鬼斬り ~艦これ改に捧ぐ~   作:日明月

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第五-20話

(ミルディ、離れてるけど大丈夫だな?)

 

(はい提督ちゃん。あの子たちと私はしっかり繋がっています。任せて)

 

(よし、艦載機発進だ。攻撃目標、爆撃機部隊)

 

(了解!)

 

 

 

第五-20話

 

 

 

ゴオオオオオオオン!!

 

 

 

以前はドラゴンのような口をしていたが、今や職長の手により新たに改装された飛行甲板から一斉に飛び立つ白い艦載機たち。まるでホワイトブレスだな。

 

(くー、奴らの艦載機に変化は?)

 

(うん、ふたつにわかれた……あ、ひとつがおりてきたよ。もうそろそろみんなにもみえる)

 

(分かった。高度を下げ始めたのか……雷撃だな。名取、鬼怒、先ずは魚雷同士の炸裂だ……目視(モクシ)できた時点で、二本一組でどんどん放つんだ。爆発地点は彼我(ヒガ)の中間あたりが名取で、少し手前が鬼怒だ。こちらに一直線だから進路を見破るのは簡単だろう、水柱で歓迎しよう)

 

(りょ、了解ですー!! ………魚雷発射!)シュパアッ

 

(了解! ……いっけええええええ!!)スパアン!

 

 

 

 

 

ザバアアアアアアン!!!

 

 

「ギャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!?」

 

 

ズガガガガッ!!

 

 

水中で味方同士の魚雷を炸裂させて巻き起こした爆発。それにより次々と噴出した巨大な水柱に向かって、高度を水面近くにまで下げた雷撃機が為す術なくどんどん突っ込んでくる。

衝突の刹那、幽かに聞こえたのは断末魔か……。

 

 

ズガアァン!!

 

 

水柱から爆発音。搭載魚雷が何発か誘爆を起こしたな。これで指揮官も多少は動揺しているだろう。

 

 

ドガガガガッ!

 

 

ズガアッ!!

 

 

ガガガガガガガ……!

 

 

仰ぎ見れば、敵の爆撃機を次々と撃墜していくミルディの艦載機編隊。泊地水鬼の艦載機を見たことがあるけど…動きが段違いだ。かなりの練度だな。

 

 

ドガアン!!

 

 

!?

……マジかよ。投下された爆弾を空中で破壊……?

 

(……ミルディ。やるじゃないか、驚いたよ)

 

(ありがとうございます提督ちゃん)///

 

最強指揮官の率いる飛行部隊、か……。姫グループがずっと戦いを継続できている理由は間違いなくコレだろう。

 

(初手を封じたな……先ずは上々だ。重巡および軽巡はタルトを中心に集結、砲撃を開始。駆逐艦隊で左右から挟撃するから射線は敵集団の中心に固定だ)

 

(了解!)

 

(了解しました!)

 

(了解ー!)

 

 

ドゴオオオン!!

 

 

ドガアッ!!

 

 

ドドドドドドド!!!

 

 

(ミルディ、編隊を奴らの後方へ)

 

(了解しました)

 

(雪風、体勢的に後ろを見ることができない…気配は感じるんだが念のために確認だ。くーと一緒に離れずついてきてるか?)

 

(勿論です司令、くーちゃんもしっかり! ただ…ミルディが思ったより速くて驚きました。これってやっぱり司令の……?)

 

(ああ、ミルディは俺の補正を受けている。お陰で俺は安心して指揮に集中できるよ……見た感じ、フツーのよりも強力な障壁だ)

 

亀の甲羅みたいな模様が空中に白く浮かぶ様子は幻想的ですらある。

 

(やっぱりコレ、提督ちゃんのチカラなんですね……ビックリしました。陸上制約を打ち消して強化するだけかと……)

 

(それプラス、海上に於ては攻撃力、防御力、霊力に速度の向上だ。今、ミルディが展開してくれてる障壁は戦艦の砲撃にも耐えられるよ…でも回数には限りがある。注意してくれ)

 

(分かりました!)

 

この念話は今、多人数向けに設定しているから艦娘全員に聞こえている。情報を一瞬で共有できるのは本当に便利だな。

そして、それを目的にミルディの話題を持ち出した雪風の配慮……頼りになる、大切な秘書艦…。

 

 

ドガアアアン!!

 

 

ドドドドドド……!!

 

 

「グギャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」

 

 

「ギイ゙イ゙イ゙イ゙イ゙!!」

 

 

敵を貫く砲撃。やはりタルトの火力は頼りになる。

 

 

ドゴオン!

 

 

ドガアッ!!

 

 

(反撃を開始したぞ! 砲撃中止、タルトを中心に障壁を展開しろ!!)

 

 

(! はい提督!!)

 

(了解!)

 

(了解しました!)

 

 

ズガガガガガガガ!!

 

 

(くうううううッ!!)

 

 

(ああああああッ!?)

 

 

(く……ううう!!)

 

 

(提督ちゃん、あれを!)

 

 

ミルディが指し示す先は…

敵艦隊の全容。

……なんてこった。

海が真っ黒だ…駆逐イ級と輸送ワ級が密集しているのか!

