(二人とも、今日は大活躍だったな……ミルディたちが戻ってきたら、また打ち合わせだ。今は戦いの高揚を少しでも静めてくれ)
(うん……しれい…くちゅる……れろ…)ジュル…
(そうですね……ちゅるうっ…。今は…、今だけは………)///
第五-24話
チュプ……クチュ…
(ぢゅるっ……ぺろ………しれいのゆび、なんだかふしぎなあじ……じゅるる)///
(くーは舐めるの好きなのか?)
(ちゅる…うん、なめてるとね、おくちのなかがふしぎなかんじで……きもちいいの。ちゅるっ…くちゅ…もっとなめてもいい?)
(ああ、好きなだけ舐めていいよ)
(ふふ……やったぁ…じゅるる…くちゅる…ぺろぉ)
(司令…あむっ……はふぅ…服の中に、司令の手が……あぁっ…あったかい……です…ちゅるう)クチュ…
(ケガしてないかを確認しないとな……うん、大丈夫みたいだな)ナデナデ
(あぁ……あ…)///
(じゅる………はじめてしれいのゆびをなめたとき、しれい、とてもどきどきしてたよね……? でも……ちゅうっ……れろぉ……さいきんのしれいはすごくおちついてる…すこしざんねん)
響に注意されたからな。あれは確かに見苦しい振る舞いだったぜ。
(今でもドキドキしてるぞ? くーもみんなと同じようにとても魅力的な艦娘だからな。ただ……あの時のように、お前たちの美しさだけに囚われたりはしないよ。もっともっと、心の中で繋がりたいんだ…そう思うようになったのは、くーや雪風やみんなが大胆な、そして心の籠もったスキンシップを何回もしてくれたからだよ。俺はもう、みんなの魅力に酔ったりしない)ナデナデ
(ひゃあんっ……し、しれい……くー、けがしてないよ……だいじょうぶ)///
(ああ、そうみたいだな…確認した……安心したよ。でもね、くー、雪風)
(はい……司令?)
(しれい?)
「俺の見たところ、くーと雪風の戦い方は似ているんだ。敵集団の懐(フトコロ)へと躊躇なく飛び込んで、全く動じる様子がない……二人の凄まじい能力があるからこそ可能なんだろうけど、くれぐれも自分の身を守ることだけは忘れないでくれ。俺からのお願いだよ」
「司令…はい、分かりました。気を付けます」
「くーも、きをつける。だから、くーをはずさないで……おねがい」
「勿論だよ、くー。雪風もお前も、本当に頼りになる仲間なんだ。これからも一緒に戦おう」
「うん……ずっといっしょだね」///
「ご一緒します……雪風は司令の秘書艦ですから!」
「その通りだよ二人とも。それからね、雪風。かつての第八艦隊旗艦は初代提督の秘書艦を務めた天龍だったが、今は雪風…お前が旗艦だよ。頼りにしてるからね」
「はい、お任せを」///
「てんりゅーが、きかんだったんだね」
「ああ。でも提督が去ってから、次は雪風が秘書艦になるべきだ、ってアイツが強く主張してね……ん」
ザ……ザザッ……
「足音が近付いてくるな…多分、天龍だろう」
足音と足音の間隔が短くて力強い、この歩き方は。
「おはなし、おわったんだね」
「そうだな。くー、雪風、そろそろ休憩は終わりだ」
「うん」
「分かりました。色んなことが山積みですね」
「みんなの力があれば大丈夫だよ。天龍、こっちだ」
「おぅ」
かなり日が傾いてきているので周囲は薄暗い。だから最初はよく見えなかったんだが……。
「離島棲鬼じゃないか。どうしたんだよ天龍、わざわざ運んでくるなんて?」
天龍にお姫様だっこされている敵指揮官は、まだ目覚めていないようだ。何か夢でも見ているんだろうか?
