鬼斬り ~艦これ改に捧ぐ~   作:日明月

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第五-23話

(雪風)

 

(あ、司令…。さっきの件ですね)

 

(ああ、準備できたよ。くーを連れて、こっちに来てほしい)

 

(分かりました、司令)

 

 

 

第五-23話

 

 

 

ザザッ…スタスタ…トコトコ

 

 

 

「お待たせしました司令」

 

「しれい、おまたせ。えんせいのみなさん、はじめまして。くーです」ペコリ

 

「……ほぉ、こりゃ驚いたな…オレは天龍、艦隊じゃ一番の古株だ。コイツが認めたんならこれからは仲間だぜ、よろしくな」ニコリ

 

「よろしくおねがいします、てんりゅー」ニッコリ

 

「………………………」

 

「………………………」

 

無言、か。でも2人の表情から推察するに、くー個人を拒絶しているワケじゃなさそうだな……どう接していくべきなのかが分からない戸惑い…そんな感じだ。こうなったら仕方ないな、ここは俺が敢えて口出しを……。

 

 

「おい龍田! 五月雨! 何だその態度は!!」

 

 

周囲の空気をビリビリと震わせんばかりの迫力に満ちた声が響きわたる。久し振りに落ちたな……天龍のカミナリが。

 

「新入りが挨拶してるんだぞ! 返事はどうした!」

 

「あ……そう、ね。私は龍田……よろしくね」

 

「……五月雨です。よろしく……」

 

「たつた、さみだれ。よろしくおねがいします」ペコリ

 

……………くー。

 

「お前ら……さっきから聞いててヘンだとは思ってたけどな、最低限の礼儀は守れよ。そうすりゃオレだって、いちいち細けぇことは言わないさ……十人十色、人それぞれなんだ………でもな!!」

 

ビクリと肩を震わせた五月雨。龍田の様子は変化なしだが…内心はきっと2人とも似たようなものだろう。何しろ艦隊の大黒柱であり最年長者でもある艦娘から叱責を浴びているんだ。

 

「キチンと挨拶してる相手に返事もしてやらねぇ奴ぁロクなモンじゃねえぞ! 分かってんのか!!」

 

返事はない…中途半端な言葉や空虚な謝罪は天龍を更に怒らせるということが分かっているから。自らの態度を詫(ワ)び、くーを心の底から仲間として受け容れる……天龍を納得させるためには、そうしなくちゃいけないと分かっているから。だから2人は、曖昧な返事をしてはいけないと思い黙っているんだ。静寂に包まれた俺たちに聞こえるのはただ、寄せては返す波の音のみ。

 

「天龍。龍田も五月雨も、突然の変化に驚き戸惑っているだけなんだ……俺が艦隊を様変わりさせたからな。さっきの二人の態度は、それが表れてしまっただけだと思う。悪意なんて一切ないぞ……俺が断言するよ。変化を受け容れるには時間が必要だ、それを二人に与えてやってくれ…頼む。俺も、そのための手立てを考えているところだ」

 

「…するってぇと、お前が何とかできるって言うのか?」

 

「いや違うぞ、俺だけじゃそんなことできない。お前たち不在の間にな、俺は艦娘みんなと職員みんなの協力を得て深海棲姫との交流を重ねることができたんだ。今回も同じだよ……お前と、龍田と、五月雨と、そしてみんなの協力を得て新しい第八艦隊を編成する積りだ……頼りにしてるよ天龍。龍田、五月雨……俺は信じてるからね…きっと新しい仲間を受け容れてくれるって」

 

「ボウヤ……」

 

「…提督」

 

「…………」

 

三者三様。俺の言葉は今、彼女たちの心の中でどんな

風に受け止められているんだろう。

 

「ボウズ。オレはまだコイツらと話がある。お前らは向こうに行ってな」

 

「分かったよ天龍。雪風、くー、行くぞ」

 

立ち上がる俺。

 

「うん」

 

「はい司令。天龍、失礼します」

 

「ああ…雪風、お前ちょっと顔付き変わったな……コイツも最初はおっかなびっくりだったのに、今じゃまるで家族みたいに話し掛けてるぞ。今の旗艦はお前だ、これからもその調子だぜ」ニヤリ

 

え……俺って雪風に緊張してたのか…?

