鬼斬り ~艦これ改に捧ぐ~   作:日明月

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第四-9話

やがてタ級がこちらを向いて、

 

「さ、私たちもお話の続き、しましょ?」ニコッ

 

クールそうに見えるのに何だかのんびりした戦艦だ。

調子狂うぜ。

 

 

 

第四-9話

 

 

 

タタタ…タタッ

 

 

 

「提督…まあ、何てこと…。お姉様、あの御方は司令部の…?」ヒソヒソ

 

「後で説明する。夕雲、お前たちは深海棲艦と結託しているんだな?」

 

「…はい。いつかこうなる日が、来ると思っていました」

 

「…そうか。でもオレたち艦船にとって、上の命令は絶対だ。これは、お前たちの提督が強引に従わせたんだろ?」

 

「…………………」

 

「いいさ、夕雲。お前を問い詰める積りはない…でも、覚悟はしておけ。ここから彼のことを見ていろ」

 

「……はい」

 

「お前たちもな」

 

秋雲と、もう1人の返事は聞こえない…夕雲の更に後ろの立ち位置だったからな。さぁ次はこっちだ。

 

「余裕のある態度だな。自分たちの立場が分かっているのか?」

 

「ええ、勿論。こうなった以上は、ここにいる皆さんへの丁重な扱いを願うのみ。その代わり、何でも答えます。但し」

 

「何だ」

 

「提督は、そっとしておいてあげて。質問は、私だけに」サスリサスリ

 

ずっと肩を落としている傍らの人物…近いうちに自らの地位も肩書も失うこととなる男…の背中をゆっくりと撫でているタ級。

ひと波乱あるかと覚悟していたから正直、拍子抜けの展開だ。

……こちらを油断させるための演技か?

 

「よし、それなら聞こう。ここで何をしている……しかも初めてじゃないよな。 これは何の集まりだ?」

 

「おもてなし、よ。お金と引き換えにね。私たちには必要なものだから」

 

「男女の関係になるのか」

 

トークが上手そうだ。ペースを握られると厄介なので単刀直入に尋ねる。

 

「…私は、してないわ。キスとかハグとかタッチ、そこまで。本当よ…あなただって、するでしょう?」

 

彼女がチラリと、俺の背後に視線を向けた…雪風と木曾か。やけに興味深そうな光が宿ってる目だ……ほんと調子の狂う戦艦だな。

 

「好きに想像しろ。お前以外の深海棲艦は来ていないのか? 見当たらないが」

 

「ええ、私だけ。今回はね」

 

あのリストには⑤⑦⑤と書かれていたから、このタ級が来たことで⑤⑦⑤⑤になったワケだな。

 

「今年に入ってから、……今が皇紀二六八一年の四月だってことは理解しているな? 今年に入って、お前はここの何番目の訪問者だ?」

 

「四番目よ。他には三人、ここに来たの。一人ずつ別々にね」

 

⑤⑦⑤⑤…つまり、今タ級が言った内容は真実。彼女は俺を、騙したりしない可能性が出てきた。

予定変更。

彼女に対する警戒を1段階だけ下げる…油断はしない。

 

「お金が必要ってのは? この国で何か企んでるのか?」

 

 

 

「悪事を働く積りなんて、ないの。ただ私たちはこの国で暮らしたい。それだけよ」

 

 

 

…………何だって?

 

 

 

俺たちや他の鎮守府と交戦してる連中が?

 

この大八島國で暮らす?

 

「…何を言ってるッ! 艦娘を何度も傷付けておきながら! まだ死者は出てないがこの先どうなるかなんて分からない……彼女らを出撃させるときのツラさが分かるのかよ!」

 

「お、お前! さっきから何だ、ガキのくせに偉そうに! だいたい……」

 

「黙れこの野郎!! オマエの出る幕じゃねぇ!!」

 

着飾った男…参加者の1人が俺に対して威圧を試みたが、木曾の一喝でビクリと体を震わせ、口を閉じた。

…………クソッ、冷静にやらなくちゃいけないのに。響に注意されたのに。

だがタ級はそんな俺の言葉にも慌てることなく、

 

「ごめんなさい。私ではあなたたちの敵を……あなたたちが深海棲鬼と呼ぶ者たちの動きを抑えることができない。彼女たちと距離を置くのが精一杯…それすらできない者は、乱暴に使役されて傷付き、命すら落とすのよ。私たち全てが、あなたたちに危害を加えたいワケじゃないの」

 

「…………。その深海棲鬼について聞きたい。どんな連中だ?」

 

「…私のさっきのお願い、叶えてくれる?」

 

…一瞬だけ不安そうな光を浮かべた瞳。こんな表情するのか…警戒をもう1段階下げる。

 

「この連中への丁重な扱いだったな。約束する。可能な限り温情ある処分を司令部には求めよう。それでいいか?」

 

「えぇ、感謝します」ニコリ

 

この戦艦…もしかして…。

 

「軽巡棲鬼。泊地棲鬼。泊地水鬼。空母棲鬼。装甲空母鬼。港湾水鬼。離島棲鬼。南方棲鬼」

 

そこで一旦、言葉を切って

 

「この国への憎しみという憑き物に囚われてしまった、哀れで強大な怪物です…かつては八体だったけれど、今は四体だけ。泊地棲鬼と空母棲鬼と装甲空母鬼、そして南方棲鬼はもういないわ。ある者はあなたの仲間によって倒され、またある者は深海棲姫…あ、姫さまの方ね…によって。今は綿津見神(ワタツミノカミ)さまの元に…海の底よ」

 

 

 

          続く




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