「コイツのことでお前と話がしたい。そんで、目覚めたらオレたち二人で問い詰めるんだよ。だから運んだんだ。それにしてもコイツ軽いな。服の方が重いんじゃねーかって思っちまうぜ」
「ああ随分と凝ってるし洒落てるよな。戦闘装束には勿体ないぜ、こういうのはパーティーとか社交場で着てこそ輝くのに………天龍、二人でってどういう意味だ? 雪風とくーを同席させない積りか?」
「ああ、その通りだぜ……ちょっと待て、コイツをこの岩の上に寝かせるからよ………っと、よし。雪風、くー」
「はい、天龍」
「はい」
「お前たちは龍田と五月雨のトコに戻ってさっきの続きだ。お灸(キュウ)を据えておいたから、ちゃんとした会話になるだろうぜ…さっきと違ってな。雪風、くーをしっかり支えてやんな」
「分かりました天龍。くーちゃん、行きましょう」ザザッ
「うん、ゆきかぜ。てんりゅー、いってきます」ザッ
「ああ」ニッコリ
「可愛いじゃねえか。あんな顔されちゃ、何も言えなくなるな……」
再び岩の上に腰掛けている俺。傍らには同じように座っている天龍と、そして反対側には離島棲鬼の横たわる姿。
「いつも暁たちと仲良くやってるぞ。特に仲が良いのは電だ」
「そうか。ちゃんと面倒見てやってんだろうな?」
「それは帰ってから、お前自身の目で確かめてくれ…俺がどんな風にして彼女に接しているのかを、な」
「コイツ……口が達者になりやがって」クシャクシャ
俺の頭を手荒く撫で回す天龍。いつも武器を握り締めているとは思えないような感触が気持ちいい……全然ゴツゴツしてなくて、すべすべしている。
「……ごめんよ、天龍。お前たちの遠征を長引かせたのは、くーがお前と再会した時に、戦闘のショックを思い出して俺たちを敵視するかもしれないと思ったからだ。出来るだけ時間を掛けて俺たちとの関係を強固にしつつ、お前と戦った記憶を少しでも薄れさせようとしたんだよ。でも……その必要はなかった。あの子は索敵能力が凄まじく高いんだが、お前の気配にまるで心当たりがないんだ。つまり、お前のことを全く覚えていないんだよ。本当にホッとしたぞ……お前さ、くーと交戦してないな?」
「何だ、気付いてなかったのか? 背後から絞め落としたんだよ、一番確実だからな」
「それは分かってる。でもな、接近するためにはある程度の攻防の応酬が不可避だろう? ところがくーには、お前に関する記憶が全然ないんだぞ。一体どうやって姿を見られないままで間合いを詰めたんだ? これがゲームなら、インビジブルの魔法でも使ったとしか思えないぞ」
「あぁ、そっちか。アイツはな、オレたちが随伴艦の鬼どもを沈めたのを見て驚いて……いや、違うな……」
?
「悲しみだよ。背後から迫ったから表情は見てないけどな……探照灯で照らされているのに一切お構いなしで、鬼が沈んだ方向を見つめていた。ありゃ悲しそうな背中だったぜ」
「そんな馬鹿な……そいつらはくーを利用するために、騙して島から連れ出したんだぞ。何でくーが悲しむんだ……いや……待てよ、口車に乗せて引っ張り出すくらいの芸当ができたんだ、もっともっと出任せを並べ立てて自分たちを深く信頼させるようにしたのかもな………。天龍、お前はその隙に乗じてくーを失神させたんだな?」
「ああそうだ。ボウズ、騙して連れ出したってのはどういう意味だ? 仲間だったんだろ?」
「違う。これはしっかり覚えておいてくれ。深海棲艦は一枚岩じゃないんだ、二つの勢力に分裂している。深海棲鬼と深海棲姫の分類についてはファイルで知ってるだろ、俺たちは姫の方に味方しているんだ。くーは敵対する鬼に騙されて協力させられたんだよ。二月の戦いでお前が撃破した奴だ……目的は艦娘の暗殺。くーの言葉によれば巨大な鉄砲を担いでいたらしいぞ」
「ああ、覚えてるぜ。そいつなら確かにオレが沈めた。成る程な…あれは狙撃用の兵器だったのかよ」
「そういうことだ。天龍、この離島棲鬼のことで話があるって言ったな。でもそれだけじゃないだろう? ミルディたちのことだな」
「まあな。詳しく聞かせろ、お前があの連中を信用する理由をな。オレはお前の決断を信じてる。その説明が聞きたいだけだ」