 

「は…はい、天龍!」///

 

けっこう自然に話せてた積りだったのに。自分のことって自分が一番分かってるもんだと思うんだけど、そうでもないのかな……意外だ。

 

 

 

 

 

さっきのと似ている形の大きな岩を見付けた俺たち3人。丁度いい。

 

「ここに座ろう……うん、平(タイ)らでいい感じだ。ほら雪風、くーも」

 

「はい司令、失礼します」スッ

 

「うん……よいしょ」ペタン

 

「くー、今日はお疲れ…大活躍だったな。はい」つ

 

「あかしのくっきー! いただきます」パクッ

 

「雪風も相変わらず凄かったな……お疲れ。はい」つ

 

「ありがとうございます、いただきますね」パク

 

「…ごくん……おいしい! ごちそうさま……あのね、しれい。くー、たつたとさみだれとなかよくしたい。できるかな?」ジーッ

 

「勿論だよ、くー。お前はもうとっくに俺たちの仲間なんだ…龍田も五月雨も本当に優しい女性だから何も心配しなくていい。ただ…俺たち日本人は元々、組織や共同体への帰属意識…要するに愛着が強過ぎる時があるんだよ。最近はインターネットの普及で変わってきてるけど」ナデナデ

 

くすぐったそうに目を細めるくー。戦闘時の鬼気迫る表情とは別人みたいだ。

 

「ねっとが? どうしてなの?」

 

「実際に会って一緒に何かをするってのは良いことがある反面、利害関係が衝突して仲が悪くなることも多いんだ。でもネットならお互いの私生活に干渉することがないから心地よい交流ができるし、実際の会話と違って文章で伝えるから送信する前に見直して、どんどん良い表現に改めることも可能だ。愛好者は増加する一方だよ…全くネットを知らなかった世代の人々の間でもね」

 

「………? でも、ひとのきもちって、そんなにかんたんにかわらないよ? にっぽんのひとは、じぶんのそしきがいちばんだいじでしょ?」

 

「それが変わるんだよ、くー。いくら愛着が強くてもね、厳然たる現実を目の当たりにしたら人は自らの考えを変えるんだ。今の日本はネットによって凄まじい変化を遂げつつある。そして…」

 

「そして?」

 

「それが最も激烈に起きてしまったのが七十六年前、皇紀二六〇五年なんだ。二千六百年も無敗だった俺たちの国が、初めて敗北した年だよ……政府からの召集令状一枚で行きたくもない戦争に引っ張り出され、郷土から遙か遠く離れて戦った兵士の人々は、戦後の時代になって年下の世代からずっと侮辱されたんだ…戦前は非常に尊敬されていたのにな。俺が子どもだった平正の初頭頃まで、国防省は無礼な人々から税金泥棒なんて呼ばれてたらしいよ……以前、課長が教えてくれた。西暦が新しい世紀を迎える辺りから、やっと良い方向に変わってきたんだってさ。くー、お前たちもこれからずっと日本で暮らすんだから、人々の気持ちには気を付けておくんだよ……何かの切っ掛けでガラッと変わってしまうものなんだ、ということを常に忘れずにね」

 

「……………うん、わかった…」

 

ビックリしているな…でも心配しなくていいよ、困ったことがあったら必ず手助けするからな。みんなも同じ気持ちだ。

 

「雪風。ここまで突っ走ってきた俺のこと、どう思う? 雪風だって、十人体制の頃からの古参メンバーなんだ。やっぱり戸惑ってる?」

 

彼女の目をしっかり見て尋ねる。天龍の言う通り、少し顔付き…変わったかな?

 

「いいえ、そんなことありません! 雪風は司令の秘書艦です。司令がお決めになったことなら、雪風は戸惑ったりしませんよ」ニコッ

 

「雪風はいつも俺を信じてくれるんだな……ありがとう。でも何か気になることとかあったら、その時は直ぐに言ってほしい」

 

「はい。それじゃ、あの……さっきの戦闘のことで一つお聞きしてもいいですか?」

 

「戦闘の? 何だい?」

 

「その……敵は大規模な艦隊でしたよね。戦闘しながらこの島の附近まで移動すれば、ミルディの部下が合流してくれたと思うんです。そうなれば、もっと早く勝利できたんじゃないかなって……」

 

「確かにね…俺も当初は考えていたよ。もしも鬼と遭遇したら、姫グループと合流して戦うのも一つの選択肢としてアリだなって。でも、くーの索敵報告を聞いて大規模な編成だって分かったから、それは除外した。大艦隊と大艦隊が交戦する時の危険は火力だけじゃないんだ…乱戦状態になってしまったら双方の陣形はバラバラになるから、誤って友軍を攻撃してしまう可能性が発生する。それだけは絶対にダメだ」

 

「だから司令は、たとえ相手が大規模でも、こちらは少数精鋭で迎撃するんだと決断されたんですか?」

 

「その通りだよ雪風、こちらの陣形を崩されさえしなければ、同士討ちなんて起こらない。戦力差なんて全く問題にしてなかったよ…みんなは平常時でも充分強いのに、俺の指揮官補正を受けているから戦闘能力はチートレベルだ。遠征トリオには俺たちと合流するよう連絡しておいたし、万が一の場合に備えて阿武隈を最後まで温存しておいたんだからな。それとね…気付いたかい、天龍と龍田がイ級やワ級を踏み台代わりにして進んでた時、何体かが二人に向けて砲撃したことに? 無茶苦茶だよ、あんな密集陣形でそんなことするなんてな。結局は一発も当たらなかったよ……味方以外にはな」

