鬼斬り ~艦これ改に捧ぐ~   作:日明月

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第五-4話

彼女たち妖精さんは、言葉ではなく思念を伝える。内容をみんなにも分かってもらうために、言葉と念話の両方でやりとりする俺。

 

(…………! …………?)

 

「(ごめんよ、もっと来るべきだった……ああ、妖精さんたちの荷物だよ。そして彼女たちも、新しい仲間だ)」

 

 

 

第五-4話

 

 

 

ゴトッ…

 

 

 

大広間の一角に、木箱を並べていく。工廠の区画まで運ぼうかと聞いてみたんだけど、職長からはココでいいとの返事だった。

妖精さん以外の者が仕事場に立ち入るのは、好ましくないと思っているのかも知れない。

 

(提督って、スゴいですね……ビックリしちゃいました)///

 

海風か。

 

(全員が念話できるようになれば、音声は不要なんだけどね。今はまだ四人だけだから、しばらくはこんな感じでいくよ)

 

(妖精のみなさんと言葉で話せたら、素敵ですよね)

 

(だよなあ……)

 

(提督、タルトで五人です。これからはどうか、お忘れにならないで)

 

(そうか、お前もできるように……何か相談とかあれば、遠慮なくコレ使えよ。いつでもいいからね)

 

(…はい)///

 

(提督、それじゃ谷風も!?)

 

(六人目か。勿論だ谷風、いつでもどんなことでも)

 

(やったぁ! ね、他にもいるかもだねぇ)

 

(確かにそうだな、急に増えたし)

 

(阿武隈はね、提督の好きな食べ物とか知りたいなあ)

 

七人目。いい感じだ。

 

(おにぎりだな。日本が生んだ最高の食文化だ!)

 

(あ…そうなんだぁ。いいよね、おにぎり!)

 

(うんうん、王道っしょ)

 

秋雲だ…八人目。

 

(同感! おにぎりだよ)

 

九人目の鬼怒だ。

 

(提督の世代なら、舶来のお食事がお好きかと思いましたが……)

 

これで十人! やったぜ。

 

(ああ、洋食も大好きだよ夕雲。でもな、具材を変えるだけで、あっという間に洋風ライスボールに早変わりだ。やっぱりおにぎりこそ至高だな)

 

(て、提督ったら……そ、そう、ですか……)///

 

あれ?

 

(どうしたんだ夕雲、何か俺、気に障(サワ)ること言ってしまっ……)

 

(そ、そんな…! 違います! ただ……)

 

(ただ?)

 

(……………)

 

夕雲の言葉が途切れる。このまま彼女に話し掛けるのは、何だか良くない気がする。それならば……

 

(秋雲。助けて)

 

(あのね提督、さっき夕雲に言ったセリフね、覚えてる?)

 

(洋食は大好きだと言ったさ。それが何か…)

 

あ。

 

(そ。その大好きの後に、誰の名前があったか思い出してみ? もう、提督ってば大胆)クスクス

 

やっちまったあああああ!

 

ガバッ

 

「待ってくれ夕雲!!」ギュッ

 

「あ…て、提督………」///

 

「夕雲、お前は誤解している…俺はメシのことしか頭にないって思ってるだろう? 違うからな」

 

「…ありゃ? 提督?」

 

「て……提督ぅ?」

 

「あのさ、そこはさ、ビックリさせたのを謝ってさ、これからは気を付けるからよろしくねって感じで…」

 

外野から何か聞こえるが、今はそれどころじゃねぇ。

さっきは焦ったが、考え方によっては、ちょうどいい機会だ……こうなったら俺の本音をハッキリさせてやる!! このままじゃ、仮に謝ったとしても夕雲とは気まずいままだ……伝えたいことも伝えずにお互いモヤモヤ過ごすぐらいなら、伝えたいことを伝えてバッサリ斬られたほうがまだマシだ。

 

「いいかい、夕雲……俺はメシの話をしただけだ、夕雲とはフツーにやっていきたいだけなんだ………なんて言うとでも思ったか? 俺は夕雲のこと、好きだからな! 木曾はお前を大切に思っているが、俺は木曾も夕雲も好きだ! 雪風も明石も遠征トリオも駆逐隊カルテットもここにいるみんなも、一人残らず大好きなんだ!! 分かってくれるか!!?」

 

「ええええええええ!?」

 

「きゃあああああああああああああああああ!!」

 

「な、何だってえ!!!」

 

「くーも、しれいすき」

 

「うそ! うそでしょ! 提督、冗談言っちゃダメ!」

 

「提督…本当、なのですか……?」

 

「やべぇよ………この男やべぇなマジで。私の想像、軽く越えてたわ……」

 

「提督…そう、タルトのことを……」

 

「えっとねぇタルト、みんなだからね? つまり谷風もだね」

 

「提督、そんな、いきなり……恥ずかしいよ……」

 

「私……私のこと……」ギュッ

 

 

 

クラッ……

 

少し足取りが覚束(オボツカ)なくなった夕雲を正面から支える。

 