「分かった。ミルディ…姫グループの指揮官だ……彼女は俺たちの鎮守府と何らかの繋がりを持っていたようだぞ。第六室長の友人と恋に落ちたこともある。それからな、天龍……彼女たちも艦娘なんだよ」
「……どういう意味だ?」
「ミルディは、姫グループが俺たちの大八島國で暮らすことを望んでいるんだと言っている。それって、あの戦争で戦い、そして命を落とした人々の願いそのものだと思わないか? 俺は彼女たちも艦娘と同じように当時の兵士の魂を宿していると思ってる」
「あいつらがオレたちと同じ、だと? 興味深いな。もっと詳しく」
天龍の目が鋭さを帯びる。相変わらずの迫力だ……でもその奥には、とても優しい光が宿っていることを知っている。
「ああ。彼女たちも艦娘なんだ……司令部は完全に誤解している。それとも、知っていて俺たちには秘密にしていたのかもな……今のところはサッパリ分からない。侵略なんかじゃなくて、魂を送り届けようとしてるんだよ。 艦娘みんなはな、既にミルディやくーたちを受け容れているんだ……それってつまり、同じ艦娘だと認めているからだと思うよ。それからな、俺が姫グループを信じる一番の理由を伝えるぜ……彼女たちと共に戦ったのはこれで二回目だ。前回のメンバーは二人だけだったが。そして実感したよ、素晴らしい戦士ばかりだってな。戦闘能力は言うに及ばず、残虐な一面など全く見当たらない…今日の戦いを見ただろう、逃亡するイ級やワ級を追撃した者は誰もいなかったぞ。あ、そうだ天龍……戦闘してない時の、普段のアイツらを見てみるといいよ。百聞は一見に如かずだ」
「……お前の言い分はよく分かったぜ、充分だよ。そうか、アイツらもオレたちの仲間になるんだな。楽しくなりそうだ」ニッコリ
「嬉しいよ天龍。お前たちが帰ってきたんだからな、今の第八艦隊は鬼に金棒だ。頼りにしてるぞ」
「任せとけ。ところでな、ボウズ。木曾のヤツは元気か?」
「ああ、とっても。いつも通り、お前が不在の鎮守府をしっかり守ってくれてるよ」
「そうか………………」
俺から視線を逸らして空を眺める天龍。物憂げな表情を浮かべている時の天龍ってとても大人っぽい雰囲気なんだよな。
「まだ気にしてるのか…木曾ではなく雪風を、俺の秘書艦に推薦したことを?」
「…………まあな。アイツ、何か言ってなかったかオレのこと」
「アイツはお前を慕っているからな。早く帰ってきてほしい、元気かな、しっかり食べてるかな……大体そんな感じだぞ」
「…………そっか」///
嬉しそうな顔。大人から一気に少女みたいな雰囲気へと変わった。
「そろそろ聞いてもいいか? 何故、木曾ではなく雪風を推薦したんだい?」
「……木曾は…お前に甘いからな。まるで、弟を溺愛する姉みたいな表情を見せる時がある」
………あぁ。確かに。でもそんな木曾に俺は、何回も助けられた。
「秘書艦ってのは要するに副官だ。そして副官が上官を甘やかすなんてなぁ絶対にダメだ。でも雪風はまだまだ若いからな、お前を甘やかせられるほどのガラじゃねぇ。アイツならお前にグイグイ引っ張られていくだろうから、丁度いい関係になるだろうと思ったんだよ」
「雪風はとても頑張ってくれているよ。素晴らしい秘書艦さ。そして木曾も、そんな雪風をしっかり見守ってくれている。お前のお陰だよ、天龍………ありがとう」
「大人びた口を利くようになりやがって…あーあ、もうオレの引退も近いのかもな! 後はお前ら若い連中だけでやっていくのか!」
「何を言ってんだよ天龍、お前にはまだまだ働いてもらうからな。先ずは第二艦隊だ、古鷹と加古がお前に会いたがっていたぞ。近日中に付き合ってもらうよ、一緒に会いに行こう」
「お前な、オレのいない間にどこまで動き回ってんだよ……でも…そうか、古鷹と加古かよ………そっかぁ」///
第一次ソロモン海戦で共に戦った僚艦……戦友、か。今の時代じゃ、その言葉の重みを真に理解できる人はもう僅かだろう……。
今、天龍の胸の中にはどんな思いが去来しているのかな?
「おっ………今、身じろぎしたぜ。そろそろ目覚めそうだな」
「よし。この離島棲鬼は降伏させる。戦闘は一切ナシだ。いいな、天龍?」
「分かったよボウズ…オレたちの提督! 仰せのままに、だ」ニッコリ
続く
外国の言いなりになるのはカンベンしてほしいですね