2011年 〜ウマチュキ!〜 "私の女王牝馬"ジラフ 川嶋
「今から紹介するのは、私が競馬にハマった理由。私の初恋の相手ですね。」
「初恋?」
「えぇ。私のマジの初恋の相手ですね。」
ゲストアイドルからは困惑の声が上がる。
だがその正面の競馬好き集団からは顔をウンウンと頷くばかり。
初恋の相手は牝馬。これ競馬好きあるあるである。
私はウオッカでした。
「私の初恋の相手はこの馬です!」
そうゼブラ川嶋が言い、期待の声が響く。机の下からをフリップボード取り出すとそこには白地に青二本輪。
右回りのレースの写真。
ゼッケンにはヒシアマゾンとかいてある。
「この娘が私。ジラフ川嶋の初恋の相手であるヒシアマゾンさんです!」
歓声が上がる。
「このヒシアマゾンは女傑。黒い弾丸と評される馬で、20戦16勝。GⅠ勝利数7勝。
初の無敗の三冠牝馬にして、牝馬5冠を達成。
ナリタブライアンと2戦ではありますが有馬記念、凱旋門賞と世界の大レースで名勝負を繰り広げた。
今でも、牝馬最強に挙げられる大名馬です。」
周りからも「強かった。」等々の賛美の声がきこえる。
「ねえ。牝馬最強もよく論争になるけど、大体がウオッカ、ダイワスカーレットの最強牝馬世代。
エアグルーヴやブエナビスタの、牡馬をねじ伏せた女帝。
そんな中でも一番に挙げられるもんね!本当に強いんだから。」
「特に95年の凱旋門賞なんか!もう!すごいですよ!あれは!かっこいい!!」
こぎやなぎの柳が歴代の最強牝馬の中でもトップクラスという話を語ろうとするとホウオーポケットの斎岡が横から叫んでいる。
言い終わったら「うるさい」と、みんなからたしなめられる。いつもの流れだ。
「父は85年のジャパンカップに出走もいたしました。GⅠ6勝のシアトリカル。母は84年のアイルランド1000ギニーを勝利したケイティーズという良血です。ヒシアマゾン競馬界では非常に有名は一頭です。
皆さんご存知ですよね?」
競馬好き集団からはウンウンと言う肯定の声が届くがゲストアイドルの娘からは「え〜知らな〜い。」という声も聞こえる。
「ヒシアマゾン知らない?本当に?」
「本当に知らないです。」
「よく人生でヒシアマゾンとリンクしなかったですね。」
「さて、私のお宝を見ていただいた所で、このヒシアマゾンにはこれだ!というレースがあるのでご覧頂きたいんですけれども。」
そう言いながらVTRを用意するように促す。
「ヒシアマゾンは3歳の春にデビューいたしまして、賞金的に桜花賞に出れないんじゃないかと言われていたのですが、抽選でギリギリ上がることができました。
まだ無名のヒシアマゾンは13番人気で勝利。
その後にオークスも勝利して、更に!あの本場イギリスでの競馬の祭典。エプソムオークスも勝利いたしました。
このときに私はこのヒシアマゾンと出会います。」
「私は中学生時代ですね。友達から競馬を勧められて一緒に見ていたのですが、あんましハマってはいませんでした。
面白いなとは思っていましたが、そんなドハマリとかは。
での、このヒシアマゾン。
秋華賞トライアルのローズSとかではなくまさかの前哨戦にキーンランドCを出走するのです。
私はテレビで見ていたのですが、このレースでヒシアマゾンに魅せられます。
とんでもないレースをするんですよね。
ではこちらをご覧ください。ほんっとにすごいですよ。」
そうしてVTRが流れる。
「1200mはヒシアマゾン初めてなので、ペースについていけなくてどんどん遅れて中盤では最後方から2馬身くらい離されるんですよね。『さあ。直線に入ります。先頭はエイシンワシントン。エイシンワシントンの逃げです。3.4馬身は空いています。残りは270。
「なんか実況してるな…。」
ヒシアマゾンは大外から迫ります。
キョウエイボーガンいっぱいになったか。
真ん中からダンシングサーパス。ニホンピロプリンス。
「え!実況すご〜い!?」
残りは200か差が縮まらない!
