ウイニングファーム興亡記   作:おたま

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1984 秋競馬とラストラン

『京都の坂を各馬上がっていきます!残り400mを通過した!先頭はシンブラウン!メジロモンスニー!スズカコバン続いて外にイブキカザン!大外から!お~おそとから!ミスターシービー!ミスターシービーが来たぞー!!大外から他馬を撫で切る!撫で切る!残り200!!スズカコバンが伸びてきますがミスターシービーです!ミスターシービー!内ににロンググレイス!スズカコバンとロンググレイスが競り合っておりますが先頭はミスターシービッゴールイン!ムチいらずで秋初戦危なげなく快勝しました。復活のミスターシービー!秋の天皇楯へ視界ヨシ!』

 

 

 

 

 

『カツラギエースが逃げます!逃げます!直線だ!東京の直線だ!サンオーイ!トウショウペガサス!ダスケニー!ダイナカール!カツラギエース並ばれ、おーっとまた伸びる伸びた伸びたぞカツラギエース!2番手横一線ですが!残り200を通過して変わらずカツラギエースだ!ダスケニー!ダイナカール!外からはアローボヘミアンも来ている! 2番手も危ういかサンオーイ!秋の1800mカツラギエースの独壇場だ!秋の楯連覇へ!カツラギエース!2番手はダスケニーかサンオーイか!カツラギエースゴールイン!』

 

 

 

 

『大歓声が迎える東京競馬場!佐藤和正(さとうかずまさ)とシリウスシンボリはまだ馬なりだ!佐藤和正(さとうかずまさ)とシリウスはまだ馬なりだ!ブラックスキーもやって来ている!スダホーク!トウショウサミット!そしてビンゴチムール!さあ追い出しにかかった岳邦洋(たけくにひろ)佐藤和正(さとうかずまさ)とシリウスシンボリが先頭だ!懸命にユタカオー!懸命にユタカオー! 3番手にスダホーク!高原清輝(たかはらせいき)!思ったよりも伸びないぞ!懸命にスダホークやって来ている!シリウス先頭!シリウス先頭!懸命にサクラ!さあ来る!サクラが来る!サクラが来る!サクラ差したー!シリウス2番手!サクラユタカオー!ポンと叩きました首筋を岳邦洋(たけくにひろ)!流石は魔術師!』

 

 

 

 

『シンボリ三冠達成なるのか!三冠達成なるのか!物凄い脚だ!物凄い脚だ! 来たぞ来たぞ来たぞ!シンボリ来た!シンボリ来た!岡安の右ムチがうなる!!しかし外からゴールドウェイだ! 外からゴールドウェイ! シンボリが先頭に立った!シンボリが先頭に立った!伸びる!伸びる! 大歓声だ!大歓声だ京都競馬場!赤い大輪が薄曇りの京都競馬場に大きく咲いた!! 三冠馬7戦7勝!わが国競馬史上、不滅の大記録が達成されました京都競馬場!なんとなんと二年連続三冠達成!これが皇帝の競馬だ!』

 

 

さて、十月も最終週である。

シービーとエースは天皇賞秋の前哨戦である京都大賞典、毎日王冠を完勝し、ユタカオーも4番人気だったが快勝した。ルドルフも無敗で三冠を達成した。次走をジャパンカップに定めたのだが、レース後に下痢を起こすなど、体調を崩したので、一度取りやめだ。11月以内に体調が回復したら有馬記念に出走する予定だ。

 

 

 

 

『15万の大観衆に見送られます!地鳴りのような歓声です!第3コーナから4コーナーをカーブして直線コースに入ってきた!先頭はカツラギ!カツラギ先頭! カツラギが先頭だ!カツラギが先頭だ!さあ、まだか!シービーはまだか!シービーはまだか! シービーは2番手!シービーは2番手!外のほうから懸命にトウショウペガサス突っ込んで来ている! スズカコバンもやって来た!さらにはロンググレイス!インコースにテュデナムキング!大外からミスターシービー!!ホリスキーは伸びない!さあCA・CB対決になるのか! 一気に後続が押し寄せてきた!一気後続が押し寄せてきた!200!200!一番外からミスターシービー!ミスターシービー!スズカコバン!スズカコバン!ペガサス!ちゅ、テュデナムキング!もう一度カツラギエース!もう一度カツラギエース!ミスターシービー!さらに加速する!ならっ! 並ばない!凄い差し脚!ミスターシービー!交わしたところで、ゴールイン!やはりこの大舞台!淀の登り龍!豪脚ミスターシービーが勝ちました!ミスタシービーこれで五冠!ミスターシービーこれで五冠!』

 

 

 

天皇賞秋はミスターシービーの勝利に終わった。勝利の後、夕飯は久しぶりに実家に帰り父と酒盛りをした。話題はミスターシービーの五冠である。

五冠馬といえばシンザンだが、シンザンは実はG1で表すのならば、G16勝馬なのだ。三冠、天皇賞秋、有馬記念そして宝塚記念である。

日本競馬の只今の目標は「シンザンを超えろ」今、シンザンを超えうる優駿が我らの元に2頭もいる。

明日死ぬんじゃないかな?

