけどな。俺も研究所で何回か測定してもらったが二人とは脳の拡張具合が違うらしい。

 

 それでも俺はラスタル様の盾として、ただ邁進するだけだ。

 

 鉄華団の一連の事件があって、そこからは本当に色々あった。イオクが主にバカなことをしたり、秩序を乱す輩が多かったり。

 

 そして決定的なことが、MA事変とマクギリス宣言。その結果ラスタル様が倒れ、イオクを筆頭とする反乱分子を討伐するためにアリアンロッドの全戦力が地球外縁軌道統制統合艦隊のステーションに集合していた。

 

 そこでラスタル様に代わりアリアンロッドを指揮するクロウリー准将がいつもの鉄仮面を付けて、ジュリエッタを後ろに控えさせて壇上に上がってきた。

 

 ただ、いつもとは何かが違った。俺の鈍い直感でもあの鉄仮面の奥から感じる既視感に首を傾げる。

 

 クロウリー准将はマイクの前に立つと、いつもの機械音声が講堂に響き渡る。

 

『離反していないアリアンロッド将兵の諸君。よくぞこうして集まってくれた。ラスタル中将が凶弾に倒れたため、臨時で私が指揮を執る。とはいえ私は前線司令であって、艦隊司令ではない。だから実際の指揮権は分散することとなる。それは承知していてほしい』

 

 クロウリーがその労いの言葉と共に言葉を続ける。

 

『この戦いがギャラルホルンの、そして世界の平穏に繋がると信じている。皆の力を貸してほしい。ラスタル中将という精神の柱を欠き、アリアンロッドから多数の離反者を出し、更には私のような若輩者にアリアンロッドを任せなければならない状況というのは諸君の不安を煽ることとなっているだろう。

 

 だが、私からは信じてほしいとしか言えない。イオクの艦隊は以前持ち出したダインスレイヴをまだ所持しているだろう。アレの火力を持ってすればMSといえどひとたまりもないだろう。この作戦は今まで以上に危険で大規模な戦闘となる。諸君らの命は保証できない。

 

 だがあえて言わせてもらう。ラスタル中将がいない中、私に全てを預けてくれ。

 

 私が身体を張ろう。私は再び、殺戮者を屠る悪魔に身を委ねよう。

 

 そしてこの──偽りの仮面を外そう」

 

 クロウリー中将が仮面を外す。

 

 そこから出てきたのは本人が言っていたような火傷の痕が酷い顔がなく、どこか見覚えのある、金髪に瞳孔が縦に長い金の瞳をした若い青年の男の姿が現れた。

 

「ラスタル中将より特命を受け、偽りの名と階級を名乗っていたカイン・ベリアル一佐だ。将軍の地位でもない私が司令を務めるということも不服だろう。そして若輩者の私ではキャリアも信用も足りないだろう。

 

 それでも最早、時間がない。私を信じてくれ」

 

「信じてもらうにはあなたがクロウリー准将だったと証明しなければならないのでは?カイン一佐」

 

 ジュリエッタが呆れたように後ろでそう言う。

 

 こういうところで俺が動くしかないだろう。

 

「カイン! お前がクロウリー准将だって言うなら、そこのジュリエッタにゲーティアで勝ってみせろー! 」

 

 俺の声が響く。

 

 その俺の声に、カインとジュリエッタが俺のことを見付けて一つ頷く。

 

「それが証明となるのなら。十分程度の模擬戦をやろう。ジュリエッタ」

 

「わかりました。それが証明となるのなら」

 

 そうして二人が模擬戦を始める。

 

 カインがガンダム・ゲーティアに。ジュリエッタがレギンレイズ・ジュリアに乗って模擬戦を始める。クロウリー准将しか動かせないはずのゲーティア専用武装アサルトビット八基を自在に動かしたことでこれ以上にない証明となった。

 

 言われてみれば、あんな感応波を使って操る武装を使えるのはカインとジュリエッタしかいないだろうけどよ。ジュリエッタはいたんだから消去法でカインしかいないんだけど。

 

 カイン=クロウリーという証明ができてアリアンロッドの全員がこの作戦に異存なく臨むこととなる。

 

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