 

(暁! 夕雲!)

 

(はい!)

 

(はい提督!)

 

(暁は響、海風、谷風を! 夕雲は秋雲、長波、早霜を率いて左右に別れ全速直進、二時と十時の方角より一斉砲撃だ!!)

 

(了解! 十時より砲撃します!)

 

(了解ですわ! こちらは二時! みんな! ついてきて!)

 

(あいよ!)

 

(やってくれる……見てなさい!)

 

(海風、谷風。行くよ)

 

(はい!)

 

(よしきた!)

 

最初の砲撃が効いている…敵の視線はタルトたちに釘付けだ。駆逐艦隊に注意を払う深海棲艦は少ない。

どうやら指揮官は火力を重視するあまり、自らの統率力には収まらない規模で艦隊を編成したらしいな。

それにしても…この規模!

ミルディも驚いているようだ……表情は見えないが、密着しているのでさっきまでとは違う緊張が彼女の全身から伝わってくるのが分かる。

 

(ミルディ。編隊は?)

 

(…全機健在、敵集団を越えました)

 

(よし。二直角転回、十二時の方角から連続雷撃!)

 

(はい提督ちゃん! お前たち…やっておしまい!)

 

 

ゴオオオオオオ…………バシュウッ!! バババババッ!!

 

 

 

 

 

ドゴオオオン!

 

 

ドガアアアアア!!

 

 

「ガア゙ア゙ア゙ア゙!!」

 

 

「ギャギャアアア!!!」

 

 

(くー、敵の数は?)

 

(だいぶへったよ…すきまできた。これならかぞえられる……うん、にひゃくぐらい)

 

200か……。

もっと減らして指揮官を捕縛したいところだ。

 

(タルト、ネビュラ、リリィ、名取、鬼怒。 ミルディ隊の魚雷を避けてしまうイ級がいるかもしれない。障壁を水面下にも展開しろ! 防御最優先だ、そして各自の判断で隙に乗じて砲撃だ!!)

 

(はい、提督!)

 

(了解しました!)

 

(了解です!)

 

(了解!)

 

(了解!)

 

暁と夕雲は……よし、駆逐艦隊が指定ポイントに到達したな。

 

(雪風、砲撃中止! 離脱だ!)

 

(は、はい!)

 

(いくわよ…砲撃開始!)

 

 

ドガアアアン!

 

 

ドゴオオ!

 

 

(私たちも…! 撃てえ!)

 

 

ズガアアアッ!

 

 

ドゴオオ!

 

 

「ギャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

 

 

(ミルディ、鬼の様子は?)

 

(密集陣形の中心から艦載機を繰り出そうとしています……でも砲火が飛び交っているので阻まれています、提督ちゃん)

 

(艦載機か……さっきの残存兵力だな…港湾水鬼?)

 

(いえ…あれは…間違いありません、離島棲鬼です)

 

(今までに交戦した?)

 

(はい、何度か。でも取り逃がしてばかり…あの鬼はいつも、自分の周囲を配下で固めているのです。でも今日は……信じられない規模です)

 

(遙かに多い、と?)

 

(はい。比較にならないほどに)

 

……………。

何故こんな大部隊……いや大艦隊を編成したんだろう?

ミルディの本拠地を今日こそ陥落せしめんと?

……いや。

軽巡棲鬼は俺たちの艦隊が泊地水鬼を倒したことに気付いている筈だ。

つまりこれは……俺たちを迎撃するための編成?

 

俺たちがミルディと手を組んで本拠地に来ると予想していた?

 

……上等じゃんか。

 

俺には艦娘みんなが力を貸してくれる。

 

あくまでも俺たちの艦隊に戦いを挑むというのなら、俺はいつも通りみんなを信じて突き進んでやろう。

みんなの黒子として、どこまでも。

 

 

ズガガガガガガ!!

 

 

(こんのおおおお!!)

 

 

ドガッ!

 

 

ズガアアン!

 

 

ガシャン!! ……カチッ! カチッ!

 

 

(……提督…! 弾切れですぅ!!)

 

ここまでか……でも、充分だ!

 

(分かった。みんな、よくやったぞ! あとは俺たちとミルディ、くー、雪風に任せろ! 他のみんなは砲撃圏から離脱!)

 

(な……ッ!?)

 

(提督!?)

 

(みんなの兵装は殆ど同じだ! 一つの連装砲が弾切れになったんだ、他のみんなも時間の問題だってことぐらい分かるだろう! くー、回避最優先で外周を攪乱! 雪風はくーに気を取られた艦を片っ端から攻撃! 二人とも、外周だぞ! 絶対に呑み込まれるなよ!!)

 

(りょうかい!)

 

(了解です司令!)

 

 

ドガガガガガガ!!!

 

 

(俺たちも行くぞ! ミルディ、突っ込め!)

 

(うん、提督ちゃん!!)

 

(て、提督!!)

 

(ダメ!! 提督に当たっちゃう! 砲撃中止!!)

 

(……………くっ!!)

 

(そんな……提督…!)