 

そして、俺が実家に戻ってきた理由は、ローテの相談である。正直に言うと、三冠馬2頭は今回のレースでもわかるが日本に敵はいない。カツラギエースは明確なライバルだが1頭しかいないし、うち所有だ。国内を荒らすとさすがに最大手の社対(しゃたい)や、ほかの大手に睨まれると後々が本当に怖い。

なので、三冠馬二頭を海外遠征させようと思っている。

ルドルフは欧州。シービーはアメリカ。

目標はルドルフは凱旋門賞。基本的にフランスで活動予定だ。

シービーはBCターフ。今年のBCレースの担当競馬場はサンタアニタ。西海岸を中心にしてレースを走らせる予定だ。

 

 

 

レース予定がルドルフがイスパーン賞、サンクルー大賞典、フォワ賞。そして凱旋門賞。

シービーがフランク・E・キルローマイルハンデキャップ、チャールズウィッティンガムS、ワイズダンS、ジョンヘンリーターフS、そしてBCターフである。

 

 

 

 

 

ウイニングファームに帰ってきて11月。

先日放送されたコジーン陣営からの宣戦布告。

自分たちはピロウイナーが衰えているという状況をマスコミには調査中としていたので、ウイニングファームに電話がけたたましく鳴り響いている状況だ。

やらかしたのだ。

正直これは俺が早めにピロウイナーの状態を公開していれば起こらなかったトラブルだ。

俺たちの圧倒的な経験不足が招いた失敗だ。

 

どうするかを考えていると橋口さんからの自分の通話に「私たちが発表を行います。オーナーも来てください。」と来た。

 

竜胆さんにメールをした後に急いで準備をして、栗東まで赴いた。

橋口さんに話を聞くと、コジーンのBCマイル時にピロウイナーの調教をしていたらしく、厩務員さんがスマホで見せに来たそう。ピロウイナーも後ろからぴょこっと見てたそうだ。かわいい。

見ての通りのコジーンの勝利。橋本さんはあのレースを見た時に安田記念の時と同じレースをしていると思ったそう。

 

映像が終わった瞬間、ピロウイナーが最近できた坂路コースに走っていったらしい。厩務員さんが慌てて捕まえに行ったそう。

 

その姿をみて確信した。彼はまだ走りたいのだ。彼もコジーンと闘いたいのだ。

 

 

今回の発表ですべて話すとのこと。

 

俺も腹が決まった。

 

 

 

昭和59年10月 安田千六

 

本日。11月11日記者に向けての会見が行われた。

会見事態は20分と短めではあったが内容は非常に充実したものであった。

 

一つは我らがマイルの皇帝二ホンピロウイナーの容態、そして次走。

 

 

只今ニホンピロウイナー号(牡4、橋口)の現在は調教中であり、コジーン陣営の言葉は事実である。

精密検査の結果、安田記念時に比べ筋肉の減少と心拍数の減少。それに心肺機能の低下が確認できた。

 

安田記念時の身体能力はもう見受けられないとのことだ。

そして、二ホンピロウイナーの次走はコジーン陣営の挑発を受け、マイルチャンピオンシップと発表した。

これが最後。ラストランとすると発表された。

 

調教師というのは基本的に調子がいい。勝てると思う。と会見ではいうものである。

それなのに今彼らが発表しているのは、その真逆である。もう衰えている。勝てるかわからないと言っているのだ。

 

当然他の記者もその意味にわかっているので私ではない記者がなぜレースに出すのか。そんなに衰えているのなら引退させればいいのではないか。と。

私も正直賛成だ。

私はマイル戦が最も偉大な距離、マイル最強馬こそが究極のサラブレッドだと思っている。

ニホンピロウイナー号はマイルの皇帝と呼ばれるほどの偉大な馬。

なぜ引退させないのか納得がいかないのだ。

そう我々が発言をしていると、ウイニングファームのオーナーが一言「マイルの皇帝は逃げません。」静かに確かにそう言っていた。

 

皇帝は逃げない。この一言だけでいい。

 

我々は見届けるしかない。

 

マイルの皇帝の輝きを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『3枠6番これで最後です。二番人気。史上初3歳馬による安田記念制覇。さらに安田記念連覇、そして史上初春秋マイル制覇。マイル戦、6戦5勝2着1回。マイルの皇帝。ニホンピロウイナー。和泉岳志(いずみたけし)。』

 

『1枠2番一番人気です。仁川の舞台に登場です。ジャック・ル・マロワ賞。スプリンターズステークス、BCマイルカップ。3連勝中です。ピロウイナーのライバルです。ピロウイナーとは3戦2勝。白き流星。コジーン。マイケル・ヴェネチア。』

 

 

 

『第二回マイルチャンピオンシップ。優駿17頭です。1600mスピードとパワーが必要です。どんな輝きを見せてくれるのでしょうか!…スタートしました!!』

 




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