「……もう…提督、ビックリしましたあ……」

 

「ほら夕雲、しっかり……木箱に腰掛ける?」

 

「いえ、このままでお願いします……」ギュッ

 

「いいよ……夕雲、今の話だけど、いい加減な気持ちじゃないって分かってくれた?」

 

「はい、それはもう……」

 

「なら良かった。……ん、職長が戻って来たみたいだ、奥から音がする」

 

「あ……それじゃ私も、ちゃんと立たないと……」

 

「いいって。気にするな」ギュッ

 

みんな少しザワザワしてはいるものの、ちゃんと落ち着きを取り戻している。こういうトコは流石だな……後は、彼女たちが俺の言葉をどう受け止めるか、だ。

…ただ、名取だけが、念話に入ってこなかったのが気になる。まだ発動できないのか、それとも……。

 

 

 

ガチャリ

 

車輪付きの運搬台を両手で押しながら入室する職長。その台の上に載せられているのは………

 

 

 

「あ、くーのだ。ひさしぶりだね」ニコッ

 

「くー、ここで装着してくれるか?」

 

「うん、わかったよ…………あれ、たるとのもある」カチャ

 

「ああ、同じように改造を依頼しておいたんだ。タルト、頼む」

 

「はい、提督」カチャ

 

2人が各々の兵装を身に付けていく………それを興味津々の表情で見守る艦娘の面々。

 

(職長、本当にありがとう。いつも無理を言って、すまない………)

 

(………………!!………!)

 

(他人行儀はやめろ? ああ、分かったよ。まったく、怒りっぽいんだからな! 俺に何か手伝えることがあったら、いつでも言ってよ)

 

(……………♪……!)

 

(子どもが生意気言うなって? 顔が嬉しそうだぞ。とにかく、ありがとう)

 

「あの…提督、どのような改造なのか、お聞きしてもよろしいですか……?」

 

「うん早霜。くーもタルトも、みんなとは交戦したことないな?」

 

「はい、二人ともあの通り目立ちますから、戦場で遭遇していれば絶対に忘れないと思います。姉様たちも私も、イ級やハ級は何回も沈めましたが、二人とは一度も戦ったことがありません……」

 

やはりな。

くーもタルトも、何とか鎮守府とは交戦しないように注意してたんだろう。

 

「分かった。俺たちは二月に、くーと戦ったんだ……失神で済んだのは、不幸中の幸いだった。彼女の兵装には驚いたよ、見た目の迫力がヤバくてね……仲間にするなら何とかしなくちゃいけないと思ってた。タルトとは交戦したことないけど、何回か交渉しているうちに兵装を見せてもらってね、やっぱり彼女のも何とかしようと思ったんだ」

 

「仲間にするために…ですか……」

 

「ああ。鋭い歯を剥き出しにした三連装砲や連装砲ってのは、艦娘の兵器として相応しくないからね」

 

「艦娘……あ……提督、さっき食堂の女性……えっと、ハヤさんにも、そう仰(オッシャ)ってましたね」

 

「ああ、くーもタルトも艦娘だ。俺は、そう思っているよ」

 

「しれい、くーはかんむすなの? いなずまとおんなじ?」トコトコ

 

「装着できたんだな。ああ、そうだよ。同じだ」

 

まだ確証などないが、俺の中では1つの考えが形を成しつつある……艦娘も深海棲艦も、心の根底に宿る魂は、とある人々から託されたものではないかという考えが………。

 

「うん、わかった。おんなじだね」ニッコリ

 

「提督、とても良い感触です…外見こそ違いますが、この子の魂は少しも変わっていません。この砲身と共に炎の剣となりて、あなたの前に立ち塞がる鬼を斬り裂いてみせます。どうか、ご命令を」

 

「くーもだよ…おくちなくなったけど、ちっともかわってない。おに、ちかくにいるよね…かんじるよ? くーがたおす」

 

明らかに普段とは様子の違う2人……いや、戦の船にとっては、今の姿こそが「普段」なのかも。久しぶりの武装に、精神が高揚しているんだろう。

 

「提督……、敵が近くに、いるの?」

 

「阿武隈、みんな、よく聞くんだ。第二艦隊が敵の殲滅に失敗した…。さっきゴローさんに聞いたが、残敵を索敵中の艦娘を視認したそうだ。司令部は第二艦隊に任せる積りだろう……だが、俺たちの海域に侵入する可能性があるなら話は別だ。タルト、鬼どもの配下は傷を負わされた場合、帰投か復讐か、どちらを優先する?」

 

「復讐です、提督。奴らは鬼と同じく、血に飢えています」

 

決まりだ。

 

「分かった。二人とも司令部の大切な客人だが、ここでは戦士であり艦娘だ…。タルト、そしてくー。鎮守府の指揮官として出撃を要請する。残敵の殲滅だ」

 

「御意」

 

「おまかせあれ」

 

 

 

          続く




こんなに凄い作品を制作するために一体どれほどの人々が……
想像するだけでも圧倒されてしまいそうです
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