 

(暁……これ…)

 

(ええ、響……みんな、混乱してるわ。司令でもムリなんですもの、私たちが説得してもムダでしょうね)

 

(司令は無謀な戦いなんてしない。でも今回初めて司令の指揮を目にしたみんなには、まだそれが分からない……)

 

(私たちには分かるけどね……この会話も、みんなには通じていない。聞こえてはいるけど、通じない)

 

そういうことか……。

戦闘の勝算はあるかということばかり考えて、新しい仲間たちはまだ俺のことをよく知らないんだってことを失念していた。

これは俺の失態だ。

 

でも、それは後回しだ!

 

今はみんなで勝つことに集中する!

 

(暁、響。こうなったら仕方ない。みんなが離脱しないのなら、せめてガードしてやってくれ! 勝算は充分ある!! それまで頼んだぞ!!)

 

(分かったわ、任せて!)

 

(司令を困らせて……仕方ない子ばっかりだよ)

 

ありがとな暁、響。

でもな、確信してるんだ。

新しい仲間のみんなとも、いつかきっとお前たちみたいな関係になれるって。

 

 

ドガアン!

 

 

ズガガガガッ!!

 

 

(……………なにそれ…。やるきあるの?)

 

 

シュパアアアアッ!

 

 

「…………………!?」

 

 

ドガアアアアアアッ!

 

 

ガガガガガン!

 

 

「グギャアアアアアアアアアア!!」

 

 

「グオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!」

 

 

イ級とワ級の攻撃を、悉(コトゴト)く回避してみせるくー。そしてスキを見せた艦は雪風の砲撃でどんどん沈められてゆく。

……さてと。

 

(タルト。そちらは大丈夫か?)

 

(はい提督、問題ありません! ですから…!)

 

(落ち着け。戦艦のお前は大丈夫でもネビュラやリリィ、名取に鬼怒は小破…いや……中破に近いダメージじゃないのか?)

 

(…………はい)

 

(つまり障壁が完全に消滅したから、みんなの装甲がダメージを受けたんだ…危険な状態だぞ。それ以上の戦闘継続は許さない。そこでみんなを守るんだ。今日は第八艦隊の大黒柱に自己紹介してもらう大切な日なんだからな)

 

(………………え?)キョトン

 

(…………提督?)

 

(……司令官。まさか)

 

(しれい、 ものすごいはやさでだれかくるよ。 でも、おにじゃない……かんむすだよ!)

 

(今までに会ったことある艦娘かい?)

 

(ううん、しらないひと。あ……ほかにもくる! みんな、しらないかんむすのひとだよ)

 

覚えていないのか。やったぜ、これで俺たちの艦隊は…死角ナシだ…!

 

(くー、そのひとたちはとても強い艦娘だ…安心していいぞ。それとな、みんな……俺が接近に気付いたくらいなんだ、みんなはもっと早くに気付くことができたハズだぞ。ミルディ、爆撃開始だ! 一発も残すなよ!!)

 

(了解、提督ちゃん!)

 

(雪風、くー、みんな! 離脱だ! ミルディの艦載機編隊の凄まじさを目の当たりにしただろう!! タルトに合流しろ!!)

 

(はい、司令!)

 

(りょうかい!)

 

(りょ……了解!)

 

(了解ですー!!)

 

(了解……提督、申し訳ありません…)

 

 

ドゴオオン!!

 

 

ドゴオッ!!

 

 

ドドドドドオン!!!

 

 

「ギエ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙!!」

 

 

「ギャアアアアアアア…!」

 

 

(提督ちゃん! あれ、ヘ級だよ! 今まで見えなかったのに!!)

 

(ああ、見えた! 誰かを取り囲んでるな!)

 

イ級とワ級で構成された外殻部分は、もう崩壊寸前だ……その結果、弾幕や砲塔からの煙で見えなかった陣形の中心が姿を現した。つまり、ヘ級たちの内側に潜んでいるのは………

 

(離島棲鬼よ、提督ちゃん! もう少しで届く!)

 

 

 

ザシュウウウウッ!!

 

 

「ギャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」

 

 

ドガガガガガガガ……!!

 

 

バシュウウッ! ブシュ!

 

 

(提督ちゃん!? これって………?)

 

(援軍だよ…アイツはこんな時、決して遅れたりしないんだ)

 

この凄まじさ……相変わらずだな…心強いや。

 

 

 

 

 

ザグウウウウッ!!

 

 

「ギャヒイ゙イ゙イ゙イ゙イ゙!」

 

 

ガガガガガガ…ブシャッ!

 

 

 

「天龍さまのお通りだああああああ!! 雑魚は引っ込んでなああああァァァッ!!!」

 

 

ズガガガガガガッ!!

 

 

バシュッ! ブシュウウ!

 

 

スパアアン!!

 

 

「あらあら~たくさんいるわね~。ウチのボウヤを攻めてる悪いコだ~れだ?」

 

 

ドガアンッ!!

 

 

「ガア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!」

 

 

(提督、お待たせしました……ご命令を!)

 

 

 

          続く




何回もプレイしました
本当に素敵な作品だと思います
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