ヒシアマゾンニ番手に上がってきた!ヒシアマゾンが加速します!
すごい脚です!3馬身!2馬身!1馬身!
並んだ並んだ交わした交わした!突き抜けた!ゴールイン!』
VTRが終わる。歓声が挙がる。
「いや〜どうですかこの末脚。すごいでしょ。こう、引き絞られた弓の弦みたいに弾けるとギュン!ギュン!と躍動して加速するんですよ!
どうですかこの追い込み。」
「もう、すっごい好きです!かっこいいです!」
「かっこいいですよねぇ。やっぱ追い込みっていうのはいいです。ロマン一筋で。私まだ中学生で馬券も買えませんから。本当にこのレースを見てこのヒシアマゾンに惚れ込んだわけで。
もうね。酔っ払うとこのレースしか見ません。
でこの後に三冠レースの最終戦の秋華賞にいどむわけです。
え〜、これがこちらですね。どうぞ」
「直線を向く。植え込みを回って一直線。
あとゴールまで400m!
バースルート粘る!バースルート粘る!外からテンザンユタカ来た。テンザン来た 。テンザンユタカ来た。
「実況やっぱすごいな。」
一番外から、一番外からヒシアマゾン! 一番外からヒシアマゾン!ヒシアマゾンとチョウカイキャロル!
黒い弾丸が発射された〜!
チョウカイキャロル! 内からアグネス!内からアグネス! 外からメモリージャスパー突っ込んできた!
さあチョウカイか!チョウカイか!アマゾンか!ヒシアマゾンかチョウカイキャロルか!
ヒシアマゾンとチョウカイキャロル!ヒシアマゾンか!チョウカイか!並んでゴールイン!! 並んでゴールイン!
アグネスパレード僅かに遅れたか!アグネスパレードは僅かに遅れたか!
史上初無敗でも三冠か!惜敗のライバルの逆転か!
だが、勝っているのはヒシアマゾン!ヒシアマゾン!無敗の三冠!」
拍手喝采である。
「どうですか。ヒシアマゾン!こんな名勝負をできる馬ですよ。闘争心にあふれた。まさに女傑!と言える名馬です。
この後にエリザベス女王杯を制して牝馬四冠を達成するんですが、それは来週と。」
「いやいやいや。これは今週だけの企画だからね。」
「え?」
「え?じゃないよ!知ってるでしょ!?」
「でも語りたいこと沢山あるんですよ。これだけ!これだけ言わせてください。
だめなら勝手にしゃべります。
先月の重賞レース。京王杯2歳Sで2着のレオアクティブを最後の200mで5馬身千切った新たな怪物。「ペンテシレイア」ご存じですよね。
ムチも入れないで、見せムチだけでのあの末脚。
来年の牝馬クラシックの最有力と言われています。
そしてこの馬。血統が父がナリタブライアン。母父がシアトリカル。そうです!
ヒシアマゾンの仔どもなんです!私はもううれしい!!
どうか頑張ってほしい!!
それだけです!打合せでも言っていないのでフリップもありませんが、次走は牝馬限定GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズを予定しています。
皆様応援をよろしくお願いいたします!」
『ロンシャン競馬場 芝2400メートル。凱旋門賞が始まります。
我らがナリタブライアンは4枠8番。ブライアンは4枠8番。
ルドルフの凱旋門賞以降、スーパークリーク。メジロライアンと2頭が出走いたしましたが、どれも4着と惜敗。
9年振りの制覇に目指します。
ナリタブライアン鞍上はタマモクロス。オグリキャップの主戦騎手を務め上げました。剛腕
今年もやはり凱旋門。豪華メンバーであります。
去年のフランスダービー馬のエルナンド。アイルランドダービーではナリタタイシンと矛を交えました。
KGⅥ&QES2着のキングスシアター。
岳穣騎手が騎乗をいたします。KGⅥ&QES3着ホワイトマズル。
去年のアイルランドオークス馬イントレピディティ。
ここまで10戦10勝。乗りに乗っているミルコム。
いよいよ始まります。
世界最強を決める一戦!
第73回凱旋門賞全馬ゲートに収まりまして……。
スタートしました!!』