 

「あ……それで暁は、あんなに早く残敵を壊滅させることができたんですね」

 

「そうだ。激怒したイ級たちが撃ち返したのさ…ほんの一瞬だったけどね。その瞬時の刹那で奴らは次々と沈み、残りは慌てふためいて逃走……後は暁が止(トド)めを刺した」

 

「同士討ち……司令の大好きなゲームで言うところの、パーティーアタックですね」

 

「ゲームは様々なことを教えてくれる……コンピューターゲームであろうとボードゲームであろうとゲームブックであろうとね。ゲームは人々の叡知と創造力が生み出した素晴らしい発明だよ………夢、冒険、探索、謎解き、物語、攻略、思考、戦略……色んなことを教えてくれるんだ…!」

 

「うふふ……司令って本当にゲーム大好きですね。ゲームを語る時の司令、楽しそう」ニコッ

 

あ、いけね……またやっちまったか。でも確かに楽しいけどな!

 

「天龍たちは……まだ話を続けているな。それなら俺たちも、しばらく何か話していようか。くー、何か聞きたいこととか、あるかな?」

 

「えっとね……しれい。おはなしじゃなくてね……」

 

…くーの顔が赤みを帯びている。これ、もしかして。

 

 

 

だいじょうぶだよ…くーたちはね、いつもこうなの…たたかったあとはね、すごくきもちがこうふんして…からだがあついの………

 

提督、私たちはいつも、その興奮を……抑えるのに苦労しているんです

 

 

 

あの件だろうな、やっぱり。

 

 

 

「からだがね、あついの。くー、どうしたらいい?」

 

「おいで、くー。兵装はそこに……よし。岩がゴツゴツしてるからな……俺の上に乗るといい……そう、そんな感じだ」ギュッ……

 

「あ……あぁ…しれい……。あったかい…よ……」///

 

「くーの体も暖かいぞ。キスするからな……」

 

「んちゅ……ぢゅるうっ……ん……あふ…しれい……」クチュ

 

「雪風、ちょっと待っててくれ。くーや他のみんなはどうやら戦闘での極度の緊張が原因で、身体の接触を求めるからね。今からくーを………ん?」

 

雪風が、岩の上に寝そべる俺と、俺の上に乗っているくーを両手で包み込むようにしながら自らの体を横たえてくる。

 

「あれ……ゆきかぜ?」

 

「雪風、どうした? もしかして……」

 

「司令……どんどん指揮がお上手になりますね……お陰で今日も我々の勝利です。私、今日はビックリしました…他のみなさんも、きっと私とおんなじ気持ちですよ………ね、くーちゃん」///

 

雪風の顔にも、くーと同じように浮かんでいる赤みが見える。二人とも気持ちが高揚しているんだな。

 

(うん、くーもそうおもうよ……くちゅ…ぺろ………ゆきかぜ、くーといっしょにしれいときす、しよ?)チュル…ペロ……クチュ…

 

(? 違うぞ雪風、くー。俺の指揮じゃなくて、お前たちみんなが素早く動いてくれるお陰で勝てたんだ)

 

(しれい、たるとににてる…たるともね、たたかいをほめるとてれるの)

 

マジか。タルトが聞いたら何て言うかな?

 

(司令ったら…ご謙遜ですね…。はい、くーちゃん……私も……司令と、キスしたい…よ…あむっ…れろぉ…)ペロ

 

木曾には、人前でしたくないって言ってたんだけどな……雪風。気が変わったのかな?

 

(ん……雪風のキス…久し振りだな……分かったよ……くー、雪風。しばらくの間は大丈夫そうだ)

 

(うん………しれい、くーのおっぱい、さわってほしい…)クチュ…チュル……

 

(ああ、遠慮なく)

 

ギュ……ムニュ……フニュ

 

柔らかいけど、それなりに張りもある感触。あどけない表情から発せられた挑発的な言葉にドキッとする。

 

(あ……あぁ…しれえ……しれぇ…)///

 

(くー、前より大きくなってないか? ……ほら、唇がお留守になってるぞ……)

 

(あ……ごめんね、しれい…。くちゅ……あむぅ…あふぅ)///

 

(くーちゃん、嬉しそうな顔……。司令、雪風……何だか緊張します…。ちゅう……じゅるっ……じゅる)チュル

 

(緊張? どうして?)

 

(あ……わかるよ。おそとでしてるんだもんね……ぺろ………でも、きもち……いい……ね)

 

(二人とも、今日は大活躍だったな……ミルディたちが戻ってきたら、また打ち合わせだ。今は戦闘の高揚を少しでも静めてくれ)

 

(うん……しれい…くちゅる……れろ…)ジュル…

 

(そうですね……ちゅるうっ…。今は…、今だけは………)///

 

 

 

          続く




ずっと国連に高額の拠出金を差し出してきた日本
でも国連は日本をパートナーとしては見てないですね
見ているのならとっくに常任理事国入り
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